JPH05213707A - 微生物接種剤 - Google Patents

微生物接種剤

Info

Publication number
JPH05213707A
JPH05213707A JP4235600A JP23560092A JPH05213707A JP H05213707 A JPH05213707 A JP H05213707A JP 4235600 A JP4235600 A JP 4235600A JP 23560092 A JP23560092 A JP 23560092A JP H05213707 A JPH05213707 A JP H05213707A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plant
infection
inoculant
bacteria
roots
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4235600A
Other languages
English (en)
Inventor
Teyuze Danieru
テュゼ ダニエル
Hokama Rezuri
ホカマ レズリ
Tefuto Jiyakurin
テフト ジャクリン
Uangu Gamin
ウァング ガミン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Publication of JPH05213707A publication Critical patent/JPH05213707A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】(a)植物根に感染可能な微生物感染源; (b)根が本来親和性を有する誘引性物質;及び (c)植物に無毒性の高分子キャリア からなる微生物接種剤。 【効果】微生物感染源の感染を促進することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物の生長を促進する
ための根圏の処理方法に関する。より詳しくは、有用な
微生物の植物根への感染またはコロニー化を促進するた
めの微生物接種剤に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】植物に有用な、多数の微
生物が知られている。例えば、のう状体−樹枝状体菌根
菌(vesicular arbuscular mycorrhizal fungi) (以下
VA菌根菌という)は、多くの植物と有用な共生関係を
形成する。これらの菌類は、宿主植物(host plant) に
対して栄養成分、特に燐の吸収を助け、植物の生長を促
進し、植物病原菌に対する抵抗性も付与する。
【0003】VA菌根菌などの有用微生物と共生関係を
形成する多くの植物は、根圏(rhizosphere )において
見出される一般の病原性真菌類にも感受性を示す。病原
性真菌類または他の病原体に感染された土壌を処理する
典型的な方法は、殺菌剤(fungicide )または他の燻蒸
剤(fumigant)で圃場全体を処理することである。しか
し、メチルブロマイドのような薬剤を用いた最も一般的
な燻蒸方法によれば、植物病原体だけでなく有用微生物
までも除去してしまう。従って、有用微生物の再接種
が、植物生長を補助するのに極めて有効である。
【0004】現在、有用微生物の植物根への感染を促進
する方法として少なくとも4種の公知の方法がある。公
知の方法とは、ブロードキャスティング(broadcastin
g)、バンディング(banding) 、レイヤリング(layerin
g)および植物根のコーティング(root coating)であ
る。ブロードキャスティングは、コントロールすること
なしに広範な地域の土壌に感染源を散布する接種法であ
る。バンディングは、感染源のラインが、植物の列と交
互になるような接種法である。該方法は、感染源と植物
との位置関係により感染を促進するものである。レイヤ
リングは、感染源の層が苗の根の下に配置される接種法
である。従って、レイヤリングは感染源と植物との位置
関係により感染を促進するという点でバンディングに類
似する。最後に、植物根のコーティングは、コーティン
グを介して根を感染源と密接に接触するように配置する
ことにより、感染源の感染効率を向上させる技法であ
る。しかしながら、該方法は根の障害と汚染に対する注
意が要求され、従って、該手順を実施するための高い努
力水準が求められる。
【0005】微生物感染源の一例として、VA菌根菌を
用いて説明すると、例えば、ネメック(Nemec)、Trop A
gric (Trinidad) (1983) 60:97−101
は、VA菌根菌および接着剤からなる接種剤中に植物根
を浸漬して、柑橘類の苗にVA菌根菌を接種する方法を
記載している。また、ジョンソン、シー.アール.(Jo
hnson C. R. )ら、J. Environ Hort (1985)
:166−168は、VA菌根菌接種剤のためのキャ
リアとして親水性ポリマーの使用を報告している。さら
に、ベスベッタリック、ジェイ.ティー.(Beswetheri
ck, J.T.)ら、Trans. Br. Mycol. Soc.(1987)
:603−605は、菌糸を付着させた正方形のセロ
ファンの間に植物根をサンドイッチすることによりVA
菌根菌を接種することを記載している。
【0006】上述のように、有用微生物の植物根への感
染を効果的に行なう種々の技術が存在するが、これらの
方法には解決すべき問題も数多く残されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有用微生物
の植物根への感染効率を向上させる経済的な微生物接種
剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、有用微生物の
植物根への感染を効果的に行う接種剤に関する。該接種
剤は、根がその方向に生長する誘引効果がある。微生物
の感染源が誘引性物質(bait material )に近接して提
供されるため、誘引性物質の存在により根への感染効率
が向上する。
【0009】本発明の方法は、VA菌根菌のような感染
源のときに特に重要である。VA菌根菌は絶対共生菌で
あり、人工培地で培養することができず、植物と共生さ
せて培養することが必要であるため、感染源の製造は労
働要求的で、コストも高くなる。一方、本発明の接種剤
は、感染される植物の根を誘引するように働くため、よ
り低い濃度の感染源で効率的且つ効果的な感染を可能に
し、従ってコストを低減することができる。
【0010】本発明の接種剤は: (a)植物根に感染可能な微生物感染源; (b)根が本来親和性を有する誘引性物質;及び (c)植物に無毒性の高分子キャリア からなる。該高分子キャリアは、実際的な範囲のキャリ
ア濃度で微生物にほとんど或いは全く毒性を示さないも
のを用いる。該接種剤は、高分子キャリアに対する微生
物感染源及び/又は誘引性物質の結合を促進しまたは安
定化するバインダーをも包含し得る。
【0011】以下に、本明細書で定義された接種剤の調
製条件、この接種剤の使用手順および植物に対する適用
方法の条件を記載する。
【0012】本発明の高分子キャリアは、誘引性物質を
担持し得るものであり、その物理的形態は粒状、フィル
ム状、スポンジ状、スラリー状、粘性溶液状などであ
る。該高分子キャリアは、典型的には生物学的適合性を
有する架橋されたポリマーであり、限定された生物分解
性を有する。高分子キャリアは、好ましくは滅菌可能で
あり、機械的な破壊に抵抗性があり、もし望むならば比
較的均一なサイズの粒子を提供できるものが良い。
【0013】生物学的適合性の要件は、毒性のある架橋
剤の使用を制限するため、好ましいポリマーとしては、
ポリアクリルアミド、架橋デンプンのような不溶性ポリ
サッカライド及びペパス,エヌ.エイ.(Peppas N.
A.)らにより記載された“ヒドロゲルズ・イン・メディ
シン・アンド・ファーマシー(Hydrogels in Medicinea
nd Pharmacy)”(1986)シーアールシー・プレ
ス、ボカ・ラートン、フロリダ(CRC Press, Boca Rato
n, FL)などの医学及び薬学の分野で使用される種々のヒ
ドロゲルが挙げられる。一般的には、ヒドロゲル類は、
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロ
キシエトキシエチルメタクリレート(HEEMA)、ヒ
ドロキシジエトキシエチルメタクリレート(HDEEM
A)、メトキシエチルメタクリレート(MEMA)、メ
トキシエトキシエチルメタクリレート(MEEMA)、
メトキシジエトキシエチルメタクリレート(MDEEM
A)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDM
A)などのメタクリレート類及びN−ビニル−2−ピロ
リドン(NVP)、メタクリル酸(MA)、酢酸ビニル
(VAc)、アクリルアミド(AA)及びプロピレング
リコールモノアクリレート(PGMA)などのモノマー
の1種または2種以上を重合させて得たホモポリマーま
たは共重合体からなる親水性ポリマーを包含する。これ
らモノマーからなるポリマー及び上記にリストされたポ
リマーが特に実施態様において有用である。 また、誘
引性物質として水を用いる場合には、高吸水性ポリマー
を用いるのが好ましい。高吸水性ポリマーとは、自身の
重量の50倍以上の純水を吸収することができるポリマ
ーである。高吸水性ポリマーとしては、デンプン系、セ
ルロース系、合成ポリマー系など各種の樹脂が市販され
ており、これらをすべて用いることができる。具体的に
は、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、スターチ、
ポリメタクリル酸等の親水性誘導体が挙げられ、より詳
しくは、デンプン−アクリロニトリル重合体の加水分解
物、デンプン−アクリル酸塩架橋物、カルボキシメチル
セルロース、ポリアクリル酸ソーダ架橋物などが例示で
き、これらは、単独でもしくは2種以上を組み合わせて
使用することができる。例えば、架橋スターチのスーパ
ー・スルーパー(Super Slurper ;商標名)は、その重
量の2000倍までの純水を吸収できる;ポリアクリル
アミドであるブロードリーフ ピー4(Broadleaf P4;
登録商標)は、その重量の500倍の純水を吸収でき
る。
【0014】本発明は,以下誘引性物質として水を使用
することにより例示され、これは特に乾いた土壌の場
合、非常に有用な方法である。一方、他の誘引性物質も
使用できる。例えば、オーキシン類、サイトキニン類、
ジベレリン類のような植物生長調整剤も誘引性物質とし
て使用でき、それらは湿った土壌において有用である。
なお、“植物生長調整剤”は、植物またはその組織、器
官または細胞と相互作用して植物またはその成分の遺伝
子発現、代謝、生長、成分、形態または個体発生を修飾
する物質をいう。
【0015】本発明の接種剤に使用できる微生物感染源
は、生体培養物(live culture)、胞子、菌糸、感染根
に由来する材料などからなる。本発明の接種剤として有
用な細菌は、リゾビウム(Rhizobium )、アゾトバクタ
ー(Azotobacter )、フランキア(Frankia )などの窒
素固定細菌;シュードモナス(Pseudomonas )、バチル
ス・チュリンギエンシス(Bacillus thuringiensis
などの抗生物質を製造する細菌;および種々のバチルス
Bacillus)並びにリン酸溶解細菌(phosphate-solubi
lizing bacteria )などのすべての共生菌を包含する。
また、無機燐酸を溶解する能力のある微生物も挙げられ
る(例えば、ゴールドシュタイン(Goldstein )Amer.
J. Alternative Agriculture(1986):51〜5
7;シンテ(Shingte )ら、J. Maharashtra Agric. Un
iv. (1987)12:121〜122参照)。
【0016】本発明の接種剤として最も有用な微生物
は、VA菌根菌である。
【0017】VA菌根菌は、VAM菌としても知られて
いる。多くのVA菌根菌の属、例えばアカウロスポーラ
Acaulospora )、スクレロシスチス(Sclerocysti
s)、ジャイガスポーラ(Gigaspora )、スクテリスポ
ーラ(Scutellispora )、グロマス(Glomus)及びエン
トロフォスポーラ(Entrophospora )が同定されてい
る。特に重要なVA菌根菌の属は、ジャイガスポーラ
属、スクテリスポーラ属及びグロマス属である。グロマ
ス種の例示としては、特に限定されるものではないが、
グロマス・イントララディクス(G. intraradix)、グ
ロマス・エツニカツム(G. etunicatum)、グロマス・
モッセ(G. mosseae )、グロマス・ファシキュラツム
G. fasciculatum)、グロマス・デセルチコーラ(G.
deserticola)、グロマス・マクロカルパム(G. mac
rocarpum )、グロマス・ミクロカルパム(G. microca
rpum )、グロマス・コンストリクツム(G. constrict
um )、グロマス・オカルタム(G. occultum)及びグ
ロマス・クララム(G. clarum)が挙げられる。ジャイ
ガスポーラ種の例示としては、特に限定されるものでは
ないが、ジャイガスポーラ・マルガリータ(G. margar
ita )、ジャイガスポーラ・ジガンテア(G. gigante
a)、ジャイガスポーラ・デシピエンス(G. decipiens
)及びジャイガスポーラ・アルビダ(G. albida)が
挙げられる。スクテリスポーラ種の例示としては、特に
限定されるものではないが、スクテリスポーラ・グレガ
リア(S. gregaria)、スクテリスポーラ・カロスポラ
S. calospora )、スクテリスポーラ・ニグラ(S.
nigra )及びスクテリスポーラ・ペルシダ (S. pell
usida )が例示される(エヌ.シー.シェンク・アンド
・イボンヌ・ペレツ(N. C. Schenck & Yvonne Pere
z)、Manual for the Identification of VA Mycorrhiz
al Fungi (1990)第3版参照)。
【0018】“微生物感染源”とは、植物根に微生物の
感染を誘導することのできるいかなる感染源をも含む。
例えば、微生物がVA菌根菌である場合、該感染源は、
特に限定されるものではないが、VA菌根菌胞子、VA
菌根菌菌子、VA菌根菌菌子チップ及びVA菌根菌感染
根由来の材料を含む。
【0019】微生物感染源は、高分子キャリアと混合、
結合もしくは表面にコートされるか、スラリー、スポン
ジ、カプセルまたはフィルム中に含有される。例えば、
図2及び図3は、以下の実施例で示されるのもので、V
A菌根菌感染源と高分子キャリアがバインダーを介して
結合したものである。
【0020】要求される感染源の量は微生物の性質によ
り変わるが、VA菌根菌の大抵の種の場合には、高分子
キャリアの乾燥重量1g当たり100〜20000胞子
の間である。しかしながら、胞子の分布は高分子キャリ
アの部位に濃縮されており、一群の植物感染に要求され
る胞子の全体数は大幅に減少される。また、他の微生物
については濃度水準を最適化して用いる。
【0021】本発明組成物は、調製段階において任意の
量の水が操作を容易にするために加えられるが、製剤化
された組成物は、パッキング、貯蔵及び搬出のために乾
燥される。製剤化された組成物の最終含水量は高分子キ
ャリアにより異なるが、多くの場合、約10〜50wt/
wt%である。
【0022】本発明組成物の各成分を結合させるため
に、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニ
ルアルコール(PVA)、メチルセルロースまたはヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、土壌粒子、粘土、ベ
ントナイト、カオリン、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、コー
ンスターチ、デンプン、ゼラチンなどのバインダーを含
めることもできる。また、ポリアクリルアミドは、高分
子キャリアとしてだけでなくバインダーとしても用いら
れる。なお、バインダーの使用量は、バインダーの種類
により大きく異なるため、各バインダーごとに適宜決め
られるが、例えばバインダーが土壌の場合には、本発明
の接種剤100重量部当たり約10〜90重量部であ
り、バインダーがポリビニルアルコールの場合には、本
発明の接種剤100重量部当たり約1〜5重量部であ
る。
【0023】1例として、高分子キャリアとしての4g
のポリアクリルアミドビーズ及びバインダーとして約
0.5〜2.5%W/Vのポリビニルアルコール8ml
及びVA菌根菌胞子75000個を水28mlと混合し
た組成物が挙げられる。水は、均一な接種剤を調製する
ためにこの組成物中に加えられるが、製剤化が完了すれ
ば約10〜50(wt/wt)%の水分量になるまで乾燥さ
せ保存することができる。接種する場合、土壌に設置す
る前または後に水を加える。接種剤に吸収された水は土
壌中にゆっくり放出されてポリアクリルアミドビーズを
頂点とする濃度勾配を形成し、根を誘引するように働
く。根の誘導により接種剤と根との接触可能性を高める
ため、より少ない量の接種剤で十分感染させることがで
きる。植物根がポリアクリルアミドビーズに誘引されて
成長する様子を模式的に図1に示す。
【0024】一般に、本発明の組成物中の成分比率は、
これら成分の性質と植物根系への組成物の適用方法に依
存する。最適比率の決定は、明らかに、通常の最適化手
順に従う。
【0025】誘引性物質、感染源及び高分子キャリアに
加えて、本発明の製剤は、感染に望ましい性質を与える
材料を含むことができる。例えば、植物生長助剤が使用
できる。そのような助剤としては、アスコルビン酸(A
A)、ジベレリン酸(GA)及びインドール酢酸(IA
A)などの生長調節剤(例えばパチル(Patil )ら、In
dian J. Plant Physiol.(1981)24:145〜1
49参照)。
【0026】当業者に公知であり、当該農業分野で植物
の生長を促進するために一般的に使用されている他の材
料も使用できる。他の材料としては、例えば、一般的な
化学肥料、有機肥料、微量要素などが挙げられる。
【0027】さらに、本発明の組成物に追加できる成分
としては殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの薬剤が挙げられ
る。特に、根圏において植物病原菌の感染または生長を
選択的に阻害する化学的殺菌剤または生物殺菌剤が有用
である。根の病原菌、例えば、Pythium spp.Rhizocto
nia spp.Phytophthora spp. またはFusarium spp.
どを選択的に阻害する化学物質は、当業者に知られてい
る(例えば、マンジェ(Mange )、Phytopathology(1
982)72:1125〜1132参照)。特に好まし
い化学殺菌剤としては、アルミニウム・トリス(−O−
エチルホスフェート)[フォセチル Al(fosetyl A
l);アリエッテ(Aliette):登録商標]およびN−
(2,6−ジメチルフェニル)−N−(メトキシアセチ
ル)−アラニンメチルエステル[メタラキシル(metala
xyl );リドミル(Ridomil ):登録商標]が挙げられ
る。VA菌根菌は、これらの殺菌剤によってほとんど影
響されない。
【0028】生物殺菌剤は、植物病原菌を選択的に阻害
するために提供される細菌、菌類またはウイルスなどの
あらゆる生物を含む。選択的阻害は、直接に(例えば、
カビ類の病原菌に対し毒性のあるもの)または間接に
(例えば、競合、植物の免疫の誘導など)誘導される。
特に好ましい生物殺菌剤は、シデロフォア(siderophor
e )産生細菌のような微生物である。そのような細菌
は、当業者には周知である(例えば、レオン(Leong)、
Ann. Rev. Phytopathol.(1986)24:187〜2
09;ジル(Gill) ら、J. Bacteriol. (1988)
70:163〜170;ブヤー(Buyer )ら、J. Biol.
Chem.(1986)261:791〜794;及びデベ
ーガー(deWeger )ら、J. Bacteriol. (1986)
65:585〜594参照)。特に好ましくは、生長を
促進するPseudomonas spp.である。植物病原菌抑制株
は、典型的にはPseudomonas fluorescens Pseud
omonas putida等である(例えば、シュロ
ス(Schroth)ら、Science (1982)21
:1376〜1381参照)。好ましいPseudomonas
株は、市販もされている(例えば、Dragger G
(登録商標);Ecogen Inc.、Langho
rne,PA)。
【0029】微生物感染源、誘引性物質及び高分子キャ
リアからなる本発明の接種剤組成物は、特に限定される
ものではないが、典型的には上述のようにビーズの形態
である。組成物を適用する際、該ビーズは、苗の根の周
りに埋められる。一般に、該ビーズは、誘引性物質の影
響下に容易に根が近付くことができる位置に供給され
る。植物は、種子、苗、插し木または確立された植物体
として供給される。
【0030】本発明の方法及び製剤は、広い範囲の植物
に適用できる。例えば、VA菌根菌は、すべての植物の
90%以上の根に感染する。本発明は、経済的に重要な
植物に適用される。表1は、本発明により提供される例
としてVA菌根菌の感染が有用な代表的植物を例示す
る。
【0031】 表 1 VA菌根菌によりコロニーが形成される作物 果物及び木の実の植物: アーモンド ナツメヤシ セイヨウナシ リンゴ イチジク ペカン アプリコット ブドウ パイナップル アボカド キウイ ピスタチオ ブラックベリー 全てのメロン類 ラズベリー チェリー オリーブ ストロベリー 全ての柑橘類 パパイヤ クルミ フサスグリ モモ 野菜植物: チョウセンアザミ キュウリ 全てのコショウ類 アスパラガス ナス ポテト 全ての豆類 ガーリック カボチャ ニンジン レタス トマト キャッサバ オクラ ヤマノイモ セロリ タマネギ 作物栽培植物 アルファルファ 綿 大豆 ピーナツ ヒマワリ クローバー イネ 小麦 トウモロコシ タバコ 装飾作物: ムラサキクンシラン ツゲ ヒマラヤスギ ナンヨウスギ カリサ(Carrisa) シャリントウ メギ ソリチャ ヒノキ ハナミズキ ユリノキ ホソバグミ シダ ヒイラギナンテン モミジバフウ レンギョウ 全てのカエデ サイカモアカエデ クチナシ ヤシ イチイ トネリコ フォチニア(Photinia) スイカズラ ホーリー トベラ ニチニチソウ ビャクシン マキ キシロスマ(Xylosma) リグストラム(Ligustrum) ラフィオレプシス(Raphiolepsis) ボストンタマシダ ヒカゲノカズラ(Staghorn ferns) 花木作物: キク 全ての球根 フクシア ペチュニア 全てのバラ ヒルガオ キンセンカ キンギョソウ キンレンカ ベゴニア ホウセンカ フウロソウ
【0032】
【発明の効果】本発明の微生物接種剤組成物は、植物根
を誘引する誘引性物質を含んでおり、植物根が該組成物
の方に向けて成長するため、少量の微生物感染源を土壌
中の適当な位置に接種するだけで、効率良く微生物感染
源を植物に感染させることができる。VA菌根菌のよう
に、微生物感染源の大量培養が困難な場合に、本発明の
微生物接種剤組成物は特に大きな効果を発揮する。
【0033】
【実施例】以下の実施態様は、本発明を限定することな
く例示することを意図している。特に示さない限り、
“部”は“重量部”を示し、温度は摂氏を示し、圧力は
大気圧またはその近くを示す。
【0034】
【実施例1】大豆に対するハイドロベイト接種剤の効果 VA菌根菌(グロマス・モッセ)の感染源を、VA菌根
菌の感染根、菌糸および胞子を含む1Lの母培養土壌か
ら調製した。調製方法は、母培養土壌を湿潤篩過(wet-
sieving )し、次いでシュクロース・グラジエントで遠
心分離を行なった。得られた感染源は、胞子、菌糸およ
び幾つかの感染根由来の物質を含み、これを20mlの
水(均一なコーティングのために十分な容量)に懸濁さ
せ、2.5%(W/V)のポリビニルアルコール7ml
を加えて混合した。該混合物を4グラムのポリアクリル
アミド・ビーズ(ブロードリーフP4:登録商標)に加
え、該混合物を室温で24時間風乾した。この感染源
は、8種のテストポットに使用するのに十分な量であっ
た。得られた本発明の微生物接種剤組成物を模式的に図
2及び図3に示す。なお、図2及び図3中、○はVA菌
根菌感染源を示し、中心部の斜線部分はポリアクリルア
ミド・ビーズ、外側の被膜はポリビニルアルコールを示
す。なお、図2及び図3は単なる例示であり、1個の製
剤中のポリアクリルアミド・ビーズ及びVA菌根菌感染
源の数並びにその形状は任意である。
【0035】対照としての接種剤は、該P4高分子キャ
リアに基づく接種剤を製造するのに用いたのと同一の母
培養土壌を1Lを用いた。対照接種剤は、8ポットに十
分な量であった。
【0036】大豆の種子(ランサム・カルチバー(Rans
om Cultivar ))を、バルコム土壌(Balcom clay ):
砂=1:4の混合物中の20リットルのポットの端から
約4cmの場所に植えた。試験される接種剤及び処理剤
は、表面から下2〜12cmにわたる層(column)中、
該植物から約18cm離れたところに配置した(図1参
照)。また、再現性を確認するために各処理剤または接
種剤ごとに8ポットずつ試験を行った。本実施例では:
1)上記のように調製された試験用ハイドロベイト接種
剤;2)対照接種剤(感染源のみ);3)対照ポリマー
接種剤(高分子キャリアとしてポリアクリルアミド・ビ
ーズの代わりに吸水性の低い乾燥ゼラチン・ビーズを用
い、それ以外は上記1)のハイドロベイト接種剤と同様
の方法で調製したもの);4)感染源を有しない対照ポ
リアクリルアミド・ビーズ(ブロードリーフP4の
み);及び5)対照植物(感染源もブロードリーフP4
も有しない)を供試した。
【0037】該種子は、植物が確立するまで毎日水をま
き、1ポット当たり1植物になるように間引きした。次
いで、1ポット当たり50mlの水を接種剤の配置位置
の上部に1日おきに直接与えた。12週間後、大豆を刈
り取り、生長した根を調べた。植物組織重を計量し、根
の一部は感染を調べるために用いた。
【0038】視覚的観察により、ブロードリーフP4ま
たはハイドロベイト接種剤を含むポット中では、水分勾
配が形成されていることが確かめられた。
【0039】感染及び生長の平均値の要約を表2及び表
3に示す。感染源のみを用いた場合のVA菌根菌平均感
染率9.4%(0〜21.5%の範囲)に対して、対照
ポリマー接種剤の感染率は、10.1%(2.5〜23
%の範囲)であり、有意な差はなかった。一方、ハイド
ロベイト接種剤の感染率は、28.3%(10.5〜4
1.4%の範囲)と有意に増加していた。
【0040】 表 2 VA菌根菌感染に対するハイドロベイト接種剤 の効果、全感染根長さ及び土壌水分含量 処理 感染率 感染根長さ 土壌中の水分 (cm) 含量(%) 対照植物 適用なし 適用なし 1.3 P4ビーズのみ 適用なし 適用なし 13.8 感染源のみ 9.4 B 188 B 3.2 対照ポリマー接種剤 10.1 B 195 B 5.3ハイドロベイト接種剤 28.3 A 977 A 15.5 表 3 植物生長に対するハイドロベイト接種剤の効果 処理 植物高さ 地上部乾燥 根乾燥重量 根長さ (cm) 重量(g) (g) (cm) 対照植物 15.5 C 0.53 C 0.65 B 1149 B P4ビーズのみ 16.1 BC 0.99 B 0.90 B 1283 B 感染源のみ 18.3 B 0.74 BC 0.93 B 1823 B 対照ポリマー接種剤 18.0 B 0.71 BC 0.95 B 1848 Bハイドロベイト接種剤 26.3 A 2.25 A 1.52 A 3224 A 表2及び表3は、ハイドロベイト接種剤の使用が、対応
する感染源のみ及び対照ポリマー接種剤よりもより効果
的に感染を起こし(即ち、表2の感染率と感染根長
さ)、それに伴って、植物の生長が促進されたことを示
している(表3参照)。結果の統計的相違は、ダンカン
の複合範囲試験(Duncan´s Multiple
Range Test)を用いて決定された。この試
験は、処理手段の全ての可能な対の間の相違を測定する
ために用いる。同じアルファベット表記(A,B,C)
の処理は、有意な相違はなく、異なる文字は有意な相違
を示す(p<0.05)。結果は、ハイドロベイト接種
剤で処理された植物は、種々の対照より有意に大きくな
り、高いVA菌根菌の感染を示す。
【0041】ハイドロベイト接種剤で処理された植物の
葉は、如何なる対照よりもより緑が濃くより厚く、根は
視覚的にハイドロベイトに向かって生長していた(図1
参照)。根は、勾配の最も水含量の高い領域で最も密度
が高かった。数多くの細かい根が、ハイドロベイト接種
剤を通り抜けているのが観察された。
【0042】
【実施例2】トウモロコシに対するハイドロベイト接種剤の効果 本実施例で用いるハイドロベイト接種剤は、実施例1と
比較してより緩やかに乾燥させることにより調製した。
該混合物は、小さな孔の開いた密閉容器に入れ、10%
の水分含量になるまで72時間ゆっくり乾燥させた。ま
た、本実施例では2段階の濃度の感染源を含む接種剤を
調製した。その他は、実施例1の記載と同様の方法を用
いた。
【0043】植物は、トウモロコシの種子( Zea maiz
e )を使用し、水酸化カルシウムを用いて土壌のpHを
中性に調節した他は実施例1と同様にして生長させた。
培養のプロトコールは実施例1の記載の通りであり、該
植物は、11週間後に刈り取られ分析された。結果を表
4に示す。
【0044】 表 4 処理 植物高さ 全乾燥重量 全根長さ 感染率 感染根長さ (cm) (g) (cm) (%) (cm) 対照植物 42 1.35 906 0 0 感染源のみ 41 1.25 860 0 0 ハイドロベイト 57 3.34 2663 21 559 接種剤−1 ハイドロベイト 65 2.16 1289 18 232接種剤−2 表4に示されるように、ハイドロベイト接種剤の使用に
より、植物の生長および感染が大いに促進された。感染
源のみでは、散水プロトコールによる十分な水ストレス
の下で、感染は起こらなかった。一方、ハイドロベイト
接種剤−1(土壌60mlに由来する感染源を含む)
は、ハイドロベイト接種剤−2(土壌120mlに由来
する感染源を含む)のポットと同様に感染が起こった。
【図面の簡単な説明】
【図1】植物根が本発明の組成物の方に誘引される様子
を模式的に示す。
【図2】実施例1で得た、本発明の組成物を示す。
【図3】実施例1で得た、本発明の組成物の他の実施態
様を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジャクリン テフト アメリカ合衆国 94301 カリフォルニア パロ アールト グインダ 365 (72)発明者 ガミン ウァング アメリカ合衆国 94025 カリフォルニア メンロパーク シックスティーンス ア ベニュ 803

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)植物根に感染可能な微生物感染源; (b)根が本来親和性を有する誘引性物質;及び (c)植物に無毒性の高分子キャリア からなる微生物接種剤。
  2. 【請求項2】高分子キャリアが高吸水性ポリマーからな
    る請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】高吸水性ポリマーが、ポリアクリル酸、ポ
    リアクリルアミド、スターチまたはポリメタクリレート
    の親水性誘導体からなる群の少なくとも1種からなる請
    求項2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】微生物感染源が、植物との共生菌である請
    求項1〜3のいずれかに記載の接種剤。
  5. 【請求項5】植物との共生菌がVA菌根菌である請求項
    4に記載の接種剤。
  6. 【請求項6】VA菌根菌が、ジャイガスポーラ属、スク
    テリスポーラ属またはグロマス属に属する菌である請求
    項5に記載の接種剤。
  7. 【請求項7】誘引性物質が水である請求項1〜6のいず
    れかに記載の接種剤。
JP4235600A 1991-09-06 1992-09-03 微生物接種剤 Pending JPH05213707A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US75489091A 1991-09-06 1991-09-06
US07/754890 1991-09-06

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05213707A true JPH05213707A (ja) 1993-08-24

Family

ID=25036828

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4235600A Pending JPH05213707A (ja) 1991-09-06 1992-09-03 微生物接種剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05213707A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0974906A (ja) * 1995-09-18 1997-03-25 Nishimura Fuukouen:Kk 植物栽培用具
JPH11171716A (ja) * 1997-12-04 1999-06-29 Nippon Paper Industries Co Ltd 植物根共生微生物を内包する植物への接種剤
CN105384534A (zh) * 2015-12-15 2016-03-09 山水园林股份有限公司 一种液态有机生物肥料及其制备方法
CN107182669A (zh) * 2017-06-01 2017-09-22 海南大学 一种提高降香黄檀干旱抗性的方法
CN110982872A (zh) * 2019-12-13 2020-04-10 山东省农作物种质资源中心 一种促进小麦根腐病感染的接种助剂
CN115316157A (zh) * 2022-09-26 2022-11-11 贵州省中国科学院天然产物化学重点实验室(贵州医科大学天然产物化学重点实验室) 一种高效侵染金银花的菌根育苗装置及其使用方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0974906A (ja) * 1995-09-18 1997-03-25 Nishimura Fuukouen:Kk 植物栽培用具
JPH11171716A (ja) * 1997-12-04 1999-06-29 Nippon Paper Industries Co Ltd 植物根共生微生物を内包する植物への接種剤
CN105384534A (zh) * 2015-12-15 2016-03-09 山水园林股份有限公司 一种液态有机生物肥料及其制备方法
CN107182669A (zh) * 2017-06-01 2017-09-22 海南大学 一种提高降香黄檀干旱抗性的方法
CN110982872A (zh) * 2019-12-13 2020-04-10 山东省农作物种质资源中心 一种促进小麦根腐病感染的接种助剂
CN110982872B (zh) * 2019-12-13 2023-09-05 山东省农业科学院 一种促进小麦根腐病感染的接种助剂
CN115316157A (zh) * 2022-09-26 2022-11-11 贵州省中国科学院天然产物化学重点实验室(贵州医科大学天然产物化学重点实验室) 一种高效侵染金银花的菌根育苗装置及其使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Pour et al. Investigating the formulation of alginate-gelatin encapsulated Pseudomonas fluorescens (VUPF5 and T17-4 strains) for controlling Fusarium solani on potato
CN101473853B (zh) 蜡样芽孢杆菌Bacillus cereusCMCC63305在农业领域的应用
US20190021334A1 (en) Compositions and Methods For Improving Fruit Production
Moradi-Pour et al. Evaluation of Bacillus velezensis for biological control of rhizoctonia solani in bean by alginate/gelatin encapsulation supplemented with nanoparticles
WO2010040996A2 (en) Synthetic symbiotic system as soil additives to deliver active ingredients through plant roots for enhanced plant and crop yield
CN105432381B (zh) 一种辣椒疫病的防控方法
EP0314439A2 (en) Microbial inoculants and methods for producing same
JP2826638B2 (ja) 植物根被覆用組成物及び被覆方法
US5262381A (en) Method to enhance inoculation of root systems
JPH05213707A (ja) 微生物接種剤
Sarrocco et al. Seeds encapsulation in calcium alginate pellets
CN1270610C (zh) 一种青霉在植物土传病害防治上的应用
US20080280762A1 (en) Method of Enhancing Tomato Plant Growth
JPH0823963A (ja) 植物の栽培方法
Kumar et al. Antagonistic potentiality of bioagents against wilt of cumin (Cuminum cyminum) caused by Fusarium oxysporum f. sp. cumini
EP4068970A1 (en) Formulation comprising streptomyces spp. for use in seed treatment
Walia et al. Techniques for improving microbial inoculants as a tool for sustainable development
WO2008120968A1 (en) A plant root system improving composition
JPH05137461A (ja) 接ぎ木用台木の製造方法
CN116333895B (zh) 不用灭菌的杀虫真菌专用培养基、杀虫真菌生产方法和真菌制剂及应用
JPH05176756A (ja) Va菌根菌製剤の保存方法
JPH08172914A (ja) 植物の栽培方法
JPH03103124A (ja) ベシキュラー・アービュスキュラー菌根菌含有組成物
JPH05168348A (ja) 土壌病害の防除法
JPH07289085A (ja) 植物の栽培方法