JPH0546224U - サイドフロートの上下調節装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、田植機のサイドフロートの構造を
改善して、軟圃場での高速植付作業時でのサイドフロー
トによる泥押しや水押しの発生による隣接植付苗への影
響を防止するためのものである。 【構成】 田植機のセンターフロートとサイドフロート
を独立した支持部材で支持連結し、サイドフロートの田
面からの高さをセンターフロートの所定高さとは別に任
意に変更可能に構成するものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、田植機のフロートの高さ調節構造の改善に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の田植機においては、植付装置に水平制御センサーや加速度センサー等を 設けて、該信号に応じて作動する油圧シリンダー等を具備することにより、左右 のローリングを制御する技術は公知となっているのである。このような植付装置 の場合にはサイドフロートなしでも横揺れや前後の傾斜角度の変化等を防止して 、安定した植え付けを行うことができ、植え付け時には、サイドフロートを不要 とするのであるが、硬い圃場や枕地上においては車輪跡を消して地面を均平する ために、サイドフロートが必要なのである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、フロートを装着した状態においては、軟圃場における作業や高速時の 作業の場合に、フロートによる「泥水の押し」が発生し、特にサイドフロート装 着時においては、サイドフロートのすぐ横に植付済みの苗が隣接しており、隣接 する苗の上に泥水を被せてしまい、その植付姿勢を崩したり、倒したり、浮き苗 となってしまうという不具合を生じるのである。このため、軟圃場における高速 植え付け作業時等にはサイドフロートを田面より外し、硬い圃場や枕地上におい てはサイドフロートを接地させることが望ましく、このサイドフロートの高さの 切り換えが容易に行えるような田植機が望まれていたのである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の目的は以上の如くであり、該目的を達成するために次のような構造を 有している。田植機において、センターフロートとサイドフロートを各々独立し た支持部材にて支持連結し、サイドフロートの田面からの高さをセンターフロー トの所定高さとは別に任意に変更可能に構成するものである。

【０００５】

【作用】

次に作用について説明する。サイドフロート高さ調節レバーと植え深さ調節レ バーが各々独立するサイドフロート装着部及びセンターフロート支持棒部に連結 されており、硬い圃場や枕地ではサイドフロート高さ調節レバーを植え深さ調節 レバーに連結させてセンターフロートとサイドフロートが同時に高さ調節できる ようにすることで均平作業を可能とし、軟圃場においてはサイドフロート高さ調 節レバーを植え深さ調節レバーより離脱させることによりサイドフロートが引き 上げられ、センターフロートのみにて作業可能とし、泥水の押しによる隣接苗の 被害を発生させないようにすることができるのである。

【０００６】

【実施例】

本考案の目的及び構造は以上の如くであり、続いて添付の図面に示した実施例 を説明する。図１は本考案のフロート構造の田植機の側面図、図２はフロート部 Ｆの構成を示す平面図、図３は植付部側面図、図４は植え深さ調節レバー５及び サイドフロート高さ調節レバー６のレバーガイド構成を示す平面図である。

【０００７】 図１より田植機の全体構造について説明する。図中の田植機は乗用型であり、 走行部Ａの後部に植付装置Ｂを昇降可能に装着している。植付装置Ｂは植付ミッ ションケース８上に苗載台９を左右に往復摺動可能に載置し、植付ミッションケ ース８後部に植付爪１０を回転可能に配設し、植付ミッションケース８下方に本 考案の構造によるフロート部Ｆを配設して構成しているのであり、植付作業の際 には、苗載台９上に植付苗を載置し、苗載台９の左右往復に同調して植付爪１０ が回動して苗を一定量切り取り、フロートによって均平された圃場に植え付ける のである。

【０００８】 図２乃至図４により、本考案のフロート部Ｆの構造について説明する。フロー ト支持杆１が支持体１１・１１に枢支され、該支持体１１・１１は植付ミッショ ンケース８に固設され、該支持体１１・１１の間にフロート支持杆１に回転自在 に外嵌された支持パイプ４が配設され、該フロート支持杆１両端にサイドフロー ト支持パイプ１２Ｌ・１２Ｒが外嵌されて、フロート支持杆１と支持パイプ１２ にピン１３・１３が貫通されて固定され、左右のサイドフロート３Ｌ・３Ｒが同 時に平行に昇降できるようにている。そして、前記支持パイプ４中央から斜め後 下方に支持杆４ａを突出してセンターフロート２の中央部に設けた支持部２ａを 吊設し、前記支持パイプ１２Ｌ・１２Ｒより斜め後下方に支持杆１２ａ・１２ａ を突出し、サイドフロート３Ｌ・３Ｒの中央部に設けた支持部３ａ・３ａを吊設 している。

【０００９】 また、前記センターフロート２の一側（左側）には植付深さ調節レバー５が前 上方に突出され、サイドフロート３Ｌの支持パイプ１２Ｌにも植付深さ調節レバ ー５と平行にサイドフロート高さ調節レバー６が突出され、センターフロート２ とサイドフロート３Ｌ・３Ｒが該植付深さ調節レバー５とサイドフロート高さ調 節レバー６の回動により独立して回動することを可能としている。そして、該サ イドフロート高さ調節レバー６は中途部において分割され、連結部材６ａが基部 にピン１４にて枢支され、該ピン１４上にはネジリバネ６ｂが装着されて、連結 部材６ａを植付深さ調節レバー５側へ回動するように付勢され、該連結部材６ａ の先端はＵ状に構成して植付深さ調節レバー５の基部に嵌合できるように構成し 、サイドフロート高さ調節レバー６の把手部が連結部材６ａより突出され、植付 深さ調節レバー５とサイドフロート高さ調節レバー６の先端が伝動ケース１５に 固設したレバーガイド７に挿入されているのである。

【００１０】 該レバーガイド７は図４に示すように、植付深さ調節レバー５のレバー孔７ｃ とサイドフロート高さ調節レバー６のレバー孔７ａが平行に穿設されて、該レバ ー孔７ａには更に側方にレバー孔７ｂが穿設され、該レバー孔７ｃ・７ａ内では 両レバー５・６は同時に回動し、サイドフロート高さ調節レバー６をレバー孔７ ｂに回動すると連結部材６ａが植付深さ調節レバー５から外れて、両者は各々独 立して回動することを可能としている。

【００１１】 なお、フロート部Ｆは、作業時に横揺れしたり前後傾斜が変化したりするので センサーからの信号によって作動する油圧シリンダーが配設されており、横揺れ 防止や前後傾斜を均一にして姿勢制御を行っているのである。よって、植え付け 作業をサイドフロートを外してセンターフロートのみを用いて行っても、横揺れ 等を発生させることがないのである。

【００１２】 このように姿勢制御された植付装置Ｂにおいて、植付深さ調節レバー５と連結 部材６ａを連結した状態では、苗の植え深さ調節は、該植え深さ調節レバー５の 操作によりセンターフロート２とサイドフロート３Ｌ・３Ｒの高さが変更され、 通常はネジリバネ６ｂの戻り力によって該連結部材６ａが植付深さ調節レバー５ に連結され一体として回動することによって、センターフロート２とサイドフロ ート３を同時に昇降することが可能なのである。また、サイドフロート調節レバ ー６がレバーガイド７のレバー孔７ｂ内に回動した時は、該連結部材６ａが植付 深さ調節レバー５より外れ、サイドフロート３は最上位置に引き上げられた状態 で固定されることになり、センターフロート２のみ回動可能となるので、植付深 さ調節レバー５によりセンターフロート２のみ高さ調節が可能となり、植付深さ を調節できるのである。

【００１３】 したがって、硬い圃場や枕地においては、サイドフロート高さ調節レバー５を レバーガイドのレバー孔７ａ内に位置させて、センターフロート２及びサイドフ ロート３を同時に高さ調節できるようにし、均平や車輪跡消しを行いながら植付 深さ調節をして作業を行うのである。そして、軟圃場における作業時には、サイ ドフロート高さ調節レバー５をレバーガイドのレバー孔７ｂに置いて、サイドフ ロート３を引き上げ状態にして泥水の押しを防止し、センターフロート５のみ植 付深さ調節レバー５にて高さを調節して植付けを行うのである。また、サイドフ ロートの高さ調節は、以上のようなレバーによる昇降のみならず、モーター駆動 や油圧駆動によって単独あるいは複数のサイドフロートを昇降させる構造とする ことも可能である。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は、以上の如く構成したことにより、次のような効果を奏するものであ る。即ち、硬い圃場や枕地では、サイドフロートをセンターフロートと一体で操 作できるようにし、従来のサイドフロートと同様の作動及び機能で、均平及び車 輪跡消し等の機能を有するものであり、軟らかい圃場では、両側のサイドフロー トを一本のレバー操作により、センターフロートと別に設置高さを変更すること ができるので、植深さを変更することなく（センターフロートの高さを変更する ことなく）、サイドフロートのみを田面より浮上させることができ、サイドフロ ートによる泥押しや水押しの発生を防止できる。よって、高速植え付け時での隣 接苗の植付姿勢への影響がなくなるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のフロート構造の田植機の側面図であ
る。

【図２】フロート部Ｆの構成を示す平面図である。

【図３】植付部側面図である。

【図４】植え深さ調節レバー５及びサイドフロート高さ
調節レバー６のレバーガイド構成を示す平面図である。

【符号の説明】

Ｆ フロート部 ２ センターフロート ３ サイドフロート ５ 植付深さ調節レバー ６ サイドフロート高さ調節レバー ６ａ 連結部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 後植え式乗用田植機において、センター
   フロートとサイドフロートを各々独立した支持部材にて
   支持連結し、サイドフロートの田面からの高さをセンタ
   ーフロートの所定高さとは別に任意に変更可能に構成し
   たことを特徴とするサイドフロートの上下調節装置。