JPH0560510A - 金属部品の平面度測定及び磁気探傷方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属部品の平面度測定と磁気探傷を連続した
１工程で行い検査の合理化と精度向上をはかる。 【構成】 回転自在に支持した金属部品（１）の被平面
度測定面（１ａ）に対向してこの測定面の微小な変位を
電圧で直読する渦電流式変位センサ（３）を配置すると
ともに、金属部品（１）の被探傷面に対向して被探傷面
の表面あらさの周波数成分を検知する感磁性素子（４
ｃ）を備えている磁気探傷ヘッド（４）を配置して、金
属部品（１）を回転させながら渦電流式変位センサ
（３）による平面度測定と、磁気探傷ヘッド（４）によ
る磁気探傷を連続して行う方法である。この磁気探傷終
了時に被検査金属部品に生じる残留磁気を消すため、磁
気探傷終了時点（Ｐ）で磁気探傷ヘッド（４）に供給す
る直流電流（ＤＣ）に代えて交流電流（ＡＣ）を供給
し、この交流電流を漸次減衰させて脱磁する脱磁手段を
付加する場合がある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、粉末合金焼結部品や精
密鋳造部品あるいは精密鍛造部品等の、平面度測定と磁
気探傷の２つの検査を連続的に行う方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】例えば自動車の変速機部品であるリテー
ニングプレートは、粉末合金焼結により部品素材を形成
し、重要な側面を旋削加工するものであり、このように
粉末合金焼結や精密鋳造あるいは精密鍛造等で形成され
た部品素材を後加工する場合、加工の工数をできるだけ
短縮するため加工代を最小限に設定するものである。

【０００３】しかし、この種の部品素材は形成過程で内
部応力による歪が生じる場合があり、後加工で加工残り
（いわゆる黒皮）が残ることになるため、あらかじめ平
面度検査が必要となる。

【０００４】従って、この種金属部品の検査は平面度検
査と磁気探傷検査の２つを別々に行うのが普通で、従来
の平面度検査は被測定面を３点支持し、この被測定面に
ダイヤルゲージまたは差動トランス式変位計を当てて手
動で多点測定を行う方法または、金属部品を回転させて
ダイヤルゲージを被測定面に当てる方法で行われ、一方
の磁気探傷検査は湿式磁粉探傷法による紫外線下での目
視検査で行われるのが一般的であった。

【０００５】前記した平面度検査の手動多点測定は時間
が掛かって非能率であるとともに、全平面の真値を示す
ものでないため信頼性に問題が残り、また被検査物を回
転させながらダイヤルゲージを被測定面に当てる場合、
被測定面の表面あらさが測定精度を狂わせるとともに、
ダイヤルゲージの先端が磨耗して測定値の信頼性を低下
させるといった問題があった。

【０００６】また、前記した湿式磁粉探傷検査は、表面
傷は表面あらさと一緒に現れるため、微小の漏洩磁束に
対して感度が低く、傷が判明しにくいといった難点があ
り、表面下の内部欠陥は、３相全波整流または単相半波
整流等の不完全な直流による磁化であるため、浸透能力
が劣って検出しにくいといった問題があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前記した従来の検査の
問題点を解消することと、平面度測定と磁気探傷の２種
類の検査を別々に行うのに手数が掛かり過ぎることにあ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、回転自在に支
持した金属部品の被平面度測定面に、一定のギャップを
もってこの平面度被測定面の微小な変位を電圧で直読す
る渦電流式変位センサを対向配置するとともに、前記金
属部品の被探傷面に、一定のギャップをもってこの被探
傷面の表面粗さの周波数成分を検知する感磁性素子を備
えている磁気探傷ヘッドを対向配置して、前記金属部品
を回転させることにより平面度測定と磁気探傷を連続的
に行う、金属部品の平面度測定及び磁気探傷方法であ
る。

【０００９】また、前記磁気探傷終了時に被探傷金属部
品に残存する残磁気を消去するために、前記磁気探傷ヘ
ッドに供給する直流電流に代えて交流電流を供給し、こ
の交流電流を漸次減衰させて脱磁する脱磁手段を付加し
た、金属部品の平面度測定及び磁気探傷方法である。

【００１０】

【実施例】以下この発明を図面に示す実施例に基づいて
詳細説明する。図１は本発明の実施状態の１例を示す図
で、（１）は金属部品（以下ワークと呼ぶ）で、リング
状物からなり、後加工される被平面度測定面（１ａ）を
下側にして、回転台（２）の内張チャック（２ａ）によ
り内周をチャッキングされている。

【００１１】このチャッキングに先だって図示を省略す
るが、ワーク（１）の被平面度測定面（１ａ）を先端の
尖った３点支持台に当て、差動トランス式変位計を用い
てワーク（１）を正確に３点支持し、この支持状態でチ
ャッキングした後３点支持台を退去させるものである。

【００１２】このワーク（１）の被平面度測定面（１
ａ）にギャップ（Ｇ１）もって対向して渦電流式変位セ
ンサ（３）を設けるとともに、被平面度測定面（１ａ）
及びその反対面（１ｂ）にそれぞれギャップ（Ｇ２）も
って対向して磁気探傷ヘッド（４）を設けてある。

【００１３】渦電流式変位センサ（３）の回路（３０）
にはアンプリファイヤ（３１）と、信号処理回路（３
２）と、コンパレータ（３３）と、表示装置（３４）が
接続され、さらにコンパレータ（３３）にはシーケンサ
（３５）と、駆動系（３６）が接続され、アンプリファ
イヤ（３１）とシーケンサ（３５）にＡＣ電源（３７）
が接続されている。

【００１４】磁気探傷ヘッド（４）は、コイル（４ａ）
により励磁されるヨーク（４ｂ）と、このヨーク（４
ｂ）の両極間に介在する感磁性素子（４ｃ）とにより構
成され、この感磁性素子（４ｃ）がワーク（１）に対向
している。この感磁性素子（４ｃ）の回路（４０）に
は、アンプリファイヤ（４１）と、信号処理回路（４
２）と、表示装置（４３）が接続され、コイル（４ａ）
にはＤＣ電源（４４）が接続されている。

【００１５】以上の構成により、回転台（２）を駆動し
てワーク（１）を図２のＲ矢印の方向に回転させて、渦
電流式変位センサ（３）による平面度測定と、磁気探傷
ヘッド（４）による磁気探傷を順に繰り返し連続して行
うものである。

【００１６】この渦電流式変位センサ（３）は、内部の
コイルに高周波電流を流して高周波磁界を発生させ、こ
の高周波磁界内にワーク（１）を捕らえると電磁誘導作
用によってワーク（１）の被検査面（１ａ）に渦電流が
発生する。

【００１７】この渦電流は、センサ部の発振エネルギを
減少させる働きをして、ワーク（１）が接近するに従っ
て渦電流が大きくなり、発信振幅は小さくなるもので、
この発信振幅をアンプリファイヤ（３１）、信号処理回
路（３２）、コンパレータ（３３）、シーケンサ（３
５）、駆動系（３６）を経て整流して直流電圧の変化と
し、この直流電圧の変化が表示装置（３４）に図５の状
態に表示され、１回転間の最大電圧変化（Ｈ）を寸法に
換算して平面度を知るものである。

【００１８】この渦電流式変位センサ（３）を使用して
平面度を測定すると、従来の接触式の平面度測定に比べ
非接触であるため表面あらさに影響されることなく、計
測器具の接触磨耗による測定誤差も生じることもなく、
全面測定が短時間にに行えて高精度の測定ができるもの
である。

【００１９】磁気探傷ヘッド（４）は、感磁性素子（４
ａ）が傷部分で大きくなる漏洩磁束の周波数成分を検出
するもので、検出した漏洩磁束の周波数はアンプリファ
イヤ（４１）と信号処理回路（４２）を経て表示装置
（４３）に図６の状態に表示され、（Ｋ）は傷を示して
いる。

【００２０】この磁気探傷法は、従来の磁粉探傷法では
検出しにくかった表面下の内部欠陥も高感度と完全な直
流を使用することにより検出できるものである。

【００２１】磁気探傷を終了した時点でワーク（１）が
停止した時、磁気探傷ヘッド（４）の磁気がワーク
（１）を磁化した残留磁気を消去するために脱磁を行う
必要があり、この脱磁は後からまとめて別工程で行う場
合と、磁気探傷終了後に連続して行う場合とがあって、
この連続脱磁の方法として図７に示す如く磁気探傷終了
時点（Ｐ）において、磁気探傷ヘッド（４）に供給され
ている直流電流（ＤＣ）を交流電流（ＡＣ）に切り換
え、この交流電流（ＡＣ）を２〜３秒間で漸次減衰して
消滅させることにより脱磁を行うものである。

【００２２】この直流・交流転極脱磁に併せて、磁気探
傷終了時点（Ｐ）において磁気探傷ヘッド（４）を図３
の探傷位置から図４の位置までワーク（１）から遠ざけ
る、すなわち図３のギャップ（Ｇ２）を図４のギャップ
（Ｇ２′）に広げる距離減衰脱磁を併用して、脱磁効果
を一層高める場合もある。

【００２３】こうした脱磁方法によれば、従来一般に行
われている別の脱磁器を設けて磁気探傷後続いてワーク
を２回転程度回転させて脱磁する場合に比べ、脱磁のた
めの時間が約１／４回転ですみ、大幅な時間短縮を果た
すことがができる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明した本発明に係わる金属部品の
平面度測定及び磁気探傷方法によれば、平面度検査と磁
気探傷検査が１工程で連続して行われるため、従来の別
々に検査する方法に比べ検査時間を大幅に短縮すること
ができるとともに、平面度測定及び磁気探傷の精度を高
めることができる。さらに、磁気探傷後のワークの脱磁
に直流・交流転極脱磁方式を採用することにより、脱磁
のための時間を短縮して検査能率の向上を果たすことが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法の実施状態の１例を示す図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ断面図である。

【図４】距離減衰脱磁のため磁気探傷ヘッドをワークか
ら遠ざけた状態の図である。

【図５】平面度測定の結果例を示す図である。

【図６】磁気探傷の結果例を示す図である。

【図７】脱磁方法を示す図である。

【符号の説明】

１ 金属部品（ワーク） １ａ 被平面度測定面 ２ 回転台 ３ 渦電流式変位センサ ４ 磁気探傷ヘッド ４ｃ 感磁性素子

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転自在に支持した金属部品の被平面度
   測定面に、一定のギャップをもって該平面度被測定面の
   微小な変位を電圧で直読する渦電流式変位センサを対向
   配置するとともに、前記金属部品の被探傷面に、一定の
   ギャップをもって該被探傷面の表面粗さの周波数成分を
   検知する感磁性素子を備えている磁気探傷ヘッドを対向
   配置して、前記金属部品を回転させることにより平面度
   測定と磁気探傷を連続的に行うことを特徴とする、金属
   部品の平面度測定及び磁気探傷方法。
2. 【請求項２】 前記磁気探傷終了時に被探傷金属部品に
   残存する残磁気を消去するために、前記磁気探傷ヘッド
   に供給する直流電流に代えて交流電流を供給し、該交流
   電流を漸次減衰させて脱磁することを特徴とする、請求
   項１の金属部品の平面度測定及び磁気探傷方法