JPH0525862Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は射出成形装置に関し、特に、溶融状態
にある成形材料を受けてシールリング等の円環状
の成形品を高品質で成形することのできる射出成
形装置に関するものである。

〔従来技術およびその問題点〕

従来、Ｏリングやリツプシール等の円環状のシ
ールリングの成形法としては、第５図に示すイン
ジエクシヨン・ランナゲート法が知られている。

すなわち、当接離間する金型１，２の分割面
に、複数の円環状のキヤビテイ溝３を配設すると
ともに、キヤビテイ溝３を棒状ランナー４と、そ
の先端のゲート５で連結して１個のキヤビテイ溝
３へ１点のゲート５から成形材料を射出流入さ
せ、成形加工していた。ここで６はノズル間挿
穴、７はスプルーである。

しかし、この方法には、第６図に示すように１
点のゲート５から流入した成形材料の流れは矢印
Ａ，Ｂのように分流し、約180度反対の位置で矢
印A′，B′のように合流するが、この合流部位に
ウエルド８が発生し易く、成形品として不良品が
できやすい大きな欠点を有していた。

上記の欠点を改良するものとして、特開昭61−
185426号にゲート５をキヤビテイ溝３の周囲に配
設したものが示されている。

すなわち、第７図は上記欠点が改良された射出
成形装置の断面図、第８図は第７図の−線矢
視断面図、第９図は第７図の要部拡大断面図であ
り、同図において、上金型１０と下金型１１の分
割面に形成される円環状のキヤビテイ溝１２の内
周側に近接してリング状ランナー１３が形成され
ている。

そして、前記キヤビテイ溝１２とリング状ラン
ナー１３とは全周にわたつて微小間隙かつ微小幅
のフイルムゲート１４にて連通連結されている。
また、前記上金型１０のリング状ランナー１３の
直上の一箇所には射出ノズル１５が設けられ、そ
れに続いてスプルー１６が、前記リング状ランナ
ー１３に連通連結される。

さらに、前記リング状ランナー１３に成形材料
を供給するスプルー１６が連設された位置から遠
ざかる程、前記フイルムゲート１４を介して外径
方向にフイルム状としてキヤビテイ溝１２に流入
する成形材料の流入抵抗を減少させるように、フ
イルムゲート１４の微小幅Ｗを周方向位置に応じ
て変化させている。

すなわち、前記スプルー１６の近傍におけるフ
イルムゲート１４の微小幅Wsを最大とし、他方
180度反対側の微小幅Wlを最小として、両者の間
において、この微小幅Ｗを連続的に変化させてい
る。

この結果、平面視円形の前記キヤビテイ溝１２
の中心点と、平面視円形の前記リング状ランナー
１３の中心点とは、偏心量εだけ偏心させて配置
されている。

また、他の態様として、フイルムゲート１４の
微小幅Ｗを一定として微小間隔Ｔを変化させて行
うことも示されている。

しかしながら、ウエルド８の発生が防止された
第７図〜第９図に示した従来技術においては、キ
ヤビテイ溝１２に連通連結するフイルムゲート１
４の微小間隙もしくは微小幅を変化させるため、
成形材料流入部のフイルム状バリが一様でなく、
バリを引きちぎつた後の再加工を必要とする他、
加工跡が一様でないため商品価値が低下する等の
問題点を有していた。

本考案は前記のような従来技術のもつ問題点を
解決したものであつて、ウエルドの発生が防止さ
れるとともに、バリの引きちぎりが容易で、バリ
を引きちぎつた後の切離し跡が一様で商品価値が
低下することがない成形品が得られる射出成形装
置を提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するために本考案は、一対
の型の分割間面に環状の成形用キヤビテイを有
し、前記キヤビテイの周面に環状の第２のランナ
ーを有すると共に、前記第２のランナーには成形
材料を注入するスプルーを備え、前記キヤビテイ
と前記第２のランナーとの間に環状の前記キヤビ
テイより小形の第１のランナーを有すると共に前
記第１のランナーと前記第２のランナーとの間に
前記スプルーから遠ざかるほど前記第２のランナ
ーからの成形材料の流入抵抗が小さくなる幅また
は間隙に形成された第２のフイルムゲートを有
し、且つ前記第１のランナーと前記キヤビテイと
の間にほぼ同一間隔の第１のフイルムゲートを有
する手段を採用したものである。

〔作用〕

本考案は上記の手段を採用したことにより、ス
プルーから注入された成形材料は、第２のランナ
ーから第２のフイルムゲートを介して第１のラン
ナー内に流れ込んで第１のランナー内を充満し、
第１のフイルムゲートを介してキヤビテイ内に流
れ込んでキヤビテイ内を充満することになる。

〔実施例〕

以下、図面に示す本考案の実施例について説明
する。

第１図は本考案の射出成形装置の一実施例の平
面説明図、第２図は第１図Ａ−Ａ線矢視断面説明
図である。

すなわち、この射出成形装置は、可動側取付け
板２１と、この可動側取付け板２１に相対して離
隔する固定側取付け板２２と、前記可動側取付け
板２１と固定側取付け板２２との間にあり、可動
側取付け板２１に一体に取り付けられた第１の型
である可動側型板２３と、固定側取付け板２２に
一体に取り付けられた第２の型である固定側型板
２４とからなり、前記可動取付け板２１には図示
しない駆動装置が設けられるとともに、前記固定
側取付け板２２との間にはダイバー２５が設けら
れている。

前記固定側取付け板２２には図示しないゴム等
の成形材料を射出する射出装置のノズルが挿入さ
れるノズル間挿穴２６が穿設されている。

前記可動側型板２３と固定側型板２４とは、前
記可動側取付け板２１に設けられた駆動装置によ
り当接離間し、当接時に両型板２３，２４で円環
状のキヤビテイ溝２７を形成するとともに、この
キヤビテイ溝２７の内周に沿つて第１の円環状ラ
ンナー２８と、この第１の円環状ランナー２８の
内周に沿つて第２の円環状ランナー２９が形成さ
れ、前記キヤビテイ溝２７と第１の円環状ランナ
ー２８との間は、全周にわたつて微小間隙かつ微
小幅の第１のフイルムゲート３０にて連通連結さ
れ、前記第１の円環状ランナー２８と第２の円環
状ランナー２９との間は全周にわたつて、前記第
１のフイルムゲート３０以上の大きさの間隙かつ
幅の第２のフイルムゲート３１にて連通連結され
ている。

また、前記第２の円環状ランナー２９には、前
記ノズル間挿穴２６に連設されたスプルー３２が
配設され、第２の円環状ランナー２９のスプルー
３２が配設された位置から遠ざかるほど、該ラン
ナー２９から、前記第２のフイルムゲート３１を
介して前記第１の円環状ランナー２８に流入する
成形材料の流入抵抗を減少させるように、前記第
２のフイルムゲート３１の幅が小さくされてい
る。

すなわち、スプルー３２が設けられた位置の第
２のフイルムゲート３１の幅Wl₁を最大にして、
その180度反対の位置の第２のフイルムゲート３
１の幅Wl₂を最小にして、その間を連続的に変化
させている。

従つて、前記キヤビテイ溝２７と第１の円環状
ランナー２８は同心円であるが、前記第２の円環
状ランナー２９はεだけスプルー３２から遠ざか
る方向に偏心している。

また、第１図および第２図に示した実施例にお
いては、キヤビテイ溝２７を２組有する装置であ
り、成形材料の導入口であるスプルー３２も２箇
所に設けられて、その２箇所のスプルー３２の位
置は、第２の型である固定側型板２４に対象位置
に設けられている。

第３図および第４図は、本考案の他の実施例の
射出成形装置を示すもので、第３図は平面説明
図、第４図は第３図のＡ−Ａ線矢視断面説明図で
あり、同図においては、キヤビテイ溝２７の外周
に沿つて第１の円環状ランナー２８が、さらに第
１の円環状ランナー２８の外周に沿つて第２の円
環状ランナー２９が配設され、前記キヤビテイ溝
２７と第１の円環状ランナー２８との間は、前記
実施例のものと同様に全周にわたつて微小間隙か
つ微小幅の第１のフイルムゲート３０にて連通連
結され、前記第１の円環状ランナー２８と第２の
円環状ランナー２９との間は、前記実施例のもの
と同様に全周にわたつて、前記第１のフイルムゲ
ート３０以上の大きさの間隙かつ幅の第２のフイ
ルムゲート３１にて連通連結されている。

また、前記第２の円環状ランナー２９には、前
記実施例のものと同様にスプルー３２が配設され
るとともに第２のフイルムゲート３１の幅を変化
させている。

ここで、前記スプルー３２は、前記実施例のも
のと異なり、２組のキヤビテイ溝２７に対し１箇
設けるのみでよく、上記以外は前記実施例のもの
と同様の構成である。

上記の如く構成される本考案の各実施例による
射出成形装置は、図示しない駆動装置により、第
２図の如く、前記可動側型板２３と固定側型板２
４が当接して型締めがなされた後、図示しない射
出装置によりゴム等の成形材料を図示しないノズ
ルをノズル間挿穴２６に進入させてノズルタツチ
させ、スプルー３２を経由して、第２の円環状ラ
ンナー２９、第２のフイルムゲート３１、第１の
円環状ランナー２８、第１のフイルムゲート３０
の順で充填し、最後にキヤビテイ溝２７に充填す
る。

キヤビテイ溝２７に成形材料が充填された後、
所定時間保持し、前記駆動装置により可動側を移
動させ型開きし、円環状の成形品を取り出す。以
後、この操作をくり返す。

以上の工程で得られた成形品においては、ウエ
ルドが発生しないことは勿論、円環状成形品の内
周または外周のどちらか一方にできるバリの厚み
が一定で、バリの引きちぎりが容易であり、後処
理が簡単なものであり、商品価値の高い高品質の
ものが得られる。

また、従来技術の第７図〜第９図ではスプルー
の位置が装置全体に対して偏心しているのに対
し、各実施例の装置はスプルーを装置全体の対象
位置、または中心の１箇所に設けることができる
ため、型締め、型開き工程における射出成形装置
への局部的負荷を防止することができ、安全作
動、耐久性を確実に向上させることができる。

なお、前記実施例においては、第２の円環状ラ
ンナーの流入圧力調整を該ランナーの幅をもつて
調整したが、幅を一定として、ランナーの間隙を
調整してもよいし、両者の併用で調整してもよ
い。

また、従来の装置と同様に、真空排気もしくは
スプルー口の直下にポペツト式の真空排気装置を
設けてもよいし、さらに、エジエクト機構を設け
てもよく、さらにまた、型板の中央部にぬすみを
設けてバリの発生を防止するようにしてもよい。

〔考案の効果〕

本考案は前記のように構成したことにより、以
下のような効果を奏する。

イ 本考案は射出成形装置には、たとえ成形材料
の物性、注入圧力および成形温度が変更されて
も、注入材料が第１のフイルムゲートにより絞
られており、成形用キヤビテイより小形の第１
のランナーをすぐに充満し、この状態で成形用
キヤビテイ内に流入するから、第２のランナー
から第２のフイルムゲートを通つて、直接成形
用キヤビテイに注入される場合に比較して、成
形用キヤビテイ内により均一に注入材料を供給
でき、フローマーク（ウエルドマーク）を効果
的に防止することが期待できる。

ロ しかも、第２のランナーと第２のフイルムゲ
ートのみが成形用キヤビテイに連通されたもの
の場合には、第２のフイルムゲートの形状にお
いて、最大幅又は最小間隙は対象の最小幅又は
最大間隙に対し、比が大きくなる。その結果、
この最大幅又は最小間隙を成形材料が通過する
とき、型からの加熱温度の影響を大きく受けて
加硫が促進し過ぎて、不良の原因となるが、本
考案には第１のランナーが設けられているの
で、前述の比を小さくできると共に、第２のラ
ンナーと成形用キヤビテイとの間にフイルムゲ
ートより大きな間隙部に相当する通路を形成す
ることになるから、第２のランナーから成形用
キヤビテイに至る注入過程で成形材料が加硫し
過ぎることがなく、不良の発生を効果的に防止
することが期待できる。

ハ 更に、第２のフイルムゲートの複雑な形状に
より、この部分から成形品とバリとを分離する
ことは困難であるが、本考案にはバリの厚さを
一定にする第１のフイルムゲートを有するか
ら、この部分から成形品とバリとを極めて容易
に分離することが可能となる。従つて、成形品
のバリ仕上加工を省略することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による射出成形装置
の平面説明図、第２図は第１図のＡ−Ａ線矢視断
面説明図、第３図は本考案の他の実施例による射
出成形装置の平面説明図、第４図は第３図のＡ−
Ａ線矢視断面説明図、第５図は従来の射出成形装
置を示し、第５図ａは平面説明図、第５図ｂは断
面説明図、第６図はキヤビテイへの充填状態説明
図、第７図〜第９図は他の従来例を示し、第７図
は断面説明図、第８図は第７図の−線矢視断
面図、第９図は第７図の要部拡大断面図である。 １，２，１０，１１……金型、３，１２，２７
……キヤビテイ溝、４……棒状ランナー、５……
ゲート、６……ノズル間挿穴、１５……ノズル、
７，１６，３２……スプルー、１３……リング状
ランナー、１４……フイルムゲート、２１……可
動側取付け板、２２……固定側取付け板、２３…
…可動側型板、２４……固定側型板、２５……タ
イバー、２６……ノズル間挿穴、２８……第１の
円環状ランナー、２９……第２の円環状ランナ
ー、３０……第１のフイルムゲート、３１……第
２のフイルムゲート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一対の型の分割面間に環状の成形用キヤビテイ
   ２７を有し、前記キヤビテイ２７の周面に環状の
   第２のランナー２９を有すると共に、前記第２の
   ランナー２９には成形材料を注入するスプルー３
   ２を備え、前記キヤビテイ２７と前記第２のラン
   ナー２９との間に環状の前記キヤビテイ２７より
   小形の第１のランナー２８を有すると共に前記第
   １のランナー２８と前記第２のランナー２９との
   間に前記スプルー３２から遠ざかるほど前記第２
   のランナー２９からの成形材料の流入抵抗が小さ
   くなる幅または間隙に形成された第２のフイルゲ
   ート３１を有し、且つ前記第１のランナー２８と
   前記キヤビテイ２７との間にほぼ同一間隔の第１
   のフイルゲート３０を有する射出成形装置。