JPH0555056U - ガス濃度測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスセンサーの稼働時間経過による感度変化
を補正して正確なガス濃度を得られるガス濃度測定装置
を提供する。 【構成】 環境中の特定成分のガス濃度を測定するガス
センサー１と、該ガスセンサー１の取付環境と同一条件
で予め採取した経時変化に対応して該ガスセンサー１の
出力特性を初期取付時の出力に一致させるよう増幅する
ための補正値を格納したメモリー３と、該ガスセンサー
１からの出力信号を取り込むとともに、該ガスセンサー
１の稼動時間に応じた補正値を前記メモリー３から取り
出して該ガスセンサー１の出力信号を補正する演算器２
とから構成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ガスセンサーを用いて環境中の被測定ガスの濃度を測定する装置に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

近時の半導体産業の発達はめざましいところであるが、皮肉なことに、半導体 産業で用いられるガスは、シラン，アルシン，ホスフィン等有毒なものが多いの が実情である。

【０００３】 そこで、半導体製造工場内の所定の位置にガスセンサーを設置して常時環境中 の前記有毒ガスの濃度を測定し、該有毒ガスが異常な濃度に達したら警報を出し 、あるいは、工場の操業を一時停止する等の処置を行っている。

【０００４】 上記ガスセンサーとしては各種のものが使用されるが、一般に、定電位電解式 ，熱線半導体式，隔膜電極式の各センサーが多用されている。しかし、これらの 各センサーは、所定の位置に設置されて濃度測定を開始すると同時に、時間の経 過とともに感度が変化してくる。これは、例えば前記有毒ガスとの化学反応が時 間の経過とともに変化するためで、一般には感度が次第に低下してくるものが多 いが、感度が一次的に高くなるものもある。

【０００５】 そこで、前記半導体工場では、３ヶ月毎，６ヶ月毎，あるいは１年毎に、ガス センサーの部品を交換するとともに、測定対象ガスと同一のガス（実ガス）を用 いて該実ガスの濃度に対するガスセンサーからの出力を初期取付時の出力に一致 させるようメンテナンスを行っている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、ガスセンサーは、前記メンテナンスを行っても、その後は、濃 度測定開始と同時に時間の経過とともに感度が変化してくる。従って、ガスセン サーの感度を最適状態に保つためには、なるべく頻繁にメンテナンスを行うこと が望ましいが、手間、経費等の点で行われていないのが実情である。

【０００７】 そこで、本考案者は、前記に鑑み種々考究した結果、特定成分のガスの濃度を 測定する同一形式のガスセンサーは、温度，湿度等の設置環境を同一にすると、 ほぼ同一の状態で感度変化を起こすことを見出した。本考案者は、上記知見に基 づいて常時ガスセンサーの出力を初期取付状態と同等に維持できるガス濃度測定 装置を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案のガス濃度測定装置は、環境中の特定成分の ガス濃度を測定するガスセンサーと、該ガスセンサーの取付環境と同一条件で予 め採取した経時変化に対応して該ガスセンサーの出力特性を初期取付時の出力に 一致させるよう増幅するための補正値を格納したメモリーと、該ガスセンサーか らの出力信号を取り込むとともに、該ガスセンサーの稼動時間に応じた補正値を 前記メモリーから取り出して該ガスセンサーの出力信号を補正する演算器とから 構成したことを特徴としている。

【０００９】

【作 用】

前記のように、同一ガスの濃度を測定する同一形式のガスセンサーは、同一の 温度，湿度等の環境条件に設置しておくと、ほぼ同一の状態で感度変化を起こす 。そこで、実際に用いるガスセンサーの設置環境条件と同一の状態で予め同一形 式の他のガスセンサーで経時変化を測定しておけば、この経時変化は、そのまま 実際に用いるガスセンサーの経時変化と一致する。

【００１０】 本考案装置によれば、装置を構成する演算器が、前記ガスセンサーからの出力 信号を、同一環境下で予め採取した経時変化に応じた補正値で補正して、常時初 期取付時の出力信号に一致させるよう制御するので、メンテナンスを行うまでの 期間中も正確なガス濃度を得ることができる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

【００１２】 図１は実施例装置の信号系統を示す概念図で、工場内の所定の位置に設置され たガスセンサー１の出力信号は、演算器２に入力される。該演算器２に接続され るメモリー３は、前記ガスセンサー１の経時変化に対応して初期取付時の出力信 号に増幅するための補正値を格納したもので、例えば表１に示すように、使用時 間に対する補正値が記録されている。この補正値は、前記のように、前記ガスセ ンサー１と同一形式のものを実際の取付状態に合わせて予め経時変化を測定して 採取したものである。

【００１３】

【表１】

【００１４】 上記構成において、演算器２は、前記ガスセンサー１からの出力信号を受ける と同時に、時間を計測して該ガスセンサー１の稼動時間を測定し、該稼動時間に 対する補正値をメモリー３の中から取り出してガスセンサー１からの出力信号に 対して演算を行う。例えば、稼動時間が２００時間の場合は、表１の中の２４０ 時間までのデータの１．０８を取り出して演算を行い、補正した出力信号を指示 計４等の外部機器に送信する。これによって、ガスセンサー１からの出力信号は 稼動開始後も、常時演算器２のよって初期取付時の感度に補正され、正確な測定 状態で使用することができる。

【００１５】 なお、上記実施例では、時間の経過に伴うガスセンサーからの出力信号の低下 は、全出力範囲に亘って一様な場合であったが、一様でない場合は、各出力範囲 を一様に変化する範囲内で区分し、それぞれの区分毎に補正値を決定しても良い 。また、上記実施例では、補正値を表の形で示したが、経時変化を時間の関数と して表すことができる場合には、前記補正表に変えて演算式を格納しておいても 良い。更に、上記実施例では、演算器２自体の内部でガスセンサーの稼動時間を 計測したが、別途タイマーを設けて稼動時間を計測するよう構成することも可能 である。

【００１６】 なお、メモリーに格納する補正データは、現実に取り付けた環境に合わせて予 め採取するが、この場合、半導体製造工場のように室内が常時空調されている環 境では、年間を通してほぼ一定の環境条件になっているので経時変化を簡単に採 取することができる。また、設置環境が変化する場合は、その変化を予め予測し て環境条件を一致させて経時変化を測定すれば良い。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように、本考案装置によれば、ガスセンサーの出力を、常時初期取付時 の出力に合わせるよう制御するので、メンテナンスを行うまでの期間中も感度変 化を起こすことがなく、使用途中での測定誤差を生じないので安心して用いるこ とができ、信頼性の高いものである。

【００１８】 なお、本考案装置は有毒ガスだけでなくガスセンサーで検知可能な任意のガス に適用可能であり、従って半導体工場だけでなく、任意の環境中のガスの測定に 利用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例を示す信号系統の概念図で
ある。

【符号の説明】

１…ガスセンサー ２…演算器 ３…メモリー
４…指示計

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 環境中の特定成分のガス濃度を測定する
   ガスセンサーと、該ガスセンサーの取付環境と同一条件
   で予め採取した経時変化に対応して該ガスセンサーの出
   力特性を初期取付時の出力に一致させるよう増幅するた
   めの補正値を格納したメモリーと、該ガスセンサーから
   の出力信号を取り込むとともに、該ガスセンサーの稼動
   時間に応じた補正値を前記メモリーから取り出して該ガ
   スセンサーの出力信号を補正する演算器とから構成した
   ことを特徴とするガス濃度測定装置。