JPH05209368A - ポリフェニレンスルホン繊維の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルホン繊維の製造方法

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JPH05209368A
JPH05209368A JP4156707A JP15670792A JPH05209368A JP H05209368 A JPH05209368 A JP H05209368A JP 4156707 A JP4156707 A JP 4156707A JP 15670792 A JP15670792 A JP 15670792A JP H05209368 A JPH05209368 A JP H05209368A
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JP
Japan
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fiber
fibers
structural unit
pps
crystal size
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JP4156707A
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Shiro Imai
史朗 今井
Masao Umezawa
正夫 梅澤
Toshio Tsubota
敏男 坪田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】良好な耐熱性と耐薬品性を有し、フレキシブル
に富み高い結節強度を持つポリフェニレンスルホン繊維
の製造方法を提供する。 【構成】一般式 【化1】 で示される構造単位から主としてなり、かつ4000m
/分以上の高速で製糸されて結晶サイズが20オングス
トローム以上で配向度が60%以上にされたポリフェニ
レンスルフィド繊維を、有機過酸を用いて上記構造単位
の少なくとも50モル%を、 【化2】 の構造単位に変性し、配向度60%以上、結晶サイズ2
0オングストローム以上であるポリフェニレンスルホン
繊維を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐薬品性に格
段に優れたポリフェニレンスルホン繊維の製造方法に関
し、特に好ましい形態として、ポリフェニレンスルホン
の極細繊維または多孔繊維の製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリスルホンとしては、
【化3】 等の主鎖にエーテル結合を有する構造単位からなる重合
体を用いた微多孔繊維が一般に知られている。
【0003】しかし、かかる主鎖にエーテル結合を有す
る、いわゆるポリエーテルスルホンは、一般に、融点を
持たないために溶融紡糸ができず、アミド系有機溶媒に
溶解して、湿式紡糸法により繊維化されていた。したが
って、溶媒回収に多大な設備を必要とし、また得られる
繊維の耐熱性、耐薬品性においても格段に優れたもので
はなかった。
【0004】また、ポリスルホンとして、ポリパラフェ
ニレンスルホン重合体
【化4】 も粉末状の形態としては既に公知であり、融点500℃
以上で格段の耐熱性を有する結晶性のポリマーであると
言われている。しかしながら、かかる高い融点を持ち、
しかも溶解し得る溶媒が存在しないため、溶融成形や溶
液成形が実用上不可能であり、かかるポリマーで形成さ
れた実用上有用な繊維は未だ得られていない。
【0005】一方、近年、ポリスルホンと同様、主鎖に
イオウ原子を有するポリマーとして、ポリフェニレンス
ルフィド(以下、「PPS」と略称する)が、熱可塑性
ポリマーとしては、優れた耐熱性、電気絶縁性、耐薬品
性、難燃性を有することから、エンジニアリング樹脂と
して射出成形用素材に主として用いられつつあり、さら
にその易成形特性を生かし、フィルムや繊維素材として
展開されようとしている。
【0006】一方、特公昭60−35370号公報にお
いて、かかるPPS成形品の表面硬化法として、繊維表
面を過酸化水素または次亜塩素酸ソーダ等を用いて処理
し、不溶融化することが提案されている。かかる処理に
より、PPS繊維の表面層が酸化され、一部、
【化5】 で示される構造単位が生成していたとも考えられる。し
かしながら、いずれにしろ、かかる方法によって得られ
た繊維は、非常に脆く、亀裂が発生したり、また表面層
(処理部分)がフィブリル化する等という欠点を有する
ものであった。かかる表面層の単なる不溶融化処理で
は、溶融はせずとも、200〜250℃の高温下では強
力低下が大きく、高温下での使用には耐え難いものであ
った。したがって、その展開範囲は著しく制限されたも
のであり、未だ加工性に優れ、かつ耐熱性、耐薬品性の
両特性を高度に満足する有用なポリフェニレンスルホン
繊維は見出されていなかったのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
フェニレンスルホン重合体が本来有する極めて優れた耐
熱性を損なうことなく、かつ、濃硫酸や濃硝酸に対して
も極めて優れた耐薬品性を有し、フレキシブルに富み、
高い結節強度を有する新規なポリフェニレンスルホン繊
維の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の構成を有
する。
【0009】すなわち、次の一般式
【化6】 で示される構造単位から主としてなり、かつ4000m
/分以上の高速で製糸されて結晶サイズが20オングス
トローム以上かつ配向度が60%以上にされてなるPP
S繊維を、有機過酸を用いて、前記構造単位の少なくと
も50モル%を、
【化7】 の構造単位に変性して配向度60%以上、結晶サイズ2
0オングストローム以上であるポリフェニレンスルホン
繊維を得ることを特徴とするポリフェニレンスルホン繊
維の製造方法である。
【0010】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明のポリフェニレンスルホン(以下、
「PPSO」と略称する)繊維とは、一般式
【化8】 で示される構造単位から主としてなり、かつ該構造単位
中に占める
【化9】 の構造単位比率が0.5以上で構成されたポリフェニレ
ンスルホン連鎖から主として形成されたものである。
【0012】かかる
【化10】 の構造単位比率(以下、「PPSO化率」と略称する)
が0.5未満では、格段に優れた耐熱性は得られなく、
好ましくは0.7以上であることである。特に、0.8
以上となると、更に一層耐熱性の向上が達成できて好ま
しい。
【0013】ここで、かかる構成による主鎖は、酸素原
子等によって主鎖どうしが一部結合され、いわゆる三次
元構造を形成していても構わない。
【0014】また、一般式で示した上記構造単位式での
ベンゼン環とイオウ原子との結合は、パラ結合でもまた
メタ結合のいずれでもよいが、高い結晶性の得られるパ
ラ結合がより好ましい。
【0015】また、上記構造単位式でのベンゼン環に水
酸基、あるいは酸素原子等が一部付加していてもよい。
【0016】また、本発明でいう主成分とは、上記構造
単位を少なくとも90モル%以上含有していることを意
味する。かかる主成分が90モル%未満であると、得ら
れるポリマーの結晶性が低下したり、転移温度の低下
等、優れた耐熱性・耐薬品性を有する本発明の繊維は得
られ難い。一方、上記主成分90モル%の他の10モル
%未満においては、エーテル結合、ビフェニル結合、ナ
フチル結合、置換フェニルスルフィド結合等を含んでい
ても差支えない。
【0017】次に、本発明の繊維の微細構造、特に配向
度に関しては、広角X線回析による、赤道線スキャン2
Θ=16〜17°に観察されるピークを円周方向にスキ
ャンして得られる強度分布から算出される値として、配
向度60%以上であることが必要である。
【0018】かかる配向度が60%未満の場合、結節強
度の低い、脆い繊維となりやすいので、高い配向度を有
することが重要なのである。より好ましくは80%以
上、特に、90%以上に高度に配向している場合、高い
結節強度を有し、かつ耐熱性にも優れた繊維が得られる
ので、特に好ましい。また、微結晶の大きさは、2Θ=
16〜17°で観察される結晶サイズとして20オング
ストローム以上であることが重要であり、30オングス
トローム以上であれば、より好ましい。
【0019】この点、表面硬度向上手法として従来知ら
れている単なる表面硬化法(前述特公昭60−3537
0号公報)等の手法では、副反応等により種々の構造単
位が混在し、また、あくまでも表面のみの構造変化であ
って、ポリマーの結晶性が崩れ、結晶サイズも小さく、
また結晶化度も低いものしか得られないのが通常であっ
たものである。
【0020】一方、繊維軸方向の結晶サイズとしては、
繊維周期9.5〜10.5オングストロームの範囲のも
のが好ましく、より好ましくは、9.5〜10.0オン
グストロームの範囲のものが望ましい。また、結晶ラメ
ラの長周期として100オングストローム以上のものが
好ましい。
【0021】かかる結晶構造を呈することにより、良好
なポリフェニレンスルホン繊維となるのである。
【0022】さて、本発明のポリフェニレンスルホン繊
維の形態としては、繊度の細い極細繊維、あるいは、表
面積の大きな多孔繊維が好ましい。極細繊維としては、
単糸繊度0.5デニール以下が望ましい。この理由は、
繊維径が小さいほど、高強度の繊維が得られる、フ
ィブリル化しにくい、フレキシビリティ(耐屈曲性)
に富む、緻密な交絡シート状物が得られる等の効果が
あることによる。一方、多孔繊維としては、比表面積
0.4m2 /g以上のものであることが望ましい。この
理由は、多孔化繊維形態を有することで、該繊維を用い
た繊維状物(織物、編物、不織布等)は、かかる繊維
状物内に保有する空気層が大きく、優れた断熱性が得ら
れる、あるいは、空隙率が高いため、各種溶媒・電解
液等の各種液体に対し優れた保液性が得られる点等によ
る。ここで、比表面積とは、繊維1g当りに有する、繊
維の表面積を意味し、いわゆるBET(Brunaue
r−Emmet−Teller)法で測定することがで
きる。
【0023】次に、本発明のPPSO繊維の製造方法に
ついて、以下に説明する。
【0024】本発明のPPSO繊維は、高度に配向した
特定の構造のポリパラフェンスルフィド(以下、「PP
S」と略称する)繊維を有機過酸で酸化処理することに
より得ることができる。
【0025】まず、はじめにPPSを製造する方法とし
ては、例えば硫化アルカリとパラジハロゲン化ベンゼン
を極性有機溶媒中で高温・高圧下に反応させることによ
って得ることができる。特に、硫化ナトリウムとパラジ
クロルベンゼンを、N−メチル−ピロリドン等のアミド
系高沸点極性溶媒中で反応させるのが好ましい。
【0026】かかる方法等により得られたPPSを、次
に繊維化すれば、PPS繊維が得られるが、本発明の好
適例である極細のPPS繊維の製造方法については、メ
ルトブロー法、スーパードロー法、海島型複合紡糸繊維
あるいは混合紡糸繊維からの海成分の除去、剥離型複合
紡糸繊維からの物理・化学的処理による極細化法等の方
法が、かかるPPSの紡糸においても使用できる。海島
型複合紡糸繊維等の極細繊維発生型繊維を用いて紡糸す
る場合、該繊維の結合成分、あるいは溶解除去成分とし
て、ポリスチレン、スチレンとアクリル酸および/また
はメタクリル酸との共重合体、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエステル、ポリアミド等の繊維形成能を有
する高分子であれば、特に限定されることなく用いるこ
とができるが、PPSが高融点のため、高融点ポリマー
の方が望ましく、また、重合度の高いポリマーの方が望
ましい。特に、PPSの場合、該ポリマーが高融点(2
80℃前後)のため、高融点ポリマーを用いるのが好ま
しい。
【0027】ところが、PPSの紡糸温度300〜35
0℃の高温においては、高粘度ポリスチレンを海成分に
用いた場合等、熱分解してとても海成分として用いるこ
とはできないと従来考えられており、今まで、かかる極
細のPPS繊維の製糸例は全く見出されていなかった
が、意外にも、PPSと複合紡糸すると、詳細な理由に
ついては明らかでないが、糸切れもなく安定して紡糸で
きるので、かかる高粘度ポリスチレンを用いることは、
紡糸のしやすさ、溶融解除の容易さの点からも、特に好
ましい。また、驚くべきことにPPSを単独で紡糸する
よりも、PPSとポリスチレンを複合紡糸する方が、良
好に紡糸できることも見出した。
【0028】そして、本発明においては、かかる口金か
ら吐出されたポリマを、4000m/分以上の高速で紡
糸し高度に配向させ、配向度が60%以上のPPS繊維
を得るのである。
【0029】このように紡糸操作により、具体的には、
4000m/分以上の高速で製糸され結晶サイズが20
オングストローム以上かつ配向度が60%以上にされて
なるPPS繊維を用いるのである。
【0030】また、PPS繊維の微細構造としては、特
に配向度に関しては、広角X線回析による、赤道線スキ
ャン2Θ=19〜21°に観察されるピークを円周方向
にスキャンして得られる強度分布から算出される値とし
て、配向度60%以上であることが重要なのである。
【0031】かかる配向度が60%未満の場合、酸化処
理した後に得られる繊維は、結節強度の低い、脆い繊維
となりやすいので、高い配向度を有することが重要なの
である。配向度は、より好ましくは80%以上、特に、
90%以上に高度に配向している場合、高い強度を有
し、かつ耐熱性にも優れた繊維が得られるので、特に好
ましい。
【0032】また、微結晶の大きさは、2Θ=19〜2
1°で観察される結晶サイズとして20オングストロー
ム以上であることが重要である。
【0033】一方、繊維軸方向の結晶の繊維周期として
は、10〜11オングストロームであることが好まし
い。かかる微細な構造を有するPPS繊維は強度も強
く、耐熱性、耐薬品性ともに優れたものとなる。そし
て、このものを酸化することにより得られるポリフェニ
レンスルホン繊維は、高強度、高物性の繊維となるので
ある。
【0034】また、本発明の好適例である極細のPPS
繊維としては、0.5デニール以下の繊維であるのが望
ましく、かかる繊維の特徴として次の事項が挙げられ
る。
【0035】すなわち、有機過酸を用いて本発明のポリ
スルホン繊維を得る際、極細の繊維であれば反応界面が
広くなり、容易に反応し、かつ短時間で高いPPSO化
率を達成できるという極めて大きな利点がある。また、
驚くべきことに、極細のPPS繊維を用いPPSO化す
ると、そのPPSO極細繊維の配向度は、非常に高くな
ることが判明した。このため、PPSO極細繊維の物性
が非常に高くなることがわかった。例えば、極細のPP
S繊維をPPSO化すると配向度が10%以上も向上す
る例さえある。
【0036】また、極細のPPS繊維は、繊維の強度
が高い、フィブリル化しにくい、フレキシビリティ
(耐屈曲性)に富む、緻密な交絡シート状物が得られ
る、特に高pH溶液に対して耐性がある等の特徴があ
る。
【0037】また、該繊維を用いた繊維状物(織物、編
物、不織布等)は、繊維状物内に保有される空気層が大
きく、優れた断熱性が得られる点、あるいは、各種溶
媒、電解液等の各種液体に対し優れた保液性が得られる
等の大きな効果をもたらす。
【0038】これらの特徴は、繊維が細くなるほど、そ
の効果を発揮するので、本発明の好適例である極細のP
PS繊維としては0.5デニール以下が好ましく、より
好ましくは0.3デニール以下、特に好ましいのは0.
1デニール以下である。
【0039】一方、本発明のもう一つの好適例である多
孔繊維の製造法については、溶融タイプの海島型複合繊
維または混合紡糸繊維からの島成分の除去、あるいは、
微粉末混合紡糸繊維からの微粉末除去等によって得るこ
とができる。
【0040】しかし、溶液型紡糸の場合、特にPPSは
低温では溶解し難く、200℃以上に紡糸原液を加熱す
る必要があるため、溶融タイプの複合繊維からの島成分
除去の方が、製糸が容易なため望ましい。かかる海島型
複合繊維等の多孔繊維形成型繊維を用いる場合、該繊維
の島成分あるいは溶解除去成分としては、極細繊維製造
の場合と同様、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等繊
維形成能を有する高分子物質であれば、特に限定はされ
ないが、紡糸のしやすさ、溶解除去の容易さの点で、高
粘度ポリスチレン、アルカリ溶液に易溶出型の高重合度
共重合ポリエチレンテレフタレート、スチレンとアクリ
ル酸および/またはメタクリル酸の高級アルコールエス
テルとの共重合体が好ましく、中でも高粘度ポレスチレ
ンが特に好ましい。
【0041】次いで、多孔繊維形成型繊維の場合は適当
な溶剤を用いて多孔化する。もちろん、フィルター、分
離膜として用いる場合等は、不織布等の繊維状シート物
を形成した後、溶剤処理して多孔繊維からなるシート状
物を得ても何ら差支えない。しかる後、こうして得られ
たPPS繊維、望ましくは該極細繊維または多孔繊維を
後述の有機過酸により、PPSをPPSOに変性するこ
とにより本発明は達成される。
【0042】本発明に使用される有機過酸としては、過
蟻酸、過酢酸、過安息香酸、過プロピオン酸、過酪酸、
mクロル過安息香酢酸、過トリクロル酸、過トリクロル
酢酸、過フタル酸等が挙げられる。中でも、反応速度の
速さ、取り扱いの容易さから過酢酸が好ましい。
【0043】かかる有機過酸は、アルデヒドの触媒下で
の酸化法(例えば、過酢酸のAMP法)または気相部分
酸化法、あるいは、過酸化水素とカルボン酸の無水物ま
たは塩化物からの合成、過酸化ジアロイルとナトリウム
メトキシドとの反応等により生成することができる。
【0044】かかる有機過酸によるPPSのPPSOへ
の変性は、前記PPS繊維を有機過酸中に浸漬すること
によって達成される。その際の処理条件は、繊維の繊度
または比表面積、あるいは使用する有機過酸の反応速度
等により異なり一概に限定はされないが、0.5デニー
ル以下の極細繊維や、0.4m2 /g以上の多孔繊維に
おいて、過酢酸を用いる場合、室温下でも高PPSO化
率を達成することができる。なお、かかる有機過酸は爆
発性の薬品であり、特に高温下では爆発しやすく、この
点からも、低温で、容易に高PPSO化率が達成しやす
い極細繊維または多孔繊維は特に好ましいのである。
【0045】
【実施例】以下に、実施例に基づいて説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】実施例1 N−メチル−2−ピロリドン中で、硫化ナトリウムとパ
ラジクロルベンゼンを安息香酸ソーダの存在下に高温・
高圧下で反応させ、得られた300℃における見掛け粘
度3700ポイズのPPSペレットを、紡糸温度330
℃、引取速度4500m/分で紡糸した。
【0047】得られた繊維は、100デニール/50フ
ィラメントのフィラメント糸を得た。得られたPPS繊
維の強度は3.8g/dであった。このPPS繊維の結
晶特性は、X線回析より配向度は79%であり、2Θ=
20.2°における結晶サイズは27オングストローム
であり、繊維周期は10.5オングストロームであっ
た。
【0048】次いで、このPPS繊維を20%の過酢酸
中に50℃で5時間処理した後、水洗を施し乾燥した。
【0049】こうして得られた繊維は、繊維強度は2.
9g/d、破断伸度は18%であった。この繊維を30
0℃の高温空気中に24時間放置し、放置前後の強伸度
を測定したところ、この繊維は該高温処理前後におい
て、強伸度特性に何等変化は認められず、また、350
℃で10時間処理しても何ら物性変化もなかった。
【0050】該繊維を固体高分解能NMRおよびESC
A(Electron Spectroscopy f
or Chemical Analysis)により分
析したところ、該繊維の構造単位は、
【化11】 が87モル%(構造単位比率:0.87)、
【化12】 が10モル%、
【化13】 が3モル%であり、また、広角X線回析による2Θ=1
6.5°での配向度は、84%、また、該方向での微結
晶サイズは35オングストロームであり、高度に配向し
た結晶構造を有しているのが確認された。
【0051】比較例1、2 実施例1の過酢酸処理に代えて、9%の次亜塩素酸ソー
ダ溶液(2モルのNaOClに対し1モルのH2 SO4
を含有)中で、室温下1日処理(比較例1)、および9
0℃で1時間処理(比較例2)したところ、比較例1で
得られた繊維は5%の重量増加が認められた。一方、比
較例2の繊維は処理中にぼろぼろになってしまい、もは
や繊維形態を有さないものに変化してしまった。
【0052】比較例1で得られた繊維を、スライドグラ
ス上に載せ、下からアルコールランプの炎を当てたとこ
ろ、スライドグラス板の表面温度が500℃になって
も、もはや溶融せず、次亜塩素酸塩処理により、繊維が
不溶融化されていることが確かめられた。しかしなが
ら、かかる比較例1の繊維は、次亜塩素酸塩処理により
繊維強度約1g/dまで低下しており、また破断伸度も
2%と極めて減少し、非常に脆い繊維に変化していた。
さらに実施例1と同様に300℃での耐熱強度保持率を
測定したところ28%と低いものであった。
【0053】この比較例1の繊維をNMR、ESCA、
IRで分析したところ、もとの構造単位である
【化14】 が61モル%、
【化15】 が6モル%、
【化16】 が8モル%(構造単位比率:0.08)の他、
【化17】
【化18】 が合わせて25モル%生じており、主鎖の切断が相当数
起こっていることが確かめられた。
【0054】実施例2 実施例1と同一のPPSペレットを島成分として85
部、高粘度ポリスチレンを海成分として15部からなる
割合で、1フィラメント中に36本の島成分を有する海
島型複合紡糸繊維を紡糸温度320℃、引取速度470
0m/分で紡糸し、72デニール/24フィラメントの
フィラメント糸を得た。該フィラメント糸を10cmに
カットし、トリクロルエチレン中で海成分のポリスチレ
ンを抽出除去した後、乾燥した。
【0055】得られた極細のPPS繊維は、強度3.7
g/d、伸度35%であった。また、X線回析により求
めた配向度は74%であり、2Θ=20.2°における
結晶サイズは27オングストローム、繊維周期は10.
3オングストロームであった。また、40%の水酸化ナ
トリウム水溶液に室温で10日間浸漬しても何ら物性に
変化なく高物性の極細のPPS繊維であった。
【0056】次いで、この単糸繊度0.07デニールの
極細のPPS繊維を9%の過酢酸溶液中に室温(30
℃)で1時間処理した後、水洗、中和、水洗の各処理を
施し乾燥した。
【0057】こうして得られた極細繊維は、重量が26
%増加していた。また、繊維強度を測定したところ、強
度3.0g/d、伸度24%であり、結節強度も2.0
g/dと高強度を有していた。
【0058】かかる繊維を、比重1.42の濃硝酸中に
一昼夜浸漬後、取り出して、強力保持率を測定したとこ
ろ、95%と高い保持率を有し、すこぶる耐薬品性に優
れているのが確認された。また耐熱性についても24時
間、300℃の高温空気中に曝した前後での強力保持率
は、100%と極めて優れたものであった。
【0059】この繊維を固体高分解能NMRおよびES
CAにより分析したところ、該繊維の構造単位は、
【化19】 が92モル%(構造単位比率:0.92)、
【化20】 が6モル%、
【化21】 が2モル%であり、広角X線回析による2Θ=16.3
°での配向度は82%であった。また、結晶サイズは3
5オングストロームであった。
【0060】比較例3 実施例1の口金を用い、実施例1と同様の条件で紡糸速
度を2000m/分で紡糸し、100デニール/50フ
ィラメントのフィラメント糸を得た。
【0061】こうして得られた繊維の配向度は40%で
あり、また2Θ=20.2°における結晶サイズは15
オングストロームであった。また、伸度は210%、強
度は1.1g/dであった。
【0062】この繊維を実施例1と同様に処理したとこ
ろ、該繊維の構造単位は、
【化22】 が90モル%(構造単位比率:0.90)、
【化23】 が6モル%、
【化24】 は4モル%であった。
【0063】しかし、こうして得られた繊維の伸度は3
%とあまりに低く、また、強度は0.8g/dであり、
実用フィラメント繊維としては使用できないものであっ
た。
【0064】
【発明の効果】本発明の方法によれば、濃硫酸や濃硝酸
に対しても劣化することなく、耐熱性、耐薬品性におい
て格段に優れているポリフェニレンスルホン繊維を得る
ことができる。
【0065】本発明の方法により得られるポリフェニレ
ンスルホン繊維は、近年、需要が高まりつつある濃硫
酸、濃硝酸等の精製フィルターあるいは脱硫、脱硝煙ガ
ス装置における各種フィルター、電池セパレーターや隔
膜等の如き、格段の耐熱性、耐薬品性が要求される分野
のフィルター、ワイパー、シート状物等に好ましく使用
することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式 【化1】 で示される構造単位から主としてなり、かつ4000m
    /分以上の高速で製糸されて結晶サイズが20オングス
    トローム以上かつ配向度が60%以上にされてなるポリ
    フェニレンスルフィド繊維を、有機過酸を用いて、前記
    構造単位の少なくとも50モル%を、 【化2】 の構造単位に変性して配向度60%以上、結晶サイズ2
    0オングストローム以上であるポリフェニレンスルホン
    繊維を得ることを特徴とするポリフェニレンスルホン繊
    維の製造方法。
  2. 【請求項2】結晶サイズが20オングストローム以上か
    つ配向度が60%以上であるポリフェニレンスルフィド
    繊維として、0.5デニール以下の極細繊維を用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンスルホン
    繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】結晶サイズが20オングストローム以上か
    つ配向度が60%以上であるポリフェニレンスルフィド
    繊維として、0.4m2 /g以上の比表面積を有する多
    孔繊維を用いることを特徴とする請求項1または2記載
    のポリフェニレンスルホン繊維の製造方法。
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