JPH0524524Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔概要〕 プリンタの紙送り機構であつて、プラテンに沿
つて複数個設けるピンチローラを同一軸上に並列
配置するように構成し、簡易な構成で紙送りの性
能の安定化とコストダウンを可能とする。

〔産業上の利用分野〕 本考案はプラテンにピンチローラを押圧して用
紙を送るピンチローラ押圧方式を用いたプリンタ
の紙送り機構に関するもので、さらに詳しく言え
ば、特にシリアルプリンタにおいて用紙の送り精
度が優れ且つ部品点数が少ないプリンタの紙送り
機構に関するものである。

プリンタにおいて紙送り機構としてピンチロー
ラ押圧方式を用いる場合には、該プリンタの長さ
及び用紙の幅等に対応して、プラテンの長手方向
に相互に分散した位置で、２個またはそれ以上の
個数のピンチローラを配置し、これらのピンチロ
ーラによつて用紙をプラテンに対して弾発的に押
し付け、連帳用紙を使用する時にはこれらのピン
チローラをプラテンから退避させ得る構造とする
ことを要する。

このような構造にあつては、紙送りを高精度な
らしめる必要があるとともに、当該プリンタのコ
ストダウンのために、これらのピンチローラを弾
発的に支持する機構の部品点数を削減することが
要望されている。

〔従来の技術〕

ピンチローラ押圧方式を用いたプリンタの紙送
り機構としては、従来は例えば第４図及び第５図
に示すようにプラテン１の平行の位置に角軸２を
設け、該角軸２上で互いに離隔した複数個例えば
２個の位置において、該角軸２に板ばね３の基部
の角穴４を嵌合することにより、各板ばね３を角
軸２に対して相対回転不能に取り付ける。

該板ばね３の自由端部５には、中心軸６を介し
て、Ｕ字状に曲げたブラケツト７を、該板ばね３
に対して相対回転可能に取り付ける。

該ブラケツト７の両端部８には、ピンチローラ
９が回転可能に取り付けてある。

上記角軸２は、第５図の矢印１０で示す位相角
度内で、操作者により回転動作及び固定が可能と
なつている。

プラテン１と角軸２とピンチローラ９との位相
関係は、このような操作によつて角軸２が時計方
向に回転を行つた位相１１をとる時、各ピンチロ
ーラ９が板ばね３により矢印１３の方向に付勢さ
れて、プラテン１に対する押圧状態をとるもので
ある。また角軸２が反時計方向に回転を行つた位
相１２をとる時、各ピンチローラ９が解放状態と
なるものである。

この従来の紙送り機構を設けたプリンタにおい
て、カツトシートを使用する場合には、ピンチロ
ーラ９を押圧状態として、プラテン１とピンチロ
ーラ９との間に用紙１４を押し付けて、プラテン
１の回転で用紙を送ることができる。

なおこのプリンタにおいて連帳用紙を使用する
場合には、ピンチローラ９がトラクタ（図示省
略）等にる連帳用紙の送りの妨げとならないよう
に、ピンチローラ用紙を解放状態とする。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この従来方式ではプラテン１に沿つてピンチロ
ーラ９を設けるべき複数の位置毎に板ばね３及び
ブラケツト７を設けねばならないから、部品点数
が多く、従つて、組付け作業の工数が増大すると
ともに、プリンタのコストが嵩むという問題点が
ある。

またこの構造は、各位置毎にピンチローラ９を
各別の板ばね３によつて角軸２に取り付けている
ので、板ばね３の部品精度のばらつきに基づい
て、各ピンチローラ９は前後左右にばらついた状
態で取り付けられる。

これを第６図を参照しながら説明すると、板ば
ね３の長さ精度にばらつきがあると、プラテン１
の外周面の円周に沿う方向におけるピンチローラ
９の位置ｘは、△ｘのばらつきを生じる。また角
軸２に対する板ばね３の取り付けの位置精度にば
らつきがあると、プラテン１の長手方向における
ピンチローラ９のピツチｐは、△ｐのばらつきが
生じる。

このようにピンチローラ９の位置がばらつきを
有すると、プラテン１に対する各ピンチローラ９
の押し付け圧にもばらつきが生じる。その結果、
用紙１４が斜行したり、改行ピツチの誤差が出る
等、送り系が不均一になるという問題点がある。

本考案は、このような点に鑑みて創作されたも
ので、簡易な構成でプリンタのコストダウン及び
紙送りの性能の安定化が可能なプリンタの紙送り
機構を提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案のプリンタの紙送り機構は、角軸は複数
の位相角度を選択して固定可能である。

角軸には、複数の支え板が回転可能に取り付け
てある。

支え板の突出部には、中心軸が取り付けてあ
り、中心軸には、複数のブラケツトが支え板に対
して相対的に回転可能に取り付けてある。

ブラケツトの両突出部のそれぞれには、シヤフ
トが取り付けてあり、シヤフトには、ブラケツト
に対して相対的に回転可能に複数のピンチローラ
が並列に配置してある。

上記角軸には、板ばねが相対的に回転不能に取
り付けてあり、板ばねの自由端部は、該中心軸を
プラテンに向けて付勢する。

〔作用〕

本考案のプリンタの紙送り機構は、プラテンの
長手方向に配置すべき複数のピンチローラを共通
のシヤフトに並列に配置することができるので、
これらのピンチローラはブラケツト、中心軸及び
支え板により一体的に角軸に保持される。従つ
て、第４図及び第５図に基づいて上記に説明した
従来のピンチローラ保持方式が分割型であるのに
比較して、多数のピンチローラを少数の部品によ
つて角軸に保持せしめ得る。従つて、製造原価の
低減及び組付け工数の削減によつてプリンタのコ
ストダウンが可能である。

また本考案のプリンタの紙送り機構は、シヤフ
トに複数のピンチローラを並列に配置するから、
これらのピンチローラの位置は、共通の部材であ
るブラケツトや支え板によつて決定される。従つ
て、従来の分割型に比較して部品精度のばらつき
に基づく各ピンチローラの位置のばらつきがな
く、プラテンに対するピンチローラの押し付け圧
が均一である。従つて、紙送り時における用紙の
斜行を防止し且つ改行精度を高めることができ、
その結果送り精度が向上する。

またピンチローラを角軸に保持する手段として
の支え板と、ピンチローラをプラテンに対して付
勢する手段としての板ばねとを分離したから、板
ばねのねじれ等に基づくピンチローラの片当たり
等押し付け圧の不均一を生じる恐れがなく、送り
精度を一層向上し得る。

〔実施例〕

第１図から第３図までは本考案の実施例であつ
て、第１図は斜視図、第２図は第１図のＡ−Ａ線
に沿う断面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線に沿う
断面図である。

図においてプラテン１に平行の位置に角軸２が
設けてある。

該角軸２には、角軸２に一対のレバー状の支え
板２０の各基部に設けた丸穴２１を嵌合すること
により、支え板２０を角軸２に対して相対的に回
転可能に取り付けてある。

該支え板２０の自由端部２２には、両支え板２
０間に延長する中心軸２３の端部近傍が回転可能
に軸承されている。

該中心軸２３には、Ｕ字状の形をした軸受をな
す一対のブラケツト２４のほぼ中心部が取り付け
てある。

該ブラケツト２４の両突出部２５のそれぞれに
は、両ブラケツト２４間に延長するシヤフト２６
の端部近傍が回転可能に軸承されている。

各シヤフト２６には、複数のピンチローラ９が
相互に分散した位置で並列に配置してあり、ピン
チローラ９はシヤフト２６に固定されている。

上記角軸２には、又、該一対の支え板２０のほ
ぼ中間位置で、該角軸２に板ばね２７の基部の角
穴２８を嵌合することにより、板ばね２７を角軸
２に固定してある。

該板ばね２７の自由端部２９には、上記中心軸
２３のほぼ中央部が接触載置してある。

角軸２は、第２図の矢印３０で示す位相角度内
で、操作者により回転動作及び固定が可能となつ
ている。

プラテン１と角軸２とピンチローラ９との位置
関係は、このような操作によつて角軸２が時計方
向に回転を行つた位相３１をとる時、各ピンチロ
ーラ９が中心軸２３を介して板ばね２７により矢
印３３の方向に付勢されて、プラテン１に対する
押圧状態をとるものである。また角軸２が反時計
方向に回転を行つた位相３２をとる時、各ピンチ
ローラ９が解放状態となるものである。

このような構造のプリンタの紙送り機構を設け
たプリンタでカツトシートを使用する場合におい
て、ピンチローラ９を押圧状態として、用紙１４
をプラテン１に押し付けている時に、ピンチロー
ラ９の位置を決定する各部材は各ピンチローラ９
に対して共通になつているので、ピンチローラ９
の位置のばらつきがなく、ピンチローラ９の押し
付け圧が均一である。

並列に配置した複数のピンチローラ９の押し付
け圧が何等かの原因で均一でなくなると、一対の
支え板２０の内いずれか一方または双方が角軸２
に対して回転を行つてピンチローラ９のプラテン
１に対する位置関係を修正することにより、押し
付け圧の均一を回復する。

特に、総てのピンチローラ９は中心軸２３を介
して板ばね２７の自由端部２９上に重力によつて
載つているだけであるから、各ピンチローラ９は
板ばね２７の動きに追従して上下動することがで
きる。従つて、上記のようにしてピンチローラ９
の押し付け圧を均一に保つ機能は、板ばね２７の
部品精度に殆ど影響されない。

このようにピンチローラ９の押し付け圧が均一
であるから、用紙の斜行がなく改行精度が優れて
いるなど、安定した紙送り性能を発揮するもので
ある。

またプラテン１の長手方向に配置すべき複数の
ピンチローラ９を角軸２に保持する手段として支
え板２０、中心軸２３、ブラケツト２４及びシヤ
フト２６並びに各ピンチローラ９をプラテン１に
向けて付勢する手段として板ばね２７は、いずれ
も複数のピンチローラ９に共通であるから、部品
点数の削減及びコストダウンに寄与する。

〔考案の効果〕

以上述べてきたように、本考案によれば、簡易
な構成で部品点数の削減に基づくコストダウン
と、紙送りの安定化を可能とし、実用的に極めて
有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す斜視図、第２図
は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は第１図のＢ
−Ｂ線断面図、第４図は従来構造の斜視図、第５
図は従来構造の側面図、第６図は従来構造におけ
るピンチローラの位置のばらつきを示す説明図で
ある。 第１図から第３図までにおいて、１はプラテ
ン、２は角軸、９はピンチローラ、２０は支え
板、２２は支え板の突出部、２３は中心軸、２４
はブラケツト、２５はブラケツトの突出部、２６
はシヤフト、２７は板ばね、２９は板ばねの自由
端部である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 複数の位相角度を選択して固定可能である角軸
   ２と、 該角軸２に空転可能に取り付けてある複数の支
   え板２０と、 該支え板２０の突出部２２に取り付けた中心軸
   ２３と、 該中心軸２３を中心にして該支え板２０に対し
   て相対的に回転可能であるように該中心軸２３に
   取り付けた複数のブラケツト２４と、 該ブラケツト２４の両突出部２５のそれぞれに
   取り付けたシヤフト２６と、 該シヤフト２６を中心にして該ブラケツト２４
   に対して相対的に回転可能であるように該シヤフ
   ト２６に並列に配置した複数のピンチローラ９
   と、 一端が、該角軸２に対して、回転しないように
   固定され、自由端部２９が、該中心軸２３をプラ
   テン１に向けて、付勢する板ばね２７とからなる
   事を特徴とするプリンタの紙送り機構。