JPH0576530U - 排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、温度分布が均一であると共に、電
気の短絡の虞がない排気浄化用電気発熱式金属担体触媒
コンバータを提供することを目的とする。 【構成】 Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金の金属薄鋼板からなる
ハニカム状金属担体２、平板７と波板８とを交互に積層
して、平板７と波板８とが層状に積み重なった多層体状
に形成し、該ハニカム状金属担体２の層状の平板７と波
板８との両側端縁全てを覆い、それぞれの平板７と波板
８とに電気的に固着した電極板９，９を介してこのハニ
カム状金属担体２の排気上流側近傍の外周面に一対の電
極１０ａ，１０ｂを対称位置に設置し、次いで、該ハニ
カム状金属担体２を、排気上流側をくりぬいたハニカム
状セラミック担体３に嵌装して触媒本体４を形成し、該
触媒本体４を、緩衝材５を介して金属製触媒ケ−シング
６に装着した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関の排気浄化用触媒コンバ−タに関し、特に自動車用触媒コ ンバ−タとして有効に利用されるものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、特に自動車の排気については、環境保護の要請から、その規制が強まっ ている。

【０００３】 そして、自動車排気の浄化は、通常貴金属触媒を用いた触媒コンバ−タによっ て行なわれる。 ところが、この種の触媒コンバ−タは、排気中の有害物質を酸化反応により浄 化しているので、ある一定の温度以上にならないと、効率よく有害物質を浄化で きないという問題を有している。

【０００４】 そのため、排気温度が低い自動車の始動時においては、排気浄化が完全でない という問題があった。 そこで、あらかじめ触媒コンバ−タを電気加熱させておき、自動車の始動時か ら排気浄化を良好しようという試みがなされている。

【０００５】 従来、この種の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タは、特表平３− ５００９１１号公報に開示されているようなものが知られている。 この排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タは、高熱耐久性が良好なＦ ｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金製金属薄鋼板からなる平板と波板とを積層した積層ハニカム 体をコア体とし、このコア体に通電して発熱させる構造となっている。

【０００６】 上記Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金は、そもそもヒータ線として開発されたものなので 電気抵抗が高く、通電により発熱する。 この種の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タを、図４、図５および 図６に詳示した図面に基いて説明する。

【０００７】 図４および図５から明らかなように、この排気浄化用電気発熱式金属担体触媒 コンバ−タ１００は、Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金製金属薄鋼板の平板１０１と波板１ ０２（図６参照) とを積層し、連続して形成された積層ハニカム体１０３を、絶 縁材１０４を介して折りたたむんで、全体として楕円筒形のハニカム状金属担体 １０５を形成し、その両端に電極１０６を設けて通電することにより、このハニ カム状金属担体１０５を発熱させる構造となっている。

【０００８】 そして、このハニカム状金属担体１０５は、図４および図５に示すように、熱 膨張性無機質綿からなるインタラムマット（商品名）１０７で被覆されて、金属 製触媒ケ−シング１０８に装着されている。

【０００９】 なお、積層ハニカム体１０３の両端部は、図６に示すように、波板１０２は押 しつぶされて複数の平板１０１が圧着積層された圧着積層部１０９となっており 、そしてこの圧着積層部１０９に電極１０６が溶接されている。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上述のように構成された排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ −タ１００は、以下の問題点を有していた。

【００１１】 一つには、該排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ１００は、一続き の積層ハニカム体１０３を折りたたんでハニカム状金属担体１０５を形成すると 共に、その両端部を、波板１０２を押しつぶして複数の平板１０１が圧着積層さ れた圧着積層部１０９とし、さらにこの圧着積層部１０９に電極１０６を設けて 通電する構成となっているので、ハニカム状部と、圧着積層部１０９との電気抵 抗に差異があることと、電極溶接部の抵抗が高いことから、この圧着積層部１０ ９が特に発熱して、全体の温度分布が均一にならないという欠点がある。

【００１２】 また、一つには、該排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ１００は、 上述のようにインタラムマット（商品名）１０７で被覆されて、金属製触媒ケ− シング１０８に装着されているので、経時にともないこのインタラムマット（商 品名）１０７が飛散して、積層ハニカム体１０３と金属製触媒ケ−シング１０８ とが接触し、電気が短絡する虞がある。

【００１３】 上述の問題は、自動車用に限らず内燃機関のこの種の触媒コンバ−タ全てに言 えることである。 本考案は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、温度分布 が均一であると共に、電気の短絡の虞がない排気浄化用電気発熱式金属担体触媒 コンバ−タを提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

本考案の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タは、Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ 合金の金属薄鋼板からなるハニカム状金属担体を用い、該ハニカム状金属担体に 通電することにより発熱させるように構成した内燃機関の排気浄化用電気発熱式 金属担体触媒コンバ−タにおいて、上記ハニカム状金属担体を、平板と波板とを 交互に積層して、平板と波板とが層状に積み重なった多層体状に形成し、該ハニ カム状金属担体の層状の平板と波板との両側端縁全てを覆い、それぞれの平板と 波板とに電気的に固着した電極板を介してこのハニカム状金属担体の排気上流側 近傍の外周面に一対の電極を対称位置に設置し、次いで、該ハニカム状金属担体 を、排気上流側をくりぬいたハニカム状セラミック担体に嵌装して触媒本体を形 成し、該触媒本体を、緩衝材を介して金属製触媒ケ−シングに装着してなるもの である。

【００１５】

【作用】

内燃機関の始動時に、本考案の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ に通電すると、ハニカム状金属担体が発熱し、触媒活性を高めるので、従来は触 媒コンバ−タが昇温する間は、有害ガスの浄化が不十分であったのに対し、この 排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タは、速やかに有害ガスの浄化を行 うことができる。

【００１６】 そして、上記発熱に際して、本考案の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コン バ−タは、平板と波板とがそれぞれ電極板に電気的に固着しているので、従来に 比べて局部的な発熱が可及的に防止されて温度分布が均一化される。また、ハニ カム状金属担体が、ハニカム状セラミック担体に嵌装されているので、電気が短 絡する虞がない。

【００１７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１〜図３は、本考案を自動車用触媒コンバ−タに適用した一実施例を示す。

【００１８】 図１に示すように、この排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ１は、 触媒本体４と、この触媒本体４を緩衝材５を介して装着している金属製触媒ケ− シング６とからなる。

【００１９】 さらに、この触媒本体４は、排気上流側をくりぬいたハニカム状セラミック担 体３と、このセラミック担体３に嵌装したハニカム状金属担体２と、この金属担 体２に通電する一対の電極１０ａ，１０ｂ（図２参照）とからなっている。

【００２０】 上記ハニカム状金属担体２は、図２に示すように、金属薄鋼板製の平板７と波 板８とを交互に積層して、平板７と波板８とが層状に積み重なった多層体状に形 成されている。さらに、この層状に積み重なった平板７と波板８との両側端縁に は、それぞれの平板７と波板８とに電気が導通するように、これら側端縁全てを 覆って電極板９，９が、ロー付けにより電気的に固着されている。

【００２１】 上記平板７と波板８とは、Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金の金属薄鋼板からなり、本実 施例では、20％Ｃｒ−５％Ａｌのステンレス鋼で板厚50μｍの圧延材が用いられ ている。この材料は、ヒータ線にも利用されるもので耐熱性が良好であると共に 比較的電気抵抗が高く、通電により発熱する性質を有する。

【００２２】 さらに、このように構成されたハニカム状金属担体２の排気上流側近傍の両電 極板９，９には、これらの外周面の対称位置に一対の電極１０ａ，１０ｂが、設 置されている。そして、一方の電極１０ａはバッテリーに接続され他方の電極１ ０ｂは接地される。

【００２３】 なお、このハニカム状金属担体２の電極板９，９を除く全表面には、貴金属か らなる触媒成分が固着されている。 上記ハニカム状セラミック担体３は、図３に示すように、外周側に肉厚部３ａ を有し、内側がハニカム状部３ｂとなっているセラミック製の筒体で、この排気 上流側は、上記ハニカム状金属担体２が嵌装されるようにくりぬかれている。さ らに、この排気上流側の肉厚部３ａには、上記一対の電極１０ａ，１０ｂが貫通 する二ケの切り欠き部３ｃ，３ｃが、形成されている。

【００２４】 このハニカム状セラミック担体３のハニカム状部３ｂの全表面にも、貴金属か らなる触媒成分が固着されている。 このように構成されたハニカム状セラミック担体３に、図２に示すように、セ ラミックファイバ１１，１１を介してハニカム状金属担体２を嵌装すると、該セ ラミック担体３の排気上流側で電極１０ａ，１０ｂが半径方向外方に突出した形 の触媒本体４が形成される。

【００２５】 ついで、触媒本体４を、緩衝材５を介して金属製触媒ケ−シング６に装着する と本実施例の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ１は完成する。 この装着方法を、装着部品の構成を説明しながら順を追って説明する。

【００２６】 図１および図２に示すように、上記金属製触媒ケ−シング６は、軸線方向中央 で、第１半割ケーシング６ａと第２半割ケーシング６ｂとに２分割されるように なっている。これら第１半割ケーシング６ａと第２半割ケーシング６ｂとは、対 称形状をしており、それぞれの排気上流側胴部には、電極１０ａ，１０ｂが貫通 する貫通孔１２ａ，１２ｂが設けられている。また、それぞれの側端縁には、相 互に合わせて溶接するためのツバ部６ｃ，６ｃ、６ｄ，６ｄが設けられている。

【００２７】 上記緩衝材５は、触媒本体４の両端の角部を覆う横断面Ｌ字状のリング状キャ ップ１３ａ，１３ｂと、このキャップ１３ａ，１３ｂとハニカム状セラミック担 体３の肉厚部３ａ，３ａとの間にリング状に詰められるワッシャー・ワイヤ・メ ッシュ１４ａ，１４ｂと、ハニカム状セラミック担体３の胴部外周と金属製触媒 ケ−シング６の内周とに詰められるステンレスメッシュ１５と、ステンレスメッ シュ１５の排気下流側に連設してステンレスメッシュ１５と同様に詰められるイ ンタラムマット（商品名）１６とからなる。

【００２８】 上記リング状キャップ１３ａ，１３ｂは、鋼材製であり、ワッシャー・ワイヤ ・メッシュ１４ａ，１４ｂは、ステンレス細線の筒状織布を丸めてドーナツ状に し、このものをプレスして目の詰んだリング状ワイヤ集積体に成形したものであ る。

【００２９】 上記インタラムマット（商品名）１６は、熱膨張性無機質綿からなり、触媒本 体４と金属製触媒ケーシング６との間を排気がバイパスするのを防止するもので ある。

【００３０】 なお、上記排気上流側のリング状キャップ１３ａとワッシャー・ワイヤ・メッ シュ１４ａ，１４ｂは、電極１０ａ，１０ｂが貫通する部分には切り欠きが設け られている。

【００３１】 そして、まず触媒本体４の両端の角部に、それぞれワッシャー・ワイヤ・メッ シュ１４ａ，１４ｂをあてがった上でリング状キャップ１３ａ，１３ｂを嵌合す る。

【００３２】 ついで、この触媒本体４に、その胴部においてステンレスメッシュ１５、およ び、インタラムマット（商品名）１６を巻いた後に、上記電極１０ａ、１０ｂが 、上記半割ケ−シング６ａ，６ｂのそれぞれの貫通孔１２ａ，１２ｂに貫通する ように，第１半割ケーシング６ａと第２半割ケーシング６ｂとを取りつける。そ して、これらのそれぞれのツバ部６ｃ，６ｃ、６ｄ，６ｄを、相互に溶接して、 この排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ１は完成する。

【００３３】 このように構成された本実施例の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ− タ１の作用を説明する。 自動車の始動時に、この排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ１に通 電すると、比較的電気抵抗が高いＦｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金からなるハニカム状金属 担体２は発熱する。

【００３４】 この発熱に伴って始動時の比較的低温の排気は、昇温し、触媒活性が高められ て、速やかに有害ガスの浄化を行うことができる。 始動時から時間が経過し、排気温度が高温になった後は、通電を切り通常の触 媒コンバ−タと同様に使用する。

【００３５】 そして、上記発熱に際して、本実施例の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コ ンバ−タ１は、平板７と波板８とがそれぞれ電極板９に電気的に固着しているの で、従来に比べて電極取付部の局部的な発熱が可及的に防止されて、ハニカム状 金属担体２の温度分布が均一化される。

【００３６】 また、ハニカム状金属担体２が、ハニカム状セラミック担体３に嵌装されてい るので、従来のように経時にともないインタラムマット（商品名）１６が飛散し て、ハニカム状金属担体２と金属製触媒ケ−シング３とが接触し、電気が短絡す るという虞がない。

【００３７】 以上は、特に好ましい実施例について述べたが、本考案は、上記実施例に限ら ず、請求の範囲を逸脱しない範囲で種々変形可能である。 上記実施例では、平板７と波板８とは同板厚の同材質の金属薄鋼板を用いたが 、それぞれの平板７と波板８との板厚、材質を変えて２電極板９，９間の抵抗を 一致させると、発熱量が同一となり、さらに好ましい。

【００３８】

【考案の効果】

本考案の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タは、上述のように構成 されているので、従来に比べて局部的な発熱が可及的に防止されて温度分布が均 一化される。

【００３９】 また、ハニカム状金属担体が、金属製触媒ケ−シングと接触し、電気が短絡す るという虞がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２のＢ−Ｂ断面に相当する本考案の一実施例
にかかる排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ
の軸方向断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面に相当する本考案の一実施例
にかかる排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ
の径方向断面図である。

【図３】図１に示す本考案の一実施例にかかる排気浄化
用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タのハニカム状セラ
ミック担体の斜視図である。

【図４】図５のＤ−Ｄ断面に相当する従来の触媒コンバ
−タの軸方向断面図である。

【図５】図４のＣ−Ｃ断面に相当する従来の触媒コンバ
−タの径方向断面図である。

【図６】図５のＥ部拡大図である。

【符号の説明】

１ 排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ ２ ハニカム状金属担体 ３ ハニカム状セラミック担体 ４ 触媒本体 ５ 緩衝材 ６ 金属製触媒ケ−シング ７ 平板 ８ 波板 ９ 電極板 １０ａ，１０ｂ 電極

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０１Ｎ 3/28 Ｕ ３１１ Ｃ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金の金属薄鋼板から
   なるハニカム状金属担体（２）を用い、該ハニカム状金
   属担体（２）に通電することにより発熱させるように構
   成した内燃機関の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コ
   ンバ−タ（１）において、 上記ハニカム状金属担体（２）を、平板（７）と波板
   （８）とを交互に積層して、平板（７）と波板（８）と
   が層状に積み重なった多層体状に形成し、 該ハニカム状金属担体（２）の層状の平板（７）と波板
   （８）との両側端縁全てを覆い、それぞれの平板（７）
   と波板（８）とに電気的に固着した電極板（９，９）を
   介してこのハニカム状金属担体（２）の排気上流側近傍
   の外周面に一対の電極（１０ａ，１０ｂ）を対称位置に
   設置し、 該ハニカム状金属担体（２）を、排気上流側をくりぬい
   たハニカム状セラミック担体（３）に嵌装して触媒本体
   （４）を形成し、 該触媒本体（４）を、緩衝材（５）を介して金属製触媒
   ケ−シング（６）に装着してなることを特徴とする内燃
   機関の排気浄化用電気発熱式金属担体触媒コンバ−タ。