JPH05269520A - 横型押出プレスの偏芯測定方法およびこれに使用する芯測定用治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 横型押出プレスの偏芯量を簡単に測定する。
偏芯の修正作業を容易にする。 【構成】 ステム２の先端に接触式の芯測定用治具１２
を装着して、コンテナ８内にステム２を挿入することに
より、ステム芯に対するコンテナ芯の相対偏芯量を測定
する。このとき、メインラム１の上面に取り付けたリニ
アゲージ１１により、マシンセンターに対するステム芯
の絶対偏芯量を測定する。ステム芯に対するコンテナ芯
の相対偏芯量からステム芯の絶対偏芯量を差し引くこと
により、コンテナ芯の絶対偏芯量を求める。それぞれの
絶対偏芯量に基づいてステム芯および／またはコンテナ
芯の芯位置を修正する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱間押出製管に使用さ
れる横型押出プレスの偏芯測定方法およびこれに用いる
芯測定用治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】代表的な熱間押出製管法であるユジーン
法は通常、横型押出プレスを用いて実施される。ユジー
ン法に使用される横型押出プレスの概略構成を図３に示
す。

【０００３】メインラム１は、水圧または油圧のシリン
ダーで前後に駆動される。メインラム１の先端部は、そ
の振れを抑えるために、ムービングクロスヘッド４によ
り支持されており、ムービングクロスヘッド４の先端に
ステム２が設けてある。ムービングクロスヘッド４は、
プレスベッド５上に保持されたベッドライナー６に沿っ
て滑動する。摺動部には、コンパウンドライナー７が介
装されている。

【０００４】製管の際には、メインラム１が前方へ駆動
される。これにより、ステム２が前方のコンテナ８内に
挿入され、コンテナ８内の加熱されたホロービレットが
前方へ管状に押出される。このとき、コンテナ８は前方
へ強く押圧される。コンテナ８の前方への移動を防ぐた
めに、メインラム１の後方に設けたにメインクロスヘッ
ド９と、コンテナ８の前方に設けたボルスタープラテン
（図示せず）とが複数本のコラム１０により連結されて
いる。なお、製管にダイス、マンドレル等が併用される
ことは言うまでもない。

【０００５】このような横型押出プレスを使用した熱間
押出製管では、ステム芯をコンテナ芯に正確に一致させ
ることが、押出管の偏肉を抑える上で重要である。その
ため、段取替えの後は勿論のこと、偏肉発生時等には押
出の繰り返し途中でも、ステム芯とコンテナ芯の偏芯が
定量的に測定されて、芯合わせが行われる。

【０００６】ステム芯とコンテナ芯の偏芯測定方法とし
ては、ステムの側にレーザ投光系を、またコンテナの側
にレーザ受光系をそれぞれ配置して、受光系での受光位
置変化から、ステム芯に対するコンテナ芯の偏芯量を測
定する方法が、特開昭６２−２１２０１５号公報に開示
されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ここに開示された偏芯
測定方法は、レーザの特性を生かした高精度な測定が原
理上は可能である。しかし、レーザの特性を活用しよう
とすると、投・受光系の厳密な光軸合わせが必要とな
り、実際の製管現場ではその調整に要するだけの時間を
確保できない。従って、レーザの特性を生かした高精度
の測定は困難である。

【０００８】また、コンテナの側に設けられる受光系
は、製管の際に取り外されるが、測定誤差を少なくする
ために重量が大きく，固定箇所も多い。そのため、セッ
ティングに時間がかかり、偏肉発生時等に即座に測定を
行うことは難しい。

【０００９】また、たとえ高精度な測定が行えたとして
も、それはステム芯に対するコンテナ芯の所謂相対偏芯
量である。相対偏芯量が０に調整されれば偏肉の少ない
押出管が製造されるわけであるが、この相対偏芯を生じ
る原因はコンテナの側だけでなく、ステムの側にもあ
る。

【００１０】即ち、本発明者らの調査によれば、横型押
出プレスは、使用を続けるうちに摩耗等によりムービン
グクロスヘッドがマシンセンターから偏芯し、前方へ突
っ込むような動作をし出す。このような状態に横型押出
プレスがなると、ステム芯とコンテナ芯の相対偏芯量に
基づいてコンテナ位置を修正するだけでは、その修正に
長い時間がかかり、また、長い時間をかけても偏芯を完
全に解消することは難しい。

【００１１】本発明の目的は、横型押出プレスにおける
ステム芯とコンテナ芯の偏芯を製管現場で精度よく短時
間に解消するための偏芯測定方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、その偏芯測定方法に使用し
て、ステム芯に対するコンテナ芯の相対偏芯量を精度よ
く短時間に測定できる芯測定用治具を提供することにあ
る。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の偏芯測定方法
は、メインラムを前方へ進出させることにより、その先
端に取り付けたステムをコンテナ内に挿入して、コンテ
ナ内のホロービレットを前方へ管状に押出す熱間押出製
管用の横型押出プレスにおいて、コンテナ内面の周方向
４位置に接触してコンテナの軸芯位置を測定する芯測定
用治具をステム先端に装着し、そのステムをコンテナ内
に挿入することより、ステム芯に対するコンテナ芯の相
対偏芯量をステム芯に直角な平面内の２方向について測
定すると共に、マシンセンターに直角な平面内の２方向
についてステムの絶対偏芯量を測定し、また、測定され
たステム芯に対するコンテナ芯の相対偏芯量から前記ス
テムの絶対偏芯量を除外してコンテナの絶対偏芯量を求
めることを特徴とする。

【００１３】本発明の芯測定用治具は、熱間押出製管に
使用される横型押出プレスのステム先端に装着され、ス
テムの前進によりコンテナ内に挿入されてステム芯に対
するコンテナの相対偏芯量を測定する芯測定用治具であ
って、前記ステム先端に連結される軸体と、該軸体の一
方の端部の周方向４箇所から外側へ主アームが延出し、
各主アームの基端部が軸体の前記基端部に軸支されると
共に、各主アームの中間部から内側へ延出された副アー
ムの各基端部が前記中間部に軸支され、先端部が、前記
軸体に遊嵌され軸体軸方向の任意位置に固定される筒状
のスライダーに軸支された傘骨状の拡縮部材と、該拡縮
部材の各主アーム先端に、軸体に沿って取り付けられた
カンチレバー式の接触変位センサとを具備している。

【００１４】

【作用】ステム芯に対するコンテナ芯の相対偏芯量は、
ステム芯の絶対偏芯量にコンテナ芯の絶対偏芯量が相乗
されたものである。

【００１５】本発明の偏芯測定方法では、前記相対偏芯
量と合わせステム芯の絶対偏芯量を測定し、更に、相対
偏芯量からステム芯の絶対偏芯量を除外してコンテナ芯
の絶対偏芯量を求める。このようにステム芯の絶対偏芯
量とコンテナ芯の絶対偏芯量を別々に求めることによ
り、修正箇所が明確になり、結果的にはステム芯に対す
るコンテナ芯の相対偏芯が簡単かつ高精度に解消され
る。

【００１６】また、本発明の芯測定用治具では、拡縮部
材におけるスライダーの軸体軸方向位置を調節すること
により、軸体中心から複数の主アームの各先端までの距
離が同期的に調節される。ステムの先端に軸体を連結
し、主アームの各先端部に取り付けたカンチレバー式の
接触変位センサがコンテナの内面に圧接されるように前
記距離を調節して、コンテナ内にステムを挿入すれば、
接触変位センサの出力からステム芯に対するコンテナ芯
の相対偏芯量が測定される。

【００１７】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１８】図１は本発明の偏芯測定方法の一実施態様
を説明するための横型押出プレスの模式側面図、図２は
本発明の芯測定用治具の一例を示す側面図である。

【００１９】本法を実施するには、図１に示すように、
メインラム１を後退させた状態で、その上面に水平方向
および垂直方向の偏位量が測定できるリニアゲージ１１
を取り付ける。また、ステム２の先端に芯測定用治具１
２を装着する。

【００２０】リニアゲージ１１は、上部のコラム１０に
取り付けたＬ型ビーム２７を水平方向および垂直方向の
基準ビームとしている。コラム１０はマシンセンターに
一致し水平である。

【００２１】芯測定用治具１２は、図２に示すように、
軸体１３を有する。軸体１３の基部は、雄ねじ部１４に
なっており、その雄ねじ部１４が、ステム２の先端に装
着されるキャップ状の保持具１５の中心部にナット１
６，１６にて同心状に固着されている。従って、ステム
２の先端に保持具１５を装着することにより、その先端
に軸体１３が同心状に保持される。

【００２２】軸体１３の先端部周囲には、その先端部か
ら基端側へ傾斜して延出した４つの主アーム１７が周方
向に等間隔で配設されている。各主アーム１７は、軸体
１３の中心を含む平面内を基端部を中心に回動するよう
に、その基端部が軸体１３の先端支持部１８に軸支され
ている。各主アーム１７の中間部には、副アーム１９の
一端部が軸支され、その他端部は、円筒状のスライダー
２０に軸支されている。

【００２３】スライダー２０は、軸体１３にその軸心方
向へ移動自在に遊嵌されている。スライダー２０と前記
先端支持部１８との間には圧縮スプリング２１が介装さ
れている。これにより、スライダー２０は、軸体１３の
基端側へ付勢され、その移動が軸体１３の雄ねじ部１４
に装着されたロックナット２２により阻止されている。
従って、スライダー２０は、ロックナット２２の位置調
節により、軸体１３の軸心方向の任意位置に固定され
る。

【００２４】各主アーム１７の先端部には、接触変位セ
ンサ２３が取り付けられている。各接触変位センサ２３
は、主アーム１７の先端から軸体１３の基端側へ延出す
る弾性アーム２４の先端に接触子２５を外向きに取り付
けた所謂カンチレバー式であり、軸体１３の半径方向に
おける接触子２５の移動量を、弾性アーム２４に貼り付
けた歪ゲージ２６により測定する。

【００２５】本芯測定用治具１２においては、軸体１３
の軸心方向におけるスライダー２０の位置を調節するこ
とにより、各主アーム１７の軸体１３の軸心に対する傾
斜角度が一斉に変化し、その軸心から各接触変位センサ
２３までの距離が同期的に調節される。なお、図２では
図示の都合上、左右の主アームおよびこれらに付帯する
部材は省略している。

【００２６】本法においては、芯測定用治具１２の対向
する２つの接触変位センサ２３が水平方向および垂直方
向を向くようにして、芯測定用治具１２をステム２の先
端に装着する。また、各接触変位センサ２３の接触子２
５がコンテナ８の内面に圧接されるように、スライダー
２０の位置調節により、軸体１３の軸心から各接触変位
センサ２３までの距離を調節する。

【００２７】以上の準備が終了すると、メインラム１を
前進させてコンテナ８内にステム２を挿入する。このと
き、リニアゲージ１１により、水平方向および垂直方向
の変位量を測定する。これにより、マシンセンター対す
るステム芯の水平方向の絶対偏芯量ΔＬ１_H および垂直
方向の絶対偏芯量ΔＬ１_V が得られる。また、４つの接
触変位センサ２３に備わる歪ゲージ２６の各出力を検出
することにより、ステム芯に対するコンテナ芯の水平方
向の相対偏芯量Ｌ_H および垂直方向の相対偏芯量Ｌ_V が
測定される。そして、相対偏心量Ｌ_H およびＬ_V から絶
対偏芯量ΔＬ１_H およびＬ１_V を差し引くことにより、
マシンセンターに対するコンテナ芯の水平方向の絶対偏
芯量Ｌ２_H および垂直方向の絶対偏芯量Ｌ２_V が求ま
る。なお、コンテナ８の内面は性状が良くないため、相
対偏芯量Ｌ_H およびＬ_V の測定は、コンテナ芯方向の少
なくとも２位置について行って平均値をとるようにする
のが良い。

【００２８】ステム芯の絶対偏芯量Ｌ１_H およびＬ１_V
が許容できない値であれば、これが許容範囲内に収まる
ように、メインラム１の芯位置修正を行う。コンテナ芯
の絶対偏芯量Ｌ１_H およびＬ２_V が許容できない値あれ
ば、これが許容範囲内に収まるように、コンテナ８の芯
位置修正を行う。これらの芯位置修正は、例えばコンテ
ナ８の入口位置を基準に行う。

【００２９】このように、本法によれば、ステム芯とコ
ンテナ芯のそれぞれについて、マシンセンターに対する
絶対偏芯量が測定されるので、修正対象が明確になり、
その修正を短時間で精度よく行うことができる。また、
芯測定用治具１２は接触式のため、レーザ式のものに比
べ軽量で、ステム先端に簡単に装着でき、調整も容易で
ある。従って、本法は実際の製管現場で支障なく実施で
き、また、偏肉発生時に即座に対応することもできる。

【００３０】なお、押出直後のコンテナ内部は４００〜
６００℃の高温であるため、カンチレバー式の接触変位
センサ２３は耐熱型とする。

【００３１】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の横型押出プレスの偏芯測定方法は、コンテナ芯とステ
ム芯のそれぞれについてマシンセンターに対する絶対偏
芯量を測定するので、芯ずれ修正の対象が明確になり、
この修正作業を簡単かつ高精度に行うことができる。ま
た、その測定に接触式芯測定用治具を用い、治具のセッ
トが容易であるため、実際の製管現場で支障なく実施で
き、偏肉発生時に即座に対応することもできる。従っ
て、押出管の偏肉を抑え、その品質向上に寄与する。

【００３２】また、本発明の芯測定用治具は、ステムを
コンテナ内へ挿入することにより、ステム芯に対するコ
ンテナ芯の相対偏芯量を簡単に測定することができる。
また、コンテナ内面に接触する接触変位センサの位置調
節が容易である。従って、偏芯測定の作業能率を高める
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の偏芯測定方法の一実施態様を説明する
ための横型押出プレスの模式側面図である。

【図２】本発明の芯測定用治具の一例を示す側面図であ
る。

【図３】横型押出プレスの概略構成図である。

【符号の説明】

１ メインラム ２ ステム ８ コンテナ １１ リニアゲージ １２ 芯測定用治具 １３ 軸体 １７ 主アーム １９ 副アーム ２０ スライダー ２３ 接触変位センサ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メインラムを前方へ進出させることによ
   り、その先端に取り付けたステムをコンテナ内に挿入し
   て、コンテナ内のホロービレットを前方へ管状に押出す
   熱間押出製管用の横型押出プレスにおいて、コンテナ内
   面の周方向４位置に接触してコンテナの軸芯位置を測定
   する芯測定用治具をステム先端に装着し、そのステムを
   コンテナ内に挿入することより、ステム芯に対するコン
   テナ芯の相対偏芯量をステム芯に直角な平面内の２方向
   について測定すると共に、マシンセンターに直角な平面
   内の２方向についてステム芯の絶対偏芯量を測定し、ま
   た、測定されたステム芯に対するコンテナ芯の相対偏芯
   量から前記ステム芯の絶対偏芯量を除外してコンテナ芯
   の絶対偏芯量を求めることを特徴とする横型押出プレス
   の偏芯測定方法。
2. 【請求項２】 熱間押出製管に使用される横型押出プレ
   スのステム先端に装着され、ステムの前進によりコンテ
   ナ内に挿入されてステム芯に対するコンテナの相対偏芯
   量を測定する芯測定用治具であって、前記ステム先端に
   連結される軸体と、該軸体の一方の端部の周方向４箇所
   から外側へ主アームが延出し、各主アームの基部が軸体
   の前記端部に軸支されると共に、各主アームの中間部か
   ら内側へ延出された副アームの各基端部が前記中間部に
   軸支され、先端部が、前記軸体に遊嵌され軸体軸方向の
   任意位置に固定されるスライダーに軸支された傘骨状の
   拡縮部材と、該拡縮部材の各主アーム先端に、軸体に沿
   って取り付けられたカンチレバー式の接触変位センサと
   を具備することを特徴とする芯測定用治具。