JPH0567850B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は居住空間を灯油の燃焼で暖房する石油
ストーブに関するものである。

従来の技術 従来の石油ストーブは第７図に示すように灯油
タンク１の中の灯油面２Ｆに綿あるいは、グラス
フアイバー織布で作られた灯芯３を接触させ、こ
の灯芯３の液体吸上げ作用で上昇してきた灯油を
燃焼器４の熱で気化させて燃焼させているため、
燃焼を停止するには、灯芯３と一体にされたレバ
ー５を下方に下げて燃焼器４より灯芯３を遠ざけ
灯油の気化を極度に小さくすると同時に灯芯３へ
の空気供給を停止するようにして達成していた。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら上記のような構成では、灯芯３を
レバー５で下げても灯油の気化が周囲の熱容量が
あるためにすぐには停止せず、しかも燃焼器も加
熱しているため、気化ガスがこの燃焼器に接触し
て加熱変質し悪臭を出すものであり石油ストーブ
の最大欠点とされるものである。本発明はかかる
従来の問題を解消するもので、石油ストーブを消
火しても悪臭が発生しないようにすること目的と
する。

さらには、通常の消火以外に地震、石油ストー
ブの転倒事故の際に緊急消火が可能な手段を与え
ることも目的とする。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明の強制給油
式石油ストーブは、灯油タンクより灯油を吸い上
げ、気化素子に送油するピエゾ素子と逆止弁ユニ
ツトからなる給油ポンプと、気化素子より気化し
た灯油に空気を混合し燃焼させる燃焼器と、石油
ストーブの振動ないし転倒を検知する振動検知器
と、前記振動検知器の信号と連動して、前記給油
ポンプの逆止弁ユニツトを電気的に反転駆動して
送油方向を燃焼時と逆転する送油逆転装置を備え
たものである。

作 用 本発明は上記した構成によつて、灯油を気化素
子に給油ポンプで送油するため気化素子に含まれ
る灯油量を極端に小さくすることが出来るのと、
地震や転倒事故等の異常が発生した場合、振動検
知器と連動して送油逆転装置が作動し、給油ポン
プの送油方向を燃焼時と逆転することによつて、
即座に気化素子の部分の灯油をほとんど灯油タン
クに返送するので、瞬時に消火し安全性を高めら
れる。

さらに消火時に灯芯式のように未然気化ガスが
多量長時間放出され悪臭が出ることがない。すな
わち気化素子部分の灯油が短時間に燃焼し尽して
消火し、消火後の灯油の気化がなく、故に悪臭の
発生原因がなく快適な暖房が得られるようになる
のである。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづいて
説明する。第１図において灯油タンク１には、カ
ートリツジタンク６より灯油が供給され、一定油
面が形成されるように構成される。これは通常、
石油ストーブで広く使用されており周知の技術で
ある。さらに灯油タンク１には灯油面下に吸入口
を有する給油ポンプ７が設けられ、送油パイプ８
により燃焼部９に灯油を送るように連結されてい
る。さらに地震やストーブの転倒を検知する振動
検知器１０がストーブ本体１１に固定設置され、
振動検知器１０の信号線１２が制御器１３に接結
されている。制御器１３は給油ポンプ７と給油ポ
ンプ７の送油方向を逆転する送油逆転装置１４と
もそれぞれ結線された構成である。第２図におい
て、燃焼部９の上面には発泡金属あるいはセラミ
ツク等のポーラスで気孔を有した気化素子１５が
埋め込まれており、先端１６を燃焼器４内に臨ま
せている。また送油パイプ８は気化素子１５内に
円環状に設けられた給油溝１７に連結してある。
すなわち送油パイプ８からの灯油は、全て気化素
子１５の気孔から送出されるのである。燃焼部９
にはパンチングメタル１８で支えられた燃焼器４
が乗せられている。燃焼用空気は空間１９，２０
より供給される。点火器２１は先端１６の近傍に
設置され、さらに温度センサ２２が燃焼筒４の近
傍定位置の温度を検知できるように、パンチング
メタル１８の近傍で熱輻射を受け取るように設け
られ固定してある。リターンパイプ２３は気化素
子１５の下面に設けられ、気化素子１５の下面に
出た灯油を灯油タンク１に戻すように配設してあ
る。

第３図はバイモルフ素子を使用した給油ポンプ
７と送油逆転装置１４の一実施例であり、ポンプ
本体２５に設けられた給油パイプ２５と送油パイ
プ８に対応すべく吸入口２６、吐出口２７を有し
た逆止弁ユニツト２８を備え、その逆止弁ユニツ
ト２８の吸入口２６側に逆止弁２９とスプリング
３０、吐出口２７側には逆止弁３１とスプリング
３２がそれぞれ配設されている。逆止弁２９，３
１はポンプ室３３で連通されている。そのポンプ
室３３に面し、バイモルフ素子３４がポンプ本体
２４にシール材３５で外周部をシール固定されて
いる。また逆止弁ユニツト２８の三箇所の連通口
部分はそれぞれＯリング３６，３７，３８でシー
ルされている。さらに逆止弁ユニツト２８は小型
モータ３６と歯車ユニツト３７により180度づつ
回転可能な構成となつており、通常消火時および
地震や転倒事故などの緊急消火時は逆止弁ユニツ
ト２８が180度回転し第４図のようになる構成で
ある。つまり逆止弁ユニツト２８と小型モータ３
６と歯車ユニツト３７とで送油逆転装置１４を構
成していることになる。また給油ポンプ７はポン
プ本体２４と逆止弁ユニツト２８とバイモルフ素
子３４等から構成されていることになる。

バイモルフ素子３４に屈曲運動をさせる交流電
圧は第５図のブロツク図で示す原理で作り出され
る。電池４２の電圧は昇圧回路４３で所定の値に
上昇させ発振器４４で交流電圧信号にされた後、
電圧値を所望のものにするために電圧増巾器４５
で調整される。調整する電圧値は、増巾率調整器
４６により指令を受ける。温度センサ２２よりの
信号４７は、増巾率調節器４６に与えられ、燃焼
器４の温度に応じてバイモルフ素子３４に加えら
れる電圧が調節される。

第６図は振動検知器１０の一実施例であり、ア
ルミ容器４８の中に水銀を約60％封入し、アルミ
容器４８からの一端子４９と、通常水銀５０にわ
ずかに先端が侵入した状態のハーメチツクシール
端子５１が樹脂ケース５２の外へ出ている。アル
ミ容器４８の下端部は小さい球形に形成され、そ
の球形部５３を外側から包み込む形態の三つ割玉
受部５４を有する固定受台５５で首振り自在に支
持し、固定部材５６で玉受部５４を外側から締め
付けて固定できる構成である。樹脂ケース５２の
上部には、気泡５７を中央に合わすことによつて
水平が合わせられる一般に広く使用されているい
わゆる水準器５８が、アルミ容器４８、水銀４
９、端子５０，５１などからなる感震部５９と平
行に固着してある。つまり、球形部５３と玉受部
５４とからなる首振り支持部６０の固定部材５６
を緩め、水準器５８を見ながら水平にしたまま固
定部材５６を締め付ければ、感震部５９の水平が
確保できる構成である。

以上の構成のもとに動作を説明する。

電池４２をオンにすると給油ポンプ７が働き、
気化素子１５に灯油が送られる。灯油は気化素子
１５の気孔を通じて先端１６に析出し、点火器２
１により気化点火される。燃焼が始まると空間１
９，２０より燃焼空気を自然ドラフトで吸入し、
燃焼器４内で燃焼する。なおバイモルフ素子３４
および逆止弁ユニツト２８などからなる給油ポン
プ７に電池４２をオンして灯油が送られる理由
は、バイモルフ素子３４に交流電圧を加えること
により、バイモルフ素子３５の屈曲運動でポンプ
室３３の体積を増減し、この体積変化を逆止弁２
９，３１で整流してポンプ作用をすることによる
ものである。

次に大きな地震もしくは石油ストーブが転倒し
た場合、振動検知器１０の信号が制御器１３に入
り、制御器１３は即座に送油逆転装置４１を駆動
し、給油ポンプ７の入口と出口が切替わる。する
と給油ポンプ７の送油方向が逆転し、灯油が送油
パイプ８の方から給油パイプ２５の方へ逆送され
るため、気化素子１５の給油溝１７の部分の灯油
および送油パイプ８の中の灯油はほとんど全部灯
油タンク１に返送され、結果、気化素子１５に含
まれるごく微量の灯油だけが、極めて短時間に燃
焼し尽して消火する。したがつて従来の灯芯式ス
トーブのように灯芯３は下がつても、残熱容量で
灯芯３から長時間気化ガスが発生し続け、10秒近
くモヤモヤと燃え続け、さらに消火後も長時間気
化ガスが発生して悪臭を多量放つものと比較し
て、緊急消火時、通常消火時いずれの場合でも、
燃焼部９の灯油を極めて短時間に灯油タンク１に
返送し、気化素子１５の微量の灯油を燃焼し尽し
て消化するので、即座に消火できるとともに消火
後の気化ガス発生がほとんどなくなるよう作用
し、消火後の悪臭が飛躍的になくなるという効果
がある。

給油ポンプ７にバイモルフ素子と逆止弁ユニツ
トからしたため、消費電力が極端に少さく、電池
程度の電気容量で十分長時間使用でき、石油スト
ーブのポータブル性を確保できるメリツトがあ
る。また送油逆転装置１４は逆止弁ユニツト２８
を小型モータ３６と歯車ユニツト４０で180度逆
転する構成で、点・消火時だけ小型モータ３９を
運転するだけなので、電池交換はシーズン初めに
一度行なうだけでよい。

振動検知器１０は感震部５９と首振り支持部６
０と固定部材５６と水準器５８とで構成したた
め、ストーブをある程度傾斜した場所で使う場合
でも、首振り支持部６０の固定部材５６を緩めて
水準器５８で簡単にかつ正確に感震部５９の水平
を合わせて固定できるため、地震や異常振動に対
して正確に緊急消火ができる効果がある。

発明の効果 以上のように本発明の強制給油式石油ストーブ
によれば、次の効果が得られる。

(1) 給油ポンプ７がピエゾ素子３４と逆止弁ユニ
ツト２８からなる構成なので、周知のプランジ
ヤを電磁力で駆動するいわゆる電磁ポンプと比
較して、消費電力を極端に小さくすることがで
き、電池程度の電気容量で十分長時間使用で
き、地震時等に強制的に燃焼器４の灯油を抜取
り、迅速短時間に安全確実に消火可能な石油ス
トーブを、ポータブル性を損なわずに実現でき
る。

(2) 給油ポンプ７がピエゾ素子３４と逆止弁ユニ
ツト２８からなる構成なので、消火後に気化す
る灯油が極めて微量にでき、悪臭を大幅低減す
る石油ストーブを、ポータブル性を損なわずに
実現できる。

(3) 従来の灯芯式ストーブは消火時灯芯を下げた
後も燃焼器の残熱容量によつて、灯芯から未然
ガスが長時間発生することに合わせて、その気
化ガスが低温不完全燃焼を消火の都度しばらく
するため、灯芯付近にタールが生成され、長期
間使用中にそのタールによつて灯芯の上下が円
滑にできなくなることがあり、これが緊急消火
すべき時に灯芯が下がりきらず、大事に至る危
険があつたのに対し、本発明の強制給油式石油
ストーブは、気化素子は固定したままで上げ下
げする必要がないことと、消火の都度、気化素
子１５に含浸された灯油がすべて完全燃焼し尽
し、いわゆる空焼き作用をするので、常に気化
素子はクリーンな状態を維持することができ、
長時間安定して安全を確保できる石油ストーブ
を、ポータブル性を損なわずに実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における強制給油式
石油ストーブの正面図、第２図は同燃焼部と燃焼
器の部分断面図、第３図、第４図はそれぞれ同給
油ポンプと送油逆転装置の部分断面図、第５図は
同バイモルフポンプに供給する交流電圧発生ブロ
ツク図、第６図は同振動検知器の部分断面図、第
７図は従来の石油ストーブ燃焼部の部分断面図で
ある。 １……灯油タンク、４……燃焼器、７……給油
ポンプ、１０……振動検知器、１４……送油逆転
装置、１５……気化素子、２８……逆止弁ユニツ
ト、３４……バイモルフ素子、５６……固定部
材、５８……水準器、５９……感震部、６０……
首振り支持部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 灯油タンクより灯油を吸い上げ、気化素子に
   送油するピエゾ素子と逆止弁ユニツトからなる給
   油ポンプと、前記気化素子より気化した灯油に空
   気を混合し燃焼させる燃焼器と、石油ストーブの
   振動ないし転倒を検知する振動検知器と、前記振
   動検知器の信号と連動して、前記給油ポンプの逆
   止弁ユニツトを電気的に反転駆動して送油方向を
   燃焼時と逆転する送油逆転装置とからなる強制給
   油式石油ストーブ。