JPH0556851U - 重送検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 超音波の受信信号の強度の変動が小さく、そ
れにより、安定した重送検出を行うことのできる重送検
出装置 【構成】 検出対象物１４の移動面１３を、超音波送信
器１１と超音波受信器１６とで構成される超音波伝播軸
１０に垂直な面に対して傾斜させる。 【効果】 超音波送信器１１から発射され、検出対象物
１４の表面で反射した超音波が送信器に戻ることがない
ため、受信器１６により検出される超音波の量が安定し
ており、検出対象物１４の１枚送りと重送とを確実に検
出することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、カット紙、プラスチックシート、ガラス板等のシートを印刷機等に １枚づつ送給する際に、それらが２枚以上重なって送られていないかを検出する 重送検出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

このような重送検出装置として従来より超音波センサユニットを利用したもの が知られている。超音波センサユニットは超音波送信器と超音波受信器とから構 成されるものであり、元来は、送信器と受信器との間に超音波を遮蔽する物体が 介在するか否かを検出するものであるが、紙等の薄いシートの場合には超音波が 完全には遮蔽されず、受信強度が低下するものの一部は受信器に到達することに 着目し、重送を検出するために利用したものである。このような重送検出装置の 一例が特開昭６２−７０７０７号公報に記載されている。これによると、超音波 送信器と受信器との間に検出対象物であるシートが１枚しかない場合と２枚以上 ある場合とでは受信器の受信する超音波の強度が異なることに着目し、受信器の 受信レベルが所定の判定基準値以上であるか以下であるかにより検出対象物の重 送があるか否かを検出するようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の重送検出装置の超音波受信器が受信する超音波の強度は、実際には図３ （ｂ）に示すように検出対象物が送・受信器の間を移動する際に非常に大きく変 動する。この変動により、受信強度の瞬時値が上記の判定基準値を超えて小さく なることもあるため、受信強度値をそのまま所定の基準値と比較して重送がある か否かを判定することができない。そのため、従来は、ある時間（図３（ｂ）で はΔｔ）をとり、その間の受信強度の平均をとって、その平均値により重送判定 を行っていた。 しかし、高速印刷機等で検出対象物の移動速度が大きい場合には、検出対象物 の移動時の振れも大きいために受信信号の強度が更に大きく変動すると共に、十 分な信号の平均化時間をとることが難しくなってくる。このため、このような場 合には確実な重送検出が困難であるという問題があった。 本考案はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とす るところは、超音波の受信信号の強度の変動が小さく、そのため、安定した重送 検出を行うことのできる重送検出装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために成された本考案では、図１に示すように、超音波送 信器１１と超音波受信器１６とにより所定の移動面１３を移動するシート状の検 出対象物１４が２枚以上重なっているか否かを検出する重送検出装置において、 検出対象物１４の移動面１３を、超音波送信器１１と超音波受信器１６とで構成 される超音波伝播軸１０に垂直な面に対して傾斜させたことを特徴とする。

【０００５】

【作用】

上記公報にも記載されている通り、従来の重送検出装置では検出対象物が移動 する面は超音波送信器の発射する超音波の伝播方向に対して必ず垂直になるよう に設定されていた（図４）。一般に、送信器４０により発射された超音波４１の うち検出対象物４２を透過するのは一部であり、多くは検出対象物４２の表面で 反射される。従って、図４のような設定状態で検出対象物４２が送信器４０と受 信器４４との間に存在するとき、反射した超音波のうち一部は乱反射により周辺 に飛散して行くが、多くはそのまま送信器４０の方に戻って行く。このように超 音波が往復することにより、送信器４０と検出対象物４２との間では定在波が形 成される。検出対象物４２の表面で乱反射して周囲に飛散して行く超音波の量は 、送信器４０と検出対象物４２との間の距離、検出対象物４２の傾き、検出対象 物４２の表面状態等の僅かな変化によっても変化するため、この定在波の量及び 検出対象物４２を透過する超音波４３の量もそれらの要因により大きく変動する 。この現象は検出対象物４２を透過した超音波４３についても同様であり、かつ 、この透過超音波４３の場合には元々の強度が低いために、受信器４４によって 検出される超音波の量の変動はなおさら大きくなる。

【０００６】 それに対し、本考案による配置では図１に示すように、超音波送信器１１から 発射された超音波１２の一部１５が検出対象物１４を透過することは同様である ものの、検出対象物１４の表面で反射された超音波は送信器１１には戻らず、別 の方向に行く。従って、送信器１１と検出対象物１４との間、及び検出対象物１ ４と受信器１６との間では超音波が定在波を作らず、受信器１６で受信される超 音波の量は検出対象物の位置、傾き、表面状態等の変化に関わらず、ほぼ一定と なる。このため、図３（ａ）に示すように、受信器１６による受信強度はきわめ て安定しており、受信信号の平均化を行うことなく、検出対象物の重送を確実に 検出することができる。

【０００７】

【実施例】

本考案の一実施例を図２に示す。本実施例では、超音波送信器２０と受信器２ １をほぼ鉛直に取り付け、検出対象物であるカット紙２２が送られるカット紙移 動台２３を水平面に対して傾斜させる形式としている。 カット紙移動台２３には重送検出用の超音波通過口２４を開け、超音波受信器 ２１はその通過口２４の下部に配置する。受信器２１は専用の取付具２５により カット紙移動台２３に固定され、この取付具２５により受信器２１と移動台２３ との角度が固定される。本実施例の場合、この傾斜角（水平面に対する移動台２ ３の傾斜角）は約２５度としている。超音波送信器２０は受信器２１の真上に配 置し、これも専用の取付具２６により固定する。送信器２０と受信器２１とは、 送信器２０から超音波を発射し、受信器２１で受信しながら、受信強度が最も強 くなるようにして、その中心軸２７を一致させる。 このようにして送・受信器の取付調整を終了した後は、カット紙移動台２３の 上方からカット紙を次々に送ることにより、その重送を確実に検出することがで きる。

【０００８】

【考案の効果】 本考案に係る重送検出装置では、超音波送信器から発射され、検出対象物の表 面で反射した超音波が送信器に戻ることがないため、受信器により検出される超 音波の量が安定しており、検出対象物の１枚送りと重送とを確実に検出すること ができる。このため、受信信号の平均化処理の必要がなくなり、高速で送られる 検出対象物にも十分対応することができるようになる。また、受信信号の強度が 検出対象物の位置、傾き、表面状態等に影響されないため、本考案に係る重送検 出装置は検出対象物の送りが比較的ラフな場合にも対応することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の概略構成図。

【図２】 本考案の一実施例である重送検出装置の超音
波送信器、受信器及び検出対象物移動台の配置を示す側
面図。

【図３】 （ａ）は本考案による超音波受信器の受信信
号の強度の変化を示すグラフ、（ｂ）は従来の重送検出
装置の受信信号の強度の変化を示すグラフ。

【図４】 従来の重送検出装置の超音波送信器、受信器
及び検出対象物の配置を示す側面図。

【符号の説明】

１０…超音波伝播軸 １１…超音波送信
器 １２…超音波 １３…検出対象物
移動面 １４…検出対象物 １５…透過超音波 １６…超音波受信器

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 超音波送信器と超音波受信器とにより所
   定の移動面を移動するシート状の検出対象物が２枚以上
   重なっているか否かを検出する重送検出装置において、 検出対象物の移動面を、超音波送信器と超音波受信器と
   で構成される超音波伝播軸に垂直な面に対して傾斜させ
   たことを特徴とする重送検出装置。