JPH05256836A - ガスクロマトグラフィー用光学活性カラム充填剤 - Google Patents

ガスクロマトグラフィー用光学活性カラム充填剤

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JPH05256836A
JPH05256836A JP4088114A JP8811492A JPH05256836A JP H05256836 A JPH05256836 A JP H05256836A JP 4088114 A JP4088114 A JP 4088114A JP 8811492 A JP8811492 A JP 8811492A JP H05256836 A JPH05256836 A JP H05256836A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、従来分離が困難であったアミノ酸誘
導体、アミン誘導体、アルコール誘導体、カルボン酸誘
導体、ラクトンなどのラセミ体混合物から光学活性な
(S)−体又は(R)−体の化合物に分割することを目
的とする。 【構成】光学活性の(S)−体又は(R)−体の1,
1’−ビナフチル−2,2’−ビス(カルボキシアミ
ド)誘導体をガスクロマトグラフィーの固定相成分とし
てコーティングしたガスクロマトグラフィー用充填剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異性体分離、ラセミ体
の光学分割など従来分離が困難であった化合物を分離す
るのに有用なガスクロマトグラフィー用光学活性カラム
充填剤に関する。更に詳しくは、本発明は光学活性の
(S)−体および(R)−体を包含する下記式(A)
【0002】
【化2】 [式中、1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイル残基
は、(S)−体または(R)−体の立体配座を有する光
学活性体を示す。また、R1とR4およびR2とR3は同一
または異なってもよく、R1とR4は、それぞれ水素原
子、メチル基またはエチル基を表し、R2とR3は、それ
ぞれC6以上のアルキル基またはアラルキル基を表す。
但し、R1とR4がともに水素原子で、且つR2とR3がと
もにn−デシル基である場合は除く、]で表される1,
1’−ビナフチル−2,2’−ビス(カルボキシアミ
ド)誘導体を固定相成分として含有するガスクロマトグ
ラフィー用光学活性カラム充填剤に関する。
【0003】
【従来の技術】光学活性固定相を備えたガスクロマトグ
ラフィーにより鏡像異性体対を直接分離する方法は公知
であり、例えば、S.Allenmark著、 "Chromatographic En
antioseparation," Ellis Horwood Ltd., Chichester(1
988年刊)などの著書にも詳述されている。この方法にお
いては、光学活性化合物を含有するカラム充填剤を従来
一般に用いられている種々の方法、即ち固定相担体に担
持させてカラムに充填する充填カラム方式、あるいはキ
ャピラリーカラムの内部表面に被覆するキャピラリーカ
ラム方式などを用いて光学活性固定相を調製する。これ
まで該充填剤を調製するための光学活性化合物として
は、例えば、(1)(L)−バリン、(L)−ロイシ
ン、(L)−フェニルグリシン誘導体などの(L)−ア
ミノ酸類、(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン
誘導体などの光学活性アミン類や菊酸誘導体などの光学
活性カルボン酸類などから誘導される光学活性アミド化
合物;(2)3−トリフルオロアセチル−(1R)−カ
ンファーやN−サリチリデン−(R)−2−アミノ−
1,1−ジ(5−t−ブチル−2−オクチルオキシフェ
ニル)−1−プロパノールなどの光学活性金属錯体;
(3)シクロデキストリン誘導体などの糖誘導体など、
種々の化合物が提案されている。
【0004】上記方法によって調製される光学活性固定
相による鏡像異性体の分離の機構は、固定相が光学活性
であるため移動相中の溶質鏡像異性体の(R)−体と
(S)−体間で固定相に対する保持力にジアステレオメ
リックな差を生じるためである。固定相−移動相間に働
く保持力としては、上記(1)のタイプの固定相では主
に水素結合が、(2)のタイプでは配位結合が、(3)
のタイプでは立体的相互作用や疎水性相互作用が働いて
いるとされている。従って、これらの相互作用エネルギ
ーの差が鏡像異性体の(R)−体と(S)−体間で顕著
なほど分離能に優れることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提
案の充填剤は各々、適用できる鏡像異性体試料の範囲に
限界がある。これは上述したごとく、充填剤ごとに鏡像
異性体識別に有効に働く相互作用力が限定されているた
めである。
【0006】ガスクロマトグラフィーで熱不安定の試料
を分離し、分析するには温度的制約から、低温でも効率
良く運転できるカラムが望ましく、これには低融点充填
剤が必要となってくる。また、高沸点試料の分析へも適
用できるためにはカラム温度を高く保てることも必要
で、カラム充填剤の沸点及び熱安定性が高いことも要求
される。しかしながら、上記提案の充填剤は融点が比較
的高かったり、耐熱性が不十分であったりして分析可能
温度範囲が狭いという欠点を有するものが多い。特に、
上記(2)のタイプの金属錯体型の充填剤は水分などに
も敏感で、性能を保つためには細心の注意を必要とし、
利用し易いとは言い難い。
【0007】これらの難点を克服しようとする試みも多
いが、これらの充填剤は一般的に調製が煩雑であり、且
つ高価である。また、クロマトグラフィーにより、光学
活性体の対掌体の一方を分取する場合、一般に目的とす
る(R)−体または(S)−体の対掌体が先に溶出する
ことが望ましい。一方、光学純度99%以上といった、
ごく微量な対掌体を含む試料の光学純度の決定において
は、微量な対掌体が先に溶出することが望ましい。そこ
で、試料の(R)−体または(S)−体の望む対掌体を
随意に先に溶出できる充填剤が望まれている。しかる
に、従来は天然物から調製される充填剤が多いことか
ら、(R)−体、(S)−体の光学活性カラム充填剤を
任意に作り分けることが難しく、試料の(R)−体また
は(S)−体の溶出順序を変えることが困難であること
も難点の一つである。このような背景から、容易に調製
できしかも広範囲の鏡像異性体に優れた分離能を示すガ
スクロマトグラフィー用光学活性充填剤の開発が強く望
まれている。
【0008】本発明者らは、上述の課題を解決するた
め、光学活性化合物を固定相として用いるガスクロマト
グラフィー用充填剤について従来から研究を行い、光学
活性な(S)−体および(R)−体の1,1’−ビナフ
チル−2,2’−ビス(N−デシルカルボキシアミド)
[本発明の式(A)化合物において、R1とR4が水素原
子でR2とR3がn−デシル基である化合物]がガスクロ
マトグラフィー用充填剤の固定相としてラセミ体分割に
有効であることを発見して、先に特許出願した[平成4
年2月14日出願]。
【0009】本発明者らは、引き続いてガスクロマトグ
ラフィー用光学活性充填剤について鋭意研究を重ねた結
果、前記式(A)で表される1,1’−ビナフチル−
2,2’−ビス(カルボキシアミド)誘導体が、広い範
囲の鏡像異性体の分離に対して優れた性能を有すること
を見い出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
即ち、本発明の主眼は既存のガスクロマトグラフィー用
光学活性充填剤がすべて、炭素の四面体構造に基づく炭
素中心性不斉による光学活性化合物から誘導されたもの
であるのに対し、軸性分子不斉を有する後記式(B)で
示される(R)−又は(S)−1,1’−ビナフチル−
2,2’−ジカルボン酸から誘導される式(A)の化合
物からなることを特徴とする新規充填剤を提供すること
により、ラクトン、アミン誘導体、アミノ酸誘導体、ア
ルコール誘導体、カルボン酸誘導体など、広範囲の鏡像
異性体の分離に適用でき、且つ比較的低いカラム温度、
好ましくは100℃以下においても液相として使用する
ことができ、耐熱性にも優れており、広い使用温度範囲
にわたって良好なピークを与える光学活性固定相を提供
することである。
【0010】更に、1,1’−ビナフチル骨格の軸性分
子不斉に加えて、式(A)化合物のアミン成分として、
例えば(S)−体または(R)−体の1−フェニルエチ
ルアミノ基のような炭素中心性不斉を有する光学活性ア
ミノ基を導入することにより、軸性分子不斉と中心性不
斉の特徴を兼ね備えた光学活性カラム充填剤を容易に調
製できることも本発明の大きな特徴の一つである。これ
により上述の溶質(S)−体と(R)−体異性体間の保
持力のジアステレオメリックな相互作用エネルギー差に
水素結合、立体的相互作用、π−π相互作用などが相乗
的に寄与するため、優れた分離性能を有する固定相が得
られる。以下に本発明の態様を更に詳しく説明する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の式(A)化合物
の出発原料である後記式(B)で表される(R)−体又
は(S)−体の1,1’−ビナフチル−2,2’−ジカ
ルボン酸は、先に本発明者らの発表した方法により容易
に合成することができる[Bull.Chem.Soc.Jpn.,62,956-9
57(1989)参照]。次に式(A)化合物を非対称型化合物
と対称型化合物にわけて、その合成法を説明する。
【0012】[1]非対称型の式(A)化合物の合成1とR4が異なり、且つR2とR3が異なる非対称型の式
(A)化合物を製造するには、例えば後記式(B)を出
発原料に選ぶことにより容易に合成できる。この合成法
を反応式で示すと以下のように表すことができる。
【0013】
【化3】 [式中、R1、R2、R3、R4は前記したと同義の基を示
し、DCCはジシクロヘキシルカルボジイミドを示
す、]
【0014】上記反応式に従って、非対称型の式(A)
化合物を合成する方法を以下に詳細に説明する。光学活
性の式(B)化合物をテトラヒドロフランなどの有機溶
媒中、当量のジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、
DCCと略称する)と約25℃〜80℃の温度で約1〜
8時間、好ましくは室温で約3時間、次いで75℃で3
時間反応させた後、処理することなく式(E)で表され
る第1成分のアミンと少量の第3級アミンを加え、約3
時間加熱反応すると対応する式(C)で表されるモノア
ミド誘導体が生成する。このモノアミド誘導体は厳密に
精製することなく、次の工程に送ることができる。即
ち、析出するジシクロヘキシル尿素を濾別し、残存する
未反応の式(E)の第1成分アミンを酸洗浄などで除い
た後、溶媒を含む低沸点成分を減圧下に留去して得られ
る粗製の式(C)化合物を、上記したと同様に有機溶媒
に溶解しDCCと第3級アミンの存在下に式(F)で表
される第2成分のアミンと処理すれば非対称型の式
(A)の化合物が得られる。この化合物はカラムクロマ
トグラフィーなどの常法の精製手段を用いることにより
単離することができる。
【0015】この反応に用いる式(E)の第1成分アミ
ンおよび式(F)の第2成分アミンとしては、例えば
(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−フェ
ニルエチルアミン、(S)−メンチルアミン、(R)−
メンチルアミン、(S)−シトロネリルアミン、(R)
−シトロネリルアミン、ベンジルアミン、ヘキシルアミ
ン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、
デシルアミン、ヘキサデシルアミン、N−メチルヘキシ
ルアミン、N−メチルデシルアミン、N−エチルシクロ
ヘキシルアミンなどを挙げることができる。ただし第1
成分アミンおよび第2成分アミンとしては、同時に同じ
化合物を使用することはない。
【0016】このようにして得られる非対称型の式
(A)の化合物としては、例えば2−[(S)−1−フ
ェニルエチルカルバモイル]−2’−デシルカルバモイ
ル−(S)−1,1’−ビナフチル[以下、(A−1)
化合物と称する。以下同様]、2−[(S)−1−フェ
ニルエチルカルバモイル]−2’−デシルカルバモイル
−(R)−1,1’−ビナフチル(A−3)、2−
[(R)−1−フェニルエチルカルバモイル]−2’−
デシルカルバモイル−(R)−1,1’−ビナフチル
(A−4)、2−[(R)−1−フェニルエチルカルバ
モイル]−2’−デシルカルバモイル−(S)−1,
1’−ビナフチル(A−5)、2−ヘキシルカルバモイ
ル−2’−オクチルカルバモイル−(S)−1,1’−
ビナフチル(A−8)、2−ヘキシルカルバモイル−
2’−オクチルカルバモイル−(R)−1,1’−ビナ
フチル(A−9)、2−ベンジルカルバモイル−2’−
(N−デシル−N−メチルカルボキシアミド)−(S)
−1,1’−ビナフチル(A−10)、2−ベンジルカ
ルバモイル−2’−(N−デシル−N−メチルカルボキ
シアミド)−(R)−1,1’−ビナフチル(A−1
1)、2−[(S)−1−メンチルカルバモイル]−
2’−オクチルカルバモイル−(S)−1,1’−ビナ
フチル(A−17)、2−[(S)−1−メンチルカル
バモイル]−2’−オクチルカルバモイル−(R)−
1,1’−ビナフチル(A−18)、2−[(R)−シ
トロネリルカルバモイル]−2’−ベンジルカルバモイ
ル−(S)−1,1’−ビナフチル、2−[(R)−シ
トロネリルカルバモイル]−2’−ベンジルカルバモイ
ル−(R)−1,1’−ビナフチル、2−[(S)−シ
トロネリルカルバモイル]−2’−ベンジルカルバモイ
ル−(S)−1,1’−ビナフチル、2−[(S)−シ
トロネリルカルバモイル]−2’−ベンジルカルバモイ
ル−(R)−1,1’−ビナフチルなどを挙げることが
できる。次に対称型の式(A)化合物の合成法について
説明する。
【0017】[2]対称型の式(A)化合物の合成 上述した非対称型の式(A)化合物の製造において、例
えば式(F)で表される第2成分アミンとして、式
(E)で表される第1成分アミンと同じ上述のアミン類
を用いることにより、R1とR4およびR2とR3が同一で
ある対称型の式(A)化合物を合成するできる。また、
より簡便には以下の反応式に従って対称型の式(A)の
化合物を合成することができる。
【0018】
【化4】 [R1、R2は前記した同義の基を示し、Xはハロゲン原
子を示す、]
【0019】上記反応式に従って、対称型の式(A)化
合物を合成するには、有機溶媒の存在下または不存在下
で、光学活性の式(B)化合物をハロゲン化剤でハロゲ
ン化して上記式(D)で表される酸ハロゲン化物とした
後、アミン類と反応させることにより容易に得られる。
これらの合成法に関しては、例えば公知の方法[Bull.Che
m.Soc.Jpn.,94,2260-2265(1991)参照]により、容易に行
うことができる。
【0020】上記のようにして得られる対称型の式
(A)の化合物としては、例えば(S)−1,1’−ビ
ナフチル−2,2’−ビス(N−デシル−N−メチルカ
ルボキシアミド)[以下、(A−2)化合物と称する。
以下同様]、(R)−1,1’−ビナフチル−2,2’
−ビス(N−デシル−N−メチルカルボキシアミド)
(A−16)、2,2’−ビス(ヘキシルカルバモイ
ル)−(S)−1,1’−ビナフチル(A−6)、2,
2’−ビス(ヘキシルカルバモイル)−(R)−1,
1’−ビナフチル(A−7)、2,2’−ビス[(S)
−1−フェニルエチルカルバモイル]−(S)−1,
1’−ビナフチル(A−12)、2,2’−ビス
[(S)−1−フェニルエチルカルバモイル]−(R)
−1,1’−ビナフチル(A−13)、(S)−1,
1’−ビナフチル−2,2’−ビス(N−エチル−N−
シクロヘキシルカルボキシアミド)(A−14)、
(R)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ビス(N−
エチル−N−シクロヘキシルカルボキシアミド)(A−
15)、2,2’−ビス[(S)−シトロネリルカルバ
モイル]−(S)−1,1’−ビナフチル(A−1
9)、2,2’−ビス[(R)−シトロネリルカルバモ
イル]−(S)−1,1’−ビナフチル(A−20)、
2,2’−ビス[(S)−シトロネリルカルバモイル]
−(R)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス
[(R)−シトロネリルカルバモイル]−(R)−1,
1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ヘキサデシルカル
バモイル)−(S)−1,1’−ビナフチル、2,2’
−ビス(ヘキサデシルカルバモイル)−(R)−1,
1’−ビナフチルなどを例示することができる。
【0021】上述のようにして得ることのできる光学活
性な式(A)の化合物は、ガスクロマトグラフィー用充
填剤の固定相として用いることにより、種々の化合物を
分離することができる。特に、従来ガスクロマトグラフ
ィーでは分離が困難であったラセミ体などの鏡像異性体
対の光学分割に優れた効果を発揮する。本発明の充填剤
は、種々の官能基を有する化合物の分離に適用できる
が、一般的には、ラクトン、アミノ酸誘導体、アミン誘
導体、カルボン酸誘導体などの極性化合物に対して優れ
た分離能を有する。また、本発明の式(A)化合物は単
独でガスクロマトグラフィー充填剤として用いることが
できるとともに、従来既知の充填剤、例えばシリコーン
オイルOV−17、OV−1701、SE−30、SF
−96、SP−2100、XE−60など、また、PE
G−20M、FFAPなどと併用することもできる。
【0022】本発明のガスクロマトグラフィー用充填剤
をカラムに充填するには、従来一般に行われている方
法、即ち固定相担体に担持させてカラムに充填する充填
カラム方式あるいは固定相のみでカラムの内部表面を被
覆するキャピラリーカラム方式などをそのまま採用して
行うことができる。充填カラム方式では、例えばシリカ
ゲル、ガラスビーズ、ケイソウ土、アルミナなどの多孔
性担体に式(A)の化合物を均一に吸着させることによ
り行うことができる。多孔性担体には特別な制約はな
く、例えば粒径サイズ約1〜約100μm、細孔径サイ
ズ約50〜約500オングストロームの球状の担体を好
ましく例示することができる。キャピラリーカラム方式
では、例えば内径約0.1〜約0.5mm、長さ約10
〜約100mのガラス製あるいはステンレス製のキャピ
ラリーカラムの内部表面に式(A)の化合物をダイナミ
ック法あるいはスタティック法などの当該技術を用いて
均一にコーティングさせることにより行うことができ
る。
【0023】以下、本発明について参考例ならびに実施
例を挙げて更に詳細に説明する。
【参考例1】2−[(S)−1−フェニルエチルカルバモイル]−
2’−デシルカルバモイル−(S)−1,1’−ビナフ
チル[非対称型の式(A−1)の化合物]の合成。 式(B)に包含される(S)−1,1’−ビナフチル−
2,2’−ジカルボン酸512mg(1.50ミリモ
ル)を乾燥THF10mlに溶解させ、そこへ、DCC
312mg(1.51ミリモル)を乾燥THF10ml
に溶解したものを80分かけて滴下した。その後、室温
で2時間撹拌し、4時間還流後、室温に戻して、(S)
−1−フェニルエチルアミン270mg(2.23ミリ
モル)と乾燥トリエチルアミン150mg(1.50ミ
リモル)を加えて室温で15時間撹拌した。反応終了
後、反応液を10ml程度まで濃縮し、析出してくるジ
シクロヘキシルウレアを濾別した。濾液のTHFを減圧
で留去後、残渣を酢酸エチル10mlに溶解し、1N塩
酸10mlで3回、蒸留水10mlで3回洗浄した。無
水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去し、式
(C)に包含される2’−[(S)−1−フェニルエチ
ルカルバモイル]−(S)−1,1’−ビナフチル−2
−カルボン酸を668mg得た。
【0024】この生成物のうち、90mg(0.20ミ
リモル)を5mlのTHFに溶解し、この溶液にDCC
43mg(0.21ミリモル)をTHF5mlに溶解し
たものを滴下し、室温で2時間撹拌後、4時間加熱還流
した。反応物から約5mlのTHFを留去し、室温まで
放冷後、析出するジシクロヘキシルウレアを濾別し、濾
液からTHFを留去した。残留物を酢酸エチル20ml
に溶解し、2N塩酸で3回、1N炭酸ナトリウム水溶液
で3回、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、溶媒の大部分を留去し、ヘキサン:酢酸エ
チル=1:1を展開溶媒とするシリカゲル薄層クロマト
グラフィーで分取し、樹脂状の生成物として、2−
[(S)−1−フェニルエチルカルバモイル]−2’−
デシルカルバモイル−(S)−1,1’−ビナフチル
[(A−1)の化合物]を82mg(収率70%)得
た。
【0025】[α]D 20=-83.1°(c 0.98, アセトン) IR (液膜) 3235, 3050, 2920, 2850, 1625, 1550, 144
5, 1328, 1297, 825, 784, 755, 696 cm-1 1 H-NMR (CDCl3) δ(ppm)=0.76-1.34 (22H, m, CH2, C
H3), 2.95 (2H, m, -NH-CH2 -), 4.82 (1H, qui, -NH-CH
-Ph), 6.63-7.97(19H, m, ArH) 分析値 C=82.14% ; H=7.83% ; N=4.62% C40H44N2O2としての 計算値 C=82.15% ; H=7.58% ; N=4.79%
【0026】
【参考例2】(S)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ビス(N−
デシル−N−メチルカルボキシアミド)[対称型の式
(A−2)の化合物]の合成。 式(B)に包含される(S)−1,1’−ビナフチル−
2,2’−ジカルボン酸700mg(2.05ミリモ
ル)を塩化チオニルと加熱還流することにより得られる
酸クロリドを窒素下で乾燥ベンゼン40mlに撹拌溶解
し、メチルデシルアミン877mg(5.13ミリモ
ル)、トリエチルアミン710μl(5.13ミリモ
ル)を順次加え、2時間加熱還流した。1N塩酸10m
lで3回、1N炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和
食塩水で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。溶媒をエバポレーターで留去後、残渣をヘキサン:
酢酸エチル=1:1を展開溶媒とするシリカゲル薄層ク
ロマトグラフィーで精製し、粘稠なオイル状の(S)−
1,1’−ビナフチル−2,2’−ビス(N−デシル−
N−メチルカルボキシアミド)[(A−2)の化合物]
を収量1.20g(1.85ミリモル)、収率90%で
得た。
【0027】[α]D 14=-74.6°(c 1.14, アセトン) IR (液膜) 3050, 2925, 2850, 1645, 1595, 1490, 146
8, 1403, 1303, 1080, 820, 757 cm-1 1 H-NMR (CDCl3) δ(ppm)=0.86-1.66(m), 2.75(br), 3.5
7(br) (48H, CH2, CH3,-N-CH2-, -N-CH3-), 7.17-7.93
(12H, m, ArH) 分析値 C=79.13% ; H=10.75% ; N=4.06% C44H60N2O2としての 計算値 C=81.43% ; H=9.32% ; N=4.32%
【0028】
【参考例3】各種の式(A)化合物の合成。 参考例1または参考例2の方法に準じて、各種の非対称
型および対称型の(S)−体または(R)−体の式
(A)の化合物を合成した。その結果を表−1に示す。
【0029】
【表−1】 式(A)化合物 化合物No 軸不斉 R1 R2 R3 R4 (A-3) (R) H (S)-CH(CH3)C6H5 H (CH2)9CH3 (A-4) (R) H (R)-CH(CH3)C6H5 H (CH2)9CH3 (A-5) (S) H (R)-CH(CH3)C6H5 H (CH2)9CH3 (A-6) (S) H (CH2)5CH3 H (CH2)5CH3 (A-7) (R) H (CH2)5CH3 H (CH2)5CH3 (A-8) (S) H (CH2)5CH3 H (CH2)7CH3 (A-9) (R) H (CH2)5CH3 H (CH2)7CH3 (A-10) (S) H CH2C6H5 CH3 (CH2)9CH3 (A-11) (R) H CH2C6H5 CH3 (CH2)9CH3 (A-12) (S) H (S)-CH(CH3)C6H5 H (S)-CH(CH3)C6H5 (A-13) (R) H (S)-CH(CH3)C6H5 H (S)-CH(CH3)C6H5 (A-14) (S) C2H5 C6H11 C2H5 C6H11 (A-15) (R) C2H5 C6H11 C2H5 C6H11 (A-16) (R) CH3 (CH2)9CH3 CH3 (CH2)9CH3 (A-17) (S) H (S)-menthyl H (CH2)7CH3 (A-18) (R) H (S)-menthyl H (CH2)7CH3 (A-19) (S) H (S)-citronellyl H (S)-citronellyl (A-20) (S) H (R)-citronellyl H (R)-citronellyl
【0030】
【参考例4】式(A−1)の化合物をコーティングしたキャピラリー
カラムの調製 。 メンブランフィルターで濾過、次いで減圧で脱気した塩
化メチレンに式(A−1)の化合物を0.12%(W/
V)、OV−17を0.08%(W/V)の濃度となる
ように溶解させた固定相液体を調製する。これをガラス
キャピラリーカラムの中に気泡が入らないように慎重に
通し、溶液の出口に接続しておいた内径1mm程度のシ
リコーンチューブをクリップで押え気泡が残らないよう
に端を封じる。他端を真空ポンプに接続し、最初は50
mmHg程度の減圧にし、溶媒をカラムの端から蒸発さ
せてゆく。溶液の端がカラムの内部に進むにつれ、蒸発
の速度が遅くなるので圧力を徐々に下げてゆく。この操
作は室温で行うが、室温が20℃以下の場合は溶媒の蒸
発が円滑に進行しないので、25℃程度に恒温した水槽
内で行った方が良好な結果が得られる。この場合、サー
モスタットによる温度調節では、ヒーターのON−OF
F時の微妙な温度変化もコーティングに悪影響を及ぼす
ので、恒温槽に10リットル程度の大きな水層を用い、
スライダックにより温度調節を行う。
【0031】
【参考例5】各種の式(A)化合物をコーティングしたキャピラリー
カラムの調製。 参考例4の方法に準じて、参考例2および参考例3で合
成した式(A)に包含される各種の化合物をコーティン
グしたキャピラリーカラムを調製した。
【0032】
【実施例1】参考例4で調製した式(A−1)の化合物
をコーティングしたキャピラリーカラムを用い、下記の
測定条件でラセミ体のラクトン化合物の分離を行い、保
持係数より分離係数(α)を求めた。その結果を表−2
に示す。
【0033】[測定条件] カラム: 内径0.25mm,外径1.0mm,
長さ25m 検出器: FID 注入口温度: 180℃ カラム温度: 130℃ キャリアガス: He 流量: 1.0kg/cm2 スプリット比: 1:100
【0034】
【表−2】No 試料(ラセミ体) α 1 4-フェニル-4-ヘ゜ンタノリト゛ 1.032 2 4-フェニル-4-ヘキサノリト゛ 1.045 3 4-フェニル-4-ヘフ゜タノリト゛ 1.041
【0035】
【実施例2】参考例5で調製した式(A−2)化合物を
コーティングしたキャピラリーカラムを用い、実施例1
の方法に準じてラセミ体の各種アミノ酸誘導体の分離を
行い、保持係数より分離係数(α)を求めた。その結果
を表−3に示す。
【0036】
【表−3】 No アミノ酸誘導体[R5CH(COO-iso-Pr)-NHCO-CF3] α R5 4 -CH3(アラニン) 1.224 5 -iso-C3H7(ハ゛リン) 1.175 6 -CH(CH3)C2H5(アロ-イソロイシン) 1.211 7 -CH(CH3)C2H5(イソロイシン) 1.112 8 -n-C3H7(n-ハ゛リン) 1.159 9 -iso-C4H9(ロイシン) 1.116 10 -n-C4H9(n-ロイシン) 1.123 11 -Ph(フェニルク゛リシン) 1.036 12 -CH2Ph(フェニルアラニン) 1.107 13 ク゛ルタミン酸 1.051
【0037】
【実施例3】参考例5で調製した式(A−3)の化合物
をコーティングしたキャピラリーカラムを用い、実施例
1の方法に準じてラセミ体の各種アルコール誘導体の分
離を行い、保持係数より分離係数(α)を求めた。その
結果を表−4に示す。
【0038】
【表−4】 No アルコール誘導体[R6CHR7-OCONH-iso-C3H7] α R6 R7 14 -CH3 -n-C6H13 1.016 15 -iso-C3H7 -Ph 1.026 16 -n-C4H9 -Ph 1.022
【0039】
【実施例4】参考例3で合成した非対称型の(A−
4)、(A−5)、(A−8)、(A−9)、(A−1
0)、(A−11)、(A−17)、(A−18)の化
合物および対称型の(A−6)、(A−7)、(A−1
2)、(A−13)、(A−14)、(A−15)、
(A−19)、(A−20)の化合物について、実施例
1の方法に準じて、アミノ酸誘導体、アミン誘導体、ア
ルコール誘導体、カルボン酸誘導体、ラクトンの分離係
数(α)を求めた。それらの分離係数は、いずれも高い
分離能を示し、ラセミ体混合物から光学活性化合物の分
離に有用であることが判明した。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、異性体分離、ラセミ体
の光学分割など従来分離が困難であった化合物を分離す
るのに有用なガスクロマトグラフィー用充填剤を提供で
きる。光学活性の(S)−体又は(R)−体の1,1’
−ビナフチル−2,2’−ビス(カルボキシアミド)誘
導体をガスクロマトグラフィーの固定相成分として用い
ることにより、ラセミ体混合物から光学活性のアミノ酸
誘導体などを分割可能にする。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(A) 【化1】 [式中、1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイル残基
    は、(S)−体または(R)−体の立体配座を有する光
    学活性体を示す。また、R1とR4およびR2とR3は同一
    または異なってもよく、R1とR4は、それぞれ水素原
    子、メチル基またはエチル基を表し、R2とR3は、それ
    ぞれC6以上のアルキル基またはアラルキル基を表す。
    但し、R1とR4がともに水素原子で、且つR2とR3がと
    もにn−デシル基である場合は除く、]で表される1,
    1’−ビナフチル−2,2’−ビス(カルボキシアミ
    ド)誘導体を固定相成分として含有することを特徴とす
    るガスクロマトグラフィー用光学活性カラム充填剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102276376A (zh) * 2010-06-13 2011-12-14 华东理工大学 轴手性二胺衍生物的制备方法

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