JPH0531766Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車両等の照明技術に係り、特に楕円
反射鏡の前面に配設したコリメーターレンズによ
つて生ずる色ずれを防止した車両用灯具に関する
ものある。

〔従来の技術〕

従来より一般に提案されている車両用灯具とし
ては、第６図に示すように、光軸上に第一の焦点
Ｆ１及び第二の焦点Ｆ２を有する略楕円鏡面を持
つ反射鏡５１を設け、第一の焦点Ｆ１に担持した
バルブ等の点灯用の光源５２によつてその照射光
を第二の焦点Ｆ２で収束するように偏向して灯具
前方へ反射すると共に、該反射鏡５１の第二の焦
点Ｆ２の近傍に焦点Ｆ３を位置するコリメーター
レンズ５３によって該光束を平行化し、更に上記
第二の焦点Ｆ２の近傍に光束の一部をカツトする
ための遮光板５４を設けて、アウターレンズ５５
の前方に好ましい照射パターンを形成する構造に
成つている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、上記従来の車両用灯具によれば、第７
図に示すように、遮光板の像を照射パターンを形
成するための指定距離に位置するスクリーン上
で、該遮光板にカツト縁によつて形成されるカツ
トラインCLのコントラストが明瞭に成りすぎる
ため、車両の姿勢及びランプのエイミングにより
対向車に与える眩光が増大すると共に、遠方の視
認性が低下する。また水平線（符号Ｈレベル位
置）ラインより上方の路肩標識や歩行者或いは障
害物等の側方にある物体の視認性が困難に成る等
の問題を有しており、車両用前照灯として夜間走
行における十分な安全性を確保することができな
かつた。更にコリメーターレンズを使つた光学系
ではレンズ軸から離れた周部で色収差による色ず
れが大きく現れ、視認性を低下させるものであつ
た。

本考案は、上記問題に鑑みて創案されたもので
あり、コリメーターレンズによるレンズ系の色収
差を抑え、かつ対向車に与える眩光を抑制すると
共に、水平線より上方にある側方の物体の視認性
が良好な、特に自動車の前照灯やフオツグランプ
として有用な楕円反射鏡を使つた車両用灯具を提
供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案に係る車両
用灯具は、反射面の前方に第一の焦点と第二の焦
点を有する楕円反射鏡と、該楕円反射鏡の略第一
の焦点に配置した点灯用の光源と、焦点が上記楕
円反射鏡の第二の焦点と略一致する位置に設けた
コリメーターレンズと、該コリメーターレンズそ
の前方の光軸上に配置し、コリメーターレンズの
中央部透過光を除く周部透過光を拡散する拡散手
段を備えたレンズと、前記楕円反射鏡の第二の焦
点の略近傍に位置して光束の一部を遮断する適宜
カツト縁を有する遮光板とから構成したことを要
旨とするものである。

また、上記コリメーターレンズの中心軸が楕円
反射鏡の光軸に対して平行変位自在に枢設した構
造に成り、コリメーターレンズ位置変更手段等に
より位置変更調節可能にすることにより車両用灯
具として更に有用なものにすることができる。

上記拡散手段を備えたレンズは、透光性素材の
中央部を除く周部に拡散ステツプ、シリンドリカ
ルレンズ及び／又は魚眼レンズ、或いはコリメー
ターレンズの周部にフロスト加工を施すことによ
つて構成することができる。

〔作用〕

而して、本考案に係る車両用灯具によれば、前
記反射鏡により反射された反射光束は、コリメー
ターレンズにより平行光束に屈折偏向され、該コ
リメーターレンズの前方に並設された拡散手段を
備えたレンズによつて中心部を除く周部の光束を
拡散するように成る。

したがつて、楕円反射鏡の略第二焦点近傍に配
置した遮光板のカツト縁を透過してコリメーター
レンズに入射し、該コリメーターレンズの色収差
によつて分光した周部の光束を、上記拡散手段に
よつて分光状態を弱めることができ、カツト縁に
よるコントラストをぼかすと共に、着色を抑制す
るように作用する。

更に、コリメーターレンズのレンズ軸を反射鏡
の光軸に対して変位することによつて、灯具の光
軸から光束が傾き、コリメーターレンズ位置変更
手段を操作することによつて照射方向を制御する
ことができる。

〔実施例〕

以下、本考案に係る車両用灯具の一実施例を図
面に従つて説明する。

第１図乃至第５図は、本考案に係る車両用灯具
を前照灯に応用した実施例を示すものであり、反
射鏡１は、光軸ｆを回転対称軸とした略回転楕円
体曲面の反射鏡面２を持つと共に、第一の焦点Ｆ
１と第二の焦点Ｆ２を有するもので、前面を透光
性素材から成るアウターレンズ３で被覆した灯具
ボデイ４の後端に、バルブ等の点灯用光源５を上
記反射鏡１の第一の焦点Ｆ１に位置するように固
設すると共に、透光性素材の回転対称軸を有する
コリメーターレンズ６を、その焦点Ｆ３が上記反
射鏡１の第二の焦点Ｆ２と略一致する位置に、コ
リメーターレンズ位置変更手段７を介して縦（矢
印Ａ）方向変位調節可能に担持して成る。該コリ
メーターレンズ位置変更手段７は、前記灯具ボデ
イ４内に縦架設したガイド枠８，８に対してコリ
メーターレンズ６を摺動自在に担持すると共に、
該コリメーターレンズ６から灯具ボデイ４外に延
びる作用桿９を、例えばステツプモータ１０と該
ステツプモータ１０の回転運動を直線運動に変更
するウオームギヤ等の回転・直線駆動変換器１１
を介して連結駆動し、ステツプモータ１０の回転
を制御駆動する構造に成つている。また、上記コ
リメーターレンズ６の前方には、透光性素材から
成る拡散レンズ１２を並設するもので、該拡散レ
ンズ１２は、第３図に示すように、偏平なレンズ
背面中央に平板状のノーステツプ部１３を構成す
ると共に、該ノーステツプ部１３の上側と下側に
上下拡散ステツプ１４，１４…、左側と右側に左
右拡散ステツプ１５，１５…から成る拡散構造を
形成してある。１６は、前記反射鏡１の第二の焦
点Ｆ２とコリメーターレンズ６の焦点Ｆ３が略一
致する部位の近傍に配置した遮光板であり、スク
リーン上における鉛直ラインをＶ、水平ラインを
Ｈ（第７図参照）として第４図に示すようなカツ
ト縁１７を形成し、該カツト縁１７の光透過部の
形状によつて形成されるカツトラインCLを有す
る所定の配光パターンを得ると共に、反射鏡１内
への外光の入射を規制して疑似点灯現象の発生を
防止する。尚、上記遮光板１６は、例えば第１図
に示すように、反射鏡１の下縁前方に突設した支
持縁１ａ上に、又は灯具ボデイ４の内面にねじ等
の固定手段（図示していない）によつて一体的に
固定する構造に成つている。

第２図は、コリメーターレンズ６のレンズ軸
f′と光軸ｆが一致するようにコリメーターレンズ
位置変更手段７を駆動したものであり、この状態
で光軸ｆに対して対称な照射光が投光される。コ
リメーターレンズ６を透過した後の光束は、焦点
Ｆ３が反射鏡１の第二の焦点Ｆ２と一致している
ため、光軸ｆと平行な光束と成り、拡散レンズ１
２に到達する。したがつて、該コリメーターレン
ズ６の中央部を透過した光束は、拡散レンズ１２
のノーステツプ部１３を透過して透過後も光軸ｆ
と平行な光束と成り、一方該コリメーターレンズ
６の周部を透過した光束（大きな色収差により着
色している）は、拡散レンズ１２の上下拡散ステ
ツプ部１４又は左右拡散ステツプ部１５を透過し
て透過後拡散した光束と成る。

したがつて、コリメーターレンズ６の色収差に
よつて分光した周部の光束は、該拡散レンズ１２
による光束の再混合によつてその分光状態を弱め
ることができる。

また、配光パターンは、遮光板１６のカツト縁
１７によつて第７図に近似したものが得られる
が、拡散レンズ１２の上下拡散ステツプ１４及び
左右拡散ステツプ１５を透過した拡散光によつて
水平線より上方にも光の一部が照射するため、遮
光板１６のカツト縁１７のコントラストがぼけ
て、柔らかく成る。

次に、第５図はコリメーターレンズ位置変更手
段７のステツプモータ１０を駆動してコリメータ
ーレンズ６のレンズ軸f′を光軸ｆから縦方向に平
行移動変位動作（矢印Ａ）した状態を示すもの
で、この場合は光学レンズ系の原理からも明らか
なように、コリメーターレンズ６の透過後の平行
光束は、光軸ｆに対して移動した方向に傾斜（図
面において下方向に傾斜している）した状態で拡
散レンズ１２に入射するように成り、該拡散レン
ズ１２からの透過光は、前記第２図の状態より俯
角偏向した照射パターンを形成すると同時に、前
記拡散レンズ１２の作用と同様に、コリメーター
レンズ６の中央部を透過した光束は、拡散レンズ
１２のノーステツプ部１３を透過して透過後も光
軸ｆと傾斜直進する光束と成り、一方該コリメー
ターレンズ６の周部を透過した光束は、拡散レン
ズ１２の上下拡散ステツプ部１４又は左右拡散ス
テツプ部１５を透過して透過後拡散した光束と成
る。尚、前記実施例においてはコリメーターレン
ズ６の周部照射光を拡散させるための拡散構造
を、拡散レンズ１２に上下拡散ステツプ部１４及
び左右拡散ステツプ部１５を構成したものを示し
たが、該拡散構造は、これらの拡散ステツプ部１
４，１５をシリンドリカルレンズ又は魚眼レンズ
に変えても同様の効果を奏するものであり、更に
はコリメーターレンズ６のレンズ周辺部にフロス
ト加工を施しても本考案の目的を達成することが
できることはいうまでもない。

〔考案の効果〕

本考案に係る楕円反射鏡を使つた車両用灯具
は、以上のように構成したから、コリメーターレ
ンズによるレンズ系の色収差を抑え、かつ対向車
に与える眩光を抑制すると共に、水平線より上方
にある側方の物体に対する視認性を改善すること
ができる優れた特徴を有するものであり、特に自
動車用の前照灯やフオツグランプとして有用であ
る等、本考案実施例の実用的効果は極めて大き
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る楕円反射鏡を使つた車両
用灯具を前照灯に実施した例を示す縦断面図、第
２図は同構成によりビームを直線照射した状態を
示す要部構成の平断面略図、第３図は拡散レンズ
の正面図、第４図は遮光板の正面図、第５図は同
構成によりビームを俯角偏向した状態を示す要部
構成の縦断面略図、第６図は従来の楕円反射鏡を
使つた灯具を示す要部構成の縦断面略図、第７図
は従来の配光パターンの例を示す説明図である。 １……反射鏡、５……光源、６……コリメータ
ーレンズ、７……コリメーターレンズ位置変更手
段、１２……拡散レンズ、１３……ノーステツプ
部、１４……上下拡散ステツプ、１５……左右拡
散ステツプ、１６……遮光板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 反射面の前方に第一の焦点と第二の焦点を有
   する略楕円鏡面を持つ反射鏡と、 該反射鏡の第一の焦点に配置した光源と、 焦点が前記反射鏡の第二の焦点と略一致する
   位置に設けたコリメータレンズと、 該コリメータレンズの前方の光軸上に配置
   し、コリメータレンズの中央部透過光を除く周
   部透過光を拡散する拡散手段を備えたレンズ
   と、 前記反射鏡の第二の焦点の略近傍に位置して
   光束の一部を遮断する適宜カツト縁を有する遮
   光板とから成ることを特徴とする車両用灯具。 (2) コリメータレンズの中心軸が反射鏡の光軸に
   対して平行変位自在に枢設した構造に成ること
   を特徴とする請求項１記載の車両用灯具。