JPH0578502B2 - - Google Patents

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JPH0578502B2
JPH0578502B2 JP10448285A JP10448285A JPH0578502B2 JP H0578502 B2 JPH0578502 B2 JP H0578502B2 JP 10448285 A JP10448285 A JP 10448285A JP 10448285 A JP10448285 A JP 10448285A JP H0578502 B2 JPH0578502 B2 JP H0578502B2
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speed
winding
wire
wire rod
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Mitsuhiko Nakamura
Yoshiaki Uchinuma
Sadamoto Watanabe
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Hitachi Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、線材を一定の張力で巻取る巻線装置
に係り、特に巻線装置の起動・停止等に際して、
その加減速時に生ずる慣性張力による有害な張力
変動を極力抑制し、常に好適な張力制御を行ない
得るようにした慣性張力補償巻線装置に関するも
のである。
〔発明の背景〕
従来の巻線装置において、巻線装置の起動・停
止に際しての慣性による張力変動を軽減する装置
は、例えば特開昭56−108662号公報に示されてい
る。ここに示された張力制御装置は、巻線装置の
加減速時の立上り速度、立下り速度をランプ関数
による材料速度基準電圧にしたがつて制御するこ
とにより、線材の張力変動を軽減させるものであ
る。
しかしながら、このようなランプ関数にしたが
つて線材の立上り、立下り速度を制御する手段で
は、巻線装置の起動・停止に際して、不連続なス
テツプ波形状の加減速度(加減速度はランプ関数
を微分したもので、この微分値はステツプ状の波
形特性を有する。)が発生するために、線材は慣
性の作用力を受け異常な張力変動が生じ易く、線
材の張力変動の抑制手段としては充分なものでは
なかつた。なお、従来はこのような欠点を幾分で
も解消しようとするために、ランプ関数による立
上り、立下り時定数を長くして張力変動を軽減し
ているが、この方法によれば起動・停止に際して
の動作時間が長くなり、作業上の能率が低下する
問題を有していた。
また、巻線中の張力変動を軽減する装置として
は、特開昭59−102765号公報に示すものがある。
この装置は繰出機と線材駆動用のキヤプスタンと
の間及び巻取機と前記キヤプスタンの間にダンサ
ローラを設け、このダンサローラの位置変動から
巻線中の線材の張力状態を検出して線材の張力変
動を軽減するものである。
しかしながら、この手段によれば、慣性張力に
よる張力変動を一部軽減することができるが、ダ
ンサローラの揺動時に生じる加減速度が前例と同
様にステツプ波形状に印加されるので、加減速度
に慣性張力の影響を受けて張力変動が生じ、線材
の張力変動を充分に抑制できなかつた。更に、線
材の張力を一定に保持する装置としては、特開昭
59−108666号公報に示すものがある。この装置
は、線材の走行速度と繰出機の軸速度を検出器を
介して検出し、両者の速度差に応じてトルク調整
用ポテンシヨメータを電動操作機構を介して回転
させ、このようにして線材の走行速度を一定に保
つことにより、線材の張力を一定に保持するもの
である。
しかしながら、この手段では、実際に線材に張
力変動が加わり線材の走行速度と繰出機の軸速と
の両者に差が生じた後に、繰出機のトルクを調整
して張力制御を行なうものであるから、精密な張
力制御は困難であつた。そして、本例の場合にも
巻線の起動・停止時には、ランプ関数による立上
り、立下り速度に基づいて加減速制御を行なうた
めに、前例同様に加減速時に張力変動が発生し易
い問題を有しており、更に制御系内部に電動操作
機構のような機械的動作部を有しているので、こ
の機械的動作部が制御上のむだ時間要素となり、
繰出機等の追従動作が困難となり線材に大きな異
常張力が生じる問題を有していた。
〔発明の目的〕
本発明は、上記従来の欠点を解消するためにな
されたものであり、その目的は、巻線装置の起
動・停止等に際しての加減速時に生ずる慣性張力
の影響による有害な張力変動の発生を極力抑制
し、常に安定した張力を保持して高精度の張力制
御による巻線作業を行ない得ると共に、巻線の起
動・停止動作を早くして作業性の良好な慣性張力
補償巻線装置を提供することにある。
〔発明の概要〕
第1の発明は、上記目的を達成するために、線
材を回転機構を介して巻取る巻取機と、この巻取
機の回転に追従回転して線材を繰出す繰出機とを
有する巻線装置において、前記繰出機と巻取機の
間の線材走行ラインに、線材の巻取側に張力を付
加する張力付加手段と、線材の繰出側の張力を巻
取側の張力より小さくして両者に張力差を与える
張力差付加手段を設け、更にこの巻線装置の駆動
制御系には、線材の加減速度が滑らかな連続曲線
となるように立上り速度を制御して前記巻取機に
この速度制御パターンに基づく速度指令を与える
速度指令演算部と、前記速度指令演算部の速度指
令に基づく加減速度より慣性張力を演算する慣性
張力演算部と、任意の張力値を設定して設定張力
信号を発生する張力設定器と、前記慣性張力演算
部で演算された慣性張力信号を反転して該反転出
力信号を前記張力設定信号に付加して前記張力付
加手段を駆動制御する張力付加信号演算部とを備
えたことを特徴とするものである。
上記構成によれば、巻線装置に起動指令或いは
停止指令を与えると、巻取られる線材の走行速度
はその加減速度が連続かつ滑らかな曲線となるよ
うに、速度指令演算部及び巻取機を介して制御さ
れ、同時に慣性張力演算部により線材の加減速量
に比例した慣性張力が演算され、この慣性張力信
号と反対の極性を有する反転出力信号が張力付加
信号演算部を介して張力付加手段に送られ、張力
付加手段はこの反転出力に基づいて慣性張力を打
消す方向に駆動制御される。このようにして、加
速時或いは減速時に生ずる慣性張力による張力増
加分或いは張力減少分を相殺することになり、線
材は一定の張力を保持しつつ所要速度まで加速さ
れ、或いは停止に向けて減速される。
また線材走行ラインに設けた張力差付加手段に
より線材の繰出側の張力を小さく(低張力)し、
巻取側の張力を大きく(高張力)設定することに
より、繰出機に乱巻状態で巻かれた線材でも高張
力で巻取ることができる。即ち、繰出側の線材の
張力は低張力状態を維持されて繰出されるから、
繰出側の線材が強い力で巻取側に引き出されるこ
とがないために、繰出機に巻かれた線材の上層側
が下層側に食い込んだりすることなくスムーズに
繰出され、他方、巻取側の線材は一定の高張力状
態を維持するために、張力変動を抑制しつつ多層
整列巻きを行なうことができる。
更に第2の発明は、前記第1の発明の構成要素
に加えて、繰出機と巻取機の間の線材走行ライン
に、前記線材の繰出側の速度を検出する速度検出
器と、前記線材の巻取側の速度を検出する速度検
出器と、前記繰出側と前記巻取側の速度差を比較
演算する速度差演算部と、この速度差が一定にな
るように繰出機に追従速度指令を与える追従速度
演算部と、前記速度差を微分しこの微分信号を上
記追従速度指令の起動信号として上記繰出機に与
える微分回路とを備えたことを特徴とするもので
ある。
斯る手段によれば、巻線装置の駆動時に線材が
走行を開始すると同時に、巻取機側の走行速度が
速度検出器を介して検出され、この速度信号が速
度差演算部を通して微分回路で微分され、この微
分信号が追従速度演算部を介して繰出機に起動信
号として与えられるので、繰出機の立上り動作が
早くなり、繰出機は巻取機が始動すると直ちに追
従回転することができる。
また、線材の巻取中において、巻取側の線材走
行速度と繰出側の線材走行速度に変動が生じた場
合には、巻取側と繰出側に設けた速度検出器及び
速度差演算部を介して線材走行速度の変動が検知
され、この速度変動に応じて追従速度演算部が巻
取側と繰出側の線材の走行速度差が一定になるよ
うに繰出機に追従速度指令を送り、この走行速度
差が一定に保たれる。そして、この場合にも速度
差信号が微分回路で微分され、この微分信号が追
従速度開始時の起動信号として繰出機に送られる
ので、繰出機は直ちに巻取機側の変動に応じて追
従回転する。
従つて、巻線装置の起動時及び巻線中の線材走
行速度の変動時に、巻取機に追従回転する繰出機
の動作遅れを防止でき、動作遅れから生ずる線材
の異常張力の発生を防止することができる。
〔発明の実施例〕
第1図に基づき本発明の一実施例を説明する。
同図において、1は張力制御の対象となる線
材、2は線材1をコイル状に巻付けた繰出ドラ
ム、3は繰出ドラム2を駆動させる直流電動機、
4は繰出側の線材1を走行可能に支持するライン
プーリ、5はラインプーリ4の回転数から繰出側
の線材1の走行速度を検出する速度検出器であ
る。
6は、ばね、重り等の付勢手段により一定方向
(本例では下向き方向)に付勢され線材1の張力
変動に応じて揺動するように設けられがダンサロ
ーラで、このダンサローラ6は繰出ドラム2と二
輪シーブ8の間に設置されている。
7はダンサローラ6の揺動位置を検出するポテ
ンシヨメータで、この揺動位置の検出値は電気信
号に変換されて後述する巻線張力制御系の帰還信
号演算部22に送られる。
8は繰出ドラム2と巻取ドラム13との間の線
材走行ラインの間に設けた二輪シーブで、二輪シ
ーブ8には線材1が繰出側から巻取側に向けて走
行するように巻付けられており、二輪シーブ8に
後述する磁性粉体式クラツチ9等を介して巻取回
転方向と逆方向の負荷トルクを与えると、巻取側
の線材1に張力が付加されると共に、繰出側の張
力が小さくなり、巻取側と繰出側の線材1に張力
差が生ずるように設定されている。
9は二輪シーブ8の駆動軸端に位置して二輪シ
ーブ8に負荷トルクを与える磁性粉体式クラツ
チ、10は磁性粉体式クラツチ9の入力軸に駆動
トルクを与える直流電動機、11は線材1の巻取
側の張力を検出する張力検出器、12′は巻取側
の線材走行ラインに摺動可能に配設したラインプ
ーリ、12はラインプーリ12′の回転数から巻
取側の線材走行速度を検出する速度検出器、13
は線材1をコイル状に巻取る巻取ドラム、14は
巻取ドラム13を駆動する直流電動機である。
次に、この巻線装置の駆動制御系について説明
する。
15は巻線装置の巻取側、繰出側に起動・停止
指令及び線材1の最高速度指令を与える速度設定
器である。
16は速度検出器12及び速度設定器15の出
力信号を入力して線材の加減速度の曲線が任意の
カム曲線に相当した連続曲線となるように速度制
御パターンを発生する速度指令演算部で、この速
度制御パターンに基づく加減速度の指令電圧をサ
ーボ増巾器17を介して巻取側の直流電動機14
に与えるものである。本実施例では、この速度指
令演算部16はマイクロコンピユータにより構成
されており、記憶領域に任意のカム曲線を発生さ
せる計算式が記憶されており、速度設定器15で
線材走行速度が設定されると、この線材走行速度
の設定値に応じたカム曲線を計算式に基づいて割
出し、このカム曲線に基づいた立上り加速度を速
度指令電圧に変えてサーボ増巾器17を介して直
流電動機14に与えている。
18は線材1に所定の張力を設定するし張力設
定器、19は速度指令演算部16の出力信号を微
分することにより慣性張力を演算する慣性張力演
算部、20は張力検出器11と張力設定器18と
慣性張力演算部19の出力信号を入力して、張力
検出器11で検出した張力が張力設定器18で設
定した張力と等しくなるように出力信号を発生す
る張力付加信号演算部、21は張力付加信号演算
部20の出力信号より磁性粉体式クラツチ9の伝
達トルク量を制御する増巾器である。
22はダンサローラ6の揺動を軽減する比例要
素及び積分要素を有する帰還信号演算部で、ポテ
ンシヨメータ7の出力信号を入力し、追従速度演
算部25にダンサローラ6の揺動を軽減する出力
信号を送るものである。
23は繰出側の速度検出器5と巻取側の速度検
出器12との出力信号を入力して両者の速度差を
演算し出力する速度差演算部、24は微分要素及
び比例要素を有し速度差演算部23の速度差信号
を微分して出力する微分回路、25は帰還信号演
算部22の出力信号と、速度指令演算部16の出
力信号と、微分回路24の出力信号の各々を入力
して繰出側の直流電動機3に追従速度指令を送る
追従速度指令演算部であり、この追従速度指令演
算部25は巻線時の線材1の張力変動が最小とな
るように繰出側の直流電動機3を追従制御するも
のである。
26は追従速度指令演算部25の出力信号によ
り直流電動機3を駆動制御するサーボ増巾器であ
る。
次に本実施例の作用を第1図及び第2図に基づ
き説明する。
初期段取として、繰出ドラム2にコイル状に巻
かれた線材1を、ラインプーリ4、ダンサローラ
6、二輪シーブ8、張力検出器11等を介して巻
取ドラム13にコイル状に巻取可能に連結する。
次いで、磁性粉体式クラツチ9に連結された誘
導電動機10を巻取回転方向の逆方向に起動さ
せ、張力設定器18により張力設定指令を与え
る。張力設定器18の出力により増巾器21を介
し、磁性粉体式クラツチ9の伝達トルク量を制御
し、二輪シーブ8を介して線材1の巻取側に張力
Fを、繰出側に張力F2を発生させる。巻取側の
張力Fと繰出側の張力F2は、二輪シーブ8が巻
取回転方向と逆方向に駆動するために、巻取側の
張力F(張力Fは張力F2にシーブ付加張力F3が加
えられたもの)が繰出側の張力F2より大きくな
る。張力検出器11が巻取側の張力Fを検出し、
張力付加信号演算部20により張力設定器18で
設定した張力と等しくなるように演算し、この出
力信号を磁性粉体式クラツチ9側に送つて二輪シ
ーブ8を駆動制御し、巻取側の張力Fを設定張力
となるように制御する。この初期段取において、
張力付加信号演算部20は、二輪シーブ8を駆動
する磁性粉体式クラツチ9の伝達トルクが滑らか
に上昇するように制御するので、巻線側には第2
図の初期張力設定期間に示すように、ゆるやかに
上昇して所定の張力値に達する設定張力Fが発生
する。
線材1に与えられる巻取側の張力Fを式により
説明する。磁性粉体式クラツチ9により与えられ
る二輪シーブ8の付加張力F3は、 F3=T3/R3 ……(1) T3:二輪シーブ8により与えられるトルク R3:二輪シーブ8の半径 となる。
ダンサローラ6等によつて付加される繰出側張
力をF2とすると、Amonton,Eytelweinの法則
より、 F/F2≦e〓〓 ……(2) μ:二輪シーブ8の摩擦抵抗 θ:二輪シーブ8への線材1の巻付角度 e:自然対数の底 が成立するので、二輪シーブ8に線材1を滑りが
生じないように巻き付ければ、巻取側張力Fは、 F=F3+F2 ……(3) となる。
(1)、(2)、(3)式より明らかなように、磁性粉体式
クラツチ9によつて二輪シーブ8のトルクを制御
すれば、線材1の張力Fを制御することが可能で
あり、更に繰出側張力F2と巻取側張力Fとに張
力差を与えることができる。
次に、本巻線装置の起動時の動作を説明する。
速度設定器15で線材1の走行速度を設定し、
起動スイツチを入れると、速度指令演算部16
は、線材1の加速度αMが任意のカム曲線に相当
した連続曲線となるように、線材1の立上り速度
曲線vMをパターン化し、この立上り速度vMに相
当した速度指令電圧をサーボ増巾器17を介して
巻取側の直流電動機14に送る。直流電動機14
は、この立上り速度vMにしたがつて巻取ドラム
13を回転させ、ライン中の線材1の加速度が加
速曲線αMに基づいて連続的にかつ滑らかになる
ように駆動制御される。
速度指令演算部16より速度指令電圧が出力さ
れ、線材1が巻取ドラム13側に走行を開始する
と、追従速度演算部25に速度指令演算部16の
速度指令電圧が入力される。また、巻取側の速度
検出器12が線材1の走行速度を検出し、この巻
取側の速度検出信号が速度差演算部23を通り、
微分回路24で微分されて上記追従速度演算部2
5に入力される。この微分信号は繰出側の直流電
動機3の起動信号として与えられるので、追従速
度信号の立上り動作が早くなり、追従側となる繰
出側の直流電動機3を直ちに駆動させる。このよ
うにして、起動する際に追従側となる直流電動機
3の動作遅れを防止でき、動作遅れから生ずる線
材1の異常張力の発生を防止すると共に、起動時
の異常張力によつて受けるダンサローラ6の負担
を軽くすることができ、ダンサローラ6の可動範
囲を小さく抑制することができる。
ダンサローラ6は揺動することにより、線材1
に発生する比較的小さい張力変動を吸収する。
また、ダンサローラ6の揺動量はポテンシヨメ
ータ7、帰還信号演算部22を通して追従速度演
算部25に帰還され、ダンサローラ6の揺動量を
小さくするように、即ち線材1の張力変動を抑え
るように追従速度演算部25から繰出側のサーボ
増巾器26に追従速度指令を出力し、繰出側の直
流電動機3の回転を調整する。
ところで、巻線装置の起動時に、巻取ドラム1
3が速度指令演算部16の速度指令電圧に基づい
て回転を開始すると、ラインプーリ4や二輪シー
ブ8等の慣性モーメントを有する要素が回転す
る。この場合に慣性モーメント要素は角速度を必
要とし、この回転トルクを線材1が与えるが、こ
れによつて慣性の作用力が働き、線材1に慣性張
力ΔFが発生する。
この慣性張力ΔFは、巻線起動時の加速度αM
比例するものである。慣性張力ΔFが線材1に加
わると、その分だけ線材1の張力が増大し、張力
変動が大きくなるが、このような事態は次のよう
な作用にて防止される。
即ち、巻線起動時に、線材1が速度指令演算部
16で設定された速度曲線vMにしたがつて立上
り走行すると、線材1の速度vMが慣性張力演算
部19により微分演算される。この線材1の速度
vMの微分値から、第2図に示すように線材1の
加速度αMが求められ、更には線材1の加速度αM
に比例する慣性張力ΔFが求められる。この慣性
張力ΔFの出力信号は張力付加信号演算部20に
入力されると、張力付加信号演算部20がこの慣
性張力出力信号を反転し、慣性張力ΔFを相殺さ
せる反転出力を発生し、この反転出力が磁性粉体
式クラツチ9に与えられる。
このようにして、線材1の巻取側に磁性粉体式
クラツチ9及び二輪シーブ8を介して慣性張力
ΔFを相殺するような付加張力ΔF′が与えられ、
線材1の張力変動を抑え、線材1の巻取側張力F
を常に安定した状態に保持する。これを式により
説明すると、慣性張力ΔFは、 ΔF=ΣJsω/・/RM=ΣJsαM/RM 2 ……(4) ここで ω:二輪シーブ8等の角加速度 ΣJs:二輪シーブ8等の慣性モーメント
の和 RM:二輪シーブ8等の慣性要素の半径 となる。上記(4)式から明らかなように、慣性張力
ΔFは線材1の加速度αMに比例する。
従つて、線材1に不連続な加速度がかからない
ようにすると共に、張力付加信号演算部20で(4)
式に基づいてこの慣性張力ΔFを打消すような付
加張力制御を行なえば、慣性張力ΔFを補償し張
力変動を最小限に抑えて安定した巻線起動を行な
うことができる。
以上、巻線装置の起動時の動作について説明し
たが、停止に際しての線材1の減速時(負の加速
時)にも、同様の慣性補償作用が働く。この場合
には、第2図に示すように慣性の作用力による慣
性張力ΔF及びこれを相殺する付加張力ΔF′が加
速時の場合と極性が反対になるだけである。
また、巻線中において巻線を続行していくと、
巻取ドラム13の巻取線材量が増加し、逆に繰出
ドラム2の線材量が減少し、線材1の繰出径、巻
取径や駆動トルクが変化して張力変動が生じ易い
が、この場合にも、次のようにして線材1の張力
変動が抑制される。
即ち、巻取側の線材速度と繰出側の線材速度の
速度差を速度差演算部23により演算し、この速
度差が設定値よりも大きくなると、この速度差に
応じて追従速度演算部25を介して繰出側の直流
電動機3の回転を調整することにより、巻取側と
繰出側の線材速度差を一定に保持し、繰出径、巻
取径の変化に対応することができる。
従つて、この場合にも線材1の張力変動を抑え
安定した巻線動作が行なうことができる。
以上、本実施例によれば、巻線装置の起動・停
止動作に際して及び巻線中の全工程において、線
材1の張力変動を極力抑制することが可能とな
り、高精度の張力制御による巻線作業を行なうこ
とができる。
また、巻線作業時の線材1の加速度αMを、い
わゆるカム曲線に類似する滑らかな連続曲線とし
ているので、起動・停止動作に際しての立上り・
立下り速度曲線vMの加減速時定数を短縮するこ
とができ、線材1の定常速度或いは停止に至るま
での時間も短縮化して、作業性の向上を図ること
ができる。
更に、二輪シーブ8等の張力付加機構により、
線材1の繰出側と巻取側に張力差を付与すること
により、繰出側の張力を小さく設定しているの
で、繰出ドラムにコイル状に巻かれた線材の上層
側が下層側に食い込むことなく円滑に繰り出さ
れ、他方巻取側の張力を大きく設定しているの
で、巻取側では高張力を維持して線材を巻取るこ
とができる。従つて、繰出ドラムに乱巻状態に巻
かれた線材でも、巻取側では、張力変動を抑制し
つつ高張力による精度のよい多層整列巻きを行な
うことができる。
なお、本実施例では、張力付加機構として二輪
シーブを用いたが、他の張力付加機構を利用して
もよく、磁性粉体式クラツチについても、制動エ
ネルギを与える他の要素を利用しても同様の作
用・効果を得られる。
更に、ダンサローラ6をばね、重り等により付
勢するが、ダンサローラをリニアモータ等の推力
を付加する手段により付勢してもよい。
〔発明の効果〕
第1の発明によれば、線材の加減速度を滑らか
に連続曲線的に制御し、且つ慣性張力を補償する
ことができるので、巻線装置の起動・停止に際し
ての線材の加減速時においても張力を一定に保持
して、高精度の張力制御による巻線作業を行ない
得ると共に、線材の繰出側の張力と巻取側の張力
とに張力差を与えることにより、繰出側に乱巻状
に巻かれた線材についても巻取側に高張力制御に
よる多層整列巻きを行なうことができ、しかも起
動・停止の動作時間を短縮して作業性の向上を図
ることができる。
更に、第2の発明によれば、上記効果に加え
て、巻線装置の線材走行速度を常に一定に保持し
て、巻線中の線材の張力を一定に保つよう張力制
御することができ、しかも巻取機に追従回転する
繰出機の動作遅れを確実に防止できるので、巻線
作業の全工程において極めて高精度の巻取作業を
行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す構成図、第2
図は巻線装置の巻取速度、慣性張力の発生状態、
張力付加手段の付加張力の発生状態及び巻取側の
張力状態を示す説明図である。 1……線材、2……繰出機(繰出ドラム)、5
……速度検出器、6……ダンサローラ、7……ポ
テンシヨメータ、8……張力付加手段、張力差付
加手段(二輪シーブ)、9……磁性粉体式クラツ
チ、10……直流電動機、12……速度検出器、
13……巻取機(巻取ドラム)、16……速度指
令演算部、18……張力設定器、19……慣性張
力演算部、20……張力付加信号演算部、23…
…速度差演算部、25……追従速度演算部。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 線材を回転機構を介して巻取る巻取機と、こ
    の巻取機の回転に追従回転して線材を繰出す繰出
    機とを有する巻線装置において、前記繰出機と前
    記巻取機との間の線材走行ラインに、線材の巻取
    側に張力を付加する張力付加手段と、線材の繰出
    側の張力を巻取側の張力より小さくして両者に張
    力差を与える張力差付加手段とを設け、更にこの
    巻線装置の駆動制御系には、前記線材の加減速度
    が滑らかな連続曲線となるように立上り速度を制
    御して前記巻取機にこの速度制御パターンに基づ
    く速度指令を与える速度指令演算部と、前記速度
    指令演算部の速度指令に基づく加減速度より慣性
    張力を演算する慣性張力演算部と、任意の張力値
    を設定して設定張力信号を発生する張力設定器
    と、前記慣性張力演算部により演算された慣性張
    力信号を反転し該反転出力信号を前記設定張力信
    号に付加して前記張力付加手段を駆動制御する張
    力付加信号演算部とを備えたことを特徴とする慣
    性張力補償巻線装置。 2 特許請求の範囲第1項において、前記張力付
    加手段と前記張力差付加手段は、前記繰出機と前
    記巻取機との線材走行ラインに設けたシーブ機構
    により構成すると共に、該シーブ機構の駆動軸に
    直流電動機の回転を伝達する磁性粉体式クラツチ
    を設け、該磁性粉体式クラツチに前記張力付加信
    号演算部の張力付加信号を与えて前記シーブ機構
    を駆動制御する慣性張力補償巻線装置。 3 特許請求の範囲第1項又は第2項において、
    前記繰出機と前記巻取機との間の線材走行ライン
    に線材の張力変動により揺動するダンサローラを
    設けると共に、このダンサローラの位置変動を検
    出するポテンシヨメータと、この検出信号を演算
    して前記繰出機に張力変動を抑制する追従速度指
    令を送る追従速度演算部とを備えてなる慣性張力
    補償巻線装置。 4 線材を回転機構を介して巻取る巻取機と、こ
    の巻取機の回転に追従回転して線材を繰出す繰出
    機とを有する巻線装置において、前記繰出機と前
    記巻取機との間の線材走行ラインに、線材の巻取
    側に張力を付加する張力付加手段と、線材の繰出
    側の張力を巻取側の張力より小さくして両者に張
    力差を与える張力差付加手段とを設け、更にこの
    巻線装置の駆動制御系には、前記線材の加減速度
    が滑らかな連続曲線になるように立上り速度を制
    御して前記巻取機にこの速度制御パターンに基づ
    く速度指令を与える速度指令演算部と、前記速度
    指令演算部の速度指令に基づく加減速度より慣性
    張力を演算する慣性張力演算部と、任意の張力値
    を設定して設定張力信号を発生する張力設定器
    と、前記慣性張力演算部により演算された慣性張
    力信号を反転して該反転出力信号を前記設定張力
    信号に付加して前記張力付加手段を駆動制御する
    張力付加信号演算部と、前記線材の繰出側の速度
    を検出する速度検出器と、前記線材の巻取側の速
    度を検出する速度検出器と、前記繰出側と前記巻
    取側の速度差を比較演算する速度差演算部と、こ
    の速度差が一定になるように繰出機に追従速度指
    令を与える追従速度演算部と、前記速度差を微分
    しこの微分信号を上記追従速度指令の起動信号と
    して上記繰出機に与える微分回路とを備えたこと
    を特徴とする慣性張力補償巻線装置。
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