JPH0521197U - キヤンドモータポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ステータとロータの間の隔壁板を薄くして
も、その変形・破壊を防止でき、かつエアギャップ長の
小さい効率の良いキャンドモータポンプを提供すること
を目的とする。 【構成】 ケーシングに固定されたステータと、ステー
タと面対向に配設されたロータとを有し、ロータを磁石
によって構成し、ロータ磁石１の磁界の方向と直交しか
つロータの回転軸とも直交するように配設された複数の
ステータコイル２を有した直流モータを備え、ロータ磁
石１はポンプケーシング８内の羽根車３に埋設又は直結
され、ポンプケーシング８内の雰囲気と前記ステータと
を隔絶するためロータとステータとの対向面の空隙は隔
壁板５によって構成されるキャンドモータポンプであっ
て、ステータを有鉄心型とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はキャンドモータポンプに係り、特にシール機構を有しないキャンドモ ータポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のキャンドモータには、ステータコイルに鉄心のない軸方向ギャ ップ型直流モータを使用した構造のものがあった。上記直流モータを使用した例 を図３を参照して説明すると、ポンプケーシング８内には、羽根車３が軸受４（ 固定側軸受４aと回転側軸受４bとからなる）によって回転自在に支承されている 。羽根車３には軸方向に磁場を形成するよう着磁してあるロータ磁石１が埋設さ れている。ポンプケーシング８にはモータケーシング１１が接続されており、ま た、ポンプケーシング内とモータケーシング内とを隔絶するために隔壁板５が配 設されている。そして、隔壁板５を挟んでロータ磁石１と面対向にステータコイ ル２が複数個配設されているのみで、ステータコイル中央部６は空間となってい た。以上の構造によって、薄形化かつコンパクト化の点で有利なキャンドモータ ポンプが構成されていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、実際の隔壁板５は、キャン損失をできるだけ小さくする理由や 磁気回路の特性を上げるためにエアギャップｔ₁を小さくする理由から、できる 限り薄くする手法が取られる。こうしたとき、隔壁板はポンプケーシング８内の 圧力によって変形や極端な場合は破壊に到る。また、エアギャップｔ₁は図３に 示すようにコイル厚みもエアギャップとして存在することになり、コイルの起磁 力に対して磁気抵抗が大きいので、ロータ磁石１に作用する磁束密度は低くなり 、したがってモータトルクの発生に寄与するステータコイルの動作点における磁 束密度が低く、回転力が有効に発生しないので、ポンプ出力に対して必要な回転 力を付与するために相当に大きいステータ及びロータとならざるを得ない。以上 の理由から現実には発案のみで、未だ実施化に至っていない利用価値のないキャ ンドモータポンプであった。

【０００４】 本考案は上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、上記問 題点を除去しステータとロータ間の隔壁板を薄くしてもその変形・破壊を防止で き、かつエアギャップ長が小さい効率の良いキャンドモータポンプを提供するこ とにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前述した目的を達成するため、本考案のキャンドモータポンプは、ケーシング に固定されたステータと、該ステータと面対向に配設されたロータとを有し、該 ロータを磁石によって構成し、該ロータ磁石の磁界の方向と直交しかつロータの 回転軸とも直交するように配設された複数のステータコイルを有した直流モータ を備え、前記ロータ磁石はポンプケーシング内の羽根車に埋設又は直結され、ポ ンプケーシング内の雰囲気と前記ステータとを隔絶するため該ロータと該ステー タとの対向面の空隙は隔壁板によって構成されるキャンドモータポンプにおいて 、前記ステータを有鉄心型としたことを特徴とするキャンドモータポンプを特徴 とするものである。

【０００６】

【作用】

キャンドモータポンプを上記の如く構成することで、隔壁板を鉄心の上端部に よって補強支持できるため、ポンプケーシング内圧によって隔壁板が変形したり 破壊することはないので、できる限り隔壁板を薄くして用いることが可能となり 、かつロータ磁石とステータコイル間のエアギャップ長が可能な限り小さくでき る。 また、鉄心を軟磁性材鉄心または鉄系磁性体粉末固化鉄心とすることで鉄心上端 部とロータ磁石の間が実質的にモータのエアギャップになるからステータコイル での動作点における磁束密度を大きく取れ、優れた磁気回路を構成することが可 能になる。しかも、鉄心の優れた磁気特性により、ロータ磁石が回転することや ステータコイルへの交番電流によって生ずる回転磁界による鉄心での渦電流損失 を始めとする鉄損を最小にすることができる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案に係るキャンドモータポンプのー実施例を図面を参照して説明す る。

【０００８】 図１は本考案に係るキャンドモータポンプの構造を示す断面図である。ポンプ ケーシング８内には、羽根車３が軸受４（固定側軸受４ａと回転側軸受４ｂとか らなる）によって回転自在に支承されている。羽根車３には軸方向に磁場を形成 するよう着磁してある永久磁石からなるロータ磁石１が埋設されている。鉄心７ に装着したステータコイル２はポンプケーシング８の内部と隔壁板５によって隔 てられ、ロータ磁石１と面対向に配設されている。鉄心７へのステータコイル２ の装着の一例を図２に示す。図１から明らかなように隔壁板５は鉄心７の上端部 に密着した構造を取る。

【０００９】 なお、ポンプケーシング８はポンプ吸込口９及びポンプ吐出口１０を備え、又 、モータケーシング１１と接続されている。

【００１０】 次に、前述のように構成されたキャンドモータの作用を説明する。

【００１１】 今、ステータコイル２に通電しロータ磁石１が回転したとすると、ポンプケー シング８の内部には締切運転を最大とする圧力が加わる。この時、隔壁板５にも 同じ圧力が加わるが、鉄心７は上端部で該隔壁板５を支持し補強材としての機能 を果たすので、この圧力によって隔壁板５が変形したり破壊することを防止でき 、隔壁板５の厚みをできる限り薄くでき、磁気特性の向上が可能になる。

【００１２】 また、エアギャップｔ₁は図１に示すように鉄心７の端面とロータ磁石１の端 面との間であり、エアギャップ長が短くなり磁気特性に優れる。さらに、ポンプ 運転中ではロータ磁石１からの回転磁界やそれに伴うステータコイル２の交番電 流により、鉄心７には渦電流が径方向を主路として流れる。この渦電流を最小限 に抑え、かつ高い磁束密度を得るには、ケイ素鋼板を径方向に積層して鉄心とす る方法が考えられるが、コイルを装着するスロットピッチを径方向に合わせねば ならないので、このような製造上困難な鉄心を避け、通称フェライトコアと呼ば れる軟磁性体鉄心または鉄系磁性体粉末固化鉄心を使用している。このことによ って鉄心の製造が容易となり、また、軟磁性体鉄心は高周波に対する優れた磁気 特性を有し鉄損を最小にできる。鉄系磁性体粉末固化鉄心は、鉄系磁性体粉末を 絶縁性の樹脂材で被覆しかつバインダーとして特殊処理を施しプレス成形した鉄 心であるので、バインダーとしての樹脂が渦電流の流れを防止し、渦電流損失を 極力抑え、磁性体が磁路の形成を行い、大きい磁束密度を得ることが可能となり 、効率の良いキャンドモータが達成できる。従って、本実施例のようにキャンド モータを構成することで実用に供し得るとともに、効率においても従来機種に比 べて格段に優れた軸方向空隙型キャンドモータポンプが可能となる。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、鉄心上端部で隔壁板を押えることによっ てポンプケーシング内圧による隔壁板の変形や破壊を防止できるので、できる限 り隔壁板を薄くして用いることが可能となる。しかもロータ磁石とステータコイ ル間のエアギャップ長が可能な限り小さくできる。

【００１４】 また、本考案によれば、ロータ磁石からの界磁を効率の良い磁路として構成で きるので磁束密度を大きく取れ、優れた磁気回路を構成することができ、また、 渦電流損失を始め鉄損を最小にすることができるので、高効率でポンプ負荷に適 する出力が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るキャンドモータポンプの一実施例
を示す断面図。

【図２】本考案に係るキャンドモータポンプにおける鉄
心へのコイル装着状態を示す説明図であり、図２(a)は
正面図、図２(b)は側面図。

【図３】従来のキャンドモータポンプを示す断面図。

【符号の説明】

１ ロータ磁石 ２ ステータコイル ３ 羽根車 ４ 軸受 ４ａ 固定側軸受 ４ｂ 回転側軸受 ５ 隔壁板 ６ ステータコイル中央部（空間） ７ 鉄心 ８ ポンプケーシング ９ ポンプ吸込口 １０ ポンプ吐出口 １１ モータケーシング ｔ₁ エアギャップ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーシングに固定されたステータと、該ス
   テータと面対向に配設されたロータとを有し、該ロータ
   を磁石によって構成し、該ロータ磁石の磁界の方向と直
   交しかつロータの回転軸とも直交するように配設された
   複数のステータコイルを有した直流モータを備え、前記
   ロータ磁石はポンプケーシング内の羽根車に埋設又は直
   結され、ポンプケーシング内の雰囲気と前記ステータと
   を隔絶するため該ロータと該ステータとの対向面の空隙
   は隔壁板によって構成されるキャンドモータポンプにお
   いて、前記ステータを有鉄心型としたことを特徴とする
   キャンドモータポンプ。
2. 【請求項２】前記ステータの鉄心上端部を前記隔壁板に
   密着させ、該隔壁板を補強支持するように構成したこと
   を特徴とする請求項１記載のキャンドモータポンプ。
3. 【請求項３】前記ステータの鉄心にフェライトコアの軟
   磁性材または鉄系磁性体粉末固化鉄心材を使用したこと
   を特徴とする請求項２記載のキャンドモータポンプ。