JPH0580582U - 回分式活性汚泥処理槽のスカム除去装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回分式活性汚泥処理を行う処理槽に覆蓋を設
けずとも、送風機利用によるスカム排除を効率よく円滑
かつ確実に行うことができ、しかも、前記送風機の消費
動力を低く抑えることができてランニングコストの低減
等を図ることにある。 【構成】 汚水を受入れて回分式活性汚泥処理を行う処
理槽１の一端側内部にスカム除去樋２を高さ調整可能に
配置すると共に、前記処理槽１内の他端側から一端側の
前記スカム除去樋２に向って槽内液面上を往復移動可能
な送風機９，１０を前記処理槽１内に装備したものであ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、槽内液面上の浮遊スカムを効率的に排出除去できる回分式活性汚 泥処理槽のスカム除去装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の回分式活性汚泥処理槽のスカム除去装置としては、下記のものが考えら れる。 （イ）自然界の季節風を利用し、その風を回分式処理槽内に流入させることに よる風力で槽内液面上の浮遊スカムを可動スカム除去樋側の流動移行させて該可 動スカム除去樋から排出させるスカム除去装置。 （ロ）回分式処理槽に覆蓋をし、該処理槽内の液面上方空間部の空気を固定式 の送風機で可動スカム除去樋側に流動移行させ該可動スカム除去樋に流入させて 排除するスカム除去装置。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このような従来のスカム除去装置では、次のような問題点があった。 即ち、前記（イ）のスカム除去装置の場合、自然界の風が吹かないと、スカムを 排除できず、従って、風がない時の沈澱工程では人為的作業によってスカム排除 を行わなければならず、また、たとえ風が吹いたとしても、処理槽内の上澄液排 出装置の裏側に滞留した浮遊スカムの排除が困難という問題があった。 また、前記（ロ）のスカム除去装置の場合は、覆蓋をすることによるコストア ップを余儀なくされると共に、送風機の運転に費やす消費動力が大きくなってラ ンニングコストが嵩むという問題があった。

【０００４】 この考案は上記のような問題点を解消するためになされたもので、覆蓋を設け ずとも、送風機の風力利用によるスカム排除を効率よく円滑かつ確実に行うこと ができ、しかも、前記送風機の消費動力を低く抑えることができ、ランニングコ ストの低減が図れる回分式活性汚泥処理槽のスカム除去装置を提供することを目 的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る回分式活性汚泥処理槽のスカム除去装置は、流入汚水を受入れ て回分式活性汚泥処理を行う処理槽の一端側内部に高さ調整可能に配置されて該 槽内液面上に浮上させるスカム除去樋と、前記処理槽内に装備され、該処理槽の 他端側から一端側の前記スカム除去樋に向って槽内液面上を往復移動可能な送風 機とからなる構成としたものである。

【０００６】

【作用】

この考案における回分式活性汚泥処理槽のスカム除去装置では、処理槽内の一 端側にあるスカム除去樋を槽内水位の変動に応じた高さ調整位置に保持した状態 での沈澱工程において、前記処理槽の他端側から一端側の前記スカム除去樋に向 って送風機を運転状態で移動させることにより、その送風機からの送風力で、槽 内液面に拡散している浮遊スカムを至近距離から漸次スカム除去樋に向けて強制 的に押し流すことができ、これによって、前記スカム除去樋側に集積してくる浮 遊スカムをそのスカム除去樋から排出することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図について説明する。 図１はこの考案の−実施例による回分式活性汚泥処理槽のスカム除去装置を示 す縦断側面図、図２は図１の平面図である。 これらの図において、１は流入汚水の回分式活性汚泥処理（曝気工程・沈澱工 程・放流工程の繰り返し）を行う単一の処理槽で、この処理槽１の一端側内部に はスカム除去樋２が配置されている。 このスカム除去樋２は前記処理槽１の内幅に対応した長さに形成され、その略 全長に亘るスカム越流堰２ａを有する横長のスカム流入口２ｂが設けられた構成 となっている。また、前記スカム除去樋２の中間内部にはポンプピット２ｃが一 体的に設けられ、このポンプピット２ｃ内にはスカム排出用の水中ポンプ（図示 せず）が収納してある。 かかるスカム除去樋２はチェーンブロック（スカム樋昇降手段）３によって槽 内水位の変動に応じた高さ調整を行うことができるようになっている。

【０００８】 また、前記処理槽１内の液面にはボート４が浮かせてあり、このボート４には 起立するガイドバー５，６が設けられている。 これらのガイドバー５，６は、前記処理槽１の上部中央に張設されたガイドロ ープ７を挟み込んでおり、このガイドロープ７に沿って前記ボート４を前記スカ ム除去樋２に向けて往復可能に直線移動させ得るようにしている。その移動手段 として、前記ボート４には牽引ロープ８が連繋され、この牽引ロープ８をスカム 除去樋２側に引き寄せることによって、前記ボート４を前記スカム除去樋２に向 けて移動させるようにしてある。

【０００９】 かかるボート４上におけるスカム除去樋２側の両側には左右一対の送風機９， １０が搭載してある。 ここで、前記送風機９，１０の送風方向は、前記スカム除去樋２側で処理槽１ 内の液面上に向いて該槽内液面上で扇状となるように設定されている。

【００１０】 また、前記処理槽１内には一側寄りに上澄液排出装置１１が配置されている。 なお、図中符号１２はスカム排出用ホース、１３は送風機９，１０の電源ケー ブルである。

【００１１】 次に動作について説明する。 処理槽１は汚水を受入れた状態で曝気工程・沈澱工程・放流工程を繰り返し行 うが、その沈澱工程においては、処理槽１内の水位変動に応じてスカム除去樋２ の高さ調整がチェーンブロック３によって行われる。この場合、前記スカム除去 樋２は、スカム越流堰２ｂが槽内液面付近で僅かに水没する高さに調整される。

【００１２】 このようなスカム除去樋２の高さ調整後に、送風機９，１０をそれぞれ運転す ると、該送風機９，１０からスカム除去樋２に向って槽内液面上に扇状の送風が 行われることにより、槽内液面上の左右に拡散していた浮遊スカムが前方（スカ ム除去樋２側）に押し流される。 そして、上述のような送風機９，１０の運転状態で、牽引ロープ８によりボー ト４をスカム除去樋２側に引き寄せると、前記ボート４上の送風機９，１０がス カム除去樋２に漸次接近してくる。 従って、処理槽１内の液面に拡散していた浮遊スカムは、前記ボート４の移動 による掻寄せと前記送風機９，１０から送風された扇状の風力とによる両方の作 用で、スカム除去樋２に向って漸次効率よく集められ、遂にはスカム除去樋２に 流入して系外に円滑に排出される。

【００１３】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、回分式活性汚泥処理を行う処理槽内の一端 側において、スカム除去樋を槽内水位の変動に応じた高さに調整し、この状態で の沈澱工程において、前記処理槽の他端側から一端側の前記スカム除去樋に向っ て送風機を運転状態で移動させることにより、その送風機からの送風力で、槽内 液面に拡散している浮遊スカムを漸次スカム除去樋に向けて押し流すので、前記 送風機は至近距離にある浮遊スカムだけを前方に押し流せばよく、このため、前 記送風機の消費動力は少なくて済み、ランニングコストの低減が図れるという効 果がある。 また、上述のようにスカム除去樋に向って移動する送風機が至近距離で浮遊ス カムを押し流すので、処理槽に覆蓋をする必要もなく、このため、設備費の低減 も図れるという効果もある。 さらには、前記送風機からの風力と自然界の風との併用とすることもできるの で、いつでも浮遊スカムをスカム除去樋に向って効率よく集積することができ、 上澄液排出装置の裏側に滞留している浮遊スカムであっても、これを風力で押し 流すことができるので、槽内液面に拡散していた浮遊スカムの集積排除を効率よ く円滑に行うことができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例による回分式活性汚泥処理
槽のスカム除去装置を示す縦断側面図である。

【図２】図１の平面図である。

【符号の説明】

１ 処理槽 ２ スカム除去樋 ９ 送風機 １０ 送風機

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 流入汚水を受入れて回分式活性汚泥処理
   を行う処理槽のスカム除去装置において、前記処理槽の
   一端側内部に高さ調整可能に配置されて該槽内液面上に
   浮上させるスカム除去樋と、前記処理槽内に装備され、
   該処理槽の他端側から一端側の前記スカム除去樋に向っ
   て槽内液面上を往復移動可能な送風機とから成ることを
   特徴とする回分式活性汚泥処理槽のスカム除去装置。