JPH0528438U - エアレス塗装装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】軸線を含む一平面内で扇状に広がる偏平な塗料
噴流を噴出する塗料噴出孔が設けられたノズルチップを
備え、塗料噴出孔が高圧の塗料供給路に接続されるエア
レス塗装装置において、簡単な構成で塗料噴流パターン
の形状・寸法を調整可能とする。 【構成】ノズルチップ６を覆って前方に延びるアウタカ
バー１２の前部に、塗料噴流の広がり方向に沿う塗料噴
出孔１４の両側で前方内向きに開口する一対の空気噴出
孔１５が設けられ、それらの空気噴出孔１５の噴出方向
が、塗料噴出孔１４からの塗料噴流の基部に生じる膜状
扇形部１７の円弧状前端部１７ａに対してほぼ接線方向
に設定される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、軸線を含む一平面内で扇状に広がる偏平な塗料噴流を噴出する塗料 噴出孔が設けられたノズルチップを備え、塗料噴出孔が高圧の塗料供給路に接続 されるエアレス塗装装置に関し、特に塗料噴流パターンの形状・寸法を調整可能 なエアレス塗装装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、塗料噴流パターンの寸法・形状を調整可能なエアレス塗装装置は、たと えば実公昭６３−４５２４号公報により既に知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のものでは、塗料供給路に連なる塗料噴出孔を有するノズルチップを 空気噴出口で囲繞して平型噴気口を形成し、その平型噴気口から偏平扇状の塗料 噴流を噴出するとともに、平型噴気口の前方で後方内向きに開口する一対の補助 空気噴出孔から空気を噴出することにより塗料噴流パターンの形状・寸法を調整 するようにしている。

【０００４】 ところが、この従来技術では、空気の供給を２系統で行なう必要があり、塗装 ガンの構成が複雑になるだけでなく、２系統の空気の供給バランス調整が難しい 。

【０００５】 本考案は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で塗料噴流パ ターンの形状・寸法を調整可能としたエアレス塗装装置を提供することを目的と する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案によれば、ノズルチップを覆って前方に延 びるアウタカバーの前部に、塗料噴流の広がり方向に沿う塗料噴出孔の両側で前 方内向きに開口する一対の空気噴出孔が設けられ、それらの空気噴出孔の噴出方 向が、塗料噴出孔からの塗料噴流の基部に生じる膜状扇形部の円弧状前端部に対 してほぼ接線方向に設定される。

【０００７】

【実施例】

以下、図面により本考案の一実施例について説明する。

【０００８】 先ず図１において、高圧の塗料供給源（図示せず）に連なる塗料供給路３を同 軸に有して円筒状に形成されるガン本体４の前端に袋ナット５によってノズルチ ップ６が固定される。すなわち、ガン本体４の前端には小径の有底円筒状である 連結部４ａが同軸に突設されており、この連結部４ａの外面には雄ねじ７が刻設 される。またノズルチップ６は、前記連結部４ａの外径とほぼ同一の外径を有し て円盤状に形成される基部６ａと、該基部６ａから前方に向けて同軸に突設され る有底円筒状の突部６ｂとが段部６ｃを介して同軸に連設されて成り、段部６ｃ に係合する袋ナット５を雄ねじ７に螺合して締付けることにより、ノズルチップ ６がガン本体４の前端に固定されることになる。

【０００９】 ガン本体４の前端すなわち連結部４ａ内には、塗料供給路３に段差を介して同 軸に連なる小径の連通路８が設けられ、ノズルチップ６内には、該連通路８に連 なる通路９が設けられる。しかもガン本体４内には、連通路８の塗料供給路３側 開口縁に着座して塗料供給路３および連通路８すなわち通路９間を遮断し得る半 球状の弁体部１０ａを前端に備える弁軸１０が、軸方向移動可能に挿入されてお り、該弁軸１０を軸方向に操作することより、ノズルチップ６への塗料供給量が 調整される。

【００１０】 ガン本体４および袋ナット５は、内面に雌ねじ１１を有して円筒状に形成され るアウタカバー１２にねじ込まれるものであり、このアウタカバー１２の前端寄 り内面には、袋ナット５に当接してアウタカバー１２に対する袋ナット５すなわ ちノズルチップ６の軸方向位置を規制するためのストッパ１３が半径方向内方に 張り出して一体に設けられる。而して、アウターカバー１２の前端部はノズルチ ップ６を覆って前方に延設されることになる。

【００１１】 図２を併せて参照して、ノズルチップ６における突部６ｂの前端面中央部には 通路９に通じる塗料噴出孔１４が設けられており、この塗料噴出孔１４は、その 軸線を含む一平面（図１の紙面に平行な平面）内で扇状に広がる偏平な塗料噴流 を噴出すべく、唇状に形成される。

【００１２】 またノズルチップ６を覆って前方に延びるアウタカバー１１の前部内面には、 塗料噴流の広がり方向に沿う塗料噴出孔１４の両側で前方内向きに開口する一対 の空気噴出孔１５，１５が設けられ、それらの空気噴出孔１５，１５は、同一の 加圧空気供給源（図示せず）に連なるべくアウタカバー１２に穿設された空気供 給路１６，１６に連通される。

【００１３】 ところで、塗料噴出孔１４から噴出される塗料噴流の基部には、液状のままで 扇形となる膜状扇形部１７が生じるものであり、前記両空気噴出孔１５，１５の 噴出方向は、両空気噴出孔１５，１５および塗料噴出孔１４の軸線を含む一平面 内で、前記膜状扇形部１７における円弧状前端部１７ａのほぼ接線方向に設定さ れている。

【００１４】 次にこの実施例の作用について説明すると、塗料供給路３から塗料噴出孔１４ へは、たとえば１００ｋｇ／ｃｍ² 程度の高圧の塗料が供給され、これにより、 塗料噴出孔１４からは偏平な扇状の塗料噴流が噴出される。また一対の空気噴出 孔１５，１５からは、たとえば１ｋｇ／ｃｍ² 以下の比較的低圧の空気が噴出さ れ、両空気噴出孔１５，１５からの空気噴流が扇状である塗料噴流の基部におけ る膜状扇形部１７の円弧状前端部１７ａにほぼ接線方向で衝突する。而して両空 気噴出孔１５，１５からの空気噴出圧を調整することにより、塗料噴流パターン の形状・寸法が調整される。

【００１５】 ここで、塗料吐出圧を１００ｋｇ／ｃｍ² とし、空気噴出圧を０〜１．０ｋｇ ／ｃｍ² の間で変化させたときに、ノズルチップ６から前方への距離Ｌを３００ ｍｍとした位置での塗料噴流パターンの幅Ｗの変化を示すと、図３で示すように なり、空気噴出圧を増大させるにつれて幅Ｗが小さくなることがわかる。

【００１６】 しかも塗着効率は、空気噴出圧が０．５ｋｇ／ｃｍ² 以上となったときに、ほ ぼ７５％の最大塗着効率を得ることができる。一方、空気噴出孔１５，１５から の空気噴出を伴わないエアレス塗装の場合には、図３の鎖線で示すように６０％ 程度の塗着効率しか得られないものであり、さらにエアスプレー方式による場合 には最大でも４０％程度の塗着効率しか得られない。

【００１７】 このようにして、ノズルチップ６を覆うアウタカバー１２の前部に一対の空気 噴出孔１５，１５を設けただけの簡単な構成で塗料噴流パターンの形状・寸法を 調整可能となり、しかも空気の供給系統が１系統ですむので供給バランスに気を 配る必要がない。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、ノズルチップを覆って前方に延びるアウタカバ ーの前部に、塗料噴流の広がり方向に沿う塗料噴出孔の両側で前方内向きに開口 する一対の空気噴出孔が設けられ、それらの空気噴出孔の噴出方向が、塗料噴出 孔からの塗料噴流の基部に生じる膜状扇形部の円弧状前端部に対してほぼ接線方 向に設定された簡単な構成で、塗料噴流パターンの形状・寸法を容易に調整する ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例の縦断面図である。

【図２】図１の２−２線矢視正面図である。

【図３】空気噴出圧によるパターン幅および塗着効率の
変化を示すグラフである。

【符号の説明】

３ 塗料供給路 ６ ノズルチップ １２ アウタカバー １４ 塗料噴出孔 １５ 空気噴出孔 １７ 膜状扇形部 １７ａ 円弧状前端部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸線を含む一平面内で扇状に広がる偏平
   な塗料噴流を噴出する塗料噴出孔（１４）が設けられた
   ノズルチップ（６）を備え、塗料噴出孔（１４）が高圧
   の塗料供給路（３）に接続されるエアレス塗装装置にお
   いて、ノズルチップ（６）を覆って前方に延びるアウタ
   カバー（１２）の前部に、塗料噴流の広がり方向に沿う
   塗料噴出孔（１４）の両側で前方内向きに開口する一対
   の空気噴出孔（１５）が設けられ、それらの空気噴出孔
   （１５）の噴出方向が、塗料噴出孔（１４）からの塗料
   噴流の基部に生じる膜状扇形部（１７）の円弧状前端部
   （１７ａ）に対してほぼ接線方向に設定されることを特
   徴とするエアレス塗装装置。