JPH05222784A - 断熱遮音防火パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量で機械的強度の優れ、かつ断熱性、遮音
性、防火性を優れたパネルを提供する。 【構成】 本発明のパネルは、ハニカムコアにフェノー
ルフォームが充填されたハニカムフェノールフォームの
片面又は両面に鉱物質繊維ボードを積層してなる芯材を
含み、その片面又は両面に外被材を被装したことを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ドア用パネル、間仕切
壁用パネル、内外壁パネル、車輛用パネル等の周壁材等
として用いられる断熱、遮音、防火性に優れたパネルに
関する。

【０００２】

【従来技術】ペーパー、アルミニウム、プラスチック製
のハニカムを芯材とし、その両面にプラスチック板、ア
ルミニウム板、鋼板、合板等を被装したパネルは、軽量
で機械的強度に優れる為、ドア用パネル、間仕切壁用パ
ネル、内外壁パネル、車輛用パネル等に多用されてい
る。しかしながら、ハニカムを芯材とするパネルは、接
着剤等の手段で剛性のあるハニカムコアの表裏両面に外
被材が接合された多重構造となっている為、ハニカムコ
アを通して、熱的又は音響的な橋架けが形成され、熱の
伝達や低音域に於ける共鳴透過や高音域に於けるコイン
シデンス効果による音響的透過損失（遮音欠損）を引き
起こし、断熱性、遮音性が劣るという問題がある。更
に、火、熱に対する難燃性、遮熱性も不充分で防火性も
満足出来ないのが現状である。

【０００３】かかる問題点を解決する為に、ロックウー
ル又はガラスウール等の保温材やプラスチックフォーム
をハニカムコアに充填して断熱性、遮音性、防火性の向
上を計る試みがなされているが、かかる充填方式では熱
的又は音響的橋架けを防止出来ず該性能の満足出来る向
上が期待出来ないことが判明している。

【０００４】また、実開昭５９−１２０２１２号公報に
は、表裏両面外被材の対向中空部分に充填される芯材
を、ハニカムコア、ガラスウール、ハニカムコアの順で
形成することにより、ガラスウールを芯材の中間層とし
て挿入した遮音パネルが開示されているが、このパネル
は、熱的又は音響的橋架けを防止することが出来、断熱
性、遮音性は向上するものの、ハニカムコアが二層に分
割されている為、機械的強度が低下し、ハニカムの特性
が犠牲となるばかりか、防火性の向上は達成出来ず、更
にその製造方法も複雑となり実用性に欠ける等の問題が
解決されていないのが現状である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、軽量で機械的強度の優れたハニカムを芯材とするパ
ネルが有する上記の特性を犠牲にすることなく、断熱
性、遮音性、防火性を付与することを可能としたパネル
を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決する為の手段】本発明は、前記した目的を
達成すべくなされたものであり、本発明のパネルは、ハ
ニカムコアにフェノールフォームが充填されたハニカム
フェノールフォームの片面又は両面に鉱物質繊維ボード
を積層してなる芯材を含み、その片面又は両面に外被材
を被装したことを特徴とし、このような構成により、ハ
ニカムを芯材とする従来のパネルと同様の軽量性および
機械的特性を維持しつつ、断熱性、遮音性、防火性に優
れたパネルを提供することが可能となった。

【０００７】本発明のパネルに用いるハニカムコアとし
ては、クラフトパルフ紙系からなるペーパーハニカム；
芳香族ポリアミド紙系からなるアラミドハニカム；水酸
化アルミニウム、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム繊維、
ロックウール、セラミックウール等の無機物又はこれと
難燃パルプ等の有機物とからなる不燃紙系のハニカム；
アルミニウム系の金属ハニカム等が挙げられ、これらの
セル形状は、六角形以外に正方形、長方形、三角形、円
形等の形状を含むものとする。

【０００８】上記ハニカムコアに充填されるフェノール
フォームとしては、レゾール型フェノール樹脂、変性フ
ェノール樹脂、軟化点３０〜８０℃のノボラック型フェ
ノール樹脂を発泡硬化させたフェノールフォームを挙げ
ることが出来る。ここにレゾール型フェノール樹脂は、
フェノール類とアルデヒド類を水酸化カリウム、水酸化
カルシウム、アミン等のアルカリ性触媒を用いて常法に
より得られる液状のフェノール樹脂である。

【０００９】また変性フェノール樹脂は、前記レゾール
タイプフェノール樹脂又は酢酸塩触媒で得られるベンジ
リック型フェノール樹脂をイソシアネート化合物、ポリ
エステル系プレポリマー、エポキシ樹脂系プレポリマー
などで変性させたタイプである。

【００１０】またノボラック型フェノール樹脂は、フェ
ノール類とアルデヒド類をシュウ酸触媒を用いて得られ
る固形状タイプのものであり、その軟化点を３０〜８０
℃にした理由は、この樹脂に発泡剤、整泡剤、硬化剤を
軟化点域で配合し、１３０〜１７０℃の温度で発泡硬化
させるためである。

【００１１】本発明のパネルにおいて用いられる鉱物質
繊維ボードとしては、ロックウールを主成分とし、これ
にクラフトパルプ、再生パルプ、ビニロン等の有機繊
維；アタパルジャイト、セピオライト、チタン酸カリウ
ム繊維、ガラス繊維、セラミックウール等の無機繊維；
クレイ、マイカ、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、
炭酸カルシウム、バーミキュライト、シラスバルーン、
ホウ酸等の無機物充填材；フェノール樹脂、メラミン樹
脂、ポバール、デンプン、アクリル樹脂等の結合剤；及
びポリアクリルアミド、硫酸バンド等の結合助剤からな
る水性スラリーを円網式又は長網式抄造機で抄造したウ
エットボードを乾燥硬化して得られる、ロックウール含
量が７０ｗｔ％以上、密度が３００ｋｇ／ｃｍ³ 以上の
吸音性、断熱性、不燃性の鉱物質繊維ボードを挙げるこ
とが出来る。

【００１２】本発明のパネルは、上述のハニカムコアに
上述のフェノールフォームが充填されたハニカムフェノ
ールフォームの片面又は両面に、上述の鉱物質繊維ボー
ドを積層してなる芯材を含むものであるが、このような
構成の芯材は、例えば以下のようにして製造される。

【００１３】すなわち、上述のフェノール樹脂にフロン
ガスや炭酸塩、塩化メチレン、ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミン、炭化水素系のフロン代替ガスからなる発
泡剤、シリコン系整泡剤、フェノールスルホン酸、パラ
トルエンスルホン酸等の酸性硬化剤、ヘキサメチレンテ
トラミン、ジフェニルメタンジイソシアネート等の硬化
剤、必要に応じて、クレイ、ガラス繊維、マイカ、石
膏、木粉等の無機物や有機物を配合してなる液状又は固
形状の発泡性フェノール樹脂を先ず製造する。

【００１４】次に、上述の発泡性フェノール樹脂が液状
の場合、直接これを不燃紙面材（例えば珪酸カルシウ
ム、パルプ、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、結合剤
および定着剤からなる不燃紙など）にコートすることに
より、発泡性フェノール樹脂がコートされた面材を得
る。

【００１５】一方、上述の発泡性フェノール樹脂が固形
状の場合、これを面材に散布溶融するか、又は溶融ない
し溶媒による溶解などにより液状にしてコートし得る性
状にした後、上記と同様の無機質面材にコートし、必要
に応じて溶媒を揮散することにより、発泡性フェノール
樹脂がコートされた面材を得る。

【００１６】次に上述の発泡性フェノール樹脂コート面
材を、所定のセル構造を有する、上述のハニカムコアの
上面に当接押圧し、一方下面に、上述の鉱物質繊維ボー
ドを圧接し、発泡性フェノール樹脂をハニカムセル内で
加熱発泡硬化させることにより、ハニカムコアにフェノ
ールフォームが充填されたハニカムフェノールフォーム
の片面に鉱物質繊維ボードが積層された芯材が得られ
る。またこの芯材の鉱物質繊維ボードが積層された面と
反対の面（無機質面材コート面）に鉱物質繊維ボード
を、エポキシ樹脂、合成ゴム系樹脂、酢酸ビニル樹脂系
の接着剤でスプレッダー等を用いて後貼り加工すること
により、ハニカムフェノールフォームの両面に鉱物質繊
維ボードが積層された芯材が得られる。

【００１７】なお、フェノール樹脂の発泡時に、上、下
面材として、鉱物質繊維ボードを用いれば、フェノール
フォームの両面に鉱物質繊維ボードが積層された芯材を
直接得ることができる。またフェノール樹脂の発泡時
に、上、下面材として、鉱物質繊維ボード以外の無機質
面材を用いた場合には、発泡後の成形物の片面又は両面
に鉱物質繊維ボードを後貼り加工する必要がある。

【００１８】本発明のパネルにおける芯材の製造におい
ては特開平３−７３１２号公報、特開昭５９−８９３３
５号公報等に記載の方法を適宜採用することができる。

【００１９】上述の如くして得られた芯材の片面又は両
面に外被材を被装することにより本発明のパネルが得ら
れる。外被材としては、化粧鋼板、化粧銅板、化粧アル
ミニウム板、難燃化粧合板、化粧カーボンファイバー又
はガラス繊維強化フェノール樹脂板（ＣＦＲＰ、ＧＦＲ
Ｐ）などを用いるのが好ましいが、これらに限定される
ものではない。

【００２０】本発明のパネルは、軽量であるという利点
を有する。またフェノールフォームコアの片面又は両面
が鉱物質繊維ボードで積層され、且つ、鉱物質繊維ボー
ドの繊維配列がハニカムコアと直角方向となり、剛性を
有するハニカムコアの熱的、音響的橋架けが防止出来る
為、ハニカムフェノールフォームの機械的特性、断熱性
を損なわず、且つ、一段とすぐれた断熱性、遮音性及び
防火性の付与が可能となる。特に、火や熱に対し、鉱物
質繊維ボードが保護する為、防火性の向上は著しい。本
発明のパネルは、外被材として、例えば鋼板、アルミニ
ウム板、銅板、難燃性合板、ＣＦＲＰ、ＧＦＲＰ等の外
被材を接着剤により被装したパネルである為、断熱性、
遮音性、防火性に優れ、ドア用パネル、間仕切壁用パネ
ル、内外壁パネル等として好適に用いられる。

【００２１】

【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明する。

【００２２】実施例１ （１）フェノール樹脂の製造 フェノール８４重量部、３７％ホルマリン５５８重量部
および水酸化カルシウム１１．１重量部をフラスコに入
れ９０℃で６０分間等温反応させ、続いて臭素化クレー
ゾールモノグリシジルエーテル８５重量部を添加し、さ
らに２０分間反応させた後、反応液のｐＨが７．０〜
７．３になるようにシュウ酸を添加し、反応液を中和
し、減圧下８０℃で脱水し、固形分８９重量％、３０℃
における粘度５７００ｃｐｓ、遊離フェノール３．０重
量％、遊離ホルムアルデヒド１．９重量％の液状レゾー
ル型フェノール樹脂液を得た。

【００２３】（２）鉱物質繊維ボードの製造 固形成分がロックウール７６重量部、水酸化アルミニウ
ム１０重量部、パルプ３重量部、セピオライト５重量
部、ポバール４重量部、ポリアクリルアミド１重量部、
硫酸バンド１重量部からなる４重量％水分散液をパルパ
ー及びデスパーにより水性スラリーを作製し、得られた
スラリーを長網式抄造機で抄造し、脱水プレス成型して
ウェットボードを成形した。続いて、２５０℃で１時
間、１７０℃で１時間乾燥し、プレーナーにより表面加
削し、密度３８０ｋｇ／ｍ³ 、曲げ強度２８ｋｇ／ｃｍ
² 、不燃グレードの白色性の鉱物質繊維ボードを得た。

【００２４】（３）ハニカムフェノールフォームと鉱物
質繊維ボードからなる芯材の製造 上記（１）で得られたレゾール型フェノール樹脂液１０
０重量部に、整泡剤（ユニオンカーバイト社製Ｌ５３４
０）１重量部、難燃剤（三酸化アンチモン）１０重量部
を添加して液状レゾール型フェノール樹脂組成物を得
た。次にこの樹脂組成物に発泡剤（トリクロロトリフロ
ロエタン）２０重量部、硬化剤（フェノールスルホン
酸）１５重量部を添加した。さらに発泡硬化物のｐＨが
ほぼ中性となるようにｐＨ調整剤を加えて発泡性原液を
得、この発泡性原液を混合吐出機の吐出口から、上面材
（珪酸カルシウム３３重量％、パルプ３０重量％、ガラ
ス繊維３重量％、水酸化アルミニウム３０重量％、結合
剤３重量％および定着剤１重量％からなる不燃紙）の一
面に吐出し、発泡硬化後のフォーム密度が３５ｋｇ／ｍ
³ になるようドクターナイフにより均一に発泡性原液を
コーティングした。次いで上面材の発泡性原液コーティ
ング面を、ハニカム芯材（厚み２６ｍｍ：ナゴヤ芯材工
業（株）品番３０ＫＲのペーパーハニカム）の上面に加
圧ロールにより当接した。

【００２５】一方、上記（２）で得られた、厚み９ｍ
ｍ、密度３８０ｋｇ／ｍ³ の鉱物質繊維ボードを同一の
芯材の下面に供給当接した。上、下両面に前記上、下面
材を当接した、ハニカム形状のセル構造を有する芯材を
上下のエンドレスベルトに狭圧したまま硬化炉に送り、
加熱することにより発泡硬化させて、下面材として鉱物
質繊維ボードが、上面材として不燃紙がハニカムフェノ
ールフォームにそれぞれ積層された芯材（Ｃ₁ ）を作製
した。

【００２６】（４）外被材の被装によるパネルの製造 上記（３）で得られた芯材（Ｃ₁ ）の両面に、市販の天
然突板貼り難燃化粧合板（厚み５ｍｍ）を酢酸ビニル樹
脂エマルジョン接着剤（塗布量：約２００ｇ／ｍ² ）で
圧着し、パネル（Ｐ₁ ）を製造した。

【００２７】実施例２ （１）芯材の製造 厚み２６ｍｍのペーパーハニカムの代りに厚み１６ｍｍ
のペーパーハニカム（ナゴヤ芯材工業製：品番３０Ｋ
Ｒ）を用いたこと以外は実施例１の（１），（２），
（３）と同様にして、下面材として鉱物質繊維ボード
が、上面材として不燃紙が積層されたハニカムフェノー
ルフォームを得た後、その上面側に実施例１の（２）で
得られた、上記下面材と同一の鉱物質繊維ボード（厚み
９ｍｍ、密度３８０ｋｇ／ｍ³ ）を市販酢酸ビニル樹脂
エマルジョン接着剤（塗布量：約２００ｇ／ｍ² ）で圧
着し、ハニカムフェノールフォームの上下両面に鉱物質
繊維ボードを有し、これらによってハニカムフェノール
フォームがサンドイッチされた芯材（Ｃ₂ ）を製造し
た。

【００２８】（２）パネルの製造 上記（１）で得られた芯材（Ｃ₂ ）の両面に、実施例１
の（４）と同一の外被材を実施例１の（４）と同様にし
て被装してパネル（Ｐ₂ ）を得た。

【００２９】実施例３ （１）芯材の製造 フェノール樹脂として市販ノボラック型フェノール樹脂
（群栄化学工業（株）製：軟化温度７０℃）を用い、そ
の１００重量部に、５重量部のヘキサメチレンテトラミ
ン、６重量部のジニトロソペンタメチレンテトラミン、
１重量部のポリジメチルシロキサン・ＥＯ／ＰＯ共重合
物系シリコン整泡剤を混合して発泡性原液を得、これを
ブレンダーで加熱混練し、ガラス織布（坪量：１００ｇ
／ｍ² ）に、５００ｇ／ｍ² 塗布して加熱発泡性フェノ
ール樹脂シートを得た。得られた加熱発泡性フェノール
樹脂シートと、実施例１の（２）で得られた鉱物質繊維
ボード（厚み９ｍｍ、密度３８０ｋｇ／ｍ³ ）とをペー
パーハニカム（厚み１５ｍｍ、ナゴヤ芯材工業製：品番
３０ＫＲ）の上、下面にそれぞれ当接し、加熱プレスに
より厚み３５ｍｍに設定し、１６０℃で１０分間加熱発
泡硬化させることにより、下面材として鉱物質繊維ボー
ドが、そして上面材としてガラス織布がハニカムフェノ
ールフォームにそれぞれ積層された芯材（Ｃ₃ ）を製造
した。

【００３０】（２）パネルの製造 上記（１）で得られた芯材（Ｃ₃ ）の両面に実施例１の
（４）と同一の外被材を実施例１の（４）と同様にして
被装してパネル（Ｐ_3a）を製造した。

【００３１】また上記（１）で得られた芯材（Ｃ₃ ）の
両面に市販着色亜鉛鋼板（厚み０．８ｍｍ）を難燃タイ
プのエポキシ樹脂接着剤（塗布量：約１５０ｇ／ｍ² ）
で圧着し、パネル（Ｐ_3b）を製造した。

【００３２】比較例１ ペーパーハニカム（厚み３５ｍｍ、ナゴヤ芯材工業
（株）製：品番３０ＫＲ）の両面に実施例１の（４）と
同一の外被材を実施例１の（４）と同様にして被装して
比較パネル（Ｐ₄ ）を製造した。

【００３３】比較例２ 比較例１と同一のペーパーハニカムの両面に市販着色亜
鉛鋼板（厚み０．８ｍｍ）を難燃性タイプのエポキシ樹
脂接着剤（塗布量：約１５０ｇ／ｍ² ）で圧着し、比較
パネル（Ｐ₅ ）を製造した。

【００３４】物性試験 実施例１〜３で得られた芯材およびパネル並びに比較例
１〜２で得られたパネルについて物性を測定した結果を
表１に示す。表１より、実施例１〜３のパネルは比較例
１〜２のパネルに比べ、断熱性、防音性、防火性ともに
著しく優れていた。

【００３５】

【表１】

【００３６】

【発明の効果】上述の実施例からも明らかなように、本
発明のパネルは、軽量、機械的強度を有し、且つ、断熱
性、遮音性、防火性に優れる為、ドア用パネル、間仕切
壁用パネル、内外壁パネル、車輛用パネルとして有効に
利用することが出来る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハニカムコアにフェノールフォームが充
   填されたハニカムフェノールフォームの片面又は両面に
   鉱物質繊維ボードを積層してなる芯材を含み、その片面
   又は両面に外被材を被装したことを特徴とする断熱遮音
   防火パネル。