JPH05255520A - 摺動部材の製造方法 - Google Patents

摺動部材の製造方法

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JPH05255520A
JPH05255520A JP4206190A JP20619092A JPH05255520A JP H05255520 A JPH05255520 A JP H05255520A JP 4206190 A JP4206190 A JP 4206190A JP 20619092 A JP20619092 A JP 20619092A JP H05255520 A JPH05255520 A JP H05255520A
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JP
Japan
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weight
parts
melt
carbon black
mixture
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Application number
JP4206190A
Other languages
English (en)
Inventor
Michiya Okamura
道也 岡村
Tetsuo Konno
哲郎 今野
Koichi Sagisaka
功一 鷺坂
Shoichi Ikeda
晶一 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 精密電子部品の摺動部材に使用可能な熱可塑
性エンジニアリングプラスチックス成形体を得る。 【構成】 密度が0.92g/cm3 以上でMIが 0.1〜30のポリ
エチレンに導電性カーボンブラック及びタルクを配合し
たマスターバッチを熱可塑性エンジニアリングプラスチ
ックスに配合し、溶融混練し摺動部材を成形する。 【効果】 カーボンブラックのポリエチレンマスターバ
ッチを用いることによりカーボンブラックの分散が良好
で、得られた熱可塑性エンジニアリングプラスチックス
成形体が良好な熱伝導性を有して摩擦熱の蓄積がないた
め、摩耗が少なく、金属部品並に寿命の長い摺動部材が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動部材の製造方法に関
し、特に情報、映像機器等の精密電子部品分野の摺動部
材に要求される寸法精度、摺動特性、機械的特性、精密
成形性等に優れた摺動部材の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】情報、映像機器等の精密電子部品は軽量
化、薄肉化及び仕様の多用化が急速に進んでおり、例え
ば、複写機、プリンター、ビデオ関連機器等の駆動装置
における主要部品は、高精度で強靱な機械的特性と高摺
動特性が必要なため、従来このような部品の材料として
は通常アルミニウム合金が用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミ
ニウム合金は、重く、且つ各種の二次加工を必要とする
ため生産性に劣り、部品の製造原価が高くなるなどの欠
点がある。
【0004】このため市場では軽く、且つ生産性に優
れ、原価の安価な熱可塑性樹脂を部品材料として用いる
試みがなされてきた。
【0005】しかし、従来の熱可塑性樹脂を改良した複
合材料では、上記にような各種の要求特性、すなわち、
高精度で強靱な機械的特性と高摺動特性を満足すること
ができず、特に基材及び相手材との間の摩耗量、摩擦係
数及びその経時変化の点で従来の金属部品を代替するに
は必ずしも十分ではなかった。
【0006】本発明は、上記の問題点を解決した摺動部
材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カーボン
ブラックを含有した溶融混練物を予め作り、これを熱可
塑性エンジニアリングプラスチックスに配合して溶融成
形することにより上記の目的を達成したものである。
【0008】すなわち、本発明は、密度が0.92g/cm3
上でメルトインデックスが 0.1〜30g/10分のポリエチレ
ン40〜90重量部、導電性カーボブラック10〜40重量部及
びタルク 0〜20重量部を溶融混練してメルトインデック
スが 0.1〜40g/10分の混合物となし、次いでこの混合物
の 3〜150 重量部を熱可塑性エンジニアリングプラスチ
ックス100 重量部に配合して溶融成形することを特徴と
する摺動部材の製造方法である。
【0009】(ポリエチレン)本発明で用いられる上記
ポリエチレンは、密度が0.92g/cm3 以上でメルトインデ
ックス(MI)が 0.1〜30g/10分、好ましくは密度が 0.945
〜0.98g/cm3 でMIが 5〜20g/10分のポリエチレンであ
る。
【0010】ポリエチレンの密度が低過ぎると、カーボ
ンブラックとの親和性が悪くなり、カーボンブラックが
凝集し、衝撃強度が低下する。密度の上限は 0.98g/cm3
程度である。
【0011】また、MIが上記範囲を外れるとカーボンブ
ラックの分散が不均一となり、成形体の機械的強度が低
下する。
【0012】本発明で用いられるポリエチレンは、エチ
レンの単独重合体のほか、エチレンと共重合し得るビニ
ルモノマーを15重量%以下含有する共重合体であっても
よい。
【0013】(導電性カーボンブラック)本発明で用い
られる上記導電性カーボンブラックは、低導電性であっ
ても量を多く用いることで満足な導電性を与えるサーマ
ルブラックやチャンネルブラックも用いることができる
が、少量の添加量で組成物に必要な導電性を付与できる
ものが望ましいことから、高導電性のアセチレンブラッ
クとオイルファーネスブラック、特にオイルファーネス
ブラックが不純物が少なく、また導電性が優れているの
で好ましい。
【0014】その中で、特に XCF(Extra Conductive Bl
ack)、 SCF(Super Conductive Furnace Black)、CF(Con
ductive Furnace Black)及び SAF(Super Abrasion Furn
aceBlack)が好適に使用でき、中でもN2吸着による BET
比表面積が 850m2/g以上、特に900m2/g 以上のものが好
ましい。
【0015】XCF としてはケッチェンブラックインター
ナショナル社の「ケッチェンブラックEC」(商標名)、
キャボット社の「バルカン XC-72」(商標名)等、SCF
としてはキャボット社の「バルカンSC」(商標名)、
「バルカン P」(商標名)やデグッサ社「コーラックス
L」(商標名)等、CFとしてはキャボット社の「バルカ
ン C」(商標名)、コロンビア社の「コンダクテックス
SC」(商標名)等、また、SAF としては旭カーボン社の
「旭#9 」(商標名)、三菱化成工業社の「ダイヤブラ
ック A」(商標名)、キャボット社の「バルカン 9」
(商標名)等がある。これらは併用してもよい。
【0016】通常、ナイロン、ポリアセタール、ポリカ
ーボネートなどとポリエチレンとをブレンドしたときに
は、相溶性の不足からデラミネーション(層状剥離現
象)が起こり易いが、高導電性のオイルファーネスは表
面積がグラファイト構造に富んでおり、この特殊なカー
ボンブラック表面のグラファイト構造がポリエチレンの
結晶構造と特異的な親和性を発揮して極めて良好に相溶
しあい、デラミネーションを起こさず、且つ高導電性を
示す特異な相溶構造のものとなって本発明の効果をさら
に著しく奏せしめる。
【0017】(タルク)本発明で用いる上記タルクは、
好適には平均粒径が 0.2〜50μm 、好ましくは0.2〜20
μm のものである。この範囲のタルクは特に衝撃強度と
カーボンブラックの分散性に適している。
【0018】ここで平均粒径の測定は、液相沈降方式の
光透過法によるもので、測定装置としては例えば、島津
製作所社製 SA-CP型あるいはセイシン企業製 SKN型があ
る。また、粒度分布も同じ測定装置を用いる。
【0019】比表面積の測定は常法の、いわゆる空気透
過法に基づいて恒圧通気式比表明積判定装置、例えば島
津製作所製粉体比表面積測定装置 S.S-100型等で行う。
【0020】(熱可塑性エンジニアリングプラスチック
ス)本発明で用いる上記熱可塑性エンジニアリングプラ
スチックスは、一般に射出成形加工に供せられているも
のであれば特に制限はなく、例えばポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエー
テルサルフォン、ポリフェニレンオキキサイド、ポリフ
ェニレンサルファイト、ポリエーテルエーテルケトン、
AS樹脂、ABS 樹脂、ポリアリレート、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルサルフォン等を挙げることができる。
これらの中で特に好ましいものとして、ポリアミド、ポ
リエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリ
フェニレンサルファイトが挙げられる。
【0021】また、本発明の摺動部材には、上記の組成
に加えて、更に下記(a)〜(c)から選ばれる少なく
とも 1種の繊維 5〜150 重量部を熱可塑性エンジニアリ
ングプラスチックス100 重量部に配合することにより、
得られる摺動部材の機械的強度及び寸法精度を向上させ
ることができる。
【0022】(a)平均直径 3〜20μm 、且つ平均長0.
03〜15mmの炭素繊維 (b)平均直径 3〜15μm 、且つ平均長0.05〜10mmのガ
ラス繊維 (c)平均直径 0.1〜1 μm 、且つ平均長 5〜120 μm
のチタン酸カリウム繊維
【0023】(炭素繊維)本発明で用いる上記炭素繊維
は、一般のチョップド炭素繊維が使用されるが、本発明
の組成物のような高度の機械的特性、寸法特性が要求さ
れる場合には、PAN (ポリアクリロニトリル)法で製造
されたものが好ましい。
【0024】用いられる炭素繊維の平均直径は 3〜20μ
m 、好ましくは 3〜10μm で、その平均長は0.03〜60m
m、好ましくは 0.5〜30mmである。この範囲外のもので
は、樹脂組成物の機械的強度、寸法精度が低下し、好ま
しくない。
【0025】また、炭素組成は95%以上であるものが好
ましい。このような炭素繊維を使用することにより、例
えば射出成形に供した後の成形体中において、平均長が
多少短くなり、0.03〜15mm、好ましくは0.03〜5mm の炭
素繊維で分散しており、機械的特性、寸法特性の性能の
バランスが良好なものとなる。
【0026】炭素繊維には、熱可塑性エンジニアリング
プラスチックスとの接着性、親和性を目的とした、表面
処理成分を含んでいてもよく、その付着量は 2〜8 重量
%程度のものが一般的である。
【0027】(ガラス繊維)本発明で用いる上記ガラス
繊維は、平均直径が 3〜15μm のものが適用でき、好ま
しくは 5〜12μm 、平均長は0.05〜10mm、好ましくは
0.1〜6mm のものである。平均直径がこの範囲をはずれ
たものは、樹脂組成物の十分な機械的強度が得られず、
また平均長がこの範囲をはずれたものは、十分な寸法精
度が得られない。
【0028】このようなガラス繊維を用いることによ
り、例えば、射出成形に供した後の成形体中において、
その繊維長が多少短くなるが、平均長が0.05〜10mmのガ
ラス繊維で分散しており、寸法精度、機械的強度及び高
摺動特性の点で有効である。
【0029】ガラス繊維は、熱可塑性エンジニアリング
プラスチックスとの接着性、親和性を目的とした、表面
処理成分を含んでいてもよく、その付着量は0.01〜0.6
重量%程度のものが一般的である。
【0030】これらのガラス繊維は、市販品の中から適
宜選ぶことができるが、製造する場合には、例えばプッ
シング(採糸炉)にてマーブル(所定寸法のガラス玉)
を加熱軟化し、該炉テーブルの多数のノズルから流下さ
せ、この素地を高速度で延伸しながら、集束剤塗布装置
にて浸漬で集束剤を付着させて集束し、乾燥して回転ド
ラムで巻き取る方法で製造される。このときのノズル径
の寸法と延伸条件を選択してガラス繊維の平均直径を決
める。
【0031】該ガラス繊維の形態はロービング、チョッ
プドストランド、ストランド等何れでもよく、また、い
わゆるミルドファイバー、ガラスパウダーと称せられる
ストランドの粉砕品でもよいが、樹脂との混合作業性上
チョップドストランドが好ましい。原料ガラスの組成
は、無アルカリのものが好ましく、例の一つに Eガラス
がある。
【0032】(チタン酸カリウム繊維)本発明で用いる
チタン酸カリウム繊維は、平均繊維長が 5〜120 μm 、
好ましくは20〜100 μm で、平均繊維長は 0.1〜3.0 μ
m 、好ましくは 0.4〜1.5 μmの微細な白色針状の単結
晶繊維である。この範囲以外のものでは、樹脂組成物の
機械的強度、寸法精度が満足に得られない。
【0033】このチタン酸カリウム繊維は、接着性を高
めるため公知の表面処理を行うことができる。具体的に
はアミノシラン系、エポキシシラン系、チタネート系の
表面処理剤であり。特にアミノシラン系が良好である。
【0034】(配合量)本発明において上記各必須成分
の配合割合は次の通りである。 ポリエチレン:40〜90重量部、好ましくは50〜80重量
部、 カーボンブラック:10〜40重量部、好ましくは15〜35重
量部、 タルク: 0〜20重量部、好ましくは 5〜15重量部、 熱可塑性エンジニアリングプラスチックス: 100重量
部。
【0035】炭素繊維、ガラス繊維、チタン酸カリウム
を配合するときは、その一種又は併種: 5〜150 重量
部、好ましくは20〜150 重量部。
【0036】上記各成分の配合量がこの範囲を外れた場
合は次のような問題があり、それぞれ精密電子部品用摺
動部材に適応できなくなる。
【0037】すなわち、ポリエチレンの配合量が低過ぎ
ると、摩擦係数が大きくなり、高過ぎると、熱可塑性エ
ンジニアリングプラスチックスとの相分離が大きくな
り、デラミネーション現象が生じ、機械的強度が低下す
る。
【0038】カーボンブラックの配合量が低過ぎると導
電性が低下し、摺動時の相手基材との摩擦時に発生する
熱エネルギーが蓄積され、発熱により自基材又は相手基
材の摩耗が促進される。また高過ぎると、樹脂組成物の
機械的強度が低下する。
【0039】タルクの配合量が低過ぎると、特に導電性
カーボンブラックの分散が悪くなり、機械的強度が低下
し、高過ぎた場合は、樹脂組成物が脆くなる。
【0040】炭素繊維、ガラス繊維、チタン酸カリウム
の強化フィラーの配合は、配合量が低過ぎると、寸法精
度及び機械的強度の向上効果が期待されず、高過ぎると
成形加工性が悪くなり、強化フィラーの分散不良が生
じ、衝撃強度及び外観が低下する。
【0041】(付加的成分)本発明摺動部材の製造にお
いては、発明の効果を著しく損なわない範囲でこれら必
須成分のほかに付加成分を配合することができる。
【0042】そのような付加的成分としては、前記本発
明に用いられる成分以外の各種フィラー、例えば炭酸カ
ルシウム(重質、軽質、膠質)、マイカ、シリカ、アル
ミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫化
バリウム、酸化亜鉛、ゼオライト、ウオラストナイト、
けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリロ
ナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、二硫化モリ
ブデン、酸化チタン、アルミニウム繊維、ステンレスス
チール繊維、黄銅繊維、アルミニウム粉末、木粉、モミ
殻等、上記必須成分以外の熱可塑性樹脂、例えばポリプ
ロピレン、ポリエチレン(高密度、中密度、低密度、直
鎖状低密度)、プロピレン・エチレン-ブロック又はラ
ンダム共重合体、無水マレイン酸変性ポリオレフィン
等、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン・プロピ
レン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレ
ン・ブタジエン・スチレン- ブロック共重合体又はその
水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン
等、熱硬化性樹脂、例えばポキシ樹脂、メラミン樹脂、
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等のほか酸化
防止剤(フェノール系、いおう系等)、滑剤、有機系又
は無機系の各種顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散
剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、銅害防止剤、難燃剤、架
橋剤、流れ改良剤等を挙げることができる。
【0043】これらの付加的成分の添加はそれぞれの有
する効果、すなわち物性バランスや成形品表面特性(耐
表面受傷性、光沢、ウエルド外観、シルバーストリー
ク、フローマーク等)、印刷性、塗装性、接着性、メッ
キ性、成形加工性、耐久性等の向上に有効である。
【0044】(本発明の製造方法)本発明組成物は一軸
押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブ
ラベンダー・ブラストグラフ、ニーダー等の通常の混練
機を用いて製造することができる。
【0045】本発明の組成物の製造に際しては、先ずポ
リエチレン、導電性カーボンブラック、タルクからなる
組成物を一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサ
ー、ロール、ブラベンダー・ブラストグラフ、ニーダー
等の通常の混練機を用いて混練物を作り、次いでこれを
所望により各種強化繊維を併用して熱可塑性エンジニア
リングプラスチックスに所定量を混ぜて再度上記に述べ
た混練機を用いて混練してペレット状にした後、目的と
する摺動部材へ成形加工する。
【0046】
【作用】一般にカーボンブラックはポリマーと混練した
場合、カーボンブラックの不純物によりポリマーの分子
切断が生じ、混練時の剪断速度によって分子切断が大き
くなり、その結果ポリマーの分子量が低下してその衝撃
強度を低下せしめる。この傾向はポリアセタールにおい
て顕著に認められる。したがって、カーボンブラックは
エンジニアリングプラスチックスに配合される前に予め
ポリエチレンに分散させておくことが有効である。
【0047】また、カーボンブラックの分散構造は、組
成物の摺動特性に大きく影響し、予めポリエチレンに分
散させておくことにより、均一な分散が得られ、摺動特
性を高めることができる。
【0048】カーボンブラックを予め混練したマスター
バッチの形でなく、エンジニアリングプラスチックスに
直接、すなわち本発明の組成物成分を全量同時に混練し
た場合、カーボンブラックの分散構造が不均一になり、
強度低下と共に、摩耗量、摩擦係数の増大を生じる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により、本発明を説明する。
【0050】(カーボンマスターバッチ A-1)密度が
0.92g/cm3でメルトインデックス(MI)が4 g/10分のポ
リエチレン70重量部、オイルファーネスカーボンブラッ
ク(商品名ケッチェンブブラックEC)20重量部及び平均
粒子径10μm のタルク10重量部を二軸押出機で混練して
ペレット化し、MIが 0.4g/10分の混練物ペレットとし
た。以下これをカーボンマスターバッチ A-1とする。
【0051】(カーボンマスターバッチ A-2)密度が
0.97g/cm3でMIが 8g/10分のポリエチレン70重量部、ケ
ッチェンブブラックEC20重量部及び平均粒子径10μm の
タルク10重量部を二軸押出機で混練しペレット化し、MI
が 1.2g/10分の混練物ペレットとした。以下これをカー
ボンマスターバッチ A-2とする。
【0052】(カーボンマスターバッチ A-3)密度が
0.97g/cm3でMIが 8g/10分のポリエチレン70重量部、ア
セチレンブラック(商品名デンカブラック)20重量部及
び平均粒子径10μm のタルク10重量部を二軸押出機で混
練してペレット化し、MIが26g/10分の混練物ペレットと
した。以下これをカーボンマスターバッチ A-3とする。
【0053】実施例1〜16 これらのカーボンマスターバッチと平均粒径 3.0mmの P
AN法でつくられた炭素繊維、平均直径10μm で平均長
3.0mmのガラス繊維、平均直径 0.8μm で平均長60μm
のチタン酸カリウムの各々に、熱可塑性エンジニアリン
グプラスチックスとしてポリカーボネート、ポリフェニ
レンサルファイト及びポリアミドを表1〜3に示す割合
で配合し、二軸押出機で溶融混練してペレット化した
後、スクリューインライン式射出成形機を用いて試験片
を作製し、各種の物性を評価した。評価結果は表1〜3
に示す。
【0054】比較例1〜14 表1及び表2に示す組成を混合し、二軸押出機で溶融混
練してペレット化し、実施例と同様に評価した。評価結
果は表1〜3に示す。なお、マスターバッチを用いない
同時混練の場合のポリエチレンはそれぞれマスターバッ
チに用いたものと同じである。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】なお、評価の試験方法は次の通りであり、
精密電子部品の摺動部材に要求される実用性能として
は、次の試験法において摩耗量は以下8 mg以下、アイゾ
ット衝撃強度は 5kg.cm/cm以上、線膨張係数は 4.0×10
-5/ ℃以下である。
【0059】(1)摩耗量、摩擦係数 試験装置:東京試験機製作所、伊東式計装摩耗試験機IA
T-40/1500-01 試験片:射出成形品で、厚み 2mm、長さ30mm、幅30mm 相手材質:SUS45C、φ20、幅 2.8mm、リング状、試験有
効径 d=22.8mm 試験手法:試験片を固定しておき、SUS45Cのリングが試
験片上で一方向に回転す る。測定条件:荷重 8kg/cm2(ポリアミド系のみ14kg/c
m2)、回転数 180rpm 、試験 時間 5hr。 摩耗量の計算:試験前の重量−試験後の重量=摩耗量(m
g)摩擦係数の計算:測定チャートよりトルクT(kg・mm)
を求め、荷重及び試験有効径d から次式で計算。摩擦係
数μ=(1/荷重)×T×(d/2)
【0060】(2)曲げ弾性率 ASTM D790 に準拠した
【0061】(3)アイゾット衝撃強度 ASTM D256 に準拠した。
【0062】(4)カーボンマスターバッチのメトルイ
ンデックス 試験法:JIS-K7210 、測定温度:230 ℃、荷重:8.55k
g。
【0063】(5)寸法精度 線膨張係数をもって寸法精度の尺度とした。 測定法:ASTM D696 、昇温速度: 2℃/分、温度範囲:
23〜100 ℃、測定機:真空理工(株)製。
【0064】使用例1 実施例5の組成物を用いて、二軸押出機で混練してペレ
ットとし、得られたペレットをスクリューインライン式
射出成形機を用いて複写機用ギアーを成形した。このギ
アーを実用に供したところ、400 日後においても歯面の
摩耗、折損は見られなかった。
【0065】使用例2 実施例14の組成物を用いて、二軸押出機で混練してペ
レットとし、得られたペレットをスクリューインライン
式射出成形機を用いてプリンター用ギアを成形した。こ
のギアを実用に供したところ、 300日後においても歯面
の摩耗、折損は見られなかった。
【0066】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、カーボンブ
ラックの大部分もしくは実質的に全量が、ポリエチレン
に包含されて微細な分散構造を形成しているため、ポリ
エチレン相が熱伝導性を有し、その結果、摺動時の相手
基材との摩擦で発生する熱エネルギーの蓄積が生じにく
く、摩耗量の低減が認められた。
【0067】一方、配合組成が同じであっても、組成物
を同時に配合し混練する通常手法においては、カーボン
ブラックの分散構造の違いにより熱伝導性が不足し、摩
擦熱の蓄積によって摩耗量が大きい。
【0068】本発明によれば、一般的に摺動特性が悪い
熱可塑性エンジニアリングプラスチックスを基材に用い
て、高度な摺動特性が発現でき、高摺動性、高寸法精
度、強靱な機械特性を同時に満足できる。その結果、従
来では対応できなっかた金属部品への適応が可能とな
り、複写機、プリンター、等の高精度ギアー、ビデオカ
メラのメカデッキ部の高精度高強度ギアー及び磁気テー
プとの摺動部等の高度な精密電子部品への実用化が可能
となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:04 (72)発明者 池田 晶一 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.92g/cm3 以上でメルトインデッ
    クスが 0.1〜30g/10分のポリエチレン40〜90重量部、導
    電性カーボブラック10〜40重量部及びタルク0〜20重量
    部を溶融混練してメルトインデックスが 0.1〜40g/10分
    の混合物となし、次いでこの混合物の 3〜150 重量部を
    熱可塑性エンジニアリングプラスチックス100 重量部に
    配合して溶融成形することを特徴とする摺動部材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 密度が0.92g/cm3 以上でメルトインデッ
    クスが 0.1〜30g/10分のポリエチレン40〜90重量部、導
    電性カーボブラック10〜40重量部及びタルク0〜20重量
    部を溶融混練してメルトインデックスが 0.1〜40g/10分
    の混合物となし、次いでこの混合物の 3〜150 重量部及
    び下記(a)〜(c)から選ばれる少なくとも 1種の繊
    維 5〜150 重量部を熱可塑性エンジニアリングプラスチ
    ックス100 重量部に配合して溶融成形することを特徴と
    する摺動部材の製造方法。 (a)平均直径 3〜20μm 且つ平均長0.03〜15mmの炭素
    繊維 (b)平均直径 3〜15μm 且つ平均長0.05〜10mmのガラ
    ス繊維 (c)平均直径 0.1〜1 μm 且つ平均長 5〜120 μm の
    チタン酸カリウム繊維
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