JPH05212855A - 印刷機の刷版着脱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡易にして、人手を用いないで印刷機
の刷版の取り換えをする。 【構成】 印刷機の両側の本体フレーム３、４に側板1
2、12を上下動可能に設け、側板12、12に刷版装着用の
案内部材13を設けた装置フレーム14、14を揺動可能に取
付け、装置フレーム14、14に刷版押えローラ15と刷版Ｐ
の尻側端部を吸着して版万力６の開口に対して挿脱する
吸着パッド16とを支持させ、刷版押えローラ15及び吸着
パッド16の作動機構を上記装置フレーム14、14に設ける
ことで、刷版押えローラ15及び吸着パッド16により版万
力６に刷版Ｐを挿脱して版胴５に版Ｐを着脱する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、印刷機の刷版着脱装
置、特に、オフセット印刷機において、上歯と下歯とか
ら成る版万力を備えた版胴に対して刷版を自動的に着脱
する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】オフセット印刷機において、刷版を版胴
に装着するには、版胴に設けた版万力のくわえ側版締部
に刷版のくわえ側端部をくわえさせて締付けた後、版胴
を回動させて刷版を版胴に巻付ける。そして、刷版の尻
側端部を版万力の尻側版締部にくわえさせて取付けるも
のである。また、版胴から刷版を取外すには、上記と反
対の手順で作業を行うものである。

【０００３】この作業を手作業で行うことは、非常に面
倒であり、さらに多くの作業時間を要して非能率である
ため、上記の手作業を廃止するように種々の装置が開発
されている。

【０００４】従来、この種の装置として、版胴の接線方
向に開口を形成した版万力に適用した刷尻挿入装置は、
印刷機本体の左右のフレームにサイドフレームを取り付
け、それらのサイドフレーム間に押込み部材とローラと
を上下に設けて、その押込み部材により刷版の尻側端部
を支持し、その部材を前進させて版万力開口前部に押込
むとともに、上記ローラは刷版を版胴に押し付けながら
移動し、押込み部材による刷版の支持を解いて刷版の尻
側端部を版万力のくわえ開口に挿入させるものである
（特開昭62−169646号公報参照）。

【０００５】また、刷版の尻側端部取外し装置は、印刷
機本体の左右のフレームにステーを介して支持した吸着
パッドを版胴方向に移動させ、その吸着パッドにより刷
版の尻側端部近傍部を吸着して版万力から抜き出すよう
に構成したものである（特開昭62−169647号公報参
照）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記前者の
版尻挿入装置は、版胴に対する刷版巻付終了時に押込み
部材が刷版の尻側端部を支持して版万力開口前部に押込
むものであるから、剛性のある刷版を湾曲させることと
なって尻側端部が押込み部材から外れる虞がある。ま
た、版万力から尻側端部を引抜くことはできないから、
別の刷版取外し装置を用意しなければならない。

【０００７】そこで、上記後者の尻側端部取外し装置を
付加すると、刷版着脱装置として構造が複雑になるとい
う問題がある。また、上記両者は、印刷機本体の左右の
フレームに取付けるものであるから、版胴等を清掃する
ようなメンテナンス時に邪魔になるという問題がある。

【０００８】本発明は、接線方向に開口を形成した版万
力を有する版胴に対し、上記の問題を解決した印刷機の
刷版着脱装置を提供すること目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の印刷機の刷版着
脱装置は、版胴に上歯と下歯とから成る版万力を備え、
その版万力を開閉させて刷版を版胴に対して着脱する印
刷機の刷版着脱装置において、上記印刷機の両側の本体
フレームに側板を上下動可能に設け、それらの側板に刷
版装着用の案内部材を設けた装置フレームを揺動可能に
取付け、それらの装置フレームに刷版押えローラと刷版
の尻側端部を吸着して版万力開口に対して挿脱する吸着
パッドとを支持させ、刷版押えローラおよび吸着パッド
の作動機構を上記の装置フレームに設けたことを特徴と
するものである。

【００１０】

【作用】上記の構成により、刷版を版胴に装着するとき
は、印刷機の両側の本体フレームに設けた側板に対して
作動機構により装置フレームを版胴方向に揺動させる。
そして、刷版のくわえ側端部を刷版装着用の案内部材に
沿って版胴に設けた版万力の開口に挿入し、版胴の回動
に伴って作動機構により刷版押えローラを作動させて刷
版を版胴に押付けながら巻付ける。

【００１１】次いで、版万力の開口に対する刷版の尻側
端部挿入位置で版胴の回動を停止させ、版万力に被った
刷版の尻側端部を吸着パッドに吸着させ、作動機構によ
りその吸着パッドおよび刷版押えローラを移動させて版
万力の開口に挿入することができる。

【００１２】刷版を版胴から取外すときは、版胴を前記
の尻側端部挿入時と同位置に回動し、吸着パッドに尻側
端部を吸着させて作動機構によりその吸着パッドを版万
力の開口から後退移動させると、刷版の尻側端部を版万
力から引抜くことができる。そこで、吸着パッドによる
刷板の吸着を解くと、刷版は剛性により版胴から剥がれ
るから、版胴を前記の刷版巻付時と反対方向に回動する
ことにより機外に押し出され、刷版を版胴から取外すこ
とができる。

【００１３】装置フレームを待機位置に揺動させると、
装置全体は側板を介して上方に移動可能であるから、版
胴近傍を開放することができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って具体的
に説明する。図面はすべて本発明の刷版着脱装置１を備
えた印刷機の一部の側面図で、２は印刷ユニット、３、
４はその印刷ユニット２の左右両側の本体フレーム、５
は版胴、６はその版胴５の接線方向にくわえ開口を設け
た版万力である。版万力６は、くわえ側端締部７と尻側
版締部８とから成り、それぞれ上歯７ａ、８ａと、下歯
７ｂ、８ｂとで刷版Ｐの両端部をくわえることにより、
刷版Ｐを版胴５に装着する。９はくわえ側版締部７の開
閉カム軸、10は尻側版締部８の開閉カム軸、11は版張り
用カム軸である。

【００１５】上記各カム軸９、10、11の作動機構は、例
えば、それらのカム軸９、10、11の軸端に歯車を取付
け、それらの歯車を所定回動量のみ回動させる歯車列を
本体フレーム３との間に設けたり（特開平２−277639号
公報参照）、または、本体フレーム３にカムを設け、そ
のカムに係合するカムフオロアを上記各カム軸９、10、
11の軸端に設ける（特開平２−255339号公報参照）等の
機構により、版胴５の回動に伴って上記の各カム軸９、
10、11を回動させて、版締めを行うように構成されてい
る。これらの構成は従来のものと同じである。

【００１６】本発明の刷版着脱装置１は、この種の版万
力６を備えた版胴５を有する印刷機に有効に適用される
もので、版胴５近傍の印刷機両側の本体フレーム３、４
に側板12、12を上下動可能に設け、側板12、12に刷版装
着用の案内部材13を設けた装置フレーム14、14を揺動可
能に取付け、装置フレーム14、14に刷版押えローラ15と
刷版Ｐの尻側端部Ｐ２を吸着して版万力６の開口に対し
て挿脱する吸着パッド16とを支持させ、その刷版押えロ
ーラ15および吸着パッド16の作動機構を上記の装置フレ
ーム14、14に設けたものである。

【００１７】以下、刷版Ｐの装着、取外し工程順に説明
すると、図１は印刷作業時の状態を示すものである。装
置フレーム14、14は印刷ユニット２の後面外側位置に略
垂直状態で待機し、刷版交換時、側板12、12に対して版
胴５方向に傾動して刷版Ｐの着脱を行なう。

【００１８】上記の側板12、12は印刷機両側の本体フレ
ーム３、４にそれぞれ上下方向に取付けたガイドレール
20、20に沿って上下動可能である。21はガイドレール20
に係合し側板12と一体の摺動部材、22はその側板12に軸
ピン23で連結した装置上下動用レバーである。

【００１９】上記の装置フレーム14、14は、上記の両側
板12、12の内側にそれぞれ設け、それらの装置フレーム
14、14、側板12、12を貫通する連結軸24を支点にして揺
動可能である。25はアクチュエータで、一端25ａを側板
12に、他端25ｂを装置フレーム14に連結して装置フレー
ム14を揺動させるためのものである。このアクチュエー
タ25の作動により装置フレーム14は、図２に示すよう
に、左右の装置フレーム14、14間に設けた刷版装着用の
案内部材13による刷版案内方向とくわえ側版締部７の開
口とが一致する版胴５方向位置に傾動するものである。
図２はその装置フレーム14を傾動させて刷版Ｐのくわえ
側端部Ｐ１を版万力６のくわえ側版締部７に挿入した状
態を示す。なお、上記の装置フレーム14の傾動に連動し
て開閉する上部刷版案内部材を上記の装置上下動用レバ
ー22、22間に設けることもある。

【００２０】上記のように刷版Ｐのくわえ側端部Ｐ１を
版万力６のくわえ側版締部７に挿入した後、図３に示す
ように、装置フレーム14とローラ支持腕15ａとの間に設
けたアクチュエータ26を作動させて刷版押えローラ15に
より刷版Ｐを版胴５に押付けた状態で版胴５を回動する
と、刷版Ｐを版胴５に巻付けることができる。

【００２１】図４は、版胴５に対する刷版Ｐの巻付けが
終了し、不図示の空気源に接続した吸着パッド16により
尻側端部Ｐ２を吸着した状態を示す。27はその吸着パッ
ド16操作用のアクチュエータ、28は吸着パッド取付軸
で、吸着パッド16は尻側端部Ｐ２の全長に沿って複数個
設けられる。そのアクチュエータ27を作動させると、レ
バー29を介して吸着パッド取付軸28、吸着パッド16が回
動され、吸着パッド16は尻側版締部８の上歯８ａ上に被
った尻側端部Ｐ２を吸着する。30は吸着パッド取付具で
ある。

【００２２】次いで、図５に示すように、尻側端部Ｐ２
を吸着した吸着パッド16を尻側版締部８のくわえ開口前
方に向かって移動させる。この場合、刷版押えローラ15
も版胴５より離間する。31は吸着パッド移動用のアクチ
ュエータ、32は装置フレーム14に支点軸33で支持された
揺動レバーで、その揺動レバー32の一方32ａにアクチュ
エータ31を連結し、他方32ｂに吸着パッド取付軸28を支
持させ、アクチュエータ31を作動させることにより、揺
動レバー32を介して吸着パッド取付軸28を前後動させ
る。34は装置フレーム14に形成した吸着パッド取付軸28
の案内溝である。図４の35は支点軸33と一体のアクチュ
エータ27の支持レバー、36は装置フレーム14に形成した
アクチュエータ27のストローク調整用溝である。

【００２３】図６は、刷版Ｐの尻側端部Ｐ２を尻側版締
部８のくわえ開口に挿入するように位置決めした状態を
示す。これは前記吸着パッド回動用のアクチュエータ27
を作動させ、吸着パッド16を回動して尻側端部Ｐ２を尻
側版締部８に対する挿入方向に位置決めするものであ
る。

【００２４】図７は、尻側端部Ｐ２を尻側版締部８に挿
入した状態を示す。この場合、吸着パッド移動用のアク
チュエータ31の作動により、揺動レバー32を反時計方向
に揺動させて尻側端部Ｐ２を尻側版締部８に挿入すると
ともに、刷版押えローラ15をアクチュエータ26により揺
動させ、そのローラ15により尻側端部Ｐ２の近傍部を図
７に示すように版胴５に押付けると、刷版Ｐを版胴５に
装着できる。

【００２５】上記の作動終了後、版胴５を回動させるこ
とにより、前述の版万力６の開閉カム軸９、10及び版張
りカム軸11を作動させて版締め、版張りを行なうもので
ある。

【００２６】印刷作業終了後の刷版Ｐの取外しは、上記
と反対に版胴５を回動させて版緩めを行なうとともに、
前記尻側端部挿入位置と同位置に回動して行なうもので
ある。図７に基づいて説明すると、吸着パッド16により
尻側端部Ｐ２を吸着し、その吸着パッド16を前記挿入動
作と反対に作動させる。即ち、アクチュエータ31により
揺動レバー32を時計方向に揺動させると、尻側端部Ｐ２
を吸着した吸着パッド16は尻側版締部８のくわえ開口前
部から離間するから、図６に示すように尻側端部Ｐ２を
尻側版締部８から引抜くことができる。そこで、吸着パ
ッド16の吸着を解き、その吸着パッド16を待機位置に回
動させると、図８に示すように、版胴５を時計方向に回
動させることにより、刷版Ｐは不図示の排版ガイドに案
内されて印刷ユニット２の後部外側に排出されるもので
ある。この刷版取外し時においては、刷版押えローラ15
を図８に示すように常時不使用とし、版胴５より退避さ
せておくものである。

【００２７】本発明の刷版着脱装置１は、上記のように
作動して刷版Ｐの着脱を行なうものである。不使用時は
前記のように装置フレーム14を略垂直状態に位置させる
もので、この場合、装置上下動用レバー22にアクチュエ
ータを接続してその作動により、または手動により刷版
着脱装置１を上方に移動させるこができる。従って、版
胴５の後方が開放されるから、版胴５等の点検時に邪魔
になることはない。

【００２８】

【発明の効果】本発明の印刷機の刷版着脱装置は、上記
のように版胴近傍の印刷機両側の本体フレームに側板を
上下動可能に設け、それらの側板に刷版装着用の案内部
材を設けた装置フレームに、刷版押えローラと刷版の尻
側端部を吸着して版万力開口に対して挿脱する吸着パッ
ドとを支持させ、刷版押えローラおよび吸着パッドの作
動機構を上記装置フレームに設けたから、上歯と下歯と
から成る版万力を備えた版胴に対して刷版の着脱が安定
して行なうことができる。そして、従来のこの種の装置
が持つ問題点をよく解決できる。

【００２９】また、装置自体が極めてコンパクトに構成
できて大きなスペースを必要としないから、外観体裁が
よくてこの種の装置として有効適切である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の印刷機の刷版着脱装置における不使用
時の側面図

【図２】本発明の刷版着脱装置を傾動した側面図

【図３】刷版巻付時の側面図

【図４】刷版の尻側端部挿入時の側面図

【図５】刷版の尻側端部挿入時の側面図

【図６】刷版の尻側端部挿入時の側面図

【図７】刷版の尻側端部挿入時の側面図

【図８】刷版取外し時の側面図

【符号の説明】

１ 印刷機の刷版着脱装置 ３、４ 本体フレーム ５ 版胴 ６ 版万力 ７ａ、８ａ 版
万力６の上歯 ７ｂ、８ｂ 版万力６の下歯 12 側板 13 案内部材 14 装置フレー
ム 15 刷版押えローラ 16 吸着パッド Ｐ 刷版 Ｐ１ 刷版Ｐの
くわえ側端部 Ｐ２ 刷版Ｐの尻側端部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 版胴に上歯と下歯とから成る版万力を備
   え、その版万力を開閉させて刷版を版胴に対して着脱す
   る印刷機の刷版着脱装置において、 上記印刷機の両側の本体フレームに側板を上下動可能に
   設け、それらの側板に刷版装着用の案内部材を設けた装
   置フレームを揺動可能に取付け、それらの装置フレーム
   に刷版押えローラと刷版の尻側端部を吸着して版万力開
   口に対して挿脱する吸着パッドとを支持させ、刷版押え
   ローラおよび吸着パッドの作動機構を上記装置フレーム
   に設けたことを特徴とする印刷機の刷版着脱装置。