JPH05288136A

JPH05288136A - アシストエア式燃料噴射装置

Info

Publication number: JPH05288136A
Application number: JP11414292A
Authority: JP
Inventors: Kazumitsu Kobayashi; 一光小林; Akira Kiyomura; 章清村; Toru Mashita; 亨真下
Original assignee: Unisia Jecs Corp
Current assignee: Hitachi Unisia Automotive Ltd
Priority date: 1992-04-07
Filing date: 1992-04-07
Publication date: 1993-11-02

Abstract

(57)【要約】【目的】単一のインジェクタから副燃焼室と主燃焼室
に燃料を過給アシストエアと共に分配して噴射し、リー
ンバーン制御時でも混合気を安定して燃焼させることが
できるアシストエア式燃料噴射装置を提供する。【構成】インジェクタ２８とシリンダヘッド３との間
には、インジェクタ２８用の保持筒３７とプラグ取付部
３８を有する隔壁部材３６を設け、隔壁部材３６の保持
筒３７内には連通穴４１を介して燃焼室４側と連通する
副燃焼室４２を画成する。そして、隔壁部材３６に設け
た分配ノズル４４により、インジェクタ２８の噴出穴３
４から過給アシストエアと共に噴出してくる燃料Ｆを、
燃焼室４側と副燃焼室４２側とに分配して供給し、副燃
焼室４２内のリッチ傾向となる混合気を点火プラグ４３
によって着火させ、このときの火炎を燃焼室４内に噴出
させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車用エンジ
ンの気筒内に燃料をアシストエアにより微粒化した状態
で供給するのに好適に用いられるアシストエア式燃料噴
射装置に関し、特に、筒内直接噴射式のフューエルイン
ジェクタを用いるようにしたアシストエア式燃料噴射装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車等に搭載される筒内直接噴
射式のフューエルインジェクタを備えたアシストエア式
燃料噴射装置は、シリンダヘッド側に燃焼室が画成され
るエンジン本体と、該エンジン本体の燃焼室内に向け噴
射ノズルから燃料を噴射させ、該噴射ノズル周囲にエア
室を有した筒内直接噴射式のインジェクタと、該インジ
ェクタのエア室内に過給アシストエアを供給し、前記噴
射ノズルから噴射された燃料を微粒化する過給アシスト
エア供給手段と、燃料ポンプから吐出された燃料を前記
インジェクタ内に供給する燃料配管と、該燃料配管内の
燃圧を制御圧に基づき調圧する圧力レギュレータとを備
えて構成されている。

【０００３】この種の従来技術によるアシストエア式燃
料噴射装置では、エンジンの吸気行程で筒内直接噴射式
のインジェクタのエア室に燃料を噴射し、このときに過
給アシストエア供給手段からエア室内に供給される過給
アシストエアで噴射燃料を霧状に微粒化させる。そし
て、この微粒化した燃料をインジェクタからエンジン本
体の燃焼室内に噴出させることにより、該燃焼室内でこ
の燃料と吸入空気とをよく混合させ、燃料の燃焼効率を
向上させると共に、排気ガスの清浄化と燃費の向上を図
るようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、インジェクタの噴射ノズルから噴射した燃
料を過給アシストエアにより微粒化しているものの、こ
の微粒化した燃料はエンジン本体の燃焼室内に噴出され
るに過ぎないから、この燃料を燃焼室内で吸入空気と混
合させたときに、混合気の濃度が燃焼室内で不均一にな
ることがあり、点火プラグの周囲で混合気が希薄（リー
ン）になったときには、混合気の着火性が低下し、特に
空燃比Ａ／Ｆが１８〜１９位となる希薄混合気を用いる
リーンバーン制御時には着火性の低下が著しく、点火プ
ラグの火花では混合気に点火を行うことができないこと
がある。

【０００５】そこで、希薄な混合気でも点火プラグの着
火性を向上させるため、シリンダヘッドに燃焼室と連通
し、該燃焼室よりも小さい容積をもった副燃焼室を形成
し、前記シリンダヘッドの吸気ポ−トから燃焼室内に空
気と燃料との希薄な混合気を吸入すると共に、副燃焼室
には筒内直接噴射式の副インジェクタと点火プラグとを
取付ける構成とした他の従来技術も知られている。そし
て、この他の従来技術では、副インジェクタから副燃焼
室内に燃料を噴射させることにより、副燃焼室内の混合
気をリッチ傾向とし、点火プラグの着火性を向上させる
ようにしている。

【０００６】しかし、この場合にはシリンダヘッドの吸
気ポート側に主インジェクタを設けると共に、副燃焼室
に副インジェクタを設けることになるから、各インジェ
クタの噴射量を燃料の噴射制御装置により個別に演算し
て制御しなければならず、制御処理が複雑化する上に、
２個のインジェクタを設ける必要があるから、燃料噴射
装置全体の構成部品が増え、組立時の作業性が悪くなる
という問題がある。

【０００７】また、従来技術では、インジェクタから噴
射される燃料の燃圧を、吸気マニホールド側のエア圧に
基づき圧力レギュレータにより調圧する構成であり、イ
ンジェクタの先端側にはエア室を形成し、インジェクタ
から噴射される燃料に向けてエア室から過給アシストエ
アを供給しているために、インジェクタからの噴射燃料
がエア室から供給される過給アシストエアの圧力に影響
され、噴射流量が抑制されるという問題がある。

【０００８】即ち、インジェクタに印加する噴射信号の
パルス幅を順次増大させた場合に、過給アシストエアの
供給を停止させた状態では燃料の噴射流量が図４に一点
鎖線で示す特性線Ａの如くパルス幅に比例して増大す
る。しかし、過給アシストエアを供給すると、このエア
圧に影響されて噴射流量は実線で示す特性線Ｂの如く低
下してしまい、特にリーンバーン制御を行っているとき
には燃料の噴射流量が大幅に低下してしまうという問題
がある。

【０００９】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は単一のインジェクタからエンジ
ン本体の主燃焼室と副燃焼室とに燃料を分配して供給す
ることにより、副燃焼室内では混合気をリッチ傾向にし
て混合気の着火性を向上でき、主燃焼室内では副燃焼室
からの火炎により希薄な混合気を燃焼させて混合気全体
の燃焼効率を大幅に向上できると共に、インジェクタか
ら噴射する燃料の噴射流量が過給アシストエアに影響さ
れて低下するのを防止でき、燃料の噴射流量を安定化さ
せることができるようにしたアシストエア式燃料噴射装
置を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が採用する構成は、エンジン本体のシリンダヘ
ッドに、インジェクタとの間に位置して燃焼室をシリン
ダ側の主燃焼室とインジェクタ側の副燃焼室とに画成
し、該副燃焼室を主燃焼室に連通させる連通穴が形成さ
れた隔壁部材を設け、該隔壁部材には、前記インジェク
タから過給アシストエアと共に噴出される燃料の一部を
前記副燃焼室内に分配し、残余の燃料を過給アシストエ
アと共に前記連通穴を介して主燃焼室内に導出させる分
配ノズルと、該分配ノズルにより副燃焼室内に分配して
噴出された過給アシストエアと燃料とを副燃焼室内で燃
焼させ、火炎を前記連通穴から主燃焼室内に噴出させる
点火プラグとを設けたことにある。

【００１１】また、圧力レギュレータは、エア室内の圧
力を制御圧として導くことにより、燃料配管内の燃圧を
調圧してなる構成とするのがよい。

【００１２】

【作用】上記構成により、燃料は単一のインジェクタか
ら分配ノズルによって予め設定された割合で主燃焼室側
と副燃焼室側に分配して噴出されるようになり、副燃焼
室内の混合気をリッチ傾向にすれば、このリッチ傾向の
混合気を点火プラグで確実に点火して燃焼させることが
できる。そして、副燃焼室内の火炎を連通穴を介して主
燃焼室内に拡散して噴出させ、主燃焼室内の希薄な混合
気に着火させることにより、混合気全体の燃焼効率を向
上させることができる。

【００１３】また、圧力レギュレータで制御する燃料配
管内の燃圧をエア室から噴射燃料に向けて供給した過給
アシストエアの圧力に基づき制御できるので、インジェ
クタから噴射する燃料の燃圧を、例えば過給アシストエ
アの圧力に対応させて高めに設定することができ、燃料
の噴射流量が過給アシストエアのエア圧に影響されるの
を防止することができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１ないし図３に基
づいて説明する。

【００１５】図において、１は自動車のエンジン本体を
示し、該エンジン本体１は、例えば４気筒のシリンダ２
（１気筒のみ図示）と、該シリンダ２上に搭載されたシ
リンダヘッド３と、シリンダ２内を往復動し、該シリン
ダヘッド３との間に燃焼室４を画成するピストン５と、
該ピストン５をクランク軸６に連結し、該ピストン５の
往復動をクランク軸６の回転出力として導出させる連接
棒７とから大略構成され、シリンダヘッド３には吸気弁
８と排気弁９とが設けられている。また、該シリンダヘ
ッド３には、燃焼室４内に向けて燃料を噴射するため、
後述するインジェクタ２８が取付けられている。

【００１６】１０はシリンダヘッド３の吸気側に接続さ
れた吸気管を示し、該吸気管１０は吸気マニホールド等
を含んで構成され、その途中にはエアクリーナ１１，エ
アフロメータ１２およびスロットルバルブ１３等が設け
られている。１４はシリンダヘッド３の排気側に接続さ
れた排気管を示し、該排気管１４は排気マニホールド等
を含んで構成され、燃焼室４からの排気ガスを排気弁９
の開弁時に外部に排出させる。

【００１７】１５は過給アシストエア供給手段としての
エア供給源を示し、該エア供給源１５は、クランク軸６
に連結されるプーリ１６Ａを有し、該プーリ１６Ａの回
転によりベルト１６Ｂおよびプーリ１６Ｃを介して駆動
されるエアポンプ１６と、前記吸気管１０からエアポン
プ１６に吸入空気を導入するエア導管１７と、エアポン
プ１６から吐出される空気をインジェクタ２８に供給す
るエア導管１８とから大略構成されている。そして、該
エア供給源１５はエアポンプ１６により吸気管１０内の
吸入空気をエア導管１７側から吸込みつつ、エア導管１
８側に吐出させる。そして、該エア導管１８の先端側は
後述するカバー３０のエア導入口３１Ｄに接続され、エ
アポンプ１６からの吸入空気を過給アシストエアとして
インジェクタ２８に供給する。

【００１８】１９はエア導管１８内を流れる過給アシス
トエアの圧力を所定圧に設定するリリーフ弁を示し、該
リリーフ弁１９はエア導管１８から分岐した他のエア導
管２０の途中に設けられ、過給アシストエアの圧力を後
述する燃料配管２３内の燃圧よりも僅かに低い圧力に設
定し、余剰となった過給アシストエアをエア導管２０か
ら吸入空気の一部として吸気管１０内に戻す。

【００１９】２１は燃料タンク２２内に設けられた燃料
ポンプ、２３は該燃料ポンプ２１から吐出される燃料Ｆ
をインジェクタ２８へと供給する燃料配管を示し、該燃
料配管２３の途中には燃料配管２３内の燃圧を調整する
圧力レギュレータ２４が設けられている。ここで、圧力
レギュレータ２４には制御圧導管２５が接続され、該制
御圧導管２５の先端側は後述するカバー３０内に画成さ
れるエア室３３内と連通するように、後述の制御圧導出
管４９に接続されている。そして、圧力レギュレータ２
４は過給アシストエア圧に対応した制御圧が制御圧導管
２５を介して導入されることにより、燃料配管２３内の
燃料Ｆを過給アシストエア圧に応じた燃圧に調整してイ
ンジェクタ２８に供給し、このとき余剰の燃料Ｆを戻し
配管２６を介して燃料タンク２２内へとリターンさせ
る。

【００２０】２７はエア導管１８の途中に設けられた電
磁式のエアバルブを示し、該エアバルブ２７はソレノイ
ド部２７Ａが励磁されることにより、図１に示す閉弁位
置から開弁位置へと切換えられ、エアポンプ１６からの
過給アシストエアをインジェクタ２８へと導入する。ま
た、該エアバルブ２７はソレノイド部２７Ａが消磁され
ると、再び閉弁位置に切換わり、インジェクタ２８への
過給アシストエアの供給を停止させるようになってい
る。

【００２１】次に、筒内直接噴射式のインジェクタ２８
の構成について図２および図３に基づいて説明する。

【００２２】インジェクタ２８は、インジェクタ本体２
９とカバー３０とから大略構成され、該インジェクタ本
体２９はケーシング２９Ａの内部に電磁アクチュエータ
と該電磁アクチュエータによって開，閉弁する弁（いず
れも図示せず）を内蔵し、該ケーシング２９Ａの先端側
には有底筒状の噴射ノズル２９Ｂが、基端側には筒状の
接続口２９Ｃとコネクタ２９Ｄが突設されている。そし
て、インジェクタ本体２９には接続口２９Ｃに燃料配管
２３が接続され、コネクタ２９Ｄにはコントロールユニ
ットの出力側がリード線（図示せず）等を介して接続さ
れている。そして、該インジェクタ本体２９は、コント
ロールユニットからの信号に基づき内部の弁を開弁さ
せ、噴射ノズル２９Ｂから燃料Ｆを噴射させる。また、
燃料Ｆの噴射量は、吸気管１０から吸気弁８を介して吸
入された空気と燃料Ｆの混合気が所定の空燃比Ａ／Ｆ、
（例えば、空燃比Ａ／Ｆが１４〜２０位）になるように
設定される。

【００２３】３０はインジェクタ本体２９の噴射ノズル
２９Ｂの先端側に固着されたカバーを示し、該カバー３
０は筒部３１と底部３２とから有底筒状に形成されてい
る。ここで、筒部３１は基端側から先端側に向けて大径
部３１Ａ、中径部３１Ｂ、小径部３１Ｃの順に連続する
段付筒状に形成され、大径部３１Ａがケーシング２９Ａ
の先端に嵌合固着されることにより、中径部３１Ｂと小
径部３１Ｃの内側には底部３２と噴射ノズル２９Ｂとの
間に位置してエア室３３が画成される。また、中径部３
１Ｂの外側面には、エア室３３内に連通する管状のエア
導入部３１Ｄが突設され、該エア導入部３１Ｄにはエア
導管１８が接続される。

【００２４】一方、カバー３０の底部３２には、中央に
位置して噴出穴３４が形成され、該噴出穴３４にはチェ
ック弁３５が配設されている。ここで、該チェック弁３
５は底部３２の噴出穴３４の外側に形成した弁座部３２
Ａに離着座する外開き式の弁体３５Ａと、該弁体３５Ａ
を常時閉弁方向に付勢すべく、エア室３３内に配設され
た弁ばね３５Ｂとからなり、弁体３５Ａは噴射ノズル２
９Ｂから燃料Ｆが噴射されたときに、弁ばね３５Ｂに抗
して開弁される。そして、該チェック弁３５は燃料Ｆの
噴射時にエア室３３内の燃料Ｆを過給アシストエアと共
に噴出穴３４から燃焼室４内に向けて噴出させ、燃焼室
４からの燃焼圧等がエア室３３内へと逆流するのを防止
する。

【００２５】また、前記エア室３３内には噴射ノズル２
９Ｂから噴射される燃料Ｆに向けて接線方向に過給アシ
ストエアを供給するスワールチャンバ（図示せず）が形
成され、インジェクタ本体２９の噴射ノズル２９Ｂから
該スワールチャンバ内に噴射された燃料Ｆは過給アシス
トエアによりスワール（旋回流）が与えられ、確実に微
粒化が促進されるようになっている。

【００２６】３６は前記インジェクタ２８とシリンダヘ
ッド３との間に設けられた隔壁部材を示し、該隔壁部材
３６は有底筒状に形成されたインジェクタ２８用の保持
筒３７と、該保持筒３７の側面から斜め上方に延び、後
述の点火プラグ４３が取付けられるプラグ取付部３８と
から構成されている。ここで、保持筒３７は筒部３９と
底部４０とを有し、筒部３９の内周側にはプラグ取付部
３８が分岐する位置よりも上側に段部３９Ａが形成さ
れ、底部４０の中央には燃焼室４内に連通する連通穴４
１が穿設されている。そして、隔壁部材３６は保持筒３
７の底部４０側をシリンダヘッド３に穿設された取付穴
３Ａ内に嵌合させてエンジン本体１に取付けられ、筒部
３９の上端側には段部３９Ａ上に後述の分配ノズル４４
を介してインジェクタ２８のカバー３０が固着されてい
る。

【００２７】また、隔壁部材３６は保持筒３７内に分配
ノズル４４との間に位置して副燃焼室４２を画成し、該
副燃焼室４２はシリンダヘッド３の下側に主燃焼室とし
て画成される燃焼室４側と連通穴４１を介して連通して
いる。そして、該副燃焼室４２は主燃焼室４に比べて容
積が小さく、比較的少量の燃料Ｆが噴射ノズル２９Ｂか
ら噴射されたときでも、内部の混合気をリッチ傾向に設
定させるようになっている。また、プラグ取付部３８内
には先端側の点火部４３Ａが副燃焼室４２側に臨むよう
して点火プラグ４３が取付けられている。

【００２８】４４は分配ノズルを示し、該分配ノズル４
４は図３に示す如く基端側が大径筒部４５となり、先端
側は該大径筒部４５と軸中心を同じくする細径管部４６
となり、大径筒部４５と細径管部４６の中間部分は漸次
縮径して円錐状をなす円錐部４７となっている。そし
て、該円錐部４７には周方向に所定間隔をおいて大径筒
部４５内を副燃焼室４２内に連通させるように分配孔４
８，４８，…が穿設されている。

【００２９】ここで、該分配ノズル４４は大径筒部４５
が筒部３９の段部３９Ａ上でカバー３０の底部３２との
間に挟持され、該カバー３０の噴出穴３４および細径管
部４６が隔壁部材３６の連通穴４１と同軸上に並ぶよう
に筒部３９内に位置決めされている。そして、カバー３
０の噴出穴３４から過給アシストエアにより微粒化され
た状態で噴出してくる燃料Ｆは図３に示す如く主に細径
管部４６から連通穴４１を介して燃焼室４側に導出さ
れ、残余の燃料Ｆは該細径管部４６と各分配孔４８との
開口面積の比に応じて副燃焼室４２側に分配して噴出さ
れる。

【００３０】４９は前記隔壁部材３６の保持筒３７の上
端側側面からカバー３０を貫通し、エア室３３内に臨む
ように取付けられた制御圧導出管を示し、該制御圧導出
管４９は前記圧力レギュレータ２４の制御圧導管２５と
接続され、エア室３３内の圧力を圧力レギュレータ２４
に制御圧として導く、そして、該制御圧導出管４９は小
径に形成され、エア室３３内の燃料等が制御圧導出管４
９内に進入するのを防止するようになっている。

【００３１】本実施例によるアシストエア式燃料噴射装
置は以上の如き構成を有するもので、次にその動作につ
いて説明する。

【００３２】まず、エンジン本体１の起動と共に燃料ポ
ンプ２１が駆動され、燃料タンク２２内の燃料Ｆを燃料
配管２３内に吐出させ、該燃料配管２３内の燃圧はイン
ジェクタ２８の制御圧導出管４９を介して制御圧導管２
５から制御圧が導かれる圧力レギュレータ２４により調
整される。そして、インジェクタ２８はこの調整された
燃圧の燃料Ｆを燃焼室４内に向けて噴射し、この噴射燃
料はエアポンプ１６からエア導入部３１Ｄを介して供給
される過給アシストエアにより微粒化されるから、吸入
空気と燃料Ｆとの霧化，混合性が高められるという点で
は従来技術によるものと格別差異はない。

【００３３】然るに、本実施例ではインジェクタ２８と
シリンダヘッド３との間には、インジェクタ２８用の保
持筒３７とプラグ取付部３８とを有する隔壁部材３６を
設け、該隔壁部材３６の保持筒３７内には主燃焼室とな
る燃焼室４側と連通穴４１を介して連通する副燃焼室４
２を画成し、該隔壁部材３６には、インジェクタ２８の
噴出穴３４から過給アシストエアと共に噴出してくる燃
料Ｆを主として燃焼室４側に連通穴４１を介して導出さ
せ、残余の燃料Ｆを過給アシストエアと共に副燃焼室４
２側に分配する分配ノズル４４を設けると共に、副燃焼
室４２内に臨むように点火プラグ４３をプラグ取付部３
８に取付ける一方、カバー３０の噴出穴３４には燃料Ｆ
が過給アシストエアと共にエア室３３側から分配ノズル
４４側に流通するのを許し、逆向きの流れを阻止するチ
ェック弁３５を設けたから、下記のような作用効果を奏
する。

【００３４】即ち、分配ノズル４４の細径管部４６と各
分配孔４８との開口面積の比率ｋを、例えばｋ＝４程度
として設定したときには、噴射ノズル２９Ｂから噴射さ
れ、エア室３３内の過給アシストエアにより微粒化され
た燃料Ｆを前記比率ｋをもって、細径管部４６から連通
穴４１を介して燃焼室４側に向け噴出される矢示Ｃ方向
（図３参照）の噴出流と、各分配孔４８から副燃焼室４
２内に向け分散して噴出される矢示Ｄ方向の噴出流とに
分配でき、図１に示すピストン５が上死点となったとき
に、燃焼室４と副燃焼室４２との容積比ｅを、たとえば
ｅ＝５．５とした場合に、全体の空燃比Ａ／ＦがＡ／Ｆ
＝１８程度となるリーンバーン制御時でも、燃焼室４側
の空燃比Ａ／Ｆを例えばＡ／Ｆ＝１９程度とし、副燃焼
室４２側の空燃比Ａ／Ｆを、例えばＡ／Ｆ＝１３．８程
度に設定できる。

【００３５】これにより、希薄混合気を用いるリーンバ
ーン制御時に全体の空燃比Ａ／Ｆ＝１８程度とした場合
でも、副燃焼室４２の内部に例えば空燃比Ａ／Ｆ＝１
３．８程度となる濃い混合気を生じさせ、この混合気を
点火プラグ４３の点火部４３Ａから発生する火花で確実
に着火させることができる。また、燃焼室４側は空燃比
Ａ／Ｆが例えばＡ／Ｆ＝１９程度となって、混合気はリ
ーン傾向となる。しかし、この燃焼室４内には副燃焼室
４２内の混合気が着火することにより生じる火炎が連通
穴４１から燃焼室４内に拡散するように噴出してくるの
で、燃焼室４内のリーン傾向の混合気をこのときの火炎
により効率的に燃焼させることができ、混合気を完全に
燃焼させて燃焼効率を大幅に向上させることができる。

【００３６】また、本実施例では、隔壁部材３６の保持
筒３７の上端側側面からカバー３０を貫通してエア室３
３内に連通する制御圧導出管４９を設け、該制御圧導出
管４９から制御圧導管２５を介して圧力レギュレータ２
４に制御圧を導く構成としたから、燃料配管２３内の燃
圧を過給アシストエアの圧力に基づいて高めに設定する
ことができ、リーンバーン制御時等に燃料の噴射流量が
低下してしまうのを防止できると共に、噴射ノズル２９
Ｂから図４に一点鎖線で示す特性線Ａの如き噴射流量の
燃料を噴射でき、過給アシストエアの圧力に影響されて
燃料Ｆの噴射流量が抑制されるという問題を解決するこ
とができる。

【００３７】かくして、本実施例によれば、過給アシス
トエアにより燃料Ｆの微粒化を促進させると共に、この
燃料を副燃焼室４２と燃焼室４とに分配し、副燃焼室４
２内でリッチ傾向の混合気に点火を行うようにしたか
ら、例えばリーンバーン制御時でも、副燃焼室４２から
の火炎により燃焼室４内のリーン傾向の混合気を確実に
燃焼させることができ、安定した回転出力をクランク軸
６から導出することができると共に、排気ガスの清浄化
と燃費の向上を図ることができる等、種々の効果を奏す
る。

【００３８】なお、前記実施例では、シリンダヘッド３
から外部に突出するように隔壁部材３６を設けるものと
して述べたが、本発明はこれに限らず、例えば隔壁部材
３６をシリンダヘッド３と一体に形成するようにしても
よい。

【００３９】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、エ
ンジン本体のシリンダヘッドにはインジェクタとの間に
位置して燃焼室をシリンダ側の主燃焼室とインジェクタ
側の副燃焼室とに画成し、該副燃焼室を主燃焼室に連通
させる連通穴が形成された隔壁部材を設け、該隔壁部材
には、前記インジェクタから過給アシストエアと共に噴
出される燃料の一部を前記副燃焼室内に分配し、残余の
燃料を過給アシストエアと共に前記連通穴を介して主燃
焼室内に導出させる分配ノズルと、該分配ノズルにより
副燃焼室内に分配して噴出された過給アシストエアと燃
料とを副燃焼室内で燃焼させ、火炎を前記連通穴から主
燃焼室内に噴出させる点火プラグとを設けたから、副燃
焼室内の混合気がリッチ傾向となり、主燃焼室内の混合
気がリーン傾向となるように分配ノズルの分配比を予め
設定しておけば、副燃焼室内でリッチ傾向の混合気に確
実に着火を行うことができ、この混合気の火炎を隔壁部
材の連通穴から主燃焼室内に拡散するように噴出させて
主燃焼室内の混合気を燃焼させることができ、例えば希
薄混合気を用いるリーンバーン制御時でも混合気の燃焼
効率を確実に向上させることができる。

【００４０】また、燃料配管内の燃圧を調圧する圧力レ
ギュレータには、エア室内の圧力を制御圧として導く構
成とすれば、過給アシストエアの圧力に影響されて燃料
の噴射流量が抑制されるのを防止できるから、リーンバ
ーン制御時でも必要流量の燃料を確実に噴射でき、安定
した回転出力を得ることができると共に、排気ガスの清
浄化と燃費の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例によるアシストエア式燃料噴射
装置を示す全体構成図である。

【図２】図１中のインジェクタ，隔壁部材等を拡大して
示す縦断面図である。

【図３】図２中の要部拡大図である。

【図４】従来技術によるアシストエア式燃料噴射装置の
噴射信号のパルス幅と噴射流量との関係を示す特性線図
である。

【符号の説明】

１エンジン本体２シリンダ（気筒）３シリンダヘッド４燃焼室（主燃焼室）５ピストン１５エア供給源（過給アシストエア供給手段）２１燃料ポンプ２３燃料配管２４圧力レギュレータ２８インジェクタ２９Ｂ噴射ノズル３３エア室３６隔壁部材４１連通穴４２副燃焼室４３点火プラグ４４分配ノズル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シリンダヘッド側に燃焼室が画成される
エンジン本体と、該エンジン本体の燃焼室内に向け噴射
ノズルから燃料を噴射させ、該噴射ノズル周囲にエア室
を有した筒内直接噴射式のインジェクタと、該インジェ
クタのエア室内に過給アシストエアを供給し、前記噴射
ノズルから噴射された燃料を微粒化する過給アシストエ
ア供給手段と、燃料ポンプから吐出された燃料を前記イ
ンジェクタ内に供給する燃料配管と、該燃料配管内の燃
圧を制御圧に基づき調圧する圧力レギュレータとを備え
たアシストエア式燃料噴射装置において、前記エンジン
本体のシリンダヘッドには、前記インジェクタとの間に
位置して前記燃焼室をシリンダ側の主燃焼室とインジェ
クタ側の副燃焼室とに画成し、該副燃焼室を主燃焼室に
連通させる連通穴が形成された隔壁部材を設け、該隔壁
部材には、前記インジェクタから過給アシストエアと共
に噴出される燃料の一部を前記副燃焼室内に分配し、残
余の燃料を過給アシストエアと共に前記連通穴を介して
主燃焼室内に導出させる分配ノズルと、該分配ノズルに
より副燃焼室内に分配して噴出された過給アシストエア
と燃料とを副燃焼室内で燃焼させ、火炎を前記連通穴か
ら主燃焼室内に噴出させる点火プラグとを設けたことを
特徴とするアシストエア式燃料噴射装置。
【請求項２】前記圧力レギュレータは、前記エア室内
の圧力を制御圧として導くことにより、前記燃料配管内
の燃圧を調圧してなる請求項１に記載のアシストエア式
燃料噴射装置。