JPH05255066A - 製剤用組成物、製剤およびそれらの製造方法 - Google Patents

製剤用組成物、製剤およびそれらの製造方法

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JPH05255066A
JPH05255066A JP4131570A JP13157092A JPH05255066A JP H05255066 A JPH05255066 A JP H05255066A JP 4131570 A JP4131570 A JP 4131570A JP 13157092 A JP13157092 A JP 13157092A JP H05255066 A JPH05255066 A JP H05255066A
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JP
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drug
acid
base
preparation
porous
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JP4131570A
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English (en)
Inventor
Shunichi Ito
俊一 伊藤
Naoyuki Uenishi
直幸 上西
Toshio Kashiwabara
俊夫 柏原
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薬物の溶出性を調整できる製剤を、単純な組
成で簡単に得る。 【構成】 pHにより溶解性が異なる薬物と多孔性セル
ロース類とを配合する製剤において、該多孔性セルロー
ス類に酸又は塩基を担持させることにより、薬物の溶解
性を制御する。製剤は、多孔質セルロース類に、薬物
と、酸又は塩基とを担持させてもよく、薬物と、酸又は
塩基とを含む被膜を施してもよい。多孔性セルロース類
に、酸又は塩基を担持させた製剤用組成物は、薬物の溶
出性を制御する上で有用である。製剤は結合剤などの添
加剤を含んでいてもよい。製剤は、散剤、顆粒剤、錠
剤、カプセル剤などの固形製剤として使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品・医薬品・農薬な
どの分野において、生理活性物質の溶解性及び溶出性を
調整できる製剤用組成物、それを用いた製剤およびそれ
らの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、食品・医薬品・農薬などの薬物
において、薬物放出制御システム(ドラッグデリバリー
システム)に関する検討が数多く行われている。例え
ば、特開昭56−110612号公報には、難溶性医薬
に、特定の結合剤と、界面活性剤などを配合し、薬物の
溶解性および溶出性を高めた圧縮成形物が提案されてい
る。しかし、この圧縮成形物は、多くの成分を組合せ、
しかも流動造粒法により製造する必要があるため、多く
の制約があると共に、製造作業が煩雑である。
【0003】特開昭56−49314号公報には、薬物
と特定の基剤成分との配合物に、ポリエチレンオキサイ
ドを加え、吸収性と持続性を改善した製剤が提案されて
いる。しかし、この製剤も、多くの成分を組合せる必要
があると共に、有機溶媒を除去する必要があるため、多
くの制約があると共に、製造作業が煩雑である。
【0004】特開昭61−207343号公報には、微
粒子の結晶セルロースと炭酸カルシウムとを特定の割合
で混合した調剤用賦形剤が提案されている。しかし、こ
の賦形剤の製造に際しては、各成分のスラリーを噴霧乾
燥する必要があり、煩雑である。
【0005】特公平2−60643号公報には、水溶性
有機酸からなる浸透圧調節剤を主体とした球形の核に、
医薬品、賦形剤、必要に応じて浸透圧調節剤を付着結合
させた素顆粒を、胃液不溶性被膜でコーティングした徐
放性顆粒剤が提案されている。この顆粒剤では、予め、
有機酸の球形顆粒を調製する必要があるため、顆粒剤の
生産効率が低下し易い。しかも、球形の顆粒を収率よく
得るためには、製造条件を精度よくコントロールする必
要がある。
【0006】また、特開昭62−30709号公報に
は、薬物および膨潤剤を水不溶性の物質で被覆した被覆
剤において、吸水に伴なう膨潤剤の膨脹により、所定時
間経過後に被膜を破裂させる持続性製剤が提案されてい
る。しかし、この製剤に使用される膨潤剤は崩壊剤であ
り、被膜を破裂させるためには、多量の崩壊剤を必要と
する。そして、崩壊剤の添加量が多くなると、打錠によ
り得られる錠剤の硬度が低下する。
【0007】さらに、特開平2−105号公報には、薬
物、および微粉状で水不溶性のセルロース系高分子から
なる錠剤が提案されている。しかしながら、この錠剤を
得るためには、セルロース系高分子を5μm以下の非常
に細かな微粉末に粉砕しなければならず、作業性の点で
難点がある。
【0008】一方、多孔性セルロースとエテンザミドと
を混合し、熱処理してエテンザミドを非晶質化すると、
結晶性セルロースを用いた場合よりも、溶出性が改善さ
れることが、仲井らにより報告されている[日本薬剤学
会第6年会(平成2年9月26日)、千葉市民会館]。
しかし、この方法において、エテンザミドの溶出性を高
めるには、100℃程度の高温で2時間程度の熱処理を
必要とするので、製剤の生産性が低下する。また、多孔
性セルロースとアスピリンとの混合物を50℃で3時間
減圧下で加熱することにより、薬物が分解することが報
告されている[米持ら、第1回日本病院薬学会年会(平
成3年7月20日)、九段会館]。このことから明らか
なように、前記の方法では、使用できる薬物が制限され
る。
【0009】また、特開平2−84401号公報には、
多孔性セルロース粒子と昇華性薬物とを混合して前記薬
物を吸着させると、薬物の溶出性が改善されることが開
示されている。しかし、薬物の溶出性を高めるには前記
熱処理が必要な場合があるだけでなく、薬物の溶出速
度、持続時間をコントロールできない。さらには、所定
時間経過後に薬物を溶出させることもできない。
【0010】このように、従来の製剤においては、いず
れも、薬物の溶出性を簡単に調整できない。
【0011】一方、特公昭56−44777号公報に
は、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、さらには結晶
セルロースを添加し、成形性に優れ、かつ速かに崩壊す
る発泡性錠剤の製法が開示されている。この先行技術文
献には、発泡成分として、炭酸塩又は重炭酸塩と、クエ
ン酸、酒石酸などの有機酸との組合せが記載されてい
る。しかし、前記先行技術文献にも記載のように、発泡
成分は、圧縮成形時にスティッキングを起こし易い。そ
のため、多量の滑沢剤が必要となる。
【0012】また、薬物の胃溶性、腸溶性を高めるため
には、薬物を含む製剤に酸又は塩基を添加するのが好ま
しい。しかしながら、酸及び/又は塩基を添加すると、
酸及び/または塩基により打錠性が著しく損われる。特
に打錠障害で最も問題となるギシツキ性、すなわち、粉
末に滑沢性がないため、打錠時に、打錠末と杵および臼
との摩擦力が強くなり、杵と臼とが離れにくくなる現象
が発生し、生産性が大きく低下する。前記ギシツキ性を
改善するには、前記と同様に、多量の滑沢剤の添加が必
要であるため、製剤の設計に大きな制約が伴なう。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、薬物の溶出性を簡単にコントロールできる製剤用組
成物を提供することある。
【0014】本発明の他の目的は、薬物の溶出速度、持
続時間がコントロールされた製剤を提供することにあ
る。
【0015】本発明のさらに他の目的は、上記の如き優
れた特性を有する製剤組成物および製剤を簡単に、しか
も単純な組成で製造できる方法を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、酸又は塩基を含んで
いるにも拘らず、効率よく製剤を得ることができる方法
を提供することにある。
【0017】
【発明の構成】本発明者らは、鋭意検討した結果、多孔
性セルロース類と酸又は塩基とを含む組成物を、薬物と
ともに製剤化すると、多孔性セルロース類と酸又は塩基
との作用により、薬物の溶解性及び溶出性を簡単にコン
トロールできることを見いだし、本発明を完成した。
【0018】すなわち、本発明は、pHにより溶解性が
異なる薬物と多孔性セルロース類とを配合する製剤にお
いて、該多孔性セルロース類に酸又は塩基を担持させる
ことによって薬物の溶解性が制御された製剤を提供す
る。
【0019】本発明は、多孔性セルロース類を、薬物と
酸又は塩基とを含む被膜で被覆したり、多孔性セルロー
ス類に、薬物と酸又は塩基とを担持させる製剤の製造方
法も提供する。
【0020】さらに本発明は、多孔性セルロース類に、
酸又は塩基を担持させた製剤用組成物;多孔性セルロー
ス類に、酸又は塩基を担持させる製剤用組成物の製造方
法も提供する。
【0021】本発明は、前記製剤を含有する固形製剤を
も提供する。
【0022】なお、本明細書において、「担持」および
「担持層」とは、多孔性セルロース類の表面全体に限ら
ず、部分的に担持されている場合や、吸着、吸収、被覆
されている場合も含む意味に用いる。「被膜」とは、多
孔性セルロース類の表面全体を被覆する連続した層でな
くてもよく、部分的に被覆する場合も含む意味に用い
る。
【0023】前記多孔性セルロース類としては、例え
ば、ビスコースと炭酸カルシウムなどの発泡剤との混合
液を凝固液に添加し、セルロースの凝縮・再生と発泡剤
の分解を同時に行なわせて得られる多孔性セルロース類
[藤田ら、化学工学会第23会秋季大会予稿集(平成2
年10月21日)、金沢大学]、特開昭64−4353
0号公報、特開平1−167345号公報、特開平1−
188539号公報、特開平1−272643号公報、
特開平2−84401号公報、特開平2−208330
号公報および特開平2−2081331号公報に開示さ
れている多孔性セルロース類、さらには、例えば麻セル
ロースを酵素処理、鉱酸処理した多孔性セルロース類な
どが挙げられる。これらの多孔性セルロース類は、結晶
性であってもよく非結晶性であってもよい。
【0024】これらの多孔性セルロース類の空孔構造
は、特に制限されないが、例えば、断面において放射状
に細かな空孔が多数形成された構造(以下、A型と記載
する場合がある)、大きな空孔が形成された構造(以
下、B型と記載する場合がある)、細かな空孔と大きな
空孔とが混在する構造などのいずれであってもよい。空
孔は連続的に繋っていてもよく、独立していてもよい。
【0025】多孔性セルロース類の形状は、製剤の用途
に応じて選択できる。製剤が固形の経口投与剤である場
合には、粒状、角形状、球状、楕円形状、偏平形状、円
柱状、中空円筒状などのいずれの形状であってもよい。
通常、粒状の多孔性セルロース類が繁用される。
【0026】粒状の多孔性セルロース類の大きさ、孔径
とその分布は、所望する浮遊性、薬物の徐放性などに応
じて選択できる。好ましい粒状の多孔性セルロース類の
平均粒子径は、例えば、0.001〜10mm程度であ
り、平均孔径分布は0.0001〜150μm、好まし
くは0.001〜150μm程度である。また、好まし
い多孔性セルロース類の見掛比重は、0.01〜0.8
g/ml程度である。多孔性セルロース類の組成は、セ
ルロース単体に限らず、キチンとの複合粒子、各種の官
能基を付与したセルロース(例えば、ジエチルアミノエ
チル化セルロース、カルボキシメチル化セルロースな
ど)などであってもよい。
【0027】このような多孔性セルロース類には、乾燥
状態では収縮し、かつ比重が小さく、水分と接触する
と、膨潤して体積が大きくなる種類もある。
【0028】本発明の製剤用組成物は、前記多孔性セル
ロース類と酸又は塩基を含んでいる。製剤用組成物は、
酸及び塩基の双方の成分を含んでいてもよく、後述する
適宜量の添加剤を含んでいてもよい。
【0029】酸及び塩基としては製剤上許容される種々
の化合物が使用できる。
【0030】酸としては、例えば、塩酸などの鉱酸;酢
酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル
酸、アスコルビン酸などの有機酸;酸性白土などの粘度
鉱物、シリカアルミナ、陽イオン交換樹脂、腸溶性基剤
および酸化アルミニウムなどの固体酸などが挙げられ
る。前記腸溶性基剤としては、酸性高分子、例えば、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロ
ースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセ
ルロース(興人社製:商品名CMEC AQ)、メタク
リル酸−メタクリル酸メチルコポリマー[レーム ファ
ルマ (Rohm Pharma)社(ドイツ)製、商品名オイドラギ
ット(Eudragit)L100−55,オイドラギット L
100,オイドラギット S100]などが例示され
る。これらの酸は少なくとも一種使用される。好ましい
酸には、固体状の酸が含まれる。
【0031】多孔性セルロース類に対する酸の添加量
は、酸の酸性度、所望する薬物の溶出速度などに応じて
選択でき、通常、多孔性セルロース類と酸との全量中、
0.1〜95重量%、好ましくは、1〜90重量%程度
である。酸の添加量が0.1重量%未満では、酸による
溶解性および溶出性のコントロールが十分でなく、95
重量%を越える場合には、過剰量となる。
【0032】塩基としては、周期表第I,II,III
属の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、無
機酸塩または有機酸塩などの固体塩基が挙げられる。塩
基の具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化カルシウ
ム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸
(サイロイド、エアロシル)、メタケイ酸アルミン酸マ
グネシウム(ノイシリン)、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウ
ムなどやこれらの混合物などが挙げられる。これらの塩
基は少なくとも一種使用できる。好ましい塩基には固体
塩基が含まれる。
【0033】多孔性セルロース類に対する塩基の添加量
は、塩基の塩基性度、所望する薬物の溶出速度などに応
じて選択でき、通常、多孔性セルロース類と塩基との全
量中、0.1〜80重量%、好ましくは1〜75重量%
程度である。塩基の添加量が0.1重量%未満である場
合には、薬物の溶解性および溶出性をコントロールする
のに十分でなく、80重量%を越えると過剰量となるだ
けでなく、多孔性セルロース類の多孔質構造が壊れる場
合がある。
【0034】このような製剤用組成物を用いた製剤は、
種々の利点をもたらす。
【0035】例えば、前記製剤用組成物を薬物とともに
製剤化すると、薬物の溶解性をコントロールできるだけ
でなく、酸に対して可溶性の薬物と、有機酸とを組合わ
せて配合すると、胃内で有機酸が速かに溶出する。従っ
て、一般に吸収が悪いとされている無酸症の人において
も、通常の人と同様に薬物を吸収させることができる。
一方、酸に対して溶解しにくい薬物を配合すると、胃内
での溶出性が低下するものの、前記多孔性セルロース類
により、薬物の溶出性が改善されるので、薬物の溶出お
よび吸収を持続させることができる。塩基に対して、可
溶性の薬物や溶解しにくい薬物を配合した場合には、腸
内において、上記と同様に、薬物の溶出性及び吸収性を
コントロールできる。
【0036】酸を塩基性薬物と組合せて使用したり、塩
基を酸性薬物と組合せて使用すると、胃及び腸の双方に
おいて、薬物中の薬物の溶出を促進させることができ
る。また、酸と酸性薬物との組合せは、胃内での薬物の
溶出を抑制でき、腸内での薬物の溶出を促進できる。塩
基と塩基性薬物との組合せは、胃内での薬物の溶出を促
進させ、腸内での薬物の溶出を抑制できる。なお、中性
の薬物を用いる場合、前記酸又は塩基により薬物が安定
化される場合がある。
【0037】また、前記多孔性セルロース類、前記製剤
用組成物や薬物を含む製剤は、乾燥時には収縮している
ものの、水などに接触すると、多孔性セルロース類の体
積が急激に大きくなるものもある。この特性を利用し
て、例えば、水不溶性の被膜により、前記多孔性セルロ
ース類、製剤用組成物や製剤を被覆すると、前記被膜を
通過し、内部に浸透した水分によって、多孔性セルロー
ス類が著しく膨脹し、その大きな膨脹力により被膜が破
裂する。また、この被膜の破裂は爆発的に起る場合もあ
る。従って、経口投与において、所定時間経過後に、薬
物が溶出する製剤や、消化管内の特定の部位で薬物を溶
解および吸収できるターゲッティング製剤とすることも
できる。
【0038】さらに、強靭な被膜や弾力性の強い被膜で
被覆すると、被膜を通過した水分が多孔性セルロース類
に吸収され、その高い膨脹力により、薬物が徐々に放出
される持続性製剤も得ることができる。このような特性
を有する製剤は、経口剤だけでなく、坐薬にも利用可能
である。この場合、直腸部分で製剤が膨脹し、長時間同
じ位置に留まり、薬効効果を高めることができる。
【0039】さらには、例えば、塩基を配合した多孔性
セルロース類に腸溶性被膜を施すと、浸透した水分が多
孔性セルロース類と共に配合された塩基を溶解し、薬物
の溶解および高い浸透圧と共に、被覆された製剤の内部
から被膜を溶解させることができる。このため、薬物を
小腸内で速かに放出する。逆に、胃溶性被膜と酸とを組
合せて製剤化すると、例えば、マスキングのために被覆
した胃溶性被膜が速かに破壊され、速かに薬物が溶出す
る。
【0040】また、前記酸及び/又は塩基の添加によ
り、薬物が安定化する場合がある。さらに、薬物と、酸
及び/又は塩基との配合性が悪い場合には、それぞれを
個々に又は安定化した薬物を含む組成物同士を組合せ、
多孔性セルロース類に添加混合し、製剤化することも可
能である。
【0041】本発明の製剤は、少なくとも前記多孔性セ
ルロース類と薬物と酸又は塩基とを含んでいる。より詳
細には、pHにより溶解性が異なる薬物と多孔性セルロ
ース類とが配合され、該多孔性セルロース類に酸又は塩
基が担持されている。このことにより、薬物の溶解性を
制御できる。
【0042】pHにより溶解性が異なる前記薬物には、
生理活性を有する種々の物質、例えば、各種ビタミン
類、ミネラル類、アミノ酸類などの食品又は飼料用添加
物;殺虫剤、殺菌剤などの農薬;医薬などが含まれる。
好ましい薬物は医薬である。
【0043】薬物としては、例えば、中枢神経系薬物と
して、ジアゼパム、イデベノン、アスピリン、イブプロ
フェン、ピロキシカム、ジクロフェナック、インドメタ
シン、スリンダック、ロラゼパム、ニトラゼパム、アセ
トアミノフェン、ケトプロフェンなど;循環器系薬物と
して、モルシドミン、ビンポセチン、メチルドパ、アテ
ノロール、メトプロロール、カプトプリルなど;呼吸器
系薬物として、3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジ
ン−6−イール)オキシ−2,2−ジメチルプロパンス
ルフォンアミド塩酸塩(以下、化合物Aと記載すること
がある)、アムレキサノクス、デキストロメトルファ
ン、テオフィリン、プソイドエフェドリンなど;消化器
系薬物として、ランソプラゾール、オメプラゾールなど
のベンツイミダゾール系薬物、ビサコジル、5−アミノ
サリチル酸など;抗生物質及び化学療法剤として、塩酸
セフォアムヘキセチル、セファレキシン、セファクロー
ル、セフラジン、アモキシシリン、ジクロキサシリンな
ど;代謝系薬物として、塩化リゾチーム、アデノシント
リフォスフェート、グリペンクラミド、塩化カリウムな
ど;ビタミン系薬物としては、ビタミンB1 、ビタミン
2 、ビタミンB6 、ビタミンC、フルスルチアミンな
ど;ビタミンA、ビタミンEなどのオイル状薬剤;生薬
エキスなどの液状やスラリー状薬剤;その他、pHによ
り溶解度が異なる代謝系薬物、ビタミン類、生薬、エキ
ス類、制酸剤などが挙げられる。これらの薬物は一種ま
たは二種以上使用できる。
【0044】前記薬物は、添加剤と併用してもよい。添
加剤としては、経口の固形製剤を製造する際に一般に使
用される慣用の成分、例えば、乳糖、コーンスターチ、
ショ糖、タルク、結晶セルロース、マンニトール、軽質
無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−
システインなどの賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロー
ス(以下、HPCと称することがある)、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、アルファー化デンプン、部分
アルファー化デンプン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、
デキストリン、アラビアゴムなどの結合剤;カルボキシ
メチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロ
ピルセルロース(以下、L−HPCと称することがあ
る)、デンプン類、クロスリンクドカルボキシメチルセ
ルロースナトリウム、クロスリンクドインソルブルポリ
ビニルピロリドンなどの崩壊剤;アルキル硫酸ナトリウ
ムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステルおよびポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非
イオン系界面活性剤などの界面活性剤;酸化チタン、ベ
ンガラ、タール色素などの着色剤;l−メントール、ハ
ッカ油などの矯味剤などが挙げられる。さらに、添加剤
には、味のマスキング、水分や水の移行を制御するバリ
アー、薬物及び/又は添加剤間の分離、腸溶性、胃溶性
などを付与するための、腸溶性、胃溶性または不溶性の
被膜形成用基剤なども含まれる。これらの添加剤は2種
以上用いてもよい。なお、界面活性剤の添加は、薬物の
溶出性を高める効果がある。
【0045】本発明の製剤は、種々の態様で、薬物と、
酸及び/他は塩基とを含んでいる。すなわち、多孔性セ
ルロース類を、吸着剤などの担体として使用し、多孔性
セルロース類に薬物と酸及び/又は塩基を担持させ担持
層を形成してもよい。
【0046】また、多孔性セルロース類を核として使用
し、多孔性セルロース類を、薬物と酸及び/又は塩基を
含む被膜で被覆してもよい。
【0047】また、多孔性セルロース類に、少なくとも
1つの担持層と被膜とを、順序の如何を問わず形成して
もよい。これらの場合、前記担持層および被膜の少なく
とも一方が、薬物と、酸及び/又は塩基とを含有してい
るのが好ましいが、前記担持層および被膜の少なくとも
一方が薬物を含有し、他方が酸及び/又は塩基を含有し
ていてもよい。さらに、前記多孔性セルロース類は、複
数の被膜で被覆してもよい。この場合、少なくとも1つ
の被膜が、薬物と酸及び/又は塩基とを含有していても
よく、薬物と酸及び/又は塩基とが互いに異なる被膜に
含有されていてもよい。
【0048】多孔性セルロース類を添加剤として使用
し、多孔性セルロース類と薬物と酸及び/又は塩基とを
混和してもよい。
【0049】これらの場合、前記担持層、被膜および混
和物は、前記添加剤や被膜形成用基剤を含んでいてもよ
い。
【0050】さらには、このような製剤には、胃溶性、
腸溶性又は水不溶性被膜、多孔性セルロース類の水分に
よる膨脹性を利用した前記持続性製剤の被膜や、前記タ
ーゲッティング製剤の被膜などを施してもよい。
【0051】薬物や酸及び/又は塩基の担持は、多孔性
セルロース類への吸着、多孔性セルロース類への被覆な
どにより行なうことができる。さらに、混和は、多孔性
セルロース類と薬物と酸及び又は/塩基との混合又は練
合により行なうことができる。これらの場合、必要に応
じて前記添加剤や基剤を併用してもよい。
【0052】前記被膜は、目的に応じた被膜形成用基剤
を含むコーティング剤を用いて形成できる。基剤として
は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エ
チルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、HP
C、L−HPC、ポリオキシエチレングリコール、ツイ
ーン80、プルロニックF68、ヒマシ油、セルロース
アセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテ
ートサクシネート、アクリル酸コポリマー、カルボキシ
メチルエチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチ
ルアミノアセテート、セラック、ワックス類、およびタ
ルク、酸化チタン、ベンガラなどの色素が挙げられる。
これらの基剤は少なくとも一種使用できる。
【0053】製剤中の薬物の含有量は、製剤の態様、添
加剤との併用の有無によって選択できる。担持層に薬物
が含まれている場合、薬物の含有量は、例えば、0.0
1〜100重量%、好ましくは0.1〜100重量%程
度である。また、被膜に薬物が含まれている場合、薬物
の含有量は、0.01〜97重量%、好ましくは0.1
〜95重量%程度である。
【0054】本発明の製剤の大きさは、用途に応じて選
択できるが、散剤である場合、その粒子径は、通常、実
質的に500μm以下である。粒子径が小さな製剤であ
っても、前記多孔性セルロース類と、酸及び/又は塩基
とを組合せることにより、薬物の溶解性、溶出性などを
コントロールできる。
【0055】以下に、本発明の製剤用組成物及び製剤の
製造方法について詳細に説明する。なお、製剤用組成物
の製造方法と製剤の製造方法とは、薬物の有無の点で実
質的に異なる。従って、以下、製剤用組成物と共に製剤
の製造方法を説明する。
【0056】これらの製造方法において、多孔性セルロ
ース類は、吸着剤としての担体、添加剤又は核として使
用できる。
【0057】多孔性セルロース類を吸着剤として使用す
る場合、少なくとも薬物と、酸及び/又は塩基とを、吸
着、吸収、被覆により担持させればよい。水溶性薬物や
酸及び/塩基は、水に溶解して多孔性セルロース類に添
加するのが、薬物や酸及び/又は塩基の含量のバラツキ
を少なくする上で有利である。水に対する溶解性が低い
薬物や酸及び/又は塩基は、エタノールなどの有機溶媒
からなる溶媒やpH緩衝液などの溶媒に溶解し、混合液
として使用してもよい。これらの場合、薬物を含む混合
液に、酸及び/又は塩基、他の薬物や添加剤を含有さ
せ、多孔性セルロース類に担持させてもよく、薬物を含
む混合液と、酸及び/又は塩基などを含む混合液を個別
に用いて担持させてもよい。また、多孔性セルロース類
への薬物などの担持は、稀薄な混合液を用いて繰返し行
なってもよい。
【0058】多孔性セルロース類に薬物などを担持する
には、転動造粒機、撹拌造粒機、流動造粒機および遠心
転動造粒機などに入れた多孔性セルロース類に、前記混
合液を添加すればよい。転動および撹拌タイプの造粒機
を用いる場合には、多孔性セルロース類の吸着能力を越
えない程度の液量が使用される。多孔性セルロース類の
吸着能力は、混合液の種類により異なるが、溶媒が水や
有機溶媒の場合、例えば、多孔性セルロース類の1〜1
3倍程度である。一方、流動および遠心転動流動タイプ
の造粒機は、多孔性セルロース類が湿潤状態で流動する
条件下で、混合液を噴霧すればよい。
【0059】担持処理後の湿潤状態の多孔性セルロース
類を、真空、流動、凍結、加熱などの慣用の方法で乾燥
することにより、製剤用組成物や製剤が得られる。
【0060】薬物や酸及び/又は塩基が水に対する溶解
性が低い場合には、機械的な衝撃によるオーダードミク
スチャーなどの方法により、前記成分を吸着などにより
担持させてもよい。機械的な衝撃により薬物などを担持
する場合には、ボールミルタイプ、ハンマーミルタイ
プ、転動圧密タイプの機器を用い、乾式でまたは適当な
溶媒を入れて吸着させることにより、吸着末を製造でき
る。
【0061】多孔性セルロース類を添加剤として使用す
る場合、多孔性セルロース類と、薬物と、酸及び/又は
塩基と、必要に応じて添加剤とを混和することにより、
製剤が得られる。この方法は、薬物、酸及び/又は塩
基、添加剤の含有量が多い場合や、前記の方法を適用す
るのが困難な場合に有利である。
【0062】多孔性セルロース類と薬物などとの混和
は、撹拌造粒や転動造粒により行なうのが好ましい。混
和物中の多孔性セルロース類の含有量は、例えば、5重
量%以上が好ましい。5重量%未満であると、混和物の
膨脹力が小さく、薬物の溶解性および溶出性の制御が困
難である。
【0063】多孔性セルロース類を核として使用する場
合、基剤と薬物と酸及び/又は塩基を含むコーティング
剤を用い、多孔性セルロース類に、薬物と酸及び/又は
塩基を含む被膜を施してもよい。また、多孔性セルロー
ス類に、被膜形成用コーティング剤および担持層を形成
する混合液を、順序の如何を問わず、噴霧し、被覆する
ことにより被膜と担持層と形成してもよい。この場合、
前記被膜形成用コーティング剤および担持層を形成する
混合液の少なくとも一方に、薬物及び/又は(酸及び/
又は塩基)を含有させればよい。また、混合液は、酸及
び/又は塩基、結合剤や添加剤を含んでいてもよく、溶
液又は分散液のいずれであってもよい。なお、前記コー
ティング剤や混合液の噴霧、被覆過程で、薬物などの吸
着も生じる。
【0064】また、他の方法においては、混合液を核に
噴霧しながら、粉末散布剤を散布してもよい。この場
合、混合液および粉末散布剤の少なくとも一方に、結合
剤を含有させ、他方に薬物と酸及び/又は塩基とを含有
させてもよい。また、結合剤とともに薬物を含有する混
合液と、酸及び/又は塩基を含む粉末散布剤とを用いて
もよく、結合剤とともに酸及び/又は塩基を含む混合液
と、薬物を含む粉末散布剤を用いてもよい。さらには、
混合液や粉末散布剤に他の添加剤を含有させてもよい。
これらの方法では、粉末状散布剤を散布するという簡単
な操作で被膜を形成できる。また、少なくとも結合剤を
含み、薬物を含まない液を噴霧しながら、少なくとも一
種の薬物と酸及び/又は塩基を含む粉状散布剤を散布す
ると、混合液中に含まれる溶媒に対して安定性が損われ
易い薬物であっても、容易に被膜を形成できる。散布剤
の粒度は、通常、100μm以下、好ましくは約50μ
m以下である。さらに、混合液を用いることなく、薬
物、酸及び/又は塩基、必要に応じて添加剤を混和した
粉末散布剤を添加し、乾式法により、多孔性セルロース
類を被覆してもよい。
【0065】一方、配合性の悪い2種以上の薬物や酸及
び/又は塩基を被覆する場合、必要に応じて添加剤を含
むそれぞれの混合液や粉末散布剤を同時又は各別に使用
して被覆してもよく、担持層及び/又は被膜間を被膜に
より遮断してもよい。さらには、薬物などを吸着等によ
り担持した多孔性セルロース類に、少なくとも、前記薬
物とは配合性の悪い薬物を含む混合液や粉末散布剤を用
いて被覆してもよい。この方法は、溶出時間の異なる2
種以上の薬物を含む製剤を得る場合にも有利である。
【0066】混合液に対する結合剤の添加量は、薬物や
添加剤の添加量などにより異なるが、通常、0.1〜7
0重量%、好ましくは0.5〜30重量%程度である。
結合剤の添加量が0.1重量%未満では、核に対する薬
物や酸及び/又は塩基の結合力が小さく、70重量%を
越えると、混合液の粘度が増大し、製造作業性が低下し
易い。
【0067】さらに、基剤を含むコーティング剤、結合
剤を含む混合液や粉末散布剤を用いて、複数の被覆層で
多孔性セルロース類を被覆してもよい。この場合、含有
割合や粘度の異なるグレードの基剤などを選択したり、
薬物、酸及び/又は塩基や他の添加剤の割合が変化した
混合液などを用いて順次被覆し、核の担持層及び/又は
被膜中の基剤などの含有割合、薬物や酸及び/又は塩基
の濃度などを連続的にまたは段階的に変動させてもよ
い。この場合、例えば、混合液として、結合剤の含有量
が0.1〜70重量%の範囲を外れた溶液又は分散液を
使用してもよい。
【0068】また、コーティング剤や混合液中に、酸及
び/又は塩基、他の薬物や他の添加剤が溶解又は分散し
ている場合には、それらの配合割合を変動させてもよ
い。
【0069】これらの方法において、例えば、遠心転動
型流動造粒機、流動造粒機、撹拌造粒機などの慣用の装
置を用いて行なうことができる。
【0070】さらには、前記の方法を繰返したり、前記
の方法を適当に組合せて、製剤組成物や製剤を製造して
もよい。例えば、前記多孔性セルロース類を、予め、基
剤を含むコーティング剤でコーティングした後、薬物や
酸及び/又は塩基などの吸着処理に供してもよく、吸着
処理後又は乾燥後の吸着末、混和物や、粉状散布剤と共
に前記混合液を用いて被覆した造粒末をコーティング剤
でコーティングしてもよい。また、吸着処理の途中でコ
ーティング剤によるコーティングを行なってもよい。さ
らに、薬物や酸及び/又は塩基を遮断分離するため、複
数の被膜の間や、被膜と担持層との間に、基剤を含むコ
ーティング剤によるコーティング層を形成してもよい。
さらには、得られた製剤は、酸及び/又は塩基、他の薬
物及び/又は添加剤と混和していてもよい。
【0071】このようにして得られた製剤には、味のマ
スキング、腸溶性、胃溶性などを付与したり、薬物の溶
出性をコントロールするため、慣用の方法によりコーテ
ィング剤によるコーティングを施してもよい。
【0072】本発明の固形製剤は、前記製剤をそのまま
散剤として使用できる。さらに、固形製剤は、慣用の方
法に従って、製剤を顆粒や錠剤に添加した顆粒剤や錠剤
であってもよく、カプセルに充填したカプセル剤であっ
てもよい。また、製剤を予め容器に入れて、必要に応じ
て水等を添加して使用する固形剤としてもよい。
【0073】
【発明の効果】本発明の製剤用組成物は、多孔性セルロ
ース類と、酸又は塩基を含むので、製剤における薬物の
溶出性を簡単にコントロールできる。
【0074】本発明の製剤は、多孔性セルロース類と、
薬物と、酸及び/又は塩基を含むので、薬物の溶出速
度、持続時間をコントロールできる。
【0075】本発明の製造方法では、多孔性セルロース
類に、酸及び/又は塩基や薬物を担持させたり、被膜を
施すなどの簡単な操作で、上記の如き優れた特性を有す
る製剤組成物および製剤を簡単に、しかも単純な組成で
製造できる。
【0076】さらに、本発明の製造方法では、酸及び/
又は塩基を含んでいるにも拘らず、打錠性に優れ、効率
よく製剤を得ることができる。
【0077】
【実施例】以下、実施例、比較例及び実験例に基づいて
本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0078】実施例1 球形多孔性セルロース(空孔の構造A型、見掛比重0.
2g/ml、直径0.3mmφ)12.5gを乳鉢に入
れ、予め、クエン酸12.25gおよびビンポセチン
0.25gを水20mlに溶解した溶液を添加し、スパ
ーテルで軽く混合し、吸着処理した。次いで、40℃、
真空下で16時間乾燥し、吸着末を得た。
【0079】得られた吸着末は、湿潤状態で3〜4倍に
膨脹したが、乾燥により、元の直径に復元した。
【0080】実施例2 球形多孔性セルロース(空孔の構造B型、見掛比重0.
2g/ml、直径0.3mmφ)25gを乳鉢に入れ、
予め、クエン酸50gを水90mlに溶解した溶液を添
加し、スパーテルで軽く混合し、吸着処理した。次い
で、40℃、真空下で16時間乾燥し、吸着末を得た。
【0081】得られた吸着末は、湿潤状態で3〜4倍に
膨脹したが、乾燥により、元の直径に復元した。
【0082】実施例3 クエン酸に代えて、炭酸ナトリウムを用い、溶液を3回
に別けて吸着処理を行なう以外、実施例2と同様にし
て、吸着末を得た。
【0083】実施例4 球形多孔性セルロース(空孔の構造A型、見掛比重0.
1g/ml、直径2.0mmφ)380gを流動型コー
ティング造粒機(パウレック社製:FD−3S)に入
れ、送風温度70℃、品温約40℃にコントロールしな
がら、ボトムスプレー方式で、予め調製した下記組成の
バルク液を噴霧し、コーティングした。所定量のバルク
液を噴霧した時点で噴霧を止め、そのまま1分間乾燥し
た後、32メッシュの丸篩で篩過し、480gの粒剤を
得た。
【0084】[バルク液] 化合物A 5g 酒石酸 5g 乳糖 20g タルク 20g L−HPC 20g HPC(タイプM、粘度300cps) 6g HPC(タイプL、粘度8cps) 44g 水 1080g 比較例1 乳糖100Kg、デンプン20Kgおよびビンポセチン
5Kgを流動造粒乾燥機(パウレック社製:STRE−
M5)に入れ、送風温度90℃、品温約40℃にコント
ロールしながら、トップスプレー方式で、予めヒドロキ
シプロピルセルロース5Kgを溶解した水溶液60Kg
を噴霧しながら造粒し、乾燥することにより、造粒末を
得た。
【0085】比較例2 比較例1で得た粒剤52mgにクエン酸100mgを混
合し、混合末を調製した。
【0086】比較例3 結晶セルロース(旭化成(株)製:アビセル)12.5
g、クエン酸12.25g、およびビンポセチン0.2
5gを乳鉢に入れ、水5mlを添加し、乳棒を用いて練
合した。次いで、40℃、真空下で16時間乾燥し、練
合末を得た。
【0087】比較例4 結晶セルロース(旭化成(株)製:アビセル)25g、
クエン酸50gを乳鉢に入れ、水10mlを添加し、乳
棒を用いて練合した。次いで、40℃、真空下で16時
間乾燥し、練合末を得た。
【0088】実験例1 実施例1で得た吸着末200mg、比較例1で得た造粒
末52mg、比較例2で得た混合末152mgの溶出性
を、第11改正日本薬局方・一般試験法46溶出試験法
・第2法(75rpm)で試験した。試験液は日本薬局
方・一般試験法38崩壊試験法の第2液500mlを用
いた。試験結果を表1に示す。
【0089】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1で得られた製剤は、
薬物が溶解しにくい液性(溶解度:約4μg/ml)で
あるにも拘らず、比較例1の造粒末および比較例2の混
合末よりも速かに溶出した。一方、比較例1の造粒末
と、この粒剤に単にクエン酸を添加した比較例2の混合
末では、溶出率には大きな差が認められなかった。
【0090】実験例2 実施例1および2で得た吸着末、比較例1で得た造粒
末、比較例3および4で得た練合末のそれぞれ500m
gを、オートグラフ(島津製作所製:AG−5000
B)により、杵径9.5mmφ、打錠圧1000Kg/
cm2 の条件で打錠し、錠剤を得た。また、対照とし
て、実施例1で用いた多孔性セルロース、比較例3で使
用した結晶セルロース、実施例1、2、比較例3及び4
で使用したクエン酸を、単独で、上記と同様にして打錠
した。そして、ギシツキ現象が激しい程、抜出し圧が大
きくなり、抜出し圧によりギシツキの評価ができること
を利用して、打錠時の錠剤を臼から抜出す抜出し圧によ
り、ギシツキの程度を評価した。結果を表2に示す。
【0091】
【表2】 表2から明らかなように、比較例の造粒末、練合末は、
打錠時にギシツキながら打錠されたのに対して、実施例
1および2で得られた吸着末は、打錠に際してギシツキ
などの問題がなく、比較例の造粒末、練合末に比べて打
錠性が格段に向上している。なお、クエン酸単独を打錠
した場合には、キャッピングが生じた。
【0092】実施例5 球形多孔性セルロース(空孔の構造B型、見掛比重0.
1g/ml、直径0.3mmφ)120gをステンレス
製ボールに入れ、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコ
ポリマー[レーム ファルマ (Rohm Pharma)社(ドイ
ツ)製、商品名オイドラギット(Eudragit)L100−
55]22.5gとエタノール120gとの溶液にビン
ボセチン7.5gを分散した分散液を添加し、混和し
た。混和物を40℃で20時間真空乾燥した後、乾燥物
を32メッシュの丸篩で篩過し、150gの吸着末を得
た。
【0093】吸着末100gを流動型コーティング造粒
機(パウレック社製:FD−3S)に入れ、送風温度6
0℃、品温約35℃にコントロールしながら、ボトムス
プレー方式で、8重量部のエチルセルロース(粘度タイ
プ10cp)と2重量部のポリエチレングリコール60
0とを含むエタノール溶液(濃度10重量%)を噴霧
し、吸着末に対して30重量%コーティングした被覆製
剤を得た。
【0094】実験例3 実施例5で得られた吸着末150mgおよび被覆製剤1
95mg、試験液として第1液及び第2液を用いる以
外、実験例1と同様にして、薬物の溶出性を調べた。吸
着末の結果を表3に、被覆製剤の結果を表4に示す。
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】 表3及び表4から明らかなように、実施例5で得られた
吸着末及び被覆製剤は、ビンボセチンが第1液に対して
易溶(溶解度:100mg/ml以上)および第2液に
対して難溶(溶解度:約4μg/ml)であるにも拘ら
ず、いずれも同様の溶出性を示し、酸(腸溶性ポリマ
ー)の添加により、薬物の溶出性をコントロールでき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/12 Z 7433−4C C 7433−4C 47/38 B 7433−4C C09K 3/00 110 9049−4H // C08J 9/28 7148−4F

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pHにより溶解性が異なる薬物と多孔性
    セルロース類とを配合する製剤において、該多孔性セル
    ロース類に酸又は塩基を担持させることによって薬物の
    溶解性が制御された製剤。
  2. 【請求項2】 多孔性セルロース類を、薬物と酸又は塩
    基とを含む被膜で被覆する製剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 多孔性セルロース類に、薬物と酸又は塩
    基とを担持させる製剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 多孔性セルロース類に、酸又は塩基を担
    持させた製剤用組成物。
  5. 【請求項5】 多孔性セルロース類に、酸又は塩基を担
    持させる製剤用組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の製剤を含有する固形製
    剤。
JP4131570A 1991-04-25 1992-04-24 製剤用組成物、製剤およびそれらの製造方法 Withdrawn JPH05255066A (ja)

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