JPH0529012U - レンズの保持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】レンズの保持構造に関し、軸ずれを最小限に抑
えながら変形を除去し、光学性能を劣化させないレンズ
の保持構造を提供する。 【構成】内周に、剛体突起２ａと板ばね２ｂで成る弾性
突起を配設する筒枠２にレンズを嵌合したとき、そのレ
ンズの寸法ばらつき、環境よる寸法の変化に対しても、
剛体突起２ａにより位置ぎめされ、板ばね２ｂからなる
弾性突起が容易に変形する 【効果】レンズ、筒枠両者の寸法ばらつきおよび温度、
湿度等の環境による寸法変化にも、レンズの軸ずれを最
小限としながら変形させることなく保持することがで
き、光学性能の劣化を防止できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、レンズ保持構造において、レンズ外周の保持構造に係り、特に、レ ンズの軸ずれを最小限にしながら変形を防止し、レンズの光学性能を劣化させな い保持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、プラスチックレンズの外周部の保持構造は、特開昭６０−３２０１７号 公報に記載されているように、レンズの外周部と合成樹脂製の筒枠内に形成され た嵌合部とが弾性体を介して嵌合される。もしくは、実開平２−８５４１２号公 報に記載されているように、レンズの外周部と合成樹脂製の筒枠内に形成された 嵌合部とが隙間なく、そして、互いに力が加わることなく嵌合するのが最も一般 的に用いられるレンズ変形を防止する保持構造である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来のレンズ外周の変形を防止する保持構造は、前述のように、レンズ外周部 と筒枠内の嵌合部とが隙間なく、そして、互いに力が加わることなく嵌合するか 、もしくは弾性体を介して嵌合する設計が一般的であるが、両者の寸法ばらつき ならびに温度、湿度等の環境変化に伴う嵌合後の寸法変化について考慮すると、 筒枠内の嵌合部とレンズ外周との間に隙間を設けるか、もしくは、嵌合部すべて に軸だしの困難な弾性体を介さざるを得ない。その結果、レンズは、その隙間や 弾性体から受ける力のアンバランスにより軸ずれを生じ、光学性能を著しく劣化 させる。そこで、レンズの軸ずれを防止するために、弾性体を用いず筒枠内嵌合 部の内径をレンズ外径より小さくして嵌合した場合、レンズは筒枠内嵌合部から 力を受けて変形を生じ著しく光学性能を劣化させてしまうという問題があった。 本考案の目的は、レンズの軸ずれを最小限としながら変形を除去し、光学性能 を劣化させないレンズの保持構造を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は筒枠内に等角度で形成された二点以上の 剛体突起と一点以上の弾性突起を用いてしまりばめでレンズ外周を保持すること により、レンズの軸ずれを最小とし、一点以上の弾性突起を設けることで、しま りばめで保持してもレンズ変形を生じないようにした。

【０００５】

【作用】

本考案によれば、レンズの外周を筒枠内に等角度で形成された複数点の剛体突 起と一点以上の弾性突起により、しまりばめで保持することは、両者の寸法ばら つきおよび温度、湿度等の環境変化に伴う嵌合後の寸法の経時変化がおこっても 、レンズ外周と筒枠内の突起部はつねに隙間なく嵌合される。さらに複数点の剛 体突起を設けることにより、レンズは、その軸がつねにその突起で位置ぎめされ るため複数のレンズを組んだような場合に、その軸ずれを最小限に抑えることが できる。

【０００６】 また、筒枠に一個所以上の弾性突起によって嵌合することは、レンズ外周をし まりばめで保持しても、弾性突起のみが大きく変形し、レンズが嵌合部から受け る反力は弱くなる。その結果、レンズの変形を最小限に抑えることができる。さ らにレンズ、筒枠の両者の寸法ばらつきおよび温度、湿度等の環境変化に伴い寸 法が経時的に変化して、嵌合度合いが変わった場合でも、レンズの変形を最小限 に抑えることができる。

【０００７】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図に基づいて説明する。図１でレンズ外周の保持 構造において、その筒枠構造について説明する。合成樹脂製の筒枠２内部の円周 上に二点の剛体突起２ａと切欠き３を１２０度の等角度で形成し、切欠き３に板 ばね２ｂを筒枠２の中心方向に弧を描くように配置し、板ばね２ｂの弧の先端は 、突起２ａの嵌合部４の内接円２ｃより０．１ｍｍ程度小さくなるように板ばね の長さをきめ、厚さはレンズ保持に十分であり、しかも、レンズの寸法変化を妨 げない弾性力を持つ厚さにする必要がある。

【０００８】 図２に、図１に示した構造をもつ筒枠２にレンズ１を嵌合させた状態を示す。 レンズ１は、筒枠２の剛体突起２ａの嵌合部４と板ばね２ｂによりつねぬにしま りばめで保持されており、レンズの軸は筒枠２の剛体突起２ａの嵌合部により位 置ぎめされることで、複数のレンズの寸法ばらつき並びに軸だしの困難な弾性体 を介したしまりばめ構造においても、レンズの軸ずれを最小限に抑えることがる 。また、筒枠１の板ばね２ｂによる弾性突起は、容易に変形するため、レンズの 寸法ばらつきおよび環境による嵌合後の寸法変化においてもレンズには過大な締 め付け力は作用せずレンズを変形させることなく保持することができる。

【０００９】 なお、板ばね２ｂの高さｄは板ばねが変形してもつねに筒枠１と接しない十分 な高さを取る必要がある。

【００１０】 以上の実施例は、レンズ保持点が三個所の場合について説明したが、保持点が 四個所以上であっても同様の効果が得られる。ただし弾性突起部と剛体突起部の 配置は、レンズに加える力が釣り合う位置である必要がある。

【００１１】

【考案の効果】

本考案によれば、レンズ、筒枠両者の寸法ばらつきおよび温度、湿度等の環境 による寸法変化においても、軸ずれを最小限に保ちながら変形させることなく保 持できるので、光学性能の劣化を防止できる。

【００１２】 また、これを実現するために必要な部品は一点なため、原価面でも安価で可能 である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の筒枠の説明図、

【図２】図１の構造の筒枠にレンズを嵌合させた状態の
説明図、

【図３】従来の筒枠でのレンズ外周の保持の説明図。

【符号の説明】

１…レンズ、２…筒枠、２ａ…剛体突起部、２ｂ…板ば
ね（弾性突起部）、２ｃ…内接円、３…切欠き部、４…
嵌合部、ｄ…板ばね高さ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂製の円筒状の筒枠内に複数のレン
   ズと間隔環を配置したレンズ鏡筒において、筒枠内に、
   等角度で配置された複数個所の剛体突起部と、一個所以
   上の弾性突起部を円周を構成するように配置し、前記剛
   体突起部の先端で前記レンズの外周をしまりばめで保持
   することを特徴とするレンズの保持構造。