JPH0521168U - ホール型ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホ−ル型ノズルにおいて各噴口のｌ／ｄを等
しくし、各噴口の燃料の同時噴射を可能にする。 【構成】 口径の異なる半径方向の噴口（６，８）を円
周方向に間隔をおいてノズルチップ部２に設けたホール
型ノズルにおいて、上記ノズルチップ部２のその軸線Ｏ
と垂直に交わる断面を角形に形成し、これら噴口（６，
８）の位置を、噴口長さｌ／噴口径ｄの値が互いに等し
くなる位置にそれぞれ定めたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はノズルホルダ先端のノズルチップ部に噴射方向を異ならせて多数、 噴口を形成したホール型ノズルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

ピストンの燃焼室に燃料を直接噴射してその自発燃焼を図るようにした直接噴 射式ディーゼル機関では、出力、燃費、排気ガス性能などの総合性能を改善する ために、スワール流，スキッシュ流及びこれらの複合流に関して燃焼室の形状に 工夫を凝らし、そしてその燃焼室に対する燃料の分散・分布・貫徹力を良好なも のとするために、燃料噴射ノズルに改良を施している。特に燃料の分散・分布・ 貫徹力について案出された燃料噴射ノズルには、ノズルボディのノズルチップ部 に、その円周方向に間隔をあけて噴口を多数形成し、針弁のリフトによって同時 に多数の噴口を開放させて多方向へ燃料を噴射するようにしたホール型ノズルが ある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記ホール型ノズルの各噴口の向きを適正に定め、かつこれら噴口の 口径を異ならせて燃焼室に対する噴霧の貫徹力や分散・分布を調節しようとして も、従来のホール型ノズルのノズルチップ部は、その軸線に垂直に交わる断面が 、一様なリング断面となっているため、噴口径の相違によって、噴口長さｌと噴 口径ｄとの比によって定まる通路抵抗が各噴口において相違したものとなってし まうという問題がある。すなわちｌ／ｄが大きな噴口は、ｌ／ｄの小さな噴口と 比べて、燃料の噴射量が微量になり、かつ噴射時期に遅れが生じてしまうため、 図４に示すように、燃焼後期に後燃えが発生し、ＨＣが悪化してしまう。

【０００４】 なお、特開昭51-22924号公報には、ホール型ノズルにおいて、ノズルボディの にその軸心に対してノズルチップ部の軸心を偏芯させ、各噴口の長さを調節する ようにした技術が開示されているが、このようなノズルは成型性が低く量産には 適していない。

【０００５】 本考案の目的は、各噴口のｌ／ｄの値を等しくしたホール型ノズルを提供する にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、口径の異なる半径方向の噴口を円周方向 に間隔をおいてノズルチップ部に設けたホール型ノズルにおいて、上記ノズルチ ップ部のその軸線と垂直に交わる断面を角形に形成し、上記各噴口の位置を、そ の噴口長さ／噴口径の値が互いに等しくなる位置に定めたものである。

【０００７】

【作用】

ノズルチップ部の軸線に対して垂直に交わる断面を角形断面とすると、その軸 線から辺部中央までの距離と、軸心から角部までの距離が大きく異なり、したが ってノズルチップ部を穿孔して噴口を多数形成し、それらの噴口の噴口長さｌ／ 噴孔径ｄ値を等しい値とするためには、まず各噴口の口径をそれぞれ燃料の噴射 量に対応した噴口径ｄとし、その噴口径ｄに対応した噴口長さｌとなる位置を、 ノズルチップ部の辺部中央と角部との間で適宜選択して決定する。この結果、各 噴口のｌ／ｄ値は互いに等しくなり、各噴口からは同時に規定された量の燃料が 噴射される。このように本考案は、従来の問題となっていた噴射遅れをなくし、 微量の燃料による後燃えをなくし、ＨＣを改善する。

【０００８】

【実施例】

以下に本考案に係る燃焼噴射ノズルの好適一実施例を添付図面に基づいて説明 する。

【０００９】 本考案に係るホール型ノズルのノズルボディ先端のノズルチップ部は、その軸 線に対して垂直に交わる断面が、角形断面（三角、四角、五角…）に形成されて いる。このためノズルチップ部は、その軸線から辺部中央までの距離と、軸線か ら角部までの距離が大きく異なり、したがってノズルチップ部を半径方向に穿孔 してホール部内に連通する噴口を多数設け、それらの噴口のｌ／ｄ値を等しい値 とするためには、まず各噴口の口径をそれら噴口の燃料の噴射量に対応した口径 に決定し、その口径に対応する噴口長となる噴口の位置を、辺部中央と角部との 間でそれぞれ決定する。ここで特定の噴口の口径をかなり小さくして、他の噴口 に対して先に燃料が噴射されるような副噴口とするためには、この噴口のｌ／ｄ 値が他の噴口のｌ／ｄ値より小さくなるように噴口（副噴口）の位置が決定され る。

【００１０】 図１，図２は本考案に係るホール型ノズルの好ましい形態を示しており、ノズ ルホルダ１のノズルチップ部２は、その軸線Ｏと垂直に交わる断面が、四角形断 面に形成され、ホール部３は、このノズルチップ部２の軸線上に形成されている 。ノズルチップ部２は、その四隅の角部４に適当な面取りが施され、それら面取 り部５の中央に、ノズルチップ部２の軸心に向かうように穿孔して第１噴口６が 形成され、そして四つの辺部７のほぼ中央に、ノズルチップ部２の軸心に向かう ように穿孔して第２噴口８が形成されている。なお、第１噴口６を主噴口とし、 この第１噴口６の噴射時期を基準に、第２噴口８を副噴口として使用する場合は 、第１噴口６のｌ／ｄ値に対して、第２噴口８のｌ／ｄ値が小さくなるようにそ の位置が適宜決定される。

【００１１】 図３は、本考案に係るホール型ノズルの四角燃焼室に対する第１噴口６、第２ 噴口８の向きを平面的に示している。この例では、第１噴口６は四角燃焼室９の 辺部１０を構成している内壁面のほぼ中央に、第２噴口８は四角燃焼室９のコー ナー部１１を構成している内壁面に向けて、微粒子化した燃料噴霧Ｆ１、粒子化 した燃料噴霧Ｆ２をそれぞれ噴射するようにしている。この四角燃焼室９は、燃 焼室内に供給されてなお円周方向に旋回するスワールを適度な強度まで減衰させ かつ各コーナー部１１に燃料の噴霧を取り込んで予混合気化させるマイクロスワ ールを生成するという優れた特長をもっている。

【００１２】 なお、第１噴口６の噴射量を増加させるような場合は、ノズルチップ部２の四 角断面を相似的に大きくするか又は長方形断面とすることが有効となる。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したことから明らかなように本考案によれば、多数の噴口から多方向 へ向けて同時に規定量の燃料を噴射させることができ、従来の問題となっていた 噴射遅れ、微量の燃料による後燃えを防止して、ＨＣを大巾に改善できるという 優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るホール型ノズルの要部詳細断面図
である。

【図２】図１のＡ−Ｏ−Ｂ断面矢視図である。

【図３】本考案に係るホール型ノズルの四角燃焼室に対
する燃料噴射方向を示す平面図である。

【図４】従来のホール型ノズルの燃焼性能を示す図であ
る。

【符号の説明】

２ ノズルチップ部 ６ 第１噴口 ８ 第２噴口 Ｏ ノズルチップ部の軸線

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 口径の異なる半径方向の噴口を円周方向
   に間隔をおいてノズルチップ部に設けたホール型ノズル
   において、上記ノズルチップ部のその軸線と垂直に交わ
   る断面を角形に形成し、上記各噴口の位置を、その噴口
   長さ／噴口径の値が互いに等しくなる位置に定めたこと
   を特徴とするホール型ノズル。