JPH0547583Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はスピニングリール、詳しくは、ハンド
ルの回転操作により回転枠を回転してスプールに
釣糸を巻取る如くしたスピニングリールに関す
る。

（従来の技術） 一般に、此種リールは、前端部に前板をもつた
リールボデイの前後方向中間部位にマスターギヤ
をもつたハンドル軸を回転自由に支持し、又、前
記前板部分に、前記ハンドル軸と直交するスプー
ル軸を回転自由に支持すると共に、前記リールボ
デイの前記前板前方に、円筒部と一対の支持腕と
をもつた回転枠を回転自由に設け、この回転枠の
円筒部内に、該回転枠の逆転を阻止する逆転防止
ギヤと、該ギヤと係合する係合爪とを備えた逆転
防止機構を設ける一方、前記リールボデイの内部
に、前記ハンドル軸の回転に連動して前記スプー
ル軸を往復移動させる往復動機構を設け、前記ス
プール軸を往復移動させながら前記回転枠を回転
してスプールに釣糸を巻取る如く構成されてい
る。

そして、前記往復動機構として、実公昭60−
26626号公報に見られるように、外周面に往復螺
旋溝を設けたトラバース軸と、該トラバース軸の
往復螺旋溝と係合する係合体とを用いたものと、
特開昭59−196026号公報に見られるように、前記
ハンドル軸の回転に連動して回転する摺動子ギヤ
と、この摺動子ギヤの側面と前記リールボデイの
内側面との間に配設され、前記摺動子ギヤの回転
に連動して往復運動し、前記スプール軸を往復移
動させる摺動子とを用いたものとが知られてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 所が、前者のリールの場合、剛性をもつた軸の
外周に往復螺旋溝を加工するのが非常に行いにく
くて、非常にコスト高となる問題があり、又、後
者のリールの場合、前記摺動子ギヤと、摺動子を
案内するガイド部とは、前記リールボデイにおけ
るハンドル軸支持部位と後端部との間に設けられ
ているため、リールボデイの前板から後端縁まで
の前後長さが、前記トラバース軸を用いたリール
の前後長さに比べて長くなり、それだけリールボ
デイが大形化し、取り扱いにくくなる問題があつ
た。

本考案は以上の如き従来の問題点に鑑み考案し
たもので、目的は、摺動子ギヤと摺動子とを備え
た往復動機構を用いてコストダウンを図ることが
できながら、リールボデイの前板から後端縁まで
の前後長さを短くすることができるようにするも
のである。

（問題点を解決するための手段） しかして、本考案は、前端部に前板１１をもつ
たリールボデイ１に、マスターギヤ３をもつたハ
ンドル軸２とスプール軸９とを回転自由に支持す
ると共に、前記リールボデイ１の前記前板１１前
方に、円筒部と一対の支持腕とをもつた回転枠７
を回転自由に設けて成るスピニングリールであつ
て、前記リールボデイ１の前端部に、前記前板１
１よりも前方に延びて前記回転枠７内に進入する
延長部１２を設けて、この延長部１２に、前記ハ
ンドル軸２の回転に連動して回転する摺動子ギヤ
３０と、この摺動子ギヤ３０の側面と前記リール
ボデイ１の内側面との間に配設され、前記摺動子
ギヤ３０の回転に連動して往復運動し、前記スプ
ール軸９を往復移動させる摺動子４０のガイド部
１３とを設けたものである。

（作用） 摺動子ギヤ３０と、該摺動子ギヤ３０の回転に
連動して往復運動する摺動子４０を案内するガイ
ド部１３とは、リールボデイ１の前板よりも前方
に延びて回転枠７内に進入する延長部１２に配設
できるので、換言すると、回転枠における円筒部
内のデツドスペースを利用して前記摺動子ギヤ３
０とガイド部１３とを配設できるので、リールボ
デイ１の前板１１から後端縁までの前後長さを短
くできるのであり、又、摺動子ギヤ３０と摺動子
４０とを用いる構造であるため、安価に形成でき
るのである。

（実施例） 図において１は前端部に前板１１をもち一側を
開放したボデイ本体１ａと、前端部に前板１１を
もち前記ボデイ本体１ａの開放部を閉鎖するボデ
イ蓋１ｂとから成るリールボデイであつて、前記
ボデイ本体１ａとボデイ蓋１ｂとに１対の軸受を
介してハンドル軸２を回転自由に支持して、該ハ
ンドル軸２のリールボデイ１内部への突入部にマ
スターギヤ３を設け、また、リールボデイ１外部
への突出部にハンドル４を設ける一方、前記ボデ
イ本体１ａの前板１１に設ける貫通孔に、前記マ
スターギヤ３と噛合するピニオンギヤ５をもつた
筒状の駆動軸６を軸受を介して回転自由に支持
し、この駆動軸６の先端外周部に、円筒部７１と
１対の支持腕７２，７２とをもつた回転枠７を取
付けると共に、前記駆動軸６の軸孔に、スプール
８をもつたスプール軸９を前後方向に往復移動自
由に支持し、前記ハンドル４の回転操作により、
前記駆動軸６を駆動し、前記回転枠７を回転させ
ると共に、前記スプール軸９を後記する往復動機
構を介して前後方向に往復移動させ、前記回転枠
７の支持腕７２，７２間に支持するベールアーム
７３により釣糸を前記スプール８に案内し、該ス
プール８に前記釣糸を巻取る如く成している。
尚、前記ボデイ本体１ａとボデイ蓋１ｂとは、複
数個の止ねじで開閉可能に結合している。又、前
記マスターギヤ３は、円板状を呈するギヤ本体の
外周部一側面に前記ピニオンギヤ５と噛合する多
数の歯部を周設したものである。又、前記駆動軸
６におけるボデイ本体１ａへの支持位置と回転枠
支持位置との間の外周には、逆転防止ギヤ１０と
サイレントカム２０とを取付けると共に、前記前
板１１に、前記逆転防止ギヤ１０と係合して前記
回転枠７の逆転を阻止する逆転防止爪２１と該逆
転防止爪２１の操作具２２とを枢支している。
尚、前記サイレントカム２０は、前記逆転防止爪
２１が逆転防止ギヤ１０と係合して逆転防止体制
になつている状態で前記回転枠７を正回転させる
場合に係合音が鳴るのを防止するものであつて、
円板状を呈し、その外周面に前記爪２１の前記ギ
ヤ１０との係合を許す係合許容部と前記係合を阻
止する阻止部とを設けている。

しかして、第１〜１０図に示した実施例では、
前記リールボデイ１におけるボデイ本体１ａ及び
ボデイ蓋１ｂの前端部に、前記前板１１，１１よ
りも前方に延びて前記回転枠７の円筒部７１内に
進入する延長部１２，１２をそれぞれ設けて、ボ
デイ蓋１ｂの延長部１２に、前記ハンドル軸２の
回転に連動して回転する摺動子ギヤ３０を設ける
と共に、前記ボデイ本体１ａの延長部１２に、前
記摺動子３０の側面と前記リールボデイ１の内側
面との間に配設され、前記摺動子ギヤ３０の回転
に連動して往復運動し、前記スプール軸９を往復
移動させる摺動子４０のガイド部１３を設けたの
である。

具体的には、前記ボデイ本体１ａの開放端側
に、前記延長部１２を板状に突設して、この延長
部１２の外側面に、平坦面と該平坦面の上下端縁
から起立する立上り面とから成る前記ガイド部１
３を設けて、このガイド部１３に前記摺動子４０
を前後方向に移動自由に支持するのであり、又、
前記ボデイ蓋１ｂの延長部１２内側面を平坦に形
成して、この内側面に、ねじ孔１４と楕円形状の
等速直線運動カム１５とを設け、前記ねじ孔１４
に螺合する枢支軸２３を介して前記摺動子ギヤ３
０を回転自由に支持するのである。尚、前記ボデ
イ本体１ａにおける延長部１２は、前記逆転防止
ギヤ１０の位置に亙つて突設し、その上下方向中
間部に、前記逆転防止ギヤ１０及びサイレントカ
ム２０との干渉を防ぐための凹入部を設けてい
る。又、前記ボデイ蓋１ｂにおける延長部１２は
前記サイレントカム２０の近傍位置に亙つて突設
している。又、前記カム１５は、環状の凹溝によ
り形成している。又、前記摺動子４０は、大略Ｔ
字形の板体から成り、その広幅部を前記ガイド部
１３に対接させて、該広幅部に上下方向に延びる
長孔４１を設けると共に、細幅部を前記スプール
軸９に沿つてリールボデイ１の後方に指向させて
いる。

そして、前記ハンドル軸２に、前記摺動子ギヤ
３０と噛合する減速ギヤ２４を設けて前記摺動子
ギヤ３０を前記ハンドル軸２の回転に連動して回
転させる如く成すと共に、前記摺動子ギヤ３０
に、半径方向に延びる長孔３１を設けて、この長
孔３１に、一端部が前記カム１５と係合し他端部
が前記摺動子４０に設ける長孔４１と係合する連
動ピン２５を移動自由に支持し、前記摺動子ギヤ
３０の回転に伴い前記連動ピン２５が前記カム１
５に沿つて移動し、前記摺動子４０を前記ガイド
部１３に沿つて前後方向に往復移動させる如くな
す一方、該摺動子４０の後端部を、連結体２６を
介して前記スプール軸９の後端部に連結し、この
スプール軸９を前記摺動子４０とともに前後方向
に往復移動させる如く成すのである。尚、前記ボ
デイ本体１ａの内側面には、前記連結体２６を前
後方向に案内するガイド突起１６を設けており、
又、前記連結体２６は、その下端面を前記ボデイ
本体１ａ及びボデイ蓋１ｂの内底面に対接させて
回転を防ぐようにしている。

本考案は以上の如く構成するもので、釣糸をス
プール８に巻取るべくハンドル４を回転操作する
と、その操作力が、ハンドル軸２、マスターギヤ
３、ピニオンギヤ５及び駆動軸６を介して回転枠
７に伝わり、該回転枠７が回転して、この回転枠
７に設けたベールアーム７３により釣糸がスプー
ル８の胴部に案内され、又、前記操作力が、減速
ギヤ２４を介して摺動子ギヤ３０に伝わり、該摺
動子ギヤ３０が回転すると共に、この摺動子ギヤ
３０の回転に伴い連動ピン２５が等速直線運動カ
ム１５に沿つて移動し、更にこの連動ピン２５と
係合する摺動子４０がガイド部１３に沿つて前後
方向に移動すると共に、この摺動子４０の移動と
連動してスプール８をもつたスプール軸９が前後
方向に往復移動するのであつて、このスプール８
の前後方向への移動と、前記回転枠７の回転とに
よつて前記釣糸が前記スプール８の胴部全長に亙
つて整然と巻取ることができるのである。

しかして、前記摺動子ギヤ３０と、摺動子４０
のガイド部１３とは、リールボデイ１の前板１１
よりも前方に延びて回転枠７の円筒部７１内に進
入する延長部１２に設けているため、換言すると
主として逆転防止ギヤ１０及び逆転防止爪２１が
設けられるだけで広いデツドスペースのある前記
円筒部７１内を利用して、このデツドスペース部
分に前記摺動子ギヤ３０及びガイド部１３を配設
するのであるから、前記リールボデイ内に摺動子
ギヤ及びガイド部を設けていたものに比べてリー
ルボデイの前板１１から後端縁までの前後長さを
短くできるのであり、それだけリールボデイ１、
ひいてはリール全体を小形化できるのである。し
かも、成形などにより簡単に形成することができ
る摺動子ギヤ３０と摺動子４０とを用いてスプー
ル軸９を往復移動させる機構であるから、外周に
往復螺旋溝を設けたトラバース軸を用いるものに
比べて安価に形成できるのである。

尚、以上説明した実施例では、ボデイ本体１ａ
とボデイ蓋１ｂとから成るリールボデイ１を用
い、ボデイ本体１ａとボデイ蓋１ｂとに延長部１
２を設けたが、この延長部１２は、前記ボデイ本
体１ａとボデイ蓋１ｂとの一方にのみ設けてもよ
い。

又、前記減速ギヤ２４は、前記マスターギヤ３
に設けてもよい。

（考案の効果） 以上の如く本考案は、摺動子ギヤ３０と摺動子
４０とを用いてスプール軸９を往復移動させる構
造であるから、トラバース軸を用いるものに比べ
て安価に形成することができながら、しかも、前
端部に前板１１をもつたリールボデイ１の前端部
に、前記前板１１よりも前方に延びて回転枠７内
に進入する延長部１２を設けて、この延長部１２
に、ハンドル軸２の回転に連動して回転する摺動
子ギヤ３０と、この摺動子ギヤ３０の側面と前記
リールボデイ１の内側面との間に配設され、前記
摺動子ギヤ３０の回転に連動して往復運動し、前
記スプール軸９を往復移動させる摺動子４０のガ
イド部１３とを設けたのであるから、リールボデ
イ１の前板１１から後端縁までの前後長さを短く
でき、リール全体を小形化できて取り扱い易くで
きるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案リールの一実施例を示す要部の
みの拡大断面図、第２図は第１図−線断面
図、第３図は第１図−線断面図、第４図は第
１図−線端面図、第５図はリールボデイにお
けるボデイ本体１ａのみの一部省略側面図、第６
図は第５図−線断面図、第７図は第５図の左
側面図、第８図はリールボデイにおけるボデイ蓋
のみの側面図、第９図は第８図−線断面図、
第１０図はリール全体の側面図である。 １……リールボデイ、１１……前板、１２……
延長部、１３……ガイド部、２……ハンドル軸、
３……マスターギヤ、７……回転枠７、３０……
摺動子ギヤ、４０……摺動子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前端部に前板１１をもつたリールボデイ１に、
   マスターギヤ３をもつたハンドル軸２とスプール
   軸９とを回転自由に支持すると共に、前記リール
   ボデイ１の前記前板１１前方に、円筒部と一対の
   支持腕とをもつた回転枠７を回転自由に設けて成
   るスピニングリールであつて、前記リールボデイ
   １の前端部に、前記前板１１よりも前方に延びて
   前記回転枠７内に進入する延長部１２を設けて、
   この延長部１２に、前記ハンドル軸２の回転に連
   動して回転する摺動子ギヤ３０と、この摺動子ギ
   ヤ３０の側面と前記リールボデイ１の内側面との
   間に配設され、前記摺動子ギヤ３０の回転に連動
   して往復運動し、前記スプール軸９を往復移動さ
   せる摺動子４０のガイド部１３とを設けたことを
   特徴とするスピニングリール。