JPH0576445U - 人工透析装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 透析中の低血圧を防止するため、除水量を連
続的、かつ非直線的に変更するよう制御し、さらにその
パターンを容易に設定することができるようにした人工
透析装置の提供。 【構成】 目標とする除水量を設定する手段と目標とす
る透析時間を設定する手段４とを備えた人工透析装置に
おいて、予め決められた透析時間に対応する除水量の連
続した変化パターンを外部装置より入力する手段５と、
その入力された複数個のパターンを記憶する記憶手段６
とを備え、そのパターンから必要なものを選択処理し、
選択されたパターンに従って連続的に除水量を制御９す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、除水量を連続的かつ正確に制御する除水制御システムを備えた人工 透析装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、血液透析技術の進歩に伴って高除水能透析膜を使用することにより短時 間で透析を行うことができるようになっている。また、β２ミクログロブリンに よる透析アミロイドーシスの問題もあり、高除水能透析膜の需要は益々増えてい る。従って、このような高除水能透析膜の機能を充分に発揮するために、除水を 正確に制御できる除水制御装置を備えた人工透析装置が必須の透析器具となって いる。

【０００３】 ところが、従来の人工透析装置では、除水量が透析時間に対して直線的に増加 するため、透析の経過に伴い血液中の尿素窒素成分などの易透析性物質が他の物 質より速く低下して血液中の浸透圧低下が細胞内に比べて速く進み、透析後期に おいては血液中への水分移行が抑制されるために透析低血圧が生じ、その結果目 標とする除水量に到達できないという問題が生じていた。

【０００４】 そこで、この問題を解決する手段として、図５に示すように、透析速度入力部 ２４をパターン記憶部２６を介して制御部２２に接続して成る外部機器によって 透析装置Ｄに接続した除水システム２１を制御することにより、透析時間に対し て階段状に除水速度を変更し、決められた透析時間間隔で除水速度を数種類設定 する手段が用いられている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、このシステムにおいては、個々の患者に最適なパターンを設定する ために、目標とする除水量と除水パターンを考慮し、各時間間隔ごとの除水速度 を算出することによりパターンを組み立てなければならないが、個々の患者毎に 最適とする除水パターンが異なり、さらには目標とする除水量は患者の理想体重 と透析前の体重差から決定されるため、透析ごとに除水量が変わり、そのつど再 計算しなければならず、非常に手間のかかる作業を必要としていた。

【０００６】 例えば、図６に示すように、目標とする除水量を３リットル、透析時間を５時 間とし、透析開始から２時間で目標とする除水量の６０％（１、８リットル）を 達成する場合、透析時間間隔を５段階に設定するようにした機器においては、図 ７に示すように除水速度を階段状に設定しなければならないが、透析開始から２ 時間でこの棒グラフの所定面積を除水量１、８リットルに一致させたうえで５時 間の総面積を目標とする除水量３リットルに一致させなければならないため、そ の各段階における除水速度設定には複雑な計算や試行錯誤を必要としていた。こ のため、透析中に患者の容態が急変して除水パターンや目標とする除水量を変更 したい場合にも短時間内で簡単に対応できないという問題点があった。

【０００７】 さらに、上述した透析低血圧の問題を解消するには、尿素窒素成分の低下によ る血液中の浸透圧変化と除水量の制御とを同期させる必要があるが、尿素窒素成 分の低下は非直線的に連続して生じるため、従来の除水速度を透析の経過時間ご とに段階的に変化させるように設定した除水パターンは、生体的に適合しておら ず、透析後期における低血圧の発生は依然として解消されていない。

【０００８】 そこで、本考案は、透析中の低血圧を防止するため、除水量を連続的、かつ非 直線的に変更するよう制御し、さらにそのパターンを容易に設定することができ るようにした人工透析装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案の課題を解決するために、本考案の人工透析装置は、目標とする除水量 を設定する手段と目標とする透析時間を設定する手段とを備えた人工透析装置に おいて、予め決められた透析時間に対応する除水量の連続した変化パターンを外 部装置より入力する手段と、その入力された複数個のパターンを記憶する記憶手 段とを備え、そのパターンから必要なものを選択処理し、選択されたパターンに 従って連続的に除水量を制御するよう構成してある。

【００１０】

【作用】

本考案によれば、透析の除水量決定の際に、人工透析装置に対して予め決めら れた時間に対応する除水量の変化パターンを外部装置より入力して、そのパター ンから患者の条件にみあった最適の除水パターンを選択することができる。

【００１１】 図５に示す従来装置においては、目標とする除水量に対して除水速度を設定す る方式であったため、透析時間間隔を階段状に設定し、その各時間間隔ごとの除 水速度を算出することによりパターンを組み立てるという面倒な手順を踏まなけ ればならず、また透析の途中で除水パターンを変えると総除水量が変わるため、 そのつど再計算しなければならず、非常に手間のかかる作業を必要としていた。 これに対し、本装置によれば、複数個のパターンを記憶した記憶手段から選択処 理により連続した非直線的な除水量の変化パターンを即座に選定することが可能 となるばかりか、透析の途中で除水パターンを変化させる場合、除水速度を再度 計算したり、透析時間或は目標とする除水量を変更することなく即座に患者の容 体に合わせて連続した非直線的な除水量の変化パターンを算出することができる 。

【００１２】 また、本装置によれば、非直線的に連続した除水を行うことができるため、尿 素窒素成分の低下による血液中の浸透圧変化と除水量の制御とを同期させること ができ、透析低血圧を発生することなく除水を行うことができる。

【００１３】

【実施例】

以下、考案の実施例について図面を参照しながら説明する。

【００１４】 図１は本考案による人工透析装置の構成図、図２は除水パターンの透析時間と 除水量との関係を示した図、図３はパターン入力の外部装置の全体斜視図、図４ はパターン入力の外部装置の構成図である。

【００１５】 図１において、除水システム１としては、特開平１−２３８８７０号公報にお いて開示された公知のものを使用することができ、これによるとリアルタイムで 透析膜からの除水量を実測しうるため、本考案装置に接続して透析器Ｄからの除 水量を連続的かつ非直線的に変更制御するのに最適であるが、これ以外に他の除 水制御可能な装置を使用してもよい。

【００１６】 本考案による除水制御装置９は、種々の除水パターンを作成する外部装置（図 示せず）と外部端子８で接続し、そのパターン信号はパターン信号処理部７にて 解析されてパターン記憶部６でメモリに格納される。このパターン記憶部６に複 数の条件による除水パターンを格納しておき、個々の患者に見合った除水パター ンをパターン選択入力部５で選択し、ここで選択された除水パターンと目標除水 量入力部３より入力された目標除水量、及び透析時間入力部４より入力された除 水時間から、制御部２によって最適な除水パターンを算出し、除水システム１に よりその除水パターンにしたがって除水制御を行わせる。

【００１７】 図２は、除水パターンの例ａ，ｂ，ｃを示したものである。パターン選択入力 部５から、予め外部装置により読み込ませたパターンａを選択し、患者の目標と する除水量（例えば３リットル）を目標除水量入力部３から入力する。さらに、 その患者に最適な透析時間（例えば５時間）を透析時間入力部４より入力すると 、制御部２は与えられた条件からパターンａに基づいた最適な透析条件（図６） を算出し制御を行う。

【００１８】 この実施例では、透析初期段階において患者からの除水量を上げ透析２時間で 目標とする除水量の６０％（１，８リットル）を引き、透析後半では残り４０％ を引く緩やかな除水を行うことができるため、透析初期に生じる血液中の易透析 性物質（尿素窒素成分）などの低下による浸透圧の低下を除水による血液の濃縮 効果により防ぐことができる。さらに、透析後半に緩やかな除水による透析が実 施できるため、透析低血圧の発生防止に効果がある。また、透析途中の患者の容 態変化によっては、患者により適切なパターンをパターン選択入力部５から選択 することにより、即座に除水パターンを変更できるため、除水速度を再度計算し 直すことや透析時間或は目標とする除水量を変更することなく即座に患者の容体 に合わせることができる。

【００１９】 図３は、パターン入力のための外部装置である。液晶表示部１０と液晶表示部 表面に張られたタッチセンサ１１により、液晶表示部を細い棒でなぞることによ り容易にかつ自由に除水パターンを入力することができる。この入力されたパタ ーンは多項式近似法により最適近似され、本考案による人工透析装置に接続され 入力される。

【００２０】 図４は、パターン入力のための外部装置の構成を示す図である。タッチセンサ １１より入力され液晶表示制御部１２により表示された入力信号に基づいて制御 ・演算部１４で多項式近似を行い、制御・演算部１４より本考案による人工透析 装置に出力する。信号出力の規格は一般に広く知られているＲＳ−２３２Ｃであ るため、パターンの入力装置は前述の外部装置に限定されず、市販のパーソナル コンピュータなどを使用し専用のプログラムを組むことによって、キーからの入 力も可能であり、またＩＣカードなどを用い読取り機からパターンを読み取るこ ともできる。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の人工透析装置によれば、予め決められた透析時 間に対応する除水量の変化パターンを外部装置より入力して、そのパターンから 患者の条件にみあった最適の除水パターンを選択処理により選定することにより 患者ごとの連続した非直線的な除水量の変化パターンを算出する手間を省くこと ができ、また透析低血圧の発生を防止して患者ごとに最適の除水パターンで透析 することが容易且つ迅速にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案による人工透析装置の構成図で
ある。

【図２】図２は、除水パターンの透析時間と除水量との
関係を示した図である。

【図３】図３は、パターン入力の外部装置の全体図であ
る。

【図４】図４は、パターン入力の外部装置の構成図であ
る。

【図５】図５は、従来の人工透析装置の構成図である。

【図６】図６は、除水パターンの透析時間と除水量との
関係を示した図である。

【図７】図７は、図６に示す除水パターンを透析時間間
隔を５段階に設定して除水速度を設定した図である。

【符合の説明】

１…除水システム、２…制御部、３…透析時間入力部、
４…透析時間入力部、５…パターン選択入力部、６…パ
ターン記憶部、７…パターン信号処理部、８…外部端
子、９…除水制御装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】目標とする除水量を設定する手段と目標と
   する透析時間を設定する手段とを備えた人工透析装置に
   おいて、予め決められた透析時間に対応する除水量の連
   続した変化パターンを外部装置より入力する手段と、そ
   の入力された複数個のパターンを記憶する記憶手段とを
   備え、そのパターンから必要なものを選択処理し、選択
   されたパターンに従って連続的に除水量を制御すること
   を特徴とした人工透析装置。