JPH05313098A - 光学的ローパスフィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 遮断周波数特性を、色信号に寄与するＲ，Ｂ
信号と輝度信号に大きく寄与するＧ信号では、Ｇ信号の
方が高くなるようにすることで、解像度の向上させ、量
産性のある薄くかつ軽量の光学的ローパスフィルタを得
ることを目的とする。 【構成】 光学的ローパスフィルタを構成する２種類の
縞状の材料１と２について、Ｇ波長帯域の代表波長でそ
れぞれの屈折率が等しいか、または、非常に近い値を取
り、屈折率分散がそれぞれ異なる様に選択し、それぞれ
の境界面３を接着剤または樹脂等で充填することで位相
格子を構成することによって、Ｒ，Ｂ波長帯域の位相差
がＧ波長帯域の位相差よりも大きくなり、波長選択性を
持った光学的ローパス効果を発生させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は色分離フィルタを有する
単管式カラービデオカメラや固体撮像素子を用いたカラ
ービデオカメラ等の光学系において、画像を離散的にサ
ンプリングする性質上、除去が必要となるナイキスト限
界以上の空間周波数成分について、波長帯域毎に好適な
光学的ローパス効果を与えることによって、有用な画像
特性を得る位相格子光学的ローパスフィルタに関するも
のである。また、構成し易い構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般的に固体撮像素子を用いたビデオカ
メラ等では、撮像素子上に結像した被写体の像は、固体
撮像素子の空間的なサンプリングのナイキスト限界を越
えた成分を含むものであるため、固体撮像素子に像が入
力されるまでにナイキスト限界以上の空間周波数成分を
除去することを行っている。なぜなら、固体撮像素子を
用いて空間サンプリングする場合、ナイキスト限界を越
えた画像信号成分は出力画像に対して本来被写体の有し
ていない構造を表示したり、モアレ縞、偽色等となって
出力される。このため、従来から撮像系の一部に光学的
ローパスフィルタを配置することによって、固体撮像素
子に入力される被写体の高い空間周波数成分を制限して
いる。この目的のために近年では位相格子光学的ローパ
スフィルタが利用されるようになってきている。

【０００３】さらに、近年になり単板式の撮像系で用い
られる原色カラーフィルタのＧ成分の空間周波数がＲ，
Ｂの空間周波数成分に比べて高いことを有効に利用して
高い解像度の画像を得ることが考えられている。例え
ば、特出平2-113302に示されるように２層から構成され
た位相格子光学的ローパスフィルタがあるが、構成上厚
くなってしまう欠点がある。そこで、本発明では厚みを
位相差発生部分のみに限定し、薄くすることを可能とし
ている。さらに、本発明における位相格子光学的ローパ
スフィルタにおいては、縞状に構成した格子面を任意の
基板で挟むことにより、光学的な行路調整あるいは機構
的な調整にも容易に対応することが可能となる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】波長選択性を持った位
相格子光学的ローパスフィルタを実用化するには、最近
のムービーが小型軽量化の傾向であることも考え、十分
薄くかつ軽量であることが必要となってくる。さらに、
光学的ローパスフィルタとしては、同時に優れたＭＴＦ
(Modulation Transfer Function)特性を示すことが必要
である。また、大きなムービー市場から考えて、大量に
生産できる方法が必要となってくる。

【０００５】本発明は上記課題を解決し、波長選択性の
特徴をもった位相格子光学的ローパスフィルタを提供す
ることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、使用波長領域におけるある波長で屈折率が
等しく、かつ屈折率分散が異なる２つの材料を並べて平
板状に構成し、位相格子から射出する際に、２つの材料
の波長依存性をもった屈折率差によって生じる位相差を
得ることによって、波長選択性の光学的ローパス効果を
得ることができる。また、構成するそれぞれの材料に基
板部分を必要としないことから、本位相格子を薄く構成
することが可能である。

【０００７】

【作用】屈折率がある波長λで等しく、屈折率分散のこ
となる棒状、あるいは繊維状の材料を並べることによっ
て構成された位相格子フィルタでは、位相差を発生させ
る棒状の材料を通過する際に、隣合う材料間の屈折率差
が大きいほど位相差が大きく得られ回折作用も大きくな
る。逆に隣合う材料間の屈折率差が小さいほど位相差は
小さくなり得られる回折作用も小さくなる。

【０００８】すなわち、上記構成において屈折率がほぼ
等しいλの波長帯域では回折作用が小さく、λから離れ
た波長帯域では２つの材料の屈折率の差が大きくなって
回折作用も大きくなる。これによって、基準波長λ付近
では光学的ローパス効果が弱く、高い空間周波数領域ま
で空間周波数が延びる結果となる。また、逆に基準波長
λから離れた波長帯域では光学的ローパス効果が大きく
働き比較的低い空間周波数領域で空間周波数が制限され
ることになる。

【０００９】また、本構成によると位相格子フィルタ自
体を位相差発生部分のみの厚みで構成することができる
ため、薄くすることが可能であり、レンズ系の途中に挿
入する場合でも特別な光学系を新たに構成することなく
使用することができる。

【００１０】本発明に基づき、原色フィルタの緑の波長
帯域での遮断空間周波数が高く、赤あるいは青の波長帯
域での遮断空間周波数が低くなるような構成について示
す。また、本構成例を用いて光学系を構成した場合に位
相格子光学的ローパスフィルタを配置することによって
得られる撮像系としての効果についても示す。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例の波長選択性位相格
子光学的ローパスフィルタについて、図面を参照しなが
ら説明する。

【００１２】図１に本発明の原理的な構成例を示す。棒
状の材料1と異なる材料の2は、接する境界面3を、それ
ぞれ接着剤または樹脂によって充填されており、固定さ
れている。4は接着剤または樹脂の層である。本位相格
子光学的ローパスフィルタは、原理的な前玉ズームレン
ズを用いた撮像系図２に示すように、被写体を5、レン
ズ系を6、像面を7、撮像素子を8とした場合、ズームレ
ンズ等では変倍作用が完了している位置におくことが望
ましく、9のごとく位相格子を配置することによって、
本発明の効果を得ることができる。しかし、ズームによ
る変倍にともなって、波長選択性位相格子光学的ローパ
スフィルタが移動することを可能とするのであれば、必
ずしも図２の位置に限定されるものではなく、5の被写
体と6のレンズ系間あるいは、6のレンズ系中にあっても
同等の性能が得られるものである。

【００１３】図３は、緑色成分については、ローパス効
果を持たず、青色及び赤色成分についてのみローパス効
果を有することを実現する材料の組み合わせの一例で、
図１の材料１の屈折率ｎｄを1.56907、アッベ数νｄを7
1.3とし、材料２の屈折率ｎｄを1.56732、アッベ数を4
2.8とした場合、それぞれの屈折率曲線を10及び11に示
している。横軸が波長、縦軸が屈折率である。

【００１４】図４は、接合に用いる材料の屈折率を1.56
として、カットオフ空間周波数を47.5本／mmとなるよう
に、以下の条件に基づき決定した波長選択性位相格子光
学的ローパスフィルタの断面形状である。 （１）0.1＜ａ／Λ＜0.9 （２）0.1＜ｂ／Λ＜0.9 （３）

【００１５】

【数２】

【００１６】各台形形状の上底部12の長さは250μｍ、
下底部13の長さは750μｍ、高さ14は97μｍである。

【００１７】図５は図４に示した実施例の波長選択性位
相格子光学的ローパスフィルタを用いて構成したビデオ
カメラの画像信号取り込み構成である。本構成で、撮像
素子15からの入力信号は、16サンプルホールド、17オー
トゲインコントロール、18γ補正、19信号処理等の段階
を経て、画像出力されるに至るが、各処理段階はその順
序を異なるものとしても構成することが可能である。本
実施例の位相格子は、緑色帯域ではローパス効果を有し
ないことから、緑色帯域のサンプリングのナイキスト周
波数に合わせたローパス効果を有するローパスフィルタ
を付加することが必要である。さらに、図５に示すビデ
オカメラ系では垂直方向には、位相格子が効果を発生し
ない構成になっているため、垂直方向についてのローパ
スフィルタも付加する必要がある。付加するローパスフ
ィルタは、水晶フィルタでも位相格子フィルタでも良
い。

【００１８】また、波長選択性位相格子と緑色帯域のロ
ーパス効果を得るための光学的ローパスフィルタは、必
ずしも接合されている必要はなく、順序も波長選択性の
位相格子フィルタが物体側像面側のどちらにあっても良
い。また、本発明の位相格子光学的ローパスフィルタ
を、垂直方向に対しても使用することによって垂直方向
の解像度を上げることができ、２次元的にモザイク状に
構成し、２次元方向に対して効果を持つように構成する
こともできる。さらに、光軸方向に対して、本発明の位
相格子フィルタを、適当に回転させることによって、１
枚の波長選択性位相格子光学的ローパスフィルタを挿入
することによって、水平方向・垂直方向の両方に効果を
持ったビデオカメラ光学系を構成することも可能であ
る。

【００１９】

【発明の効果】以上のように本発明は、固体撮像素子等
をもつ単板式のビデオカメラ等の撮像系において、従来
の撮像系では、赤色波長帯域、青色波長帯域、緑色波長
帯域のうち、最もサンプリング周波数の低い波長帯域の
サンプリング周波数を限界として、ローパス効果を与え
る必要があったが、用いられている色分解カラーフィル
タの波長帯域ごとに異なるサンプリング周波数を有効に
利用することにより、解像度の向上が可能である。ま
た、波長選択性位相格子光学的ローパスフィルタを、本
発明のごとく構成することによって位相差発生部分のみ
の厚さに形成することができ、レンズ系のコンパクト化
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における波長選択性位相格子光
学的ローパスフィルタの基本的な構成図

【図２】同実施例における波長選択性位相格子光学的ロ
ーパスフィルタを用いた場合の光学系の原理的な構成図

【図３】同実施例において用いた材料の屈折率曲線図

【図４】同実施例における位相差発生部の断面形状図

【図５】同実施例の波長選択性位相格子光学的ローパス
フィルタを用いて構成したビデオカメラ撮像システムを
示す図

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも２種類の異なる棒状あるいは
   繊維状の材料を、異なる種類の材料同士が隣合うように
   平板状に並べることによって構成される光学的ローパス
   フィルタ。
2. 【請求項２】 請求項１記載の光学的ローパスフィルタ
   において、隣合う２つの棒状あるいは繊維状の材料を、
   使用波長範囲のある波長で屈折率が等しくかつ屈折率分
   散が異なるように選ぶことによって、波長選択的に光学
   的ローパス効果を得ることを特徴とした光学的ローパス
   フィルタ。
3. 【請求項３】 請求項２記載の光学的ローパスフィルタ
   において、以下の条件を満足することを特徴とする光学
   的ローパスフィルタ。 （１）２種類の材料の屈折率は波長λの範囲 ４７０ｎｍ＜λ＜６００ｎｍ のある波長λにおいて、２種類の材料の波長λでの屈折
   率をそれぞれＮ１（λ）、Ｎ２（λ）としたとき Ｎ１（λ）＝Ｎ２（λ） （２）２種類の材料のアッベ数は、２種類の材料のアッ
   ベ数をそれぞれνｄ１、νｄ２としたとき νｄ１＜νｄ２ あるいは νｄ１＞νｄ２
4. 【請求項４】 請求項２記載の光学的ローパスフィルタ
   において、１つの棒状あるいは繊維状の材料の長手方向
   に垂直な断面の形状が台形状で、上底部の平坦部の幅を
   ａ、下底部の平坦部の幅をｂ、高さをｈ、ピッチをΛ、
   基準波長をλｄ、位相格子フィルタと像面との距離を
   ｄ、遮断周波数をｆ、原色カラーフィルタの赤色帯域の
   中心波長λR、原色カラーフィルタの青色帯域の中心波
   長λB、波長λRでの被写体側の層と像面側の層の屈折率
   差ＮR、波長λBでの被写体側の層と像面側の層との屈折
   率差ＮBとしたとき、以下の条件を満足することを特徴
   とした光学的ローパスフィルタ。 （１）0.1＜ａ／Λ＜0.9 （２）0.1＜ｂ／Λ＜0.9 （３） 【数１】
5. 【請求項５】 請求項１記載の光学的ローパスフィルタ
   において、各構成部材の境界を接着剤によって接合する
   ことを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
6. 【請求項６】 請求項１記載の光学的ローパスフィルタ
   において、各構成部材の境界を樹脂によって接合するこ
   とを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
7. 【請求項７】 請求項１記載の光学的ローパスフィルタ
   において、フィルタを構成する際、各部材を少なくとも
   １面を平板の部材によって保持することによって構成す
   ることを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
8. 【請求項８】 請求項４記載の光学的ローパスフィルタ
   を用いて構成したビデオカメラ。