JPH0532423A - 針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 - Google Patents

針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法

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JPH0532423A
JPH0532423A JP3216084A JP21608491A JPH0532423A JP H0532423 A JPH0532423 A JP H0532423A JP 3216084 A JP3216084 A JP 3216084A JP 21608491 A JP21608491 A JP 21608491A JP H0532423 A JPH0532423 A JP H0532423A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在してお
らず、しかも、大きな軸比(長軸径/短軸径)を有し、
且つ、保磁力分布がより優れている針状磁性酸化鉄粒子
粉末を工業的に得られる製造法を提供する。 【構成】 第一鉄塩水溶液と当量未満のアルカリ水溶液
との反応溶液に酸素含有ガスを通気して針状ゲータイト
核粒子を生成させた後、該針状ゲータイト核粒子を含む
第一鉄塩反応溶液を非酸化性雰囲気下60℃以下に保持
し、引き続き、該第一鉄塩反応溶液中のFe2+に対し当
量以上の炭酸アルカリ水溶液を添加して酸素含有ガスを
通気することにより前記核粒子を成長させて針状ゲータ
イト粒子を生成し、次いで、該針状ゲータイト粒子を還
元して針状マグネタイト粒子を得るか、必要により、更
に酸化して針状マグヘマイト粒子を得るか、必要によ
り、当該両粒子をCoで変成して針状磁性酸化鉄粒子粉
末を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒度が均斉であって樹
枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比(長軸
径/短軸径)を有し、且つ、保磁力分布がより優れてい
る針状磁性酸化鉄粒子粉末を提供することを目的とす
る。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化
が進むにつれて、磁気テープ、磁気ディスク等の記録媒
体に対する高性能化の必要性が益々生じてきている。即
ち、高記録密度、高感度特性及び高出力特性等が要求さ
れる。磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足さ
せる為に要求される磁性材料粒子粉末の特性は、高い保
磁力と優れた分散性を有することである。
【0003】即ち、磁気記録媒体の高感度化及び高出力
化の為には磁性粒子粉末が出来るだけ高い保磁力を有す
ることが必要であり、この事実は、例えば、株式会社総
合技術センター発行「磁性材料の開発と磁粉の高分散化
技術」(1982年)の第310頁の「磁気テープ性能
の向上指向は、高感度化と高出力化‥‥にあったから、
針状γ−Fe2 3 粒子粉末の高保磁力化‥‥を重点と
するものであった。」なる記載の通りである。
【0004】また、磁気記録媒体の高記録密度の為に
は、前出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第3
12頁の「塗布型テープにおける高密度記録のための条
件は、短波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保
持できることであるが、その為には保磁力Hcと残留磁
化Brが共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いこと
が必要である。」なる記載の通り、磁気記録媒体が高い
保磁力と大きな残留磁化Brを有することが必要であ
り、その為には磁性粒子粉末が高い保磁力を有し、ビー
クル中での分散性、塗膜中での配向性及び充填性が優れ
ていることが要求される。
【0005】また、磁気記録媒体の高出力化の為には、
特開昭63−26821号公報の「第1図は、上記した
磁気ディスクについて測定されたS.F.D.と記録再
生出力との関係を示す図である。‥‥S.F.D.と記
録再生出力の関係は、第1図から明らかな様に直線にな
り、これにより、S.F.D.の小さい強磁性粉末を使
うことで、記録再生出力が上ることがわかる。即ち、記
録再生出力を高出力化するためには、S.F.D.は小
さい方が望ましく、通常以上の出力を得るには、0.6
以下のS.F.D.が必要である。」なる記載の通り、
磁気記録媒体のS.F.D.(Switching F
ield Distribution)が小さいことが
必要であり、その為には、磁性粒子粉末の保磁力の分布
幅が小さいことが要求される。
【0006】周知のごとく、磁性粒子粉末の保磁力の大
きさは、形状異方性、結晶異方性、歪異方性及び交換異
方性のいずれか、若しくはそれらの相互作用に依存して
いる。
【0007】現在、磁気記録用磁性粒子粉末として使用
されている針状マグネタイト粒子粉末や針状マグヘマイ
ト粒子粉末等の磁性酸化鉄粒子粉末は、その形状に由来
する異方性を利用すること、即ち、軸比(長軸径/短軸
径)を大きくすることによって比較的高い保磁力を得て
いる。
【0008】これら既知の磁性粒子粉末は、出発原料で
あるゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を加熱処理し
て得られた針状ヘマタイト粒子を、水素等還元性ガス中
で還元してマグネタイト粒子とすることにより、また、
前記マグネタイト粒子を、空気中で酸化してマグヘマイ
ト粒子とすることにより得られている。
【0009】また、既知のCoで変成された又はCoと
Feとで変成された針状磁性酸化鉄粒子粉末は、針状マ
グネタイト粒子又は針状マグヘマイト粒子を前駆体粒子
として用い、該前駆体粒子のFeに対し0.5〜15.
0原子%のCoを含むように、上記前駆体粒子を水酸化
コバルトを含むアルカリ懸濁液又は水酸化コバルト・水
酸化第一鉄を含むアルカリ懸濁液中に分散させ、該分散
液を加熱処理することにより得られる。
【0010】磁気記録媒体の残留磁化Brは、磁性粒子
粉末のビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充
填性に依存しており、これら特性の向上の為には、ビヒ
クル中に分散させる磁性粒子粉末が粒度が均斉であって
樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比(長
軸径/短軸径)を有していることが要求される。
【0011】上述した通り、粒度が均斉であって樹枝状
粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比(長軸径/
短軸径)を有し、且つ、保磁力分布が優れている磁性粒
子粉末は、現在、最も要求されているところであり、こ
のような特性を備えた磁性粒子粉末を得るためには、出
発原料であるゲータイト粒子粉末が粒度が均斉であって
樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比(長
軸径/短軸径)を有することが要求される。
【0012】従来、出発原料であるゲータイト粒子粉末
を製造する方法としては、第一鉄塩水溶液に当量以上
の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄
コロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の
温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことによ
り針状ゲータイト粒子を生成させる方法(特公昭39−
5610号公報)、第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水
溶液とを反応させ得られたFeCO3 を含む懸濁液に酸
素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘状
を呈したゲータイト粒子を生成させる方法(特開昭50
−80999号公報)及び第一鉄塩水溶液に当量以下
の水酸化アルカリ水溶液や炭酸アルカリ水溶液を添加し
て得られる水酸化第一鉄コロイド又は炭酸鉄を含む第一
鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うこ
とにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、該
針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、第一鉄
塩水溶液中のFe2+量に対し当量以上の水酸化アルカリ
水溶液を添加した後酸素含有ガスを通気して前記針状ゲ
ータイト核粒子を成長させる方法(特公昭59−487
66号公報、特開昭59−128293号公報、特開昭
59−128294号公報、特開昭59−128295
号公報、特開昭60−21818号公報)等が知られて
いる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】粒度が均斉であって樹
枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比(長軸
径/短軸径)を有し、且つ、保磁力分布がより優れてい
る針状磁性酸化鉄粒子粉末は、現在最も要求されている
ところであるが、出発原料であるゲータイト粒子粉末を
製造する前出の方法による場合には、軸比(長軸径/
短軸径)の大きな殊に、10以上の針状ゲータイト粒子
が生成するが、樹枝状粒子が混在しており、また、粒度
から言えば、均斉な粒度を有した粒子とは言い難い。
【0014】前出の方法による場合には、粒度が均斉
であり、また、樹枝状粒子が混在していない紡錘状を呈
した粒子が生成するが、一方、軸比(長軸径/短軸径)
は高々7程度であり、軸比(長軸径/短軸径)の大きな
粒子が生成し難いという欠点があり、殊に、この現象は
生成粒子の長軸径が小さくなる程顕著になるという傾向
にある。紡錘状を呈したゲータイト粒子の軸比(長軸径
/短軸径)を大きくする方法は種々試みられてはいるが
高々17〜18程度であり未だ十分とは言えない。
【0015】前出の方法は、前出及びのそれぞれ
の方法によって得られる針状ゲータイト粒子の諸特性、
即ち、粒度、軸比(長軸径/短軸径)及び樹枝状粒子の
有無等の改良を目的とするものではあるが、未だ十分満
足出来る諸特性を有するゲータイト粒子粉末は得られて
いない。
【0016】これら針状ゲータイト粒子粉末を出発原料
粒子として得られた針状磁性酸化鉄粒子粉末もまた粒度
が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、
大きな軸比(長軸径/短軸径)を有しているとは言い難
いものである。
【0017】そこで、本発明は、粒度が均斉であって樹
枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比(長軸
径/短軸径)を有し、且つ、保磁力分布がより優れてい
る針状磁性酸化鉄粒子粉末を得ることを技術的課題とす
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。即ち、本発明は、第
一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量
未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液若
しくは水酸化アルカリ・炭酸アルカリ水溶液とを反応し
て得られた水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロ
イドを含む第一鉄塩反応溶液に、酸素含有ガスを通気す
ることにより上記水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱
物コロイドを酸化して針状ゲータイト核粒子を生成させ
た後、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液
を非酸化性雰囲気下60℃以下に保持し、引き続き、該
第一鉄塩反応溶液中のFe2+に対し当量以上の炭酸アル
カリ水溶液を添加した後酸素含有ガスを通気して、前記
針状ゲータイト核粒子の成長反応を行うことにより針状
ゲータイト粒子を生成させ、次いで、該針状ゲータイト
粒子又は該粒子を300〜700℃で加熱処理して得ら
れた針状ヘマタイト粒子を還元性ガス中で加熱還元して
針状マグネタイト粒子を得るか、必要により更に酸化し
て針状マグヘマイト粒子を得るか、又は、必要により、
前記針状マグネタイト粒子又は針状マグマイト粒子を前
駆体粒子として用い、該前駆体粒子のFeに対し0.5
〜15.0原子%のCoを含むように、前記前駆体粒子
を水酸化コバルトを含むアルカリ懸濁液又は水酸化コバ
ルト・水酸化第一鉄を含むアルカリ懸濁液中に分散さ
せ、該分散液を加熱処理することによりCoで変成され
た又はCoとFe2+とで変成された針状マグネタイト粒
子又は針状マグヘマイト粒子を得ることからなる針状磁
性酸化鉄粒子粉末の製造法である。
【0019】次に、本発明方法実施にあたっての諸条件
について述べる。本発明において使用される第一鉄塩水
溶液としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等
を使用することができる。
【0020】本発明の針状ゲータイト粒子の生成反応に
おいて使用される水酸化アルカリ水溶液としては、水酸
化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等を、炭酸
アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸
カリウム水溶液、炭酸アンモニウム等を使用することが
できる。
【0021】水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水
溶液若しくは水酸化アルカリ・炭酸アルカリ水溶液の使
用量は、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量未満であ
る。当量以上の場合には、粒度が不均斉であって樹枝状
粒子が混在しているゲータイト粒子が得られる。また、
粒状のマグネタイト粒子が混在してくる。
【0022】本発明における針状ゲータイト核粒子の存
在量は、生成ゲータイト粒子に対し10〜90mol%
の範囲が好ましい。10mol%未満の場合には、本発
明の目的とする針状ゲータイト粒子が得られない。90
mol%を越える場合には、針状ゲータイト核粒子に対
する炭酸鉄の割合が少なくなる為、反応が不均一にな
り、得られるゲータイト粒子の粒度が不均斉となる。
【0023】本発明においては、針状ゲータイト核粒子
を含む第一鉄塩反応溶液を非酸化性雰囲気下60℃以下
に保持する。非酸化性雰囲気にする為には、N2 ガス等
の不活性ガスを液中に通気することにより、または、当
該通気ガスを機械的操作等により攪拌しながら行う。6
0℃を越える場合には、その後に続く酸素含有ガスを通
気して針状ゲータイト粒子を生成させる過程で粒状マグ
ネタイト粒子粉末が混在してくる。
【0024】本発明の針状ゲータイト核粒子の成長反応
において使用される炭酸アルカリ水溶液の使用量は、残
存第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以上である。当
量未満の場合には、得られるゲータイト粒子の粒度が不
均斉となり、また、球状マグネタイト粒子が混在してく
る。
【0025】本発明における酸化手段は、酸素含有ガス
(例えば空気)を液中に通気することにより行い、必要
により機械的操作等により攪拌を伴ってもよい。
【0026】本発明における反応温度は、通常、ゲータ
イト粒子が生成する60℃以下の温度で行えばよい。6
0℃を越える場合には、針状ゲータイト粒子中に粒状マ
グネタイト粒子粉末が混在してくる。
【0027】尚、本発明において、ゲータイト核粒子の
生成反応と該ゲータイト核粒子の成長反応とを同一の反
応塔を用いて行うことができることはもちろん、別々の
反応塔を用いる場合でも目的とするゲータイト粒子が得
られる。
【0028】尚、本発明において、磁性粒子粉末の特性
向上等の為、ゲータイト粒子の生成反応中に通常添加さ
れるCo化合物、Ni化合物、Zn化合物、Al化合
物、P化合物、Si化合物等の1種又は2種以上を添加
しておいてもよく、この場合にも本発明の目的とする針
状ゲータイト粒子粉末を得ることができる。
【0029】本発明においては、必要により、出発原料
粒子を、加熱還元処理に先立って周知の方法により、S
i化合物、Al化合物、P化合物等の焼結防止効果を有
する物質によって、あらかじめ被覆しておいてもよい。
この被覆処理によって粒子及び粒子相互間の焼結が防止
され、出発原料粒子の粒子形状及び軸比(長軸径/短軸
径)を保持継承し、個々に独立した磁性酸化鉄粒子が得
られやすくなる。
【0030】本発明における酸化温度は、常法により2
00〜500℃で行うことができる。
【0031】本発明における磁性酸化鉄粒子粉末のCo
変成は、常法により行うことができ、例えば、特公昭5
2−24237号公報、特公昭52−24238号公
報、特公昭52−36751号公報及び特公昭52−3
6863号公報に記載されているように、前駆体粒子を
水酸化コバルト又は、水酸化コバルト・水酸化第一鉄を
含むアルカリ懸濁液中に分散させ、該分散液を加熱処理
することにより行われる。
【0032】本発明における水酸化コバルトは、硫酸コ
バルト、塩化コバルト等の水可溶性コバルト塩と水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ水溶液
を用いることにより得られる。
【0033】本発明における水酸化第一鉄は、硫酸第一
鉄、塩化第一鉄等の水可溶性第一鉄塩と水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ水溶液を用いる
ことにより得られる。
【0034】Co変成にあたり、加熱処理する時の条件
は、非酸化性雰囲気下で50〜100℃の温度範囲で行
なうことが好ましい。
【0035】Co変成の温度は、処理時間に関与するも
のであり、温度を50℃以下とすれば、Coで変成され
た又はCoとFe2+で変成されたマグネタイト粒子又は
マグヘマイト粒子が生成し難く、生成するとしても極め
て長時間の処理を必要とする。
【0036】本発明における水可溶性コバルト塩の変成
量は、Feに対しCo換算で0.5〜15.0原子%で
ある。0.5原子%未満である場合には、得られる針状
マグネタイト粒子又はマグヘマイト粒子の保磁力を向上
させるという効果を十分達成することができない。1
5.0原子%を越える場合には、得られる針状マグネタ
イト粒子又はマグヘマイト粒子の保磁力分布を小さくす
るという効果が十分ではない。
【0037】添加した水可溶性コバルト塩は、ほぼ全量
が磁性酸化鉄粒子の粒子表面における変成の為に利用さ
れる。
【0038】針状マグネタイト粒子又はマグヘマイト粒
子の保磁力及び保磁力分布を考慮した場合、2.0〜1
3.0原子%が好ましい。
【0039】
【作用】先ず、本発明において最も重要な点は、第一鉄
塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量未満
の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液若しく
は水酸化アルカリ・炭酸アルカリ水溶液とを反応して得
られた水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイド
を含む第一鉄塩反応溶液に、酸素含有ガスを通気するこ
とにより上記水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コ
ロイドを酸化して針状ゲータイト核粒子を生成させた
後、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液を
非酸化性雰囲気下60℃以下に保持し、引き続き、該第
一鉄塩反応溶液中のFe2+に対し当量以上の炭酸アルカ
リ水溶液を添加した後酸素含有ガスを通気して、前記針
状ゲータイト核粒子の成長反応を行った場合には、粒度
が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、
軸比(長軸径/短軸径)が大きい、殊に、20以上の針
状ゲータイト粒子粉末が得られ、該針状ゲータイト粒子
を出発原料粒子として得られた針状磁性酸化鉄粒子もま
た、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、
しかも大きな軸比(長軸径/短軸径)を有する粒子が得
られる。そしてこれら諸特性を有する針状磁性酸化鉄粒
子粉末は、保磁力分布がより優れているという事実であ
る。
【0040】ゲータイト核粒子の成長反応にあたり炭酸
アルカリ水溶液に代えて水酸化アルカリ水溶液を使用し
た場合やゲータイト核粒子の生成反応にあたり当量以上
の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を使用
した場合は、後出比較例に示す通り、本発明の目的とす
る粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、し
かも、軸比(長軸径/短軸径)の大きい針状ゲータイト
粒子粉末は得られない。
【0041】
【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。尚、以下の実施例並びに比較例における粒子
の長軸径、軸比(長軸径/短軸径)は、いずれも電子顕
微鏡写真から測定した数値の平均値で示した。
【0042】粒子の粒度分布は、以下の方法により求め
た幾何標準偏差値(σg)で示した。即ち、12万倍の
電子顕微鏡写真に写っている粒子350個の長軸径を測
定し、その測定値から計算して求めた粒子の実際の長軸
径と個数から統計学的手法に従って対数正規確率紙上の
横軸に粒子の長軸径を、縦軸に等間隔にとった長軸径区
間のそれぞれに属する粒子の累積個数を百分率でプロッ
トする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及
び84.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読み
とり、個数50%の時の長軸径(μm)を個数84.1
3%の時の長軸径(μm)で徐した値で示した。
【0043】磁性酸化鉄粒子粉末の磁気特性及び塗膜特
性は、「振動試料磁力計VSM−3S−15」(東英工
業(株)製)を使用し、針状マグネタイト粒子粉末及び
針状マグヘマイト粒子粉末は外部磁場5KOe、Co変
成磁性酸化鉄粒子粉末は外部磁場10KOeまでかけて
測定した。
【0044】塗膜の角型及びS.F.D.の測定は、後
出実施例16の方法により得られたシート試料片を用い
て行った。また、S.F.D.は、前記磁気測定器の微
分回路を使用して、磁気履歴曲線の減磁カーブの微分曲
線を得、この曲線の半値巾を測定し、この値を保磁力で
除することにより求めた。
【0045】<針状ゲータイト粒子粉末の製造法> 実施例1〜3、参考例1、比較例1〜6; 実施例1 Fe2+ 0.54mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液3
8.0 lと4.4−NのNaOH水溶液4.7 l
(硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し0.5当量に該当
する。)とを混合し、pH7.3、温度38℃において
Fe(OH)2 を含む硫酸第一鉄水溶液の生成を行なっ
た。上記Fe(OH)2 を含む硫酸第一鉄水溶液に温度
40℃において毎分130lの空気を3.0時間通気し
てゲータイト核粒子を生成させた。
【0046】上記ゲータイト核粒子を含む硫酸第一鉄水
溶液(ゲータイト核粒子の存在量は生成ゲータイト粒子
に対し50mol%に該当する。)を毎秒0.83cm
3 の割合でN2 ガスを流すことによって非酸化性雰囲気
に保持しながら、温度45℃で2時間保持し、次いで、
4.4−NのNa2 CO3 水溶液7.0 l(残存硫酸
第一鉄水溶液中のFe2+に対し1.5当量に該当す
る。)を加え、pH9.4、温度42℃において毎分1
30 lの空気を4時間通気してゲータイト粒子を生成
した。生成ゲータイト粒子は常法により、濾別、水洗、
乾燥した。
【0047】得られたゲータイト粒子粉末は、図1の電
子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、σg 0.
830の粒度が均斉な粒子であり樹枝状粒子が混在して
おらず、しかも、長軸0.30μm、軸比(長軸径/短
軸径)29の針状粒子であった。
【0048】実施例2 Fe2+ 1.50mol/lを含む塩化第一鉄水溶液1
2.8 lと0.54−NのKOH水溶液39.1 l
(塩化第一鉄水溶液中のFe2+に対し0.55当量に該
当する。)とを混合し、pH7.3、温度38℃におい
てFe(OH)2 を含む塩化第一鉄水溶液の生成を行な
った。上記Fe(OH)2 を含む塩化第一鉄水溶液に温
度45℃において毎分130lの空気を3.0時間通気
してゲータイト核粒子を生成させた。
【0049】上記ゲータイト核粒子を含む塩化第一鉄水
溶液(ゲータイト核粒子の存在量は生成ゲータイト粒子
に対し55mol%に該当する。)を毎秒0.83cm
3 の割合でN2 ガスを流すことによって非酸化性雰囲気
に保持しながら、温度40℃で3時間保持し、次いで、
3.7−NのK2 CO3 水溶液7.0 l(残存塩化第
一鉄水溶液中のFe2+に対し1.5当量に該当する。)
を加え、pH9.4、温度40℃において毎分130
lの空気を4時間通気してゲータイト粒子を生成した。
生成ゲータイト粒子は常法により、濾別、水洗、乾燥し
た。
【0050】得られたゲータイト粒子粉末は、電子顕微
鏡観察の結果、粒度が均斉な粒子であり樹枝状粒子が混
在しておらず、しかも、長軸0.22μm、軸比(長軸
径/短軸径)25の針状粒子であった。この粒子のσg
は0.842であった。
【0051】実施例3 Fe2+ 0.77mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液2
5.0 lと0.66−NのNaOH水溶液23.3
l(硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し0.4当量に該
当する。)とを混合し、pH7.1、温度38℃におい
てFe(OH)2 を含む硫酸第一鉄水溶液の生成を行な
った。上記Fe(OH)2 を含む硫酸第一鉄水溶液に温
度45℃において毎分130lの空気を3.0時間通気
してゲータイト核粒子を生成させた。
【0052】上記ゲータイト核粒子を含む硫酸第一鉄水
溶液(ゲータイト核粒子の存在量は生成ゲータイト粒子
に対し40mol%に該当する。)を毎秒1.0cm3
の割合でN2 ガスを流すことによって非酸化性雰囲気に
保持しながら、温度45℃で2時間保持し、次いで、
5.3−NのNa2 CO3 水溶液7.0 l(残存硫酸
第一鉄水溶液中のFe2+に対し1.6当量に該当す
る。)を加え、pH9.5、温度40℃において毎分1
30 lの空気を4時間通気してゲータイト粒子を生成
した。生成ゲータイト粒子は常法により、濾別、水洗、
乾燥した。
【0053】生成ゲータイト粒子粉末は、電子顕微鏡観
察の結果、粒度が均斉な粒子であり樹枝状粒子が混在し
ておらず、しかも、長軸0.36μm、軸比(長軸径/
短軸径)32の針状粒子であった。この粒子のσgは
0.825であった。
【0054】参考例1 ゲータイト核粒子を含む硫酸第一鉄水溶液を非酸化性雰
囲気で温度45℃で2時間保持しなかった以外は、実施
例1と同様にしてゲータイト粒子を生成させた。生成ゲ
ータイト粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、長軸0.
30μm、軸比(長軸径/短軸径)30の針状粒子であ
り、σgは0.79であった。
【0055】比較例1 4.4−NのNa2 CO3 水溶液7.0 lに代えて
4.4−NのNaOH水溶液7.0 l(残存硫酸第一
鉄水溶液中のFe2+に対し1.5当量に該当する。)を
使用した以外は、実施例1と同様にしてゲータイト粒子
粉末を得た。得られたゲータイト粒子粉末は、図2の電
子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、粒度が不均
斉であって樹枝状粒子が混在したものであった。このゲ
ータイト粒子粉末のσgは0.511であった。
【0056】比較例2 4.4−NのNaOH水溶液4.7 lに代えて4.4
−NのNa2 CO3 水溶液4.7 l(硫酸第一鉄水溶
液中のFe2+に対し0.50当量に該当する。)を使用
するとともに、4.4−NのNa2 CO3 水溶液7.0
lに代えて4.4−NのNaOH水溶液7.0 l
(残存硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し1.5当量に
該当する。)を使用した以外は、実施例1と同様にして
ゲータイト粒子粉末を得た。得られたゲータイト粒子粉
末は、図3の電子顕微鏡写真(×30000)に示す通
り、粒度が不均斉であって樹枝状粒子が混在したもので
あった。このゲータイト粒子粉末のσgは0.516で
あった。
【0057】比較例3 Fe2+ 1.0mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液7.
5 lと1.3−NのNa2 CO3 水溶液24.2 l
(硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し2.1当量に該当
する。)とを混合し、pH9.9、温度42℃において
FeCO3 の生成を行った。上記FeCO3 を含む水溶
液に温度45℃において毎分100 lの空気を5時間
通気して紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させた。
【0058】上記紡錘状を呈したゲータイト粒子を含む
水溶液に、Fe2+ 1.8mol/lを含む硫酸第一鉄
水溶液8.3 lと13−NのNaOH水溶液10 l
(添加した硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し4.4当
量に該当する。)とを添加して攪拌混合(紡錘状を呈し
たゲータイト粒子は生成ゲータイト粒子に対し33mo
l%に該当する。)した後、温度50℃において毎分1
50 lの空気を3時間通気してゲータイトの成長反応
を行った。
【0059】生成ゲータイト粒子粉末は、常法により、
濾過、水洗、乾燥した。得られたゲータイト粒子粉末
は、図4の電子顕微鏡写真(×30000)に示す通
り、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しないもので
あるが、軸比(長軸径/短軸径)が小さく短冊状を呈し
た粒子であった。このゲータイト粒子粉末のσgは0.
841であった。
【0060】比較例4 Fe2+ 1.3mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液1
2.8 lと2.4−NのNaOH水溶液30.2 l
(硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し2.2当量に該当
する。)とを混合し、pH13.2、温度40℃におい
てFe(OH)2 の生成を行った。上記Fe(OH)2
を含む水溶液を温度45℃において毎分130 lの空
気を15時間通気して針状ゲータイト粒子を生成させ
た。生成ゲータイト粒子は、常法により、濾過、水洗し
た。
【0061】上記針状ゲータイト粒子586gを含む水
溶液27.5 lに、Fe2+ 1.0mol/lを含む
硫酸第一鉄水溶液12.5 lと3.8−NのNa2
3 水溶液10 l(添加した硫酸第一鉄水溶液中のF
2+に対し1.5当量に該当する。)とを添加して攪拌
混合(針状ゲータイト粒子は生成ゲータイト粒子に対し
35mol%に該当する。)した後、温度42℃におい
て毎分130 lの空気を4時間通気してゲータイトの
成長反応を行った。
【0062】生成ゲータイト粒子は、常法により、濾
過、水洗、乾燥した。得られたゲータイト粒子粉末は、
電子顕微鏡観察の結果、粒度が不均斉であって樹枝状粒
子が混在したものであり、軸比(長軸径/短軸径)は1
0と小さいものであった。このゲータイト粒子粉末のσ
gは、0.512であった。
【0063】比較例5 Fe2+ 1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液10
lと2.1−NのNaOH水溶液33 l(硫酸第一
鉄水溶液中のFe2+に対し2.3当量に該当する。)と
を混合し、pH13、温度38℃においてFe(OH)
2 コロイドの生成を行った。上記Fe(OH)2 コロイ
ドを含む懸濁液に温度42℃において毎分13 lの空
気を15時間通気して針状ゲータイト粒子を生成させ
た。生成ゲータイト粒子粉末は、常法により、濾過、水
洗、乾燥した。得られたゲータイト粒子粉末は、図5の
電子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、粒度が不
均斉であって樹枝状粒子が混在したものであった。この
ゲータイト粒子粉末のσgは0.510であった。
【0064】比較例6 Fe2+ 1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液10
lと1.8−NのNa2 CO3 水溶液33 l(硫酸
第一鉄水溶液中のFe2+に対し2.0当量に該当す
る。)とを混合し、pH9.8、温度45℃においてF
eCO3 の生成を行った。上記FeCO3 を含む水溶液
に温度50℃において毎分100 lの空気を5時間通
気してゲータイト粒子を生成させた。生成ゲータイト粒
子は常法により、濾過、水洗、乾燥した。得られたゲー
タイト粒子粉末は、図6の電子顕微鏡写真(×3000
0)に示す通り、紡錘状を呈しており、軸比(長軸径/
短軸径)7と軸比が小さいものであった。このゲータイ
ト粒子粉末のσgは、0.829であった。
【0065】<針状マグネタイト粒子粉末の製造> 実施例4〜6、参考例2、比較例7〜12; 実施例4 実施例1で得られた濾別、水洗した針状ゲータイト粒子
のペースト5.3Kg(針状ゲータイト粒子約1.6K
gに相当する。)を28 lの水中に懸濁させた。この
時のpHは8.0であった。次いで、上記懸濁液にヘキ
サメタリン酸ナトリウム24gを含む水溶液240ml
(針状ゲータイト粒子に対しPO3 として1.15wt
%に相当する。)を添加して30分間攪拌した後、濾
別、乾燥してP化合物で被覆されている針状ゲータイト
粒子粉末を得た。上記粒子表面がP化合物で被覆されて
いる針状ゲータイト粒子粉末を、空気中660℃で加熱
処理してP化合物で被覆されている針状ヘマタイト粒子
粉末を得た。
【0066】上記粒子表面がP化合物で被覆されている
針状ヘマタイト粒子粉末1000gをレトルト還元容器
中に投入し、駆動回転させながらH2 ガスを毎分2 l
の割合で通気し、還元温度360℃で還元してP化合物
で被覆されている針状マグネタイト粒子粉末を得た。
【0067】得られたP化合物で被覆されている針状マ
グネタイト粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、平均値
で長軸0.20μm、軸比(長軸径/短軸径)7.8で
あり、幾何標準偏差値0.73の粒度が均斉な粒子であ
って、樹枝状粒子が混在しないものであった。また、磁
気測定の結果、保磁力Hcは380 Oe、飽和磁化σ
sは、80.5emu/gであった。
【0068】実施例5〜6、参考例2、比較例7〜12 出発原料の種類、空気中加熱処理の加熱温度を種々変化
させた以外は、実施例4と同様にして針状マグネタイト
粒子粉末を得た。この時の主要製造条件及び粒子粉末の
特性を表1に示す。実施例5〜6で得られた針状マグネ
タイト粒子粉末はいずれも電子顕微鏡観察の結果、粒度
が均斉であり、樹枝状粒子が混在しないものであった。
【0069】<針状マグヘマイト粒子粉末の製造> 実施例7〜9、参考例3、比較例13〜18; 実施例7 実施例4で得られた粒子表面がP化合物で被覆されてい
る針状マグネタイト粒子粉末300gを空気中300℃
で60分間酸化して粒子表面がP化合物で被覆されてい
るマグヘマイト粒子粉末を得た。
【0070】得られた粒子表面がP化合物で被覆されて
いる針状マグヘマイト粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結
果、長軸0.18μm、軸比(長軸径/短軸径)7.7
であり、幾何標準偏差値0.74の粒度が均斉な粒子で
あり、樹枝状粒子が混在しないものであった。また、磁
気測定の結果、保磁力Hcは360 Oe、飽和磁化σ
sは、71.2emu/gであった。
【0071】実施例8〜9、参考例3、比較例13〜1
8 針状マグネタイト粒子粉末の種類を種々変化させた以外
は、実施例7と同様にして針状マグヘマイト粒子粉末を
得た。この時の主要製造条件及び粒子粉末の特性を表2
に示す。実施例8〜9で得られた針状マグヘマイト粒子
粉末はいずれも電子顕微鏡観察の結果、粒度が均斉であ
って、樹枝状粒子が混在しないものであった。
【0072】 <Coで変成された針状マグネタイト粒子粉末の製造> 実施例10〜12、参考例4、比較例19〜24; 実施例10 実施例7で得られた粒子表面がP化合物で被覆されてい
る針状マグネタイト粒子粉末100gを可及的に空気の
混入を防止しながら硫酸コバルトと硫酸第一鉄を用いた
コバルト0.085molと第一鉄0.179molが
溶存している1.0 lの水中に投入し微細なスラリー
になるまで分散させ、次いで該分散液に18−NのNa
OH水溶液102mlを注加し、更に水を加えて全容を
1.3lとしてOH基濃度1.0mol/lの分散液と
した。該分散液の温度を100℃に昇温し、この温度で
攪拌しながら5時間後にスラリーを取り出し、水洗、濾
過し、60℃で乾燥して、Coで変成された針状マグネ
タイト粒子粉末を得た。
【0073】得られた粒子は、電子顕微鏡観察の結果、
前駆体である粒子表面がP化合物で被覆されているマグ
ネタイト粒子の形状、粒度を継承しており、長軸0.1
8m、軸比(長軸径/短軸径)7.0であり、幾何標準
偏差値0.72の粒度が均斉な粒子であった。また、磁
気測定の結果、保磁力Hcは785 Oe、飽和磁化σ
sは83.2emu/gであった。
【0074】実施例11〜12、参考例4、比較例19
〜24 前駆体であるマグネタイト粒子の量を100g、処理液
全容量を1.3 lとして、前駆体の種類を種々変化さ
せた以外は、実施例10と同様にしてCoで変成された
又はCoとFe2+で変成された針状マグネタイト粒子を
得た。この時の主要製造条件及び特性を表3に示す。
【0075】 <Coで変成された針状マグヘマイト粒子粉末の製造> 実施例13〜15、参考例5、比較例25〜30; 実施例13 実施例10で得られた粒子表面がP化合物で被覆されて
いる針状マグヘマイト粒子粉末100gを可及的に空気
の混入を防止しながら硫酸コバルトと硫酸第一鉄を用い
たコバルト0.085molと第一鉄0.179mol
が溶存している1.0 lの水中に投入し、微細なスラ
リーになるまで分散させ、次いで該分散液に18−Nの
NaOH溶液102mlを注加し、更に水を加えて全容
を1.3lとしてOH基濃度1.0mol/lの分散液
とした。該分散液の温度を100℃に昇温し、この温度
で攪拌しながら5時間後にスラリーを取り出し、水洗、
濾別し、60℃で乾燥してCoで変成された針状マグヘ
マイト粒子を得た。
【0076】得られた粒子は、電子顕微鏡観察の結果、
前駆体である粒子表面がP化合物で被覆されている針状
マグヘマイト粒子の形状、粒度を継承しており、長軸
0.16μm、軸比(長軸径/短軸径)6.5であり、
幾何標準偏差値0.73の粒度が均斉な粒子であった。
また、磁気測定の結果、保磁力Hcは756Oe、飽和
磁化σsは77.2emu/gであった。
【0077】実施例14〜15、参考例5、比較例25
〜30 前駆体である針状マグヘマイト粒子の量を100g、処
理液全容量を1.3lとして、前駆体の種類を種々変化
させた以外は、実施例13と同様にしてCo又はCoと
Fe2+で変成された針状マグヘマイト粒子を得た。この
時の主要製造条件及び特性を表4に示す。
【0078】<磁気テープの製造> 実施例16〜27、参考例6〜9、比較例31〜54; 実施例16 140ccのガラスビンに実施例4で得られた粒子表面
がP化合物で被覆されている針状マグネタイト粒子粉
末、樹脂及び溶剤を下記の割合で入れた後、ペイントコ
ンディショナーで2時間混合分散を行うことにより調整
した磁性塗料を厚さ25μmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上にアプリケーターを用いて40μmの厚
さに塗布し、次いで、1450Gaussの磁場中で配
向させた後乾燥させることにより得た。
【0079】 1.5mmφガラスビーズ 100g 針状マグネタイト粒子粉末 15g トルエン 5.6g リン酸エステル(GAFACRE−610 東邦化学(製)) 0.6g レシチン 0.6g 塩ビ酢ビ共重合体樹脂(ビニライトVAGH ユニオンカーバイト社(製)) 3.75g ブタジエンアクリロニトリルゴム(Hycar 1432J 日本ゼオン社 (製)) 0.75g メチルイソブチルケトン:メチルエチルケトン:トルエン=3:1:1の 混合溶液 40.5g
【0080】この磁気テープのS.F.D.は0.4
1、保磁力Hcは361 Oe、残留磁束密度Brは1
590Gauss、角型Br/Bmは0.80、配向度
2.15であった。
【0081】実施例17〜27、参考例6〜9、比較例
31〜54 磁性粒子粉末の種類を種々変化した以外は、実施例16
と同様にして磁気テープを製造した。尚、針状マグネタ
イト粒子粉末及び針状マグヘマイト粒子粉末は1450
Gauss、Co変成磁性酸化鉄粒子粉末は1900G
aussの磁場中で配向させた。磁気テープの諸特性を
表5〜8に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
【発明の効果】本発明に係る針状磁性酸化鉄粒子粉末の
製造法によれば、前出実施例に示した通り、粒度が均斉
であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな
軸比(長軸径/短軸径)を有し、且つ、保磁力分布がよ
り優れている針状磁性酸化鉄粒子粉末を得ることが出来
るので、高記録密度、高感度、高出力用磁性粒子粉末と
して好適である。
【0091】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図2】比較例1で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図3】比較例2で得られたゲータイト粒子粉末の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図4】比較例3で得られたゲータイト粒子粉末の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図5】比較例5で得られたゲータイト粒子粉末の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図6】比較例6で得られたゲータイト粒子粉末の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中の
    Fe2+に対し当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸
    アルカリ水溶液若しくは水酸化アルカリ・炭酸アルカリ
    水溶液とを反応して得られた水酸化第一鉄コロイド又は
    鉄含有沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に、酸素
    含有ガスを通気することにより上記水酸化第一鉄コロイ
    ド又は鉄含有沈澱物コロイドを酸化して針状ゲータイト
    核粒子を生成させた後、該針状ゲータイト核粒子を含む
    第一鉄塩反応溶液を非酸化性雰囲気下60℃以下に保持
    し、引き続き、該第一鉄塩反応溶液中のFe2+に対し当
    量以上の炭酸アルカリ水溶液を添加した後酸素含有ガス
    を通気して、前記針状ゲータイト核粒子の成長反応を行
    うことにより針状ゲータイト粒子を生成させ、次いで、
    該針状ゲータイト粒子又は該粒子を300〜700℃で
    加熱処理して得られた針状ヘマタイト粒子を還元性ガス
    中で加熱還元して針状マグネタイト粒子を得るか、又
    は、更に酸化して針状マグヘマイト粒子を得ることを特
    徴とする針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法により得られた針状マ
    グネタイト粒子又は針状マグマイト粒子を前駆体粒子と
    して用い、該前駆体粒子のFeに対し0.5〜15.0
    原子%のCoを含むように、前記前駆体粒子を水酸化コ
    バルトを含むアルカリ懸濁液又は水酸化コバルト・水酸
    化第一鉄を含むアルカリ懸濁液中に分散させ、該分散液
    を加熱処理することによりCoで変成された又はCoと
    Fe2+とで変成された針状マグネタイト粒子又は針状マ
    グヘマイト粒子を得ることを特徴とする針状磁性酸化鉄
    粒子粉末の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5641470A (en) * 1995-07-17 1997-06-24 Minnesota Mining And Manufacturing Company Process for making goethite

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