JPH0543970A - 高強度アルミニウム合金メツキ基板 - Google Patents
高強度アルミニウム合金メツキ基板Info
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- JPH0543970A JPH0543970A JP22360491A JP22360491A JPH0543970A JP H0543970 A JPH0543970 A JP H0543970A JP 22360491 A JP22360491 A JP 22360491A JP 22360491 A JP22360491 A JP 22360491A JP H0543970 A JPH0543970 A JP H0543970A
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- aluminum alloy
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高強度でメッキ性に優れたアルミニウム合
金基板を提供する。 【構成】 Ｚn ：４．０〜６．０％、Ｍg ：１．０〜
２．５％を含有し、さらに、Ｍn ：０．１〜０．７％、
Ｚr ：０．０５〜０．２５％、Ｖ：０．０３〜０．１０
％、Ｔi ：０．０５〜０．２％、Ｃu ：０．１〜１．０
％のうち１種または２種以上を含有するＡl 合金芯材の
片面または両面に、Ｍg ：２．０〜５．５％を含有し、
さらに、Ｚn ：０．１〜１．３％、Ｃu ：０．１〜０．
７％のうち１種または２種と、所望によりＭn ：０．０
５〜０．５０％、Ｃr ：０．０５〜０．２０％、Ｚr ：
０．０１〜０．１０％、Ｔi ：０．０１〜０．１０％の
うち１種または２種以上とを含有するＡl 合金皮材がク
ラッドされている。 【効果】 熱処理のみよって優れた強度が得られ、し
かも良好メッキ性を有する高強度アルミニウム合金メッ
キ基板が得られる。
金基板を提供する。 【構成】 Ｚn ：４．０〜６．０％、Ｍg ：１．０〜
２．５％を含有し、さらに、Ｍn ：０．１〜０．７％、
Ｚr ：０．０５〜０．２５％、Ｖ：０．０３〜０．１０
％、Ｔi ：０．０５〜０．２％、Ｃu ：０．１〜１．０
％のうち１種または２種以上を含有するＡl 合金芯材の
片面または両面に、Ｍg ：２．０〜５．５％を含有し、
さらに、Ｚn ：０．１〜１．３％、Ｃu ：０．１〜０．
７％のうち１種または２種と、所望によりＭn ：０．０
５〜０．５０％、Ｃr ：０．０５〜０．２０％、Ｚr ：
０．０１〜０．１０％、Ｔi ：０．０１〜０．１０％の
うち１種または２種以上とを含有するＡl 合金皮材がク
ラッドされている。 【効果】 熱処理のみよって優れた強度が得られ、し
かも良好メッキ性を有する高強度アルミニウム合金メッ
キ基板が得られる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、高強度の機械的特性
を有するとともに、メッキ性に優れた高強度アルミニウ
ム合金メッキ基板に関するものである。
を有するとともに、メッキ性に優れた高強度アルミニウ
ム合金メッキ基板に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】メッキ基板として広く用いられているＡ
l −Ｍg 合金は、良好なメッキ性を有しているとともに
優れた機械的特性や良好な加工性を有しており、メッキ
基板としては好適な材料である。また、最近ではメッキ
材においても、その用途によっては材料の表面平滑度が
厳しく要求される場合がある。ところがメッキ材では、
その表面平滑度は、メッキ基板の表面平滑度にも依存し
ており、凹凸の多い基板から得られたメッキ材の表面は
凹凸の多いものになってしまう。従来、このような要求
に対しては、基板中のＦe やＳi などの不純物含有量を
厳しく制限してメッキ基板の凹凸を抑制する方法や、高
度な研磨技術により対応している。なお、メッキの付着
性という点では、メッキ基板の表面に多少の凹凸があっ
た方が良いが、Ａl −Ｍg 合金は、上述したように良好
なメッキ性を有しているので、表面凹凸を減少させても
付着性を損なうことなくメッキを行うことができ、これ
らの要求にも応えることができる。
l −Ｍg 合金は、良好なメッキ性を有しているとともに
優れた機械的特性や良好な加工性を有しており、メッキ
基板としては好適な材料である。また、最近ではメッキ
材においても、その用途によっては材料の表面平滑度が
厳しく要求される場合がある。ところがメッキ材では、
その表面平滑度は、メッキ基板の表面平滑度にも依存し
ており、凹凸の多い基板から得られたメッキ材の表面は
凹凸の多いものになってしまう。従来、このような要求
に対しては、基板中のＦe やＳi などの不純物含有量を
厳しく制限してメッキ基板の凹凸を抑制する方法や、高
度な研磨技術により対応している。なお、メッキの付着
性という点では、メッキ基板の表面に多少の凹凸があっ
た方が良いが、Ａl −Ｍg 合金は、上述したように良好
なメッキ性を有しているので、表面凹凸を減少させても
付着性を損なうことなくメッキを行うことができ、これ
らの要求にも応えることができる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】Ａl −Ｍg 合金は、上
記したように、いくつかの点で優れた特性を有している
が、非熱処理型合金であるので、この合金を用いた基板
に焼鈍などの熱処理を施すと軟化し、その後の熱履歴に
よっても硬化することはなく、材料強度を要求される用
途では使用が制限されている。ところで、焼鈍後の基板
の強度低下は、材料として焼入れ感受性の鈍い熱処理合
金を採用し、室温または高温時効で硬化させることによ
り対応できる。この条件を満足する合金としては、熱処
理型のＡl −Ｚn −Ｍg 系合金を挙げることができる。
しかし、この種の熱処理型アルミニウム合金は、メッキ
の付着性、安定性が良好ではなく、メッキ性の点でやや
劣っている。さらに、メッキ材の表面平滑度が要求され
る場合に、基板の平滑度を増すと、一層付着性が低下し
て良好なメッキを行うことは困難になる。したがって、
熱処理型アルミニウム合金からなるメッキ基板を、表面
平滑度に関して厳しい要求がなされる用途に応用するこ
とは特に困難である。このように、従来は、強度、メッ
キ性ともに優れた材料は開発されておらず、用途が制限
されざるを得なかった。この発明は、上記事情を背景と
してなされたものであり、十分な強度、耐力を有すると
ともに、優れたメッキ性を有する高強度アルミニウム合
金メッキ基板を提供することを目的とするものである。
記したように、いくつかの点で優れた特性を有している
が、非熱処理型合金であるので、この合金を用いた基板
に焼鈍などの熱処理を施すと軟化し、その後の熱履歴に
よっても硬化することはなく、材料強度を要求される用
途では使用が制限されている。ところで、焼鈍後の基板
の強度低下は、材料として焼入れ感受性の鈍い熱処理合
金を採用し、室温または高温時効で硬化させることによ
り対応できる。この条件を満足する合金としては、熱処
理型のＡl −Ｚn −Ｍg 系合金を挙げることができる。
しかし、この種の熱処理型アルミニウム合金は、メッキ
の付着性、安定性が良好ではなく、メッキ性の点でやや
劣っている。さらに、メッキ材の表面平滑度が要求され
る場合に、基板の平滑度を増すと、一層付着性が低下し
て良好なメッキを行うことは困難になる。したがって、
熱処理型アルミニウム合金からなるメッキ基板を、表面
平滑度に関して厳しい要求がなされる用途に応用するこ
とは特に困難である。このように、従来は、強度、メッ
キ性ともに優れた材料は開発されておらず、用途が制限
されざるを得なかった。この発明は、上記事情を背景と
してなされたものであり、十分な強度、耐力を有すると
ともに、優れたメッキ性を有する高強度アルミニウム合
金メッキ基板を提供することを目的とするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明の高強度アルミニウム合金メッキ基板のう
ち第１の発明は、重量％で、Ｚn ：４．０〜６．０％、
Ｍg ：１．０〜２．５％を含有し、さらに、Ｍn ：０．
１〜０．７％、Ｚr ：０．０５〜０．２５％、Ｖ：０．
０３〜０．１０％、Ｔi ：０．０５〜０．２％、Ｃu ：
０．１〜１．０％のうち１種または２種以上を含有し、
残部がＡl および不可避不純物からなるＡl 合金芯材の
片面または両面に、重量％で、Ｍg ：２．０〜５．５％
を含有し、さらに、Ｚn ：０．１〜１．３％、Ｃu ：
０．１〜０．７％のうち１種または２種を含有し、残部
がＡl および不可避不純物からなるＡl 合金皮材がクラ
ッドされていることを特徴とする。
め、本願発明の高強度アルミニウム合金メッキ基板のう
ち第１の発明は、重量％で、Ｚn ：４．０〜６．０％、
Ｍg ：１．０〜２．５％を含有し、さらに、Ｍn ：０．
１〜０．７％、Ｚr ：０．０５〜０．２５％、Ｖ：０．
０３〜０．１０％、Ｔi ：０．０５〜０．２％、Ｃu ：
０．１〜１．０％のうち１種または２種以上を含有し、
残部がＡl および不可避不純物からなるＡl 合金芯材の
片面または両面に、重量％で、Ｍg ：２．０〜５．５％
を含有し、さらに、Ｚn ：０．１〜１．３％、Ｃu ：
０．１〜０．７％のうち１種または２種を含有し、残部
がＡl および不可避不純物からなるＡl 合金皮材がクラ
ッドされていることを特徴とする。
【０００５】第２の発明は、重量％で、Ｚn ：４．０〜
６．０％、Ｍg：１．０〜２．５％を含有し、さらに、
Ｍn ：０．１〜０．７％、Ｚr ：０．０５〜０．２５
％、Ｖ：０．０３〜０．１０％、Ｔi ：０．０５〜０．
２％、Ｃu ：０．１〜１．０％のうち１種または２種以
上を含有し、残部がＡl および不可避不純物からなるＡ
l 合金芯材の片面または両面に、重量％で、Ｍg ：２．
０〜５．５％を含有し、さらに、Ｚn ：０．１〜１．３
％、Ｃu ：０．１〜０．７％のうち１種または２種、Ｍ
n ：０．０５〜０．５０％、Ｃr ：０．０５〜０．２０
％、Ｚr ：０．０１〜０．１０％、Ｔi ：０．０１〜
０．１０％のうち１種または２種以上を含有し、残部が
Ａl および不可避不純物からなるＡl 合金皮材がクラッ
ドされていることを特徴とする。第３の発明は、第１、
第２の発明において、Ａl 合金皮材の不可避不純物のう
ち、Ｆe 、Ｓi の含有量を、重量％で０．０８％以下と
したことを特徴とするものである。
６．０％、Ｍg：１．０〜２．５％を含有し、さらに、
Ｍn ：０．１〜０．７％、Ｚr ：０．０５〜０．２５
％、Ｖ：０．０３〜０．１０％、Ｔi ：０．０５〜０．
２％、Ｃu ：０．１〜１．０％のうち１種または２種以
上を含有し、残部がＡl および不可避不純物からなるＡ
l 合金芯材の片面または両面に、重量％で、Ｍg ：２．
０〜５．５％を含有し、さらに、Ｚn ：０．１〜１．３
％、Ｃu ：０．１〜０．７％のうち１種または２種、Ｍ
n ：０．０５〜０．５０％、Ｃr ：０．０５〜０．２０
％、Ｚr ：０．０１〜０．１０％、Ｔi ：０．０１〜
０．１０％のうち１種または２種以上を含有し、残部が
Ａl および不可避不純物からなるＡl 合金皮材がクラッ
ドされていることを特徴とする。第３の発明は、第１、
第２の発明において、Ａl 合金皮材の不可避不純物のう
ち、Ｆe 、Ｓi の含有量を、重量％で０．０８％以下と
したことを特徴とするものである。
【０００６】なお、上記基板では、厚さが限定されるも
のではないが、基板のうち、皮材については、０．０５
ｍｍ以上の厚さを有し、かつクラッド率で１５％以下と
するのが望ましい。その理由は、０．０５ｍｍ未満では
加熱処理に際して、皮材、芯材間の元素の拡散量が大き
く、安定した強度、メッキ性が得られないこと、および
１５％以上であると全板厚に対する芯材の比率が小さ
く、材料の強度向上効果が小さいことによる。
のではないが、基板のうち、皮材については、０．０５
ｍｍ以上の厚さを有し、かつクラッド率で１５％以下と
するのが望ましい。その理由は、０．０５ｍｍ未満では
加熱処理に際して、皮材、芯材間の元素の拡散量が大き
く、安定した強度、メッキ性が得られないこと、および
１５％以上であると全板厚に対する芯材の比率が小さ
く、材料の強度向上効果が小さいことによる。
【０００７】
【作用】すなわち、本願発明によれば、熱履歴によって
芯材が硬化し、全体として優れた強度を発揮する。ま
た、基板の所望面にクラッドした皮材は、強度はやや低
いものの高強度の芯材で補強されており、その優れたメ
ッキ性によって、メッキ層が良好、かつ強固に形成され
る。したがって厳しい平滑度の要求にも応えることがで
きる。なお、熱履歴に際し、強度、メッキ性を損なう成
分の拡散は、上記の望ましいクラッド厚、クラッド率で
あれば極力避けることができ、熱履歴による弊害は防止
される。次に、芯材および皮材における各成分の作用お
よびその含有量を限定した理由を以下に述べる。なお、
以下に述べる含有量はいずれも重量％で示す。
芯材が硬化し、全体として優れた強度を発揮する。ま
た、基板の所望面にクラッドした皮材は、強度はやや低
いものの高強度の芯材で補強されており、その優れたメ
ッキ性によって、メッキ層が良好、かつ強固に形成され
る。したがって厳しい平滑度の要求にも応えることがで
きる。なお、熱履歴に際し、強度、メッキ性を損なう成
分の拡散は、上記の望ましいクラッド厚、クラッド率で
あれば極力避けることができ、熱履歴による弊害は防止
される。次に、芯材および皮材における各成分の作用お
よびその含有量を限定した理由を以下に述べる。なお、
以下に述べる含有量はいずれも重量％で示す。
【０００８】１．芯材 (1)Ｚn 、Ｍg 時効硬化による強度向上効果を付与するために添加す
る。ただし、Ｚn ：４．０％未満、Ｍg ：１．０％未満
では、その効果は十分ではなく、一方、Ｚn ：６．０
％、Ｍg ：２．５％を超えても一層の向上効果がないば
かりか、かえって材料の加工性を劣化させるので、この
範囲に限定した。 (2)Ｍn 、Ｚr 、Ｖ、Ｔi これら元素には結晶粒微細化効果があり、強度や延性な
ど機械的性質が向上するので選択により添加する。ただ
し、Ｍn ：０．１％、Ｚr ：０．０５％、Ｖ：０．０３
％、Ｔi ：０．０５％未満では上記効果が十分ではな
く、一方、Ｍn ：０．７％、Ｚr ：０．２５％、Ｖ：
０．１０％、Ｔi ：０．２％を超えて含有させても一層
の向上効果はなく、かえって、これら元素が巨大晶を形
成して機械的性質を劣化させるので上記範囲に限定し
た。 (3)Ｃu Ｚn 、Ｍg の時効効果を促進させ、機械的性質をさらに
向上させるので選択により添加する。ただし、０．１％
未満では上記効果は十分ではなく、一方、１．０％を超
えると焼入れ感受性が大きくなり、焼鈍後の冷却速度を
十分に大きくしないと硬化しないため上記範囲に限定し
た。
る。ただし、Ｚn ：４．０％未満、Ｍg ：１．０％未満
では、その効果は十分ではなく、一方、Ｚn ：６．０
％、Ｍg ：２．５％を超えても一層の向上効果がないば
かりか、かえって材料の加工性を劣化させるので、この
範囲に限定した。 (2)Ｍn 、Ｚr 、Ｖ、Ｔi これら元素には結晶粒微細化効果があり、強度や延性な
ど機械的性質が向上するので選択により添加する。ただ
し、Ｍn ：０．１％、Ｚr ：０．０５％、Ｖ：０．０３
％、Ｔi ：０．０５％未満では上記効果が十分ではな
く、一方、Ｍn ：０．７％、Ｚr ：０．２５％、Ｖ：
０．１０％、Ｔi ：０．２％を超えて含有させても一層
の向上効果はなく、かえって、これら元素が巨大晶を形
成して機械的性質を劣化させるので上記範囲に限定し
た。 (3)Ｃu Ｚn 、Ｍg の時効効果を促進させ、機械的性質をさらに
向上させるので選択により添加する。ただし、０．１％
未満では上記効果は十分ではなく、一方、１．０％を超
えると焼入れ感受性が大きくなり、焼鈍後の冷却速度を
十分に大きくしないと硬化しないため上記範囲に限定し
た。
【０００９】２．皮材 (1)Ｍg 強度を上げ、健全なメッキ基板表面を得るために添加す
る。ただし、２．０％未満では上記効果は十分ではな
く、一方、５．５％を超えると加工性が低下するのでこ
の範囲に限定した。 (2)Ｚn 、Ｃu これら元素をＡl −Ｍg 合金に含有させることにより、
合金表面の絶縁性酸化皮膜中に均等に欠陥を形成させ、
材料表面のメッキ反応を均一に進行させてメッキ性を著
しく向上させるので１種または２種を添加する。ただ
し、Ｚn ：０．１％、Ｃu ：０．１％未満では上記効果
は十分ではなく、一方、Ｚn ：１．３％、Ｃu ：０．７
％を超えて含有させると酸化皮膜中の欠陥が多くなり過
ぎて逆にメッキが不均一になりやすいので、上記範囲と
した。
る。ただし、２．０％未満では上記効果は十分ではな
く、一方、５．５％を超えると加工性が低下するのでこ
の範囲に限定した。 (2)Ｚn 、Ｃu これら元素をＡl −Ｍg 合金に含有させることにより、
合金表面の絶縁性酸化皮膜中に均等に欠陥を形成させ、
材料表面のメッキ反応を均一に進行させてメッキ性を著
しく向上させるので１種または２種を添加する。ただ
し、Ｚn ：０．１％、Ｃu ：０．１％未満では上記効果
は十分ではなく、一方、Ｚn ：１．３％、Ｃu ：０．７
％を超えて含有させると酸化皮膜中の欠陥が多くなり過
ぎて逆にメッキが不均一になりやすいので、上記範囲と
した。
【００１０】(3)Ｍn 、Ｃr 、Ｚr 、Ｔi これら元素は結晶粒の粗大化を抑制する効果があり、表
面組織を微細化して表面平滑度を向上させるので、選択
により１種以上添加する。ただし、Ｍn ：０．０５％、
Ｃr ：０．０５％、Ｚr 、Ｔi ：０．０１％未満では上
記効果が十分ではなく、一方、Ｍn ：０．５０％、Ｃr
：０．２０％、Ｚr 、Ｔi ：０．１０％を超えると、
これら元素よりなる化合物自身が粗大化して加工性が劣
化するばかりでなく表面の凹凸も大きくなるので上記範
囲とした。 (3)Ｆe 、Ｓi これら元素はＡl と化合物を作り、表面の凹凸を大きく
するので、特に表面平滑性が要求される用途では含有量
を抑える必要がある。その含有量は極力少なくするのが
望ましいが、０．０８％を超えた場合に、平滑度に与え
る影響が大きいので０．０８％を上限とした。
面組織を微細化して表面平滑度を向上させるので、選択
により１種以上添加する。ただし、Ｍn ：０．０５％、
Ｃr ：０．０５％、Ｚr 、Ｔi ：０．０１％未満では上
記効果が十分ではなく、一方、Ｍn ：０．５０％、Ｃr
：０．２０％、Ｚr 、Ｔi ：０．１０％を超えると、
これら元素よりなる化合物自身が粗大化して加工性が劣
化するばかりでなく表面の凹凸も大きくなるので上記範
囲とした。 (3)Ｆe 、Ｓi これら元素はＡl と化合物を作り、表面の凹凸を大きく
するので、特に表面平滑性が要求される用途では含有量
を抑える必要がある。その含有量は極力少なくするのが
望ましいが、０．０８％を超えた場合に、平滑度に与え
る影響が大きいので０．０８％を上限とした。
【００１１】
【実施例】以下に、本発明の実施例（発明材）を、発明
の範囲外の比較材と比較して説明する。表１に示す組成
を有する芯材用Ａl 合金Ａ〜Ｊと表２に示す組成を有す
る皮材用Ａl 合金ａ〜ｊを通常の溶解法により溶解し、
その一部はさらに、炉外製錬にて不純物を極力低減して
清浄度を高めた。これら溶湯を鋳型に流し込んで鋳塊を
製造した。得られた鋳塊は通常の条件で面削り、均質化
熱処理を施した。さらに、芯材用Ａl 合金では、熱間圧
延によって８．０ｍｍ厚の熱延板とし、皮材用Ａl 合金
では、熱間圧延した後、さらに冷間圧延を行って１．０
ｍｍ厚の冷延板とした。なお、芯材用Ａl 合金Ｊ、皮材
用Ａl 合金ｉ，ｊは、本発明の範囲外の組成を有する合
金である。
の範囲外の比較材と比較して説明する。表１に示す組成
を有する芯材用Ａl 合金Ａ〜Ｊと表２に示す組成を有す
る皮材用Ａl 合金ａ〜ｊを通常の溶解法により溶解し、
その一部はさらに、炉外製錬にて不純物を極力低減して
清浄度を高めた。これら溶湯を鋳型に流し込んで鋳塊を
製造した。得られた鋳塊は通常の条件で面削り、均質化
熱処理を施した。さらに、芯材用Ａl 合金では、熱間圧
延によって８．０ｍｍ厚の熱延板とし、皮材用Ａl 合金
では、熱間圧延した後、さらに冷間圧延を行って１．０
ｍｍ厚の冷延板とした。なお、芯材用Ａl 合金Ｊ、皮材
用Ａl 合金ｉ，ｊは、本発明の範囲外の組成を有する合
金である。
【００１２】これら熱延板と冷延板とをそれぞれ芯材、
皮材として、表３に示す組合せで芯材の両面に皮材を重
ね合わせて熱間圧延によりクラッド材を製造し、引続き
冷間圧延によってその厚さを１．０ｍｍとした。このク
ラッド材を窒素ガス雰囲気中にて、４００℃で５時間保
持する条件で熱処理を行って、それぞれ時効硬化させた
メッキ基板（発明材および比較材）を得た。各メッキ基
板では、芯材の厚さは、０．９ｍｍで、皮材の厚さは
０．１ｍｍとなっており、クラッド率は１０％であっ
た。さらに、上記メッキ基板の他に、比較材の一種とし
て、皮材用Ａl 合金ａ，ｂ，ｃから得た比較材９〜１１
と皮材用Ａl 合金ｉ，ｊから得た比較材４〜８と、芯材
用Ａl 合金Ｊから得た比較材１〜３を用意した。
皮材として、表３に示す組合せで芯材の両面に皮材を重
ね合わせて熱間圧延によりクラッド材を製造し、引続き
冷間圧延によってその厚さを１．０ｍｍとした。このク
ラッド材を窒素ガス雰囲気中にて、４００℃で５時間保
持する条件で熱処理を行って、それぞれ時効硬化させた
メッキ基板（発明材および比較材）を得た。各メッキ基
板では、芯材の厚さは、０．９ｍｍで、皮材の厚さは
０．１ｍｍとなっており、クラッド率は１０％であっ
た。さらに、上記メッキ基板の他に、比較材の一種とし
て、皮材用Ａl 合金ａ，ｂ，ｃから得た比較材９〜１１
と皮材用Ａl 合金ｉ，ｊから得た比較材４〜８と、芯材
用Ａl 合金Ｊから得た比較材１〜３を用意した。
【００１３】得られたメッキ基板に対し、後述するメッ
キに備えて、洗浄等の前処理を行った。引続きジンケー
ト処理を行った後で膜厚１０μｍのＮi メッキ層を設け
た。次いで、各メッキ基板の引張特性、メッキ性および
表面平滑度を評価する試験を行い、その結果を表３に示
した。なお、メッキ性の評価試験は、ジンケート膜の剥
離試験によって行い、表面平滑度の評価試験は表面粗さ
測定の方法により行った。
キに備えて、洗浄等の前処理を行った。引続きジンケー
ト処理を行った後で膜厚１０μｍのＮi メッキ層を設け
た。次いで、各メッキ基板の引張特性、メッキ性および
表面平滑度を評価する試験を行い、その結果を表３に示
した。なお、メッキ性の評価試験は、ジンケート膜の剥
離試験によって行い、表面平滑度の評価試験は表面粗さ
測定の方法により行った。
【００１４】表３の結果から明らかなように、いずれの
発明材も高い強度を有しているとともに、メッキ性に優
れており、良好なメッキ層が形成された。なお、発明材
のうちで、２〜１０は、表面の平滑度が向上しており、
この場合にもメッキ性は良好であった。また、Ｚn 、Ｃ
u を含有する発明材１〜１０は、特にメッキ性に優れて
いた。これに対し、比較材４〜８は、強度は十分に得ら
れたもののメッキ性にやや劣っており、比較材１〜３は
メッキ性に優れているものの強度は不十分であった。ま
た、比較材９〜１１は、メッキ性に優れ、表面平滑度も
やや良であったが、強度は著しく劣っていた。
発明材も高い強度を有しているとともに、メッキ性に優
れており、良好なメッキ層が形成された。なお、発明材
のうちで、２〜１０は、表面の平滑度が向上しており、
この場合にもメッキ性は良好であった。また、Ｚn 、Ｃ
u を含有する発明材１〜１０は、特にメッキ性に優れて
いた。これに対し、比較材４〜８は、強度は十分に得ら
れたもののメッキ性にやや劣っており、比較材１〜３は
メッキ性に優れているものの強度は不十分であった。ま
た、比較材９〜１１は、メッキ性に優れ、表面平滑度も
やや良であったが、強度は著しく劣っていた。
【００１５】
【表１】
【００１６】
【表２】
【００１７】
【表３】
【００１８】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明の高強度
アルミニウム合金メッキ基板は、重量％で、Ｚn ：４．
０〜６．０％、Ｍg ：１．０〜２．５％を含有し、さら
に、Ｍn ：０．１〜０．７％、Ｚr ：０．０５〜０．２
５％、Ｖ：０．０３〜０．１０％、Ｔi ：０．０５〜
０．２％、Ｃu ：０．１〜１．０％のうち１種または２
種以上を含有し、残部がＡl および不可避不純物からな
るＡl 合金芯材の片面または両面に、重量％で、Ｍg ：
２．０〜５．５％を含有し、さらに、Ｚn ：０．１〜
１．３％、Ｃu ：０．１〜０．７％のうち１種または２
種と、さらに所望によりＭn ：０．０５〜０．５０％、
Ｃr ：０．０５〜０．２０％、Ｚr ：０．０１〜０．１
０％、Ｔi ：０．０１〜０．１０％のうち１種または２
種以上とを含有し、残部がＡl および不可避不純物から
なるＡl 合金皮材をクラッドしたので、熱処理によって
高い強度が得られるとともに良好なメッキ性を有してお
り、強度が要求される用途にもメッキ基板として提供す
ることができ、用途も著しく拡大する効果がある。ま
た、Ａl 合金皮材の不可避不純物のうち、Ｆe 、Ｓi の
含有量を、重量％で、０．０８％以下とすれば、皮材の
表面の凹凸が少なくなり、メッキ後の表面が平滑になっ
て厳しい表面平滑度が要求される用途にも広く使用する
ことが可能となる。
アルミニウム合金メッキ基板は、重量％で、Ｚn ：４．
０〜６．０％、Ｍg ：１．０〜２．５％を含有し、さら
に、Ｍn ：０．１〜０．７％、Ｚr ：０．０５〜０．２
５％、Ｖ：０．０３〜０．１０％、Ｔi ：０．０５〜
０．２％、Ｃu ：０．１〜１．０％のうち１種または２
種以上を含有し、残部がＡl および不可避不純物からな
るＡl 合金芯材の片面または両面に、重量％で、Ｍg ：
２．０〜５．５％を含有し、さらに、Ｚn ：０．１〜
１．３％、Ｃu ：０．１〜０．７％のうち１種または２
種と、さらに所望によりＭn ：０．０５〜０．５０％、
Ｃr ：０．０５〜０．２０％、Ｚr ：０．０１〜０．１
０％、Ｔi ：０．０１〜０．１０％のうち１種または２
種以上とを含有し、残部がＡl および不可避不純物から
なるＡl 合金皮材をクラッドしたので、熱処理によって
高い強度が得られるとともに良好なメッキ性を有してお
り、強度が要求される用途にもメッキ基板として提供す
ることができ、用途も著しく拡大する効果がある。ま
た、Ａl 合金皮材の不可避不純物のうち、Ｆe 、Ｓi の
含有量を、重量％で、０．０８％以下とすれば、皮材の
表面の凹凸が少なくなり、メッキ後の表面が平滑になっ
て厳しい表面平滑度が要求される用途にも広く使用する
ことが可能となる。
Claims (3)
- 【請求項１】 重量％で、Ｚn ：４．０〜６．０％、Ｍ
g ：１．０〜２．５％を含有し、さらに、Ｍn ：０．１
〜０．７％、Ｚr ：０．０５〜０．２５％、Ｖ：０．０
３〜０．１０％、Ｔi ：０．０５〜０．２％、Ｃu ：
０．１〜１．０％のうち１種または２種以上を含有し、
残部がＡl および不可避不純物からなるＡl 合金芯材の
片面または両面に、重量％で、Ｍg ：２．０〜５．５％
を含有し、さらに、Ｚn ：０．１〜１．３％、Ｃu ：
０．１〜０．７％のうち１種または２種を含有し、残部
がＡl および不可避不純物からなるＡl 合金皮材がクラ
ッドされていることを特徴とする高強度アルミニウム合
金メッキ基板 - 【請求項２】 重量％で、Ｚn ：４．０〜６．０％、Ｍ
g ：１．０〜２．５％を含有し、さらに、Ｍn ：０．１
〜０．７％、Ｚr ：０．０５〜０．２５％、Ｖ：０．０
３〜０．１０％、Ｔi ：０．０５〜０．２％、Ｃu ：
０．１〜１．０％のうち１種または２種以上を含有し、
残部がＡl および不可避不純物からなるＡl 合金芯材の
片面または両面に、重量％で、Ｍg ：２．０〜５．５％
を含有し、さらに、Ｚn ：０．１〜１．３％、Ｃu ：
０．１〜０．７％のうち１種または２種、Ｍn ：０．０
５〜０．５０％、Ｃr ：０．０５〜０．２０％、Ｚr ：
０．０１〜０．１０％、Ｔi ：０．０１〜０．１０％の
うち１種または２種以上を含有し、残部がＡl および不
可避不純物からなるＡl 合金皮材がクラッドされている
ことを特徴とする高強度アルミニウム合金メッキ基板 - 【請求項３】 Ａl 合金皮材の不可避不純物のうち、Ｆ
e 、Ｓiの含有量を、重量％で、０．０８％以下とした
ことを特徴とする請求項１または２記載の高強度アルミ
ニウム合金メッキ基板
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22360491A JPH0543970A (ja) | 1991-08-09 | 1991-08-09 | 高強度アルミニウム合金メツキ基板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22360491A JPH0543970A (ja) | 1991-08-09 | 1991-08-09 | 高強度アルミニウム合金メツキ基板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0543970A true JPH0543970A (ja) | 1993-02-23 |
Family
ID=16800793
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP22360491A Pending JPH0543970A (ja) | 1991-08-09 | 1991-08-09 | 高強度アルミニウム合金メツキ基板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0543970A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20120090742A1 (en) * | 2009-06-12 | 2012-04-19 | Aleris Aluminum Koblenz Gmbh | Structural Automotive Part Made From an Al-Zn-Mg-Cu Alloy Product and Method of its Manufacture |
| JP2015108163A (ja) * | 2013-10-24 | 2015-06-11 | 株式会社神戸製鋼所 | アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材 |
| WO2015167916A1 (en) * | 2014-04-30 | 2015-11-05 | Alcoa Inc. | Improved 7xx aluminum casting alloys, and methods for making the same |
-
1991
- 1991-08-09 JP JP22360491A patent/JPH0543970A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20120090742A1 (en) * | 2009-06-12 | 2012-04-19 | Aleris Aluminum Koblenz Gmbh | Structural Automotive Part Made From an Al-Zn-Mg-Cu Alloy Product and Method of its Manufacture |
| US8613820B2 (en) * | 2009-06-12 | 2013-12-24 | Aleris Aluminum Duffel Bvba | Structural automotive part made from an Al—Zn—Mg—Cu alloy product and method of its manufacture |
| JP2015108163A (ja) * | 2013-10-24 | 2015-06-11 | 株式会社神戸製鋼所 | アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材 |
| WO2015167916A1 (en) * | 2014-04-30 | 2015-11-05 | Alcoa Inc. | Improved 7xx aluminum casting alloys, and methods for making the same |
| US11103919B2 (en) | 2014-04-30 | 2021-08-31 | Alcoa Usa Corp. | 7xx aluminum casting alloys, and methods for making the same |
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