JPH0539688A - 吸着具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 吸着具を構成する合成樹脂製永久磁石の成形
ゲート口部分が吸着具の表側に表われないように吸着具
を構成する。また、この成形ゲート口部分が、この永久
磁石の磁極に取付けられる強磁性部材と永久磁石との間
に磁気的なギャップを生じさせることを防止する。 【構成】 一方の磁極面にゲート口部４が設けられてい
る環板状の合成樹脂製永久磁石１と、この永久磁石の一
方の磁極面ａに添装される磁極板部２ａと、この磁極板
部に立設される磁極凸部２ｂとを主たる構成部材とす
る。この磁極板部の凹欠部３に永久磁石のゲート口部を
納めて、永久磁石に磁極板部を添装すると共に、磁極凸
部を永久磁石の孔１０に圧入、止着して、吸着具Ａを構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は永久磁石の吸着力を利
用した吸着具、特に合成樹脂製の永久磁石を用いた吸着
具の磁極部分の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】永久磁石の吸着力を用いた吸着具は、各
種のバッグ類における蓋の閉止手段として用いられた
り、各種オーディオ等の扉の閉止手段として用いられた
り、各種ボックス類の蓋の閉止手段等として用いられて
いる。この種の吸着具に用いられる永久磁石の多くは、
アルニコ磁石、フェライト磁石等のように焼結の方法で
成形された磁石を用いていることが多く、吸着具を構成
するために組付ける際あるいは使用に伴う吸着時の衝撃
等によって破断することが多く、通例、この永久磁石を
真鍮のケース等で覆って用いていた。

【０００３】しかしながら、かゝる真鍮等のケース内に
永久磁石を組付けて吸着具を構成する手法では、吸着手
段である永久磁石等とは別に組付けのための真鍮ケース
等を別途必要とし、しかも、この真鍮ケース等に逐一永
久磁石等を組付ける手間を要していた。又、吸着具に組
付けられている永久磁石が、この非磁性の真鍮ケース等
で覆われていることから、この永久磁石の磁極上に吸着
する被吸着部材に対する吸引力が、この真鍮ケース等で
形成される磁気的なギャップに見合って減少される不都
合を有していた。かゝる点からフェライト磁石粉末、ア
ルニコ磁石粉末あるいは希土類磁石粉末等の硬質磁性材
からなる粉末をナイロン66、ポリアミド、ポリエステル
等の合成樹脂材で保型した合成樹脂製の永久磁石を吸着
手段とする吸着具の提供が試みられている。この種の永
久磁石は硬質磁性材からなる粉末を重量比で80wt％以
上、特に90wt％以上となるように、前記の合成樹脂材に
配合して形成されたものが多く、一般的には熱融解型接
着樹脂材を用いて金型成形されたものが用いられてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
の金型で成形された合成樹脂製の永久磁石では、永久磁
石の表面に、この永久磁石の成形のためのゲート口部が
残っていることから、この成形時のゲート口部を切除す
る処理工程を施してから吸着具を構成する必要があっ
た。かゝる永久磁石のゲート口部分の切除処理は、この
永久磁石が多くの硬質磁性材の粉末を含んで構成されて
いることから難しく、ゲート口部分の確実な切除ができ
ず、該部が凹凸状とされたり、切除時にゲート口部分が
破断する等の不都合を有していた。又、このゲート口部
分の切除処理を、構成される吸着具の面に沿った滑らか
な面となるように施すことは至難であって、構成される
吸着具の表側の面に該ゲート口部分を位置づけることは
吸着具の外観を著しく損ねる不都合を有していた。かゝ
る点から、吸着具の吸着力を増す目的で永久磁石の磁極
に取付けられている強磁性部材の側に、この永久磁石の
成形ゲート口部を位置づけるようにして、吸着具の表側
の面から該ゲート口部分が表われないようにした場合、
このゲート口部分の切除面が凹凸状態であることが多
く、永久磁石に取付けられる強磁性部材と、この永久磁
石の磁極との間に磁気的なギャップを生ずる不都合を有
していた。

【０００５】本発明にかゝる吸着具は、かゝる従来吸着
具の不都合に鑑み、構成される吸着具の表側に、吸着具
を構成する永久磁石の成形ゲート口部分が表われないよ
うになすと共に、永久磁石と、この永久磁石の磁極に取
付けられる強磁性部材との間に磁気的なギャップを生ず
ることのない吸着具の提供を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る吸着具は、
かかる目的を達成するものとして、板厚方向に磁極面
ａ、ａ’を有し、かつ、板厚方向に向けて孔10を有する
と共に一方の磁極面ａにゲート口部４が設けられている
環板状の合成樹脂性永久磁石１と、この永久磁石１の前
記ゲート部４が設けられている側の磁極面ａに添装され
ると共にこのゲート部４の収まる凹欠部３を有する盤状
の磁極板部２ａと、この磁極板部２ａに設けられ且つ前
記永久磁石１の孔10内に起立し前記永久磁石１の孔10よ
り稍々拡径とされている桿状の磁極凸部26とから構成さ
れる強磁性部材２とからなり、前記永久磁石１の孔10に
前記桿状の磁極凸部２６を圧入、止着して、この永久磁
石１と強磁性部材２とが一体化されるように構成されて
いる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明にかゝる典型的な吸着具の一実
施例を添付の図面について説明する。図１及び図２にお
いてＡは吸着具を、Ｂは被吸着具を示している。吸着具
Ａは永久磁石１と、この永久磁石１の磁極面ａに添装さ
れている強磁性部材２とからなっている。又、永久磁石
１はフェライト、アルニコ、希土類等の硬質磁性材の粉
末をポリアミド、ポリエステル、ナイロン等の主として
熱可塑性の合成樹脂に配合して金型成形により提供され
たものを用いている。尚、用途によって、熱硬化性の樹
脂その他のタイプの樹脂を用いて永久磁石を構成しても
良い。又、この永久磁石１は、硬質磁性材の粉末を80wt
％以上、特に90wt％以上含むものであることが吸着具の
吸着力を増す点から好ましい構成例とされるが、この硬
質磁性材の粉末を極端に増した場合には構成される永久
磁石が脆くなり実用に適しなくなる。このことから、永
久磁石１に含まれている硬質磁性材の粉末は、この永久
磁石１が吸着具として要請される機械的な強度を損ねな
い範囲で可能な限り多く含まれていることが望ましい。
尚、この永久磁石１は板状をなしており、その板厚方向
に磁極面ａ、ａ’が設けられるよう着磁されており、こ
の板厚方向に向けて孔10を有している。着磁された永久
磁石は等方性であっても異方性であっても良い。

【０００８】この永久磁石１の磁極面ａに、永久磁石１
の金型成形時のゲート口部４を設けた構成としている。
この永久磁石１の磁極面ａに添装、接着される強磁性部
材２は該磁極面ａを覆う円板状をなしている磁極板部2a
と、前記の孔10内に起立する桿状の磁極凸部2bとからな
り、この磁極板部2aには、該磁極凸部2bの細径部2b' の
挿通される孔11と、前記ゲート口部４の収まる凹欠部３
とがある。

【０００９】この実施例では、吸着具Ａを構成する強磁
性部材２と合成樹脂製の永久磁石１とを、強磁性部材２
における磁極凸部2bを永久磁石１の孔10内に圧入、嵌着
する方法で固定した構成からなっている。かゝる吸着具
Ａの構成の手段として、磁極凸部2bを孔10の孔径より稍
々大き目に構成しておくのがよく、特に孔10に対する圧
入、嵌着等の都合から、該磁極凸部2bが、その長さ方向
の略中央部分で外方に膨んでいる構成としておくのが良
い。このように磁極凸部2bの先端側及び磁極板部2aの取
付け側を細径としておくことによって、孔10に押入され
た磁極凸部2bは永久磁石１の孔10の内壁に強く嵌め入れ
られ、その状態で固定される。

【００１０】又、このように磁極凸部2bを永久磁石１の
孔10に押入、固定する方法で吸着具Ａを構成する場合
に、磁極板部2aにある凹欠部３に永久磁石１のゲート口
部４を案内しながら組付けることが可能であって、この
吸着具Ａの組付け時における永久磁石１と強磁性部材２
との相互間に組付けの方向性のずれ等が生じない構成と
してある。

【００１１】次いで図３で示される実施例は、吸着具Ａ
を構成する磁極凸部2bが永久磁石１の孔10の開口縁にま
で延びた構成とされており、これに対応する被吸着具Ｂ
の磁極凸部が無く、被吸着具Ｂを構成する磁極板部7aの
周縁に吸着具Ａの周側に係当する立上り鍔15を構成する
と共に折曲げ脚片12a 、12a を有する脚具12を該磁極板
部7aの面に溶接で止着した構成としてある。尚、先の図
１及び図２にかかる実施例と同一の構成については同一
の番号を付して説明を省略した。

【００１２】図４の実施例は、図５に示す楕円形の永久
磁石１を用いた吸着具Ａと、被吸着具Ｂとを示してい
る。図５に示される実施例の合成樹脂製の永久磁石１
は、Ｌ’に比し、Ｌが長い楕円形をなしている。この実
施例では、吸着具Ａを構成する永久磁石１と、磁極板部
2a及び被吸着具Ｂを構成する磁極板部7aとを楕円形状に
なすと共に脚具16を筒状のカシメタイプとしてある。こ
の脚具16は座盤16a の周縁の巻込み縁内に拡開したパイ
プ16b の拡開縁を挿入、係止した状態としてあり、この
脚具16の座盤16a に夫々の磁極凸部2b及び7bの細径部2
b' 及び7b' を挿通、カシメづけることで脚具16を吸着
具Ａと、被吸着具Ｂに組付けた構成としてある。 尚、
前記図１及び図２の構成と同一部分については同一番号
を付して説明を省略した。

【００１３】図６で示される実施例の合成樹脂製の永久
磁石１は長方板状をなしており、図７は、その典型的な
使用例を示している。この図７で示される実施例は、チ
ェーンあるいはバンド等の係着手段として用いるのに適
しており、吸着具Ａ及び被吸着具Ｂを構成する強磁性部
材２及び７に屈曲部2c及び7cを設け、この屈曲部2c及び
7cに設けた孔17にチェーン18等を挿通して用いる。尚、
前記実施例と同一の構成部分については同一の番号を付
して説明の省略をした。

【００１４】

【効果】本発明にかゝる吸着具は、この吸着具を合成樹
脂製の永久磁石で構成すると共に、永久磁石と共に吸着
具を構成する強磁性部材の側の磁極面に該永久磁石のゲ
ート口部の収まる凹欠部を構成したことから、逐一永久
磁石の成形ゲート口部を切除する必要がなく、又、この
切除面に表面処理を施す必要がない利点を有している。
又、永久磁石にあるゲート口部を、この永久磁石に固着
した強磁性部材に設けたは凹欠部内に収めたことから、
このゲート口部を強磁性部材の組付けられている永久磁
石の磁極面に設けた場合でも、この磁極面と強磁性部材
との間に磁気的なギャップを生ずることがない。更に、
永久磁石にあるゲート口部を、この永久磁石に固着した
強磁性部材に設けた凹欠部内に収めてあることから、永
久磁石と強磁性部材との組付けが、このゲート口部と凹
欠部との嵌め合せによって正確に位置づけられた状態で
なされることゝなり、組付け時の各部品間にずれを生ず
ることがない特長を有している。又、かゝるゲート口部
が強磁性部材の凹欠部に係合されていることから、永久
磁石に圧入、止着されている強磁性部材が回り出したり
することがなく、嵌め合い部の緩み出し等を生ずること
がない利点を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る吸着具の実施例の部品分離斜視図
である。

【図２】同組付け状態を示す断面図である。

【図３】他の実施例の組付け状態を示す断面図である。

【図４】他の実施例の組付け状態を示す断面図である。

【図５】他の実施例の永久磁石を示す斜視図である。

【図６図】更に他の実施例の永久磁石を示す斜視図であ
る。

【図７図】更に他の実施例組付け状態を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

Ａ 吸着具 Ｂ 被吸着具 １ 永久磁石 ２ 強磁性部材 ３ 凹欠部 ４ ゲート口部 ７ 強磁性部材 10、11 孔 12 脚具 13 孔 15 立上り鍔 16 脚具 17 孔 18 チェーン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 板厚方向に磁極面を有し、かつ、板厚方
   向に向けて孔を有すると共に一方の磁極面にゲート口部
   が設けられている環板状の合成樹脂性永久磁石と、 この永久磁石の前記ゲート部が設けられている側の磁極
   面に添装されると共にこのゲート部の収まる凹欠部を有
   する盤状の磁極板部と、この磁極板部に設けられ且つ前
   記永久磁石の孔内に起立し前記永久磁石の孔より稍々拡
   径とされている桿状の磁極凸部とから構成される強磁性
   部材とからなり、 前記永久磁石の孔に前記桿状の磁極凸部を圧入、止着し
   て、この永久磁石と強磁性部材とが一体化されているこ
   とを特徴とする吸着具。