JPH0574899U - 毛筆立てを有する墨液溜具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、毛筆穂先を乾燥させることなく、
湿気を保持し毛筆を何時でも書き易く良好な状態にして
おり、また墨液溜部の突起では、毛筆に墨液を余分に含
ませることなく、毛筆の穂先を整えることを目的として
いる。 【構成】 この為、墨液溜具本体に毛筆を立てる容器を
設け、この容器に少なくとも一つの毛筆挿入口を設け、
この毛筆挿入口に嵌入して毛筆を保持するとともに墨液
を含んだ毛筆の乾燥を阻止すべく保持栓を設け、容器底
部に少量の水を貯留する貯留部を設け、墨液溜具本体の
墨液溜部に突起を設けるとともに墨液溜部の周囲に形成
される突出した縁部には少なくとも一つの毛筆置き用窪
部を設けている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は毛筆立てを有する墨液溜具に係り、特に毎日毛筆を使用する際、使 用後の毛筆を水洗いすることなく、使用時に墨液を含んだ毛筆の穂先を損傷させ ることなく維持できる毛筆立てを有する墨液溜具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

文具の硯には、固形の墨を水と共に摺り下ろす平坦部と、摺り下ろした墨液を 溜める墨液溜部とが設けられており、この平坦部で使用時の毛筆穂先を整えてい る。

【０００３】 一般に、毛筆置きは硯とは別の容器に形成され、この容器に毛筆を置いている 。

【０００４】 また、毛筆は墨液を含んだままにしておくと、穂先が墨液に含まれているニカ ワ成分で固着し、穂先を損傷するので、使用後は毛筆から墨液が出なくなるまで 多量の水で荒い流し毛筆の穂先の傷みを保護している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、従来の毛筆用文具においては、使用時の墨液を含んだ毛筆を長時間 放置しておくと、墨液の水分が蒸発して墨液に含まれているニカワ成分が毛筆に 固着してしまう。

【０００６】 しかし、前記文具に形成される毛筆置きは、墨液の水分を蒸発低減させる機能 を有していないものである。

【０００７】 この結果、墨液を含んだ毛筆の水分の蒸発を低減させることができず、毛筆の 穂先が墨液の乾燥で固着し、筆致動作を阻害することになり、所定の時間以上に 渡って毛筆を使用したい時は、毛筆を多量の水を使って墨液を下水に洗い流す必 要があり、使い勝手が悪いとともに、洗浄に多量の水を使うので経済的に不利で あり、且つ地球環境を守る為にも水資源を汚染する惧れがあるという不都合があ る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

そこで、この考案は、上述不都合を除去するために、墨液溜具本体に毛筆を立 てる容器を設け、この容器に少なくとも一つの毛筆挿入口を設け、この毛筆挿入 口に嵌入して毛筆を保持するとともに墨液を含んだ毛筆の乾燥を阻止すべく保持 栓を設け、容器底部に少量の水を貯留する貯留部を設け、墨液溜具本体の墨液溜 部に突起を設けるとともに墨液溜部の周囲に形成される突出した縁部には少なく とも一つの毛筆置き用窪部を設けたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

上述の如く考案したことにより、墨液溜具本体の毛筆を立てる容器に保持栓に よって毛筆を挿入している間は、容器底部の水から発生する水の蒸発気体によっ て毛筆穂先を乾燥させることなく、湿気を保持し毛筆を何時でも書き易く良好な 状態にしており、また墨液溜部の突起では、毛筆に墨液を余分に含ませることな く、毛筆の穂先を整えることが出来る。

【００１０】

【実施例】

以下図面に基づいてこの考案の実施例を詳細に説明する。

【００１１】 図１〜図４は、この考案の実施例を示すものである。図１において、２は墨液 溜具たる本体、４は後述する毛筆１０を立てる容器、６は毛筆挿入口、８は保持 栓、１０は毛筆、１２は水、１４は毛筆１０の穂先１０ｔを調整する突起、１６ は墨液溜部、１８は毛筆置き用窪部、２０は墨液溜部１６の縁部である。

【００１２】 前記本体２の容器４には少なくとも一つ、例えば３つの毛筆挿入口６−１、６ −２、６−３が夫々設けられ、これらの毛筆挿入口６−１、６−２、６−３には 毛筆挿入口６−１、６−２、６−３に嵌入して毛筆を保持するとともに墨液を含 んだ毛筆１０の乾燥を阻止すべく、つまり、図４に示す如く、保持栓８が毛筆挿 入口６−１、６−２、６−３に夫々固定して設けられ、容器４中の底部の貯留部 ４ｚには少量の水１２が入っている。

【００１３】 前記保持栓８は、毛筆１０の穂先１０ｔを損傷させる事のないよう弾力性のあ る素材、例えばゴム製材料によって形成され、毛筆１０の穂先１０ｔよりも大径 の筆管部１０ｇを挟むようにしてある。

【００１４】 すなわち、保持栓８は、図４に示す如く、毛筆挿入口６−１、６−２、６−３ に夫々固定され、中央部位に毛筆１０の挿通孔部２２が形成されるとともに、挿 通孔部２２の内周面２２ｆをテーパ状に形成し、前記毛筆１０の穂先１０ｔより も大且つ筆管部１０ｇよりも小なる径を有する小径部位と、毛筆１０の筆管部１ ０ｇよりも大なる径を有する大径部位とからなる。

【００１５】 また、前記本体２の墨液溜部１６に毛筆１０の穂先１０ｔを調整する所定高さ の突起１４が設けられ、墨液溜部１６の周囲に形成される突出した縁部２０には 毛筆置き用窪部１８が設けられてある。

【００１６】 更に、本体２は容器４と墨液溜部１６とが、例えば透過性を有する部材たるガ ラス部材によって一体化されており、従来のものに比し重量感を増し、より安定 性を増加している。

【００１７】 次に作用を説明する。

【００１８】 前記本体２の容器４は、図１に示す如く、毛筆挿入口６に毛筆１０を挿入して も、ゴム製の保持栓８によって、毛筆１０の筆管部１０ｇを保持しながら密閉度 を保ち、容器４の中の少量の水１２が蒸発気体となって流出するのを低減してい る。

【００１９】 また、本体２の墨液溜部１６に設けらた突起１４は毛筆１０の墨液の調整と穂 先１０ｔの調整とが同時に出来ることにより、余分な墨液が毛筆１０に吸収され るのを排除する際に便利である。

【００２０】 更に、墨液溜部１６の縁部２０に設けられた窪部１８は、筆致動作中途での一 時的な毛筆置きとして機能するものであり、容器４にまで運ぶ必要のない時に使 用されるものである。

【００２１】 すなわち、筆致終了時以外は毛筆１０を窪部１８に、筆致終了時は容器４の毛 筆挿入口６−１、６−２、６−３にも毛筆１０を収納する。

【００２２】 このため、毛筆１０を筆致終了時においても多量の水を使用して洗う必要がな く、作業時間も短縮され、水も使用しないで済むので経済的に有利であるととも に、使い勝手を向上し得るものである。

【００２３】 また、墨液に含まれるニカワ成分を水にたれ流して汚染させる事が全くないこ とにより、地球環境を守るためにも大変貢献する。

【００２４】 なお、この考案は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可 能である。

【００２５】 例えば、この考案の実施例においては、前記保持栓８を毛筆挿入口６−１、６ −２、６−３に夫々固定して使用する構成としたが、図５に示す如く、毛筆１０ の筆管部１０ｇの先端部位に保持栓３０を固定し、保持栓３０の外周面３０ｆに 形成されるテーパ形状によって前記毛筆挿入口に毛筆１０を立てることも可能で ある。

【００２６】 また、この考案の実施例においては、前記保持栓８を毛筆挿入口６−１、６− ２、６−３の外周部位に夫々固定して使用する構成としたが、図６に示す如く、 保持栓４０の内周面４０ｅと外周面４０ｆを夫々同方向に傾斜、つまり下方向に 向かって漸次小となるテーパ形状に形成し、保持栓４０を外周面４０ｆによって 毛筆挿入口６−１、６−２、６−３内に固定して使用するとともに、保持栓４０ の内周面４０ｅのテーパ形状を部位をこの考案の実施例ものよりも長く形成し、 保持栓４０の内周面４０ｅによる毛筆の保持できる範囲を拡大させる構成とする ことも可能である。

【００２７】 更に、図７に示す如く、保持栓５０の外周面５０ｆを下方向に向かって漸次小 となるテーパ形状に形成するとともに、保持栓５０の内周面５０ｅを下方向に向 かって漸次大となる逆テーパ形状に形成し、保持栓５０により毛筆を毛筆挿入口 に保持する際には、先ず保持栓５０の下側、図７の黒矢印Ａに示す方向から毛筆 の穂先に対して逆の端部を所定位置まで挿通させ、内周面５０ｅによって毛筆を 保持し、その後、保持栓５０を、図７の黒矢印Ａとは逆方向の白矢印Ｂに示す方 向から毛筆挿入口に挿入して外周面５０ｆにより毛筆を毛筆挿入口に保持する構 成とすることも可能である。

【００２８】 更にまた、この考案の実施例においては、容器底部の貯留部に少量の水を入れ る構成としたが、容器底部の貯留部の水の保持状態を良好とするために、スポン ジ状部材やその他の吸水性を有する部材を貯留部内に入れ、これらの部材に水を 染み込ませて使用することもできる。

【００２９】 また、この考案の実施例においては、墨液溜具と毛筆を立てる容器とをガラス によって一体的に形成したが、ガラス以外の部材によって一体的に形成すること が可能であるとともに、墨液溜具と容器とを分割して設け、毛筆使用時の状態に 応じて墨液溜具と容器とを夫々複数個接続して使用する構成とすることも可能で ある。

【００３０】

【考案の効果】

以上詳細に説明した如くこの考案によれば、墨液溜具本体に毛筆を立てる容器 を設け、容器に少なくとも一つの毛筆挿入口を設け、毛筆挿入口に嵌入して毛筆 を保持するとともに墨液を含んだ毛筆の乾燥を阻止すべく保持栓を設け、容器底 部に少量の水を貯留する貯留部を設け、墨液溜具本体の墨液溜部に突起を設ける とともに、墨液溜部の周囲に形成される突出した縁部には少なくとも一つの毛筆 置き用窪部を設けたので、容器内の水から発生する蒸発気体によって容器内部に 湿気が保たれ、毛筆に含まれた墨液を乾燥させる事なく何時でも書き易く良好な 状態を保ち、筆致終了時に多量の水を使用して毛筆を洗う事もなく、墨液溜部と 容器を一体的に形成すれば、本体底部が広くより一層安定性を増し、また、毛筆 の穂先を調整する突起と窪部とを設けた事により、筆致準備動作の毛筆の運びの 流れの連続性が活かされ、実用上有利である。更に、毛筆を筆致終了時において も多量の水を使用して洗う必要がないことにより、水資源の節約と汚水を最小限 にとどめ、地球環境を守る為にも有用なものです。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例を示す毛筆立てを有する墨液
溜具の概略斜視図である。

【図２】毛筆立てを有する墨液溜具の平面図である。

【図３】毛筆立てを有する墨液溜具の正面図である。

【図４】毛筆挿入口部分の概略拡大断面図である。

【図５】この考案の他の実施例を示す毛筆の穂先部位と
保持栓との要部拡大断面図である。

【図６】この考案のその他の実施例を示す保持栓の要部
拡大断面図である。

【図７】この考案のその他の実施例を示す保持栓の要部
拡大断面図である。

【符号の説明】

２ 本体 ４ 容器 ６ 毛筆挿入口 ８ 保持栓 １０ 毛筆 １２ 水 １４ 突起 １６ 墨液溜部 １８ 窪部 ２０ 縁部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 墨液溜具本体に毛筆を立てる容器を設
   け、この容器に少なくとも一つの毛筆挿入口を設け、こ
   の毛筆挿入口に嵌入して毛筆を保持するとともに墨液を
   含んだ毛筆の乾燥を阻止すべく保持栓を設け、容器底部
   に少量の水を貯留する貯留部を設け、墨液溜具本体の墨
   液溜部に突起を設けるとともに墨液溜部の周囲に形成さ
   れる突出した縁部には少なくとも一つの毛筆置き用窪部
   を設けたことを特徴とする毛筆立てを有する墨液溜具。