JPH0557079U - 排気通路を備えたサイホン便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サイホン便器における洗浄時間，洗浄水の使
用量の改善を図る。 【構成】 便鉢１１から排出部１４に至る排水路１２に
おける湾曲部１３の頂部又はその近傍に、当該便器１１
よりも上方へ伸長する排気通路１２を接続し、該排気通
路１２の末端又は途中に大気からの吸気阻止用の逆止弁
２を設けることにより、洗浄開始直後に排水路１２内の
空気を大気中へ排出する。 【効果】 洗浄開始後、確実に且つ速やかに排水路内が
満水状態となるので、サイホン効果が発生してから、洗
浄水及び汚物の排出が完了するまでに要する時間が短く
なる。依って、洗浄水の使用量を節約でき、洗浄時間が
短縮化する。またサイホン効果も大きくなるため、洗浄
能力も向上する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、サイホン便器において、排出機能を高め、もって洗浄効率の向上を 図ることを目的とするものである。

【０００２】

【従来の技術】

図３は、一般にサイホン便器３０と称される便器の構造を縦断面視して示すも のである。この種の便器３０は、便鉢３１へ、ロータンク３５などの給水源から 洗浄水を供給すると、便鉢３１の水位が一時的に高くなると共に排水路３２内が 満水状態になり、水位の高低差に基づくサイホン効果が排水路３２内で発生する 。このサイホン効果を利用して、便鉢３１及び排水路３２内にある洗浄水と汚物 とを、排出部３４から一気に吸い出すようにして排出するところから、当該便器 の如き排出機能を備えた便器を一般にサイホン便器３０と言う。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

図３に示す如く、サイホン便器３０における洗浄開始前の排水路３２の湾曲部 ３３から排出部３４に至る通路には、通常、空気が貯留している。洗浄を開始す ると、この空気の大部分は、洗浄水と共に排出されるが、一部は、湾曲部３３の 頂部付近に留まって、空気溜まり４０（点線で図示）を形成する。該空気溜まり ４０は、洗浄開始直後では増加する洗浄水により圧縮されて若干高圧になるため 、排水路３２内へ洗浄水が流入する際の障害となり、サイホン効果の発生を遅延 化する。またサイホン効果が生じたのちは、上記空気溜まり４０が逆に負圧化し て排水路３２内における洗浄水の良好な流動及び排出部３４からの流出を阻害し 、排出力の低下を招くことがある。これらが要因となって、従来のサイホン便器 においては、洗浄効率，洗浄時間，洗浄水使用量などの点で十分に満足できる結 果が得られておらず、さらなる改良が望まれている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 本考案は、上記従来の問題点を解決すべく創案されたサイホン便器であって、 その特徴とするところは、サイホン便器の便鉢から排出部に至る排水路における 湾曲部の頂部又はその近傍に、当該便器よりも上方へ伸長する排気通路が接続さ れ、該排気通路の末端又は途中に大気からの吸気阻止用の逆止弁が設けられてい ることである。

【０００５】

【作用】

本考案に係るサイホン便器は、排水路において空気溜まりの形成され易い湾曲 部の頂部又はその近傍に、排気通路を接続したので、洗浄開始直後に排水路内へ 洗浄水が流入した際、排水路内の大部分の空気は洗浄水の流勢で排出部から排出 され、湾曲部の頂部付近の空気は上記排気通路を通じて大気中へ排出される。そ れ故、排水路内が確実に且つ速やかに満水状態となるので、洗浄開始後、サイホ ン効果が起こるまでに要する時間が短くなる。また、排水路内に空気が残留しな いため、発生するサイホン効果は従来よりも大きくなる。

【０００６】 なお、便鉢及び排水路から洗浄水が排出される際、排気通路には負圧が作用す るが、該排気通路の末端又は途中に逆止弁を設けてあるので、大気中から空気が 排気通路を通じて排水路内へ流入することはなく、依って、洗浄水及び汚物の排 出が確実である。

【０００７】

【実施例】

図１に、本考案に係るサイホン便器（以下、「本案サイホン便器」と言う）の 一実施例を示す。図示の如く、本案サイホン便器１０は、便鉢１１から排出部１ ４にいたる排水路１２の途中に形成された湾曲部１３の頂部近傍に、適宜素材か ら成る排気通路１を接続してある。この排気通路１は、湾曲部１３の頂部近傍か ら便器１０の上方へ伸長しており、その末端に、大気側から排気通路１内への吸 気阻止用の逆止弁２及び脱臭器３が取り付けられている。当該排気通路１は、可 撓性を有するものでも堅固なものであってもよいが、耐腐食性を備えていること が望まれる。

【０００８】 上述の如く構成された本案サイホン便器１０において、洗浄水をロータンク２ ０等の給水源から便鉢１１内へ供給すると、便鉢１１の水位上昇に従い、排水路 １２内へも洗浄水が流入する。排水路１２内の空気の大部分は、洗浄水の流勢で 排出部１４から排出されるが、一部は湾曲部１３の頂部付近に留まろうとする。 しかるに、本考案では、この空気を湾曲部１３の頂部近傍に接続した排気通路１ を通じて大気中へ排出するから、排水路１２内が確実に且つ速やかに満水状態と なる。それ故、洗浄を開始してから、排水路１２内でサイホン効果が発生し、洗 浄水及び汚物の排出が完了するまでに要する時間が従来より短縮化されるので、 洗浄水の使用量を節約することができる。また、排水路１２内に空気が残留しな いことにより、発生するサイホン効果自体も大きい優れたものとなる。従って、 洗浄水及び汚物を排出する能力の向上がもたらされる。

【０００９】 なお、排気通路１を便器１０よりも上方へ伸長させたのは、排水路１２内が満 水状態となったときに、汚水が排気通路１を通じて末端から流出しないようにす るためである。排気通路１の末端の高さ位置を十分に高く保持しておくことによ り、排水路１２内の空気の排出を終えたのち、万一、汚水が排気通路１２内へ流 入したとしても、これを外部へ流出させるおそれがない。さらに、必要に応じ、 通気性を有するが水等の液体に対しては不透過性のフィルター（図示せず）を、 排気通路１の排水路１２への接続端あるいは途中に設けて、汚水の流出を阻止す るようにしてもよい。

【００１０】 ところで、サイホン効果の継続中は、洗浄開始直後とは逆に、排出される洗浄 水の流動による負圧が排気通路１に作用する。従って、仮に排気通路１の末端が 大気に開放されてあったとすると、排気通路１を通じて再び空気が排水路１２内 に流入し、サイホン効果が早期に終了してしまい、便器洗浄が不完全なままで終 わるおそれがある。しかるに本考案では、排気通路１の末端に大気側からの吸気 阻止用の逆止弁２を設け、空気の再流入が起こらないよう措置したので、洗浄水 及び汚物の排出が確実である。

【００１１】 また、排水路１２は、排出部１４を介して下水管や浄化槽（図示せず）と連通 しているから、排水路１２内の空気は悪臭を含んでいる。そこで本実施例では、 排気通路１の末端に脱臭器３を取り付け、排気通路１を通じて大気中へ排出する 空気の脱臭を図っている。

【００１２】 本考案の実施例は、上記以外に、適宜の応用が可能である。例えば、図示は省 略したが、排気通路１の途中に開閉弁を設け、これを便器洗浄時に使用者が操作 することで排水路１２内の排気を制御してもよい。あるいは、該開閉弁を電磁式 とし、排気通路１の開閉を電気的に制御して洗浄操作と連動させることも可能で ある。上記の如く開閉弁を設けた場合、洗浄開始後の排気通路１の開放時間は、 便器１０の構造によってサイホン効果の継続時間がほぼ決められるから、そこか ら算出して設定される。また、脱臭用の配管が便器周辺に設けられている場合に は、排気通路１の末端をこの脱臭用配管に接続してもよい。さらに、排気通路１ については、図２に例示する如く、これを便器１０後部のロータンク２０内に設 けたオーバーフロー管２１及び洗浄水排水部２２の内部を通るように配設するこ とも可能である。このように、本考案は、実施の態様に応じた適宜の変更を妨げ るものではない。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したところから明らかなように、本案サイホン便器は、排水路におけ る頂部又は頂部近傍に接続した排気通路を通じて、排水路内の空気を大気中へ排 出することができる。このため、洗浄開始後、確実に且つ速やかに排水路内が満 水状態となるので、サイホン効果の発生後、洗浄水及び汚物の排出が完了するま でに要する時間が短くなる。しかも、発生するサイホン効果そのものも従来より 大きくなるから、洗浄時間の短縮化、洗浄水使用量の節約化及び洗浄能力の向上 がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すものであって、サイホ
ン便器の縦断面図である。

【図２】本考案の別態様の実施例を示すものであって、
サイホン便器の縦断面図である。

【図３】従来のサイホン便器の縦断面図である。

【符号の説明】

１…排気通路 ２…逆止弁 ３…脱臭器 １０…本案サイホン便器 １１…便鉢 １２…排水路 １３…湾曲部 １４…排出部 ２０…ロータンク ２１…オーバーフロー管 ２２…洗浄水排水部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 サイホン便器の便鉢から排出部に至る排
   水路における湾曲部の頂部又はその近傍に、当該便器よ
   りも上方へ伸長する排気通路が接続され、該排気通路の
   末端又は途中に大気からの吸気阻止用の逆止弁が設けら
   れていることを特徴とする排気通路を備えたサイホン便
   器。
2. 【請求項２】 前記排気通路の末端又は途中に、脱臭器
   が設けられている請求項１に記載のサイホン便器。