JPH0539265A - 新規物質wk−2955およびその製造法 - Google Patents

新規物質wk−2955およびその製造法

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JPH0539265A
JPH0539265A JP21626691A JP21626691A JPH0539265A JP H0539265 A JPH0539265 A JP H0539265A JP 21626691 A JP21626691 A JP 21626691A JP 21626691 A JP21626691 A JP 21626691A JP H0539265 A JPH0539265 A JP H0539265A
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Yuzuru Iwai
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Yoko Takahashi
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Toshiaki Sunatsuka
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この物質WK−2955は、ポリエーテル系
抗生物質モネンシンに耐性のコクシジウム原虫に対し、
生育阻害活性を有することから、抗コクシジウム剤とし
て有用である。 【構成】 下記式 【化1】 で表される物質WK−2955またはその薬学的に許容
し得る塩、ストレプトミセス・エスピー.WK−295
5を用いる醗酵法による物質WK−2955の製造法ま
たは3−インドールアセトアルデヒドとp−ヒドロキシ
フェニルアセトアルデヒドをアルドール付加反応を用い
る有機合成法による物質WK−2955の製造法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、養鶏産業上、重要な疾
病であるコクシジウム症に対する治療剤ならびに予防剤
として有用な新規物質WK−2955およびその薬学的
に許容し得る塩ならびに上記物質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】コクシジウムは各種の家畜や家禽類に広
く分布しているが、コクシジウムによる被害を最も多く
受ける動物は鶏である。鶏コクシジウム症に対する治療
剤ならびに予防剤として、例えば、モネンシン、サリノ
マイシンなどのポリエーテル系抗生物質、合成剤である
ナイカルバジン等が知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの薬剤
に耐性のコクシジウムが出現し、その効果が弱まつてお
り、これらに代わる新たな抗コクシジウム剤が要望され
ている。
【0004】
【課題を解決するための手段】一般に薬剤の交叉耐性
は、構造の類似あるいは作用機序の類似する場合に成立
し、従来のコクシジウム剤と構造的に、あるいは、作用
機序が相違する化合物はコクシジウム症の治療剤あるい
は予防剤として有用である。
【0005】本発明者らは、従来の薬剤に耐性を獲得し
たコクシジウム原虫に対しても有効な新規薬剤を自然界
から見出すべく種々研究を続け、モネンシン耐性のコク
シジウム原虫を試験生物として、微生物の生産する代謝
産物の中から探索した結果、新たに東京都渋谷区の土壌
から分離したWK−2955菌株の培養液中にコクシジ
ウムに有効な物質が産生されることを見出した。
【0006】次いで、該培養物から抗コクシジウム活性
物質を分離、精製したところ、後記の理化学的性状を有
する物質は、従来全く知られていないことから、本物質
は新規物質であり、式〔I〕の化学構造〔1−(p−ヒ
ドロキシフェニル)−4−(3−インドリル)ブタン−
2,3−ジオール〕をもつことがわかり、物質WK−2
955と称することにした。
【0007】本発明は、かかる知見に基いて完成された
ものであって、式〔I〕で表される物質WK−2955
を提供するものである。
【化1】
【0008】更に、本発明の新規物質WK−2955
は、ストレプトミセス属に属し、かつ、式〔I〕で示さ
れる物質WK−2955の生産能力を有する微生物を培
地に培養し、該培養物中に物質WK−2955を生産蓄
積させ、これを採取する方法によつて製造される。
【0009】本物質WK−2955の物理化学的性状を
述べると次のとおりである。 (1)白色固体物質 (2)分子量および分子式 物質WK−2955のマススペクトル上m/z297に
分子イオンピークが観察され、また高分解マススペクト
ルにより分子式C1819NO3 (実測値:297.13
63、計算値:297.1364)と決定した。
【0010】(3)紫外線吸収スペクトル 図1に示すとおりであり、中性で225nm、280n
mに特徴的な吸収極大を示す。
【0011】(4)核磁気共鳴スペクトル バリアンXL−400、400MHz、NMRスペクト
ロローメーターをそれぞれ用いて、重DMSO(ジメチ
ルスルホキシド)溶液中で測定した1H−NMRスペクト
ルは図2に示すとおりである。また、重メタノール溶液
中で測定した13C−NMRは図3に示すとおりである。
【0012】 (5)呈色反応 硫酸 陽性 バニリン硫酸 陽性 リンモリブデン酸 陽性 ニンヒドリン 陰性
【0013】(6)溶剤に対する溶解性は、メタノー
ル、エタノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシ
ド等に可溶であり、クロロホルム、ヘキサン等に不溶で
ある。
【0014】前記式〔I〕に示された構造は、上記の物
理化学的性状を公知の類似化合物の物理化学的性状と比
較した結果、決定したものである。
【0015】本物質WK−2955を生産するために使
用される菌株としては、一例として本発明者らによつて
東京都渋谷区の土壌から新たに分離された、ストレプト
ミセス・エスピー・WK−2955株が挙げられる。本
菌株の菌学的性状を示すと次の通りである。
【0016】(I)形態的性質 栄養菌糸は、各種寒天培地上でよく発達し、分断は観察
されない。気菌糸は、スターチ無機塩寒天培地や酵母エ
キス・麦芽エキス寒天などで豊富に着生し、ピンク系を
呈する。
【0017】また、顕微鏡下の観察では、気菌糸は直線
状あるいは波状を呈し、20ケ以上の胞子の連鎖が認め
られる。胞子の大きさは、1.0×0.6μmで円柱状
である。胞子の表面は平滑である。菌核、胞子のうおよ
び遊走子は見出されない。
【0018】(II)各種培地上での性状 イー・ビー・シャーリング(E.B.Shirlin
g)とデー・ゴットリーブ(D.Gottlieb)の
方法(インターナショナル・ジャーナル・オブ・システ
ィマティック・バクテリオロジー、16巻、313頁、
1966年)によつて調べた、本生産菌の培養性状を下
記の表に示す。
【0019】色調は、標準色として、カラー・ハーモニ
ー・マニュアル第4版(コンテナー・コーポレーション
・オブ・アメリカ・シカゴ、1958年)を用いて決定
し、色票名とともに括弧内にそのコードを併せて記し
た。
【0020】(III )培養上の諸性状 (1)表1、表2および表3に本菌株の培養所見をそれ
ぞれ示す。本所見は各種培地上で27℃、2週間培養し
た場合の肉眼的に観察した結果である。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】 (IV)生理学的諸性質 (1)メラニン色素の生成 (イ)チロシン寒天
陰性 (ロ)ペプトン・イースト鉄寒天
陰性 (ハ)グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(21
〜23℃) 陰性 (ニ)トリプトン・イースト液
陰性
【0025】 (2)チロシナーゼ反応
陰性 (3)硫化水素の生産
陰性 (4)硝酸塩の還元
陰性 (5)ゼラチンの液化(21〜23℃)
陰性 (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地)
【0026】 (6)スターチの加水分解
陽性 (7)脱脂乳の凝固(36〜37℃)
陰性 (8)脱脂乳のペプトン化(36〜37℃)
陰性 (9)生育温度範囲
15〜37℃
【0027】 (10)炭素源の利用性 (プリーダム・ゴトリーブ寒天培地) 利用する:D−グルコース、D−フラクトース、L−ラムノース、 D−マンニトール、L−アラビノース、i−イノシトール、 ラフィノース、D−キシロース、メリビオース 利用しない:シュークロース (11)セルロースの分解 陰性
【0028】(V)細胞壁組成 細胞壁のジアミノピメリン酸はLL型である。
【0029】以上、本菌の菌学的性状を要約すると次の
とおりである。細胞壁のジアミノピメリン酸はLL型で
ある。気菌糸の形態は直線状あるいは波状で、長い胞子
鎖を形成する。胞子の表面は平滑である。培養状の諸性
質としては、栄養菌糸はピンクあるいはワイン系の色調
を呈し、気菌糸はピンク系の色調を呈する。可溶性色素
は生産しない。
【0030】これらの結果から、本菌株はストレプトミ
セス属に属する菌種であり、プリドハムとトレスナーの
分類(バージズ・マニュアルオブ・デターミネーティブ
・バクテリオロジー、第8版、748〜829頁、19
74年)によるホワイトあるいはレッドシリーズに属す
る菌種であると考えられる。
【0031】上記のWK−2955菌株の形態的特徴、
培養上の諸性状、生理学的性状に基づき、既知菌種との
比較を試みた結果、本菌株をストレプトミセス属に属す
る菌株と同定し、ストレプトミセス・エスピー.WK−
2955と命名した。本菌株は、ストレプトミセス・エ
スピー.WK−2955(Streptomycess
p.WK−2955)として工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託されている。(FERM P−12318
号)。
【0032】本発明においては先ずストレプトミセス属
に属し、物質WK−2955〔I〕を生産する能力を有
する微生物を適当な培地に培養する。培養に使用される
微生物の例としては、上記の菌株が挙げられるが、その
変異株も物質WK−2955を生産する能力を有する限
り、本発明に使用できる。なお、その他の物質WK−2
955生産能力を有するストレプトミセス属に属する菌
株も使用することができる。
【0033】本発明において使用される培地としては、
通常の放線菌の培養に適する炭素源、窒素源および無機
物、さらに必要に応じてその他の栄養物を程よく含有す
る合成培地または天然培地を使用することができる。培
地に使用される炭素源および窒素源は、使用菌株の利用
可能なものならばいずれの種類でもよい。
【0034】すなわち、炭素源としては、たとえばグル
コース、グリセロール、フラクトース、マルトース、マ
ンニトール、キシロース、ガラクトース、リボース、澱
粉またはその加水分解物等の種々の炭水化物が使用でき
る。
【0035】その濃度は、通常培地に対して0.1%〜
5%が望ましい。また、グルコン酸、ピルビン酸、乳
酸、酢酸等の各種有機酸、グリシン、グルタミン酸、ア
ラニン等の各種アミノ酸、さらにはメタノール、エタノ
ール等のアルコール類やノルマルパラフィン等の非芳香
属系炭化水素、あるいは植物もしくは動物性の各種油脂
等も使用可能である。
【0036】また、窒素源としては、例えばアンモニ
ア、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アン
モニウム、硝酸アンモニウム等の各種の無機酸あるいは
有機酸のアンモニウム塩類、尿素、ペプトン、NZ−ア
ミン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスチー
プリカー、カゼイン加水分解物、フイッシュミールある
いはその消化物、大豆粉あるいはその消化物、脱脂大豆
あるいはその消化物、加水分解物などの含窒素有機物
質、さらには、グリシン、グルタミン酸、アラニン等の
各種アミノ酸が使用可能である。
【0037】無機物としては、例えば各種リン酸塩、硫
酸マグネシウム、食塩、さらには微量の重金属塩が使用
される。また、栄養要求性を示す変異株を用いる場合に
は、当然その栄養要求を満足させる物質を培地に加えな
ければならないが、この種の栄養素は、天然物を含む培
地を使用する場合には、とくに添加を必要としない場合
がある。
【0038】培養は、通常振とうまたは通気攪拌培養な
どの好気的条件下で行うのがよい。工業的には深部通気
攪拌培養が好ましい。培地のpHは、たとえば5.0〜
8.0であるが、中性付近で培養を行うのが好ましい。
【0039】培養温度は、例えば20〜40℃で行い得
るが、通常は26〜32℃(好ましくは27℃付近)に
保つのがよい。培養時間は液体培養の場合、通常3〜6
日間培養を行い、培養物中にWK−2955蓄積量が最
大に達したときに、培養を終了すればよい。
【0040】これらの培地組成、培地の液性、培養温
度、攪拌速度、通気量などの培養条件は、使用する菌株
の種類や外部の条件などに応じて好ましい結果が得られ
るように適宜調節、選択される。液体培養において、発
泡があるときは、例えばシリコン脂、植物油、界面活性
剤などの消泡剤が適宜使用できる。
【0041】このようにして得られた培養物中に蓄積さ
れた本物質WK−2955物質は、通常は培養濾液中に
生成される。培養濾液から物質WK−2955を採取す
るには、通常微生物の培養物から代謝物を採取するのに
用いられる手段が単独あるいは任意の順序に組み合わせ
て、または反復して用いられる。
【0042】すなわち、例えば濾過、遠心分離、透析、
濃縮、乾燥、凍結、吸着、脱着、各種溶媒に対する溶解
度の差を利用する例えば沈澱、結晶化、再結晶、転溶、
向流分配方法、クロマトグラフイー等の手段が用いられ
る。
【0043】培養液から物質WK−2955を採取する
には、培養液を酢酸エチル等の非親水性有機溶媒で抽出
するか、あるいは培養濾液あるいは菌体抽出液を活性
炭、アルミナ、多孔性合成高分子樹脂、イオン交換樹脂
等に吸着させ、酢酸エチル等の溶出溶媒で溶出し、得ら
れた抽出液または溶出液を減圧濃縮後、ヘキサン等の有
機溶媒を加えて抽出すればよい。
【0044】得られた粗物質は、さらに脂溶性物質の精
製において通常用いられている公知の方法、例えばシリ
カゲル、アルミナ等の担体を用いるカラムクロマトグラ
フィーにより精製することができる。
【0045】本物質の薬学的に許容し得る塩としては、
例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酢
酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、グルタミン
酸塩、アスパラギン酸塩等の塩を常法によって製造する
ことができる。この種の製法は周知であるため、その説
明は省略する。
【0046】また、本物質WK−2955は、有機合成
的に製造することができる。例えば、その一例として
は、実施例に例示するように、3−インドールエタノー
ルを原料とし、それを酸化して得た3−インドールアセ
トアルデヒドとp−ヒドロキシフェニルアセトアルデヒ
ドをピナコール反応させた後、反応物を精製して目的物
を得ることができる。
【0047】反応条件としては、テトラヒドロフラン
(THF)溶液中、塩化水銀とマグネシウムを混合した
後、塩化チタンを加え、その後、3−インドールアセト
アルデヒドとp−ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド
を加え、0℃で15分間攪拌することにより、WK−2
955が合成される。
【0048】以上に述べた、本物質WK−2955の鶏
に対する抗コクシジウム活性については以下の通りであ
る。
【0049】鶏コクシジウム生育阻害活性 モネンシンに耐性の鶏コクシジウム、エイメリアテネラ
のオーシストを用い、宿主であるハムスター腎由来細胞
(BHK−21細胞)上での生育阻害作用を、大永らの
方法(大永、石井:日本獣医師会雑誌、31,592−
596(1978年))に準じて測定した結果、本物質
WK−2955の生育阻害作用濃度は、0.2〜0.0
2μg/mlであった。
【0050】なお、本物質WK−2955は、宿主細胞
であるハムスター腎由来細胞(BHK−21細胞)に対
してはエイメリア・テネラの生育阻害活性を示す濃度、
0.2〜0.02μg/mlにおいて細胞毒性は認められ
なかった。
【0051】一方、既知鶏コクシジウム生育阻害剤モネ
ンシンについても同様の投与実験を行った。その結果、
モネンシンではコクシジウム生育阻害活性は認められ
ず、0.02μg/ml投与で宿主細胞に毒性が認められ
た。従って、本物質WK−2955は、既知鶏コクシジ
ウム生育阻害剤モネンシンに比して低毒性であるという
ことができる。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明物質WK−295
5は、ポリエーテル系抗生物質モネンシンに耐性のコク
シジウム原虫の生育阻害活性を有することから、コクシ
ジウム病の寛解に導くことが可能となる。また、公知の
抗コクシジウム剤の薬物の効果を著しく持続せしめる併
用剤として用いることもできる。
【0053】実施例 1 500ml容三角フラスコに、グルコース0.1%、ペプ
トン0.3%、酵母エキス0.5%、肉エキス0.3
%、スターチ2.4%、炭酸カルシウム0.4%を含む
液体培地(pH7.0)100mlを分注し、121℃で
15分間、蒸気滅菌した。これらに寒天プレート上に成
育させたWK−2955の菌体を白金耳にて接種し、2
7℃で3日間、振とう培養して種母を得た。
【0054】次いで、30l 容ジャーファーメンター1
基に、きな粉2.0%、グリセロール2.0%、塩化ナ
トリウム0.3%を含む液体培地(pH7.0)20l
を仕込み、121℃で15分間蒸気滅菌した。これに上
記の種母2本分をそれぞれ移植し、攪拌速度200rp
m、通気量15l /分の条件下で、27℃、96時間、
通気攪拌培養した。
【0055】この培養液約20l に酢酸エチル(20l
)を加えて攪拌した後、その懸濁液をシャープレス型
遠心機で遠心分離(10,000rpm)して、酢酸エ
チル抽出層と水層と菌体残渣とに分別した。得られた酢
酸エチル抽出層約20l を、減圧下、濃縮した後、ヘキ
サン(400ml)、メタノール(190ml)、水(10
ml)を加え、攪拌した後、その懸濁液を分液ロートで分
離してヘキサン層とメタノール、水層とに分別した。
【0056】得られたメタノール・水層約200mlを減
圧下、濃縮乾固して乾固物6.44gを得た。これをシ
リカゲルクロマトグラフイー(メルク社製、Art.9
385)を行い、クロロホルム:メタノール(20:
1)で溶出し、粗活性物質270mgを得た。
【0057】次に、セファデックスLH−20(ファル
マシア社製)を担体としたゲル濾過を行い、メタノール
で溶出し、粗活性物質18.0mgを得た。さらに、得ら
れた粗活性物質を高速液体カラムクロマトグラフイーに
より分画した。
【0058】用いた装置は、トリローターV(日本分光
社製)であり、カラムはYMC−PackA−343
(ODS系樹脂、山村化学研究所製)、溶出溶媒は40
%メタノール、60%水、検出はUV280nm、流速
は6ml/分で行った。活性部分を濃縮乾固し、15.0
9mgの無色油状の物質WK−2955を得た。
【0059】実施例 2 インドールを出発原料とする物質WK−2955の合成 3−インドールアセトアルデヒド〔2〕の合成 3−インドールエタノール〔1〕(1.0g)を、ベン
ゼン(20ml)とジメチルスルホキシド(DMSO)
(20ml)に溶解し、ピリジン(0.5ml)、トリフル
ロオロ酢酸(0.25ml)、そして、ジシクロカルボジ
イミド(DCC)(3.83g)をそれぞれ加え、アル
ゴン雰囲気下、室温で18時間攪拌した。
【0060】なお、3−インドールエタノール〔1〕
は、インドールから常法により合成される。反応溶液に
ベンゼン(60ml)を加え、生じた沈澱物を濾過した。
濾液を水(60ml×2回)で洗浄後、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフイー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=
10:1)にて精製し、下記反応式に示される3−イン
ドールアセトアルデヒド〔2〕630mgを得た。収率6
4%。
【0061】
【化2】
【0062】p−ヒドロキシフエニルアセトアルデヒド
〔4〕の合成 p−ヒドロキシフェネチルアルコール〔3〕(1.0
g)をジシクロカルボジイミド(DMSO)(15ml)
に溶解し、トリエチルアミン(6.6ml)を加えた後、
DMSO(15ml)に溶解した三酸化イオウ・ピリジン
錯体(3.45g)をゆつくり滴下した。
【0063】20分後、反応液を水(50ml)にそそ
ぎ、酢酸エチル(50ml×3回)で抽出した。酢酸エチ
ル層は、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフイー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=
8:1)にて精製し、下記反応式に示されるp−ヒドロ
キシフェニルアセトアルデヒド〔4〕(260mg)を得
た。収率26%。
【0064】
【化3】
【0065】1−(p−ヒドロキシフェニル)−4−
(3−インドリル)ブタン−2,3−ジオール(物質W
K−2955)の合成 塩化水銀(60mg)のテトラヒドロフラン(THF)溶
液(2ml)に、70〜80メッシュのマグネシウム(1
92mg)を加え、得られた混合物を室温でアルゴン中1
5分間かきまぜた。混濁した混合物の上澄み液を注射器
でとり、残りのアマルガムをTHF溶液で3回洗浄した
後、THF溶液(5ml)を加え、混合物を−10℃に冷
却し、塩化チタン(IV)438μlを滴下した。
【0066】これらの入った反応フラスコの器壁をTH
F溶液(2ml)で洗浄し、3−インドールアセトアルデ
ヒド(159mg)とp−ヒドロキシフエニルアセトアル
デヒド(408mg)のTHF溶液(4ml)を加えた。こ
のようにして得られた紫色の混合物を0℃で1.5時間
かきまぜた後、飽和炭酸カリウム水溶液0.3mlで処理
し、0℃でさらに15分間かきまぜた。
【0067】この混合物にジエチルエーテルを加え、混
合物をセライトを用いて濾過した。濾液を飽和塩化ナト
リウム水溶液で洗い、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフイー(展開溶媒;クロロホルム:
メタノール=20:1)にて精製し、下記反応式に示さ
れる本発明の目的物質WK−2955を30mg得た。収
率10%。
【0068】
【化4】
【0069】実施例 3 鶏コクシジウム生育阻害に対する影響は、大永らの方法
に準じて動物細胞を宿主とし、コクシジウム原虫を、そ
の細胞内で生育させる系を用いて測定した。鶏コクシジ
ウムは、モネンシンに耐性を有するエイメリア属テネラ
のオーシストを使用した。
【0070】このオーシストは20分間脱穀装置(SH
INAGAWA)にかけた後、鶏胆汁とトリプシンを加
え、41℃で2時間反応させた。反応物を遠心分離によ
り分別し、スポロゾイドを得た。
【0071】また、96穴マイクロプレート(コーニン
グ社製)に、ハムスター腎由来細胞(BHK−21細
胞)をフルシートとなるように生育させ、すでに調整し
たスポロゾイドを物質WK−2955のメタノール溶液
と共に加え、二酸化炭素通気下の培養器(ヒラサワ製作
所製)中で41℃、3日間培養させた。
【0072】3日後、細胞をメタノールで固定させ、ヘ
マトキシリン等により染色を行い、光学顕微鏡によつて
コクシジウムの生育過程の一つの段階であるシゾンドの
有無を観察した。すなわち、スポロゾイドがシゾンドに
まで生育していたものはコクシジウム原虫生育阻害活性
すなわち抗コクシジウム活性が陰性と判定し、シゾンド
を見出せなかつたものは陽性と評価し、BHK−21細
胞が死んだものは毒性とした。
【0073】本物質WK−2955は、0.2〜0.0
2μg/mlの濃度で、コクシジウム原虫生育阻害活性は
陽性であつた。この濃度で宿主細胞(BHK−21)に
対して細胞毒性は認められなかつた。対照としてモネン
シンを用いて同様の投与試験を行つたところ、モネンシ
ン0.02μg/mlの濃度で宿主細胞の毒性が認めら
れ、またコクシジウム原虫生育阻害活性は陰性であつ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本物質WK−2955のメタノール溶液で測定
した紫外線吸収スペクトルである。
【図2】本物質WK−2955の重ジメチルスルホキシ
ド溶液中で測定したプロトン核磁気共鳴スペクトルであ
る。
【図3】本物質WK−2955の重メタノール溶液中で
測定した13C核磁気共鳴スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 洋子 東京都港区白金5丁目9番1号 北里研究 所(社団法人)内 (72)発明者 砂塚 敏明 東京都港区白金5丁目9番1号 北里研究 所(社団法人)内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式 【化1】 で示される新規物質WK−2955またはその薬学的に
    許容し得る塩。
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属に属し、かつ式 【化1】で示される物質WK−2955を生産する能力
    を有する微生物を培地に培養し、該培養物中に上記物質
    WK−2955〔I〕を生産蓄積させ、これを採取する
    ことを特徴とする新規物質WK−2955の製造法。
  3. 【請求項3】 微生物がストレプトミセス・エスピー・
    WK−2955(FERM P−12318)である請
    求項2記載の新規物質WK−2955の製造法。
  4. 【請求項4】 3−インドールアセトアルデヒドとp−
    ヒドロキシフエニルアセトアルデヒドをピナコール反応
    させることを特徴とする下記式 【化1】で示される物質WK−2955またはその薬学
    的に許容し得る塩の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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