JPH0568846A - ハロン系溶剤蒸気の凝縮装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ハロン系溶剤蒸気流中のハロン成分を効率良
く凝縮させて回収する。 【構成】 ハロン系溶剤を含む蒸気を排気する回転ポン
プ７と、該回転ポンプ７に接続して前記蒸気流を通導さ
せハロン成分を凝縮させて他の気体成分と分離させるた
めの凝縮管１、該凝縮管１に接続され凝縮管内の圧力と
気流及び液流の方向を調節する複数個の調整バルブ５ａ
〜５ｃと、前記凝縮管１を冷却するための冷却槽４と、
前記凝縮管１の排出口９ａに接続して凝縮されたハロン
成分をトラップするための冷却トラップ１０を備え、前
記回転ポンプ７の吐出圧を利用して前記凝縮管内部を加
圧するとともに前記冷却槽４を介して冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ハロン系溶剤蒸気中の
ハロン成分の凝縮装置に関し、特に、ハロン系溶剤を含
む蒸気流中からハロン成分を効率良く凝縮して回収する
ことができるハロン系溶剤蒸気の凝縮装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】トリクロロエチレン、テトラクロロエチ
レン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロン系溶剤は、
電気・機械部品の洗浄剤、ドライクリーニングの洗浄
剤、有機物の溶剤等として多量に使用されている。これ
らの物質は、動物実験で発ガン性、肝障害が認められて
おり、ハロン系溶剤の使用による大気、水質等の環境汚
染が社会的に問題となっている。これらのことから、ハ
ロン系溶剤の使用により発生する排気ガス、廃液中のハ
ロン成分は、回収して再利用することが望まれている。

【０００３】ハロン系溶剤を加熱等して発生する蒸気
流、排気ガス等の気体中のハロン成分の回収法として
は、その気体をコンデンサー中で加圧しながら冷却して
ハロン成分を液化する加圧／冷却凝縮法、多孔性の吸着
剤に吸着させる吸着法、高沸点溶剤に吸収させる吸収法
等が実用化されている。特に、加圧／冷却凝縮法は、各
種ハロンやフロンの如き揮発性の高い溶剤や冷媒の回収
法して広く利用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法で使
用している既存のコンデンサーは、冷媒ガスを通導する
冷却コイル等をコンデンサーのタンク内に装備する冷却
方式であるため、ハロンやフロン成分を凝縮させる際の
熱交換効率が冷却コイル等の表面積に依存されやすく、
ハロンやフロン成分を含有する気体の排気量が多い場合
やこれらの成分の含有量が低い場合には、コンデンサー
装置を全体的に大型化する必要がある。その結果、装置
の据付面積を広く要し、かつ、装置の制作費、稼働費等
がコスト高となる。また、ハロンやフロン成分を含む気
体中の水分量が多い場合には、冷却コイル等の表面に水
分が凍結しやすく、凝縮効率を著しく悪くする。

【０００５】本発明は、上述した点に鑑みてなされたも
ので、凝縮管内に通導させたハロン系溶剤蒸気流中のハ
ロン成分を加圧／冷却下で効率良く凝縮させて回収する
ハロン系溶剤蒸気の凝縮装置を提供することを目的とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのために本発明のハロ
ン系溶剤蒸気の凝縮装置は、ハロン系溶剤を含む蒸気を
排気する回転ポンプと、該回転ポンプに接続して前記蒸
気流を通導させハロン成分を凝縮させて他の気体成分と
分離させるための凝縮管、該凝縮管に接続され凝縮管内
の圧力と気流及び液流の方向を調節する複数個の調整バ
ルブと、前記凝縮管を冷却するための冷却槽と、前記凝
縮管の排出口に接続して凝縮されたハロン成分をトラッ
プするための冷却トラップを備え、前記回転ポンプの吐
出圧を利用して前記凝縮管内部を加圧するとともに前記
冷却槽を介して冷却することにより凝縮管内に通導させ
たハロン系溶剤を含む蒸気流中のハロン成分を加圧と冷
却して凝縮させて回収することを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明のハロン系溶剤蒸気の凝縮装置では、真
空ポンプの吐出圧を利用して前記凝縮管内部を加圧する
とともに前記冷却槽を介して冷却するので、ハロン系溶
剤を含む気体中のハロン成分が空気等の気体成分に比べ
て比重が大きく、かつ、加圧／冷却下で液化し易い物性
を利用し、その凝縮管内に通導させたハロン系溶剤蒸気
流中のハロン成分を加圧／冷却下で効率良く凝縮させて
回収することができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき詳述
する。

【０００９】図１は本発明のハロン系溶剤蒸気の凝縮装
置の１実施例を示す側断面図、図２は金属性円筒管２を
５列に並列に配管した場合における凝縮管１を上方から
見た図であり、１は凝縮管、２は金属製円筒管、３ａ〜
３ｇは金属製接続管、４は冷却槽、５ａ〜５ｃは調整バ
ルブ、６はドレンバルブ、７は回転ポンプ、８はバッフ
ァータンク、９ａは排出口、９ｂは排出口、１０は冷却
トラップ、１１はドレン口、１２はハロン系溶剤蒸気の
発生源を示す。

【００１０】図１において、凝縮管１は、冷却槽４内に
配置され、金属製接続管３ａ〜３ｇを用いて熱交換面積
が大きく、耐圧性に優れた複数の金属製円筒管２を直列
に配列配管したものである。この凝縮管１では、金属製
接続管３ａを通して発生源１２より発生したハロン系溶
剤蒸気を前段の金属製円筒管２に導入し、上部の金属製
接続管３ｂと下部の金属製接続管３ｃを交互に配置して
蛇行するように複数の金属製円筒管２を直列に接続する
と共に、それぞれの金属製円筒管２の下端に金属製接続
管３ｄを接続して金属製接続管３ｅで共通接続してい
る。そして、この下端の金属製接続管３ｅからハロン成
分の凝縮液を回収し、最終段の金属製円筒管２の上部に
金属製接続管３ｆを接続してハロン成分を除去した気体
を放出するように構成している。

【００１１】冷却槽４は、５℃〜−４０℃に冷却された
流液が供給され、凝縮管１に導入されたハロン系溶剤蒸
気を冷却することによって、ハロン成分を凝縮分離させ
るものである。凝縮管１の給気口である金属製接続管３
ａには、圧力緩衝用のバッファータンク８を介してオイ
ルレス真空ポンプの如き回転ポンプ７が接続されてい
る。凝縮管１の出口部の金属製接続管３ｆと３ｅには、
調整バルブ５ａ〜５ｃとドレンバルブ６が接続され、排
出口９ａには凝縮液をトラップするための冷却トラップ
１０が接続されている。排出口９ｂは空気等の気体の排
気口であり、ドレン口１１は、水分などの排出口であ
る。発生源１２は、電気・機械部品の洗浄装置やドライ
クリーニング装置等のハロン系溶剤蒸気の発生源であ
る。

【００１２】次に動作を説明する。上述した如き構成に
おいて、発生源１２により発生したハロン系溶剤蒸気
は、回転ポンプ７により吸引されバッファータンク８を
介して凝縮管１に導入される。該凝縮管１内において、
調整バルブ５ａ〜５ｃを調整して回転ポンプ７の吐出圧
により前記蒸気流を加圧するとともに、冷却槽４を介し
て冷却することにより前記蒸気流中のハロン成分を凝縮
し、空気等の気体成分と分離する。

【００１３】前記凝縮管１の中で凝縮されたハロン成分
の凝縮液は、金属製接続管３ｄ、３ｅより調整バルブ５
ａを通して排出口９ａから冷却トラップ１０に導かれて
液体として回収される。また、空気等の気体成分の大部
分は、凝縮管１の排出口９ｂより大気中に放出される。
この際、凝縮管１の調整バルブ５ｂを閉じ、５ａと５ｃ
を調整して開放することにより、空気等の気体成分は、
排出口９ａから冷却トラップ１０を経て大気中に放出さ
せることもできる。また、ハロン系溶剤蒸気中に含まれ
る水分は、凝縮管１内の圧力と温度を調整することによ
り、凝縮管１の内壁に凍結させることも、前記ハロン成
分の凝縮液と共に冷却トラップ１０に液体としてトラッ
プすることもできる。

【００１４】上記した如く、水分を凝縮管１の内壁に凍
結させた場合は、適時該凝縮管１の内部を加温すること
により、水分は液体として凝縮管１のドレン口１１より
排出される。

【００１５】なお、本発明は、上記の実施例に限定され
るものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記
の実施例では、金属製接続管３ｂ、３ｃを用いて金属製
円筒管２を直列に配列配管する際に、金属製円筒管２の
上端、下端より中寄りを接続部としたが、上端、下端を
接続部としてもよい。また、金属製円筒管、金属製接続
管を用いたが、金属製でなく合成樹脂や新素材を使った
円筒管を用いてもよいことはいうまでもない。さらに、
入口部と出口部との間で凝縮管１を１列にして配列配管
したが、複数列にして配列配管するように構成してもよ
い。金属性円筒管２を５列に並列に配管した場合におけ
る凝縮管１を上方から見た図が図２である。例示した如
く金属製円筒管２と金属製接続管３ａ〜３ｇを組み合わ
せて配列配管し凝縮管１を構成することにより、凝縮管
１の大きさ、形状等幾多の変更が可能であり、ハロン系
溶剤蒸気の必要処理容量に応じて凝縮管の凝縮能力を高
めることができる。

【００１６】

【発明の効果】以上詳述した如く、本発明は、金属製円
筒管を配列配管した凝縮管により、該凝縮管にハロン系
溶剤を含む蒸気流を導通させ、加圧と冷却により揮発性
が高くかつ、比重の大きいハロン成分を効率良く凝縮さ
せて他の気体成分から分離して回収することができる。
しかも、既存の加圧／冷却型コンデンサーと比較して、
金属製円筒管を配列配管した凝縮管を使用しているた
め、熱交換表面積を広くとることができ、加圧及び冷却
し易く、コンパクトで耐圧性に優れ、かつ、凝縮効率が
良いハロン系溶剤蒸気の凝縮装置を作製することができ
る。また、ハロン系溶剤蒸気中に含まれる水分は、凝縮
管内の圧力と冷却温度を調整することにより、表面積の
広い凝縮管の内壁に凍結させることも、ハロン成分の凝
縮液と共に液体としてトラップすることもできる。その
ため、既存の加圧／冷却型コンデンサーと比べて、水分
の凍結による熱交換効率の低下を少なくすることができ
る。更に、本発明で使用している凝縮管は、金属製円筒
管と金属製接続管を組み合わせた構造をとっているた
め、該凝縮管の大きさ、配列方法等の形状において幾多
の変更が可能であり、ハロン系溶剤蒸気の必要処理容量
に応じたコンパクトで効率の良い凝縮装置を作製するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のハロン系溶剤蒸気の凝縮装置の１実
施例を示す側断面図である。

【図２】 金属性円筒管２を５列に並列に配管した場合
における凝縮管１を上方から見た図である。

【符号の説明】

１…凝縮管、２…金属製円筒管、３ａ〜３ｇ…金属製接
続管、４…冷却槽、５ａ〜５ｃ…調整バルブ、６…ドレ
ンバルブ、７…回転ポンプ、８…バッファータンク、９
ａ…排出口、９ｂ…排出口、１０…冷却トラップ、１１
…ドレン口、１２…ハロン系溶剤蒸気の発生源

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀井 克利 東京都世田谷区上用賀４丁目37番６号財団 法人 競走馬理化学研究所内 (72)発明者 嶌本 淳 東京都世田谷区上用賀４丁目37番６号財団 法人 競走馬理化学研究所内 (72)発明者 田中 春夫 東京都世田谷区上用賀４丁目37番６号財団 法人 競走馬理化学研究所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハロン系溶剤を含む蒸気を排気する回転
   ポンプと、該回転ポンプに接続して前記蒸気流を通導さ
   せハロン成分を凝縮させて他の気体成分と分離させるた
   めの凝縮管と、該凝縮管に接続され凝縮管内の圧力と気
   流及び液流の方向を調節する複数個の調整バルブと、前
   記凝縮管を冷却するための冷却槽と、前記凝縮管の排出
   口に接続して凝縮されたハロン成分をトラップするため
   の冷却トラップを備え、前記回転ポンプの吐出圧を利用
   して前記凝縮管内部を加圧するとともに前記冷却槽を介
   して冷却することにより凝縮管内に通導させたハロン系
   溶剤を含む蒸気流中のハロン成分を加圧と冷却して凝縮
   させて回収することを特徴とするハロン系溶剤蒸気の凝
   縮装置。
2. 【請求項２】 前記凝縮管内は、冷却槽内に配置されて
   いることを特徴とする請求項１記載のハロン系溶剤蒸気
   の凝縮装置。