JPH0526298A - 工業用ベルト - Google Patents

工業用ベルト

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JPH0526298A
JPH0526298A JP17696291A JP17696291A JPH0526298A JP H0526298 A JPH0526298 A JP H0526298A JP 17696291 A JP17696291 A JP 17696291A JP 17696291 A JP17696291 A JP 17696291A JP H0526298 A JPH0526298 A JP H0526298A
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JP
Japan
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belt
braided
round
toothed belt
yarn
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JP17696291A
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English (en)
Inventor
Yasuyuki Nakanishi
康之 中西
Susumu Onoe
勧 尾上
Junji Tokieda
淳次 時枝
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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  • Braiding, Manufacturing Of Bobbin-Net Or Lace, And Manufacturing Of Nets By Knotting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 丸打ち組紐で補強体を構成して耐屈曲疲労性
および寸法安定性等の優れた寿命の長い工業用ベルトを
得る。 【構成】 歯付ベルトAのベルト本体4に埋設された繊
維からなる補強体2を3本以上の奇数本数の糸条にて円
筒状に組まれた中空部を有する丸打ち組紐7で構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業用ベルトに係り、
特にベルト本体に埋設された補強体(抗張力体)の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば歯付ベルト、Vベル
ト、平ベルトおよびリブ付ベルト等の伝動ベルトや運搬
ベルト等の工業用ベルトには、高強力、高弾性率、高寸
法安定性および高接着性等の特性が要求されることか
ら、これらの特性を満たすべくベルト本体に繊維からな
る補強用コードおよび布状物等の補強体が埋設されてい
る。この補強体としては、一般的には、複数本の糸条を
撚ってなる撚り糸が用いられ、その種類は、撚り方によ
って諸撚り糸、片撚り糸およびラング撚り糸等に分ける
ことができる。そして、上記ゴム製品の補強体には、上
記撚り糸のうち諸撚り糸が最も多く用いられているのが
現状である。
【0003】ところが、この諸撚り糸で補強体を構成し
た工業用ベルトでは、諸撚り糸内部でモノフィラメント
同士が深い角度をもって強く接触する部分が発生するこ
とから、この強接触部分から早期に摩耗、破断もしくは
強力低下を起こし、耐屈曲疲労性が悪くなるという問題
があった。
【0004】そこで、上述の如き問題点(耐屈曲疲労
性)を改善した工業用ベルトとして、片撚り糸やラング
撚り糸で補強体を構成したものが提案されている(特開
昭59―19744号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の如く片
撚り糸やラング撚り糸で補強体を構成した工業用ベルト
では、その構造上、諸撚り糸で補強体を構成したものに
比べて延伸、ディップ処理後の引張り弾性率が小さくな
り易く、寸法安定性が低下し易くなる。
【0006】また、上記片撚り糸やラング撚り糸は、一
方向にしか撚られていないことから、撚り戻しが起こり
易くかつ端部にほつれが生じ易くなって加工し難く、さ
らには、ベルト加工時、カット面にフレイが生じ易くな
るという問題もある。
【0007】さらには、片撚り糸やラング撚り糸を補強
体として用いた工業用ベルトでは、上述の如く片撚り糸
等に撚りの方向性があることから、ベルトが走行中に一
方向に片寄って片側が偏摩耗し易くなるという問題もあ
る。一方、例えば特開昭56―103008号公報に開
示されているように、補強体としてS撚りおよびZ撚り
の片撚り糸を交互に配列したものを用いることにより、
偏摩耗を解消するようにしたコンベアベルトが提案され
ている。しかし、この場合には、ベルト内に2本のコー
ド(片撚り糸)を並列にかつスパイラルに並べるため、
左右のベルト端面に合計4箇所のコードカット面が生じ
てコード強力利用率が下がることとなり、採用し難い。
【0008】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、撚り糸の替わりに古
来からある丸打ち組紐でもって補強体を構成することに
より、耐屈曲疲労性および寸法安定性等の優れた寿命の
長い工業用ベルトを提供せんとすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の第1の解決手段は、ベルト本体に繊維から
なる補強体が埋設された工業用ベルトにおいて、上記補
強体を3本以上の奇数本数の糸条にて円筒状に組まれた
中空部を有する丸打ち組紐でもって構成したことであ
る。
【0010】本発明の第2の解決手段は、第1の解決手
段において、丸打ち組紐を3本以上9本以下の奇数本数
の糸条にて円筒状に組んで構成したことである。
【0011】本発明の第3の解決手段は、第1の解決手
段において、丸打ち組紐を撚り方向がS撚りとZ撚りと
に逆向きに設定された左遷性および右遷性打込み糸条か
らなる3本以上の奇数本数の糸条にて円筒状に組んで構
成したことである。
【0012】本発明の第4の解決手段は、第1の解決手
段において、丸打ち組紐の表面から内部に亘って接着剤
を均一に含浸せしめたことである。
【0013】本発明の第5の解決手段は、第1の解決手
段において、丸打ち組紐の中空部内に心糸を設けたこと
である。
【0014】本発明の第6の解決手段は、第5の解決手
段において、心糸の撚り係数をK=350以下
【0015】
【数2】
【0016】K:撚り係数 T:10cm当たりの撚り回数 D:トータルデニール数 に設定したことである。
【0017】
【作用】上記の構成により、請求項1に係る本発明で
は、ベルト本体に埋設された繊維からなる補強体は、3
本以上の奇数本数の糸条にて円筒状に組まれた中空部を
有する丸打ち組紐でもって構成されていることから、丸
打ち組紐の構造特性として糸条を構成するモノフィラメ
ントに均一な応力がかかり、耐屈曲疲労性が大幅に向上
する。また、延伸、ディップ処理後の引張り弾性率が丸
打ち組紐の構造上、撚り糸で補強体を構成したものに比
べて大きくなり、工業用ベルトの寸法安定性が向上す
る。さらには、片撚り糸やラング撚り糸等における撚り
戻しに起因する端部のほつれがなくなって加工性が良く
なり、しかもベルト加工時におけるカット面へのフレイ
が生じ難くなる。また、片撚り糸の如き撚りの方向性が
なくなり、工業用ベルトを安定して走行させて走行中に
おける片寄りがなくなり、偏摩耗が防止される。
【0018】請求項2に係る本発明では、丸打ち組紐が
3本以上9本以下の奇数本数の糸条にて円筒状に組まれ
て構成されていることから、中空部が極めて小さくな
り、伸長時における偏平現象が規制されて工業用ベルト
の寸法安定性が大幅に向上する。
【0019】請求項3に係る本発明では、丸打ち組紐が
撚り方向がS撚りとZ撚りとに逆向きに設定された左遷
性および右遷性打込み糸条からなる3本以上の奇数本数
の糸条にて円筒状に組まれて構成されていることから、
打込み糸条の方向性がS撚りとZ撚りとによって相殺さ
れてなくなり、耐屈曲疲労性が大幅に向上する。
【0020】請求項4に係る本発明では、補強体を構成
する丸打ち組紐を接着剤処理する場合、該丸打ち組紐の
表面から内部に亘って接着剤が均一に含浸せしめられ、
接着剤の含浸分布の不均一に起因する屈曲歪が防止され
る。
【0021】請求項5に係る本発明では、丸打ち組紐の
中空部内に心糸が設けられていることから、伸長時にお
ける偏平現象が規制され、ゴム製品の寸法安定性が向上
する。
【0022】請求項6に係る本発明では、心糸の撚り係
数がK=350以下
【0023】
【数3】
【0024】K:撚り係数 T:10cm当たりの撚り回数 D:トータルデニール数 に設定されていることから、工業用ベルトの補強体の強
力利用率および弾性率利用率が撚り糸の撚り特性により
向上し、さらには丸打ち組紐の構造特性により撚り糸の
外部応力に対する変形がカバーされて工業用ベルトの寸
法安定性が向上する。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0026】(第1実施例)図3は本発明の第1実施例
に係る工業用ベルトとしての歯付ベルトAを示す。該歯
付ベルトAは、背ゴム層1と、該背ゴム層1に埋設され
た繊維からなる補強体2と、上記背ゴム層1の片側(図
3下側)に背ゴム層1と同一材質のゴムにて一体形成さ
れた歯部ゴム層3とからなるベルト本体4を備えてな
り、該ベルト本体4の歯部ゴム層3表面側には、歯布5
が一体的に被着せしめられている。
【0027】そして、本発明の特徴として、上記補強体
2は、図1および図2に拡大詳示するように、3本以上
の奇数本数(本実施例では5本)の糸条6,6,…にて
円筒状に組まれた中空部8を有する複数本の丸打ち組紐
7,7,…でもって構成されている。
【0028】上記糸条6の種類としては、無機繊維、有
機繊維および金属繊維等が用いられ、さらには、長繊維
および短繊維からなる紡績糸あるいはこれらの混合糸等
何れであってもよく、要は歯付ベルトAの要求性能に応
じて適宜選定すればよい。
【0029】また、丸打ち組紐7を構成する糸条6の打
込み本数としては、3本以上の奇数本数であればよい
が、3本以上9本以下の奇数本数が好ましい。打込み本
数の上限を9本に設定したのは、中空部8を極めて小さ
くするためであり、かつ、9本を超えると、比較的大き
な中空部8が形成され、伸長時の偏平現象により寸法安
定性が低下するからである。さらに、糸条6のトータル
デニール数およびモノフィラメントデニール数等も歯付
ベルトAの要求性能に応じて適宜選定すればよい。
【0030】さらに、上述の如くして組まれた丸打ち組
紐7は、背ゴム層1に埋設される前段階で、例えばエポ
キシ樹脂、イソシアネート化合物、エチレン尿素化合物
およびレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)
等からなる接着剤の組合わせによる接着剤処理や延伸処
理が施される。なお、接着剤処理方法としては、接着剤
を補強体2を構成する丸打ち組紐7の表面から内部に亘
って均一に含浸させる必要上、浸漬法が望ましい。
【0031】次に、本実施例Iに係る歯付ベルトAの屈
曲疲労テストを比較例I,IIと共に下記の条件および要
領にて行い、その結果を下記の表1に示す。なお、この
表1の数値はベルト強力維持率を表わす。
【0032】[本実施例Iの歯付ベルトAの構成]補強
体2を構成する丸打ち組紐7として、ケブラー(商品名
デュポン社製)1500deの5本打ち丸打ちのもの
(トータルデニール数:7500de)を用いた。この
丸打ち組紐7を、まず、イソシアネート化合物の接着剤
に浸漬してサブコート層を形成し、次いで、レゾルシン
・ホルマリン・ラテックス(RFL)の接着剤に浸漬し
てセカンドコート層を形成し、その後、CR糊ゴム中に
浸漬してトップコート層を形成し、しかる後、1g/de
のテンションで延伸処理を施した。この延伸処理済の複
数本の丸打ち組紐7,7,…をCRゴム製の背ゴム層1
の上にスパイラルに並べ、その上に上記各丸打ち組紐7
を埋設するようにCRゴム製の歯部ゴム層3を形成した
後、該歯部ゴム層3表面にナイロン製の歯布5を被着
し、成形加硫することにより、上記複数本の丸打ち組紐
7,7,…でもって構成された補強体2がベルト本体4
に埋設された歯付ベルトAを得た。なお、上記接着剤処
理に際しては、丸打ち組紐7の表面から内部に亘って接
着剤が均一に含浸するようにする。
【0033】[比較例I,IIの歯付ベルトAの構成]補
強体を比較例Iでは片撚り糸で、比較例IIでは諸撚り糸
でそれぞれ構成したほかは、本実施例Iの場合と同様で
ある。
【0034】[屈曲疲労テストの要領]図4に示すよう
に、4つの大プーリ9,9,…と、相隣る大プーリ9,
9間に配置された4つの小プーリ10,10,…とを備
えたベルト屈曲試験機を用意し、歯付ベルトを該ベルト
屈曲試験機の大小のプーリ9,10に掛け渡してウエイ
ト11にて歯付ベルトに所定のテンションをかけた状態
で走行させた。なお、上記各小プーリ10の直径は30
mmである。また、歯付ベルトが一巡して上記4つの小プ
ーリ10,10,…を各々1回ずつ通過すること、つま
り各小プーリ10によるベルト屈曲回数4回をもって1
サイクルとした。
【0035】
【表1】
【0036】この表1のテストデータから明らかなよう
に、本実施例Iの方が比較例Iおよび比較例IIに比べて
いずれのベルト屈曲回数においてもベルト強力維持率が
優れていることが判る。特に、ベルト屈曲回数1×108
では、本実施例Iでは68.8%のベルト強力維持率を
示し、微少にしか強力ダウンしなかったが、比較例Iで
は50.0%、比較例IIでは40.2%といずれも50
%以下となって大幅に強力ダウンしていた。
【0037】また、この時のベルト伸度は、本実施例I
では0.21%、比較例Iでは0.32%、比較例IIで
は0.30%であり、丸打ち組紐7を用いた本実施例I
の方が寸法安定性が優れていた。
【0038】このように、本実施例Iでは、ベルト本体
4に埋設された補強体2を、3本以上の奇数本数の糸条
6,6,…にて円筒状に組まれた中空部8を有する丸打
ち組紐7でもって構成していることから、丸打ち組紐7
の構造特性として各糸条6を構成するモノフィラメント
に均一な応力がかかり、耐屈曲疲労性を大幅に向上させ
ることができる。
【0039】また、本実施例Iでは、延伸、ディップ処
理後の引張り弾性率が丸打ち組紐7の構造上、撚り糸で
補強体を構成したものに比べて大きくなり、歯付ベルト
Aの寸法安定性を向上させることができる。
【0040】さらに、本実施例Iでは、片撚り糸やラン
グ撚り糸等における撚り戻しに起因する端部のほつれが
なくなって加工性が良くなり、しかも歯付ベルトA加工
時におけるカット面へのフレイをなくすることができ
る。
【0041】また、本実施例Iでは、片撚り糸の如き撚
りの方向性がなくなり、これにより歯付ベルトAを安定
して走行させて走行中における片寄りをなくし、偏摩耗
を防止することができる。
【0042】さらに、本実施例Iでは、補強体2を構成
する丸打ち組紐7を接着剤処理する場合、該丸打ち組紐
7の表面から内部に亘って接着剤を均一に含浸せしめ
得、接着剤の含浸分布の不均一に起因する屈曲歪を防止
することができる。
【0043】次に、本実施例II,III に係る歯付ベルト
Aの屈曲疲労テストを比較例III と共に下記の条件およ
び要領にて行い、その結果を下記の表2に示す。なお、
この表2の数値もベルト強力維持率を表わす。
【0044】[本実施例IIの歯付ベルトAの構成]補強
体2を構成する丸打ち組紐7として、ケブラー(商品名
デュポン社製)1600de(400de×4)の5
本打ちのもの(トータルデニール数:8000de)を
用いたほかは、本実施例Iの場合と同様である。
【0045】[本実施例III の歯付ベルトAの構成]補
強体2を構成する丸打ち組紐7として、ケブラー(商品
名 デュポン社製)800de(400de×2)の9
本打ちのもの(トータルデニール数:7200de)を
用いたほかは、本実施例Iの場合と同様である。
【0046】[比較例III の歯付ベルトの構成]補強体
2を構成する丸打ち組紐7として、ケブラー(商品名
デュポン社製)400de(400de×1)の17本
打ちのもの(トータルデニール数:6800de)を用
いたほかは、本実施例Iの場合と同様である。
【0047】[屈曲疲労テストの要領]本実施例Iの場
合と同様である。
【0048】
【表2】
【0049】この表2のテストデータから明らかなよう
に、本実施例IIおよび本実施例IIIでは共に、ベルト強
力維持率がベルト屈曲回数1×107 および1×108
ずれにおいても50%を上回っていたが、比較例III で
は50%を下回っており、本実施例IIおよび本実施例II
I の方が比較例III よりもベルト強力維持率が優れてい
ること判る。このことは、本実施例IIおよび本実施例II
I では、丸打ち組紐7の中空部8が極めて小さく、した
がって、伸長時における中空部8の偏平現象が起き難い
ことによるものである。これに比べ、比較例III では、
丸打ち組紐7に比較的大きな中空部8が形成され、伸長
時における中空部8の偏平現象が起き易いことによるも
のである。
【0050】したがって、本実施例II,III では、丸打
ち組紐7の中空部8の伸長時における偏平現象を規制し
て歯付ベルトAの寸法安定性を大幅に向上させることが
できる。つまり、これらにより、歯付ベルトAの延命化
を図ることができる。
【0051】(第2実施例)図5は第2実施例に係る工
業用ベルトとしての歯付ベルトAに用いられる丸打ち組
紐7を示し、歯付ベルトAの構造は第1実施例の場合と
同一であるのでその説明を省略する(図3参照)。ま
た、丸打ち組紐7は、第1実施例と同様に3本以上の奇
数本数(本実施例では5本)の糸条6,6,…にて円筒
状に組まれて構成され、かつ本実施例の特徴として、撚
り方向がS撚りとZ撚りとに逆向きに設定された左遷性
および右遷性打込み糸条6からなるものである。(図6
に右遷性打込み糸条6を示す)。なお、糸条6の種類と
しては第1実施例で説明したのと同様である。また、S
撚りとZ撚りとの撚り回数は、誤差±20%の範囲内に
設定されているものである。糸条6として諸撚り糸およ
びラング撚り糸を用いる場合には、本実施例でいう撚り
方向および撚り回数は共に上撚りについてのものであ
る。
【0052】次に、本実施例IVに係る歯付ベルトAの屈
曲疲労テストを比較例IVと共に下記の条件および要領に
て行い、その結果を下記の表3に示す。なお、この表3
の数値もベルト強力維持率を表わす。
【0053】[本実施例IVの歯付ベルトAの構成]補強
体2を構成する丸打ち組紐7として、ケブラー(商品名
デュポン社製)1500deの5本打ちのもの(トー
タルデニール数:7500de)を用いた。また、右遷
性打込み糸条6を撚り回数20回/10cm、S撚りと
し、左遷性打込み糸条6を撚り回数20回/10cm、Z
撚りとした。つまり、5本打込み糸条の左遷性打込み糸
条6と右遷性打込み糸条6の撚り方向をS撚りとZ撚り
とに逆向きに設定した丸打ち組紐7を補強体2として用
いた。そのほかは本実施例Iの場合と同様である。
【0054】[比較例IVの歯付ベルトの構成]丸打ち組
紐7の右遷性および左遷性打込み糸条6共に撚り回数2
0回/10cmZ撚りとしたほかは、本実施例IVの場合と
同様である。
【0055】[屈曲疲労テストの要領]本実施例Iの場
合と同様である。
【0056】
【表3】
【0057】この表3のテストデータから明らかなよう
に、例えばベルト屈曲回数1×108 では、本実施例IVで
はベルト強力維持率が72.3%と強力ダウンが微小で
あったが、比較例IVでは62.7%にもなって大幅に強
力ダウンし、両者には相当の開きが生じていた。このこ
とは、本実施例IVでは、丸打ち組紐7を構成する左遷性
および右遷性打込み糸条6がS撚りとZ撚りとに逆向き
に設定されて、打込み糸条6の方向性が相殺されてなく
なっていることによるものである。
【0058】したがって、本実施例IVでは、打込み糸条
6の方向性の相殺により耐屈曲疲労性を大幅に向上さ
せ、かつ歯付ベルトAの延命化を図ることができる。
【0059】(第3実施例)図7は第3実施例に係る工
業用ベルトとしての歯付ベルトAに用いられる丸打ち組
紐7を示し、歯付ベルトAの構造は第1実施例の場合と
同一であるのでその説明を省略する(図3参照)。ま
た、丸打ち組紐7は、第1実施例と同様に3本以上の奇
数本数(本実施例では5本)の糸条6,6,…にて円筒
状に組まれて構成され、かつ本実施例の特徴として、丸
打ち組紐7の中空部8内には心糸12が挿入配置されて
いる。この心糸12の種類は、上記糸条6と同種あるい
は異種の繊維が用途および目的に応じて用いられる。さ
らに、この心糸12は、撚り係数がK=350以下
【0060】
【数4】
【0061】K:撚り係数 T:10cm当たりの撚り回数 D:トータルデニール数 に設定された無撚り糸やあま撚り糸でもって構成されて
いる。このように、心糸12の撚り係数をK=350以
下に設定したのは、図8に示すデ―タから明らかなよう
に、撚り係数がK=0〜350の範囲で強力利用率およ
び弾性率利用率が共に高くなるからである。なお、心糸
12の撚り方向や多段撚りで行う場合の撚り方(諸撚り
糸、片撚り糸およびラング撚り糸等)は限定しない。ま
た、糸条6の種類としては第1実施例で説明したのと同
様である。
【0062】次に、本実施例Vに係る歯付ベルトAの屈
曲疲労テストを比較例Vと共に下記の条件および要領に
て行い、その結果を下記の表4に示す。なお、この表4
の数値は本実施例Vおよび比較例V共、上欄がベルト強
力維持率を、下欄がベルト伸度をそれぞれ表わす。
【0063】[本実施例Vの歯付ベルトAの構成]補強
体2を構成する丸打ち組紐7として、ケブラー(商品名
デュポン社製)1500deの5本打ちのもの(トー
タルデニール数:7500de)の中空部8にテトロン
製の330deの心糸12を挿入配置したものを用い
た。そのほかは本実施例Iの場合と同様である。
【0064】[比較例Vの歯付ベルトの構成]丸打ち組
紐7の中空部8内に心糸12を挿入配置していないほか
は、本実施例Vの場合と同様である。
【0065】[屈曲疲労テストの要領]本実施例Iの場
合と同様である。
【0066】
【表4】
【0067】この表4のテストデータから明らかなよう
に、本実施例Vおよび比較例V共にベルト強力維持率に
おいては優れていた。しかし、ベルト伸度においては、
両者にはかなりの格差が生じ、特に、ベルト屈曲回数1
×108 では、本実施例Vでは0.10%であったが、比
較例Vでは0.21%にもなっており、本実施例Vの方
が寸法安定性が優れていた。このことは、本実施例Vの
ものには、丸打ち組紐7の中空部8内に心糸12が挿入
配置されていることにより、該心糸12が丸打ち組紐7
の伸長時における偏平現象を規制していることによるも
のである。
【0068】したがって、本実施例Vでは、この心糸1
2による偏平現象規制により歯付ベルトAの寸法安定性
をさらに向上させることができるとともに、曲げ剛性を
も高めることができる。なお、本実施例Vにおいて、心
糸12の材質および太さ等を選定することにより、歯付
ベルトA(丸打ち組紐7)の曲げ剛性を目的および用途
に応じて自在に調節することができるというメリットが
ある。
【0069】次に、本実施例VIに係る歯付ベルトAのベ
ルト伸び量のテストを比較例VIと共に下記の条件および
要領にて行った。
【0070】[本実施例VIの歯付ベルトAの構成]補強
体2を構成する丸打ち組紐7として、ケブラー(商品名
デュポン社製)1500deの3本引き揃え糸(トー
タルデニール数:4500de)にナイロン製の330
de5本打ちの組紐でブレーディングしたものを用い
た。そのほかは本実施例Iの場合と同様である。
【0071】[比較例VIの歯付ベルトの構成]補強体2
として、ケブラー(商品名 デュポン社製)1500d
eの3本打ちの諸撚り糸(トータルデニール数:450
0de)を用いたほかは、本実施例VIの場合と同様であ
る。
【0072】[ベルト伸び量のテストの要領]図9に示
すように、2つの直径50mmのプーリ13,13を備え
た二軸走行試験機を用意し、歯付ベルトAを該二軸走行
試験機のプーリ13,13に掛け渡してウエイト14に
て歯付ベルトAに所定のテンションをかけた状態で走行
させた。
【0073】そのテスト結果を図10に示す。このテス
トデータから明らかなように、ベルト伸び量が、本実施
例VIではウエイト荷重300kgf で約0.015mmと少
なかったが、比較例VIではウエイト荷重300kgf で約
0.035mmと多く、本実施例VIの2倍以上の伸び量を
示し、本実施例VIの方が寸法安定性が優れていた。この
ことは、丸打ち組紐7の中空部8内に挿入配置されてい
る心糸12が、本実施例VIでは3本引き揃え糸であるの
に対し、比較例VIでは3本打ちの諸撚り糸であることの
相違に基づくものである。
【0074】したがって、本実施例VIでは、心糸12の
撚り特性により補強体2の強力利用率および弾性率利用
率を向上させることができ、さらには丸打ち組紐7の構
造特性により撚り糸の外部応力に対する変形をカバーし
て歯付ベルトAの寸法安定性の向上をも図ることができ
る。
【0075】なお、上記各実施例では、工業用ベルトと
して歯付ベルトAを示したが、これに限らず、例えばV
ベルト、平ベルトおよびリブ付ベルト等の伝動ベルトや
運搬ベルトであってもよいことはいうまでもない。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る本
発明によれば、補強体を3本以上の奇数本数の糸条にて
円筒状に組まれた丸打ち組紐でもって構成したので、耐
屈曲疲労性の向上に加えて引張り弾性率をも高め得て、
寸法安定性および加工性の向上を図ることができるとと
もに、工業用ベルトのカット面へのフレイの発生および
偏摩耗等を防止することができる。
【0077】請求項2に係る本発明によれば、丸打ち組
紐を3本以上9本以下の奇数本数の糸条にて組んだの
で、工業用ベルトの耐屈曲疲労性と寸法安定性とを十分
に向上させ、その延命化を図ることができる。
【0078】請求項3に係る本発明によれば、丸打ち組
紐を撚り方向がS撚りとZ撚りとに逆向きに設定された
左遷性および右遷性打込み糸条からなる3本以上の奇数
本数の糸条にて組んだので、工業用ベルトの耐屈曲疲労
性と寸法安定性とを十分に向上させ、かつその延命化を
図ることができる。
【0079】請求項4に係る本発明によれば、丸打ち組
紐の表面から内部に亘って接着剤を均一に含浸せしめた
ので、接着剤の含浸分布の不均一に起因する屈曲歪を防
止することができる。
【0080】請求項5に係る本発明によれば、丸打ち組
紐の中空部内に心糸を設けたので、耐屈曲疲労性の向上
に加えて寸法安定性のさらなる向上を図ることができ
る。
【0081】請求項6に係る本発明によれば、丸打ち組
紐の中空部内に設けられる心糸の撚り係数をK=350
以下
【0082】
【数5】
【0083】K:撚り係数 T:10cm当たりの撚り回数 D:トータルデニール数 に設定したので、補強体の強力利用率および弾性率利用
率の向上に加えて工業用ベルトの寸法安定性の向上をも
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における丸打ち組紐の縦断拡大側面
図である。
【図2】第1実施例における丸打ち組紐の拡大正面図で
ある。
【図3】第1実施例に係る歯付ベルトの縦断正面図であ
る。
【図4】ベルト屈曲試験機の概略構成図である。
【図5】第2実施例における丸打ち組紐の拡大正面図で
ある。
【図6】第2実施例における右遷性打込み糸条の拡大図
である。
【図7】第3実施例における丸打ち組紐の縦断拡大側面
図である。
【図8】第3実施例における心糸の撚り係数と強力利用
率および弾性率利用率との関係を示すデ―タ図である。
【図9】二軸走行試験機の概略構成図である。
【図10】第3実施例に係る歯付ベルトのウエイト荷重
とベルト伸び量との関係を示すデ―タ図である。
【符号の説明】 2…補強体 4…ベルト本体 6…糸条 7…丸打ち組紐 8…中空部 12…心糸 A…歯付ベルト(工業用ベルト)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト本体に繊維からなる補強体が埋設
    された工業用ベルトであって、上記補強体は、3本以上
    の奇数本数の糸条にて円筒状に組まれた中空部を有する
    丸打ち組紐でもって構成されていることを特徴とする工
    業用ベルト。
  2. 【請求項2】 丸打ち組紐は、3本以上9本以下の奇数
    本数の糸条にて円筒状に組まれていることを特徴とする
    請求項1記載の工業用ベルト。
  3. 【請求項3】 丸打ち組紐は、撚り方向がS撚りとZ撚
    りとに逆向きに設定された左遷性および右遷性打込み糸
    条からなる3本以上の奇数本数の糸条にて円筒状に組ま
    れていることを特徴とする請求項1記載の工業用ベル
    ト。
  4. 【請求項4】丸打ち組紐は、表面から内部に亘って接着
    剤が均一に含浸せしめられていることを特徴とする請求
    項1記載の工業用ベルト。
  5. 【請求項5】 丸打ち組紐の中空部内には、心糸が設け
    られていることを特徴とする請求項1記載の工業用ベル
    ト。
  6. 【請求項6】 心糸は、撚り係数がK=350以下 【数1】 K:撚り係数 T:10cm当たりの撚り回数 D:トータルデニール数 に設定されていることを特徴とする請求項5記載の工業
    用ベルト。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06294051A (ja) * 1993-02-08 1994-10-21 Murata Mach Ltd 組紐構造体
JP2017053053A (ja) * 2015-09-08 2017-03-16 Kbセーレン株式会社 丸打ち結束紐及びその製造方法

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