JPH0556409B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車両用の液圧ブレーキ作動装置、特
に、制動さるべき部材に近接して配置された少な
くとも１つの摩擦要素と、少なくとも一部分が膨
張可能である室を有し、摩擦要素に連結され、圧
力液体によつて作動されて摩擦要素を変位させ同
要素を制動さるべき部材に摩擦係合させる液圧駆
動装置と、液圧駆動装置を圧力液体源に連結する
連結装置とから成り、室の膨張可能な部分が摩擦
要素に隣接する端部を具えた円筒状の金属製のベ
ローによつて形成されている型の液圧ブレーキ作
動装置に関するものである。

ブレーキの液圧駆動装置内に金属製の膨張可能
なベローを用いることは、特に米国特許第
1642784号、第2174635号あるいは第3851567号に
おいて公知である。又、ブレーキ製造業者が常に
心掛けていることは、摩擦要素がシユー型であろ
うとパツド型であろうとも、摩擦要素のライニン
グの摩耗を吸収する装置を備えたブレーキを供給
することである。このため、上記米国特許第
3851567号において、塑性変形可能な材料で作ら
れたベロー、より詳細には、事実上弾性を有して
おらず且つ弾性材料製の被覆と組合わせられる合
成バイメタルベローを用いることを提案してい
る。

本発明の目的は、構造が簡単で低コストで製作
でき且つ慣性が極めて小さい液圧駆動装置を使用
することにより、効果的且つ信頼性の高い方法で
遊隙を吸収することができると共に、多様に使用
することができ、しかも故障の危険性が実質的に
生じないようにした上記型の液圧ブレーキ作動装
置を提供することにある。

この目的を達成するため、本発明は、上記型の
液圧ブレーキ作動装置において、液圧駆動装置の
ベローが弾性金属で作られており、連結装置が、
液圧駆動装置に隣接して、逆止弁を設けたピスト
ンを具えた圧力伝達装置を有していることを特徴
とするものである。

この構成によると、弾性ベローの自己収縮性
は、ブレーキ圧力の供給が終止した後制動さるべ
き部材から摩擦要素を制御された態様で僅かに離
隔させるために有効に利用できる一方、ベローの
収縮によつて生ずるベロー内の液体の排出作用は
圧力伝達装置のピストンに設けた逆止弁装置によ
つて制限されて、制動さるべき部材に対する摩擦
要素の離隔後退量が、同部材に対する摩擦要素の
擦り接触及びガタツキを防止し且つ次のブレーキ
作動時における無効行程を制限するに十分な小さ
い値に限定されることとなり、従つてベローの膨
張量は摩擦要素のライニングの摩耗の増大に応じ
て決定されることとなるのである。ベローから液
体を単に排出することにより、例えば新品の摩擦
要素を設置するために、ベローは自動的に初期収
縮位置へ戻ることができる。

又、弾性ベローを備えた液圧駆動装置の構造を
簡素化することにより、特に少なくとも１つの環
状摩擦要素を有する環状型デイスクブレーキにお
いては、ブレーキの構造を簡素化し、その重量及
び慣性を低減できる。

このため、本発明の他の特徴によると、ベロー
と摩擦要素は環状であり、制動さるべき部材は、
有益的には、互いに軸線方向に離間した少なくと
も２つのデイスク部材を有し、同デイスク部材間
に環状摩擦要素を介して環状ベローが配置され、
各環状摩擦要素は各デイスク部材と環状ベローの
対応する端部との間に介在されている。

更に、上述した環状型デイスクブレーキにおい
て、液圧駆動装置と摩擦要素とが浮動の単一組立
体を形成するように液圧ブレーキ作動装置を構成
することにより、付加の機械的装置を必要とする
ことなく遊隙を自動的に吸収することができ、従
つてデイスクの構造を多様に変化させることがで
きる。

このため、本発明の更に他の特徴によると、摩
擦要素は環状ベローの軸線方向両端部に堅固に固
定され、圧力伝達装置は有益的には環状摩擦要素
の一方の支持板に装着されている。

この構成によると、長寿命型の摩擦ライニング
を使用し、且つデイスク部材の摩擦面が高い耐摩
耗性を有するように摩擦面を処理することによつ
て、デイスク、液圧駆動装置及び摩擦要素を予め
組付けられたサブアセンブリとして形成すること
ができ、このようなブレーキ用サブアセンブリを
装備した車両の寿命の殆んどの期間中、あるいは
その寿命の全期間中、摩耗に関し何ら注意を払う
必要がなくなるのである。

本発明の上記及び他の特徴及び利点は、添付図
面を参照して行う好適な実施例の下記説明から明
白となるであろう。

第１図ないし第３図に示す本発明の第１実施例
において、離隔式駆動装置を具え環状型として知
られているデイスクブレーキは、車輪ハブ１の内
部に配置された制動さるべき部材即ちデイスク１
０を有し、デイスクは「二又」形状をなし、互い
に軸線方向に離間して環状空間を形成する少なく
とも２つの環状デイスク部材１１，１１′を有し
ており、この環状空間内には離隔式液圧駆動装置
５０が配置されて、環状摩擦要素１４の摩擦ライ
ニング１３をデイスク部材１１，１１′の互いに
対向する摩擦面１２，１２′に夫々係合せしめる
ようになつており、各摩擦要素１４は対応する摩
擦ライニング１３が固着されている環状支持板１
５を有する。図示の実施例では、離隔式液圧駆動
装置５０は、膨張可能な内部室５２を形成し例え
ば合金鋼あるいはステンレス鋼のような弾性金属
で作られた環状ベロー５１（２つの同心の波型壁
を有する）から成つている。

本発明の特徴によると、支持板１５は環状ベロ
ー５１の軸線方向両端部に列えば溶接によつて直
接固定されて、内部室５２の軸線方向両端部を閉
鎖している。内方の摩擦要素１４の支持板１５は
その一部分に、デイスク１０の外周を越えて半径
方向外方に突出する延長部１５０を具え、延長部
１５０は圧力伝達装置２０が嵌合される貫通穴１
５１を具えており、圧力伝達装置２０は、穴１５
１と整合して延びているベロー５１の内方端部分
の半径方向外方延長部１５２を介して、内部室５
２と圧力液体源２００（この場合にはマスターシ
リンダ）とを連結するように働いている。

図示の実施例では、圧力伝達装置２０は内部孔
２２を具えた円筒形ボデー２１を有し、この孔２
２内にはピストン２３が摺動し得るように収蔵さ
れて、ボデー２１の端部に設けられた入口オリフ
イス２５を介して圧力液体源２００に連通する入
口室２４と、プラグ２７のオリフイス２６を介し
てベロー５１の内部室５２に常時連通する圧縮室
２４０とに孔２２を区分しており、プラグ２７は
圧力伝達装置２０を内方摩擦要素１４の支持板の
延長部１５０に装着するためのコネクタを形成
し、オリフイス２６はベロー５１の延長部１５２
に開口している。ピストン２３は一端部に弁部材
を形成する円錐形突出部２８を具え、この突出部
は、プラグ２７に支持されピストン２３を入口オ
リフイス２５の方向へ押す戻しスプリング２９の
作用によつて、入口オリフイス２５の弁座を形成
する端縁に通常当接するようになつている。ピス
トン２３は又突出部２８の中央に開口する中央貫
通路３０を具え、貫通路３０の圧縮室２４０側の
端部は、カツプ３２と協働するボール弁部材又は
逆止弁３１のための弁座を形成するように拡開さ
れており、カツプ３２は有益的にはピストン２３
の内部で圧縮室２４０内に配置され、戻しスプリ
ング２９の他端部を支持しており、従つてスプリ
ング２９は逆止弁３１を介して入口オリフイス２
５の方向にピストン２３に作用して、逆止弁３１
をその弁座上に保持し貫通路３０を閉鎖する。

上述した液圧ブレーキ作動装置は次のように作
動する。

環状ベロー５１は、摩擦ライニング１３が新品
の時、同ライニングをデイスク１０の互いに対向
する摩擦面１２，１２′に軽く接触させ得るよう
な休止又は平衡状態となるように設計されてい
る。制動を行うため圧力液体が入口オリフイス２
５を介して圧力伝達装置２０内に導入されると、
圧力液体は最初貫通路３０を通つて流入して、圧
縮室２４０及び液圧駆動装置５０の内部室５２内
の圧力を上昇させ摩擦要素１４をデイスクの摩擦
面１２，１２′に係合させ、入口の圧力が上昇す
ると、ピストン２３がその弁座から離隔され逆止
弁３１が閉止され、入口室２４内の圧力が上昇す
ると、圧縮室２４０内の圧力が上昇して、液圧受
け装置として機能する内部室５２内に伝えられ
る。入口室２４内の圧力が釈放されると直ちに、
ピストン２３の両側での圧力差が、戻しスプリン
グ２９及びベロー５１を収縮させようとするその
弾性と一緒となつて、ピストン２３を入口オリフ
イス２５に当接せしめ、その結果ベロー５１の内
部室５２内の圧力が低下して摩擦要素１４をデイ
スクの摩擦面１２，１２′から僅かに離隔させる
が、内部室５２内の残留圧力は、ベロー５１がそ
の弾性の作用により完全に収縮するのを阻止して
いる。摩擦ライニング１３が摩耗するにつれて、
同等のブレーキトルクを得るために、休止状態に
対するベロー５１の膨張は徐々に大きくなる。し
かし、ベロー５１の収縮性は、上述したように、
圧力伝達装置２０の内部構造により各ブレーキ作
動の開始時点において室２４０と５２内の作動液
体量が徐々に増えていることによつて、恒久的に
制限された状態に保たれており、従つてベロー５
１の実際の弾性はデイスクの摩擦面に対する摩擦
要素の離隔後退量を僅かな値に確実に設定してい
るが、圧力伝達装置２０によつて自動摩耗吸収機
能を備えるように制御されるのである。

詳細な説明の冒頭で述べたように、この構成
は、環状型デイスクブレーキを信頼性が高いもの
とし、玩丈且つ特に簡単な構造とすることができ
るのである。第２図及び第３図に示されているよ
うに、内方摩擦要素１４の支持板１５の半径方向
外方延長部１５０の他に、各環状支持板１５はデ
イスク部材１１，１１′の外周を越えて半径方向
外方に突出する延長部１５３を具えており、この
延長部１５３は例えばＵ字形をなしていて、車両
の固定構造体１５５に堅固に固定された軸線方向
のトルク反動腕１５４と摺動的に協働するように
なつている。第２図に示す実施例では、内方のデ
イスク部材１１′は全体的にＬ字形をなし、ボル
ト１５６によつて外方のデイスク部材１１と共に
車輪ハブ１に同時に固定されている。しかし、第
１図に示されているように、本発明による液圧ブ
レーキ作動装置のコンパクトな単一組立体をなす
構成は、完成した環状型デイスクブレーキを漏洩
の生じない構造としている。事実、摩擦要素１４
の摩擦ライニング１３のための摩擦材料として例
えば焼結金属材料の混合物のような耐摩耗性の高
い材料を用い、且つデイスク部材１１，１１′の
互いに対向する摩擦面１２，１２′に例えば金属
酸化物を被覆することによつて耐摩耗性を高める
ように摩擦面を処理することにより、デイスクブ
レーキの寿命を、このブレーキを装備した車両の
耐用年数よりも相当大きく延ばすことが可能であ
る。このようにして摩擦要素の交換の問題を解消
することにより、第１図に示されているように、
中央の環状ウエブ部分１５８，１５８′で結合さ
れた２つの対称的なデイスク部材１１，１１′か
らデイスク１０を構成することができ、これらデ
イスク部材１１，１１′は環状の粗材をプレス加
工することにより作られると共にプレス加工によ
つて外面に半径方向の補強リブ１５７を形成さ
れ、中央のウエブ部分１５８，１５８′で互いに
溶着されるようにすることができ、又変形例とし
て、２つのデイスク部材１１，１１′はアルミニ
ウム合金を同一の型を用いてモールド成形するこ
とにより作られるようにすることができる。

第４図に示す本発明の第２実施例において、液
圧ブレーキ作動装置は単一の作用点を有するデイ
スクブレーキに適用されるものであり、デイスク
ブレーキは、ブレーキデイスク１０を跨ぎ固定支
持体（図示しない）に対して摺動できるキヤリパ
４０を備えている。従来と同様に、デイスク１０
の摩擦面に近接して少なくとも１つの摩擦要素１
４が配置されており、この摩擦要素１４は支持板
１５に固定された摩擦ライニング１３を有し、支
持板１５はキヤリパ４０あるいは固定支持体内に
案内され摺動し得るように収容されている。キヤ
リパ４０の内方ボデー部分内には空所４１が形成
されて、後述するように通路４２を介して外部の
圧力液体源に連結されている。空所４１内には、
前述したように弾性金属材料で作られた離隔式液
圧駆動装置５０を構成する円筒形の金属製ベロー
５１が少なくとも部分的に収蔵され、ベローの軸
線方向両端部は、通路４２に連通する中央開口５
４を具えた底板５３と、摩擦要素１４の支持板１
５に当接する当接板５５とに夫々溶着されてお
り、従つてベロー５１と板５３，５５は前記実施
例と同様に膨張可能な内部室５２を形成してい
る。本発明によると、第１図にに関して述べたも
のと全く同一の圧力伝達装置２０が入口通路４２
の上流側に配置されて、前述したと全く同一の態
様で機能する液圧ブレーキ作動装置を形成してい
る。第４図の実施例では、キヤリパ４０に装着さ
れた圧力伝達装置２０は、空気圧回路と液圧回路
との間の境界面を限定している空気圧駆動装置８
５の金属製ベロー８１によつて形成された液圧室
８０内に収蔵されており、この液圧伝達用ベロー
８１は、空気圧駆動装置８５の空気圧入口オリフ
イス８４を介して同装置の入口室８３内に導入さ
れる空気圧の作用によりピストン装置８２によつ
て圧縮されるようになつている。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明による液圧ブレーキ
作動装置の第１実施例を異なる位置で示す断面
図、第３図は第２図の矢印方向の矢視平面図、
第４図は本発明の第２実施例を示す断面図であ
る。 １０……デイスク、１１，１１′……デイスク
部材、１４……摩擦要素、２０……圧力伝達装
置、２１……ボデー、２２……内部孔、２３……
ピストン、２４……入口室、２５……入口オリフ
イス、２９……戻しスプリング、３０……貫通
路、３１……逆止弁、４０……キヤリパ、５０…
…液圧駆動装置、５１……ベロー、５２……内部
室、８０……液圧室、８５……空気圧駆動装置、
２００……圧力液体源、２４０……圧縮室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 制動さるべき部材１０に近接して配置された
   少なくとも１つの摩擦要素１４と、少なくとも一
   部分が膨張可能である室５２を有し、摩擦要素に
   連結され、圧力液体によつて作動されて摩擦要素
   を変位させ同要素を制動さるべき部材に摩擦係合
   させる液圧駆動装置５０と、液圧駆動装置を圧力
   液体源８０；２００に連結する連結装置とから成
   り、室の膨張可能な部分が摩擦要に素隣接する端
   部を具えた円筒状の金属製ベロー５１によつて形
   成されている液圧ブレーキ作動装置において、ベ
   ロー５１が弾性金属で作られており、連結装置
   が、液圧駆動装置５０に隣接して、逆止弁３１を
   設けたピストン２３を具えた圧力伝達装置２０を
   有していることを特徴とする液圧ブレーキ作動装
   置。 ２ 圧力伝達装置２０が、内部孔２２を具えたボ
   デー２１と、内部孔内に摺動し得るように収蔵さ
   れて、圧力液体源に連結される入口オリフイス２
   ５を具えた入口室２４と液圧駆動装置５０の室５
   ２に常時連通する圧縮室２４０とに内部孔を区分
   しているピストン２３とを有し、ピストンが戻し
   スプリング２９によつて入口室の容積を減少させ
   る方向に押圧され、入口室２４と圧縮室２４０と
   を相互に連通する貫通路３０を具えており、貫通
   路が、入口室に向かう方向に弾性的に押圧された
   逆止弁３１によつて通常閉鎖されていることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の液圧ブレー
   キ作動装置。 ３ 逆止弁３１が、ピストン２３のための戻しス
   プリング２９によつて貫通路３０を閉鎖する位置
   へ向けて押圧されていることを特徴とする特許請
   求の範囲第２項記載の液圧ブレーキ作動装置。 ４ ピストン２３が、入口室の入口オリフイス２
   ５を通常閉鎖する弁部材を形成している端部２８
   を具え、入口室２４と圧縮室２４０との間の貫通
   路３０がピストンの上記端部で終端していること
   を特徴とする特許請求の範囲第３項記載の液圧ブ
   レーキ作動装置。 ５ 液圧駆動装置５０の室５２がその周辺を金属
   製のベロー５１によつて限定されていることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項ないし第４項のい
   ずれか１項に記載の液圧ブレーキ作動装置。 ６ ベロー５１がブレーキの構造部材４０の空所
   ４１内に少なくとも部分的に収蔵されていること
   を特徴とする特許請求の範囲第５項記載の液圧ブ
   レーキ作動装置。 ７ ブレーキの構造部材がデイスクブレーキのキ
   ヤリパ４０であることを特徴とする特許請求の範
   囲第６項記載の液圧ブレーキ作動装置。 ８ 逆止弁を有する圧力伝達装置２０が、ブレー
   キの構造部材４０に装着されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第６項又は第７項記載の液圧
   ブレーキ作動装置。 ９ ベロー５１と摩擦要素１４が環状であること
   を特徴とする特許請求の範囲第５項記載の液圧ブ
   レーキ作動装置。 １０ 制動さるべき部材１０が互いに軸線方向に
   離間した少なくとも２つのデイスク部材１１，１
   １′を有し、同デイスク部材間に環状摩擦要素１
   ４を介して環状ベロー５１が配置されていること
   を特徴とする特許請求の範囲第９項記載の液圧ブ
   レーキ作動装置。 １１ 摩擦要素１４が環状ベロー５１の軸線方向
   両端部に堅固に固定されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１０項記載の液圧ブレーキ作動
   装置。 １２ 逆止弁を有する圧力伝達装置２０が、環状
   摩擦要素１４の一方の支持板１５に装着されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１１項記載
   の液圧ブレーキ作動装置。