JPH056034B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、冷凍サイクル等に使用する回転式圧
縮機に関し、特にシリンダ内を高・低圧室に区割
する仕切弁が収納される仕切弁用溝の潤滑性の向
上に係わる。

従来例の構成とその問題点 従来の構成を第１図、第２図及び第３図にて説
明する。１は密閉ケーシング、２は電動機部であ
り、その下部には、シリンダ３、ローラ４、主軸
受５、副軸受６、仕切弁７、この仕切弁を押圧す
る圧縮ばね７ａ，７ｂにより構成される機械部本
体８が固定されている。仕切弁７は、シリンダ３
の仕切弁用溝３ａ、仕切弁用孔３ｂ内に保持され
ている。シリンダ３内は、主軸受５、副軸受６に
よりシリンダ室９を形成している。主軸受５、副
軸受６は、電動機部２に連結するシヤフト１０を
回転自在に支持している。このシヤフト１０には
シリンダ室９内に位置する偏心カム１１が設けら
れており、偏心カム１１にはリング状のローラ４
が軸装されている。

シリンダ３の仕切弁用溝３ａの両側には吸入孔
１２、吐出ポート１３を各々設けてある。また、
仕切弁用溝３ａの両面にそれぞれ油溝１４ａ，１
４ｂを形成し且つ、吐出ポート１３側の油溝１４
ａをシリンダ３の内面近く、吸入孔１２側の油溝
１４ｂをシリンダ３の内面から遠く配置してい
る。主軸受５及副軸受６には、油溝１４ａ、油溝
１４ｂと連通する通孔１５、通孔１６がそれぞれ
開孔している。

しかして吸入孔１２よりシリンダ室９内に吸入
された冷媒は電動機部２の回転に伴うシヤフト１
０及び偏心カム１１の回転により、ローラ４がシ
リンダ室９内を回転駆動することにより冷媒を圧
縮し、圧縮された冷媒は吐出ポート１３より一旦
密閉ケーシング１内に吐出された後吐出管１７よ
りシステムに吐出される。

上記従来の構造においては仕切弁７は、ローラ
４の回転に伴いシリンダ室９が高圧となると、矢
印Ａのガス圧を受ける為、仕切弁用溝３ａのシリ
ンダ３内径側で且つ吸入溝１２側である陵線１８
近傍と、仕切弁用孔３ｂ側で且つ吐出ポート側陵
線１９近傍にて接触摺動することになり、陵線１
８近傍には矢印Ｂなる力が、陵線１９近傍には矢
印Ｃなる力が集中荷重として掛る。尚最大荷重
時、陵線１８近傍に掛る集中荷重Ｂは、陵線１９
近傍に掛る集中荷重Ｃの約５倍である。この場
合、油溝１４ａ、油溝１４ｂは主軸受５の通孔１
５より滴下する潤滑油を仕切弁７の側面に供給す
ると共に、前記集中荷重Ｂ及びＣを軽減する役割
を果すが、集中荷重として作用する限り、仕切弁
用溝３ａのうち陵線１８及び陵線１９の近傍部分
の潤滑不足による摩耗が多くなり、最悪の場合機
械部本体８の焼付を生じることもある欠点を有し
ていた。

発明の目的 本発明は、仕切弁の往復摺動運動を利用して潤
滑油を加圧し、仕切弁の吸入孔側でシリンダ内周
に近傍の側壁に圧送することにより仕切弁と仕切
弁用溝間の潤滑性を向上し、また荷重を軽減する
ことにより、仕切弁の片べりによる摩耗を防止す
ることを目的とするものである。

発明の構成 本発明はポンプ室を形成する仕切弁、仕切弁用
溝、主軸受、副軸受のうち、主軸受又は副軸受の
一方又は両方に、一端が油溜部に連通し、他端が
前記ポンプ室に開口すると共に仕切弁により開閉
される油流入孔を設け、かつ一端が前記ポンプ室
に開口し、他端が仕切弁用溝の吸入孔側壁面でシ
リンダの内面の近傍に開口する連通孔を備えたも
のである。

実施例の説明 以下本発明の一実施例を第４図、第５図及び第
６図を用いて説明する。

尚、従来例と同一部分は同一符号を付し説明を
省略する。７ａ，７ｂは圧縮ばねでありその一端
は仕切弁２０の上下に突出形成した係止部２０
ａ，２０ｂにて係止され、他端は密閉ケーシング
１の内壁に当接している。又係止部２０ａ，２０
ｂは、主軸受２１と副軸受２２に設けられた孔２
３、孔２４内で往復運動を行なう。２６は仕切弁
２０、シリンダ３の仕切弁用溝２５、主軸受２
１、副軸受２２により形成され、かつ仕切弁自体
がピストン作用をなすポンプ室であり、このポン
プ室２６には、副軸受２２に設けられ油溜部２７
と連通する油流入孔２８が開口している。この油
流入孔２８は、ローラ４が反仕切弁２０側（仕切
弁２０を基準にローラ４の回転角度θ≒180°）を
回転している間のみポンプ室２６に開口するもの
である。そして、ポンプ室２６内で圧送される潤
滑油は、仕切弁用溝２５の吸入孔１２側で、吸入
孔１２と連通しないシリンダ３内周の近傍位置で
開口２９ａしてある上記連通孔２９を通じて供給
される。３０ａ，３０ｂは、仕切弁用溝２５に形
成した油溝３０である。

上記構成において、ローラ４の回転に伴い仕切
弁２０は圧縮ばね７ａ，７ｂに抗して往復運動す
る。そして、仕切弁２０がシリンダ３の中心方向
に摺動するとき、ポンプ室２６内の圧力が密閉ケ
ーシング１内の圧力より下り、従つて油流入孔２
８が仕切弁２０の移動によりポンプ室２６内に開
口すると、油溜部２７の潤滑油がポンプ室２６内
に流入する。そして、ローラ４の回転が続き、仕
切弁２０がシリンダ室９内の圧力が上りガス圧に
よる荷重Ａが最大値となる位置に近づくと、仕切
弁２０により油流入孔２８が閉止され、その後ポ
ンプ室２６内の潤滑油は加圧される。

その結果、ローラ４の回転に伴いシリンダ室９
が高圧になり、仕切弁用溝２５の陵線１８及び仕
切弁２０の後端との接触部３１に作用する集中荷
重Ｂ、集中荷重Ｃがピーク点に達するローラ４の
回転角度θ＝190〜250°付近にて、連通孔２９を
介して陵線１８近傍に開口２９ａより潤滑油が供
給されると共にガス圧荷重Ａを軽減する方向に油
圧が作用する為に、集中荷重Ｂは集中荷重B′に、
集中荷重Ｃは集中荷重C′にそれぞれ軽減される。
また油溝３０ａ，３０ｂには、従来と同様に潤滑
油が流入し、仕切弁用溝２５を潤滑する。

従つて、仕切弁２０と仕切弁用溝２５の特に集
中荷重の大きい陵線１８部に強制的に潤滑油を供
給し、又集中荷重が軽減できる為、摩耗のための
焼付を防止でき、信頼性が向上する。

以上、縦型の圧縮機について述べたが、横型の
一方又は両方に油流入孔２８を開口することによ
り同等の効果が得られる。

発明の効果 以上の説明から明らかな様に、本発明は、仕切
弁、主軸受及び副軸受により、仕切弁用溝部に連
通してポンプ室を形成し、副軸受、又は主軸受あ
るいは両方には一端が油溜部に連通し、他端がポ
ンプ室に開口すると共に仕切弁により開閉される
油流入孔を設け、更に一端がポンプ室に連通し、
他端が仕切弁用溝の側壁で吸入孔側のシリンダ内
面の近傍に開口する連通孔を備えたものであるか
ら、仕切弁の往復摺動運動を利用して潤滑油を加
圧し、仕切弁用溝に最も大きな集中荷重の掛るロ
ーラの回転角度位置にて、仕切弁用溝の受圧点近
傍に潤滑油を圧送する為に、潤滑性の向上及び集
中荷重の軽減により仕切弁の摩耗を防止でき、信
頼性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の回転式圧縮機を示す断面図、
第２図は第１図の−′線における断面図、第
３図は、従来の仕切弁部拡大図、第４図は、本発
明の一実施例を示す回転式圧縮機の断面図、第５
図は第４図の−′線における断面図、第６図
は第５図における仕切弁部の拡大図である。 ３……シリンダ、４……ローラ、２０……仕切
弁、２６……ポンプ室、２８……油流入孔、２９
……連通孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダと、前記シリンダ内で偏心回動する
   ローラと、前記シリンダに形成した仕切弁用溝
   に、ローラの外周面に弾接し往復摺動自在に設け
   られた仕切弁と、この仕切弁の両端に各々設けら
   れ、前記シリンダに連通する吸入孔と吐出ポート
   と、前記仕切弁、前記仕切弁用溝、主軸受、副軸
   受で画定されるポンプ室を備え、前記主軸受又は
   前記副軸受の一方又は両方に、一端が油溜部に連
   通し、他端が前記ポンプ室に開口すると共に前記
   仕切弁により開閉される油流入孔を設け、かつ一
   端が前記ポンプ室に開口し他端が前記仕切弁用溝
   の前記吸入孔側壁面でかつ前記シリンダの内面の
   近傍に開口する連通孔を備えた回転式圧縮機。