JPH0532809B2 - - Google Patents

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JPH0532809B2
JPH0532809B2 JP6463085A JP6463085A JPH0532809B2 JP H0532809 B2 JPH0532809 B2 JP H0532809B2 JP 6463085 A JP6463085 A JP 6463085A JP 6463085 A JP6463085 A JP 6463085A JP H0532809 B2 JPH0532809 B2 JP H0532809B2
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JP
Japan
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layer
magnetization
crystal layer
small
thin film
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JP6463085A
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Inventor
Yasuo Ishizaka
Noboru Watanabe
Kazuo Kimura
Eiichiro Imaoka
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Priority to US06/843,757 priority patent/US4798765A/en
Priority to DE19863610432 priority patent/DE3610432A1/de
Priority to GB8607871A priority patent/GB2175014B/en
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Publication of JPH0532809B2 publication Critical patent/JPH0532809B2/ja
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  • Thin Magnetic Films (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Recording Or Reproducing By Magnetic Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は垂直磁気記録媒体に係り、特に記録再
生出力を増大し得る垂直磁気記録媒体に関する。
従来の技術 一般に、磁気ヘツドにより磁気記録媒体に記
録、再生を行なうには、磁気ヘツドにより磁気記
録媒体の磁性層にその媒体長手方向(面内方向)
の磁化を行なわせて記録し、これを再生するもの
が汎用されている。しかるに、これによれば記録
が高密度になるに従つて減磁界が大きくなり減磁
作用が高密度記録に悪影響を及ぼすことが知られ
ている。そこで近年上記悪影響を解消するものと
して、磁気記録媒体の磁性層に垂直方向に磁化を
行なう垂直磁気記録方式が提案されている。これ
によれば記録密度を向上させるに従い減磁界が小
さくなり理論的には残留磁化の減少がない良好な
高密度記録を行なうことができる。
従来この垂直磁気記録方式に用いる垂直磁気記
録媒体としては、ベースフイルム上にCo−Cr膜
をスパツタリングにより被膜形成したものがあつ
た。周知の如く、Co−Cr膜は比較的高い飽和磁
化(Ms)を有し、かつ膜面に対し垂直な磁化容
易軸を持つ(すなわち膜面に対し垂直方向の抗磁
力Hc⊥が大である)ため垂直磁気記録媒体とし
ては極めて有望な材質であることが知られてい
る。しかるにCo−Cr膜はその磁化容易軸がCrの
添加によりCoの磁化容易軸(最密六方晶のC軸)
が垂直に近い配向を有しているものの十分には垂
直方向に配向しておらず強い垂直磁気異方性を得
ることができなかつた。このため従来、Co−Cr
にニオブ(Nb)及びタンタル(Ta)等の第三元
素を添加することによりCoの磁化容易軸を垂直
方向に強く配向させた構成の垂直磁気記録媒体が
あつた。またCo−Cr膜とベースフイルムとの間
に、いわゆる裏打ち層である高透磁率層(すなわ
ち抗磁力Hcが小なる層。例えばNi−Fe)を別個
形成して二層構造とし高透磁率層内で広がつてい
る磁束を所定磁気記録位置にて磁気ヘツドの磁極
に向け集中させて吸い込ませることにより分布が
鋭くかつ強い垂直磁化を行ない得る構成の垂直磁
気記録媒体があつた。
発明が解決しようとする問題点 上記従来の垂直磁気記録媒体では、Coの磁化
容易軸を強く垂直方向へ配向させるために、Co
にCr及びNb、Ta等を添加していた。しかるに
Cr及びNb、Taの添加によりCoの磁化容易軸は
強く垂直方向へ配向するものの、強磁性体である
Coに非磁性体であるCr及びNb、Taを添加する
ことにより垂直磁気記録媒体としての飽和磁化
Msが低下してしまい高い再生出力を得ることが
できないという問題点があつた。またCo−Cr膜
に加え高透磁率層を裏打ち層として形成された二
層構造の垂直磁気記録媒体の場合、Co−Cr膜の
抗磁力Hc(700Oe以上)に対して高透磁率層の抗
磁力Hcは極めて小(10Oe以下)となつていたた
め、衝撃性のバルクハウゼンノイズが発生すると
いう問題点があつた。これに加えて、このバルク
ハウゼンノイズを防止するには少なくとも10Oe
以上の抗磁力を有することが必要となるが、この
条件を満たしかつ裏打ち層としての機能を有する
適当な素材が無いという問題点もあつた。
そこで本発明では、コバルト、クロムにニオブ
及びタンタルのうち少なくとも一方を加えてなる
磁性材をコーテイングした際、磁性層が抗磁力の
異なる二層に分かれて形成されることに注目し、
この二層の内抗磁力の小なる小粒径結晶層を垂直
磁気記録に積極的に利用することにより上記問題
点を解決した垂直磁気記録媒体を提供することを
目的とする。
問題点を解決するための手段及び作用 上記問題点を解決するために本発明では、コバ
ルト及びクロムに、ニオブ及びタンタルのうち少
なくとも一方を添加してなる磁性材によりベース
上に低抗磁力の、原点近傍で急激に立ち上がる曲
線で表わされる面内M−Hヒステリシス特性であ
る磁化ジヤンプを有する層を形成すると共に、該
層上に、該層のニオブ又はタンタルの添加量より
小なる量で、該磁化ジヤンプを生じない量のニオ
ブ及びタンタルのうち少なくとも一方をコバルト
及びクロムに添加した磁性材よりなる垂直磁化層
を形成した。
上記各手段を講ずることにより、垂直磁化され
磁化ジヤンプを生じない垂直磁化層は高い飽和磁
化Msを維持し得、かつ低い抗磁力で磁化ジヤン
プを有する層はいわゆる裏打ち層としての機能を
奏する。
実施例 本発明になる垂直磁気記録媒体(以下単に記録
媒体という)は、まずベースとなるポリイミド基
板上にコバルト(Co)、クロム(Cr)にニオブ
(Nb)及びタンタル(Ta)のうち少なくとも一
方を加えた磁性材をターゲツトとしてスパツタリ
ングし、続いてその上にCo及びCrに、ニオブ
(Nb)及びタンタル(Ta)のうち少なくとも一
方を上記添加量より小量加えた磁性材をターゲツ
トとしてスパツタリングすることにより得られ
る。
従来より金属等(例えばCo−Cr合金)をベー
ス上にスパツタリングした際、被膜形成された薄
膜はその膜面に垂直方向に対して同一結晶構造を
形成するのではなく、ベース近傍の極めて薄い部
分にまず小粒径の第一の結晶層を形成し、その上
部に続いて大粒径の第二の結晶層が形成されるこ
とが各種の実験(例えば走査型電子顕微鏡による
写真撮影)により明らかになつてきている
(Edward R.Wuori and Professor J.H.Judy:
“INITIAL LAYER EFFECT IN CO−CR
FILMS”、IEEE Trans.、VOL.MAG−20、No.
5、SEPTEMBER 1984、P774〜P775または
William G.Haines:“VSM PROFILING OF
CoCr FILMS:A NEW ANALYTICAL
TECHNIQUE”IEEE Trans.、VOL、MAG−
20、No.5、SEPTEMBER 1984、P812〜P814)。
本発明者は上記観点に注目しCo−Cr合金を基
とし、またこれに第三元素を添加した金属を各種
スパツタリングし、形成される小粒径の結晶層と
その上部に形成された大粒径の結晶層との物理的
性質を測定した結果、第三元素としてNbまたは
Taを添加した場合、小粒径結晶層の抗磁力が大
粒径結晶層よりも非常に小でありかつ垂直方向と
面内方向の抗磁力には極端な差が生じてないこと
がわかつた。本発明ではこの低抗磁力を有すると
共に垂直方向及び面内方向の抗磁力差の少ない小
粒径結晶層を等方性層として用い、この小粒径結
晶層上にNb及びTaの添加量の少ない高い飽和磁
化Msを有すると共に磁化容易軸が強く垂直方向
へ配向したCo−Cr−Nb薄膜またはCo−Cr−Ta
薄膜を形成し、これを垂直磁性層として用いるこ
とを特徴とする。
以下本発明者が行なつたスパツタリングにより
形成されたCo、Cr、Nb及びTaのうち少なくと
も一方を添加してなる磁性材の小粒径結晶層と、
大粒径結晶層の抗磁力を測定した実験結果を詳述
する。Co−Cr薄膜、Co−Cr−Nb薄膜及びCo−
Cr−Ta薄膜をスパツタリングするに際し、スパ
ツタリング条件は下記の如く設定した(Nbまた
はTaを添加した各場合においてスパツタリング
条件は共に等しく設定した)。
*スパツタ装置 RFマグネトロンスパツタ装置 *スパツタリング方法 連続スパツタリング。予め予備排気圧1×
×10-6Torrまで排気した後Arガスを導入
し1×10-3Torrとした *ベース ポリイミド(厚さ20μm) *ターゲツト Co−Cr合金を使用し、Nb及びTaの添加
は正方形状のNb板及びTa板を所要枚数
Co−Cr合金上に配置することにより行な
つた *ターゲツト基板間距離 110mm なお薄膜の磁気特性は振動試料型磁力計(理研
電子製、以下VSMと略称する)にて、薄膜の組
成はエネルギー分散型マイクロアナライザ
(KEVEX社製、以下EDXと略称する)にて、ま
た結晶配向性はX線回折装置(理学電機製)にて
夫々測定した。
Co−Crに第三元素としてNbを添加(2〜10at
%添加範囲において同一現象が生ずる)し、ポリ
イミドベースに0.2μmの膜厚でスパツタリングし
た記録媒体に15KOeの磁界を印加した場合の面
内方向のヒステリシス曲線を第1図に示す。同図
より面内方向の磁界がゼロ近傍部分でヒステリシ
ス曲線は急激に変則的に立ち上がり(図中矢印A
で示す)、いわゆる磁化ジヤンプが生じているこ
とがわかる。スパツタリングされたCo−Cr−Nb
薄膜がスパツタリング時に常に均一の結晶成長を
行なつたと仮定した場合、第1図に示された磁化
ジヤンプは生ずるはずはなく、これよりCo−Cr
−Nb薄膜内に磁気的性質の異なる複数の結晶層
が存在することが推測される。
続いて第1図で示した実験条件と同一条件にて
Co−Cr−Nbをポリイミドベースに0.05μmの膜厚
でスパツタリングした記録媒体に15KOeの磁界
を印加した場合の面内方向のヒステリシス曲線を
第2図に示す。同図においては第1図に見られた
ようなヒステリシス曲線の磁化ジヤンプは生じて
おらず0.05μm程度の膜厚におけるCo−Cr−Nb薄
膜は略均一な結晶となつていることが理解され
る。これに加えて同図より0.05μm程度の膜厚に
おける抗磁力Hcに注目するに、抗磁力Hcは
極めて小なる値となつており面内方向に対する透
磁率が大であることが理解される。上記結果より
スパツタリングによりベース近傍位置にはじめに
成長する初期値は抗磁力Hcが小であり、この
初期層は走査型電子顕微鏡写真で確かめられてい
る(前記資料参照)ベース近傍位置に成長する小
粒径の結晶層であると考えられる。また初期層の
上方に成長する層は、初期層の抗磁力Hcより
大なる抗磁力Hcを有し、この層は同じく走査
型電子顕微鏡写真で確かめられている大粒径の結
晶層であると考えられる。
小粒径結晶層と大粒径結晶層が併存するCo−
Cr−Nb薄膜において磁化ジヤンプが生ずる理由
を第3図から第5図を用いて以下述べる。なお後
述する如く、磁化ジヤンプは組成比率及びスパツ
タリング条件に関し全てのCo−Cr−Nb薄膜に対
して発生するものではない。所定の条件下におい
てCo−Cr−Nb薄膜をスパツタリングにより形成
しこの薄膜のヒステリシス曲線を測定により描く
と第3図に示す如く磁化ジヤンプが現われたヒス
テリシス曲線となる。また小粒径結晶層のみから
なるヒステリシス曲線は膜厚寸法を小としたスパ
ツタリング(約0.075μm以下、これについては後
述する)を行ない、これを測定することにより得
ることができる(第4図に示す)。また大粒径結
晶層は均一結晶構造を有していると考えられ、か
つ第3図に示すヒステリシス曲線は小粒径結晶層
のヒステリシス曲線と大粒径結晶層のヒステリシ
ス曲線を合成したものと考えられるため第5図に
示す如く抗磁力Hcが小粒径結晶層よりも大で
あり、磁化ジヤンプのない滑らかなヒステリシス
曲線を形成すると考えられる。すなわち第3図に
おて示されている磁化ジヤンプの存在は、磁気特
性の異なる二層が同一の薄膜内に形成されている
ことを示しており、従つて第1図に示されたCo
−Cr−Nb薄膜にも磁気特性の異なる二層が形成
されていることが理解できる。なお大粒径結晶層
の抗磁力は、小粒径結晶層と大粒径結晶層が併存
するCo−Cr−Nb薄膜のヒステリシス曲線から小
粒径結晶層のみのCo−Cr−Nb薄膜のヒステリシ
ス曲線を差引いて得られるヒステリシス曲線より
求めることができる。上記各実験結果によりCo
−Cr−Nb薄膜のヒステリシス曲線の磁化ジヤン
プが生じている時、磁気特性の異なる二層が形成
されていることが証明されたことになる。
続いてCo−Cr−Nb薄膜のベース上へのスパツ
タリングの際形成される上記二層の夫々の磁気的
性質をCo−Cr−Nb薄膜の厚さ寸法に関連させつ
つ第6図を用いて以下説明する。第6図はCo−
Cr−Nb薄膜の膜厚寸法をスパツタリング時間を
変えることにより制御し、各膜厚寸法における面
内方向の抗磁力Hc、垂直方向の抗磁力Hc⊥、
磁化ジヤンプ量σjを夫々描いたものである。
まず面内方向の抗磁力Hcに注目するに、膜
厚寸法が0.08μm以下においては極めて小なる値
(150Oe以下)となつており、面内方向に対する
透磁率は高いと考えられる。これに加え垂直方向
の抗磁力Hc⊥と面内方向の抗磁力Hcの値を比
較するに相方とも150Oe以下となつておりその差
は小で、いわゆる等方性を有した層となつてい
る。また膜厚寸法が大となつても抗磁力Hcは
大きく変化するようなことはない。また磁化ジヤ
ンプ量σjに注目すると、磁化ジヤンプ量は膜厚寸
法が0.075μmにて急激に立ち上がり0.075μm以上
の膜厚においては滑らかな下に凸の放物線形状を
描く。更に垂直方向の抗磁力Hc⊥に注目すると、
抗磁力Hc⊥は膜厚寸法0.05μm〜0.1μmで急激に
立ち上がり0.1μm以上の膜厚寸法では900Oe以上
の高い抗磁力を示す。これらの結果より小粒径結
晶層と大粒径結晶層の境は略0.075μmの膜厚寸法
のところにあり、膜厚寸法が0.075μm以下の小粒
径結晶層は面内方向及び垂直方向に対する抗磁力
Hc、Hc⊥が低い、いわゆる低抗磁力層となつ
ており、また膜厚寸法が0.075μm以上の大粒径結
晶層は面内方向の抗磁力Hcは低いものの垂直
方向に対する抗磁力Hc⊥は非常に高い値を有す
る、いわゆる高抗磁力層となつており垂直磁気記
録に適した層となつている。更に磁化ジヤンプが
生じない膜厚寸法(0.075μm以下)においては、
面内方向及び垂直方向に対する抗磁力Hc、Hc
⊥は低く、これより大なる膜厚寸法(0.075μm以
上)においては垂直方向に対する抗磁力Hc⊥が
急増する。これによつても磁化ジヤンプが生じて
いる場合、Co−Cr−Nb薄膜に磁気特性の異なる
二層が形成されていることが推測される。
次にCo−Crに第三元素としてTaを添加(1〜
10at%添加範囲において同一現象が生ずる)し、
上記したNbを添加した場合と同一の実験を行な
つた結果を第7図に示す。第7図はCo−Cr−Ta
薄膜の膜厚寸法をスパツタリング時間を変えるこ
とにより制御し、各膜厚寸法における面内方向の
抗磁力Hc、垂直方向の抗磁力Hc⊥、磁化ジヤ
ンプ量σjを夫々描いたものである。同図よりCo
−CrにTaを添加した場合も、Co−CrにNbを添
加した場合と略同様な結果が得られ、小粒径結晶
層と大粒径結晶層の境は略0.075μmの膜厚寸法の
ところにあり、膜厚寸法が0.075μm以下の小粒径
結晶層は面内方向及び垂直方向に対する抗磁力
Hc、Hc⊥が低い(Hc、Hc⊥共に170Oe以
下)、いわゆる低抗磁力層となつている。これに
加えて垂直方向及び面内方向抗磁力Hc⊥、Hc
の値の差は小でいわゆる等方性を有した層とな
つている。また膜厚寸法が0.075μm以上の大粒径
結晶層は面内方向の抗磁力Hcは低いものの垂
直方向に対する抗磁力Hc⊥は非常に高い値
(750Oe以上)となつている。
なお上記実験で注意すべきことは、スパツタリ
ング条件及びNb、Taの添加量を前記した値
(Nb:2〜10at%、Ta:1〜10at%)より変え
た場合磁化ジヤンプは生じないが、しかるに磁化
ジヤンプが生じないCo−Cr−Nb薄膜、Co−Cr
−Ta薄膜及びCo−Cr薄膜においても小粒径結晶
層及び大粒径結晶層が形成されていることである
(前記資料参照)。磁化ジヤンプが生じないCo−
Cr−Nb薄膜のヒステリシス曲線の一例を第8図
に示す。第8図Aは小粒径結晶層及び大粒径結晶
層を含む面内方向のヒステリシス曲線であり、第
8図Bは小粒径結晶層のみの面内方向のヒステリ
シス曲線、第8図Cは大粒径結晶層のみの面内方
向のヒステリシス曲線である。各図より小粒径結
晶層の面内方向の残留磁化MrBは大粒径結晶層
の残留磁化MrCよりも大であるため、両結晶層
を含む残留磁化MrAは大粒径結晶層の残留磁化
MrCのみの時よりも不利となり異方性磁界Hk
が小さくなる。また小粒径結晶層は配向が悪いこ
と(△θ50が大)が知られており、また面内方向
の抗磁力Hcも大で垂直磁気記録には適さない。
ここで上記の如く小粒径結晶層と大粒径結晶層
を有するCo−Cr−Nb薄膜及びCo−Cr−Ta薄膜
を垂直磁気記録媒体として考えた場合、Co−Cr
−Nb薄膜及びCo−Cr−Ta薄膜にその膜面に対
し垂直方向に膜厚の全てに亘つて垂直磁化を行な
おうとした場合、小粒径結晶層の存在は垂直磁化
に対し極めて不利な要因となると従来考えられて
いた(磁化ジヤンプが生じている場合及び磁化ジ
ヤンプが生じていない場合の相方において不利な
要因となる)。すなわち磁化ジヤンプが生じてい
る場合の小粒径結晶層は、面内方向及び垂直方向
に対する抗磁力Hc、Hc⊥が共に極めて低く
(170Oe以下)、この層においては垂直磁化はほと
んどされないと考えられる。また磁化ジヤンプが
生じていない場合の小粒径結晶層においても、面
内方向の抗磁力Hcは磁化ジヤンプの生じてい
る場合の抗磁力Hcよりは大であるが垂直方向
の抗磁力Hc⊥は垂直磁気記録を実現し得る程の
抗磁力はなくやはり良好な垂直磁化は行なわれな
いと考えられる。従つて膜面に対して垂直方向に
磁化を行なつても小粒径結晶層における垂直磁化
はほとんど行なわれず、磁性膜全体としての垂直
磁化効率が低下してしまう。この影響はリングコ
アヘツドのように磁束の面内成分を多く含む磁気
ヘツドにおいては顕著である。
しかるに本発明における小粒径結晶層の磁気特
性は、面内方向に対する抗磁力Hcが小であり
比較的高い透磁率及び磁気的な等方性を有してお
り、これは従来Co−Cr薄膜とベース間に配設し
た裏打ち層と似た特性を有している。つまりCo
−Cr−Nb薄膜及びCo−Cr−Ta薄膜において、
低抗磁力Hcを有する小粒径結晶層をいわゆる
裏打ち層である高透磁率層として用いることが可
能であると考えられる。
従つてCo−Cr−Nb薄膜及びCo−Cr−Ta薄膜
の単一膜がスパツタリングされる際形成される小
粒径結晶層を裏打ち層として機能させ、また大粒
径結晶層を垂直磁化層として機能させることが考
えられる。しかるにCo−Cr−Nb薄膜及びCo−
Cr−Ta薄膜の単一膜では、Co−Crに添加される
Nb、Taの添加量は磁化ジヤンプが発生する所定
量に規制されてしまう。また強磁性材であるCo
に非磁性材であるNb、Taを添加することにより
飽和磁化Msが低下してしまい高出力の垂直磁気
記録が行なえない。
この点に鑑み本発明では上記磁化ジヤンプが生
ずる条件下で、まずベース上にCo−Cr−Nb薄膜
またはCo−Cr−Ta薄膜の小粒径結晶層を形成さ
せ(約0.1μm以下)、その上にNb及びTaの添加
量を磁化ジヤンプの生ずる条件値より小として飽
和磁化Msを大としたCo−Cr−Nb薄膜またはCo
−Cr−Ta薄膜をスパツタリングし垂直磁気記録
に直接寄与する大粒径結晶層を形成した。上記構
成の垂直磁気記録媒体において小粒径結晶層とし
てCo−Cr−Nb薄膜を用いた場合の各種磁気特性
をNbの添加量を小としたCo−Cr−Nb単層薄膜
及び磁化ジヤンプの生じているCo−Cr−Nb単層
薄膜と比較して第9図に、この垂直磁気記録媒体
にセンダスト(登録商標)よりなるリングコアヘ
ツドで磁気記録再生した時の各薄膜の記録波長と
再生出力の関係を第10図に、また小粒径結晶層
としてCo−Cr−Ta薄膜を用いた場合の各種磁気
特性をTaの添加量を小としたCo−Cr−Ta単層
薄膜及び磁化ジヤンプの生じているCo−Cr−Ta
単層薄膜と比較して第11図に夫々示す。第9図
及び第11図より磁化ジヤンプの生ずる条件下で
形成したCo−Cr−Nb及びCo−Cr−Ta(以下Co
−Cr−NbとCo−Cr−Taを総称する場合Co−Cr
−Nb(Ta)と示す)の小粒径結晶層上に磁化ジ
ヤンプの生ずる条件値より小なる量のNbまたTa
を添加したCo−Cr−Nb(Ta)の大粒径結晶層を
形成させた垂直磁気記録媒体(以下二層媒体とい
う)は、磁化ジヤンプの生じているCo−Cr−Nb
(Ta)薄膜の各単層垂直磁気記録媒体よりも飽和
磁化Msが大となつており、かつ垂直方向の抗磁
力Hc⊥も十分に高い値となつており垂直磁化に
適した特性を有している。一方、第10図に示さ
れる如く、再生出力と記録波長特性は磁化ジヤン
プの生じているCo−Cr−Nb薄膜の垂直磁気記録
媒体(以下磁化ジヤンプ単層媒体という)及び
Nbの添加量を小としたCo−Cr−Nb薄膜の垂直
磁気記録媒体(以下低添加単層媒体と略称する)
に比較して二層媒体は全ての記録波長領域で高い
値を示しており強い再生出力が得られる。
特に短波長領域(記録波長が1μm〜0.2μmの領
域)においては、磁化ジヤンプ単層媒体及び低添
加単層媒体もその再生出力を増大させているもの
の二層媒体は更に高い効率で再生出力が増大して
いる。従つて二層媒体は特に短波長領域での垂直
磁気記録再生に適しているといえる。なおCo−
Cr−Taの二層媒体でも第13図に示す如く同様
の結果が得られた。
上記現象の生ずる理由を第12図を用いて以下
推論する。ポリイミド等のベース1上に磁化ジヤ
ンプの生ずる条件を満足させてCo−Cr−Nb
(Ta)磁性材を約0.1μmの膜厚寸法でスパツタリ
ングすると、前述の如く被膜されたCo−Cr−Nb
(Ta)薄膜は略その全体において小粒径結晶層2
が形成されているものと考えられる。この小粒径
結晶層2は面内方向の抗磁力Hcが小で、かつ
垂直方向の抗磁力Hc⊥との差が少ない等方性を
有した層となつている。従つて小粒径結晶層2に
いわゆる裏打ち層と略同様な機能を行なわせるこ
とができる。
小粒径結晶層2の上部には、Nb及びTaの添加
量を磁化ジヤンプの生ずる条件値より小とした
Co−Cr−Nb(Ta)磁性材が約0.1μmの膜厚寸法
でスパツタリングされる。小粒径結晶層2より
Nb及びTaの添加量の小なるCo−Cr−Nb(Ta)
磁性材が小粒径結晶層2上にスパツタリングされ
る際、両者は結晶構造及び組成において似た特性
を有しているため両磁性材の境界部分において
Nb及びTaの添加量の小なるCo−Cr−Nb(Ta)
磁性材の小粒径結晶層はほとんど発生せず(発生
したとしても垂直磁気記録特性に影響を与える厚
さまで到らないと考えられる)、高い飽和磁化Ms
を有すると共に垂直方向に強い抗磁力を有し、垂
直磁化に直接寄与する大粒径結晶層3が直ちに成
長すると考えられる。また大粒径結晶層3を形成
するCo−Cr−Nb(Ta)薄膜において、Nb及び
Taの添加量は小粒径結晶層2の如く磁化ジヤン
プが生ずる条件値に規制されることなく任意に選
定することができる。前述の如くNb及びTaの添
加によりCoの飽和磁化Msは低下するものの、Co
の磁化容易軸は垂直方向に強く配向する。従つて
Nb及びTaの添加量を適宜選定することにより、
Coの磁化容易軸を強く垂直方向に配向させつつ
高飽和磁化Msを維持することができる。小粒径
結晶層2上に形成されるCo−Cr−Nb(Ta)薄膜
のNb及びTaの添加量は上記適宜量に選定されて
いる。よつて二層媒体4に摺接してリングコア状
の磁気ヘツド5から放たれた磁束線は大粒径結晶
層3を貫通して小粒径結晶層2に到り、低抗磁力
でかつ等方性を有する小粒径結晶層2内で磁束は
面内方向に進行し、磁気ヘツド5の磁極部分で急
激に磁束が吸い込まれることにより大粒径結晶層
3に垂直磁化がされると考えられる。よつて磁束
が形成する磁気ループは第12図に矢印で示す如
く、馬蹄形状となり所定垂直磁気記録位置におい
て高い飽和磁化Msを有する大粒径結晶層3に磁
束が集中して鋭く貫通するため、大粒径結晶層3
には残留磁化の大なる垂直磁化が行なわれる。こ
れに加え、Nb及びTaを添加することにより記録
媒体の熱膨張率を調整できることが知られてお
り、よつてNb及びTaの添加量を適宜選定するこ
とが可能となることにより熱膨張率を調整し得、
カールの少ない記録媒体を容易に製造することが
できる。また小粒径結晶層2の面内方向の抗磁力
Hcは第6図、第7図より10Oe〜50Oe程度であ
り大粒径結晶層3の抗磁力Hc⊥に対して極端に
小なる値ではないため衝撃性のバルクハウゼンノ
イズが発生することなく良好な垂直磁気記録再生
を行ない得る。
発明の効果 上述の如く本発明になる垂直磁気記録媒体によ
れば、コバルト及びクロムに、ニオブ及びタンタ
ルのうち少なくとも一方を添加してなる磁性材に
よりベース上に低抗磁力の、原点近傍で急激に立
ち上がる曲線で表わされる面内M−Hヒステリシ
ス特性である磁化ジヤンプを有する層を形成する
と共に、該層上に、該層のニオブ又はタンタルの
添加量より小なる量で、該磁化ジヤンプを生じな
い量のニオブ及びタンタルのうち少なくとも一方
をコバルト及びクロムに添加した磁性材よりなる
垂直磁化層を形成することにより、垂直磁気記録
媒体はベース上に面内方向の抗磁力が小さく、か
つ、磁化ジヤンプを有する層と、高い飽和磁化を
有しかつ磁化ジヤンプを生じず、垂直方向の抗磁
力が大である垂直磁性層との二層を形成された構
成となるため、磁気ヘツドより放たれた磁束は容
易に低抗磁力を有すると共に磁化ジヤンプを有す
る層に進入し水平方向へ進行した後磁気ヘツドの
磁極にて高い飽和磁化を有すると共に高抗磁力を
有する垂直磁性層を貫通して磁気ヘツドの磁極に
急激にかつ鋭く吸い込まれるため、垂直磁化層に
は強い残留磁化が生じ高い再生出力を実現し得る
垂直磁気記録再生を行なうことができ、これに加
え特に短い記録波長に対しすぐれた垂直磁化が行
なわれ良好な再生出力を得ることができ、また磁
化ジヤンプを有する層は裏打ち層として確実に機
能すると共にその抗磁力は垂直磁化層の抗磁力に
対して不要に小なる値ではないため衝撃性のバル
クハウゼンノイズが発生することもなく良好な垂
直磁気記録再生が行なうことができ、更に磁化ジ
ヤンプを有する層上に形成される垂直磁化層の
Nb及びTaの添加量は任意に選定することが可能
で、その添加量をCoの磁化容易軸を強く垂直方
向に配向させつつ高飽和磁化を維持し得る適宜量
に選定することにより再生出力の大なる良好な垂
直磁気記録再生を実現でき、かつ熱膨張率を調整
できるのでカールの少ない垂直磁気記録媒体を容
易に製造することができる等の特長を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明になる垂直磁気記録媒体の一実
施例の磁性膜であるCo−Cr−Nb薄膜のヒステリ
シス曲線を示す図、第2図は小粒径結晶層のヒス
テリシス曲線を示す図、第3図から第5図は磁化
ジヤンプが生ずる理由を説明するための図、第6
図はCo−Cr−Nb薄膜が二層構造となつているこ
と及び各層の磁気特性を示す図、第7図はCo−
Cr−Ta薄膜が二層構造となつていること及び各
層の磁気特性を示す図、第8図は磁化ジヤンプが
生じていないCo−Cr−Nb薄膜のヒステリシス曲
線の一例を示す図、第9図は小粒径結晶層として
Co−Cr−Nb薄膜を用いた場合の各種磁気特性を
Nbの添加量を小としたCo−Co−Cr−Nb単層薄
膜及び磁化ジヤンプの生じているCo−Cr−Nb単
層薄膜と比較して示す図、第10図は第9図に示
した各薄膜の記録波長と再生出力の関係を示す
図、第11図は小粒径結晶層としてCo−Cr−Ta
薄膜を用いた場合の各種磁気記録特性をTaの添
加量を小としたCo−Cr−Ta単層薄膜及び磁化ジ
ヤンプの生じているCo−Cr−Ta単層薄膜と比較
して示す図、第12図は本発明記録媒体の結晶成
長状態を概略的に示すと共に磁束が形成する磁気
ループを示す図、第13図は第11図で示した各
薄膜の記録波長と再生出力の関係を示す図であ
る。 1……ベース、2……小粒径結晶層、3……大
粒径結晶層、4……二層媒体、5……磁気ヘツ
ド。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 コバルト及びクロムに、ニオブ及びタンタル
    のうち少なくとも一方を添加してなる磁性材によ
    りベース上に低抗磁力の、原点近傍で急激に立ち
    上がる曲線で表わされる面内M−Hヒステリシス
    特性である磁化ジヤンプを有する層を形成すると
    共に、該層上に、該層のニオブ又はタンタルの添
    加量より小なる量で、該磁化ジヤンプを生じない
    量のニオブ及びタンタルのうち少なくとも一方を
    コバルト及びクロムに添加した磁性材よりなる垂
    直磁化層を形成してなることを特徴とする垂直磁
    気記録媒体。
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