JPH05345474A - 高光沢印刷用紙 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスチックフィルムの表面を改質すること
により、インクセット性に優れ、印刷時の裏移りを防止
できると共に、優れた高光沢性を有し、同時に印刷用紙
として一般的に要求される耐傷性，耐汚性，滑り性等に
も優れた高光沢の印刷用紙、及び基材を選択することに
より、成形も可能な高光沢の透明印刷用紙を提供する。 【構成】 プラスチックフィルムからなる基材の少なく
とも片面、または紙にプラスチックフィルムを貼合した
貼合紙のフィルム面、もしくはプラスチックフィルムに
表層を塗工形成した合成紙の表層面に、アクリル系樹
脂，ゴム系樹脂，スチレン系樹脂，塩化ビニル系樹脂，
酢酸ビニル系樹脂，ポリノルボ−ネン樹脂から選ばれた
バインダ−樹脂と、平均粒径が0.5〜15μｍの球状シリ
カ，球状ガラスビ−ズから選ばれた無機球状粒子とを主
成分とする塗工液を塗布してインク定着層を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オフセット印刷に用い
て有用な高光沢の印刷用紙、例えば、意匠的な効果を要
求されるグリ−ティングカ−ドなどのカ−ド用、ポスタ
−用、各種包装材として、通常の乾性油タイプのインク
で印刷が可能であるばかりでなく、基材に成形可能なフ
ィルムを用いることにより、立体的な印刷物にも利用で
き、且つインクセット性の優れた高光沢を有する印刷用
紙に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】印刷物の光沢は商品価値を左右する重要
な要素である。従って、最近の印刷物は種々の工夫が凝
らされて、高光沢を有するものが多い。このような従来
の印刷物に光沢を与える方法としては、印刷後、ニス加
工，プレス加工，ラミネ−ト加工を施すなど種々の加工
方法があるが、これらの方法は、工程数の増加や必要装
置の増加を招き、時間のロスやコスト高につながるとい
う問題点がある。

【０００３】また、基材の印刷面に透明フィルム層を設
け、この透明フィルム層にインク接着性を付与したもの
もあるが、このものはインクの溶剤の吸収性が悪く、イ
ンクの乾燥硬化が著しく遅いため、重ねた場合、裏移り
が生じる。即ち、従来の印刷後に加工を施さないもので
は、インクの吸収性が悪く、インクの乾燥硬化が著しく
遅いので、通常のインクを用いたオフセット印刷は極め
て困難であったのである。

【０００４】そのため、基材の表面に多孔質な改質層を
形成してインクの吸収性を付与し、印刷を容易にするこ
とも考えられるが、この場合は、改質層の深部へのイン
クの急激な浸透により光沢が失われるし、また、吸油度
の大きいフィラ−、例えば、シリカ，炭酸カルシウム，
珪藻土等を多量に添加し塗工層を設けた場合にも、同様
にインクの急激な浸透により光沢が失われるのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術に鑑み、プラスチックフィルムの表面を改質
することにより、インクセット性に優れ、印刷時の裏移
りを防止できると共に、優れた高光沢性を有し、同時に
印刷用紙として一般的に要求される耐傷性，耐汚性，滑
り性等にも優れた高光沢の印刷用紙、及び基材を選択す
ることにより、成形も可能な高光沢の印刷用紙を提供す
ることを、その課題とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
することを目的としてなされたもので、その構成は、プ
ラスチックフィルムからなる基材の少なくとも片面に、
アクリル系樹脂，ゴム系樹脂，スチレン系樹脂，塩化ビ
ニル系樹脂，酢酸ビニル系樹脂，ポリノルボ−ネン樹脂
から選ばれたバインダ−樹脂と、平均粒径が0.5〜15μ
ｍの球状シリカ，球状ガラスビ−ズから選ばれた無機球
状粒子とを主成分とする塗工液を塗布してインク定着層
を設けたことを特徴とするものである。

【０００７】次に、本発明について詳細に説明する。基
材としてのプラスチックフィルムは、表面が平坦であれ
ば、特に種類は問われないが、ポリプロピレンフィル
ム，ポリスチレンフィルム、又はポリエチレンテレフタ
レ−トフィルムが代表的なものである。また、熱可塑性
のフィルムを用いることにより、印刷後の成形が可能と
なるが、この熱可塑性フィルムとしてはポリスチレン，
塩化ビニル，ポリエチレン及びポリエステルフィルムが
代表的なものとして挙げられる。

【０００８】これらのフィルムは、透明のもの、酸化チ
タン等のフィラ−を含み半透明又は不透明化したもの、
発砲させて多孔質構造としたもの、予め、塗工層との密
着性を向上させたもの、着色したものをも使用してもよ
い。また、フィルムと紙を貼り合わせた貼合紙、フィル
ムに塗工することにより得られた合成紙も基材として使
用できる。

【０００９】インク定着層は、インクの溶剤をよく吸収
するインクセット性のよい樹脂に無機球状粒子を混入し
た塗液を塗布して形成されるが、前記樹脂としては、ア
クリル樹脂，ゴム系樹脂，スチレン系樹脂，酢酸ビニル
−アクリル共重合樹脂，塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
樹脂，酢酸ビニル−エチレン−アクリル共重合樹脂，ポ
リノルボ−ネン樹脂を挙げることができる。ここで、ア
クリル樹脂とは、アクリル酸及びそのエステル，アクリ
ルアミド，アクリロニトリル，メタクリル酸及びそのエ
ステル等の重合体及び共重合体であり、一方、ポリノル
ボ−ネン樹脂とは、例えば、ゼオン化成株式会社から商
品名ノ−ソレックスとして市販されているもので、エチ
レンとシクロペンタジエンから、ディ−ルスアルダ−反
応によりノルボ−ネンを合成し、このノルボ−ネンモノ
マ−を開環重合して得られるものであって、これらの樹
脂は市販のものから適宜選択することが可能である。

【００１０】しかし、これらの樹脂のみでは、通常のオ
フセット印刷時の裏移りを防止するだけのインクセット
性は得られず、これらの樹脂に無機球状粒子を添加する
ことにより裏移りを防止するに十分なインクセット性が
付与される。即ち、上記の樹脂がインクの溶剤をある程
度吸収して、印刷直後のインクの表面の固化が促進さ
れ、また、無機球状粒子の微細な凹凸により、上に重ね
られたフィルムとの付着エネルギ−が下げられるため、
裏移りを防ぐことが可能となる。更に、前記溶剤の浸透
が表面の塗工層の樹脂分に限られて深く浸透することが
なく、また、無機球状粒子の添加量が微量で、インクの
溶剤を急激に吸収することがないため、印刷後の光沢を
損ねることがない。

【００１１】インク定着層を構成するもう一つの成分で
ある上記の無機球状粒子としては、球状シリカと球状ガ
ラスビ−ズがある。これらは、粒径分布が狭く、硬度及
び耐熱性が高いため、多量にフィルムが積まれた状態で
も微細な凹凸を保ち、且つ成形時の高温下でも型とのブ
ロッキングを防ぐのに有効であり、また、耐薬品性にも
優れていて、有機球状粒子よりも効果的である。これら
の添加量は、樹脂固形分100重量部に対し、0.5重量部以
上、10重量部以下、好ましくは１〜５重量部である。0.
5重量部以下では、フィルム同士のブロッキング防止及
び印刷時の裏移り防止効果が発揮できず、10重量部以上
になると、インクの溶剤の吸収，表層の荒れによる艶消
し効果が現れ、印刷後の光沢が損なわれる。透明性を要
求される場合にも、10重量部位上になると透明性が阻害
されるため、１〜５重量部が好ましい。

【００１２】シリカやガラスビ−ズが無定形である場合
には、同量の球状粒子よりも耐ブロッキング性に劣り、
同様な効果を求めるには添加量を増やす必要がある。し
かし、添加量を増やすと、表層の荒れによる艶消し効果
の発現や、透明性が損なわれる等の弊害が生じるので好
ましくない。少量の添加で耐ブロッキング性の効果が大
きい球状粒子が好ましい。

【００１３】無機球状粒子の平均粒径は0.5〜15μｍの
範囲であるが、耐ブロッキング性と透明性, 高光沢性を
同時に要求される場合には、２〜12μｍが好ましい。0.
5μｍより小では、耐ブロッキング性の効果が乏しく、1
5μｍより大では、表層の荒れにより艶消し効果が現
れ、印刷後の光沢が損なわれる。

【００１４】一方、前記の球状粒子の添加量でブロッキ
ング防止効果が不足する場合は、コロイダルシリカを加
えると効果的である。コロイダルシリカは粒子径５×10
^-3μｍから0.1μｍの微小な球状シリカを水に分散させ
たコロイド液である。このコロイダルシリカを加えるこ
とにより、耐熱ブロッキング性や耐湿熱ブロッキング
性，耐傷性，帯電防止性も改善される。ただし、多量に
添加すると、成形時のひび割れの原因となるため、樹脂
固形分100重量部に対し、50重量部以下にする必要があ
る。

【００１５】フィルムの走行性を改良するためには、球
状ポリオレフィン水性ディスパ−ジョンを単独で、また
は前記コロイダルシリカ，球状シリカ，ガラスビ−スと
併用して用いても良い。

【００１６】本発明の高光沢印刷用紙は、プラスチック
フィルム，合成紙等に、手軽に樹脂の塗工により、イン
ク定着層を設けたものであるが、このインク定着層のイ
ンク定着性は極めて良好で、インクセット性，インク乾
燥性，インク固着性のいずれの点にも優れている。即
ち、インク定着層のインク定着成分にインクが強く保持
され、印刷インク中の溶剤成分がインク定着成分に吸収
されて、インクの粘度が十分に上がるため、インクのセ
ットが速く、通常のインクの溶剤として使用する乾性油
の酸化重合による乾燥効果が不完全なまま積み重ねられ
ても裏移りすることがない。従って、印刷後に後加工を
施さなくとも裏移りすることなく、高光沢の印刷物を得
られるのである。尚、基材に成形可能なフィルムを用い
れば、印刷後の成形も可能となり、立体的に形成するこ
とにより、意匠的効果に対する要求にも十分対応でき
る。

【００１７】

【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
尚、文中の部は重量部である。 実施例 １ 厚さ100μｍの純白なポリエチレンテレフタレ−トフィ
ルムからなる基材の片面に、下記処方−１の塗工液を塗
布，乾燥して、塗工厚み10μｍのインク定着層を形成し
た。 処方−１ 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン 100 部 (ビニブラン240 日信化学工業社製) コロイダルシリカ 50 部 (スノ−テックス-20L 日産化学工業社製) シリカマイクロビ−ズ（P-1505 触媒化成工業社製) 2 部 水 50 部 このものにＲＩテスタ−を用いて印刷し、裏移り試験を
行なったところ、インクの裏移りは全く見られなかっ
た。また、印刷物は極めて高光沢であった。尚、上記試
験において、インクは通常のインクを用い、盛量は0.6c
cした。また、裏移り試験は、印刷後直ちに透明なポリ
エステルフィルムを印刷面上に重ね、600g/m²/sec荷重
をかけて一晩放置した後、前記ポリエステルフィルムへ
のインクの付着度合いを見る方法により行なった。

【００１８】実施例 ２ 予め易接着処理を施した厚さ75μｍの透明なポリエステ
ルフィルムの片面に、下記処方−２の塗工液を塗布，乾
燥して、塗工厚み５μｍのインク定着層を形成した。 処方−２ アクリル系ディスパ−ジョン 100 部 （アクロナ−ルYJ-2800D 三菱油化バ−ディッシェ社製) 水 50 部 シリカマイクロビ−ズ（P-1500 触媒化成工業社製) 2 部 このものにＲＩテスタ−を用いて印刷し、実施例１と同
様の裏移り試験を行なったところ、裏移りは全く見られ
なかった。また、印刷物は高光沢であった。

【００１９】比較例 １ 実施例２と同様のフィルムに下記処方−３の塗工液を塗
布，乾燥して、塗工厚み５μｍのインク定着層を形成し
た。 処方−３ アクリル系ディスパ−ジョン 100 部 （アクロナ−ルYJ-2800D 三菱油化バ−ディッシェ社製) 水 50 部 このものにＲＩテスタ−を用いて印刷し、上記と同じ裏
移り試験を行なったところ、全体にインクの裏移りが見
られた。尚、印刷物は高光沢であった。

【００２０】実施例 ３ 厚さ300μｍの無延伸ポリエステルフィルムからなる基
材の片面に、下記処方−４の塗工液を塗布，乾燥して、
塗工厚み10μｍのインク定着層を形成した。 処方−４ アクリルエマルジョン 100 部 （モビニ−ル727 ヘキスト合成社製) コロイダルシリカ 30 部 (スノ−テックス-40 日産化学工業社製) 水 50 部 ガラスビ−ズ 2 部 (東芝マイクロビ−ズMB-20 東芝バロティ−ニ社製） このものにＲＩテスタ−を用いて印刷し、実施例１と同
様の裏移り試験を行なったところ、裏移りは全く見られ
なかった。また、このものを真空成形機を用いて成形し
たところ、高光沢の成形品が得られた。

【００２１】実施例 ４ 厚さ370μｍの合成紙（ピ−チコ−トWGA-370 日清紡績
社製) からなる基材の片面に、下記処方−５の塗工液を
塗布，乾燥して、厚さ５μｍのインク定着層を形成し
た。 処方−５ アクリル−スチレンエマルジョン 100 部 （モビニ−ル728 ヘキスト合成社製) コロイダルシリカ 50 部 （スノ−テックス-C 日産化学工業社製) ガラスビ−ズ 2 部 (東芝マイクロビ−ズMB-10 東芝バロティ−ニ社製） 水 50 部 ポリオレフィン水性ディスパ−ジョン 2 部 （ケミパ−ルW-500 三井石油化学工業社製) このものにＲＩテスタ−を用いて印刷し、実施例１と同
様の裏移り試験を行なったところ、裏移りは全く見られ
なかった。また、このものを真空成形機を用いて成形し
たところ、実施例３と同様に高光沢の成形品が得られ
た。

【００２２】実施例 ５ 厚さ100μｍの透明なポリエステルフィルムの片面に、
下記処方−６の塗工液を塗布，乾燥して、厚さ10μｍの
インク定着層を形成した。 処方−６ 酢酸ビニル−エチレン−アクリル共重合樹脂エマルジョン 100 部 （スミカフレックス900 住友化学工業社製) コロイダルシリカ 120 部 （スノ−テックス-C 日産化学工業社製) シリカマイクロビ−ズ（P-1505触媒化成工業社製） 4 部 このものにＲＩテスタ−を用いて印刷し、実施例１と同
様の裏移り試験を行なったところ、インクセット性が良
く、裏移りはまったく見られなかった。また、印刷物は
高光沢であった。

【００２３】

【発明の効果】本発明は上述のとおりであって、本発明
の印刷用紙は、後加工することなく、印刷後に高光沢を
示し、各種印刷に対してインクセット性が良く、オフセ
ット印刷の品質及び作業性が著しく改善された。従っ
て、例えば、意匠的効果の要求されるグリ−ティングカ
−ドなどの各種カ−ド類、ポスタ−類、各種包装材とし
ても好適であり、また、基材のフィルムの選択により成
形も可能で、立体的な印刷物にすることにより、意匠的
効果を一層高めることができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチックフィルムからなる基材の少
   なくとも片面、または紙にプラスチックフィルムを貼合
   した貼合紙のフィルム面、もしくはプラスチックフィル
   ムに表層を塗工形成した合成紙の表層面に、アクリル系
   樹脂，ゴム系樹脂，スチレン系樹脂，塩化ビニル系樹
   脂，酢酸ビニル系樹脂，ポリノルボ−ネン樹脂から選ば
   れたバインダ−樹脂と、平均粒径が0.5〜15μｍの球状
   シリカ，球状ガラスビ−ズから選ばれた無機球状粒子と
   を主成分とする塗工液を塗布してインク定着層を設けた
   ことを特徴とする高光沢印刷用紙。
2. 【請求項２】 インク定着層が透明である請求項１に記
   載の高光沢印刷用紙。