JPH0543610Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、トラクタに連結したロータリ耕耘部
の耕深を、略一定となるよう自動的に制御するこ
とができるトラクタの耕深自動制御装置に関す
る。

〔従来技術〕

この種、トラクタの耕深自動制御装置として、
ロータリ耕深部に設けた後方カバーが感知した耕
深の変動を、ロータリ耕耘部を昇降制御する油圧
制御機構に伝達し、この油圧制御機構によりロー
タリ耕耘部を昇降させて耕深が自動的に一定とな
るようにしたものは公知である。

また、従来のロータリカバーに対し後方カバー
をボルト等によりスライド可能に重合させるよう
にしたものはあるが、しかしながら、このもの
は、ボルトの締緩により後方カバーをスライドさ
せて耕耘位置と代掻位置とに位置調節するように
していたので、後方カバーの姿勢を変更する際に
は工具が必要であると共に、さらにスライド部に
泥土の噛み込み等があつてスライドが困難で切換
操作に時間がかかるという問題点があつた。ま
た、後方カバーの位置を耕耘位置から代掻位置、
或いは代掻位置から耕耘位置に変更すると、後方
カバーとトラクタの油圧制御機構とを連繋するボ
ーデンのワイヤの遊びが発生し、耕深自動制御装
置の感度が低下するという問題があつた。

〔考案の目的〕

本考案は上述した従来の実情に鑑み、その問題
点を解消すべく創案されたものであつて、切換カ
バーを介して二段折れ構造とした後方カバーを耕
耘位置から代掻位置、或いは代掻位置から耕耘位
置に簡単に変更できると共に、後方カバーを耕耘
位置から代掻位置、或いは代掻位置から耕耘位置
に移動させることにより油圧制御機構に連繋する
ボーデンワイヤの遊びを吸収することができるト
ラクタの耕深自動制御装置を提供することを目的
とするものである。

〔考案の構成〕

上記目的を達成する本考案によるトラクタの耕
深自動制御装置は、ロータリカバーの後端にロー
タリカバー後端支点を揺動中心とする切換カバー
を設けると共に、該切換カバーに枢着させた切換
杆の先端に固定した連結軸を前記ロータリカバー
の上方に配されたサポートに設けた融通機構を介
して摺動自在に配設し、更に、前記連結軸に対向
させて該連結軸を上記融通機構の所定位置に固定
する規制カムを配設すると共に、前記連結軸にセ
ンサアームを回動自在に配設し、更に、耕深さ変
動感知用後方カバーを前記切換カバーの後端に設
けた揺動支点に揺動自在に連結し、該後方カバー
と前記センサアームの一端とを連結する連結具の
端部を夫々後方カバーとセンサアームに回動自在
に枢支させると共に、センサアームの他端にロー
タリ耕耘部を昇降制御する油圧制御機構に連繋す
るボーデンワイヤを接続させ、かつ、前記連結軸
の位置変更に伴い上記ボーデンワイヤのアウタを
支持するアウタブラケツトの位置を前記サポート
に対して位置変更可能に設けたことを特徴とする
ものである。

〔実施例〕

以下、本考案を一実施例として示す図面につい
て説明する。

第２図および第３図に示すように、トラクタに
はロータリ耕耘部３が連結されている。つまり、
図示しないトラクタの機体後方には、左右一対の
後輪１，１、およびブラケツト２がそれぞれ設け
られており、このブラケツト２とロータリ耕耘部
３に設けたサポート４との間はトツプリンク５に
より枢支連結されており、さらに、トラクタ機体
とロータリ耕耘部３側に設けた連結ピン６との間
には左右一対のロアリンク７，７が枢支連結され
ており、この左右一対のロアリンク７，７の略中
央部は、機体後方に設けたリフトアーム（図外）
に上端が枢支連結されたリフトロツド（図外）の
下端に枢支連結されることにより、ロータリ耕耘
部３がトラクタに連結されるようになつている。

また、トラクタの機体には前記リフトアームを
昇降するためのシリンダ、ピストンよりなる油圧
昇降機構（図外）が設けられ、さらにこの油圧昇
降機構を制御するための切換弁等の油圧制御機構
（図外）が設けられており、この油圧制御機構は
ポジシヨンレバーの操作および後述する後方カバ
ー１８の揺動により作動するようになつている。

前記ロータリ耕耘部３の中央部前方には、トラ
クタ機体に設けられた動力取出軸（図外）に接手
を介して連動連結される連結軸８が前方に向けて
突出するギヤケース９が設けられ、このギヤケー
ス９の左右両側には連結筒１０，１０がそれぞれ
固定されている。この連結筒１０の一方にはチエ
ンケース１１が、また他方には軸受ケース（図
外）がそれぞれ固定され、これらチエンケース１
１と前記軸受ケースとの間には多数本の耕耘爪１
２が取付けられるロータリ軸１３が回転自在に配
設されており、このロータリ軸１３は連結軸８の
駆動回転に伴い回転されるようになつている。

また、ロータリ耕耘部３には、耕耘爪１２の回
転軌跡１４の上方を覆うロータリカバー１５が設
けられており、このロータリカバー１５の後端
と、後方に配設した切換カバー１６の前端とを、
後方支点軸１７を介して互いに連結することによ
つて、この切換カバー１６がロータリカバー１５
の後方支点１７を揺動中心として第１図Ａに示す
耕耘爪１２の回転軌跡１４から遠ざかる方向の上
方位置に移動する耕耘位置と、第１図Ｂに示す耕
耘爪１２の回転軌跡１４に近づく方向の下方方向
に移動する代掻位置とに選択的に切換自在となる
よう連結されている。

さらに、前記切換カバー１６の後端と、この切
換カバー１６の後方に配設した後方カバー１８の
前端とは、揺動支点軸１９を介して互いに連結さ
れ、この後方カバーは前記切換カバー１６ととも
に第１図Ａ８示す耕耘位置と、第１図Ｂに示す代
掻位置とに移動すると共に、この移動した各位置
で前記揺動支点１９を中心にして揺動自在となる
ように連結されている。

また、前記ロータリカバー１５の上方には連結
筒１０に基端が固定される断面コの字状のサポー
ト２０が左右一対配設されており、この各サボー
ト２０には左右に貫通する前後方向の長孔２１が
穿設され、この長孔２１内には長孔２１に沿つて
摺動移動する連結軸２２が設けられ、この連結軸
２２はサボート２０内に設けられた切換杆２３の
一端に固定され、またこの切換杆２３の他端は切
換カバー１６に立設した連結プレート２４に枢支
連結されている。しかして、その後方支点１７を
摺動中心とする切換カバー１６は、連結杆２３先
端の連結軸２２が長孔２１内の前側端部に接当す
る耕耘位置（第１図Ａ参照）と、長孔２１の後側
端部に接当する代掻位置（第１図Ｂ参照）とに移
動することによつて切換自在になつており、さら
に、この切換操作を一層容易にするため、この切
換杆２３の上方側には切換レバー２５が固着され
ており、これらで切換機構２６が構成されてい
る。

前記サポート２０の長孔２１の中央部上方には
支軸２７が設けられており、この支軸２７にはサ
ポート２０内に配設した規制カム２８が回転自在
に設けられ、この規制カム２８は、その前後に設
けた規制面２８ａを対面する位置の連結軸２２の
外径に接触させることにより、切換カバー１６の
前後切換位置がそれぞれ固定できるようになつて
おり、さらにこの規制カム２８の上方には上方に
延びるカムレバー２９が固定されると共に、さら
にカムレバー２９に設けた横方向屈曲部と、サポ
ート２０の下方に設けた係止片（図外）の間に
は、横方向屈曲部を支点軸２７位置を超えていず
れか一方に傾斜するよう附勢弾持されたスプリン
グ３０が設けられ、これらで前記した切換機構２
６の切換位置を固定するようになつている。

前記後方カバー１８に立設したブラケツト３１
の上方には、上方に延びる連結プレート３２が固
定されており、また、前記サポート２０に設けた
連結軸２２はサポート２０幅よりもさらに内側に
向けて突出され、この突出する側の連結軸２２は
センサアーム３３を回転自在に支架する連結軸に
兼用されている。

したがつて、後方カバー１８を切換カバー１６
を介して二段折れ構造とすることに伴う切換カバ
ー１６側の切換機構２６と後方カバー１８側のセ
ンサアーム３３とを近接配設することができ、さ
らにはセンサアーム３３を切換機構２６が配設さ
れるサポート２０の側方に配設することができ、
切換杆２３や連結ロツド３４等が互いに接触する
のを避けることができる。

このセンサアーム３３の上方側に一端が枢支連
結された連結ロツド３４の他端を、前述した後方
カバー１８側の連結プレート３２に枢支連結する
ことにより、これらは、その揺動支点１９を中心
として揺動する後方カバー１８の作動を、ロータ
リ耕耘部３を昇降制御する油圧制御機構に伝達す
るための中継機構３５に構成されており、このセ
ンサアーム３３の下方側に一端が連結されたボー
デンワイヤ３６の他端はトラクタに設けられた油
圧制御機構に連繋されている。

また、このボーデンワイヤ３６のアウタ３６ａ
は、第１図Ｃに示すようにサボート２０に回動自
在に嵌挿した支軸４６の突出端に固定された揺動
アーム４５の下方に設けられた回動自在なアウタ
ブラケツト４７により位置決めされており、この
揺動アーム４５の上方は切換レバー４５ａに構成
されると共に、サボート２０に設けた前後二個の
固定孔４８，４８に嵌入するストツパ４８ａが固
定されている。また、支軸４６には常時支軸４６
を矢印方向に附勢するスプリング４９が設けられ
ており、切換レバー４５ａを反矢印方向に操作し
てサボート２０との係合を外すことにより前後い
ずれか一方の固定孔４８にセツトすることができ
るようになつている。

したがつて、後方カバー１８を耕耘位置に切換
えた場合には、センサアーム３３を支架する連結
軸２２が前方に移動するので、これの切換え操作
に併せて切換レバー４５ａを後方側の固定孔４８
にセツトすることにより、ボーデンワイヤ３６の
アウタ３６ａは前方側に移動させることができ
る。また後方カバー１８を代掻位置に切換えた場
合には、センサアーム３３を支架する連結軸２２
が後方に移動するので、これの操作に併せて切換
レバー４５ａを前方側の固定孔４８にセツトする
ことにより、ボーデンワイヤ３６のアウタ３６ａ
を後方側に移動させることができる。

このように後方カバー１８の位置切換に伴う連
結軸２２の移動とともに連結軸２２に支架のセン
サアーム３３も前後に移動すると共に、これに併
せてボーデンワイヤ３６のアウタ３６ａ位置を移
動させることにより、センサアーム３３下端と、
ボーデンワイヤ３６のアウタ３６ａとの間の距離
を、切換えに伴う後方カバー１８の姿勢変化に関
係なく一定に保持することができ、これにより後
方カバー１８を両切換位置に移動させた場合に発
生するボーデンワイヤ３６の遊びを簡単に吸収す
ることができる。

また、耕耘位置と代掻位置とに切換える際、連
結軸２２に支架されたセンサアーム３３は、連結
ロツド３４を介して後方カバー１８とともに一体
的に回動するようになつている。

さらに、第５図Ａおよび第５図Ｂに示す他例の
ように、回動自在のアウタブラケツト４７を有す
る揺動自在な揺動アーム５０を設け、この揺動ア
ーム５０と連結軸２２との間をロツド５１により
連結することにより、連結軸２２を前後に移動す
る後方カバー１８の切換操作に連動させてボーデ
ンワイヤ３６のアウタ３６ａ位置を自動的に前後
に移動させ、切換に伴う後方カバー１８の姿勢変
化によるボーデンワイヤ３６の弛みを、切換操作
に連動して自動的に吸収することかできる。

第２図および第３図に示すように、ロータリ耕
耘部３には、前側が連結筒１０に枢支連結される
ツールバー３７が設けられ、このツールバー３７
の後方には上下方向に配設した左右一対の加圧ロ
ツド３８がそれぞれ貫通され、この各加圧ロツド
３８の下端は後方カバー１８に枢支連結されてお
り、この加圧ロツド３８には上方スプリング３９
および下方スプリング４０をその取付け位置が調
節自在となるように設けることにより、後方カバ
ー１８がその回動支点１９を中心として所定の圧
力で下方側に向けて附勢弾持されるようになつて
いる。

また、前記ツールバー３７と、サボート４との
間は、螺子による伸縮調節機構４１により連結さ
れており、この伸縮調節機構４１には手動操作ハ
ンドル４２が設けられている。

しかして、畑作地、不耕起田等のトラクタが沈
下しない状態での耕耘作業の場合には、第１図Ａ
に示すようにカムレバー２９および切換レバー２
５の操作により、連結杆２３先端の連結軸２２を
長孔２１の前方端部に移動させ、その規制カム２
８により連結軸２２をその位置にロツクする。こ
の耕耘位置では、耕深が浅くなり後方カバー１８
に作用する耕耘土壌が少ない場合には、後方カバ
ー１８が回動支点１９を中心にして耕耘軌跡１４
に近づく方向に移動することでセンサアーム３３
が時計方向に回動し、Ｄ位置に移動することによ
りロータリ耕耘部３が下降するよう油圧制御機構
が作動し、ロータリ耕耘部３が下降しただけ耕深
が深くなり後方カバー１８に作用する耕耘土壌が
多くなることでセンサアーム３３がＮ位置の中立
状態に復帰し、耕深が略一定に保持される。

また、耕深が深くなり後方カバー１８に作用す
る耕耘土壌が多い場合には、後方カバー１８が耕
耘軌跡１４から遠ざかる方向に移動することでセ
ンサアーム３３が反時計方向に回動し、Ｕ位置に
移動することによりロータリ耕耘部３が上昇する
よう油圧制御装置が作動し、ロータリ耕耘部３が
上昇しただけ耕深が浅くなり後方カバー１８に作
用する耕耘土壌が少なくなることでセンサアーム
３３がＮ位置の中央状態に復帰し、耕深が略一定
に保持される。

また、代掻作業の場合には、第１図Ｂに示すよ
うにカムレバー２９および切換レバー２５の操作
により、その連結軸２２を長孔２１の後方端部に
移動させ、この位置で連結軸２２を規制カム２８
によりロツクするとするという簡単な操作で、後
方カバー１８を耕耘位置から代掻位置に切換える
ことができる。

この代掻位置では切換カバー１６全体が耕耘位
置の場合よりも下降することに伴つて後方カバー
１８も下降する。この後方カバー１８の下降によ
り、代掻の場合にはトラクタ自体が代掻土壌内に
深く沈下するにもかかわらず、ロータリ耕耘部３
による代掻深さを浅くして作業をする関係で、ト
ラクタに対してロータリ耕耘部が上昇した中吊り
状態となつて後方カバ１８の先端が接地しなくな
るのを確実に防止することができる。

したがつて、この代掻位置では、下降位置の揺
動支点１９を中心とする接地状態で揺動する後方
カバー１８により、前述の耕耘作業と同様に耕深
を自動的に一定とすることができる。

さらに、果樹園等の畑作地で除草作業を行うと
きには、耕耘爪１２の回転軌跡１４と後方カバー
１８の接地部とが略同一高さ位置において耕耘し
ないで草刈する、いわゆる除草作業を行なわせる
場合があるが、この場合には上記代掻作業と同様
に下げて使用するものである。

〔考案の効果〕

上記のように、本考案は、ロータリカバー１５
の後端にロータリカバー後端支点１７を揺動中心
とする切換カバー１６を設けると共に、該切換カ
バー１６に枢着させた切換杆２３の先端に固定し
た連結軸２２を前記ロータリカバー１５の上方に
配されたサポート２０に設けた融通機構２１を介
して摺動自在に配設し、更に、前記連結軸２２に
対向させて該連結軸２２を上記融通機構２１の所
定位置に固定する規制カム２８を配設すると共
に、前記連結軸２２にセンサアーム３３を回動自
在に配設し、更に、耕深さ変動感知用後方カバー
１８を前記切換カバー１６の後端に設けた揺動支
点１９に揺動自在に連結し、該後方カバー１８と
前記センサアーム３３の一端とを連結する連結具
３４の端部を夫々後方カバー１８とセンサアーム
３３に回動自在に枢支させると共に、センサアー
ム３３の他端にロータリ耕耘部３を昇降制御する
油圧制御機構に連繋するボーデンワイヤ３６を接
続させたので、切換カバー１６を介して二段折れ
構造とした後方カバー１８を耕耘位置から代掻位
置、或いは代掻位置から耕耘位置に簡単に変更で
きる。

更に、後方カバー１８を耕耘位置から代掻位
置、或いは代掻位置から耕耘位置に移動させてセ
ンサーアーム３３を取り付けた連結棒２２の位置
を切り換えると共に、この位置変更に伴いセンサ
アーム３３の下端部とボーデンワイヤ３６のアウ
タブラケツト４７との間が一定になるようにボー
デンワイヤ３６のアウタ３６ａを支持するアウタ
ブラケツト４７の位置を位置変更可能に構成した
ので、作業形態に応じて切り換える後方カバーの
姿勢変化にかかわりなく、油圧制御機構に連繋す
るボーデンワイヤ３６の遊びを吸収することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図Ａは要部の拡大側面図、第１図Ｂは要部の
作用説明図、第１図Ｃは第１図ＡのＡ−Ａ矢視断
面図、第２図はロータリ耕耘部の側面図、第３図
はロータリ耕耘部の平面図、第４図は要部の分解
斜視図、第５図Ａは他の実施例を示す要部の拡大
側面図、第５図Ｂは要部の作用説明図である。 ３……ロータリ耕耘部、１６……切換カバー、
１７……後方支点、１８……後方カバー、１９…
…揺動支点、２２……連結軸、２６……切換機
構、２８……規制カム、３３……センサアーム、
３４……連結ロツド、３５……中継機構、３６…
…ボーデンワイヤ、３６ａ……ボーデンワイヤの
アウタ、４７……アウタブラケツト、４５，５０
……揺動アーム、５１……ロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロータリカバー１５の後端にロータリカバー後
   端支点１７を揺動中心とする切換カバー１６を設
   けると共に、該切換カバー１６に枢着させた切換
   杆２３の先端に固定した連結軸２２を前記ロータ
   リカバー１５の上方に配されたサポート２０に設
   けた融通機構２１を介して摺動自在に配設し、更
   に、前記連結軸２２に対向させて該連結軸２２を
   上記融通機構２１の所定位置に固定する規制カム
   ２８を配設すると共に、前記連結軸２２にセンサ
   アーム３３を回動自在に配設し、更に、耕深さ変
   動感知用後方カバー１８を前記切換カバー１６の
   後端に設けた揺動支点１９に揺動自在に連結し、
   該後方カバー１８と前記センサアーム３３の一端
   とを連結する連結具３４の端部を夫々後方カバー
   １８とセンサアーム３３に回動自在に枢支させる
   と共に、センサアーム３３の他端にロータリ耕耘
   部３を昇降制御する油圧制御機構に連繋するボー
   デンワイヤ３６を接続させ、かつ、前記連結軸２
   ２の位置変更に伴い上記ボーデンワイヤのアウタ
   ３６を支持するアウタブラケツト４７の位置を前
   記サポート２０に対して位置変更可能に設けたこ
   とを特徴とするトラクタの耕深自動制御装置。