JPH0571714A - 燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低ＮＯｘ燃焼における振動燃焼を主とする燃
焼騒音の低減と燃焼量の可変幅の拡大をはかる。 【構成】 第一の炎口部１を有するバーナ本体２の両側
に水平部１３、垂直部１４、多数の噴射口１６よりなる
第二の炎口部１７を有した傾斜部１５からなる噴射板１
２を密着して設け一体化する。バーナ本体２の混合気通
路７を通って第一の混合気室３から第二の混合気室１８
へ混合気を供給することにより、第一の炎口部１には濃
火炎が、第二の炎口部１６には希薄火炎が形成して濃淡
燃焼する。 【効果】 低ＮＯｘ化が実現されることは勿論、垂直部
による希薄火炎と濃火炎面の高低差により振動燃焼を防
止し、水平部・垂直部では濃火炎の安定化を図り、低騒
音の燃焼を得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は主としてバーナの低ＮＯ
ｘ化と低騒音化を図った燃焼装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の家庭用バーナは、図３に示
すように、第一の炎口部１を有するバーナ本体２に設け
た第一の混合気室３と、第一の混合気室３の両側に壁板
４により構成された第二の炎口部５を有する第二の混合
気室６と、第一の混合気室３と第二の混合気室６とを連
通するバーナ本体２に設けた混合気通路７と、第一の炎
口部１と第二の炎口部５の間に設け、火炎基部を安定化
させる保炎板８と、壁板４に第二の混合気室６の一次空
気比を設定する空気取入れ口９とを備えている。この様
な構成を有するバーナ本体２が多数本互いに壁板４を接
してバーナケース１０の内部に収められていた。

【０００３】そして上記構成の燃焼装置では、第一の炎
口部１の上には酸素濃度の低い安定した濃火炎が形成さ
れる。また空気取入れ口９から大量の空気と、混合気通
路７から供給されたガスと燃焼空気の混合気が第二の混
合気室６の内部で希薄混合気となり、第二の炎口部５よ
り流出して濃火炎の熱的影響を受けることによって燃焼
し、酸素濃度の高い希薄火炎を形成していた。濃火炎及
び希薄火炎は保炎板８の上に形成される小さな渦の効果
で火炎基部が安定化されており、ＮＯｘ濃度が低く不安
定な特性の希薄火炎を濃火炎で安定化させ、全体として
濃炎燃焼を実現してＮＯｘの発生を低減させていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、ＮＯｘを低減する効果の点では満足される
ものであるが、予混合火炎である希薄火炎が予混合火炎
特有の振動燃焼を発生するという課題があった。また、
燃焼量を絞るにつれて第一の炎口部１及び第二の炎口部
５からの混合気噴出速度が低下することと、特に供給さ
れる空気量が少なくなると、希薄化した第二の混合気室
６の内部の混合気が可燃範囲内に入ることとなり、希薄
火炎が第二の炎口部５を経由して混合気通路７の出口に
逆火し、バーナ本体２及び壁板４を異常に加熱するとい
う課題を有していた。また類似の形状を有するものとし
て特公昭６３−８３６３号公報に示すような燃焼装置が
あるが、これは主に燃焼装置としての小型化を図ったも
ので、ＮＯｘを低減するものではない。

【０００５】本発明は上記課題を解決するもので、振動
燃焼を低減して騒音低減を図り、低ＮＯｘと高負荷燃焼
の両立化、希薄火炎の混合気通路出口への逆火防止によ
るＴＤＲの拡大を図ることを目的としたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、第一の炎口部とこれに連通した第一の混合気
室を有するバーナ本体と、バーナ本体を複数本併設しそ
れぞれのバーナ本体の間に設けた噴射板と、バーナ本体
と噴射板とに囲まれて形成される第二の混合気室と、第
一の混合気室と第二の混合気室とを連通しバーナ本体に
設けた混合気通路と、噴射板には第一の炎口部の上面の
側方に沿って設けられた水平部と、水平部より上方に延
出された垂直部と、垂直部の下流側に噴射板を折り曲げ
てなる傾斜部と、傾斜部に多数の噴出口からなる第二の
炎口部を設けるという構成を備えたものである。

【０００７】

【作用】本発明は上記構成によって、第二の炎口部の傾
斜部に設けられた噴出口から希薄な混合気が傾斜して噴
出され、第一の炎口部の上に形成される濃火炎の熱的な
影響を受けることによって着火し、低ＮＯｘの特性を持
つ希薄燃焼を行なう。希薄火炎は燃焼後もなお多量の酸
素を含んでおり、濃火炎に強制供給されることにより濃
火炎が小さくなって高負荷燃焼する。水平部と垂直部に
囲まれた領域には混合気の再循環域が形成され保炎機能
を発揮する。そして、垂直部によって希薄火炎と濃火炎
の基部の間に適切な距離を置くことで各火炎の発熱変動
面を分散している。また第二炎口部を傾斜部に設けるこ
とで炎口面積を大きく出来、希薄混合気の第二炎口部よ
りの噴出速度を低流速化している。また燃焼量が小さく
なったり、供給空気量が低減した場合には第二の炎口部
から低速の可燃範囲内の混合気が噴出されることにな
る。この時には第二の炎口部が多数の小さい噴出口より
なっているため、第二の混合気室の内部まで希薄火炎が
逆火することがなく噴出口上で火炎を形成する。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづ
いて説明する。なお、図３と同一構成要素には同一符合
を付す。図１〜図２において、２は第一の混合気室３を
内包するバーナ本体であり、バーナ本体２の上面には多
数のスリットを開口した第一の炎口部１がある。バーナ
本体２の両側面には混合気通路７が長手方向に最適な間
隔で複数設けられている。また、バーナ本体２の両側面
には支持具１１が取り付けられ、この支持具１１とバー
ナ本体２とで形成する溝に噴射板１２の端部が挿入され
隣合ったバーナ本体２の間を結合し一体化している。噴
射板１２は平板を山形状に折り曲げて成形されており、
第一の炎口部１の側方に沿って水平部１３と、水平部１
３より上方に垂直部１４と、垂直部１４より混合気の流
れの下流側に折り曲げてなる傾斜部１５とを有してお
り、傾斜部１５には多数の噴出口１６からなる第二の炎
口部１７を構成している。バーナ本体２の間と噴射板１
２で囲まれ、混合気通路７より下流側の空間は第二の混
合気室１８となる。バーナ本体２の上流側にはスロート
部１９が構成されており、この様なバーナ本体２が複数
本併設されバーナブロックを構成しバーナケース１０の
内部に収納されている。各スロート部１９に対向して燃
料を噴出するノズル２０が設けられた燃料管２１と、フ
ァン２２がバーナケース１０に設けられている。

【０００９】上記構成において、ファン２２から供給さ
れる燃焼用空気は、一部がスロート部１９からバーナ本
体２の内部に流入し、残りの大部分の空気はバーナ本体
２の間を流れ、それぞれの第二の混合気室１８に供給さ
れる。一方、燃料管２１から供給される燃料は、各ノズ
ル２０から各スロート部１９に向かって噴出され、バー
ナ本体２の内部に流入して混合し、第一の混合気室３に
供給される。第一の混合気室３の内部の混合気は１次空
気比を３０から６０％に設定している。この混合気の一
部分は第一の炎口部１より噴出し濃火炎を形成し、残り
の大部分の混合気は混合気通路７より第二の混合気室１
８の内部に導かれ、バーナ本体２の間より入ってくる多
量の空気と混合する。この時一次空気比を１７０から２
５０％程度の希薄な混合気となるとともに均一化された
後、第二の炎口部の傾斜部１５に設けられた噴出口１６
から傾斜して噴出される。希薄混合気は第一の炎口部１
の上に形成される濃火炎の熱的な影響を受けることによ
って着火し、希薄燃焼を行なう。希薄火炎は燃焼後もな
お多量の酸素を含んでおり、濃火炎に強制的に噴射供給
されることにより、燃焼反応が促進され濃火炎が小さく
なって高負荷燃焼を実現する。ここでサーマルＮＯｘは
燃焼反応帯の温度が低温であるほど発生量は減少する。
よって空気を多量に含む希薄な混合気ほど熱容量が増加
し火炎温度が低下し、低ＮＯｘ化が図れることはよく知
られている。しかし一方、混合気が希薄になる程火炎は
不安定となり、ついには炎孔から吹き飛びを発生する。
よって上記構成において、第一の炎口部１の上に形成さ
れる濃火炎の熱的作用によって希薄混合気の雰囲気温度
を上げ、かつ第二炎口部１７を傾斜部１５に設けること
で炎口面積を大きくして希薄混合気の流速を低くするこ
とによって、希薄混合気を完全燃焼させることができ
る。また濃火炎は水平部１３と垂直部１４の間に形成さ
れる図１に示した小さな渦の保炎効果により安定化され
る。また垂直部１４によって希薄火炎と濃火炎の基部間
に距離をとることにより希薄火炎と濃火炎への燃焼供給
変動の周期をずらすことができるとともに、同一面での
希薄火炎と濃火炎の燃焼を回避し各火炎が互いに影響を
及ぼし合ってバーナ面上で複雑な時間的に変動する温度
場、流れ場を形成できにくくしているので振動燃焼の発
生を防止できる。よって燃焼騒音の上昇を抑制するとと
もに、バーナブロック全体として低ＮＯｘ燃焼を実現す
ることが出来る。

【００１０】また燃焼量が小さくなった場合には、第一
の炎口部１および第二の炎口部１７の混合気の噴出流速
が小さくなり火炎がそれぞれの炎口部に近づいてくる。
さらに供給空気量が変動すると燃焼量が小さいため、第
二の混合気室１８の内部の混合気は可燃範囲に入る。こ
の時希薄火炎は第二の混合気室１８の内部に進行しよう
とするが、噴出口１６は消炎直径より小さい穴径に設定
されているため第二の混合気室１８の内部に火炎が逆火
することを防止する。従って燃焼量を絞っても安定した
燃焼を得ることが出来るのである。

【００１１】さらに噴射板１２は一体成形で折り曲げら
れた板材であり、支持具１１とバーナ本体２とで形成さ
れる隙間に挿入され、噴射板１２の垂直壁とバーナ本体
２の壁部が互いに密着して接合されているため、バーナ
ブロック全体としての剛性が増し変形が発生することが
ない。従って設計上管理できない隙間が発生することに
よる第二の混合気室１８の混合比のバラツキを小さくで
き性能の安定化を図ることが出来る。

【００１２】

【発明の効果】以上説明したように本発明の燃焼装置に
よれば次の効果が得られる。

【００１３】１）垂直部によって希薄火炎と濃火炎の基
部間に距離をとることにより、希薄火炎と濃火炎への燃
料供給変動の周期をずらすことができるとともに、同一
面での希薄火炎と濃火炎の燃焼を回避し各火炎が互いに
影響を及ぼし合ってバーナ面上で複雑な時間的に変動す
る温度場、流れ場を形成できにくくしているので振動燃
焼の発生を防止でき燃焼の低騒音化が図れる。

【００１４】２）第一の炎口部上に形成される濃火炎の
熱的な燃焼促進効果と、かつ第二炎口面積を大きくして
希薄混合気の流速を低くすることによって、本来不安定
な希薄火炎を安定化し良好に燃焼させることができる。
また濃火炎の基部に再循環領域を設け保炎効果を向上さ
せることにより濃火炎の安定化も図れる。よって、安定
燃焼範囲が拡大できるとともに燃焼騒音の低下を図れ
る。さらに第二の炎口面積を大きく設けているため、そ
の分通気抵抗が小さくなり、燃焼用空気を送るファンの
回転数を低下でき、一層燃焼装置の低騒音化を図れる。

【００１５】３）大部分の燃料を第二の炎口部上に形成
される火炎温度の低い希薄火炎で燃焼させることによ
り、低ＮＯｘ化を実現する。また希薄混合気は傾斜して
濃火炎に噴出供給されるため、燃焼後なお多量の酸素を
含む燃焼ガスが濃火炎に強制供給されるので火炎長が小
さくなり燃焼装置の小型化が図れる。

【００１６】４）燃焼量が小さくなって火炎が第二の炎
口部に近接しても第二の混合気室を通って混合気通路に
火炎が逆火することを防止でき、従って燃焼量の可変幅
（ＴＤＲ）を拡大することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における燃焼装置の一部断面
図

【図２】同装置の要部斜視図

【図３】従来の燃焼装置の一部断面図

【符号の説明】 １ 第一の炎口部 ２ バーナ本体 ３ 第一の混合気室 ７ 混合気通路 １２ 噴射板 １３ 水平部 １４ 垂直部 １６ 噴射口 １７ 第二の炎口部 １８ 第二の混合気室

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第一の炎口部とこれに連通した第一の混合
   気室を有するバーナ本体と、前記バーナ本体を複数本併
   設し前記それぞれのバーナ本体の間に設けた噴射板と、
   前記バーナ本体と前記噴射板とに囲まれて形成される第
   二の混合気室と、前記第一の混合気室と前記第二の混合
   気室とを連通し前記バーナ本体に設けた混合気通路とを
   備え、前記噴射板は前記第一の炎口部の側方に延出され
   た水平部と、前記水平部に連続し前記水平部より上方に
   延出された垂直部と、前記垂直部に連続し前記第一の炎
   口部の混合気噴射方向から、しだいにはなれる傾斜部に
   形成した多数の噴出口を有する第二の炎口部とからなる
   燃焼装置。