JPH0544587U - 筆記性表面を有するシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 学習するための絵柄模様・文字などの絵柄印
刷層が筆記面より目視可能で、且つ何回も利用すること
が可能である、筆記性表面を有するシートを提供する。 【構成】 表面に耐擦傷性、耐汚染性を有し、かつマー
カー筆記性及び消去性を有する硬化性樹脂層を筆記層と
し、かつ筆記の目標となる絵柄模様・文字などの絵柄印
刷層を有する。絵柄印刷層の絵柄模様・文字などを直接
水性マーカーペンなどで書き込めるように設けることに
より、従来の文字練習帳、白地図帳、ぬり絵帳などの仕
様が本考案のシート上で実現できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、水性マーカーペンなどで筆記し、消去することができ、絵柄模様・ 文字などの絵柄印刷層が筆記面から目視可能に設けられている筆記性表面を有す るシートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、白墨を用いる黒板に代えて、水性マーカーペンなどで筆記し、かつ布な どで拭き消し可能なホワイトボードが広く使用されている。 これらのホワイトボードは、裏打ち材上に筆記層として水性マーカーペンなど のインキが染み込まない樹脂を塗布したものであり、このような樹脂としては硬 化性樹脂が使用されている。更に必要に応じては上記筆記層の表面又は内部に表 面より目視可能に、絵柄等の印刷層を有したものもあり、これら絵柄の例として はスケジュール表、ワンポイントの絵柄などが挙げられる。 また、幼児や学生の学習用として文宇練習帳が広く市販され、使用されている 。この文字練習帳はあらかじめ点線や淡色のインキなどで紙に文字が印刷されて 冊子となっており、学習する者が筆記具で上記文字をなぞることにより、文字や その筆順を覚える、というものである。 その他類似のものとして、白地図帳がある。この白地図帳は地図が白抜きで印 刷されており、学習する者は描かれた地図を地域別に、あるいは山脈・河川・平 野別などに色鉛筆などで塗り分けたり、あるいは描かれた地図の各地の地名や山 脈・河川・平野などの名前を書き込んだりすることにより、学力の向上を図るも のである。 また、幼児等の娯楽用として、ぬり絵帳がある。このぬり絵帳は、幼児の好き なキャラクターの絵、あるいは動物・花等の絵が白抜きで印刷されており、利用 者は印刷された絵に応じて色鉛筆などで塗り分けることにより、楽しむものであ る。

【０００３】 しかし、上記の絵柄を有するホワイトボードにおいては、上記の文字練習、白 地図、ぬり絵のような仕様のものはなかった。 また、上記の文字練習帳、白地図帳、ぬり絵帳などは、再利用しようとして書 き込んだり塗ったりしたものを消去するのが困難である。書き込みに使用した筆 記具が鉛筆の場合、消しゴムで消去することが可能であるが、何回も消去し直す と紙面が痛んでしまうので多数回の再利用は不可能である。また、書き込みに使 用した筆記具が鉛筆以外の場合、消しゴムで消去するのは不可能なので再利用は 不可能となってしまう。更に、一人ではなく、複数人数で学習あるいは遊びをす る場合には上記の文字練習帳、白地図帳、ぬり絵帳を人数分用意しなければなら ず、また複数人数で学習あるいは遊びする一体感を味わうことは出来ない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、学習するための絵柄模様・文字などの絵柄印刷層が筆記面よ り目視可能で、且つ何回も利用することが可能である、筆記性表面を有するシー トを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記の課題を解決するためのものであって、 『 表面に耐擦傷性、耐汚染性を有し、かつマーカー筆記性及び消去性を有す る硬化性樹脂層を筆記層とし、かつ筆記のための目標となる絵柄模様・文字など の絵柄印刷層を有することを特徴とする、筆記性表面を有するシート』、 『 前記記載の筆記性表面を有するシートにおいて、筆記のための目標とな る絵柄模様・文字などの絵柄印刷層の文字が筆記具でなぞるためのものであるこ とを特徴とする、筆記性表面を有するシート』、 『 前記記載の筆記性表面を有するシートにおいて、筆記のための目標とな る絵柄模様・文字などの絵柄印刷層の絵柄模様がその絵柄にあわせて筆記具でぬ りつぶすためのものであることを特徴とする、筆記性表面を有するシート』及び 『 前記記載の筆記性表面を有するシートにおいて、筆記のための目標とな る絵柄模様・文字などの絵柄印刷層の絵柄模様がその絵柄に応じて絵柄の名称な どを書き込むためのものであることを特徴とする、筆記性表面を有するシート』 を要旨とするものである。

【０００６】

【実施例】

以下、図面を引用して本考案を説明する。 図１は本考案のシートの断面図の一例である。 １は表面に耐擦傷性、耐汚染性を有し、かつマーカー筆記性及び消去性を有す る筆記層であり、この筆記層１を形成する樹脂としては熱硬化性樹脂もしくは電 離放射線硬化性樹脂が用いられる。 熱硬化性樹脂としては、オルガノシラン系樹脂であり、アミノシランエポキシ シランの加水分解物、シランカップリング剤、アルキルアルコキシシラン、テト ラアルコキシシランの部分加水分解物、コロイダルシリカ、アルキルトリアルコ キシシランの加水分解物、熱硬化性シリコーン樹脂などが挙げられ、これらは必 要により希釈して後述する裏打ち材に塗布し、自然に放置するか、もしくは加熱 して硬化させる。 電離放射線硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル、ポリエーテルアクリレ ート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレー ト、スピロアセタールアクリレート、ポリブタジエン、もしくはポリチオールポ リエンなどが挙げられる。 これらの電離放射線硬化性樹脂には、硬化速度、架橋密度を向上させる目的で ２官能以上の多官能モノマーを混合して用いることができる。 多官能モノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコールジアクリレート、 トリプロピレンジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、１，６ −ヘキサンジオールジアクリレートなどの２官能モノマー、トリメチロールプロ パントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリ スリトールヘキサアクリレートなどの３官能モノマー、もしくは４、５、６の多 官能モノマーがある。 電離放射線硬化性樹脂には、硬化を紫外線で行う場合、光重合開始剤、増感剤 を加える。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ブンゾフェノン、ミヒラ ーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルペンゾエート、α −アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサン ソンなどがあり、増感剤としては、ｎ−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ −ｎ−ブチルホスフィンなどがある。 電離放射線硬化性樹脂は、単独、もしくは上記したモノマー、光重合開始剤、 増感剤を必要に応じて混合して後述する裏打ち材の表面に塗布し、その後紫外線 もしくは電子線などの電離放射線を照射して硬化させる。

【０００７】 以上のような硬化性樹脂は、例えばブレードコーティング方法、フローコーテ ィング方法、グラビアコーティング方法、ロッドコーティング方法、ナイフコー ティング方法、リバースロールコーティング方法、スプレーコーティング方法、 オフセットグラビアコーティング方法、キスコーティング方法など、任意の塗布 方法により後述する裏打ち材上に塗布されるが、特に塗布厚の精度、塗布表面の 平滑性などに優れたグラビアコーティング方法、リバースロールコーティング方 法、フローコーティング方法、オフセットグラビアコーティング方法などが好ま しい。 また上記の硬化性樹脂の塗布量は少なすぎると充分な表面硬度、表面強度ある いは耐擦傷性が得られず、また多過ぎると硬化速度の低下などが生じるため、１ 〜１００μｍ、特に１〜４０μｍ程度の範囲の厚み（乾燥時の厚み）が好ましい 。 また筆記層１は白色不透明、着色不透明、着色透明、未着色透明の何れでもよ く、更には部分的に着色したものでもよい。

【０００８】 ２は裏打ち材であり、プラスチックシート、紙、布、パーティクルボード、木 板、鋼板などが挙げられる。 裏打ち材に固いものを使うと、そのまま、例えばホワイトボードとして使用す ることができる。 裏打ち材に柔らかいものを使うと、そのままでも使用できるが裏打ち材の裏面 に磁石を積層すれば、本考案のシートを鉄製のボードに貼り付けて使用すること ができる。又、接着剤を介し、硬質の基材に本考案のシートを筆記層を最表面と して貼り付けてホワイトボードとして使用してもよい。 又、本考案のシートの何枚かをノート状に綴じて使用してもよい。 また裏打ち材２はそれらの表面の接着性を改良する目的で表面にプライマー処 理やコロナ放電処理を施したものでもよい。

【０００９】 ３は絵柄印刷層である。絵柄印刷層２は図１のように、筆記層１の内部に昇華 熱拡散性インキで絵柄を拡散させたものの他、筆記層１の最表面に通常の印刷方 法で印刷したもの、あるいは筆記層１の内側に絵柄印刷層を積層したものなどが あるが、筆記層の最表面に通常の印刷方法で印刷したものはインキが盛り上がる ため、水性マーカーペンなどで筆記した際にペン先が印刷インキに引っ掛かり、 更に長期の使用にあたっては印刷インキが剥離したりする場合もあり、筆記層の 内側に絵柄印刷層を積層したものは、筆記層が透明であることが望ましく、更に 筆記層１の下層を隠蔽したい場合には隠蔽層が必要となるため、絵柄印刷層２は 図１のように、筆記層１の内部に昇華熱拡散性インキで絵柄を拡散させたものが 好ましい。このように絵柄印刷層を設けることにより、表面が平滑で絵柄印刷層 上に筆記してもペン先が引っ掛からず、耐久性の良い筆記性表面を有するシート が得られる。 このような絵柄印刷層３は、公知のインキを用いた印刷法によるほか、昇華熱 拡散性インキを用いた印刷法で形成される。

【００１０】 図２、図３及び図４は筆記のための目標となる絵柄模様・文字などの絵柄印刷 層の模様の具体例を示すものである。 図２は文字練習用の筆記性表面を有するシートの印刷模様の一例である。 ４は練習文字を実線で表示した実線文字、５は練習文字の筆順を表示した（ 、．．．のように）筆順表示文字、６は練習文字を白抜き文字で表示した書込 み文字である。練習する者は実線文字４を参考にし、筆順表示文字５で筆順を確 認しながら書込み文字６の白抜き部６１に正しく水性マーカーペンなどの筆記具 で書き込む。 練習する文字としては仮名文字、片仮名文字、ローマ字、漢字、アルファベッ ト文字などいずれでもよい。書込み文字６は文字を点線で表示したもの、あるい は太線で表示したものでもよく、太線で表示した場合は、その上から書き込むこ とを考慮すると着色透明インキ又は淡色系のインキで印刷するのが好ましい。

【００１１】 図３は娯楽と学習を兼ねた、幼児用の筆記性表面を有するシートの印刷模様の 一例である。 ７は白抜きで描かれたぬり絵印刷であり、これを利用する者は白抜き部７１を 、描かれたぬり絵柄７の色に応じてカラーの水性マーカーペンで着色して楽しむ 。 更に、描かれた絵の名称を書き込むための書込み部８を設けて、白抜き部８１ にその絵柄の名称に書き込む仕様にしてもよい。 絵柄は図３のような野菜や果物の他、動物、花、乗物など、幼児に関心を抱か せるような絵柄が考えられる。

【００１２】 図４は学習するための筆記性表面を有するシートの印刷模様の一例で、この場 合は地理の学習用である。これを利用するものは白地図９を見て、書込み部１０ に示された部分の地名、あるいは山脈、河川、平野の名称などを書き込む。 上記したようなシートの例に限らず、種々の組合せにより様々な目的のシート を作成することができる。 又、絵柄印刷層の絵柄も上記の例に限らず、音楽の五線、書き込んで遊ぶこと ができるゲーム、例えば囲碁など、種々のものが考えられる。

【００１３】 また図１に示すシートの製法の一例を挙げると、例えば、昇華熱拡散性インキ を用いて、フィルムに絵柄を印刷した転写シートを用意し、鋼板の表面にポリエ ステル系樹脂を塗布し、硬化させ筆記層を作成する。前記転写シートの印刷面を 筆記層に対向させて重ね合わせ、前記昇華熱拡散性インキの昇華温度に加熱、加 圧し、前記昇華熱拡散性インキを気化させて筆記層の内部に印刷面を拡散・浸透 させる方法などがある。 なお、本考案のシートの構成は図１に示すものに限らず、必要に応じ間に合成 樹脂層を設けるなど種々の構成が考えられ、又絵柄の印刷方法は上記した昇華転 写印刷法の他、筆記層上にダイレクトに印刷する方法も可能である。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したとおり、本考案によれば筆記層が耐擦傷性、耐汚染性を有し、耐 久性のある筆記性表面を有するシートを提供することができる。 また、絵柄印刷層の絵柄・文字などを直接水性マーカーペンなどで書き込める ように設けることにより、従来の文字練習帳、白地図帳、ぬり絵帳などの仕様が シート上で実現できる。この筆記性表面を有するシートは何回も消去しては再び 書き込め、しかも複数人数で一緒に学習したり楽しんだりすることができ、従来 の文字練習帳、白地図帳、ぬり絵帳などには見られない効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の筆記性表面を有するシートの断面図の
一例を示すものである。

【図２】本考案の筆記性表面を有するシートにおける絵
柄印刷層の模様の一実施例を示すものである。

【図３】本考案の筆記性表面を有するシートにおける絵
柄印刷層の模様の他の実施例を示すものである。

【図４】本考案の筆記性表面を有するシートにおける絵
柄印刷層の模様の他の実施例を示すものである。

【符号の説明】

１ 筆記層 ２ 裏打ち材 ３ 絵柄印刷層

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に耐擦傷性、耐汚染性を有し、かつ
   マーカー筆記性及び消去性を有する硬化性樹脂層を筆記
   層とし、かつ筆記のための目標となる絵柄模様・文字な
   どの絵柄印刷層を有することを特徴とする、筆記性表面
   を有するシート。
2. 【請求項２】 請求項１記載の筆記性表面を有するシー
   トにおいて、筆記のための目標となる絵柄模様・文字な
   どの絵柄印刷層の文字が筆記具でなぞるためのものであ
   ることを特徴とする、筆記性表面を有するシート。
3. 【請求項３】 請求項１記載の筆記性表面を有するシー
   トにおいて、筆記のための目標となる絵柄模様・文字な
   どの絵柄印刷層の絵柄模様がその絵柄にあわせて筆記具
   でぬりつぶすためのものであることを特徴とする、筆記
   性表面を有するシート。
4. 【請求項４】 請求項１記載の筆記性表面を有するシー
   トにおいて、筆記のための目標となる絵柄模様・文宇な
   どの絵柄印刷層の絵柄模様がその絵柄に応じて絵柄の名
   称などを書き込むためのものであることを特徴とする、
   筆記性表面を有するシート。