JPH0571553A - 等速自在継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 入力軸１と第１支持部材３とが入力軸１の軸
心に直交する第１軸線８まわりに相対回転可能に連結さ
れ、第１支持部材３と第２支持部材４とが第２軸線９ま
わりに相対回転可能に連結され、第２支持部材４と出力
軸２とが出力軸２の軸心に直交する第３軸線１１まわり
に相対回転可能に連結される。各軸線８、９、１１は入
出力軸の交点７を通る。第２軸線９は第１軸線８と第３
軸線１１とを含む平面に直交する。第３支持部材５が第
１支持部材３と第２支持部材４とに対し入出力軸の交点
７を通る軸線まわりに相対回転可能に連結される。入出
力軸の軸心が一致した状態での入出力軸の軸心を基準軸
線１５とし、この基準軸線１５に対する入力軸１の軸心
の交差角と出力軸２の軸心の交差角とを等しくするため
第３支持部材５を入出力軸にそれぞれバネ１３、１４を
介し連結する。 【効果】 入力軸から出力軸に低速度で大きなトルクを
伝達できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、低速度で大きなトルク
を伝達することのできる等速自在継手に関する。

【０００２】

【従来の技術】入力軸と出力軸とを連結する自在継手と
して、入出力軸の端部に取り付けられるヨークを十字金
具を介して連結するカルダン継手が一般に用いられてい
る。しかし、カルダン継手にあっては入力軸と出力軸の
軸心が一致しないと等速度で回転を伝達することができ
ない。そのため、カルダン継手を用いて等速度で回転を
伝達する場合は、図３に示すように、入力軸１０１と出
力軸１０４とを一対のカルダン継手１０３、１０５と中
間軸１０２とを介して連結している。この場合、入力軸
１０１と出力軸１０４とが等速となるためには３つの条
件、すなわち一方のカルダン継手１０３の十字金具１０
３ａに対する中間軸１０２の相対回転軸線１０２ａと他
方のカルダン継手１０５の十字金具１０５ａに対する中
間軸１０２の相対回転軸線１０２ｂとが平行であるこ
と、入出力軸１０１、１０４と中間軸１０２とが同一平
面上にあること、中間軸１０２に対する入力軸１０１の
交差角αと出力軸１０４の交差角βとが等しいことが必
要になる。

【０００３】また、等速自在継手としてはベンディスク
形やバーフィールド形のように球体を介して入出力軸を
連結するものがある。

【０００４】また、特公昭４８‐９６５７号公報に開示
された等速自在継手がある。これは、第１のコマと第２
のコマと案内部材とを備えている。そして、入力軸と第
１のコマとが入力軸の軸心に直交する第１軸線まわりに
相対回転可能に連結され、第１のコマと第２のコマとが
第２軸線まわりに相対回転可能に連結され、第２のコマ
と出力軸とが出力軸の軸心に直交する第３軸線まわりに
相対回転可能に連結され、各軸線は入出力軸の交点を通
るものとされ、第２軸線は第１軸線と第３軸線とを含む
平面に直交するものとされている。これにより、一対の
カルダン継手と中間軸とで入出力軸を連結する上記構造
において、中間軸の長さが０の場合と同様の構造であっ
て、前記第１と第２の等速条件を充足するものとされて
いる。また、案内部材は内周に周溝を有するリング状と
され、その周溝に沿って回転可能かつ第２軸線まわりに
相対回転可能に第１のコマが連結されている。そして、
第１のコマに重錘を取り付けることで、入力軸および出
力軸の軸心まわりに生じる自在継手の慣性モーメントを
釣り合わせている。これにより、一対のカルダン継手と
中間軸とで入出力軸を連結する構造における前記第３の
等速条件を充足させている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】図３に示すように入力
軸１０２と出力軸１０４を一対のカルダン継手１０３、
１０５と中間軸１０２とを介して連結する構造は、その
連結部のスペースが制限されている場合は採用できな
い。

【０００６】球体を介して入出力軸を連結する等速自在
継手は、連結部において点接触となり、大きなトルクを
伝達することができない。

【０００７】上記公報に開示された等速自在継手では、
回転速度がある程度大きくならないと慣性モーメントを
釣り合わせることができないため、低速度で回転を伝達
するには不適当なものであった。

【０００８】本発明は上記従来技術の問題を解決するこ
とのできる等速自在継手を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、入力軸と出力軸とを連結する等速自在継手であっ
て、第１支持部材と第２支持部材と第３支持部材とを備
え、入力軸と第１支持部材とが入力軸の軸心に直交する
第１軸線まわりに相対回転可能に連結され、第１支持部
材と第２支持部材とが第２軸線まわりに相対回転可能に
連結され、第２支持部材と出力軸とが出力軸の軸心に直
交する第３軸線まわりに相対回転可能に連結され、各軸
線は入出力軸の交点を通るものとされ、第２軸線は第１
軸線と第３軸線とを含む平面に直交するものとされ、第
３支持部材が第１支持部材と第２支持部材とに対し入出
力軸の交点を通る軸線まわりに相対回転可能に連結さ
れ、入出力軸の軸心が一致した状態での入出力軸の軸心
を基準軸線とし、この基準軸線に対する入力軸の軸心の
交差角と出力軸の軸心の交差角とが等しくなるように、
第３支持部材が入力軸と出力軸とにそれぞれバネを介し
連結されている点にある。

【００１０】

【作用】本発明の構成によれば、入力軸と第１支持部材
とが第１軸線まわりに相対回転可能に連結され、第１支
持部材と第２支持部材とが第２軸線まわりに相対回転可
能に連結され、第２支持部材と出力軸とが第３軸線まわ
りに相対回転可能に連結される。これにより、前述の図
３に示した入力軸と出力軸とを中間軸と一対のカルダン
継手を介して連結する構造において中間軸の長さを０と
した場合と同様の構成となり、また、入力軸と出力軸と
が等速となる３つの条件のうち、各カルダン継手の十字
金具に対する中間軸の相対回転軸線が平行で、入力軸と
出力軸とが同一平面上にあるという２つの条件を満たす
ことになる。

【００１１】また、第３支持部材が第１支持部材と第２
支持部材とに対し入出力軸の交点を通る軸線まわりに相
対回転可能に連結され、入出力軸の軸心が一致した状態
での入出力軸の軸心を基準軸線とし、この基準軸線に対
する入力軸の軸心の交差角と出力軸の軸心の交差角とが
等しくなるように、第３部材が入力軸と出力軸とにそれ
ぞれバネを介し連結されている。これにより、図３に示
した構造において中間軸に対する入出力軸の交差角が等
しいという条件を満たすことになる。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。

【００１３】図１に示す等速自在継手は、例えば車両の
ハンドルに連動する入力軸１の回転を、パワーステアリ
ング装置に連動する出力軸２に伝達する際に用いられる
ものであって、第１支持部材３と、第２支持部材４と、
第３支持部材５とを備えている。

【００１４】その第１支持部材３は十字形とされ、入力
軸１の端部に一体化されたヨーク６を介して入力軸１に
第１軸線８まわりに相対回転可能に連結されている。そ
の第１軸線８は入力軸１と出力軸２との交点７を通ると
共に入力軸１の軸心に直交するものとされている。

【００１５】第２支持部材４はリング状とされ、出力軸
２の端部に一体化されたヨーク１０を介して出力軸２に
第３軸線１１まわりに相対回転可能に連結されている。
その第３軸線１１は入力軸１と出力軸２の交点７を通る
と共に出力軸２の軸心に直交するものとされている。

【００１６】その第３支持部材５は、一対の外側アーム
５ａと、両外側アーム５ａの内側に配置される一対の内
側アーム５ｂと、各アーム５ａ、５ｂを連結する連結体
５ｃとを有する。その一対の内側アーム５ｂの間に第１
支持部材３が配置され、各内側アーム５ｂの先端と第１
支持部材３とが、入出力軸の交点７を通る第２軸線９ま
わりに相対回転可能に連結されている。また、各外側ア
ーム５ａは第２支持部材４の内側に配置され、各外側ア
ーム５ａの先端と第２支持部材とが第２軸線９まわりに
相対回転可能に連結されている。

【００１７】上記第２軸線９は第１軸線８と第３軸線１
１とを含む平面に直交するものとされている。

【００１８】そして、第３支持部材５の連結体５ｃにア
ーム５ｄが設けられ、入力軸１のヨーク６にアーム６ａ
が設けられ、両アーム５ａ、６ａがバネ１３により連結
されている。また、その第３支持部材５のアーム５ｄと
出力軸２のヨーク１０とがバネ１４により連結されてい
る。

【００１９】そのバネ１３、１４による第３支持部材５
と入出力軸１、２との連結は、入力軸１と出力軸２との
軸心が一致した状態での入出力軸１、２の軸心を基準軸
線１５とした場合に、この基準軸線１５に対する入力軸
１の軸心の交差角と出力軸２の軸線の交差角とが等しく
なるようになされる。

【００２０】すなわち、図２に示すように入出力軸１、
２の軸心と基準軸線１５とを含む仮想平面において、入
力軸１の基準軸線１５に対する交差角をαとし、出力軸
２の基準軸線１５に対する交差角をβとする。この場
合、基準軸線１５に対する入力軸１と出力軸２の交点は
入出力軸１、２の交点７となる。また、第３支持部材５
は入出力軸１、２に対して交点７を通る第２軸線９まわ
りに相対回転することから、第３支持部材５と基準軸線
１５とを対応させることができる。その第３支持部材５
に対応する基準軸線１５と前記各バネ１３、１４との交
点をＡとし、一方のバネ１３と入力軸１の軸心との交点
をＢとし、他方のバネ１４と出力軸２の軸心との交点を
Ｃとする場合に、交点Ａ、Ｂ、Ｃを同一直線上にあるも
のとし、交点Ａ、Ｂ間の距離と交点Ａ、Ｃ間の距離とを
等しくし、交点７、Ｂ間の距離と交点７、Ｃ間の距離と
を等しくし、各バネ１３、１４のバネ定数を等しくする
ことで、常にα＝βとすることができる。そして、実際
には各バネ１３、１４は基準軸線１５と入出力軸１、２
の軸心から離れた位置に配置されるため、図２に示され
る関係と等価な関係となるように入出力軸１、２と第３
支持部材５とをバネ１３、１４を介し連結する。

【００２１】上記構成によれば、図３に示した入力軸と
出力軸とを中間軸と一対のカルダン継手を介して連結す
る構造において、中間軸の長さを０とした場合と同様の
構成となり、また、入力軸と出力軸とが等速となる３つ
の条件のうち、各カルダン継手の十字金具に対する中間
軸の相対回転軸線が平行で、入力軸と出力軸とが同一平
面上にあるという２つの条件を満たすことになる。ま
た、第３支持部材５が第１支持部材３と第２支持部材４
とに対し第２軸線９まわりに相対回転可能に連結され、
基準軸線１５に対する入力軸１の軸心の交差角と出力軸
２の軸心の交差角とが等しくなるように、第３支持部材
５が入力軸１と出力軸２とにそれぞれバネ１３、１４を
介し連結されることにより、図３に示した構造において
中間軸に対する入出力軸の交差角が等しいという条件を
満たすことになる。

【００２２】よって、上記構成の等速自在継手によれば
中間軸を介することなく入力軸１から出力軸２に等速で
回転を伝達することができ、スペースの制限された場所
に用いるのに適したものである。また、球体を介して回
転を伝達する等速自在継手に比べ大きなトルクを伝達す
ることができる。また、基準軸線１５に対する入力軸１
の交差角と出力軸２の交差角とを等しくするために慣性
モーメントを釣り合わせる必要がないため、低速回転で
あっても入力軸から出力軸に等速で回転を伝達すること
ができる。

【００２３】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、上記実施例では第３支持部材を第
１支持部材と第２支持部材とに対し第２軸線まわりに相
対回転可能に連結したが、入出力軸の交点を通る軸線ま
わりに相対回転可能に連結すればよい。

【００２４】

【発明の効果】本発明による等速自在継手によれば、入
力軸から出力軸に伝達されるトルクが大きく、回転速度
が低速であっても等速で回転を伝達することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る等速自在継手の斜視図

【図２】本発明の作用説明図

【図３】従来例に係る等速自在継手の作用説明図

【符号の説明】

１ 入力軸 ２ 出力軸 ３ 第１支持部材 ４ 第２支持部材 ５ 第３支持部材 ７ 交点 ８ 第１軸線 ９ 第２軸線 １１ 第３軸線 １３、１４ バネ １５ 基準軸線

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入力軸と出力軸とを連結する等速自在継
   手であって、第１支持部材と第２支持部材と第３支持部
   材とを備え、入力軸と第１支持部材とが入力軸の軸心に
   直交する第１軸線まわりに相対回転可能に連結され、第
   １支持部材と第２支持部材とが第２軸線まわりに相対回
   転可能に連結され、第２支持部材と出力軸とが出力軸の
   軸心に直交する第３軸線まわりに相対回転可能に連結さ
   れ、各軸線は入出力軸の交点を通るものとされ、第２軸
   線は第１軸線と第３軸線とを含む平面に直交するものと
   され、第３支持部材が第１支持部材と第２支持部材とに
   対し入出力軸の交点を通る軸線まわりに相対回転可能に
   連結され、入出力軸の軸心が一致した状態での入出力軸
   の軸心を基準軸線とし、この基準軸線に対する入力軸の
   軸心の交差角と出力軸の軸心の交差角とが等しくなるよ
   うに、第３支持部材が入力軸と出力軸とにそれぞれバネ
   を介し連結されていることを特徴とする等速自在継手。