JPH0529294U - 圧電アクチユエータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 簡単な構造でリニア運動を実現できる圧電ア
クチュエータを得る。 【構成】 断面が長方形の金属棒の対向する側面に、縦
振動を得るためと屈曲振動を得るための圧電セラミック
板１０ａ，１０ｂを配置する。圧電セラミック板１０
ａ，１０ｂの電極に印加する電圧によって二つの振動モ
ードが発生し、これによって圧電セラミック板の配置さ
れていない屈曲振動面に生じる回転運動によってアクチ
ュエータを得る。側面に生じる回転は、位置によって方
向が異なるので、同じ回転方向部分のみを残して他の部
分を削って凹部５を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、圧電アクチュエータに係るもので、特に、リニア駆動（運動）が可 能な圧電アクチュエータに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

圧電モータ、圧電アクチュエータの各方面での利用が考えられ、またそのため の各種の構造の圧電モータ、圧電アクチュエータが提案されている。少電力駆動 が可能であり、電磁波の影響がないといった利点があるためである。しかし、大 きなトルクを得たり、大きな変位量を得るためには、複雑な構造が必要となった り、製造も難しくなるなどの問題もある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、簡単な構造で、比較的大きな出力の得られる圧電アクチュエータを 得ようとするものである。

【０００４】 また、リニア駆動（運動）を得ることができ、精密装置の位置決めなどに適し た圧電アクチュエータを得ようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、直方体の棒状金属片の側面に貼り付けた圧電セラミック板の変位に よって、縦振動と屈曲振動を生じさせ、それによって屈曲振動面に生じる楕円運 動の同じ方向に回転する部分のみを利用することによって、上記の課題を解決す るものである。

【０００６】 すなわち、断面が長方形の金属棒の側面に電極を形成した複数の圧電セラミッ ク板を具え、一部の圧電セラミック板に印加する電圧によって生じる縦振動と、 他の圧電セラミック板に印加する電圧によって生じる屈曲振動とにより、圧電セ ラミック板を具えない屈曲振動面に楕円運動を生じる圧電アクチュエータにおい て、その屈曲振動面の一部に凹部が形成され、その面に当接する物体との相対的 な位置を移動させることに特徴を有するものである。

【０００７】

【作用】

金属棒のサイズを、縦振動と屈曲振動においてそれぞれ同じ周波数で共振する か、その高次モードの共振周波数で共振するようにしておく。そして、二種類の 圧電セラミック板の電極に同じ周波数で駆動電圧を印加して、それぞれの振動モ ードを生じさせる。二つの振動モードによって、金属棒の圧電セラミック板が貼 り付けられていない端面および側面に楕円運動を生じさせる。この側面には回転 方向の異なる楕円運動が生じる。同じ方向の回転を生じる部分を物体に当接させ て物体を移動させるか、あるいはこの金属棒自体を移動させることが可能となる 。

【０００８】 二種類の圧電セラミック板に印加する電圧には位相差を持たせるが、この位相 差を変えることによって回転を生じる向きを変えることができ、それによって移 動方向を変えることができる。

【０００９】

【実施例】

以下、図面を参照して、本考案の実施例について説明する。

【００１０】 図２は、本考案の前提となる縦振動、屈曲振動の二つの振動モードを利用する アクチュエータ形状を示す斜視図である。黄銅製の金属棒15を45.8mm×10mm× 3 mmの寸法に切出し、その側面に圧電セラミック板20a 、20b を貼り付ける。45.8 mm×10mmの側面に、15mm× 9mmのサイズの圧電セラミック板20a 、20b を貼り付 けた。圧電セラミック板20a 、20b は金属棒の長手方向に直角方向に三分割し、 それぞれ 3mm幅の三本の電極を形成してある。中央の電極21a 、21b は縦振動を 生じさせる電極であり、両側でこれを挟む電極22a 、22b は屈曲振動を発生させ るための電極である。

【００１１】 反対側の側面にも、同様な圧電セラミック板と電極が形成してあり、金属棒を 挟んでセラミック板が対向した構造となっている。

【００１２】 上記の寸法の金属棒の長さ方向の端面を切削して、共振周波数に合致する寸法 とした。この場合、縦振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数またはその高次 モードの共振周波数を合わせ込む寸法とした。上記の例では、上記の長さを40.0 mmまで削ったときに、40.4kHz で共振周波数を一致させることができた。

【００１３】 圧電セラミック板の電極に縦振動を生じさせる電圧と、屈曲振動を生じさせる 電圧を90°または 270°の位相差で印加する。なお、この場合は圧電セラミック 板は表側がプラス、金属棒側がマイナスに分極してある。図３に示したように、 縦振動を生じさせる電源31の両端は、対向する縦振動を生じる中央の電極にそれ ぞれ接続され、屈曲振動を生じさせる電源32の一端は屈曲振動を発生させる電極 の一方に接続され、他端が縦振動を生ずる電極を挟んで対向する他の電極に接続 される。ただし、同じ面では同じ側の電極に接続されるのではなく、斜交いに接 続した構造となっている。

【００１４】 上記の構造、配線の金属片の電極に対し、縦振動用圧電セラミック板の電極21 a 、21b には、ピークツーピーク100Vの電圧を、屈曲振動用圧電セラミック板の 電極22a 、22b には同じく60V の電圧を90°の位相差を持たせて印加した。なお 、周波数は40.6kHz とした。その結果、圧電セラミック板の貼られていない端面 に生じる運動を回転計で測定した。金属棒の両端の10mm× 3mmの面には、すでに 考案者が確認したように、同じ方向の回転運動が生じる。上記の構造においては 、40mm× 3mmの側面にも回転運動が生じることが確認された。この回転計は直径 ９mmの円盤を当接させて回転回数を測定するものである。測定位置は、その側面 を20分割した21点で、それぞれの結果について表１に示す。また、位相差を 270 °とした場合の結果も並べて示した。

【００１５】

【表１】

【００１６】 上記のように、共振周波数付近において、両端部で同じ方向に大きな回転運動 が生じていることが確認された。同様に、縦振動と屈曲振動の駆動電圧の位相差 を変えると、回転方向が変わることも確認された。

【００１７】 このように、側面ではすべての場所で同じ方向に回転するのではなく、位置に よって回転方向が異なっている。したがって、このまま物体を当接させても移動 させることはできない。本考案は、図１に示したように、屈曲振動を生じる側面 の一部を除去して凹部５を形成することによって、同じ方向の成分のみを取り出 すことができるようにしたものである。

【００１８】 図１は、本考案の実施例を示す斜視図である。サイズは図２と同様であり、圧 電セラミック板10a 、 10b の形状、寸法もほとんど同じである。ただし、側面を 削るために幅を若干狭く形成した。屈曲振動を生じる側面の中央部を削り、両端 のみが突出する構造とした。この突出した部分5a、5bが、移動させる物体に当接 することになる。

【００１９】 上記の構造では、一次の縦振動と二次の屈曲振動を用いているので、中央部が 逆回転となるものと考えられる。したがって、中央部に凹部５を設けたが、振動 の次数を変えた場合には、その振動モード（次数）によって、凹部を形成する位 置を選択すればよい。

【００２０】

【考案の効果】

本考案によれば、凹部を設けてその部分では移動させる物体と非接触にするこ とによって回転方向が一定となり、簡単な構造、結線によって大きな運動量を有 する圧電アクチュエータが得られる。この運動を生じる部分に移動物体を載せて 、所望のスピードで所望の距離だけ移動させることができる。

【００２１】 また、印加する電圧の位相差を調整することによって、移動方向を切り換える ことも容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例を示す斜視図。

【図２】 従来の圧電アクチュエータを示す斜視図

【図３】 駆動電源の接続の説明図

【符号の説明】

５ ：凹部 10、20：圧電セラミック 21、22：電極

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面が長方形の金属棒の側面に電極を形
   成した複数の圧電セラミック板を具え、一部の圧電セラ
   ミック板に印加する電圧によって生じる縦振動と、他の
   圧電セラミック板に印加する電圧によって生じる屈曲振
   動とにより、圧電セラミック板を具えない屈曲振動面に
   楕円運動を生じる圧電アクチュエータにおいて、その屈
   曲振動面の一部に凹部が形成され、その側面に当接する
   物体との相対的な位置を移動させることを特徴とする圧
   電アクチュエータ。
2. 【請求項２】 凹部が当該屈曲振動面の中央部に形成さ
   れた請求項１記載の圧電アクチュエータ。