JPH0569497A - 電気用硬質積層体の連続製造方法 - Google Patents

電気用硬質積層体の連続製造方法

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JPH0569497A
JPH0569497A JP3348104A JP34810491A JPH0569497A JP H0569497 A JPH0569497 A JP H0569497A JP 3348104 A JP3348104 A JP 3348104A JP 34810491 A JP34810491 A JP 34810491A JP H0569497 A JPH0569497 A JP H0569497A
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Masakata Goto
正名 後藤
Ichiro Azumi
一郎 安曇
Shiyouji Uozumi
粧二 魚住
Masakazu Kamikita
正和 上北
Masaharu Abe
雅治 阿部
Yasuo Fushiki
八洲男 伏木
Minoru Isshiki
実 一色
Kunio Kawasaki
邦雄 川崎
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 電気用硬質積層板の無圧湿式連続製造方法に
おいて、樹脂比率の分布が比較的均等であり、気泡の巻
込みの少ない品質のすぐれた製品を高い生産性を以って
得る方法を提供する。 【構成】 樹脂液含浸基材6を連続的に積層する過程、
積層基材をラミネート装置23へ連続的に搬送する過
程、積層基材に被覆物10をラミネートする過程の何れ
かの1又は複数の過程において、積層基材と被覆物10
とがラミネートされる面に、熱硬化性樹脂液を供給装置
35によって別途供給し、基材に対する樹脂液の重量比
率を30〜80重量%になるように適正に調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は熱硬化性樹脂を含浸したシート状
基材が重ね合わされた積層体及び金属箔張り積層体を連
続的に製造する方法に関する。
【0002】特に電気的な用途に用いる積層絶縁板及び
印刷回路板に用いる金属箔張り積層体を目的としたもの
である。なお本発明では、表面に金属箔を積層しないで
絶縁板として使用されることの多い積層板及び、金属箔
張り積層体を共に「積層体」という用語で表現してい
る。
【0003】積層体は260℃にも加熱されるハンダ温
度に対するすぐれた耐熱性、すぐれた電気絶縁特性、誘
電特性、パンチング加工性、耐薬品性、金属箔の剥離強
度、及び積層体の表面平滑性、及び加熱時に悪臭や毒性
を有する有害な揮発物を出さないことが要求される。更
に印刷工程や加熱工程で煩わしい大きいソリを発生しな
いこと、熱伝導性を害し品位を損ねる気泡を含有しない
こと、各種環境下でのすぐれた寸法安定性、そして低コ
ストであること等、多数の特性が要求されるものであ
る。
【0004】積層体の形状は、たとえば厚さが約0.5
mm〜5mmであり、実用的寸法が通常略1m四方で、
表面が平滑な板状物である。
【0005】従来、これらの積層体は樹脂成分を溶剤に
溶かしたワニスを基材に含浸し、ついで溶剤を乾燥して
プリプレグを作り、これを一定サイズに切断し、これを
多層重ね合わせバッチ方式で加圧加熱する等の方法で製
造されていた。この従来方法においては、作業性や工程
上の制約からプリプレグは非粘着性であることが必要で
あり、この観点から樹脂成分が制限されるとともに、溶
剤を必要とし、従って、複雑な製造工程を必要とし、生
産性に大きな問題があるのが実情である。
【0006】又、従来の金属箔張り積層体は、たとえ
ば、樹脂成分を溶剤に溶かしたワニスを基材に含浸し、
ついで溶剤を乾燥してプリプレグを作り、これを一定サ
イズに切断し、これを多層重ね合わせた上へ更に、予め
金属箔に接着剤を塗布しB状態に焼付けられている接着
剤付金属箔を重ね合わせ、ついで加熱加圧するバッチ方
式で製造されていた。これらの製品は、たとえば印刷配
線用回路基板として利用されているが、工程が複雑であ
り、バッチ生産であるが故に、人手を要し、生産性に大
きな問題があるのが実情である。
【0007】近年かかる観点から、積層体あるいは金属
箔張り積層体を連続的に製造するいくつかの提案がなさ
れている(米国特許第3236714号明細書、米国特
許第4012267号明細書、特開昭53−88872
号公報)。
【0008】しかしいずれも次の問題があり、コスト的
及び特性的に連続製造法の利点が生かしきれず、十分に
実用化されていないのが現状である。即ち a 乾燥工程を必要とする溶剤型の樹脂ワニスを用いる
場合、乾燥後、基材に付着する樹脂成分は、通常極めて
高粘度の半流動体もしくは固形となる。かかる樹脂成分
が付着した基材の表面は鏡面でないが故に、基材を多層
重ね合わせる時に層間に空隙や気泡が出来る。これら空
隙や気泡を排除するには、重ね合わせ時、加熱やかなり
の圧力を必要とし、かつかかる高い圧力を硬化過程の工
程中維持しなければならないという極めて困難な装置を
必要とする。さらに、乾燥工程には乾燥炉や溶剤回収装
置を必要とし、従来法に対しての利点は減少する。 b 又、硬化反応過程で気体や液体等の反応副生成物を
発生する熱硬化性縮合型樹脂を用いると、たとえ、それ
が上記のごとき乾燥工程を必要としない樹脂液であって
も、発生する副生成物による発泡等の悪影響を回避する
為には、硬化過程で加圧を持続しなければならないとい
う同様の困難さを有する。 c 連続的に搬送する成形体に対し硬化反応過程の期
間、加圧を維持しなければならないという困難な課題に
対して、加熱加圧ロールの対を多数直列に設置するとい
うような、局部加圧の羅列という妥協策が容易に構想で
きる。しかしながら本発明者らの実験によれば、このよ
うな方法では、成形体の任意の固定点に対しての加圧は
周期的に大きく変動し、内部の気泡がふくれあがる等、
特性の優れた積層体は得られない。さらに樹脂成分が加
熱により流動もしくは半流動状態の未硬化のところで周
期的に加圧することは、樹脂成分の不必要な流動を発生
せしめ、たとえば表面が波板状となり、望ましい製品を
得ることはほとんど不可能である。そのため鉄板のごと
き剛性の高い板状物を成形体と加圧ロール間に連続的に
供給し、局部加圧と圧力変動の問題に対処したが、複雑
な装置を必要とする不利があった。
【0009】基材に含浸し付着した熱硬化性樹脂液の基
材に対する重量比率は積層体の品質設計上、重要な問題
である。しかし本発明に於いては後述する如く積層基材
の硬化即ち成形は、圧力が無圧の条件で行われるため、
従来の加圧プレス法のごとく、成形時の加圧によって過
剰な樹脂分を排除する操作は出来ない。しかし樹脂液含
浸基材積層体の両面にシート状或いはフィルム状被覆物
をラミネートした時点において、該樹脂液含浸基材の硬
化する前の樹脂液量の重量比率が該基材に対し10%未
満であると、複数枚のシート状基材は硬化時においしも
良好に接合せず、その硬化後に局部的な剥離部分を起こ
し、或いは基材がバラバラに分離してし舞う場合があっ
た。このような極端な場合でなくとも、製品は樹脂と基
材との複合積層材料としての効果が不十分で耐熱性や機
械的強度の点で品質的に不満足なものが多かった。
【0010】なお樹脂液含浸基材の樹脂液量の重量比率
は樹脂液含浸基材の重量に対する樹脂液重量の割合によ
って表わされている。
【0011】基材に対する熱硬化性樹脂液の重量比率が
90%を超える過剰の場合、積層体を連続的に無圧の条
件で硬化させる過程で、特に過程の前半において硬化が
十分に進んでいない箇所では、基材が樹脂液保持能力を
十分に有しないと、フィルム状或いはシート状被覆物の
両縁から或る程度の樹脂液の流出を惹起し、樹脂液量の
必要な重量比率を確保することが出来なくなる許りでな
く、流出した樹脂液が硬化炉内部を汚損する不都合が生
じていた。
【0012】又かかる高い樹脂液比率では、得られた積
層体中で基材の偏在が生じて均質なものが得難い問題が
ある。更に、高い樹脂比率を達成するために高多孔質の
基材を用いると、かかる基材は機械的強度が劣るものが
多く、本発明の如く連続製造法においては、長尺基材を
連続搬送する過程で屡々破断する不都合が生じ、たとえ
製品が得られても、積層体内部は基材による補強効果が
十分でなく、特に機械的強度において不十分なものが多
かった。
【0013】本発明の方法は本質的に乾燥を必要とせず
硬化反応過程で気体や液体等の反応副生成物を殆ど発生
しない熱硬化性樹脂液をシート状基材に含浸し、これ等
含浸基材を複数枚連続的に搬送し、ついで連続的に積層
(重ね合わせ)し、さらに連続的に且つ無圧の状態で硬
化させて樹脂体を連続的に製造するものである。
【0014】更に本発明の方法は、上記樹脂液含浸基材
積層体にフィルム状或いはシート状被覆物をラミネート
した時点において、含浸基材(即ち、基材に樹脂液を浸
透したもの)に対する樹脂液の重量比率を30乃至80
%の範囲に調節する工程を実施することを特徴とするも
のである。熱硬化性樹脂液の重量比率を調節する手段と
して、以下の方法がある。 a 熱硬化性樹脂液をフィルム状或いはシート状基材に
含浸する際、含浸装置に於いて予め過剰な液量を供給
し、過剰な樹脂液量を基材表面に付着させて複数枚の基
材を連続的に搬送する過程で、夫々基材の厚みに対応し
たスリット33(図1)間を通過させ、このスリット間
隔を調節することによって、過剰な樹脂量を掻き落し、
付着樹脂液量を適正に調節した後、積層装置3に送って
基材の積層を行う。 b 含浸装置2と積層装置3との間に絞りローラ34
(図2)を設け、樹脂液を過剰に含浸した基材に対し絞
りローラ34によって過剰な樹脂液を絞り出し、含浸樹
脂液量を適正に調節した後、積層装置3に送って基材の
積層を行う。 c 複数の樹脂液含浸基材を一対のローラ又はローラと
ブレードとの組合で構成した積層装置によって積層する
場合(図1,図2)、ローラ間隔又はローラとブレード
との間隔を調節可能となし、積層間隔の調節によって樹
脂液含浸基材の過剰な樹脂液を排除し、適正な樹脂液量
となしつつ積層する。 d 積層装置3の出口側の一対のローラで構成したラミ
ネート装置23(図2)を設けて、積層基材の両面への
被覆物をラミネートする際、ラミネート装置23のロー
ラ間隔を調節可能となし、間隔調節によって積層基材の
過剰な樹脂液を排除しつつ被覆物をラミネートする。 e 上記a〜dの方法を組合せることにより、過剰な樹
脂液を数段階に分けて排除し、最終的に適正な樹脂液量
の積層体となす。 f 樹脂液含浸基材を連続的に積層する過程、積層基材
をラミネート装置へ連続的に搬送する過程、積層基材に
被覆物をラミネートする過程の何れかの1又は複数の過
程において、積層基材と被覆物とがラミネートされる面
に、熱硬化性樹脂液を供給装置35(図2)によって別
途供給し、基材に対する樹脂液の重量比率を適正に調節
する。 g a〜eの方法の1又は複数とfの方法とを組合せる
ことによって、積層体に含浸する樹脂液量を最終的に最
適量に調節する。 本発明方法は上記fの手段を必須手段として採用するも
のである。
【0015】上記熱硬化性樹脂液は、硬化には本質的に
不必要な溶媒成分は含まず、樹脂液成分全体が熱硬化物
の成分となるタイプの熱硬化性樹脂を主成分とするもの
であって、かつ硬化の際、縮合水や炭酸ガス等の反応副
生成物を実質的に発生しない樹脂液をさす。たとえば、
それは不飽和ポリエステル系樹脂、ビニルエステル系樹
脂、エポキシアクリレート系樹脂、ジアリルフタレート
系樹脂、エポキシ系樹脂液等のラジカル重合型あるいは
付加反応型のものである。
【0016】従って、たとえばフェノール系樹脂、メラ
ミン系樹脂等を主成分とする縮合型樹脂液は本発明にお
いて排除される。
【0017】なお熱硬化性樹脂は、通常行われている様
に硬化を進行させるための材料を含んでおり、例えば樹
脂液が不飽和ポリエステル樹脂液の場合は、架橋のため
の重合性単量体や硬化触媒を含み、エポキシ樹脂その他
の樹脂液の場合は、硬化剤を含んでいる。
【0018】本発明の方法は積層体の表面層を良好に仕
上げるために、特に熱硬化性樹脂がラジカル重合型で硬
化触媒を含む場合には、雰囲気中の酸素を遮断して良好
な硬化を行わせるために、積層と同時に又は積層後に、
フィルム状或いはシート状被覆物を樹脂液含浸積層基材
の両面へラミネートする。
【0019】積層体表面へラミネートした被覆物は、必
要により樹脂液の硬化後、巻取り等によって剥離し、剥
離した被覆物を回収し、再使用することによって、積層
体の製造コストを低下させることが出来て好ましい。
【0020】片面或いは両面金属箔張り積層体を製造す
る場合、被覆物として剥離を目的としない金属箔を積層
体の片面又は両面にラミネートすることにより、被覆物
の積層体の表面被覆によって硬化を促進するばかりでな
く、製品の構成部分となって非常に合理的である。
【0021】本発明は、本質的に乾燥を必要とせず硬化
反応過程で気体又は液体等の反応副生成物を殆ど発生し
ない熱硬化性樹脂液を使用するから、従来の如く樹脂ワ
ニスを基材に含浸させる方法と較べて、樹脂ワニスの乾
燥装置や溶剤回収装置が不用となり、又含浸工程から積
層工程(多数枚のシート状含浸基材の重ね合わせ工程)
間で樹脂液の性状は実質的に不変である。従って、たと
えば十分に樹脂液を含浸せしめたシート状基材を重ね合
わせて、樹脂液どうしが接触する際、樹脂液体は低粘度
であるから、重ね合わせ時の気泡のまきこみを最小限の
レベルに抑えることができ、かつ重ね合わせ工程で特別
な加熱や加圧を施さなくともよい。
【0022】更に混入している気泡や硬化時に発生する
気体等が実質的に存在しないから、前記したごとき高圧
力を付加し、それを持続する為の困難かつ非現実的とも
いえる装置を必要とせずして、加熱硬化でき、特性の優
れた製品を安価に製造出来る利点がある。
【0023】本発明が熱硬化型樹脂液をシート状基材へ
含浸させ、無圧の条件下で硬化させて特性の優れた製品
を連続的に製造することを可能としたのは、画期的なこ
とであって、硬化時の成形圧による不必要な製品の歪を
排除でき、特に厚み方向における加熱時の寸法安定性に
優れた製品を製造できる。仮に硬化時に圧力を加えると
基材に含浸されていた樹脂が流出するから、積層体中で
の基材と樹脂層の均一分布が乱れて電気絶縁性能の低下
を来すが、本発明では硬化工程を無加圧の条件下で行う
から、加圧するための特別な装置を必要とせず、前記し
たごとき局部加圧の羅列方式は不必要であり、表面の平
滑性に優れた製品を製造できる利点がある。
【0024】本発明にいう無圧とは、人為的な加圧操作
を伴わないで、通常の大気圧下で行うことを意味する。
厳密に言えばフィルム状あるいはシート状被覆体をラミ
ネートする場合は、該被覆体の重量圧を受ける。しか
し、かかる重量圧は現実的には0.01kg/cm2
超えることはなく、通常は0.01kg/cm2 〜0.
001kg/cm2 であり、このような微圧は本発明に
おいて樹脂の流動、流出等の成形条件を損ねず、無視出
来る。
【0025】又、本発明においては加熱と加圧を連続的
に行う複雑な装置を必要としないから、硬化の際の加熱
方法や連続的な搬送方法をかなり自由に選択できるので
ある。たとえば、 a たとえば1m間隔に配列したロールを被加熱物の支
持体としてこの片面もしくは両面より熱風をふきつけ
る。 b フローティングドライヤーとして良く知られている
方法であって、被加熱物の上下面より加熱空気のジェッ
ト流を噴きつけ、中空に浮上させつつ搬送する。 c 熱媒や電熱によって加熱板上を搬送し、伝熱により
加熱する。 d 熱媒や電熱の加熱板又は加熱物の幅射熱によって加
熱する。など、何れも不必要な加圧を排除して加熱硬化
せしめ、かつ連続的に搬送できる好ましい方法である。
【0026】本発明の方法によって製造された積層体
は、従来のバッチ方式による従来法の製品に比して製品
の厚み精度が優れている。たとえば、0.5mm厚さの
積層体の場合、従来法を用いると厚みの変動幅は70〜
160μに達するが、一般的に本発明によるものは、そ
の厚みの変動幅がせいぜい20μ〜30μ以内である。
【0027】しかも厚み方向の熱膨張率は、従来法で製
造した積層体の熱膨張率の40〜60%である。
【0028】又製造コストの低下、製造速度の高速化、
設備の簡略化の点で著しく優れている。
【0029】本発明は図1,図2に示す如く、基材供給
部1から連続的に送られるシート状基材6に対し、連続
乾燥装置12、含浸装置2、積層装置3、連続熱硬化炉
4、引出装置13、切断装置5を順次配置し、連続熱硬
化炉4には加圧手段は一切設けず、積層体7を連続的に
製造するものである。
【0030】本発明で用いるシート状基材6は、従来の
積層体に用いられている基材と同じものが使用出来、例
えばガラス繊維布、ガラス不織布等のガラス繊維系のも
の、クラフト紙、リンター紙等のセルロース系繊維を主
体とした紙、石綿布等の無機質繊維系のシート状又は帯
状物を指す。シート状基材として紙を用いる場合、含浸
性や品質上の観点から、風乾燥の密度(かさ比重)が
0.3〜0.7g/cm2 であるようなセルロース繊維
を主体とした紙たとえばクラフト紙が好ましい。
【0031】シート状基材に対しては、熱硬化性樹脂液
を含浸する前に、製品に求められる特性、用途、製造条
件等に応じて適当なプレ含浸工程及び必要により乾燥工
程が施されるものであって、予めプレ含浸処理を経たシ
ート状基材を基材供給1に収納してもよい。或いはプレ
含浸装置14及び必要により連続乾燥装置12を熱硬化
性樹脂液の含浸装置2の前段へ直結し、基材供給部1か
ら送られるシート状基材6に対しプレ含浸を連続的に行
うことが出来る。
【0032】連続乾燥装置12は、プレ含浸装置14に
て溶媒を用いた溶液によってプレ含浸を行う場合に溶媒
除去のため設置されるものである。プレ含浸が溶媒を用
いない液状化合物の含浸又はガス状化合物の吸着によっ
て行う場合、必要なければ乾燥装置12は省いてもよ
い。
【0033】本発明に用いる不飽和ポリエステル樹脂は
常温で液状又は固体のいずれでも良いが、常温で液状の
ものが特に好ましい。不飽和ポリエステル樹脂液は、た
とえばその原料がグリコール類として、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
1,4−ブタンジオール及び1,5ペンタンジオール、
飽和多塩基酸として無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、不
飽和多塩基酸として無水マレイン酸、フマル酸等である
不飽和ポリエステルと、架橋用単量体とを混合したもの
である。
【0034】架橋用単量体として用いられる重合性単量
体は、スチレンが一般的であるが、その他α−メチルス
チレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベ
ンゼン、炭素数1〜10のアルキルアクリレート、炭素
数1〜10のアルキルメタクリレート、フタル酸ジアリ
ル、シアヌル酸トリアリルなどの単量体も使用すること
ができる。これらの重合体の使用量は、不飽和ポリエス
テル樹脂液の20〜50重量%である。
【0035】尚特に、共重合性が良好あるいは得られる
製品の機械的強度の補強を目的として、スチレンとジビ
ニルベンゼンとの混合物はよい結果を斎す。
【0036】更に硬化触媒として汎用の有機過酸化物、
必要に応じて硬化促進剤が硬化に際して加えられる。不
飽和ポリエステル樹脂液を硬化させる場合、通常は硬化
触媒(重合開始剤)が配合される。熱硬化型不飽和ポリ
エステルの樹脂の場合、有機過酸化物が一般的であり、
以下に述べるものが好適である。
【0037】しかし以下のものに限定されるのではな
く、過酸化物と共に、又は単独で光に感応する硬化触媒
や、放射線に感応する硬化触媒の如く公知の硬化触媒を
使用することが出来るのは勿論である。
【0038】不飽和ポリエステル樹脂の硬化用有機過酸
化物は多数のものが公知であるが、無圧成形による新規
な電気用積層板の製造に関するものであるから、重合開
始剤の選択は重要である。有機過酸化物の分解生成物
は、微量であるが製品中に残留する。
【0039】電気用の積層体や銅張り積層体は、通常そ
の加工工程で100℃〜260℃程度の各種温度で加熱
される場合が多く、かかる加工工程で上記分解生成物が
揮発し、場合によって臭気を発生し、この臭気は作業環
境をそこねて好ましくない。
【0040】本発明者の研究によれば、有機過酸化物と
して、脂肪族系のパーオキサイド類、特に好ましくは脂
肪族系のパーオキシエステル類から選ばれたものを、単
独もしくは併用して用いた時に、著しく臭いの軽減した
電気用積層板を製造できた。
【0041】脂肪族系のパーオキサイドとは、具体的に
は、たとえばジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイ
ト等である。
【0042】臭いは人の感覚的なもので若干の個人差が
あり、評価方法については十分考慮する必要がある。本
発明者は、多人数による臭覚試験、ガスクロマトグラフ
による臭いの成分の分析等を採用し詳細な解析を行っ
た。
【0043】脂肪族系のパーオキシエステル類とは、た
とえばt−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパ
ーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレイ
トなどを言う。
【0044】脂肪族系のパーオキサイドあるいはパーオ
キシエステル類が好ましいのは、加温時に発生する揮発
性成分の中に、芳香族系の触媒分解生成物が存在しない
からであると考察される。芳香族系の有機過酸化物を用
いると、芳香族系の分解生成物が揮発し、臭気の原因と
なる。
【0045】樹脂液の硬化に関する温度と時間の条件
は、採用する有機過酸化物によっても変化するが、本発
明においては、無圧の条件下で成形するが故に、初期の
段階での液状共重合性単量体の気化による発泡を排除す
べく、硬化は100℃以下の温度から開始するのが好ま
しく、それ以後は、50〜150℃の温度範囲が好適で
ある。
【0046】電気用の積層体及び銅張り積層体において
は、耐熱性、加熱あるいは吸湿状態での寸法安定性、打
抜き加工特性、積層板と銅箔の接着強度、電気絶縁特性
等、高度な特性が要求される。従って、これらの改良の
目的として、不飽和ポリエステル樹脂液に、各種の添加
剤、混合物、あるいは充填剤等が配合されることは一向
にかまわず、なんら本発明を制限するものではない。
【0047】シート状基材に含浸されるエポキシ樹脂液
としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラッ
ク型エポキシ樹脂あるいはそれらの混合物、さらにこれ
等へ必要により反応性希釈剤を加えた混合物に、硬化剤
を組合せて用いることができる。エポキシ樹脂として液
状タイプのものを用いるのが好適である。
【0048】硬化剤としては、従来良く知られている酸
硬化型、あるいはアミン硬化型のものなど、どれでも適
応可能である。
【0049】特に本発明において、エポキシ樹脂と酸無
水物の硬化剤とからなるエポキシ樹脂液を用いると、樹
脂液の粘度を基材への含浸に適当な粘度即ち25℃にお
ける粘度が0.5〜30ポイズ、好ましくは1〜15ポ
イズにすることができ好適である。エポキシの硬化剤と
して一般に用いられる硬化剤は、種々のアミン系、アミ
ドアミン系硬化剤、ジシアンジアミド硬化剤、イミダゾ
ール系硬化剤などがあるが、これらでは物性の良好なビ
スフェノールA型のエポキシ樹脂を使うと、顕著に物性
の低下を伴うような多量の希釈剤を使わないかぎり粘度
を適当な範囲に調節するのが難しく、アミン系、アミド
アミン系硬化剤の場合はポットライフが短い。一方、ジ
シアンジアミド硬化剤、イミダゾール系硬化剤の場合ポ
ットライフは長いが、硬化のために高温長時間を要する
欠点がある。酸無水物硬化剤を用いる場合には、このよ
うな欠点は存在せず、本発明に適した硬化剤である。
【0050】さらに具体的に本発明のエポキシ樹脂液に
ついて述べると、エポキシ樹脂としては、ビスフェノー
ルA型の液状エポキシ樹脂が好適であるが、その他ビス
フェノールF型、ノボラック型などのエポキシも使用可
能であり、必要なら固体のエポキシ樹脂や希釈剤を混合
してもよい。酸無水物硬化剤としては、無水フタール
酸、テトラヒドロ無水フタール酸、ヘキサヒドロ無水フ
タール酸、メチル・テトラヒドロ無水フタール酸、メチ
ルヘキサヒドロ無水フタール酸、無水メチルエンディッ
ク酸などが使えるほか、これらの混合物を使っても勿論
よい。なかでも常温で液状のメチル・テトラヒドロ無水
フタール酸、メチルヘキサヒドロ無水フタール酸、無水
メチルエンディック酸は本発明の方法に好適である。
【0051】硬化助剤としては、市販の硬化助剤例えば
2−エチル−4−メチルイミダゾール、三弗化ホウ素錯
化合物、三級アミン類、ベンジルメチルアミン、ベンジ
ルジメチルアンモニウムクロライド、三級アミン塩等を
使うことができる。
【0052】又、シート状基材は長尺なガラス布が良
い。特に、プレ含浸によって、シランカップリング処理
を行ったものがよい。
【0053】含浸装置2には、図2の如く、樹脂液を溜
めたバス中へ基材6を通過させながら樹脂液を含浸する
方式と、図1の如く、水平搬送されるシート状基材1の
上面へノズルから樹脂液を供給するカーテンフロー方式
その他がある。
【0054】浸漬(ディップ)型の含浸方法は基材内部
に気泡を残しやすいので注意が必要である。
【0055】カーテンフロー方式等の片面から含浸させ
る方法では多数枚のシート状基材に同時に含浸できると
いう機械上のメリットや、気泡を除きやすい点ですぐれ
ている。しかしこの方法では、基材の上面より樹脂面で
ぬれ始め、巨視的に下面まで含浸が進んだ段階において
も、特に基材が紙の場合は、微視的には多数の気泡を含
んでいる。
【0056】しかし、気泡は徐々に消失し、ほとんどな
くなるまで通常7〜20分を要する。気泡の一部は硬化
の過程で消失するものがあるようだが、通常上記の如く
気泡が消失する以前に積層され硬化した場合は、製品の
内部に小さい気泡を含有することとなる。そのため積層
体の熱伝導性を損ね、従って、製品上に搭載された電子
部品に好ましくない過熱をまねいたり、積層体の透明性
や品位を損ねる。勿論含浸性は圧力、粘度、基材と樹脂
液の濡れ性(接触角)、時間等のパラメーターに依存し
て異なるが、一般的には上述の様相を呈する。
【0057】前記したごとく、通常7〜20分程度の含
浸時間を要するということは、それだけ含浸開始から樹
脂液含浸基材が積層(重ね合わせ)されるまでの間に含
浸基材を個別に搬送する距離を長くする必要性や、ある
いは全体のラインスピード(搬送速度)が低速に制限さ
れることになる。しかし実用化のためには、より速い含
浸速度の確保が好ましい事はいうまでもない。
【0058】従来法による製品中の気泡は、多分に含浸
条件や硬化の際の加熱、加圧条件と相関があって、含浸
時間は長い程、含浸基材内部の気泡を減少させ、成形圧
は高い程、硬化の際に残存気泡を樹脂層に溶解させるの
で、有利であると言われている。
【0059】しかし、長い含浸時間や高い成形圧は、生
産性は低下し、装置は大形化して不利である。
【0060】本発明は樹脂液を減圧処理することによっ
て、短い含浸時間で、かつ硬化の際の成形圧が実質的に
無圧であっても、製品中の気泡をほぼ完全に排除できる
ことを特徴とする。
【0061】本方法によれば、同一含浸方法及び同一製
造方法であって減圧処理はほどこさない他の方法と比較
すると、1/3〜1/10に含浸時間を短縮出来た。
【0062】本発明でいう減圧処理とは、樹脂液を大気
圧以下の環境にさらす処理を意味する。従って、たとえ
ば硬化用触媒の配合された樹脂液を耐圧容器に入れ、容
器中の空間を減圧する。又は減圧容器中に樹脂液を随時
注入する。又は樹脂含浸基材を一旦減圧容器中にて処理
する等の方法によって実施できるが、これに制限するも
のではない。前2者の場合、含浸時に大気に接触するが
差しつかえない。
【0063】いったん減圧処理した液は、容器中で大気
に略30〜60分放置しても効果を損ねない。減圧力条
件は、樹脂液中の溶剤やモノマーの蒸気圧によって決定
されるが2〜100mmHg程度が良い。処理時間は処
理方法に依って異なるが、減圧容器中に樹脂液を滴下す
る方法では数分程度で十分である。
【0064】減圧処理は、易揮発性の大量の溶剤を必要
とせず含浸可能な、かつ硬化反応過程で気体や液体等の
反応副生成物を実質的に発生せず、無圧成形可能な樹脂
液に対して、より効果的である。何故なら、溶剤による
減圧処理条件の制限を受けず、実質的に無圧成形が可能
であるが、この成形条件での気泡発生の危険を安全に回
避でき、硬化の際に加圧を必要としない。
【0065】特に、常温で液状である不飽和ポリエステ
ル樹脂が本発明の極めて好ましい実施態様の一つであ
り、粘度が0.1〜15ポイズ程度の市販のものはどれ
でも適応可能である。
【0066】不飽和ポリエステル樹脂の架橋用モノマー
としては、スチレンが一般的に使用されているが、スチ
レンの室温における蒸気圧は6mmHg程度であり、本
発明においてもスチレンを使用するのが好ましい。樹脂
液中のスチレンの占める割合は30〜50重量%程度が
一般的である。この場合は、圧力が2〜30mmHg程
度の容器に注入する方法で十分に目的が達せられる。
【0067】図1の装置は以上述べた減圧処理を含浸用
樹脂液に継続的に行い、さらに該減圧ずみ樹脂液を、搬
送されている多数枚のシート状基材に連続的に供給する
ものである。
【0068】樹脂液貯蔵部8は、パイプ15によって円
筒状密閉容器で構成した減圧装置9の上部に接続され
る。該パイプ15は一端を樹脂液貯蔵部8の底部に開口
し、他端は減圧装置9の上部に設けたノズルに連結され
ており、減圧装置9の負圧により、樹脂液は貯蔵部8か
ら送出され、パイプ15を通じて減圧装置9中へ噴出す
る。減圧装置9のノズルにコック16を設けることによ
り、或いは供液ポンプ(図示せず)を用いて噴出量を制
御しても可い。
【0069】減圧装置9は側面に脱気口を具え、リーク
バルブ17、コールドトラップ18を経て油回転型真空
ポンプ19に接続され、減圧装置9の内部は負圧、好ま
しくは340mmHg以下に減圧される。真空度はマノ
メータ20により制御される。減圧装置9の下部は樹脂
液供給ポンプ21を介して含浸装置2に連結されてい
る。
【0070】樹脂液貯蔵部8から抽出され、減圧装置9
中へ噴出した樹脂液は、減圧装置の円筒状密閉容器中を
落下する。減圧装置9中での落下距離を50〜100c
m程度にすれば、通常は減圧処理は終了する。落下した
樹脂液は常に一定量が容器下部に存在する様にしておく
と、減圧処理済み樹脂液を安定供給出来る。
【0071】樹脂液供給ポンプ21の能力に応じて背圧
を調整する必要のある時は、供給ポンプよりも円筒状密
閉容器の上方に位置させ、あるいは、減圧処理ずみ液を
いったんクッションタンク(図示せず)に貯蔵しても良
い。ついで、供給ポンプ21により樹脂液を含浸装置2
に供給するが、含浸バスを用いる場合、長時間バス内に
樹脂液が滞留してしまう装置は好ましいと言えない。基
材に樹脂液を直接に供給できるカーテンフロー方式等の
片面から供給する方法が好適である。オーバーフローし
た樹脂液は樹脂貯蔵部8に回収し、再び減圧処理に供す
る。
【0072】樹脂液を含浸した基材は多数枚連続的に搬
送され、続いて、例えばロール対で構成された積層装置
3を用いて重ね合わせ、同時に両面に、被覆用フィルム
あるいは接合すべき金属箔をラミネートし、無圧状態で
熱硬化炉4中へ搬送される。硬化終了後、所定の長さに
切断し、積層体7あるいは金属箔張り積層体を得る。
【0073】減圧処理は、セルロース繊維を主成分とし
た紙、ガラス布、ガラス繊維不織布、石綿布或いは合成
織布、合成繊維不織布など、従来法で使われているもの
はどれでも適応でき、紙やガラス布に特に効果的であ
る。
【0074】この方式はすぐれた生産性を確保し得る点
で驚くべきことであり、本発明者はかかる事実の理由に
関して十分な解明を行っていないが、減圧処理によって
樹脂液中に溶解している空気の溶解量が減少した結果、
処理後、樹脂液の空気の溶解可能量が増大し、それ故に
含浸時に基板にとじこめられた空気が、十分な速度で含
浸樹脂液中に溶解でき、硬化終了までの間に内部の気泡
が消滅してしまうものと推察している。減圧処理は、触
媒や改質剤等を樹脂液へ混合する時に巻きこまれた気泡
に除去する効果もあると考えられるが、それは本発明の
主眼ではない。粘稠な樹脂液中の脱泡を目的として静置
せる樹脂液を減圧下に処理することはよく知られてい
る。
【0075】従来行われている脱泡のため減圧処理は、
本発明で実施する減圧処理とは同じでないと考えられ
る。
【0076】何故なら、静置して十分に脱泡した4ポイ
ズの不飽和ポリエステル樹脂液を紙に含浸しても、含浸
速度は静置前のものに比して同等である。しかるに、本
発明で述べた減圧処理を樹脂液に施し、しかる後に、故
意にかきまぜ、気泡を含んだものを含浸すると、含浸紙
内部の気泡が消失する時間は著しく短縮されることから
推定される。
【0077】いずれにしても本発明により減圧処理する
ことによって、含浸時紙内の気泡が消失する時間は、通
常明らかに7分以下、2〜5分となる。ガラス布基材へ
のエポキシ樹脂液の含浸の場合も同等の効果がある。
【0078】本発明の減圧処理方法は、既述したごとく
静置せる樹脂液を減圧下にさらすよりは、むしろ減圧容
器に噴出させる等、処理する樹脂液の表面積を増大させ
る方法が好ましい。この方法によれば、たとえ処理液中
に気泡を含み、さらに供給時に気泡を巻きこんでも、本
発明の効果は失わない。本発明の方法によって減圧処理
をすれば、溶存している酸素を減少せしめる効果もあっ
て、不飽和ポリエステル樹脂の効果の際のラジカル反応
への酸素の影響を排除できる。
【0079】室温で液状である不飽和ポリエステル樹脂
の場合、通常の市販品は、0.03〜0.1%程度の水
分を含んでいる。本発明の減圧処理によって、これを
0.04%以下、好ましくは0.02%以下にすること
が、水分の気化にもとずく気泡を排除し、さらに硬化反
応を阻害せず、製造上及び製品性能上好ましい。
【0080】複数枚の樹脂含浸基材は、積層工程におい
て、それぞれが集束し、ロールとブレード状物、或いは
2本のロールを用いて積層される。この際、個々の含浸
基材に含浸或いは付着していた過剰な樹脂分は排除でき
る様に、ロールとブレード状物或いはロール間の間隔を
所望の製品厚みに応じて調節する。
【0081】積層と同時に、あるいはその後、別途設置
してあるラミネーターによって、被覆物がラミネートさ
れるが、この被覆物の巾方向の寸法が積層された樹脂液
含浸基材の両端部より出る程度のものがよい。この様な
被覆物を用いると、ラミネートの際樹脂液含浸基材積層
物の端部から過剰な樹脂液が絞り出される場合があって
も、かかる樹脂液を保持出来て好適である。
【0082】本発明はシート状基材を積層し、上下面に
フィルム状或いはシート状被覆物(以下単に「被覆物」
と略記することがある)をラミネートした後、硬化工程
に於いて連続的な加圧は本質的に不必要であるから、極
めて種々の被覆物が目的に応じて選択可能である。例え
ば含浸する樹脂が不飽和ポリエステル樹脂又はエポキシ
樹脂の場合、厚みが10〜200μm程度の各種離形紙
やセロハン、或いはテフロン、ポリエステル等の各種合
成樹脂フィルム、又はアルミニウム、銅、ステンレス、
鉄、リン青銅等の各種金属箔が使える。
【0083】図2の実施例に示す如く、被覆物10は樹
脂液の硬化後、積層体から剥離し、回収ロール22に巻
き取れば被覆物の再使用が出来、コスト面で望ましい。
この為には被覆物が硬化積層体から容易に剥離すること
が好ましく、熱硬化性樹脂と被覆物とを適切に組合せ、
必要であれば離形剤を使用する。
【0084】本発明においては、被覆物をエンドレスな
ベルト状にして使用すれば、被覆物の剥離、再使用が連
続的に出来て好ましい。この場合、厚さ1mm程度のシ
ート状物が使用出来、材料はステンレス、リン青銅、テ
フロンが好適である。
【0085】離形剤は、被覆物をラミネートする以前
に、積層体表面へ接する側の被覆物表面の全面又は両縁
部に予め塗布される。被覆物の全面に離形剤を塗布する
と、製品である積層体に離形剤が移行することがあり、
製品への各種ペーストやレジストの印刷性能を損ねて好
ましくない場合がある。その様な場合は、離形剤は積層
体の両縁部へ塗布することが好適である。なぜなら積層
体が熱硬化炉4を通過した後、被覆物を剥離してから製
品の両縁部を除去することにより、離形剤が塗布された
部位は製品となることがないので、既述の好ましくない
影響は排除出来る。離型剤はシリコーン系の離型剤が適
当であり、例えばダイフリーMS743(商品名、ダイ
キン工業株式会社製)が良い結果を与える。
【0086】以上、両面を被覆物でカバーした場合の電
気用積層体について記載したが、前記した被覆物を含浸
基材の積層物の片面に積層し樹脂液の硬化後に剥離する
が、積層物の他面には、被覆物の一種であるが剥離する
ことは目的としない張り合わせ用金属箔をラミネートす
ることにより、あるいは積層体の両面に張り合わせ用金
属箔を接合する目的でラミネートすることによって表面
の平滑性に優れた電気用積層体を製造出来る。
【0087】張り合わせ用金属箔としては、印刷回路板
の用途を目的とした電解銅箔が広く市場に出回ってお
り、これを用いることが耐食性、エッチング性、接着性
等の観点から好ましい。
【0088】次に、印刷回路用基板を目的とした電解銅
箔、電解鉄箔、或いはアルミニウム箔等を片面もしくは
両面に張り合わせた片面金属箔張り積層体及び両面金属
箔張り積層体について述べる。
【0089】市販のたとえば1オンス/ft2 の電解銅
箔を用いる場合、前述した理由によって、基材が特に紙
の場合、従来法のプレス成形品に比して、若干銅箔表面
の平滑性が劣る場合があるが、本発明者の検討によれ
ば、このことは、スクリーン印刷性のエッチング、その
他の特性の何らの悪影響をおよぼさない。
【0090】たとえば本発明において、不飽和ポリエス
テル系樹脂を使用する場合、前述した方法で直接に電解
銅箔等を接合しても、注意深く実施すれば実用的なもの
が製造できる。一層高性能な製品を得るためには、樹脂
含浸基材の積層時、もしくは積層後、積層体に金属箔を
連続的にラミネートする際、金属箔と積層体間に継続的
に接着剤を供給することにより、より好ましい金属箔張
り積層体が得られる。
【0091】従来行われていた加圧を必要とするバッチ
生産方式では、例えば紙基材フェノール樹脂銅張り板の
製造には、フェノール変成ブチルゴム系接着剤をB状態
に焼き付けた接着剤付電解銅箔が用いられているが、連
続製造方法においては、市販の接着剤付き金属箔を用い
るよりも、好ましくは、ラミネートの直前に金属箔へ塗
布し、次いで塗膜の適切な熱処理を行うことである。金
属箔と樹脂含浸基材との接着を効果的に達成するために
は、接着剤等は、溶剤等の除去すべき成分を含まず、か
つ硬化過程で、不必要な反応副生成物を発生しない、液
状もしくは半流動体、即ち粘度にして好ましくは500
0ポイズ以下であるような接着剤が好適である。かかる
観点から、たとえば不飽和ポリエステル系接着剤、エポ
キシ樹脂系接着剤、ポリイソシアネート系接着剤、もし
くはこれらの各種変成接着剤が好適である。
【0092】かかる接着剤の導入により、金属箔の接着
強度に優れ、かつハンダ耐熱性や電気絶縁特性に優れた
金属箔張り積層体を連続的に製造できる。
【0093】金属箔と積層体の間への供給方法は、金属
箔をラミネートする直前で金属箔にコーティングしても
よく、あるいは積層体表面にコーティングし、金属箔を
ラミネートしてもよく、あるいはラミネート時の接合面
に注入してもよい。
【0094】しかし、前記方法では、接着剤の供給方法
によっては、内部に気泡をまきこんだり、樹脂液の種類
と接着剤のある組合せでは、異常硬化や混合物の分離が
起こる場合があって、歩どまりや品質を低める場合があ
った。
【0095】以下、不飽和ポリエステル樹脂とエポキシ
系接着剤を用いた紙基材銅張り積層体を例にとって説明
すると、接着剤としては、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂とポリアミド樹脂からなる混合物等が好適である。
【0096】紙の巻き出しリレーから巻き出された紙は
含浸バスで樹脂液と接触し、樹脂含浸紙となり、たとえ
ば7枚の樹脂含浸紙がロール対で構成した積層装置3を
用いて重ね合わされ、この重ね合わされたものに電解銅
箔がラミネートされる。該箔には前記のごとく接着剤が
塗布されている。
【0097】エポキシ系接着剤を用いる場合、熱処理は
100〜150℃の温度で2〜7分程度行うのが良い。
ラミネートの際常温に冷却されてかまわない。この時指
触により若干の粘着性が残存する程度の熱処理が良い。
完全に指触乾燥を行うとポリエステル樹脂含浸紙との接
着を損ね、又、あまりに粘着的であると、その後の硬化
の過程での樹脂液と接着剤の混合が大きく、場合による
と、接着剤の性能が低下する場合がある。接着剤の塗膜
の厚みは10〜100μm程度でよく、殊に20〜40
μm程度が好適である。
【0098】ついで硬化炉4へ搬送される。この際必要
に応じて金属箔を接合した面の対面に、セロハンやポリ
エステルフィルム等のカバーフィルムをラミネートす
る。カバーフィルムに代えて金属箔を使用し、両面金属
箔積層体を製造することもできる。
【0099】硬化条件は、触媒、搬送速度等に適合して
選択されねばならないが、たとえば100℃、1時間が
良い。
【0100】以上のような方法によって、銅箔の剥離強
度が1.6〜2.0kg/cmであるNEMA規格にお
けるXP(エックスピー)〜XXXPC(トライエック
スピーシー)程度の銅張り積層体をすぐれた生産性で製
造できる。
【0101】以上述べたごとく本発明は、未だ工業的に
実用化されていない金属箔張り積層体の連続製造を可能
とした。
【0102】基材に含浸させる熱硬化性樹脂液は、常温
で液状のものが好ましいが、それに限定されず、常温で
固形であっても加熱により液状となるものであれば、本
発明の目的に使用出来ることは勿論である。次に本発明
の接着効果を一層向上する例を述べる。
【0103】不飽和ポリエステル樹脂を用い、接着剤と
してエポキシ系樹脂を用いる場合、両者の硬化の速度が
適合する観点から、アミン硬化型のエポキシ樹脂を用い
るのが好ましいが、この際不飽和ポリエステル樹脂硬化
用触媒として用いる過酸化物として、パーオキシジカー
ボネート類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオ
キサイド類、あるいはジアシルパーオキサイド類等を用
いるよりは、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオ
キサイド類あるいはパーオキシエステル類から選ばれた
一種あるいは複数の過酸化物を用いる事がハンダ耐熱性
や電気絶縁特性及び接着性において特に好ましい結果を
得る。樹脂液に対して0.5〜2.0部程度の配合量が
良い。これの理由については本発明者は十分に解明して
いないが、一般にハンダ耐熱性や電気絶縁特性及び接着
性は接着剤硬化物の性状に依存するが、樹脂含浸基材と
接着剤が接触し、硬化が終了する過程で、過酸化物の接
着剤層へ拡散、あるいは樹脂液と接着剤の混合が発生す
るものと推察でき、パーオキシジーカーボネート類やケ
トンパーオキサイド類あるいはハイドロパーオキサイド
類あるいはジアシルパーオキサイド類を用いた場合、こ
れらのものが、エポキシ樹脂の異常硬化を引きおこすこ
とがあって、得られる硬化物の性状が十分でない場合が
あるものと考えられる。
【0104】従って好ましい触媒としては、パーオキシ
ケタール類、例えば1−1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)3.3.5−トリメチルシクロヘキサン、1−1−
ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブ
チル−4.4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレー
ト、ジアルキルパーオキサイド類として、例えばジ−t
−ブチルパーオキサイド、2.5−ジメチル−2.5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、パーオキシ
エステル類として、例えばt−ブチルパーオキシアセテ
ート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパー
オキシベンゾエートなどである。不飽和ポリエステルと
しては、不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸及びグリコール
によって合成される良く知られているもの、あるいはビ
スフェノールA型ポリエステル樹脂、あるいは又ビニル
エステル型の樹脂でも良い。架橋用モノマーとしては、
スチレンが一般的であり、本発明にも好適である。
【0105】エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA
型のものが好適であり、アミン硬化剤としては、脂肪族
アミン、芳香族アミンなど、良く知られているものはど
れでも適応できる。さらに、ポリアミド樹脂、末端アミ
ノ基ポリブタジエンニトリルゴムなどもこの種の硬化剤
として良い。あるいは、上記硬化剤の混合物などが良
い。
【0106】以上述べたごとき方法を注意深く実施する
ことにより、性能の優れた金属箔張り積層体を効率良く
製造することが出来るが、さらに、特に樹脂含浸基材と
接着剤とが接触する部分に、ビニル基等の不飽和二重結
合とエポキシ基を併せ有する化合物、例えばグリシジル
メタアクリレート、グリシジルアリルエーテル、部分的
にエポキシ化された大豆油等を介在せしめることによ
り、不飽和ポリエステル樹脂層とエポキシ樹脂層の親和
性が一層向上し、製造条件の変動によって生ずる界面で
の剥離による不良品の発生を抑制するのに効果的であ
る。
【0107】又、基材にエポキシ樹脂を含浸する場合、
特に、基材がエポキシ樹脂用に表面処理された市販のガ
ラスクロスであり、市販の印刷回路用電解銅箔を用いる
場合は、エポキシ樹脂は銅箔との接着性が良好であるの
で、前記のごとき接着剤を導入しなくとも、銅箔の接着
強度に優れた製品を得ることが出来る。基材に不飽和ポ
リエステル樹脂或いはエポキシ樹脂を含浸している場
合、銅箔表面へ表面処理剤特にシランカップリング剤を
適用すると更に良い結果が得られる。この表面処理剤の
塗布は、金属箔表面に接着剤を塗布する場合にそれに先
立って実施する。
【0108】シランカップリング剤としては、一般的に
無機物と有機物の接合面に使用されるものはどれでも適
応可能であるが、ユニオンカーバイド製A−1100、
A−187が好適であった。
【0109】シランカップリング剤の0.1−1%アル
コール類溶液或いは水溶液を金属箔へ薄く連続して塗布
し、しかる後連続的に乾燥するのが良い。
【0110】本発明に於いては、表面処理剤を用いるか
否かに拘らず、金属箔を熱風炉中を通過させて100℃
の熱風で数分間乾燥するのが良い。
【0111】基材も同じく含浸工程の直前で熱風又は蒸
気加熱シリンダーによって、100℃で数分乃至20分
間乾燥する。乾燥によって付着している水分を除去し、
接着剤や樹脂との接着性を向上した。製品のソリ、ねじ
れ等の変形を最小限度にとどめるため、次の発明に到達
した。
【0112】一般に硬化型樹脂は、硬化とともに体積が
収縮し、樹脂内部の残留ひずみ、製品のソリやねじれの
原因となる。又、樹脂の硬化が完結していない場合は、
製品がその後加熱される環境下におかれた場合、あらた
なソリやねじれを発生する。又硬化が不完全であると、
耐熱性、耐薬品性、機械的特性が著しく低下させる。
【0113】又、樹脂の硬化が完結していない場合は、
製品がその後加熱される環境下におかれた場合、あらた
なソリやねじれを発生するのみならず、硬化が不完全で
あると、耐熱性、耐薬品性、機械的特性などの性状を著
しく低下させる。本発明者の研究によれば、積層体を連
続的に製造する際、硬化を完結させる為には、極めて最
大な硬化装置、あるいは、極めて遅いラインスピードを
必要とする問題がある。
【0114】本発明は、積層体の硬化がある適度進行し
た段階で切断し、しかる後、定尺寸法に切断したもの
を、多層積み上げ、加熱室に入れて硬化を進行させる事
により、切断後多量の積層体の硬化を同時に進めること
ができる。従って、積層体の連続製造工程で進める硬化
は、ギロチンカッターで十分切断可能で、且つラミネー
トされている被覆物が障害なく剥離できる状態までの硬
化で十分である。その結果、経済的且つ現実的な硬化装
置とラインスピードによって積層体の製造が可能となっ
た。
【0115】たとえば不飽和ポリエステル樹脂を用いる
場合、十分な硬化を進める為に通常100℃で10時間
を要するものであっても、切断が可能となるのは15分
程度で十分である。
【0116】樹脂層の硬化収縮による残留ひずみは、巾
方向はソリとして開放させることによって比較的容易に
除去できるが、長尺方向の残留ひずみは長尺体であるが
故に通常除去することが出来ず、従って、製品のタテ、
ヨコ方向での残留ひずみに異方性を生じる。そのため製
品がその後加熱環境におかれた時のソリの増大やねじれ
の原因となる。
【0117】本発明においては、切断後さらに硬化を進
めるので、その硬化過程で実用上さしつかえない程度に
ソリや残留ひずみを等方向にできる。金属箔張り積層体
のソリの大きさは用いる樹脂により異なり、一般的にエ
ポキシ樹脂系の場合小さく、不飽和ポリエステル系樹脂
やジアリルフタレート系樹脂は大きい。又、同一種類の
樹脂であっても、組成内容によって変化する。たとえば
不飽和ポリエステル樹脂と紙からなり厚さ35μmの銅
箔を張った厚さ1.6mmの積層体は、JISC−64
81に定めるソリ量が0.5〜30%程度の範囲があ
る。
【0118】しかし前記した連続体を切断した後、なる
べくは連続熱硬化炉の温度より高温で、あるいは実用上
製品がさらされる環境と同様の温度で硬化を進め、しか
る後機械的なソリの修正を行うことにより実質的に平坦
とすることができた。この製品は、実用上たとえば加熱
環境下で、製品に発生するソリは著しく減少することを
見い出した。
【0119】次に本発明の製造条件を種々違えて実施し
た状況を述べる。各実施例で製造した製品の特性は、表
6〜9中に、まとめて記載した。
【0120】実施例1 製造装置として、図2に示したものを用いた。不飽和ポ
リエステル樹脂液として、マレイン酸、イソフタル酸及
びエチレングリコールを原料とし、それぞれのモル比が
82:18:100となるよう常法によって合成された
不飽和ポリエステルに、重合性単量体としてスチレンを
37重量%となるように添加し、25℃での粘度が5ポ
イズであるものを得た。このもの100重量部に対し
て、硬化触媒としてクメンハイドロパーオキサイド1重
量部及び硬化助剤として6%ナフテン酸コバルト溶液
0.2重量部を配合し、不飽和ポリエステル樹脂液組成
物を得た。この樹脂液組成物硬化体の性状は表1のごと
きであった。
【0121】
【表1】
【0122】シート状基材として、表2に示すセルロー
ス繊維を主体とした市販のクラフト紙を用いた。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】なお、ポリエステルフィルムは一対のロー
ルからなる被覆物剥離装置24によって剥離し、被覆物
巻き取り装置によって巻きとった。ラミネートローラー
の間隔調節を行い、ポリエステルフィルムをラミネート
した直後において、2枚の含浸紙基材に対する樹脂液の
重量比率は約55%になるにした。このようにして最終
的に、厚さが0.50mm、外形寸法が1020mm×
1020mmの積層体を連続的に製造した。積層体は4
0℃の5%カセイソーダ水溶液に30分浸漬する耐アル
カリ性テスト及び沸騰トルエンに2分間浸漬する耐溶剤
性を試験したが、全実施例を通じて異常なかった。
【0126】実施例2 実施例1において、記載の乾燥装置12として熱風乾燥
装置を運転し、100℃、10分間の条件にて紙基材を
連続的に熱風乾燥装置中を通過させた。他の条件は実施
例1と同様である。
【0127】実施例3 実施例2において、連続的に搬送する紙基材の枚数を5
枚とし、厚さが1.5mmの積層体を製造した。ラミネ
ートローラの間隔調節を行い、5枚の含浸紙基材に対す
る樹脂液の重量比率は約60%とした。
【0128】実施例4 実施例3において、不飽和ポリエステル樹脂液を市販の
リゴラック150HRN(昭和高分子製)とした。な
お、製品の硬化体のガラス転移温度は、120℃であっ
た。
【0129】実施例5 実施例3において、不飽和ポリエステルを次のものに変
更した。即ち、マレイン酸、イソフタル酸、ジエチレン
グリコールを原料とし、それぞれのモル比が、32:6
8:100になるように常法によって合成された不飽和
ポリエステル樹脂にスチレンを37重量%となるように
混合した。この樹脂液は25℃での粘度が4.5ポイ
ズ、常温で液状不飽和ポリエステル樹脂である。なお、
この樹脂液から得られる硬化体のガラス転移温度は約5
5℃であった。
【0130】実施例6.7.8 実施例3、4及び5で採用したデイプ方式の含浸方法を
それぞれ変更し、紙基材上方より樹脂液を流下させる、
いわゆるカーテンフロー方式による片面含浸法とした。
この結果、製品中の微視的な気泡は実施例1〜5に較べ
て殆どなくなり、ハンダ耐熱性が一層良好な製品が得ら
れた。なお、製品の試験結果は、それぞれ実施例3、4
及び5の結果と同等であった。
【0131】実施例9.10及び11 実施例6、7及び8に於いて、樹脂液を予め減圧処理
し、含浸時間を4分に短縮した。減圧処理は図1にその
1例を示すごとく、内径30cm、高さ100cmの密
閉可能な円筒状容器の上方により、樹脂液を10L/m
inの割合で内部に噴出させ容器内の圧力が常に20m
mHgとなるように調節した。この減圧処理した樹脂液
を該円筒容器の下部よりポンプで抜きとり紙基材の上方
へ供給した。製品中には気泡は殆ど存在せず、製品の特
性は、含浸時間を大巾に短縮したにも拘らず、実施例
3、4及び5の結果と夫々同様であった。
【0132】実施例12.13及び14 実施例3、4及び5において、硬化用触媒として使用し
たクメンハイドロパーオキサイドを脂肪族系のパーオキ
シエステル類であるt−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエートに変更した。この製品では180℃30
分の加熱条件で発生する臭気は、それぞれ著しく減少し
た。なお、硬化後得られた積層体を切断し、さらに硬化
をすすめる為に、100℃の熱風炉で10時間熱処理し
た。この積層体はハンダ耐熱性、寸法安定性、絶縁特性
等の品質の安定したものが得られた。
【0133】実施例15 実施例14で用いた不飽和ポリエステル樹脂組成物(実
施例5で合成した不飽和ポリエステル樹脂100重量部
に対して、実施例14で示したt−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート1重量部及び6%ナフテン酸
コバルト0.2重量部)を用いて、実施例9、10及び
11で示した減圧処理及び含浸方法を施した。含浸時間
5分、硬化温度100℃、硬化時間22.5分となるよ
うに基材の搬送速度を4倍とした。その他の製造条件、
実施例1と同じ。22.5分の硬化時間の後、切断し、
積層体を得たが、この硬化時間では硬化が不十分で、品
質的には十分でなかった。そこで切断後、さらに充分な
硬化をすすめるために熱風炉中で100°、10時間、
160℃10分の条件で熱処理する工程を付加すること
によって、特にハンダ耐熱性、加熱収縮率の良好な品質
の製品を得た。熱風炉を別途設け、切断後に熱処理工程
を付加するだけで、実施例1の装置の生産能率は、一挙
に4倍に向上した。
【0134】実施例16 実施例1の紙基材に、次のごときプレ含浸処理をほどこ
した。長尺な紙をN−メチロールアクリルアミドの8%
メタノール溶液に5分間浸漬し取出した後、約30分間
風乾を行い、更に100℃で20分間加熱乾燥する工程
を連続的に行って、長尺なN−メチロールアクリルアミ
ド処理紙を得た。N−メチロールアクリルアミドの紙へ
の付着量は11.2%であった。上記の長尺な処理紙を
巻き物にしたものを5巻用意し、これ等を連続的に個別
に搬送しながら、実施例15の方法と同様にして、厚さ
1.5mmの積層板を得た。特性は実施例15に比し
て、吸湿処理におけるハンダ耐熱性や電気的特性の改良
が著しい。
【0135】実施例17 実施例16は、被覆フィルムが紙基材の凹凸へ追従し
て、表面にゆるやかな、うねり状の起伏がみられた。実
施例16における、この被覆物を、厚さ100μm、い
わゆるBA表面仕上げの長尺なステンレス箔(材質SU
S304)に変更して製造した。又このステンレス箔の
表面粗さRmax=2.5ミクロン、剛性値=1.86
kg・cmであった。製品は、上記の起伏が消え、表面
平滑性の評価は優となり、表面の外観、各種レジストや
ペーストの印刷性や、これらインクの転移性において申
し分のないものであった。
【0136】実施例18 実施例1で説明した紙基材に次のプレ含浸処理をぼとこ
した。即ち、オレイン酸モノグリセリド(理研ビタミン
油リケマールOL−100)1.5重量部を溶解したメ
タノール50重量部に、メチロールメラミン(日本カー
バイド工業 ニカレジンS−305)6重量部を溶解し
た水50重量部を強く攪拌しながら注ぎ込み懸濁状態の
処理液を調整した。この処理液に上記の長尺な紙を連続
的に浸漬し、取出した後、120℃で20分加熱乾燥し
た長尺処理紙基材をロール状に巻いた。実施例17にお
いて、長尺な処理紙を上記のものに変更して、厚さが
1.5mmの積層体を得た。製品の特性は表6、表7、
表8、表9に示している。これは実施例17の製品の特
性と略同表であった。
【0137】実施例19 実施例18は、樹脂液含浸基材の両側にステンレス箔を
ラミネートし、これを硬化後ハクリして積層体を製造し
たものであったが、積層体の片側を、市販の1オンス/
ft2 の電解銅箔(福田金属箔粉工業製、T−7)に変
更し、この電解銅箔を硬化後剥離せず、反対側のステン
レス箔のみを剥離して銅箔張りの積層体を得た。その条
件は、実施例18と同等である。
【0138】実施例20 実施例10の製品は反り量が大きい欠点がある。そこで
反り直し工程を付加し、3本のロール間の間隙を調節し
て修正し、反り量を大巾に改良した。
【0139】実施例21 実施例19で得た製品の銅箔の接着強度やハンダ耐熱性
の試験結果値を改良する目的で、実施例19において長
尺な電解銅箔をラミネートする前に、接着剤をコーティ
ングする工程を付加した。接着剤は、表4の配合であ
る。銅箔への塗り厚は60μmとした。
【0140】
【表4】
【0141】製品の電解銅箔の剥離強度は、JISの基
準を良好に満たしていた。
【0142】実施例22 実施例21において、接着剤を電解銅箔にコーティング
した直後、電解銅箔を熱処理装置中に通し、100℃、
5分間熱処理工程を付加して、片面銅箔板を製造した。
ハンダ耐熱性、電解銅箔の剥離強度の特性は向上した。
【0143】実施例23 実施例22の硬化用触媒を、パーオキシケタール類であ
る1−1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3.3.5−
トリメチルシクロヘキサンに変更した。製品の特性は、
吸温時(条件はC−96/55/95)のハンダ耐熱が
10〜27秒に向上した。その他の特性は実施例22と
同等であった。
【0144】実施例24 実施例23に硬化助剤を添加しない場合を実験した。製
品の特性は実施例23と同等であった。
【0145】実施例25 実施例23において、接着剤を電解銅箔上にコーティン
グする前に、シランカップリング剤(UCC製A−18
7)0.5重量%含む水溶液を電解銅箔の表面へ約10
μmの厚さに連続的に塗布する工程、ついで、100℃
2分の条件で乾燥する工程を付加して片面銅張り板を製
造した。特にハンダ耐熱性と電解銅箔剥離強度が向上し
た。
【0146】実施例26 市販の長尺なガラス布(日東紡績製WE18K−ZB)
を8枚連続的に搬送しながら、まず、100℃、10分
の条件で連続的に乾燥し、ついで、実施例9、10及び
11と同等な方法で減圧処理した常温で液状の表5に示
すエポキシ樹脂組成物(粘度は25℃で6.5ポイズ)
をカーテンフロー方式によりガラス布上方より流下させ
た。
【0147】
【表5】
【0148】含浸時間10分。8枚のガラス布を積層
し、両面へ予めシランカップリング剤(UCC製−A−
1100)を塗布した市販の電解銅箔(福田金属製T−
7)を連続的にラミネートした。ラミネートローラの間
隔調節を行い、含浸基材に対する樹脂液の重量比率は約
58%となる様にした。ついで、130℃、60分間連
続的に硬化せしめ、切断し、ついで、180℃、2時間
さらに熱処理して外形寸法が1020mm×1020m
m、厚さ1.6mmの製品を得た。全ての特性において
バランスがよく優秀な積層体が得られた。
【0149】
【表6】
【0150】
【表7】
【0151】
【表8】
【0152】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用する装置の概略を示す説明
図である。
【図2】本発明の実施に使用する装置の他の例を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 基材供給部 2 含浸装置 3 積層装置 4 連続加熱炉 6 基材 7 積層体 10 被覆物 23 ラミネート装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 3/00 R 6921−4E // B29K 101:10 105:06 (72)発明者 上北 正和 兵庫県神戸市灘区高羽町5丁目5の21− 401 (72)発明者 阿部 雅治 兵庫県神戸市灘区大石東町1−1−1 ド ルミ灘604号 (72)発明者 伏木 八洲男 大阪府高槻市大畑21−1番437号 (72)発明者 一色 実 兵庫県神戸市兵庫区吉田町1−2−29 (72)発明者 川崎 邦雄 兵庫県明石市大久保町山手台3丁目3番地

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シート状基材へ本質的に乾燥工程を必要と
    せず硬化反応過程で気体、液体等の反応副生成物を殆ん
    ど発生しない常温で液状の熱硬化性樹脂液を含浸せし
    め、該樹脂含浸基材の複数枚を連続的に搬送し、連続的
    に積層した後に、該樹脂液含浸積層基材の両面にフィル
    ム状或いはシート状被覆物をラミネートし、次で成形圧
    が実質的に無圧の条件下で連続的に硬化せしめる電気用
    硬質積層体の連続製造方法において、 樹脂液含浸基材を連続的に積層する過程、積層基材をラ
    ミネート装置へ連続的に搬送する過程、積層基材に被覆
    物をラミネートする過程の何れかの1又は複数の過程に
    おいて、積層基材と被覆物とがラミネートされる面に、
    新たに熱硬化性樹脂液を供給する方法によって、被覆物
    をラミネートした後の樹脂液含浸基材に含まれる樹脂液
    が樹脂液含浸積層基材に対し30〜80重量%の範囲内
    にある所望特定量に調節し、樹脂液含浸積層基材の硬化
    は、シート状被覆物を積層基材表面に接着しないとき
    は、積層基材表面から障害なく剥離可能な適度以上であ
    ることを特徴とする電気用硬質積層体の連続製造方法。
  2. 【請求項2】前記新たな熱硬化性樹脂液の供給は、あら
    かじめ個々の基材に対し過剰に含浸された樹脂液量を排
    除する工程の前、同時又は後に実施される請求項1に記
    載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004277462A (ja) * 2003-03-12 2004-10-07 Sumitomo Bakelite Co Ltd 透明複合体組成物

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