JPH05300800A - 励磁制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】速度検出部１４は、速度検出発生器１３から速
度信号Ｎを検出する。電圧制御部１２は、誤差信号Ｅを
増幅関数により増幅すると共に、速度信号Ｎに応じて前
記増幅関数を制御系が安定するように変化させて電圧制
御信号Ｃを出力する。位相制御部１１は、電圧制御信号
ＣによりゲートパルスＰＬをサイリスタ整流器４に出力
する。 【効果】同期機の端子電圧を安定に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、同期機の端子電圧を制
御するために用いる励磁制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、同期機には、その端子電圧を一
定に制御するための励磁制御装置が備えられる。この種
の励磁制御装置を図３を参照して説明すると、まず、同
期機１の界磁巻線１Ａには、回転整流器２を介して交流
励磁機３から界磁電流が供給される。交流励磁機３の界
磁巻線３Ａには、サイリスタ整流器４から界磁電流が供
給され、サイリスタ整流器４の交流電源は、同期機１の
出力から励磁用変圧器５を介して供給される。

【０００３】ここで、同期機１は回転励磁形、交流励磁
機３は回転電機子形の同期機であり、同期機１の界磁巻
線１Ａと回転整流器２と交流励磁機３の電機子が一体と
なって回転するブラシレス同期機（図示鎖線部分）の構
成となっている。

【０００４】一方、電圧検出部６は、同期機１の端子電
圧を計器用変成器７を介して入力し、この入力に比例し
た電圧検出信号Ｄを比較部８へ出力する。比較部８で
は、電圧設定部９が出力する電圧設定信号Ｒと電圧検出
信号Ｄとの差を誤差信号Ｅとして出力する。電圧制御部
１０は、誤差信号Ｅを増幅すると共に、制御系を安定化
するための位相補償を行って電圧制御信号Ｃを出力す
る。位相制御部１１は電圧制御信号Ｃに応じた位相のゲ
ートパルスＰＬをサイリスタ整流器４に出力する。

【０００５】以上の構成による励磁制御装置では、同期
機１の端子電圧が電圧検出信号Ｄとして検出され、電圧
設定信号Ｒとの差としての誤差信号Ｅが増幅および位相
補償されてサイリスタ整流器４のゲートパルスＰＬの位
相が制御されるから、同期機１の端子電圧が電圧設定信
号Ｒと一致するように制御される。

【０００６】また、同期機１の端子電圧に変化が起こる
ような外乱、例えば、同期機１の負荷変化や、電圧設定
部９が操作されて電圧設定信号Ｒの値が変化された場合
には、同期機１の端子電圧が迅速に、かつ、安定に電圧
設定信号Ｒと一致するように電圧制御部１０の増幅と位
相補償の関数が調整されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の励磁制御装置においては、同期機１の回転速
度が変化したときの動作に問題が発生する場合がある。

【０００８】一般に、同期機１は電力系統と並列して運
転され、そのとき定格同期速度で運転されるが、特殊な
運転状態として定格の同期速度以外の回転速度で運転さ
れることがある。例えば、同期機１が電力系統と並列し
ていて負荷運転を行っているときに、電力系統の事故な
どによって負荷遮断が生じると同期機１の回転速度は一
時的に上昇する。

【０００９】また、同期機１が電力系統と並列せずに単
独の負荷系統で運転しているときにも負荷の変動や回転
速度を制御する装置の異常などの要因によって回転速度
が変化することがある。

【００１０】ところで、同期機１の端子電圧は、界磁巻
線１Ａに流れる界磁電流と同期機１の回転速度にそれぞ
れ比例し、同様に交流励磁機３の出力電圧は界磁巻線３
Ａに流れる界磁電流と交流励磁機３の回転速度、すなわ
ち、同期機１の回転速度にそれぞれ比例する。従って、
上記のように同期機１の回転速度が変化すると、励磁制
御装置の動作に大きく影響を及ぼすことになる。

【００１１】例えば、同期機１の回転速度が上昇すれ
ば、界磁巻線１Ａに流れる界磁電流と同期機１の端子電
圧との比率が回転速度の上昇に比例して大きくなる。同
様に、交流励磁機３の界磁巻線３Ａに流れる界磁電流と
交流励磁機３の出力電圧との比率が回転速度の上昇に比
例して大きくなるから、結果的に界磁巻線３Ａと同期機
１の端子電圧の比率は、回転速度の上昇の２乗に比例し
て大きくなる。

【００１２】その結果、励磁制御系の一巡伝達関数の増
幅率が回転速度の上昇の２乗に比例して大きくなるの
で、回転速度の上昇の程度によって制御系の動作が不安
定になるという問題がある。

【００１３】そこで、本発明は、同期機の回転速度が変
化しても安定に同期機の端子電圧を制御することのでき
る励磁制御装置を提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明は、同期機と、こ
の同期機の端子電圧を一定に制御するための自動電圧調
整部と、この自動電圧調整部の出力する制御信号に基づ
いて同期機の界磁巻線に界磁電流を供給して励磁制御系
を形成する励磁制御装置において、同期機から出力され
る端子電圧と設定端子電圧とを減算し、偏差電圧を出力
する減算手段と、同期機の回転速度を検出し、この回転
速度に応じて速度信号を出力する速度検出部と、速度信
号に応じて前記自動電圧調整部の制御関数を変化させ、
この制御関数の従い前記偏差電圧を演算処理し、前記制
御信号を出力する手段とを設けるようにしたものであ
る。

【００１５】

【作用】上記構成により、同期機の速度信号に応じて制
御系が安定するように自動電圧調整部の制御関数が変化
する。従って、同期機の回転速度が変化し、同期機およ
び励磁機の伝達特性が変化した場合にも、励磁制御系の
一巡伝達関数が著しく変化しないから安定に同期機の端
子電圧を制御することができる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。

【００１７】図１は、本発明の一実施例を示す励磁制御
装置の構成図である。図１において、図３に示した従来
例と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略す
る。図１が図３と異なる点は、電圧制御部１０を構成の
異なる電圧制御部１２とし、その上、速度検出発生器１
３と速度検出部１４を追設したことである。

【００１８】速度検出発生器１３は、同期機１の回転軸
上に設けられた図示しない歯車に近接して設置され、同
期機１の回転速度と比例した周波数のパルス信号ＳＳを
発生するものである。速度検出部１４はパルス信号ＳＳ
を入力とし、同期機１の回転速度と比例した速度信号Ｎ
を出力するものである。なお、速度信号Ｎの信号レベル
は同期機１の回転速度が定格の同期速度のときは１．０
を出力する。

【００１９】電圧制御部１２は、誤差信号Ｅを増幅する
と共に、制御系を安定化するための位相補償を行って電
圧制御信号Ｃを出力すると共に、速度信号Ｎを入力し
て、その値に応じて上記増幅の関数を連続的に変化させ
るものである。

【００２０】ここで、上記電圧制御部１２は、図２に示
すように増幅部１２ａと二乗演算部１２ｂと除算部１２
ｃと位相補償部１２ｄとから構成される。増幅部１２ａ
は誤差信号Ｅを次の式（１）により比例増幅して信号Ｘ
を出力する。

【００２１】

【数１】Ｘ＝ＫＥ…………（１）

【００２２】ここで、Ｋ＝比例定数

【００２３】二乗演算部１２ｂは速度信号Ｎを次の式
（２）により演算した信号Ｙを出力する。

【００２４】

【数２】Ｙ＝Ｎ² …………（２）

【００２５】除算部１２ｃは、次の式（３）により信号
Ｘを信号Ｙで除算した結果を信号Ｚとして出力する。

【００２６】

【数３】Ｚ＝Ｘ／Ｙ＝ＫＥ／Ｎ² ……………（３）

【００２７】位相補償部１２ｄは、信号Ｚを位相補償し
て電圧制御信号Ｃを出力する。

【００２８】上記構成で、同期機１の同期速度が速度検
出発生器１３によりパルス信号ＳＳに変換され、速度検
出部１４に入力され、速度検出部１４から速度信号Ｎが
電圧制御部１２の二乗演算部１２ｂへ入力される。この
場合に、速度信号Ｎは同期機１の回転速度が定格のとき
１．０が二乗演算部１２ｂへ出力され、前記の式（１）
により二乗演算部１２ｂからの信号Ｙが１．０として除
算部１２ｃに入力される。これによって、増幅部１２ａ
の信号Ｘと二乗演算部１２ｂの信号Ｙとが前記の式
（３）により除算され、信号Ｘと信号Ｚとが同一の値が
位相補償部１２ｄに入力される。従って、同期機１が定
格の同期速度で運転しているときは従来例と同一の作用
をする。

【００２９】次に、同期機１の回転速度が上昇したとき
は、速度検出部１４の速度信号Ｎは１．０以上となり、
この値が二乗演算部１２ｂに入力されて二乗される。こ
のとき同期機１の電圧も上昇して速度信号Ｎの二乗に比
例した信号Ｙが電圧制御部１２の増幅部１２ａに入力さ
れる。除算部１２ｃでは、前記の式（３）により増幅部
１２ａの信号Ｘを二乗演算部１２ｂの信号Ｙで除算され
た信号Ｚが出力される。この結果、信号Ｚの値は、前記
した同期機１の回転速度が定格の同期速度のときと同じ
値となり位相制御部１１がゲートパルスＰＬをサイリス
タ整流器４に出力される。

【００３０】このように、同期機１の回転速度が上昇し
たとき、界磁巻線３Ａと同期機１の端子電圧の比率が回
転速度の上昇の二乗に比例して大きくなるが、電圧制御
部１２の増幅率が同期機１の回転速度の二乗に反比例す
るから、励磁制御系の一巡伝達関数の増幅率は同期機１
の回転速度が上昇しても変化しない。従って、制御系の
動作は同期機１の回転速度の変化の影響を受けることな
く安定な制御を継続することができる。

【００３１】なお、上記実施例では、電圧制御部１２の
増幅率を同期機１の回転速度の二乗に反比例して連続的
に変化させているが、これに限ることなく装置の簡素化
を図るために増幅率を段階的に切替えてもよい。また、
上記実施例では、同期機１の回転速度の変化に応じて電
圧制御部１２の増幅率だけを変化させているが、増幅率
だけでなく位相補償関数を変化させても同様の効果が得
られる。

【００３２】上記実施例は、同期機１の回転速度の変化
による影響が大きいブラシレス励磁方式に対して本発明
を適用したものであるが、交流励磁機を持たずにサイリ
スタ整流器の出力で同期機１の界磁巻線１Ａに界磁電流
を供給するサイリスタ励磁方式に対しても適用できる。
この場合、電圧制御部１２の増幅率を同期機１の回転速
度に反比例させればよく、二乗演算部１２ｂを削除する
ことで簡単に対応することができる。

【００３３】また、近年多く用いられるマイクロプロセ
ッサを応用したディジタル式制御装置では、本実施例に
示した制御関数の変化は比較的容易に実現することがで
きる。このディジタル式制御装置では、サンプリングに
よる信号の検出時間遅れや演算時間遅れによって制御系
の安定化の裕度が少なくなる傾向があるが、本実施例に
よって安定化を維持する効果が得られるので、ディジタ
ル式制御装置の採用が容易となるという効果も得られ
る。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、同
期機の回転速度の変化を検出する速度検出部を設け、そ
の出力に応じて自動電圧調整器の制御関数が励磁制御系
を安定するように変化させる手段を設けたことによっ
て、同期機の回転速度が変化しても安定な励磁制御がさ
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す励磁制御装置の構成図
である。

【図２】図１の電圧制御部を示す構成図である。

【図３】従来例を示す図１に対応する励磁制御装置の構
成図である。

【符号の説明】

１ 同期機 ２ 回転整流器 ３ 交流励磁機 ４ サイリスタ整流器 ６ 電圧検出部 ８ 比較部 ９ 電圧設定部 １１ 位相制御部 １２ 電圧制御部 １３ 速度検出発生器 １４ 速度検出部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 同期機と、この同期機の端子電圧を一定
   に制御するための自動電圧調整部と、この自動電圧調整
   部の出力する制御信号に基づいて同期機の界磁巻線に界
   磁電流を供給して励磁制御系を形成する励磁制御装置に
   おいて、 前記同期機から出力される端子電圧と設定端子電圧とを
   減算し、偏差電圧を出力する減算手段と、 前記同期機の回転速度を検出し、この回転速度に応じて
   速度信号を出力する速度検出部と、 前記速度信号に応じて前記自動電圧調整部の制御関数を
   変化させ、この制御関数の従い前記偏差電圧を演算処理
   し、前記制御信号を出力する手段を備えたことを特徴と
   する励磁制御装置。