JPH053885A - 歯科用インプラント - Google Patents

歯科用インプラント

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Publication number
JPH053885A
JPH053885A JP3277557A JP27755791A JPH053885A JP H053885 A JPH053885 A JP H053885A JP 3277557 A JP3277557 A JP 3277557A JP 27755791 A JP27755791 A JP 27755791A JP H053885 A JPH053885 A JP H053885A
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JP
Japan
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artificial tooth
superelastic
tooth root
dental implant
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JP3277557A
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Inventor
Hiroshi Fukuda
宏 福田
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】衝撃緩和部材を改良することにより、顎骨に過
大な応力が加わることを回避しつつ、必要かつ充分な咬
合力を得ることができ、加えて衝撃緩和部材の交換を必
要としない人工歯根を提供すること。 【構成】顎骨に埋設される人工歯根部と、人工歯を取り
付けるポスト部とを有する歯科用インプラントにおい
て、前記人口歯根部とポスト部との間の少なくとも一部
に超弾性材料からなる応力緩衝部材を設けたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科医療に使用される
人工歯根(歯科用インプラント)の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、歯の脱離および損傷を治療するた
めの補綴手段として、人工歯根のインプラント技術が盛
んに研究されている。この技術は歯の脱離位置、または
損傷した歯を抜歯した位置に、元の天然歯と同様の機能
をもつ人工歯根を嵌植するものである。
【0003】従来の人工歯根としては、チタン若しくは
チタン合金製のものや、アルミナ単結晶製のものが広く
使用されている。また、骨との親和性を高めるために、
骨との接触面にヒドロキシアパタイト(HAP)または
リン酸カルシウム(TCP)を被覆した、チタン若しく
はチタン合金製の人工歯根も提案されている。しかし、
これら従来の人工歯根の殆どは、天然歯の歯根膜に相当
する機能、特に衝撃緩和機能をもたない。
【0004】図12は、このような従来の人工歯根の一
例を示している。同図において、3はチタン製の人工歯
根本体であり、図示のように顎骨1に埋設される。この
人工歯根本体3の上端部には、チタン製の歯肉組織貫通
部材4が嵌合される。10はチタン製のポストコアであ
り、該ポストコアは歯肉組織貫通部材4を貫通し、人工
歯根本体3に形成されたポストコア固定用穴に螺合され
る。ポストコア10の上には、人工歯固定ピン11を介
して人工歯8が固定される。また、人工は固定ピン11
上の空隙部は封入部材12で埋められる。上記のような
応力緩衝機構をもたない歯科用インプラントでは、咬合
時の衝撃が顎骨1に直接作用し、顎骨1を損傷させる場
合がある。
【0005】そこで、応力緩衝効果を得るために、特開
昭58-116353号には、歯冠と外冠との間に衝撃緩衝部材
を設けたものが開示されている。また、特開昭62-38148
号には、歯根受け(人工歯根本体)と歯根本体(ポスト
コア)の間に、シリコーンゴムまたはポリオキシメチレ
ン等の高分子部材を設けることにより、歯冠に加わった
衝撃力を高分子部材による応力緩衝装置で吸収緩和する
歯科用インプラントが開示されている。
【0006】図13にその一例を示す。図示のように、
この例では顎骨1に植設されたチタン製の人工歯根本体
3に、円筒形状を有するチタン製の歯肉組織貫通部材4
が嵌め合わされる。この歯肉組織貫通部材4は、その上
からポリオキシメチレン等の高分子部材5bを螺合する
ことにより固定されている。歯肉組織貫通部材4の上部
中央には、人工歯8を固定するための人工は固定ピン1
1を螺合するための螺穴が設けられている。人工歯8
は、人工歯固定ピン11を介して歯肉組織貫通部材4に
固定される。また、人工歯固定ピン11の上に位置する
人工歯8の空隙は、封入部材12で埋められている。し
かしながら、上記高分子材料からなる衝撃緩和部材を用
いた構造には次のような問題があった。第一の問題は、
高分子材料の変形が大きいため、歯冠の動きが必要以上
に大きく、充分な咬合力が得られないことである。第二
の問題は、高分子材料の劣化や破損を回避するために、
衝撃緩和部材を定期的に交換しなければならないことで
ある。
【0007】これらの問題を解消するために、図14に
示すように、高分子部材をディスク形状の部材5cとす
ることにより、高分子部材5cの劣化を防止した歯科用
インプラントも提案されている。この従来例において、
ディスク状のポリオキシメチレン製高分子部材5cは、
チタン製人工歯根本体3に螺合固定されたチタン製歯肉
組織貫通部材4の上に置かれる。人工歯8は、人工歯固
定ピン11を歯肉組織貫通部材4に螺合することにより
固定される。その結果、ディスク5cは歯肉組織貫通部
材4と人工歯8とでサンドイッチされた状態で固定され
る。
【0008】図14の歯科用インプラントでは、人工歯
8に負荷される咬合力が人工歯固定ピン11で負担され
るから、ディスク状の高分子部材5cに発生する応力を
小さくすることができる。しかし、ディスク状の高分子
部材5cをもつ歯科用インプラントでは、高分子部材5
cを固定する人工歯固定ピン11のネックに応力が集中
するため、人工歯固定ピン11に永久歪みが残り、咬合
位置が狂うという問題をかかえていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、その課題は、衝撃緩和部材を改良
することにより、顎骨に過大な応力が加わることを回避
しつつ、必要かつ充分な咬合力を得ることができ、加え
て衝撃緩和部材の交換を必要としない人工歯根を提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では応力緩衝機構として、人工歯根本体と人
工歯との間の少なくとも一部、または人工歯根本体とポ
スト部との間の少なくとも一部に、超弾性部材からなる
応力緩衝装置または高分子部材および超弾性部材からな
る応力緩衝装置を設けることとした。
【0011】高分子部材および超弾性部材からなる応力
緩衝装置を用いる場合、超弾性部材は人工歯根本体と人
工歯、または人工歯根本体とポスト部とを、高分子部材
を介さず直接接続するように配置される。高分子部材
は、例えば、超弾性部材と歯肉組織貫通部材およびポス
ト部に挟まれた部位に配置されるように設計される。
【0012】本発明における超弾性材料としては、逆変
態温度が口腔内温度よりも若干低い形状記憶合金を用い
ることができる。ここで、口腔内温度よりも若干低い温
度とは、より具体的には35℃以下、好ましくは20〜25℃
の温度をいう。このような形状記憶合金の例としては、
例えば次のようなものが挙げられる。 ・Ni- Ti合金(例えば、48-52 at% Ni,残部T
i) ・Ni- Ti- Cu合金(例えば、49.5 at%Ti,40.5
at%Ni,10 at% Cu) ・Ni- Al合金(例えば、36-38 at% Al,残部N
i) ・Ni- Ti- Co合金(例えば、31-33 at% Ni,5-
15 at%Co,3.5-5 at% Ti,残部Fe) ・Cu- Zn合金(例えば、38.5-41.5 wt% Zn,残部
Cu) ・Ti- Mo- Al合金(例えば、80-87 at% Ti,13
-15 at% Mo,0-5 at% Al) これらのうちで特に好ましいのは、Ni- Ti合金であ
る。
【0013】形状記憶効果を有する合金の応力- 伸び曲
線は、その逆変態温度よりも若干高い温度において、図
1に示したようになる。この応力- 伸び曲線は、形状記
憶合金の一つの特徴である超弾性を示している。即ち、
応力負荷により数%の伸びを与え、弾性領域を越えた後
にも、応力を解除すると歪みは略完全にゼロに戻る。こ
れに対して通常の金属では、図2の応力- 伸び曲線から
明らかなように、弾性変形領域を越えた後は応力を解除
しても歪みはゼロには戻らず、永久歪みが残留する。
【0014】また、本発明における高分子部材として
は、生体為害性が無く、振動減衰率の大きい材料、例え
ば、ポリオキシメチレン、ナイロン6 、ナイロン66、ナ
イロン46、テフロン、シリコーン等が用いられる。
【0015】
【作用】本発明においては、人工歯根本体と人工歯との
間の少なくとも一部、または人工歯根本体とポスト部と
の間の少なくとも一部に設けた超弾性材料からなる衝撃
緩和部材が次のように作用する。
【0016】まず、咬合に際して負荷される応力が前記
超弾性部材の弾性変形領域内である場合は、上部構造物
(人工歯)に負荷された応力が超弾性部材を介して歯根
部でしっかり受け止められるため、十分な咬合力を得る
ことができる。
【0017】一方、咬合に際して負荷される応力が前記
超弾性部材の弾性変形領域を越えた場合、超弾性部材は
塑性変形により大きく変形し、咬合力を吸収して応力の
上昇を回避する。従って、人工歯根本体周囲の顎骨に作
用する応力が顎骨の破壊強度を越えないように、超弾性
部材の降伏応力を設計することによって、過大な咬合力
による顎骨の損傷を防ぐことができる。
【0018】このような弾性領域を越える歪みが与えら
れた後にも、そのときに負荷されている大きな咬合力が
除荷されると、超弾性部材の変形は元に復帰する。従っ
て、通常金属の場合のように永久歪みが残留して咬合位
置が狂うということもない。更に、超弾性材料として用
いられる形状記憶合金は、マルテンサイト双晶の存在に
よって優れた防振効果を有しているから、衝撃を減衰す
る効果も大きい。また、逆変態温度が口腔内温度よりも
低めに設計した形状記憶合金を用いることによって、高
分子材料による応力緩衝部材に比べ、耐久性が向上す
る。加えて、高分子部材と超弾性部材からなる応力緩衝
装置を設けた場合には、次のような作用が得られる。
【0019】まず、衝撃力が負荷された場合には、高分
子部材がその振動を減衰させる働きをするため、顎骨を
損傷するような衝撃力を吸収して顎骨を保護することが
できる。
【0020】また、超弾性部材と高分子部材を組み合わ
せたから、通常の咬合応力は超弾性部材で負担される。
従って、高分子部材には、ポリオキシメチレン等の高分
子部材のみによる従来の応力緩衝機構に比較して、高分
子部材の烈火および破損を引き起こす原因となる大きな
応力が発生しない。このため、長期に亘って高分子部材
を交換する必要がなくなる。
【0021】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0022】図3は、本発明の第一の実施例になる人工
歯根を、患部にインプラントした状態で示す頬舌断面図
である。同図において、1は顎骨(歯槽骨)、2は歯肉
である。顎骨1には、チタン製の人工歯根部3a,4が
植設されている。この実施例の人工歯根部は、人口歯根
本体3aと歯肉組織貫通部材4とからなる。人工歯根本
体3aの骨面下2mmよりも深い部分には、顎骨1と接す
る表面にβ- TCPを主成分としたコーティング膜が設
けられている。該コーティング膜によって、顎骨1に植
設された人工歯根本体3aの早期の骨結合が促進される
ため、人工歯根本体3aは繊維性組織の介在なしに顎骨
1に強固に固定される。実際の術式では、歯根本体3a
を顎骨1に植設した後、歯根本体3a上部に設けられた
ネジ穴をテフロン製の蓋を用いて塞ぎ、骨膜を傷付けな
いように注意しながら、その上を歯肉2で完全に被覆す
る。
【0023】人工歯根本体3aが歯槽骨1との骨結合に
より固定された後、歯肉を開いてテフロン製の蓋を取り
除く。続いて、円筒形状を有するチタン製の歯肉組織貫
通部材4を人工歯根本体3aに嵌め合わせ、若しくは接
着することにより、人工歯根部が形成される。そして、
逆変態温度を20℃〜25℃に設計した48-52 at% Ni/52
-48 at% Ti合金製の超弾性部材7を、その上方から人
工歯根部3,4に螺合させることにより固定する。
【0024】更に、樹脂製の人工歯8を接着したポスト
6を、人工歯固定ビス11を用いてNi- Ti合金製超
弾性部材7の上部に固定した後、人工歯固定ビスの上部
空隙を樹脂製封入部材12で埋める。
【0025】上記実施例のように、人工歯根部3a,4
とポスト6との間に超弾性部材7を配置した構造とする
ことにより、過大な咬合力が負荷された場合にも、歯槽
骨1の損傷を防止できる。即ち、過大な咬合力によって
超弾性部材7は弾性領域を越えて大きく変形し、咬合力
を吸収する。このため、歯槽骨1には該歯槽骨を損傷す
るような応力は加わらない。従って、長期に亘って安定
した人工歯根の骨固定が得られる。更に、Ni- Ti合
金製の超弾性部材7は、POM等の高分子材料による従
来の衝撃緩和部材に比較して劣化、破損が少ないため、
長期に亘って交換の必要がない。
【0026】なお、人工歯根本体3a、歯肉組織貫通部
材4、超弾性部材7、ポスト6の形状および固定方法
は、必ずしも上記のものに限定されない。例えば、図4
に示したように人工歯根本体3a、歯肉組織貫通部材
4、超弾性部材7およびポスト6を、夫々螺合により固
定してもよい。また、図5に示したように、中央に貫通
穴を設けた円盤状の超弾性部材7を、ポスト6に設けた
ビスで歯肉組織貫通部材4に螺合固定するようにした形
状としてもよい。
【0027】更に、上記実施例ではチタン製の人工歯根
部3a,4を用いたが、チタン合金製のもの、或いはジ
ルコニア等のセラミックス製のものを用いることも可能
である。
【0028】図6は、本発明の第二の実施例になる人工
歯根を、患部にインプラントした状態で示す頬舌断面図
である。この実施例は、人工歯根本体3としてブレード
タイプのものを用いた例である。この実施例に置ける人
工歯根本体3は、図3の歯肉組織貫通部材4を兼ねた構
造になっている。図中、図1の実施例と同一の部材等に
は同一の参照番号を付して示した。
【0029】ブレードタイプのチタン製人工歯根本体3
は、上部構造を構築するためのビス穴を有する部位が歯
肉2よりも上にくるように、歯槽骨1内に埋設される。
そして、ブレードタイプの人工歯根本体3が歯槽骨1内
にしっかりと固定された後、上部構造を構築する。即
ち、Ti- Ni製の超弾性部材7を人工歯根本体3に螺
合し、更にその上にポスト6を螺合固定する。続いて、
歯科用セメント9を用いることにより、ブリッジ人工歯
8をポスト6および隣接歯に接着する。
【0030】上記のようなブレード型インプラントの実
施例においても、歯根本体3とポスト6との間に超弾性
部材7を配置した構造とすることにより、図3の実施例
と同様の効果を得ることができる。即ち、過大な咬合力
が負荷された場合には、超弾性部材7の弾性領域を越え
て大きく変形し、咬合力を吸収するため、歯槽骨を損傷
することなく長期間に亘って人工歯根を機能させること
ができる。更に、Ti- Ni製の超弾性部材は劣化、破
損が少ないため、長期間に亘って交換する必要がない利
点が得られる。
【0031】図7は、本発明の第三の実施例になる人工
歯根の要部を示す断面図である。この実施例では、Ni
- Ti製超弾性部材7の表面のうち、口腔内に露出する
部分およびポスト6で覆われる一部表面を純チタン薄膜
13で被覆した構成になっている。Ni- Ti製の超弾
性部材7は、その逆変態温度が口腔内温度よりも若干低
くなるように設計されている。また、純チタン薄膜13
は、超弾性部材7の応力- 歪み特性を阻害しない程度に
薄く設計されている。その他の構成は図3の実施例と同
じである。
【0032】この第三の実施例においても、超弾性部材
7の作用によって、過大な咬合力が作用した場合にも歯
槽骨は損傷を免れる。加えて、超弾性部材7の口腔内に
露出する表面は純チタン薄膜13で被覆されているか
ら、Ni- Ti合金からの金属イオンの溶出を低く抑制
することができ、安全性を向上することができる。更
に、純チタン薄膜13の上端部および下端部は、ポスト
6及び歯肉組織貫通部材4によって夫々固定されている
から、純チタン薄膜13の脱落も防止される。
【0033】図8は、本発明の第四の実施例になる人工
歯根の要部を示す断面図である。この実施例では、Ni
- Ti製超弾性部材7の表面のうち、口腔内に露出する
部分にテフロンコーティング14が施されている。その
他の構成は図3の実施例と同じである。
【0034】この実施例によれば、超弾性部材7の特性
を保持したまま、超弾性部材7からの金属の溶出を更に
小さく抑制することが可能で、安全性を一段と向上させ
ることができる。テフロンコーティング14の代りに、
ポリエチレン、ナイロン等の生体為害性のない高分子材
料からなるコーティングを用いてもよく、この場合にも
同様の効果が得られる。
【0035】なお、第三および第四の実施例では、図3
の人工歯根に純チタン薄膜13またはテフロン等のコー
ティング14を設けたが、同様の手段を図4〜図6の人
工歯根に適用した場合にも同様の効果を得ることができ
る。
【0036】図9は、本発明の第五の実施例を示す頬舌
断面図である。顎骨1には、チタン製人工歯根本体3a
が植設されている。チタン製人工歯根本体3aの顎骨1
と接する表面の骨面下2mmより下部には、β- TCPを
主成分としたコーティング膜が設けられていて、顎骨1
に植設された人口歯根本体3aの早期の骨結合を促進す
る。このため、チタン製人口歯根本体3aは繊維性組織
の介在なしに顎骨1に強固に固定される。実際の術式で
は、チタン製人工歯根本体3aを顎骨1に植設した後、
人工歯根本体3a上部に設けられた上部構造構築のため
のネジ穴をテフロン製の蓋を用いて塞ぎ、骨膜を傷付け
ないように注意しながら、その上を歯肉2で完全に被覆
し、骨結合によりチタン製人工歯根本体3aが顎骨1に
固定されるまで安静にしておく。
【0037】チタン製人工歯根本体3aが顎骨1との骨
結合により固定された後、歯肉を開いてテフロン製の蓋
を取り除き、円筒形状を有するチタン製の歯肉組織貫通
部材4をチタン製人工歯根本体3aに嵌め合わせ、若し
くは接着する。そして、ナイロン66製の高分子部材5お
よびチタン製ポスト部6を介して、逆変態温度を口腔内
温度より若干低く、例えば20℃に設計したNi- Ti合
金製の超弾性部材7を、その上方からチタン製人工歯根
本体3aに螺合させることにより、ナイロン66製高分子
部材5及びチタン製ポスト部6を固定する。
【0038】この実施例では、ナイロン66製高分子部材
5の外径は、歯肉組織貫通部材4の外径と内径に夫々等
しい少なくとも二つ以上の部分から構成されている。歯
肉組織貫通部材4の内径に等しい部分は、歯肉組織貫通
部材4の内面に沿って貫通し、その底面は人工歯根本体
3aに達している。また、ナイロン66製高分子部材5の
中央軸上には、超弾性部材7が貫通する孔が設けられて
いる。更に、上記のようにチタン製人工歯根本体3a上
部に構築されたポスト部6に、人工歯8を歯科用セメン
トで接着する(接着層9)。
【0039】上記実施例のように、チタン製人工歯根本
体3aと、人工歯8が接着されているポスト部6との間
に、超弾性部材7および高分子部材5からなる応力緩衝
装置を配置した構造とすることにより、過大な咬合力が
負荷された場合には、超弾性部材7は弾性領域を越えて
大きく変形し、咬合力を吸収する。このため、顎骨1に
は該顎骨を損傷するような過大な応力は加わらない。従
って、長期に亘って安定した歯科用インプラントの骨固
定が得られる。また、Ni- Ti合金製の超弾性部材7
は、応力負荷により数%の歪みが生じ、弾性領域を越え
た後にも、応力を解除すると歪みは略完全にゼロに戻る
ため、通常の金属、例えば、チタンやチタン合金を用い
たものとは異なり、咬合位置が狂うこともない。
【0040】更に、Ni- Ti合金製の超弾性部材7と
ナイロン66製の高分子部材5とを組み合わせ結果、通常
の咬合応力はNi- Ti合金製の超弾性部材5で負担さ
れる。従って、ナイロン66製の高分子部材5には、従来
のポリオキシメチレン等の高分子部材5bのみの応力緩
衝機構に比べて、高分子部材の烈火や破損を引き起こす
原因となる大きな応力が発生しない。このため、長期に
亘って、高分子部材5を交換する必要がない。
【0041】なお、超弾性部材7と高分子部材5からな
る応力緩衝装置の形状および固定方法は、必ずしも上記
のものに限定されない。例えば、図10に示したよう
に、超弾性部材7にポスト部6を螺合固定し、高分子部
材5の上方から高分子部材5に設けられている貫通孔に
沿って、歯肉組織貫通部材と一体化された人工歯根本体
3bに螺合固定されたものであってもよい。
【0042】また、図11に示したように、上部に人工
歯固定ピン11を螺合固定するためのねじ穴を設けた歯
肉組織貫通部材4bが、人工歯根本体3aに螺合固定さ
れたものであってもよい。この例では、中心軸上に超弾
性部材7が貫通するための孔および台形状のポスト部6
が設けられた高分子部材5aが用いられる。この高分子
部材5aと、そのポスト部6の形状と隙間なく接する下
部形状をもつ人工歯8とを歯肉組織貫通部材4bの上に
載せ、その上方から、人工歯8および高分子部材5aを
挟み込むように、人工歯固定ピン11を歯肉組織貫通部
材4bに螺合固定する。その後、人工歯固定ピン11上
部に存在する人工歯8の空隙が、封入部材12で埋めら
れる。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の人工歯根
によれば必要かつ十分な咬合力が得られる共に、過大な
咬合力が作用負荷された場合にも歯槽骨の損傷を防止で
き、加えて衝撃緩和部材の交換を必要としない等、顕著
な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】形状記憶合金の超弾性を示す応力- 歪み曲線で
ある。
【図2】普通の金属材料の応力- 歪み曲線である。
【図3】本発明の第一の実施例になる人工歯根を、患部
にインプラントした状態で示す頬舌断面図である。
【図4】第1図の実施例の変形例を示す断面図である。
【図5】第1図の実施例の他の変形例を示す断面図であ
る。
【図6】本発明の第二の実施例になる人工歯根を、患部
にインプラントした状態で示す頬舌断面図である
【図7】本発明の第三の実施例になる人工歯根の要部を
示す断面図である。
【図8】本発明の第四の実施例になる人工歯根の要部を
示す断面図である。
【図9】本発明の第五の実施例になる人口歯根を示す断
面図である。
【図10】本発明の第五の実施例の変形例を示す断面図
である。
【図11】本発明の第五の実施例の他の変形例を示す断
面図である。
【図12】従来の人口歯根の一例を示す断面図である。
【図13】従来の人口歯根の他の一例を示す断面図であ
る。
【図14】従来の人口歯根の更に別の一例を示す断面図
である。
【符号の説明】
1…歯槽骨、2…歯肉、3a,3b,3…人工歯根本
体,4,4b…歯肉組織貫通部材,5a,5b,5c…
高分子部材、6…ポスト、7…超弾性部材、8…人工
歯、9…歯科用セメント、11…人工歯固定ビス、12
…樹脂製封入部材、13…純チタン薄膜、14…テフロ
ンコーティング

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顎骨に埋設される人工歯根部と、人工歯
    を取り付けるポスト部とを有する歯科用インプラントに
    おいて、前記人口歯根部とポスト部との間の少なくとも
    一部に超弾性材料からなる応力緩衝部材を設けた歯科用
    インプラント。
  2. 【請求項2】 前記人口歯根部が、人口歯根本体部と、
    歯肉組織貫通部とからなる請求項1に記載の歯科用イン
    プラント。
  3. 【請求項3】 前記応力緩衝部材が、超弾性材料と、こ
    の超弾性材料に少なくとも一部が接触して設けられた高
    分子材料からなる請求項1に記載の歯科用インプラン
    ト。
  4. 【請求項4】 前記超弾性部材と高分子材料からなる応
    力緩衝部材は、前記超弾性部材が前記人工歯根本体部お
    よびポスト部と少なくとも一部が直接接触し、前記高分
    子材料がこの超弾性部材の側面部の少なくとも一部に接
    触するように設けられている請求項2に記載の歯科用イ
    ンプラント。
  5. 【請求項5】 前記高分子材料が、台形状のポスト部を
    形成している請求項2に記載の歯科用インプラント。
  6. 【請求項6】 前記超弾性材料は、逆変態温度が口腔内
    温度より低い形状記憶合金である請求項1、3または4
    に記載の歯科用インプラント。
  7. 【請求項7】 前記形状記憶合金の逆変態温度が35℃以
    下、好ましくは20〜25℃である請求項6に記載の歯科用
    インプラント。
  8. 【請求項8】 前記形状記憶合金が、Ni- Ti合金で
    ある請求項6に記載の歯科用インプラント。
  9. 【請求項9】 前記Ni- Ti合金からなる前記応力緩
    衝部材の少なくとも口腔内に露出する部分が、生体為害
    性の少ない材料で覆われている請求項8に記載の歯科用
    インプラント。
  10. 【請求項10】 前記生体為害性の少ない材料が、純チ
    タン等の生体為害性の少ない金属の薄膜、またはテフロ
    ン、ポリエチレン若しくはナイロン等の生体為害性の少
    ない高分子材料からなる請求項9に記載の歯科用インプ
    ラント。
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