JPH056611Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、VTR（ビデオテープレコーダ）等に
使用される磁気テープカセツトに係り、特にカセ
ツト本体の前部に被着された前蓋を付勢する前蓋
スプリングに関する。

〔従来の技術〕

家庭用のVTRに使用される従来の磁気テープ
カセツトでは、カセツト本体からその前部に繰り
出される磁気テープを開閉可能に覆う前蓋が被着
され、この前蓋は前蓋スプリングによつて常時閉
方向に付勢されている。

第８図及び第９図は、この種の磁気テープカセ
ツトを示し、第８図に磁気テープカセツトを下ハ
ーフ側から見た一部切欠き背面図を、第９図に第
８図の−断面図を示す。

磁気テープカセツト１は、上ハーフ２と下ハー
フ３とで形成したカセツト本体４内に、磁気テー
プ５を巻装する供給リール６と巻取りリール７と
が収納され、VTR挿入側となるカセツト本体４
の前部には、両リール６，７から繰り出されて、
テープガイド部４ａ，４ａの前面を走行する磁気
テープ５を開閉可能に覆う前蓋８が被着されてい
る。

上記前蓋８は、前板８ａと天板８ｂの両側に側
板８ｃ，８ｃを延設し、該側板８ｃの内側に突設
した回動支軸９，１０を、上ハーフ２の側壁２
ａ，２ａの前部側に軸支して取付けられるもの
で、長軸の回動支軸９には、前蓋８を閉方向に付
勢する前蓋スプリング１１が装着されている。

この前蓋スプリング１１は、線ばね材を折曲し
て形成されるもので、コイル部１１ａを回動支軸
９に外嵌して、固定端１１ｂを該支軸９に突設し
た係止ピン１２に係止し、自由端１１ｃを上ハー
フ２の内面に形成したガイド溝１３に遊嵌して取
付けられる。

そして、前蓋スプリング１１を装着した前蓋８
は、上ハーフ２の一方の側壁２ａに形成した装着
凹部１４に回動支軸９を支持し、回動支軸１０を
他方の側壁２ａの軸孔に軸支して上ハーフ２に仮
止めされ、両ハーフ２，３をビス１５で螺着して
カセツト本体４を構成したのち、前蓋スプリング
１１のトーシヨン力によつて、前蓋８が常時閉方
向に付勢される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら上述の前蓋スプリングでは、形状
が特異であることから、割高な外注品となつてコ
スト的に不利であり、またコイル部にトーシヨン
力を持たせるためにコイル部を回動支軸へ挿通す
る作業と、このコイル部を回動して固定端を係止
ピンに係止する回動作業との２つの作業を必要と
するため、取付けが面倒であつた。

本考案は、かかる実情を背景にしてなされたも
ので、前蓋スプリングを廉価で容易に形成でき、
また回動支軸への取付けを脱落なく簡単且つ確実
に行なえる磁気テープカセツトを提供することを
目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上述の目的を達成するため、上ハー
フと下ハーフからなるカセツト本体の前部を開閉
可能に覆う前蓋の回動支軸に、該前蓋を閉方向に
付勢する前蓋スプリングの固定端を係止した磁気
テープカセツトにおいて、前記回動支軸に断面テ
ーパ状のスリツトを軸方向に設け、一方前記前蓋
スプリングを板ばねで形成して、上記スリツトに
挿通される固定端に該スリツトと係合する抜け止
め部を設けたことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本考案の各実施例を図面に基づいて説明
する。

尚、上記従来例と同一構成部分については、同
一符号を付して詳細な説明を省略する。

第１図及び第２図は第１実施例を示すもので、
上ハーフ２の前部に取付けられる前蓋８は、装着
凹部１４に係止される一方の回動支軸２０に、該
支軸２０の先端に開口するスリツト２１が軸方向
に設けられ、該スリツト２１に前蓋スプリング２
２が装着されている。

上記前蓋スプリング２２は、所要長さに切断し
た板ばね材を折曲して形成されるもので、固定端
２２ａに回動支軸２０の略半周を抱持する抱持部
２２ｂが連設され、抱持部２２ｂと自由端側の先
端２２ｃとの間に、ループ状のスプリング部２２
ｄが形成されており、固定端２２ａには、端部を
湾曲状に折り返し形成した抜け止め部２３が設け
られている。

前蓋スプリング２２を装着するスリツト２１は
断面両テーパ状に形成され、その小開口２１ａ
は、固定端２２ａが挿通可能で抜け止め部２３よ
り狭く、また大開口２１ｂは固定端２２ａよりも
広く形成されている。

そして、前蓋スプリング２２の抱持部２２ｂを
回動支軸２０に抱持させながら、固定端２２ａを
スリツト２１の開口側から挿通すると、該固定端
２２ａは抜け止め部２３が弾発力にてスリツト２
１のテーパ面に圧接して係止さて、これにより前
蓋スプリング２２は、自由端側への緩みとスリツ
ト２１の開口側への抜けが防止される。

また前蓋８を上ハーフ２に仮止めした際には、
自由端側の先端２２ｃが上ハーフ２のストツパ凹
部２４に係止され、前蓋スプリング２２が上ハー
フ２に圧接支持される。

前蓋スプリング２２の取付け部と対向する下ハ
ーフ３の隅部には、前蓋係止用の前蓋係止部材２
５が、上部両側の支軸２５ａ，２５ａを下ハーフ
３のリブ３ａ，３ａに回動可能に吊持されてお
り、該前蓋係止部材２５には、前蓋スプリング２
２のスプリング部２２ｄに押動される回動用の突
片２５ｂと、下ハーフ３の側壁から外部に突出す
るロツク用突起及び解除用突起とが設けられ、前
蓋８がロツク用突起と係合して閉状態が保持され
るもので、VTRの作用爪が解除用突起を押動し
て係合状態が解除される。

そして、以上のように構成された磁気テープカ
セツト１をVTRに装着して前蓋８が開かれると、
前蓋スプリング２２を係止した回動支軸２０は第
３図において時計方向に回動し、先端２２ｃがス
トツパ凹部２４に係止されたまま、前蓋スプリン
グ２２が回動支軸２０に巻き込まれ、スプリング
部２２ｄのループ形状が上方に小さく後退して前
蓋係止部材２５の突片２５ｂから離間する。

また磁気テープカセツト１をVTRから取り出
しして、前蓋８の開状態が解除されると、下方へ
脹らむ前蓋スプリング２２のスプリング部２２ｄ
の復元力により、回動支軸２０が第３図の反時計
方向に回動され、スプリング部２２ｄが前蓋係止
部材２５の突片２５ｂを押動して、前蓋８が閉位
置に付勢される。

上記前蓋８の開閉作動では、回動支軸２０の回
動に伴つて、前蓋スプリング２２の固定端２２ａ
と抱持部２２ｂ及び抜け止め部２３とが連動する
から、前蓋スプリング２２に開閉による緩みを生
じることがない。

第４図は本考案の第２実施例を示し、回動支軸
２０に設けられるスリツト２６を、固定端２２ａ
の抜け止め部２３より幅狭の小開口２６ａと幅広
の大開口２６ｂを有する断面片テーパ状に形成し
たもので、前蓋スプリング２２は上記実施例と同
様にスリツト２６に、挿通するだけでワンタツチ
で確実に係止することができる。

また第５図乃至第７図は本考案の第３、第４、
及び第５実施例で、各実施例とも回動支軸２０に
は、上記第１実施例に示した両テーパ状のスリツ
ト２１が用いられ、第５図の第３実施例では、前
蓋スプリング２２の固定端２２ａの端部を蛇腹状
に折曲して抜け止め部２７となし、第６図の第４
実施例では、固定端２２ａの端部に小球を固着し
て抜け止め部２８を形成し、また第７図の第５実
施例では、固定端２２ａの端部を折曲して形成し
た舌片を抜け止め部２９となしたもので、これら
各実施例においても、上記第１及び第２実施例と
同様の効果を奏する。

尚、本考案の抜け止め部は、上記各実施例に示
した形状のみに限定するものでなく、また両テー
パ或いは片テーパのスリツトとの組合わせも自由
である。

〔考案の効果〕

本考案の磁気テープカセツトは以上説明したよ
うに、カセツト本体の前部を開閉可能に覆う前蓋
の回動支軸に断面テーパ状のスリツトを軸方向に
設け、該スリツトに係止される前蓋スプリングを
板ばねで形成して、その固定端に該スリツトと係
合する抜け止め部を設けたので、従来の如くコス
ト高なつる巻き状のスプリングを用いることな
く、板ばね材を所要長さに切断して曲げ加工する
のみで容易に形成でき、これにより仕掛かりコス
トを低減できてコストダウンが図れる。

また、前蓋スプリングの取付けをワンタツチで
容易に行なえると共に、係止状態を脱落なく確実
に保持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示し、
第１図は前蓋を被着した上ハーフの要部を内面側
から見た断面背面図、第２図は第１図の−断
面図、第３図は第２図の要部拡大断面図、第４図
は第２実施例を示す要部拡大断面図、第５図は第
３実施例を示す要部拡大断面図、第６図は第４実
施例を示す要部拡大断面図、第７図は第５実施例
を示す要部拡大断面図、第８図及び第９図は従来
例を示し、第８図は磁気テープカセツトを下ハー
フ側から見た一部切欠き背面図、第９図は第８図
の−断面図である。 ２……上ハーフ、３……下ハーフ、４……カセ
ツト本体、５……磁気テープ、８……前蓋、２０
……回動支軸、２１……スリツト、２１ａ……小
開口、２１ｂ……大開口、２２……前蓋スプリン
グ、２２ａ……固定端、２３，２７，２８，２９
……抜け止め部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上ハーフと下ハーフからなるカセツト本体の前
   部を開閉可能に覆う前蓋の回動支軸に、該前蓋を
   閉方向に付勢する前蓋スプリングの固定端を係止
   した磁気テープカセツトにおいて、前記回動支軸
   に断面テーパ状のスリツトを軸方向に設け、一方
   前記前蓋スプリングを板ばねで形成して、上記ス
   リツトに挿通される固定端に該スリツトと係合す
   る抜け止め部を設けたことを特徴とする磁気テー
   プカセツト。