JPH05317406A - 人工皮膚 - Google Patents

人工皮膚

Info

Publication number
JPH05317406A
JPH05317406A JP4127532A JP12753292A JPH05317406A JP H05317406 A JPH05317406 A JP H05317406A JP 4127532 A JP4127532 A JP 4127532A JP 12753292 A JP12753292 A JP 12753292A JP H05317406 A JPH05317406 A JP H05317406A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
skin
cells
porous membrane
cell
artificial skin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4127532A
Other languages
English (en)
Inventor
Ko Oyamada
香 小山田
Mikio Koide
幹夫 小出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP4127532A priority Critical patent/JPH05317406A/ja
Publication of JPH05317406A publication Critical patent/JPH05317406A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Prostheses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 多孔質膜基材上に増殖性がない動物由来の線
維芽細胞を存在させ、更に未分化の表皮基底細胞が単層
化されて存在している、または、表面を親水化処理した
多孔質膜基材上に未分化の表皮基底細胞が単層化されて
存在していることを特徴とする人工皮膚。 【効果】 本発明の人工皮膚を皮膚欠損部へ移植する
と、治癒過程を著しく短縮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火傷の皮膚創傷等を治
癒するために用いられる新規な人工皮膚及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】動物細胞の培養技術は、インターフェロ
ン、リンフォカイン、各種の成長ホルモンや細胞増殖因
子などの生理活性物質、生体由来材料及び治療ワクチン
などの生産手段としてあるいは細胞組込型人工臓器の基
本技術として欠かせぬものであり、近年これらの物質を
高効率かつ大量に生産する高密度培養法が注目されてい
る。
【0003】動物細胞において、特に生存・増殖・目的
物質の生産のために人工もしくは天然の基材に接着する
ことが「接着依存細胞」の高密度培養では、細胞を培養
する基材表面が細胞の接着性や増殖性の優れた表面であ
ることが必要となってくる。また、細胞の生存や目的物
質の生産能を維持するために、細胞にとって良好な環境
を維持することが重要となり、このため栄養素や酵素の
供給及び老廃物の除去を連続的に行うことが必要となっ
てくる。
【0004】前者の基材表面への細胞接着性に関して
は、組織培養用プラスチックシャーレとして通常使用し
ているポリスチレン系材料や適度の電荷密度を有する表
面が優れていることが知られている。特開平2−169
72号にスチレン−ジビニルベンゼンの架橋重合体を表
面に保持させた多孔質膜が開示されており、また適度な
電荷密度を有する表面については、ジャーナル オブ
セオロジカル バイオロジー(Journal of Theological
Biology)、第49巻、ページ 417〜424(19
75):アドヘション アンド スプレッディング オ
ブ セルズ オンチャージド サーフェセス(Adhesion
and Spreading of Cells on Charged Sarfaces)に記
載されている。また各種の高分子材料表面に低温プラズ
マ処理、スパッタリング処理、紫外線処理、電子線処
理、単分子累積膜の被覆処理などの表面処理を施した材
料(特公昭58−32589、特開昭63−19896
7、特開昭63−198977、特開平1−15133
など)や、コラーゲン,フィブロネクチン、ヒドロネク
チン、ラミニン等の細胞接着因子や細胞増殖因子などで
処理した材料(例えばトランス アメリカン ソサェテ
ィ オブ アーティフィシャル オルガンズ(Trans A
merican Society of Artificial Organs(1987)、
第33巻、ページ6、スコラリー レビューズ(Schola
rly Reviews)“セル アドヘッション ツー バイオマ
テリアルズ(Cells Adhesion to Bimaterials)”)も
検討されている。
【0005】しかし、高分子材料にポリスチレンを用い
て、上記表面処理を施した場合、ポリスチレンには良好
な細胞接着性が付与されるが、物性が脆弱なため、厚さ
の薄いフィルム状物や高密度培養に適した多孔質膜に成
形することは困難であるという欠点が生じる。また、細
胞培養基材が膜厚100μm程度の「多孔質膜」という
特殊な形状であると、一般的に行われている表面処理で
は「膜物性の劣化」や「孔径の閉塞化」等の問題が生じ
るものが多かった。
【0006】また、基材表面をコラーゲンや細胞間マト
リックス(ECM),細胞接着因子などで処理すること
により肝細胞等の細胞の接着性や伸展性が向上するが、
これらの方法では使用前に無菌的にコーティング処理を
施さなければならず、そのため操作が煩雑となるという
欠点がある。また、雑菌混入の可能性が増える点からも
上記方法は好ましいとは言えない。さらに、高密度培養
による有用物質の生産を考えると、大量の膜を使用する
ため、コラーゲンや細胞接着因子の必要量が増大し、経
済的観点から問題点を有している。
【0007】一方、高密度培養細胞の成育環境維持につ
いては、多孔質膜を用いる方法が優れていると考えられ
ている。すなわち、多孔質平膜を積層したり、中空糸を
束ねることにより限られた容積内に多くの表面積を確保
でき、更に、生命活動に必要な物質の供給や異物の除去
を多孔質膜の微小な孔を介して連続的に拡散もしくは膜
間の圧力差により強制的に行うことによって良好な成育
環境を維持することが可能となる。特に、上皮細胞や内
皮細胞のように極性を有する細胞の場合、栄養源の吸収
や代謝が生理的条件と同様に接着基質側から行われるこ
とは、細胞にとって好ましいことである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】皮膚は唯一直接外界に
接している臓器であり、最下層に***能を有する基底細
胞層、その上層にある基底細胞が徐々に分化してできた
有刺層・顆粒層そして最外層の角質層から成り立ってい
る。基底細胞は分化するにつれ、細胞が扁平化し、細胞
質中にケラチンを蓄積し、最終的には完全にケラチンと
なり、外界に***される。このように皮膚のような上皮
系の基底細胞には、真皮側から栄養を補給し角質層に向
けて***するという細胞内分極が存在する。このような
特性から表皮基底細胞は、プラスチックシャーレ上で培
養すると基材との接着面より栄養補給ができず、培養を
続けていくと徐々に基材から剥離し死んでしまう。従っ
て、この細胞内分極という表皮細胞の特性を生かすため
には、細胞が接着している部分から栄養を摂取できなけ
ればならない。このため、物質透過性を持つ細胞培養用
基材が望まれる。コラーゲンからなる膜では、物質透過
性のないコラーゲン基材(プラスチックシャーレにコラ
ーゲンをコートしたもの)に比べ、表皮基底細胞が長期
保持が可能であったという報告がある(ジャーナル セ
ル セイエンス,Journal Cell Science, 第91号、ペ
ージ491〜499(1988))。しかし、コラーゲ
ン膜は栄養を補給できるだけの物質透過性もなく、また
物理的に不安定であり、更に表皮基底細胞が生産するコ
ラゲナーゼにより分解する可能性がある。
【0009】また、近年培養移植法あるいは培養皮膚と
も言える皮膚に近い材料の移植法が行われてきている。
これは重度の患者を対象として、患者の残された正常部
位の皮膚を採取して、単離した細胞を試験管内で培養を
行い、もとの細胞の数十倍から数百倍に増殖したのち、
被覆膜とともに患者の創傷部位に移植してやり、表皮化
を形成させ治癒を図るものである。この方法を臨床に応
用した例として、ガリコら[G.G.Gallico et al.,]の
研究(ニューイングランド ジャーナル オブメディス
ン,第311巻、第7号、448〜451頁)[New En
gland Journal Medicine ,vol 311,No7、p448〜451(19
84)]がある。
【0010】それに対して、人工材料による細胞培養用
基材は上記のコラーゲン膜の欠点を補うものとして市販
されているが、表皮基底細胞の接着性が低く、人工材料
において物質透過性膜の利点を補うものでは未だにな
い。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記事情を鑑
み、移植者の表皮細胞を生体外の基材上で培養して、そ
のまま皮膚欠損部に移植することができる人工皮膚基材
を提示することを目的とする。
【0012】上記目的は以下の構成による本発明により
達成される。
【0013】(1) 多孔質膜基材上に、増殖性がない
動物由来の線維芽細胞を存在させ、更に未分化の表皮基
底細胞が単層化されて存在しており、細胞を多孔質膜か
ら剥すことなく、細胞側を皮膚欠損部の創面に移植する
ことが可能な人工皮膚。
【0014】(2) 線維芽細胞がマウス肺線維芽細胞
(3T3)、ヒト皮膚線維芽細胞とラット皮膚線維細胞
の少なくとも1つから選ばれる(1)に記載の人工皮
膚。
【0015】(3) 多孔質膜がアルコキシアルキルア
クリレートより選ばれる1種以上の重合体をグラフト重
合されたポリオレフィン及び一部もしくは全ての水素が
ハロゲン化されたポリオレフィンよりなる群から選ばれ
た少なくとも1種のものを主成分とする(1)または
(2)に記載の人工皮膚。
【0016】(4) 多孔質膜の平均孔径が0.01〜
1.0μmである(1)から(3)のいずれかに記載の
人工皮膚。
【0017】(5) 多孔質膜基材上に、γ線を0.0
3 Mrad 照射して増殖性のない状態にした3T3細胞を
1×104 〜1×105 cells/cm2 播種し培養した後、
更に表皮細胞を1×104 〜1×105 cells/cm2 (1
%牛胎児血清を含むカルシウム・フリーなDME培地に
懸濁)の範囲で播種し、37℃でインキューベトするこ
とにより、未分化の表皮細胞を単層化させ、細胞を多孔
質膜から剥すことなく、細胞側を皮膚欠損部の創面に移
植することが可能な人工皮膚の製造方法。
【0018】又、本発明は下記の構成によっても達成さ
れる。
【0019】(6) 多孔質膜基材上に未分化の表皮基
底細胞が単層化されて存在しており、細胞を多孔質膜か
ら剥すことなく、細胞側を皮膚欠損部の創面に移植する
ことが可能な人工皮膚。
【0020】(7) 多孔質膜がアルコキシアルキルア
クリレートより選ばれる1種以上の重合性単量体をグラ
フト重合されたポリオレフィン及び一部もしくは全ての
水素がハロゲン化されたポリオレフィンよりなる群から
選ばれた少なくとも1種のものを主成分とする(6)に
記載の人工皮膚。
【0021】(8) 多孔質膜の平均孔径が0.01〜
1.0μmである(6)または(7)に記載の人工皮膚。
【0022】(9) 多孔質膜がプラズマ放電処理され
ていることを特徴とする(6)から(8)のいずれかに
記載の人工皮膚。
【0023】(10) 多孔質膜基材上に、表皮基底細
胞を1×104 〜1×106 cells/cm2 (1%牛胎児血
清を含むカルシウム・フリーなDME培地に懸濁)の濃
度で播取し、更に37℃でインキュベートすることによ
り、未分化の表皮細胞を単層化させ、細胞を多孔質膜か
ら剥すことなく、細胞側を皮膚欠損部の創面に移植する
ことが可能な人工皮膚の製造方法。
【0024】本発明において、物質透過性のある膜は平
均孔径0.01〜1.0μmの貫通孔を有する多孔質膜で
あるのが好ましい。このような膜としては、特に限定す
るものではないが、好ましくはポリプロピレンなどのポ
リオレフィンやポリフッ化ビニリデンなどのハロゲン化
ポリオレフィンが望ましく、更に上記の多孔質膜は疎水
性であるため、親水化されているのが望ましい。これ以
外の膜としては、ナイロン、ポリサルフォン、ポリビニ
ルテレフタレート、ニトロセルロース、再生セルロー
ス、酢酸セルロースなどがある。
【0025】本発明に係わる人工皮膚は、多孔質膜基材
上に、γ線あるいはマイトマイシンCで処理された増殖
性がない動物由来の線維芽細胞が存在し、更に未分化の
表皮基底細胞が単層化されており、細胞を多孔質膜から
剥すことなく、細胞側を皮膚欠損部の創面に移植するこ
とを可能にするものである。この際に用いる多孔質膜
は、細胞増殖性、親水性、柔軟性の優れたポリアルコキ
シアルキルアクリレートが表面グラフト重合され、良好
な細胞接着性、耐脆弱性、親水性を施すことが望まし
い。また、ポリアルコキシアルキルアクリレートは、カ
チオン性やアニオン性の極性基を分子内に持たない適度
な親水性を有しているため、材料表面に吸着されるタン
パク質も静電的相互作用や疎水性相互作用がマイルドと
なり、そのため細胞に対して良好な成育環境が維持され
やすい。
【0026】また、アルコキシアルキルアクリレートを
構成成分とする重合体が、グラフト鎖として基材表面に
共有結合により導入されていると、コーティングや架橋
剤を用いた不溶化による被覆と異なり、重合体層が溶出
したり剥離することがなくなる。また、基材となる材料
が親水化処理された多孔質膜であると、事前に親水化処
理することなく使用することができ、更に培養液が膜の
孔に浸入し、通過できるようになり、膜上での高密度培
養が可能となる。
【0027】また、γ線あるいはマイトマイシンCで処
理された増殖性がない動物由来の線維芽細胞が存在する
と、少量の表皮基底細胞を播種するだけでよい。この人
工皮膚を作製するには、まず移植すべき患者の皮膚の一
部をデルマトームで剥離し、表皮と真皮に分け、また予
め多孔質膜基材上にγ線処理より増殖性のない状態にし
た3T3細胞を104 〜1×105 cells/cm2 播種し、
1日培養した後更に表皮基底細胞を104 〜1×105
cells/cm2 の範囲で播種し、特に1%牛胎児血清を含む
カルシウム・フリーなDME培地を使用して、37℃で
3〜7日間位培養すると、自然に3T3細胞が多孔質膜
基材上から離脱し、直接単層化した未分化の表皮細胞が
多孔質膜基材上に接着することにより、細胞を多孔質膜
から剥すことなく、細胞側を皮膚欠損部の創面に移植す
ることが可能な人工皮膚が得られる。
【0028】また、本発明に係わる人工皮膚は、多孔質
膜基材上に未分化の表皮基底細胞が単層化されており、
細胞を多孔質膜から剥すことなく、細胞側を皮膚欠損部
の創面に移植することを可能にするものである。この際
に用いる多孔質膜は、細胞増殖性、親水性、柔軟性を付
与するため、アルコキシアルキルアクリレートより選ば
れる1種以上の重合性単量体をグラフト重合されたポリ
オレフィン及び一部もしくは全ての水素がハロゲン化さ
れたポリオレフィンよりなる群から選ばれた少なくとも
1種のものを主成分とするものが好ましい。この人工皮
膚を作製するには、まず移植すべき患者の一部をデルマ
トームで剥離し、表皮と真皮に分け、更に表皮基底細胞
を1×104 〜1×106 cells/cm2 の範囲で多孔質膜
基材上に播種し、特に1%牛胎児血清を含むカルシウム
・フリーなDME培地を使用すると37℃でインキュベ
ートすることにより、未分化の表皮細胞が単層化するこ
とができ、細胞を多孔質膜から剥すことなく、細胞側を
皮膚欠損部の創面に移植することが可能な人工皮膚が得
られる。
【0029】本発明において用いる線維芽細胞は特に限
定されないが、好ましくはマウス肺線維芽細胞(3T
3)、ヒト皮膚線維芽細胞とラット皮膚線維細胞が良
い。
【0030】本発明において用いる表皮基底細胞は特に
限定されないが、好ましくはヒト皮膚、特に好ましくは
本発明の人工皮膚を移植される患者本人の皮膚がよい。
【0031】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説
明する。
【0032】
【実施例】
(実施例1)メルトフローインデックスが30及び0.
3のポリプロピレン混合物(混合重量比100:40)
100重量部当り、400重量部の流動パラフィン(数
平均分子量324)及び0.3重量部の結晶核形成剤と
しての1,3,2,4−ビス(p−エチルベンジリデ
ン)ソルビトールを二軸型押出機により溶融し、ペレッ
ト化した。このペレットを上記押出機を用いて150〜
200℃で溶融し、スリット幅0.6mmのTダイより空
気中に押し出し、Tダイ直下に置かれた冷却液相のガイ
ドローラーの回転によって冷却固化液中に導き、冷却固
化して巻き取った。
【0033】巻き取ったフィルム状物を一定長に切断
し、縦横両方向を固定し、1,1,2−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン中に10分間計4回浸
漬して流動パラフィンの抽出を行い、次いで135℃の
空気中で10分間計4回浸漬して流動パフィンの抽出を
行い、次いで135℃の空気中で2分間処理を行って、
孔径0.45μm、膜厚120μmのポリプロピレン製
多孔質膜を得た。
【0034】このようにして得られた多孔質膜に低温プ
ラズマ(アルゴン、0.1ton)を15秒間照射した後、メ
トキシエチルアクリレートの単量体をガス状で供給し、
288Kの温度で5分間表面グラフト重合を行った。グ
ラフト重合後、未反応の単量体を減圧脱気して、0.0
1ton 以下にし、更にプラズマ放電処理を0.1ton、2
0秒間(100W)行った。このようにして得られた膜
をジクロロメタン/メタノール共沸溶媒で2日間洗浄し
た後乾燥させた。
【0035】一方、予め3T3細胞(種類NIH、大日
本製薬(株)より入手、ATCC No.CRL1658)を10%C
S(Calf Serum)−DME(Dulbecoo's Modified Eagle
Medium)懸濁液を3×105 cells/mlに調整し、18
0秒間γ線を照射した後、1000r.p.m.5分間遠心分
離し、最終的に8×104 cells/cm2 で上記で作製した
多孔質膜基材上に播種した。更に、1日培養後、培養液
を除去し、ヒト新生児皮膚から酵素処理により採取した
ヒト角化細胞を1%牛胎児血清を含むカルシウム・フリ
ーなDME培地に懸濁し、1×104 cells/cm2 で播種
し、二酸化炭素雰囲気下でインキュベーターにて7日間
培養人工皮膚を作製した。
【0036】当該人工皮膚を皮膚欠損創を作製したヌ
ードマウスに未分化の表皮細胞を創面側にして移植する
と、21日目には生着したことが組織学的に確認でき
た。
【0037】(実施例2)ポリフッ化ビニリンデン粉末
(三菱油化(株)製、Kynar K301)18重量部をア
セトン73.8重量部及びジメチルホルムアミド8.2重
量部に溶解してなる溶液を、ポリエチレンテレフタレー
トフィルム上にキャストした後、1,1,2−トリクロ
ロトリフルオロエタン浴中に5分間浸漬し、乾燥して膜
厚125μm、平均孔径0.45μmのポリフッ化ビニ
リデン製多孔質膜を得た。
【0038】このようにして得られた多孔質膜に実施例
1と同様に表面グラフト重合及びプラズマ放電処理まで
の処理を行い、得られた試料について実施例1と同様に
してヒト表皮細胞を播種し7日間培養し、人工皮膚を
作製した。
【0039】当該人工皮膚をヌードマウスに移植した
結果、表皮細胞を生着した。
【0040】(実施例3)メルトフローインデックスが
30及び0.3のポリプロピレン混合物(混合重量比1
00:40)100重量部当り、400重量部の流動パ
ラフィン(数平均分子量324)及び0.3重量部の結
晶核形成剤としての1,3,2,4−ビス(p−エチル
ベンジリデン)ソルビトールを二軸型押出機により溶融
し、ペレット化した。このペレットを上記押出機を用い
て150〜200℃で溶融し、スリット幅0.6mmのT
ダイより空気中に押し出し、Tダイ直下に置かれた冷却
液相のガイドローラーの回転によって冷却固化液中に導
き、冷却固化した後巻き取った。
【0041】巻き取ったフィルム状物を一定長に切断
し、縦横両方向を固定し、1,1,2−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン中に10分間計4回浸
漬して流動パラフィンの抽出を行い、次いで135℃の
空気中で10分間計4回浸漬して流動パラフィンの抽出
を行い、次いで135℃の空気中で2分間熱処理を行っ
て、孔径0.45μm、膜厚120μmのポリプロピレ
ン製多孔質膜を得た。このようにして得られた多孔質膜
に低温プラズマ(アルゴン、0.1Torr)を15秒間照射
した後、メトキシエチルアクリレートの単量体をガス状
で供給し、288Kの温度で5分間表面グラフト重合を
行った。グラフト重合後、未反応の単量体を減圧脱気し
て、0.01ton 以下にし、更にプラズマ放電処理を0.
1ton 、20秒間(100W)行った。このようにして
得られた膜をジクロロメタン/メタノール共沸溶媒で2
日間洗浄した後乾燥させた。
【0042】この多孔質膜基材上に、ヒト皮膚から酵素
処理により採取したヒト角化細胞を1%牛胎児血清を含
むカルシウム・フリーなダルベッコ改変イーグル培地
(DME)に懸濁し、1×105 cells/cm2 で播種し、
二酸化炭素雰囲気下でインキュベーターにて7日間培養
し、人工皮膚を作製した。
【0043】当該人工皮膚を皮膚欠損創を作製したヌ
ードマウスに未分化の表皮細胞を創面側にして移植する
と、21日目には生着したことが組織学的に認識でき
た。
【0044】(実施例4)ポリフッ化ビニリデン粉末
(三菱油化株式会社製、Kynar K301)18重量部を
アセトン73.8重量部及びジメチルホルムアミド8.2
重量部に溶解してなる溶液を、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上にキャストした後、1,1,2−トリク
ロロトリフルオロエタン浴中に5分間浸漬し、乾燥して
膜厚125μm、平均孔径0.45μmのポリフッ化ビ
ニリデン製多孔質膜を得た。
【0045】このようにして得られた多孔質膜に実施例
1と同様に表面グラフト重合及びプラズマ放電処理まで
の処理を行い、得られた試料について実施例1と同様に
してヒト表皮細胞を播種し、7日間培養し、人工皮膚
を作製した。当該人工皮膚 4をヌードマウスに移植した
結果、表皮細胞は生着した。
【0046】(比較例1)ポリプロピレンフィルム(フ
ィルム膜厚:60μm、二村化学株式会社製、FOP#
60)をチャンバーに設置し、0.01ton 以下に減圧
した後、低温プラズマ(アルゴン0.1ton)を15秒間
照射し、再び0.01ton 以下に減圧し、更にメトキシ
エチルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレ
ートの単量体をガス状で供給し、288Kの温度で5分
間表面グラフト重合を行った。グラフト重合後は、未反
応の単量体を減圧脱気して、0.01ton 以下にし、続
いてプラズマ放電処理を0.1ton、20秒間(100
W)行った。このようにして得られた膜をジクロロメタ
ン/メタノール共沸溶媒で2日間洗浄した後、乾燥し
た。得られた試料について実施例1及び3と同様にヒト
表皮細胞を播種し、基材上に表皮細胞は接着したが、ヌ
ードマウスに移植しても生着しにくかった。
【0047】
【発明の効果】本発明の人工皮膚は多孔質膜基材上に、
γ線あるいはマイトマイシンCで処理された増殖性がな
い動物由来の線維芽細胞が存在し、更に未分化の表皮基
底細胞が単層化されており、細胞を多孔質膜から剥すこ
となく、細胞側を皮膚欠損部の創面に移植することを可
能にできる。また、本発明の人工皮膚は親水化処理され
た多孔質膜基材上に、未分化の表皮基底細胞が単層化さ
れており、細胞を多孔質膜から剥すことなく、細胞側を
皮膚欠損部の創面に移植することを可能にしたものであ
る。
【0048】これら本発明の人工皮膚を皮膚欠損部へ移
植すると、治癒過程を著しく短縮することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質膜基材上に増殖性がない動物由来
    の線維芽細胞を存在させ、更に未分化の表皮基底細胞が
    単層化されて存在していることを特徴とする人工皮膚。
  2. 【請求項2】 表面を親水化処理した多孔質膜基材上に
    未分化の表皮基底細胞が単層化されて存在していること
    を特徴とする人工皮膚。
JP4127532A 1992-05-20 1992-05-20 人工皮膚 Pending JPH05317406A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4127532A JPH05317406A (ja) 1992-05-20 1992-05-20 人工皮膚

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4127532A JPH05317406A (ja) 1992-05-20 1992-05-20 人工皮膚

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05317406A true JPH05317406A (ja) 1993-12-03

Family

ID=14962349

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4127532A Pending JPH05317406A (ja) 1992-05-20 1992-05-20 人工皮膚

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05317406A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007006987A (ja) * 2005-06-28 2007-01-18 Hokkaido Univ 皮膚再生用の細胞シートを作製するための構造体およびその利用
JP2008200520A (ja) * 2002-03-06 2008-09-04 Univ Of Cincinnati 皮膚の治療または検査用外科用デバイス

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008200520A (ja) * 2002-03-06 2008-09-04 Univ Of Cincinnati 皮膚の治療または検査用外科用デバイス
US7741116B2 (en) 2002-03-06 2010-06-22 University Of Cincinnati Surgical device for skin therapy or testing
JP2011172592A (ja) * 2002-03-06 2011-09-08 Univ Of Cincinnati 皮膚の治療または検査用外科用デバイス
US8765468B2 (en) 2002-03-06 2014-07-01 University Of Cincinnati Surgical device for skin therapy or testing
US9089417B2 (en) 2002-03-06 2015-07-28 Steven T. Boyce Surgical device for skin therapy or testing
JP2007006987A (ja) * 2005-06-28 2007-01-18 Hokkaido Univ 皮膚再生用の細胞シートを作製するための構造体およびその利用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6069384B2 (ja) 温度応答性細胞培養器材、及びその製造方法
US8889417B2 (en) Epidermal cultured cell sheet, multi-layered cultured skin sheet and processes for producing those sheets
CA2012309A1 (en) Cell culture substrate, cell sheet, cell cluster and preparations thereof
JP2003038170A (ja) 前眼部関連細胞シート、3次元構造体、及びそれらの製造法
JP2006320304A (ja) 密閉系細胞培養容器及びそれを利用した細胞培養方法
JPS6133593B2 (ja)
JP2017074050A (ja) 肝組織細胞機能の長期維持方法
JP2008271912A (ja) 密閉系細胞培養容器及びそれを利用した細胞培養方法
US7695958B2 (en) Cell-filled hollow fiber membranes having modified cross-section
JP4874514B2 (ja) 上皮系細胞の重層化培養方法、それから得られる重層化上皮系細胞シート及びその利用方法
JPS63196281A (ja) 細胞培養用基材
JP5252828B2 (ja) 上皮系細胞培養方法
JP5227223B2 (ja) 細胞培養支持体
JPH03266980A (ja) 細胞培養用基材およびそれを用いた細胞集合体の製造方法
JPH05317406A (ja) 人工皮膚
JPS63196273A (ja) 細胞培養用基材
JPH04237492A (ja) 細胞培養用成形物
Takezawa et al. Mass transport via naturally branched scaffolds maintains viability of a reconstituted model of connective tissue
JP2013138690A (ja) 密閉系細胞培養容器及びそれを利用した細胞培養方法
JPH04252174A (ja) 組織培養用成形物およびその製造方法
JP2010088416A (ja) 培養細胞移動治具及びその利用方法
JP2834456B2 (ja) 細胞培養方法
CN115418344A (zh) 一种简单并快速制备图案化细胞薄膜的方法
JPS63196279A (ja) 細胞培養用基材
JPH05260959A (ja) 細胞培養用基材