JPH0557912U - パラボラアンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 １個の反射鏡に複数の一次放射器を設けるこ
とによって、到来方向の異なる複数の放送電波、通信電
波、放送と通信電波を１台で受信可能にする。 【構成】 反射鏡１の焦点側に複数の一次放射器を配置
し、それらの複数の一次放射器のうちの１つは前記焦点
近傍に、残りのものは前記反射鏡の中心軸から所定角度
それぞれずらせて配し、各一次放射器を前記反射鏡に対
向する向きにメインローブを有するバックファイヤー・
ヘリカルアンテナ５又はバックファイヤー・ジグザグア
ンテナ２で構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、複数の放送衛星、複数の通信衛星、あるいは放送衛星と通信衛星か ら送信された放送もしくは通信電波を１個の反射鏡を共通に用いて受信可能なパ ラボラアンテナ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、ＳＨＦ用パラボラアンテナ装置はパラボラ反射鏡(放物面反射鏡)の焦 点に一次放射器を配置した構造(例えば特開昭５６−９３４０２号)であり、放送 衛星からの衛星放送電波もしくは通信衛星からの通信電波を、円偏波用もしくは 直線偏波用の一次放射器を前記反射鏡の焦点に配置して受信する。そして、受信 は、反射鏡の中心軸を電波の到来方向に一致させて行う。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、近年多数の放送衛星及び通信衛星が打ち上げられ、さらに打ち上げ 予定のものも多くなっている。この場合、隣接国の電波同士では電波の到来方向 が十度弱乃至数十度しかずれていないこともある。しかしながら、従来一般的な パラボラアンテナ装置は、一次放射器が１個のみ反射鏡焦点位置に配置されたも のであり、電波の到来方向が反射鏡の中心軸に一致したものしか受信できず、複 数の放送電波、通信電波、あるいは放送と通信電波を１台のパラボラアンテナ装 置で受信することはできない。すなわち、受信を希望する電波毎にパラボラアン テナ装置を設置する必要があるが、設置費用や設置スペースが一般の受信者にと っては大変な負担となる。

【０００４】 本考案は、上記の点に鑑み、反射鏡の中心軸からずれて到来した電波は当該反 射鏡の焦点からずれた所定位置に集束することに着目し、１個の反射鏡に対して 複数の一次放射器を設けることによって、到来方向の異なる複数の放送電波、通 信電波、あるいは放送と通信電波を１台で受信可能にしたパラボラアンテナ装置 を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案のパラボラアンテナ装置は、反射鏡の焦点 側に複数の一次放射器を配置し、それらの複数の一次放射器のうちの１つは前記 焦点近傍に、残りのものは前記反射鏡の中心軸から所定角度それぞれずらせて配 し、各一次放射器を前記反射鏡に対向する向きにメインローブを有するバックフ ァイヤー・ヘリカルアンテナ又はバックファイヤー・ジグザグアンテナで構成し たことを特徴としている。

【０００６】

【作用】

本考案のパラボラアンテナ装置の原理的な説明を図４で行う。図４で１はパラ ボラ反射鏡 (放物面反射鏡）であり、実線のように反射鏡１の中心軸に平行に到 来した電波は反射鏡の焦点Ｆに集束する。また、点線のように反射鏡の中心軸に 対して所定の角度を成して到来した電波は焦点Ｆからずれた位置Ｆaに集束する 。これらの関係は光線とレンズとの関係に類似している。従って、到来方向が既 知となっている複数の衛星からの電波に対して、１つの電波は反射鏡の中心軸を 到来方向に一致させて焦点位置の一次放射器で受信し、他の電波は反射鏡の焦点 からずれた電波の集束位置に配された別の一次放射器で受信することによって反 射鏡を共用することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案に係るパラボラアンテナ装置の実施例を図面に従って説明する。

【０００８】 図１において、１はパラボラ反射鏡 (放物面反射鏡）であり、この放物面反射 鏡１の焦点に通信衛星からの通信電波を受信するための直線偏波用一次放射器と してのバックファイヤー・ジグザグアンテナ２が配置され、このバックファイヤ ー・ジグザグアンテナ２の反射鏡側の給電点に同軸線路(セミリジッドケーブル 又はリジッドケーブル)３が接続されている。この同軸線路３は放物面反射鏡の 焦点を通過する中心軸に沿って放物面反射鏡の背面側に引き出されてＣＳコンバ ータ４に接続されている。このＣＳコンバータ出力はＣＳチューナに入力される 。また、前記放物面反射鏡１の焦点からずれた位置に放送衛星からの放送電波を 受信するための円偏波用一次放射器としてのバックファイヤー・ヘリカルアンテ ナ５が配置され、このバックファイヤー・ヘリカルアンテナ５の反射鏡側の給電 点に同軸線路(セミリジッドケーブル又はリジッドケーブル)６が接続されている 。この同軸線路６は放物面反射鏡の中心近傍を通ってその背面側に引き出されて ＢＳコンバータ７に接続されている。このＢＳコンバータ出力はＢＳチューナに 入力される。ここで、バックファイヤー・ヘリカルアンテナ５の位置は、前記通 信衛星からの通信電波の到来方向に前記反射鏡１の中心軸を一致させたときに、 反射鏡中心軸から所定角度だけずれて入射する所望の放送衛星からの放送電波が 反射鏡で反射されて集束する所に設定される。なお、バックファイヤー・ジグザ グアンテナ２及びバックファイヤー・ヘリカルアンテナ５の支持は、同軸線路３ ，６自体で行うことができる。また、前記放物面反射鏡１は、ずれた位置の一次 放射器のビームに対して鏡面修正されて感度が低下しないようにしてあれば理想 的である。

【０００９】 前記直線偏波用の一次放射器としてのバックファイヤー・ジグザグアンテナ２ は、図２に示すように、水平又は垂直面内でジグザグ状に折り曲げられていて同 軸線路３の中心導体１０に接続するジグザグ導体部１４と、前記ジグザグ導体部 １４と同一平面にありかつ同軸線路３の外側導体１１に接続された棒状の導波器 １５とから成っている。なお、図２におけるジグザグ導体部１４の各部の寸法を ２Ｌ,４ｂ,２αとしたとき、Ｌ−ｂ ≒ λ／４ (但しλは電波の波長）となるよ うに設定する。αはビーム幅に関係する任意の角度である。また、バックファイ ヤー・ジグザグアンテナ２の反射鏡側に向いたメインローブの中心軸は反射鏡中 心軸に実質的に一致させる。このバックファイヤー・ジグザクアンテナ２の偏波 面は、所望の通信電波の偏波面に一致させる。すなわち、受信を希望する通信電 波が水平偏波であれば、水平面内でジグザグ状となったものを用い、垂直偏波で あれば垂直面内でジグザグ状となったものを用いれば良い。

【００１０】 図３に示すように、円偏波用一次放射器としてのバックファイヤー・ヘリカル アンテナ５は、前記同軸線路６の中心導体２０に接続する螺旋状導体(ヘリカル) ２２と同軸線路６の外側導体２１に接続する整合円板２３とからなっている。こ こで、Ｓは螺旋状導体２２の円周長、βは螺旋のピッチ角、cは整合円板２３の 円周長、ａは整合円板２３とこれに対向する螺旋状導体２２の直線部２４との間 隔であり、これらは給電点側を向いたメインローブが充分大きくかつ良好な整合 状態が得られるように設定される。

【００１１】 上記実施例の構成において、放物面反射鏡１の中心軸を通信衛星からの通信電 波の到来方向に一致させた状態とすれば、図１実線で示す通信電波は反射鏡１で 反射されて焦点に集束し、焦点位置にある直線偏波用のバックファイヤー・ジグ ザクアンテナ２で受信される。また、反射鏡中心軸から所定角度ずれた放送衛星 からの放送電波は、図１点線で示すように反射鏡１で反射されて焦点からずれた 位置に集束し、当該位置に置かれた円偏波用のバックファイヤー・ヘリカルアン テナ５で受信されることになる。ここで、通信衛星からの通信電波の到来方向と 反射鏡１の中心軸とを一致させるのは、一般的に通信衛星の電波の方が放送衛星 の電波よりも微弱であるからで、通信衛星の電波を高利得で受信できるようにし ている。

【００１２】 なお、上記実施例では、通信衛星と放送衛星からの電波をそれぞれ受信するよ うにしたが、電波の到来方向の異なる複数の通信衛星の電波をそれぞれ受信する 場合には、一次放射器としていずれも直線偏波用のバックファイヤー・ジグザク アンテナを配置すれば良い。また、電波の到来方向の異なる複数の放送衛星の電 波をそれぞれ受信する場合には、一次放射器としていずれも円偏波用のバックフ ァイヤー・ヘリカルアンテナを配置すれば良い。なお、通信衛星は直線偏波を用 たものが一般的であるが、円偏波の場合には円偏波用一次放射器を用いる。

【００１３】

【考案の効果】 以上説明したように、本考案のパラボラアンテナ装置によれば、１つの反射鏡 に対して複数の一次放射器を配置し、それらの複数の一次放射器のうちの１つは 前記反射鏡の焦点近傍に、残りのものは前記反射鏡の中心軸から所定角度それぞ れずらせて配置することにより、到来方向の異なる複数の放送衛星からの電波、 複数の通信衛星からの電波、あるいは放送衛星と通信衛星からの電波を１台で受 信可能である。また、一次放射器を前記反射鏡に対向する向きにメインローブを 有するバックファイヤー・ヘリカルアンテナ又はバックファイヤー・ジグザグア ンテナで構成しており、同軸線路を一次放射器の支持部材として利用でき、一次 放射器の支持機構や同軸線路が反射鏡前面を横断することに起因するブロックキ ングを最小限にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るパラボラアンテナ装置の実施例を
示す構成図である。

【図２】実施例で用いる一次放射器としてのバックファ
イヤー・ジグザグアンテナを示す構成図である。

【図３】実施例で用いる一次放射器としてのバックファ
イヤー・ヘリカルアンテナを示す構成図である。

【図４】本考案の動作原理を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 放物面反射鏡 ２ バックファイヤー・ジグザグアンテナ ３，６ 同軸線路 ４，７ ＢＳコンバータ ５ バックファイヤー・ヘリカルアンテナ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 反射鏡の焦点側に複数の一次放射器を配
   置し、それらの複数の一次放射器のうちの１つは前記焦
   点近傍に、残りのものは前記反射鏡の中心軸から所定角
   度それぞれずらせて配し、各一次放射器を前記反射鏡に
   対向する向きにメインローブを有するバックファイヤー
   ・ヘリカルアンテナ又はバックファイヤー・ジグザグア
   ンテナで構成したことを特徴とするパラボラアンテナ装
   置。